第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会(第10回) 議事録

1.日時

平成27年6月15日(月曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 審議まとめ(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

須藤座長、有川座長代理、上山委員、海部委員、北山委員、熊平委員、小林委員、日比谷委員、山本廣基委員

文部科学省

德久総括審議官、伊藤政策評価審議官、吉田高等教育局長、義本大臣官房審議官(高等教育局担当)、常盤研究振興局長、安藤大臣官房審議官(研究振興局担当)、豊岡国立大学法人支援課長、牛尾学術機関課長、鈴木学術研究助成課長、吉田国立大学法人支援課企画官、瀬戸学術機関課学術研究調整官、三浦国立大学戦略室長、手島大学病院支援室長

5.議事録

【須藤座長】    所定の時刻となりましたので、第10回第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず、本検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
  本日は、前回に引き続き、審議まとめにつきまして、御議論いただきたいと考えています。前回の御議論を踏まえて修正を加えた、審議まとめ案を提示しております。本日の議論で審議まとめの取りまとめを行いたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  それでは、議題に入りたいと思います。
  まず、事務局より、審議まとめ案につきまして、説明をお願いいたします。
【事務局】    それでは、お手元の資料2を使いまして、御説明を差し上げたいと思います。
  おめくりいただきまして、まず1ページでございます。1ポツ、国立大学法人の現状と課題の部分につきましては、若干、文言の適正化を加えさせていただいておりますけれども、中間まとめからの大きな修正はございません。まず、法人化後10年を経過した部分につきまして全体を俯瞰(ふかん)するということと、それから社会状況の変化などにつきまして記述をさせていただいているということ。また、財務状況の変化につきまして、二つ目のパラグラフにおきまして、これまでの状況について、また法人の運営に関わる課題につきまして、記述をしております。3段落目の部分につきましては、教育研究の基盤的な経費である運営費交付金と競争的経費によるデュアルサポートシステムに関しましてのこれまでの経緯、それから近年の状況につきまして、それぞれ課題とともに記述をさせていただいております。
  2ページに参りまして、2ポツのこれまでの運営費交付金に係る改善点とその課題についてでございます。この部分につきましても、中間まとめからの修正はございません。1パラグラフ目から4パラグラフ目までにつきましては、これまでの運営費交付金の配分ルールについての経緯を御説明いたしますとともに、その後、第2期のルール等につきまして、課題点を幾つか指摘をしているところでございます。例えば一つ目のポツにつきましては、大学改革促進係数による財源の確保の部分と、重点配分をした部分の関係が不明確ではないか。また、三つ目のポツでは、学内の予算配分において、部局に対しまして、従来配分している金額を前提として配分している場合などにつきまして、各国立大学が持つ多様性や強み・特色を生かした学内資源配分などが不十分ではないか。また、3ページの方に参りまして、二つポツがございますが、支援を行った取組の成果の検証が不十分ではないか、また学長裁量経費などの確保が困難な場合なども見受けられるというような点を、課題として指摘しているところでございます。
  その後、3ポツといたしまして、第3期中期目標期間における国立大学法人の在り方についてでございます。ここは、前回の会議で御意見を頂いたところでございますので、それを踏まえて修正をした部分でございます。一つ目のパラグラフは、国立大学の役割という部分につきまして、改めて記述させていただいております。法人化以降も、国立大学の役割に変わりはないけれども、社会への貢献を第一に考え、知識基盤社会を支える多様な人材を育成する中核として、各国立大学がそれぞれの役割を認識しながら機能を高めていくという部分を記述しております。赤字の部分、前回の意見を踏まえて修正を加えさせていただいております。次のパラグラフは、これまでの「改革加速期間」への取組といたしまして、「ミッションの再定義」を踏まえた創意工夫に基づく機能強化構想に対しましての重点的な支援の取組について、記述しております。また、その後、政府の諸会議におきまして、大学に期待される取組の方向性を幾つか列挙している部分でございます。高大接続を含めました大学教育の改善の観点、それから、4ページに参りまして、科学技術イノベーション政策の観点、また、学術研究の振興の観点、地方創生の観点など、幾つか大学改革をめぐる、政府全体あるいは社会全体からの受け止め方、今後の方向性についての記述を列挙しております。
