平成27年9月24日(木曜日)13時00分から15時00分
旧文部省庁舎2階 第2会議室
(委員:○,事務局:△)
議題に先立って,事務局の人事異動について紹介があった。
議題(1)田原委員,輿委員から,それぞれ資料1,資料2に基づき,発表があった。委員からの意見・質問は以下の通り
[1]公立高専の現状と課題 ~個性ある高専を目指して~
○:本科の卒業生のうち4割が進学するということであるが,この「進学」とは,大学へ編入学するもののみか。
田原委員:大学へ編入学する者と専攻科へ進学する者を含んでいる。
○:高専の役割とは何かを考えるときに,本科を卒業後に進学をする者がどれくらいいるのか,それを多いと捉えるか少ないと捉えるかということが,一つの重要なポイントとなってくると考えている。
大学と同じ法人の中にあればいい面もあるが,大学の附属学校と見られてしまい,高専がぼやけてしまわないか。高専は必要ないじゃないか,と言われる危険性もある。
田原委員:公立大学法人の中に位置づけられているが,例えば,公立大学法人首都大学東京の場合は,首都大学東京と産業技術大学院大学と東京都立産業技術高専の3機関が,独立し,それぞれの目的をもって人材育成をしていると理解されていると考える。
○:高専を卒業した学生は,どういう職種に採用されているのか
田原委員:本科を卒業した学生はエンジニアとして就職し,開発・設計だけでなく,サービスエンジニアとしても活躍している。
○:大学に進学しようとする学生は,どのような考えがあるのだろうか。
○:高学歴志向ということだろうか。
○:企業に就職してからの評価が,大学卒と高専卒で違うと考えている。高専生は即戦力である等の評価を受けているが,大学卒の方が早く昇格試験を受けられる企業があるということ等を聞き,専攻科や大学に進学してから就職しようと考える高専生が多いと思う。
○:高専はどうあるべきかが議論の大事な部分かと考えている。専攻科の制度が作られたときに,5年+2年でどのような人材を育てることを目的としたのだろうか。本科の5年間が単なる大学へのステップであってはならない。7年間を使ってどのように学生を育てることにするのか。
○:専攻科の設置についてはいろいろないきさつがあっただろうが,5年課程では世界標準国際化へのレベルが低いということでく評価されていたのでそのレベルアップするということが一つの目的の一つであったように考えると思う。本科5年間で大学レベルまでの技術を習得しているが,年齢という形式的な問題もあって学位を取得することができない。現在は,5年+2年で大学院レベルまでの技術を習得させて,学位を授与している。
○:専攻科の制度ができて10年経って,どのようになっているのか。
○:専門のレベルを上げるのではなく,融合型の教育として幅広い分野に取り組むようになってきているが,そのことが必ずしも評価につながっていない。専攻科が正式に制度として認められていないなど,課題も多い。
○:企業と高専の間で,5年+2年の課程でどのように育てるのかについてコミュニケーションがあったのか。その点については疑問。
△:学校教育法では,「高等専門学校を卒業した者等に対して,精深な程度において,特別の事項を教授し,その研究を指導すること」を目的とするとされており,また,専攻科の制度が創設の際の答申(大学審議会 高等専門学校教育の改善について(答申))では,まず,「大学への編入学とは別に高等専門学校生としてのアイデンティティーを保持しながら,より高度の教育研究指導を受けることを希望する者が増えてきている実態からその受皿」として,また,「社会人の再教育のニーズに応えるため」として,及び,「高等専門学校の研究機能を強めるため」として,専攻科の設置について意見がなされている。
[2]高等専門学校出身者に対する企業からの評価について
○:輿委員に多くの有意義な方向性をお話しいただいて敬意を表する。一方で,新しい課題に対して力を入れることは重要であるが,現在のいいところをなくすことにつながるかもしれない。それでも取り組むべきか。
輿委員:中学校を出て5年間で大学並みのレベルになるというの密度の濃さが高専の強みだと考える。しかし,大学生と比べると(報告したとおり,交渉力・企画力等を鍛えるといったような)多様な視点に欠けるということはあると感じる。5年間の中ではできることとできないことがあるのは承知。多様性が十分に身に付いていないなら,企業側は「高専出身」というアイデンティティーを理解した上で,学生を受け取り,そこを企業で育てるということもあるか。あるいは専攻科では,多様性の不足を補うような幅を持たせる経験等ができるようにすれば,よりパワフルになるのではないかと思う。
