資料4-2_自由民主党・高等専門学校を考える議員連盟「高等専門学校の今後のあり方について提言」

高等専門学校の今後のあり方について提言

平成27年9月18日
高等専門学校を考える議員連盟
会長 河村建夫
事務局 八木哲也

【1】.主旨
高等専門学校は1962年(昭和37年)に創設されて以来,50年余りの間,我が国の高度経済成長に寄与すべく,優れた実践的技術者を育成してきた。その実績についても産業界から高く評価されている。
他方,制度創設当時と比べると,科学技術の進展や産業構造の変化,人口減少,グローバル化など高専を取り巻く環境は大きく変化してきている。産業界からの高等専門学校に対する評価は依然として高いものの,本科を卒業した学生の処遇については,その評価に比し,必ずしも相応なものとなっていないとの意見もある。さらに,本科を卒業した学生の更なる学問・学術の高みへの希求の為,高等専門学校の専攻科への進学や大学3年次への編入などの進学率が約40%にまで増加してきた現実もある。
上記のような環境変化の中,高等専門学校がさらなる進化を遂げるため,本議連では高等専門学校の今後のあり方について議論を重ねてきたが,このたび,中間報告として以下の提言を行う。この提言はこれまでの会議で示された各議員の意見を「論点整理」(別紙添付)し,まとめたものであるが網羅したものではない。今後,本提言に基づいて高等専門学校に係る各種措置を講ずるに当たっては「論点整理」も十分考慮していただきたい。

 

【2】.提言
 1.高等専門学校の充実
(1)フレキシブルな組織
  ・「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」の議論の中で高等専門学校の位置づけを明確にすること
  ・国立高専を設置する国立高等専門学校機構について,独立行政法人という法人体系とする妥当性を研究すること
  ・地域の工業高校との連携を強化すること

(2)質の向上
  ・修業年限及び学位授与の在り方を研究すること
  ・本科の卒業生が企業において適切に評価されるよう,産業界との連携を図ること
  ・「スーパーグローバル高専」の創成を支援するとともにTOEIC,TOEFLといった英語能力測定テストの活用を促進し,高専生の英語能力向上を図ること
  ・地域における実際の課題を題材とした産業密着型カリキュラムや課題解決型学習などアクティブラーニングの充実を図ること
  ・早い段階からの専門教育が有効とされるサイバーセキュリティ人材などの育成の強化を図ること
  ・「起業するスピリット」の養成を図ること

(3)量の向上
  ・高専の全県設置という観点から,県立工業高校を高専化するなど高専教育の拡充を図ること
  ・商業,農業等の既存の分野以外への学科展開や既存の学科再編の必要性につき研究すること

 2.地方創生のための高等専門学校
  ・産学官連携による地域の産業ニーズに合致したカリキュラム構築を推進すること
  ・地域の企業への就職を促すためのインセンティブに係る検討を進めること
  ・地域企業におけるインターシップの充実を図ること

 3.高等専門学校の海外展開
  ・関係省庁や関係機関の協力の下で,教員や学生の派遣・交流等を通じた高専の教育システムの海外展開(ハード・ソフトの両面)を行うこと
  ・製造業等,産業の高度化に取り組む開発途上国への技術支援,人材派遣の充実を図ること
  ・高専における留学生の積極的受入れを図ること


【3】.予算措置
  ・グローバルエンジニアの育成に関する予算の充実を図ること
  ・地方創生に資するための地域と高専との連携に関する予算の充実を図ること
  ・サイバーセキュリティなど,社会的な要請が高く人材育成が課題となっている分野における人材育成の充実を図ること
  ・高専の教育施設・設備費の充実を図ること
  ・高専の教授に対する科研費の増額,充実を図ること
  ・大学など他の高等教育機関に準ずる税制上の優遇措置を講じること
 
(参考)
「高等専門学校を考える議員連盟」会議経過
 

 回 

 年・月・日

 内容

1

 平成26年10月15日  

 1)連盟規約の承認
 2)役員の承認
 3)関係者よりヒアリング
      ・文部科学省

      ・独立行政法人国立高等専門学校機構

2

 平成27年2月3日

 1)高等専門学校の現状と課題について
 2)独立行政法人国立高等専門学校機構よりヒアリング

3

 平成27年2月26日 

 1)専修学校の大学的位置付け
 2)高等専門学校方向性
 3)国立大学と高専との法人の違い

4

  平成27年3月31日 

 1)国立高等専門学校よりヒアリング
   (東京高専,豊田高専)
 2)中間とりまとめ

5

 平成27年5月25日 

 1)国立高等専門学校よりヒアリング
(佐世保高専,明石高専)
 2)高等専門学校制度の海外展開について
 3)高等専門学校の充実に関する有識者会議の開催について

6

 平成27年7月9日  

  1)下村文部科学大臣より御挨拶
    (高専の海外展開について)
  2)高等専門学校制度の海外展開について
  3)国立高等専門学校よりヒアリング
(高知高専,仙台高専)

7

 平成27年9月8日 

 1)公立/私立高等専門学校よりヒアリング
(都立産業技術高専,近畿大学高専)
 2)平成28年度概算要求について
 3)提言(案)の打合せ



論点整理

高等専門学校を考える議員連盟
事務局 八木哲也


「高等専門学校の今後のあり方について」

 

【1】高等専門学校の充実
1.フレキシブルな組織
(1)「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」の中で高等専門学校の位置づけの研究
  (2)高専としての高大一貫教育の評価
(3)独立行政法人という位置づけでよいか(国立大学法人への研究)
(4)地域工業高校との連携

  2.質の向上
   (1)学位授与の在り方(本科+1年,=6年で学位,大学院に飛び入学等)の研究
   (2)高専版スーパーグローバルスクールの設置
   (3)(地域)産業密着型カリキュラムの充実
   (4)アクティブラーニングの充実
   (5)起業するスピリットの養成
   (6)トイック・トフルの充実
   (7)科学技術能力だけでなく,人間力・リベラルアーツ人材の育成
  3.量の向上
   (1)全県高専必置の方向性
   (2)県立工業高校を高専化し,拡充を図る
   (3)商業・農業分野における高等専門学校の必要性

【2】地方創生の為の高等専門学校
(1)地域の産業ニーズに合ったカリキュラムの充実(産・学・官連携)
   (2)地域への就職,インセンティブ制の検討(個人,企業)
   (3)地域企業へのインターシップの充実

【3】高等専門学校の海外展開
(1)高専システムの海外輸出(ハード,ソフト)
   (2)途上国への技術支援,人材派遣
   (3)留学生の積極的受入れ

【4】高等専門学校の産業界における役割・評価
(1)高専と大学との給料差,能力に応じた給料体系の研究(産業界に対して)
   (2)高専の制度評価,学術・教授評価,学校評価等の内部評価及び外部評価制度の研究

【5】予算措置
(1)寄付控除,税額控除(産業界,地方自治体・個人等,国大協に準ずる))
   (2)高専教育施設・設備充実
   (3)高専教員に対する科研費の増額・充実
   (4)グローバルエンジニアの育成
   (5)高専と地域連携予算

【6】その他
(1)専科のあり方
   (2)科技大学(2校)のあり方
   (3)公立,私立高専の在り方
   (4)「高等専門学校の充実に関する調査研究協力者会議」への意見反映の為の意見交換

 

お問合せ先

高等教育局専門教育課

高等専門学校係

(高等教育局専門教育課高等専門学校係)