  5ページに参りまして、こうした状況を踏まえまして、第3期中期目標期間における国立大学法人の目指す姿をお示ししますとともに、真ん中の段落でございますけれども、これからの国立大学法人の改革についての必要な観点といたしまして、社会の様々なニーズに応えていくために社会的な課題解決に取り組むとともに、知的探求活動による価値の創出や新たな社会の創造・発展を意識した各大学の目指すビジョン、それから実現するために必要な組織の在り方を明確にし、戦略的な運営体制を構築するマネジメントの改革を必要とするというところでございます。赤字の部分につきましては、日比谷委員から、社会のニーズに課題解決として取り組むという部分だけではなくて、これから新たな価値の創出あるいは新たな社会の創造という部分に貢献していく部分というものを少し記述した方がいいのではないかという御意見を頂きましたので、その部分を書き加えさせていただいております。また、その下、具体的な取組といたしまして、学内の財務構造、経費の使途・人的資源の把握と分析を含むIR機能の強化など、また情報の積極的な公開などにつきまして、記述しています。この赤字は、前回と同様でございます。その下、こうしたことを踏まえまして、必要な財務基盤をできるだけ安定化させる中で、競争的な環境を構築し、大学間の共同した取組などを促進することによりまして、人材の育成、あるいはグローバルな競争の中で未来を切り開くイノベーションを生み出す基盤を整備するというようなことを記述しております。
  次の段落は、人材についての記述でございます。国立大学のグローバル化と外国人留学生の積極的な受入れに関しまして、6ページに参りまして、知識基盤社会における社会人の継続的な能力の向上という観点から、社会人の学び直し機能を質・量ともに強化という観点と併せまして、前回、御意見を頂いたところでございますけれども、イノベーションの関係から人材の育成に関しましての記述を加えるというところでございます。前回の御意見を踏まえまして、修正を加えさせていただいております。読ませていただきますけれども、「このような、多様な人材の受入れとともに、失敗を恐れず繰り返し新たな事柄にも果敢に挑戦する人材の育成も重要である。社会が抱える課題を自ら発見し課題の解決を図ることのできる人材を育成するとともに、先端的な学術研究とそこから生まれる研究成果等に基づき、新たな知を見いだし、イノベーションの実現に挑戦するようなベンチャーマインドを持ち起業等のできる人材を育成することも求められている。このように、適切な環境を整えつつ、新たな知を見いだし、社会のイノベーションに貢献する人材の育成を進め、こうした教育の成果を重視していくことも重要な視点である」ということで、課題解決型の人材と併せまして、学術研究の先端の部分から生み出されるイノベーション、それからベンチャーといったものと、両面併せて人材育成として教育の成果を重視していくというような観点から、記述を修正させていただいております。
  その下は国立大学法人の財務基盤の充実についての段落、また、その下につきましては、大学間のネットワークの重視と、我が国の教育研究の機能を全体として発展させる観点から、共同利用・共同研究の推進などについても、段落として記述しております。この赤字の部分は、前回と同様でございます。
  4ポツの第3期中期目標期間における大学共同利用機関法人の在り方につきましても、前回の御意見を踏まえまして、一部修正させていただいております。まず、大学共同利用機関の役割につきましての説明の後、7ページに参りまして、学術研究のナショナルセンターとしての機能を果たしていくという観点から、今後、大学共同利用機関法人に対し期待される役割として、3点に整理をしているところでございます。一つ目は研究者コミュニティ全体への貢献、二つ目は大学の機能強化への貢献、三つ目は社会への貢献ということでございます。こうした三つの貢献を通じまして、大学共同利用機関をはじめとする共同利用・共同研究体制全体の機能強化を図ることで、大学の機能強化に貢献し、さらには、日本全体の研究力向上に寄与することで、我が国の研究力の機能強化による好循環の実現、また大学共同利用機関法人が自ら改善・発展する仕組みを構築することによりまして、持続的な競争力と高い付加価値を生み出していくというようなことを、第3期の姿として説明しているところでございます。
  この下、各大学共同利用機関法人に関しましてのマネジメント改革などの記述の部分でございますが、8ページの方に参りまして、前回の御意見を踏まえまして、一部修正を加えさせていただいております。1行目から参りまして、「加えて、法人の財務構造や経費の使途・人的資源の把握」の部分、ここは前回と同様でございますが、その下、「トップマネジメントの強化、資源の積極的活用、情報発信力の強化などを図ることにより、客観的外部評価の下で改革を進めていく必要がある。法人を運営するために必要な財務基盤をできる限り安定化させる中で、こうした改革を進めることにより、法人の強み・特色、個性を際立たせ、特に、当該分野における国際的な頭脳循環ハブとしての機能を発揮させ、グローバルな競争の中で未来を切り開くイノベーションを生み出すことができると考える」という形で修正をさせていただいているところでございます。
  その下は、大学共同利用機関法人が持ちます研究者人材の人材育成のハブの観点、また研究者人材の輩出に関しましての人材育成を通じた大学の機能強化への貢献についての段落、また、その下は財務面への充実という観点での記述をさせていただいております。