○:5年間で専門性を身に付ける。これはいいことで,続ければいい。専攻科では多様性を追加していけばいい。インターンやビジネスなど,専門以外の知識をいろいろ学ぶようにして,5年+2年でないとやれないようなポジショニングにすればいい。
英語はやらないといけないが,やればできる。そんなに問題はない。
○:専攻科の現状としては,学生個人個人が学位授与のための申請やその準備などが必要で,カリキュラム上の制約が多い。7年一貫の学びに,インターンシップなどを含めて多様性を組み込んで体系的にやるべきだ。5年間の課程では制約がある。
○:高専の位置づけ,大学との違いが重要な論点であるが,卒業生の4割が進学しているという実態を踏まえて考える必要がある。今の位置付けが実態にそぐわないのなら,そこにどのように合わせていくのかを考えなければならない。
高専制度ができたときとの違いをかんがえなくてはならない。大学の工学部では卒業生の多くが修士課程に進むことが一般的になってきており,産業界側には人材ニーズの変化がある。その中で,本科5年+専攻科2年の課程を広く認めてもらうようにしていくことが必要ではないか。
高専には入口も出口もいろいろあって,選択肢が多いことはよいことだ。また,高専卒は専門性が高い一方で経験・視野は不足しているという点も考慮が必要。5年+2年の中で経験値を上げるのか,専門性を高めるのか,そこを考えなければならない。
○:高専の一番の特徴は,中学校卒業後という早期からの専門教育。世界にも例を見ないもので,これは持ち続けなければならない。
なお,学生の進学志向は,大学に行きたいということでなく,もっと上の学問を受けたいということ。今はそのニーズを満たすのが大学しかない。高専は,プロフェッショナルラインとして大学とは違う位置付けであり,それぞれの段階でどのような人材を育てるか,ということを考えなければならない。
○:学生が卒業後どのように伸びていくのかが大事。評価は高専を出た瞬間ではなく,その後を含めてのものであるべきだ。高専スピリットを生かして伸びていけばいいのであって,卒業後に進学するか就職するかは本質的な問題ではないのではないかと思う。
○:高専教育を受けて良かった,といったようなデータがあるといい。簡単には分からないが。
議題(2)「高等専門学校における教育改善状況等に関する調査」の結果について事務局より説明ののち,意見交換。委員からの発言は以下のとおり。
○:高専から大学に行った方がいい人が育つのか,それとも高専で専門をきっちりとやって企業で育てた方がいいのか。
○:5年間は専門教育に注力することが望ましいが,専攻科の2年については違う環境になることを期待。企業としては,高専生に大学生と全く同じ資質を期待していたのではないか,という点に気づいた。同じ立場になることを期待した結果として,いいところ,よくないところのそれぞれが拡大されて見えているのではないか。
企業に入った後にどうなるかは,高専の5年間だけで全てが決まるわけではない。企業で多様性を吸収する人もいるだろう。そういった方々は成長できるところに配属するということも重要。伸びる人は堂々と勝負してもらえばいい。
○:高専卒業生の先輩を見ると,しんどいところで頑張って,コツコツとやっているのに,その年になるまで昇格試験を受けられない。それならやっぱり大学や専攻科に行こう,ということになるのではないか。
また,高専生の強みは,早いうちから専門を学び,大学入試がない分勉強ができる。足りない部分は多様性。英語については興味がない,必要性がないと感じている。
○:英語に親しむには,留学生が一緒にいるといい。また,留学生混住の寮を使えばいい。
○:卒業が遅れることもあって,留学にはあまり行きたがらない。きっかけや,そういった場所を持てればいい。
○:大学生でも同じ。そのような場を提供すればいい。
○:5年の教育課程を変えるべきだとは思わないが,英語だけは頑張った方がいい。
○:追加で何かやるのは大変。
○:高専のカリキュラムはいっぱいいっぱい。それでも昔に比べれば減っている。PBL等も取り入れている。ただ,5年で卒業することは変わらない。7年の課程にするなら,一通でカリキュラムを見直す必要がある。
○:高専の5年間で,自分の弱いところ,強いところをよく理解することができた。それで,自分で英語を勉強したかったので米国に留学した。高専に行かなかったら米国にも行かなかったし,外資で働いてもいない。
○:高専生でも英語ができる学生はいる。環境を与えることが大事。
モチベーションが上がればそれだけ伸びてくる可能性もある。カリキュラムを見直せばいい。大学と同じでなくてもいいのでは。設置基準に入れると大変。
高等専門学校係
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