  5ポツの第3期中期目標期間における運営費交付金の配分方法等につきましては、(3)の最後の部分を除きまして、修正をする点は現時点ではございません。まず、基本的な考え方の御説明の後、9ページに参りまして、(1)といたしまして機能強化の方向性に応じた重点配分の枠組みについて、まず国立大学法人に関しまして、10ページにございますように重点支援の三つの枠組みを中心といたしました機能強化の支援の在り方についての記述、それから、11ページでは大学共同利用機関法人も同様に三つの重点支援の枠組みを活用した機能強化の記述をさせていただいているところでございます。以下、予算配分の決定方法につきまして、国立大学法人、大学共同利用機関法人について、それから、評価の方法・評価指標の設定につきましても同様に、それぞれに関しまして記述をさせていただいているところでございます。14ページからは、(2)といたしまして学長の裁量による経費の区分でございます。ここも修正はございません。基本的な考え方といたしまして、学長のリーダーシップの発揮と、学内のマネジメント機能を予算面で強化する観点から、学長裁量経費を区分するということの提案でございます。ここにつきましても、学長の裁量経費の設定の在り方、それから評価と予算配分への反映について、国立大学法人、大学共同利用機関法人について、それぞれ記述をさせていただいております。
  16ページに参りまして、(3)の第3期中期目標・中期計画との関係についてでございます。この部分につきましては、前回の検討会から若干動きがございまして、6月8日に文部科学大臣から通知をされました「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」を踏まえて、今後、中期目標・中期計画の検討を行うこととなっておりますので、その部分についての修正を加えさせていただいております。また、最後、「なお」以下3行加えさせていただいている部分につきましては、前回、北山委員からございました御意見を踏まえまして、追加をさせていただいております。「第3期中期目標・中期計画については、その素案を平成27年6月末までに文部科学省に提出することとされているが、概算要求の時期等を踏まえ、本取組構想に係る中期目標・中期計画の素案の変更等については、弾力的な取扱いを行う必要がある」という部分につきまして、追記をさせていただいております。
  その下、6ポツ、競争的研究費との一体改革についてでございます。この部分につきましては、前回の会議で検討状況について御説明を申し上げたところでございますけれども、その後の動きに合わせまして記述をさせていただいているところでございます。若干長いですが、読ませていただきますと、「研究成果の持続的創出に向けた競争的研究費改革については、『競争的研究費改革に関する検討会』において検討が行われている。当該検討会においては、文部科学省における全ての競争的研究費について、30%の間接経費を措置することを原則とするとともに、他省庁や民間を含めた全ての外部研究費の扱いについては、総合科学技術・イノベーション会議のイニシアティブの下で同様の措置がとられることが期待されること等が議論されている。また、間接経費の措置を行う前提として、各大学等が外部ステークホルダーに対して、間接経費の必要性・重要性・合理性等について説明責任を果たし、理解を得ることが不可欠であるため、大学等における間接経費による取組の全体としての実施方針・実績を公表することが適切であるとともに、それに加えて、若手研究者等の人材育成、研究基盤の整備等を含めた大学等の研究活動の取組の方針や状況について、積極的に公表することが望ましいとの議論がされている」。ここまでは競争的研究費改革に関する検討会の議論の状況を説明しております。「これらの点については、本検討会においても、国立大学改革を進めていく上で各国立大学法人が学内の財務構造や経費の使途・人的資源の把握と分析を含むIR機能の強化等を図り、積極的に情報公開を行うことの重要性を指摘しているところであり、今後一層取組を進めていく必要がある。運営費交付金の改革及び競争的研究費の改革は、我が国の知の創出機能、イノベーション創出力、人材育成機能の強化を考える上で双方とも重要なものであり、それぞれの改革が相まって一体的な改革として相乗効果を生むことが期待される」という形で修正をさせていただいております。
  7ポツが財源の多元化や自律的な運営を図るための今後の検討課題ということで、ここも、前回の御意見を踏まえて、一部修正をしております。一つ目のパラグラフの修正につきましては、前回と同様でございます。それから、(2)の学生納付金の部分につきましては、前回から一部修正しまして、今後、学生納付金の設定の在り方につきまして、授業料の減免等と併せまして、教育の質の向上という部分を追記させていただいております。それから、(3)の特定研究大学についてでございます。前回、この部分につきましては十分議論ができていないのではないかというような御意見もあったところでございまして、事務局でも検討をした結果でございますけれども、一方で橋本委員などからは、特定研究大学についての記述を、今後の議論ではあるけれども、一部追記をしておくことも重要だというような御意見もございましたので、それらを踏まえまして、修正をさせていただいております。具体的には、18ページでございますが、特定研究大学につきましては、「制度の在り方なども含め大学関係者や有識者の意見も踏まえながら検討を行うことが望まれる」という形で、記述を修正させていただいているところでございます。
  最後、8ポツの「おわりに」というところでございますが、これにつきましても、前回の御意見を踏まえまして、前回は経済社会などという部分が若干記述されていたわけでございますけれども、その部分を修正いたしまして、知識基盤社会の中核的拠点として全国に配置された国立大学の知の創出機能を最大化することを目指して、「国立大学経営力戦略」についての記述をさせていただいたというところでございます。
  本文の部分につきましては、以上でございます。
  別紙1、別紙2の評価指標の例につきましては、若干の文言の適正化などを除きまして、内容に関わります修正はございません。
  それから、27ページの後、ページが振っておりませんけれども、関連データ集といたしまして、これまで本検討会で提出いたしましたデータを中心に再整理をいたしまして、必要と思われる部分につきましてまとめて、この審議まとめに添付させていただきたいと考えているところございます。
  御説明は、以上でございます。
【須藤座長】    どうもありがとうございました。
  それでは、ただいま説明のありました審議まとめ案につきまして、御議論いただきたいと思います。どなたからでも結構ですので、お願いいたします。
  特に、赤で前回中間まとめのときからの修正点等が書いてございますけど、今回、一通り全部を通して説明していただきましたので、もちろん赤のところは変更点として議論をしていただきたいのですが、全体を通しての感想でも構いませんので、お願いいたします。
  有川委員、お願いします。
【有川座長代理】    細かいことに関しまして、多少異論はあるかもしれませんが、今日で10回目で、これまでの議論の結果が反映されたまとめになっているのではないかと思います。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  ほかにございますか。
  それでは、申し訳ないのですが、上山委員から順番に、一言お願いいたします。
【上山委員】    私は、前回少し発言した箇所について、別個に御説明も頂きまして、文言も整えていただきましたので、6ページのところですけれども、大学の研究成果を前面に出した形でのベンチャーというのを、イメージが出てきましたので、とても有り難いと思っております。
  この6ページのところで少しだけ気になったのは、すみません、本当に細かい話でございますけれども、赤いところの段落の下から2行目と4行目に「新たな知を見いだし」という同じ文言が重なっておりますので、少し日本語的にはどうかという、それだけでございます。どちらかを削られる方がいいのではないかなと、少し思いました。
  以上でございます。
【須藤座長】    ありがとうございました。この点につきましては、見直してみたいと思います。
  それでは、海部委員、お願いいたします。
【海部委員】    具体的な文言については特に意見はございませんで、今まで随分議論をしてきましたし、その結果としてこうなったということで、私としては、これで非常に満足かというと、必ずしもそうではありません。しかしながら、現在の状況の中では、こういう結論というのはやむを得ないというふうに思っております。ですから、このまとめについてはそれに尽きるわけですけれど、ただ、問題は今後であると。つまり、これを実施に移していく場合に何が起きるかということは、今後の非常に大きな問題であると思います。これだけ議論が出ましたし、このまとめにも相当注意深くいろいろ文言が入りましたので、大きな危機に至るということはないかとは思う一方、国立大学の運営費交付金について非常に大きな変化をここで導入するということが、明記されないといけないと思います。特に、今回導入する大きな変化は、一つには大学に変化を求める政界・財界からの非常に強い圧力の下で行われているということであります。その圧力は時に、いまだに近視眼的であり、かつ利益適応型の要求がまだまだ強いというふうに私は思いますが、一方で大学の方は、そういうものに対する抵抗ということもあるでしょうけれども、やはり社会的視点に欠ける部分があり、自己変革に欠ける部分があると、そういう批判を受けるのも事実ですから、こういうことが起きる。
  私がもう一つ申し上げたいのは、大学自体の自己変革は、そういう社会的な圧力だけで起きるべきものではない。本来は学問的な理念に基づいて常に学問を新しいものに自己変革していかなければならないというもので、例えば日本の場合、大学は国際的視点に欠けるような部分がまだまだ非常に多いと、私は思っています。学問というのは本来世界的なものですから、そういう視点が常にあれば、もっと様々な自己変革が学問分野の変化に応じてされていくものである。それが十分されてないという面で、大学は責を負うし、大学共同利用機関もそうであると思います。ただ、結果として、その間にある文部科学省が今後どのような形でこの問題に対応していただけるかということはやはり非常に大きなことであり、私のお願いは、文部科学省としては、長期的な政策、しっかりした政策をお持ちになり、大学や大学共同利用機関等との意見交換もしっかりやっていただきながら、これが、新しい変化、いい変化につながるように是非お願いしたいという、そのことに尽きるわけであります。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  それでは、北山委員、お願いいたします。
【北山委員】    審議まとめ案に関しては、いろいろと意見を反映していただいておりますので、内容については結構かと思います。
  以前にも申し上げたかもしれませんが、2年前に、総合的な国立大学の改革プランとして、「国立大学改革プラン」が策定され、25年度、26年度、27年度は改革加速期間ということで、いろいろな改革項目が提示されており、今の議論はそのうちの一つという位置づけになります。86の国立大学にはそれぞれ個性があり、自主的な改革の取組が行われるはずなので、ほかのいろいろな施策も含めて、それぞれの大学によって優先順位は違うのでしょうけれども、27年度までの改革加速期間を終えた後は、新しい6年計画が始まるということも踏まえて、「国立大学改革プラン」の趣旨に沿った形で、本件も含めて、いろいろな施策に横串を通して全体最適となるような形で、文部科学省とも一緒になって引き続き取り組んでいっていただきたいと思います。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  有川委員、もう一度お願いします。
【有川座長代理】    先ほどはちょっと優等生的なコメントをしましたが、それは本当のことでして、非常にうまくまとめていただいたと思っております。これから86国立大学法人と四つの共同利用機関法人を包めて向こう6年間にわたってのことを言うわけですので、その辺のことを考慮して、余り細かいことにならないように、何をやるべきか、どうするべきかというのは自分で考えるという、これは先ほど海部委員がおっしゃったことにもつながっていくと思うのですけれども、そうしたことの方がかえって学問的にもいい成果が得られるのではないかと思います。つまり、現場を信じるということにつながるのですが、そういったスタンスが見えた方がいいのではないのかなと思います。そういった観点から見ますと、多少具体性があり過ぎるようなところもないわけではないのですけれども、一方で、多方面から指摘されていることもたくさんあり、それはちゃんと受け止めていただけるようになっていますので、表現としてはこれでいいのではないかと思います。
  それから、大学共同利用機関法人に関してですが、1、2、3とありますが、二つ目のところにデータの共有というようなことを少し書き加えておいてもいいのかなという気がしております。7ページのところですが、「二つは」というあたりで「施設や資料の利用」というのがあるのですけど、それらを使って得られた実験観測データというのは大学共同利用機関法人でないと持てないものがあるわけでして、それも、利活用、共同して使うと、そういったことです。データのことについてこの時期に言及しておいた方が、さっき言いました今後の6年のことを考えますと、大事なのではないのかという気がしております。それは、別な言い方をしますと、オープンサイエンスとか、オープンデータとかっていうようなことが早晩顕在化して大事になってくると思われますし、大学の方に関しましては、論文に関して経験を積んできておりますので、機関リポジトリとかオープンアクセスというようなことはその延長上で考えられると思うのですけど、データに関しましては、初めてのことではありますが、一応、リポジトリでやったような技術あるいはマインドでもってやっていくことができるかと思うのですけれども、そういうこともありますので、データの共有に関する文言が少し入っている方がいいと思います。
  以上です。
【須藤座長】    ありがとうございました。7ページのところですので、その辺は少し検討してみたいと思います。
  それでは、熊平委員、お願いいたします。
【熊平委員】    内容については、本当に議論がよくまとめられていると思いますので、いいと思うのですが、一つ、ここに来て少し気になるのは前提としての時代背景に対する認識なのですけれども、これは1枚目に書いてございます内容ですが、ここで、「急速な少子高齢化、グローバル化、新興国の台頭による競争激化など一層急激な変化に直面している」という、この背景があって、「この大きな変化は、我が国社会の現在と未来に対する不安と閉塞感をもたらしており、我が国社会は今、重大な岐路に立たされている」ということが前提というふうに書かれているのですが、実はこの中でもしかすると我々は今のグローバル時代に対して認識を十分持てていないのではないかという、ちょっと問題提起を最後にさせていただければと思います。
  といいますのは、まず、グローバル化はこれまでにないほど、若者は特にそうですが、世界と距離が縮まっていて、非常に共同する環境が整いつつあるという、そういうつながりができている社会であるということと、それから、グローバル化は地球規模に市場が拡大しておりまして、もはや中国ではなく、次はインドだということで、先日、ニューヨークに行きましたら、日に3便、直行便がニューヨークからインドに出ているという話で、そのくらいの勢いで新しいビジネスが生まれているということなのですね。更に言えば、今、地球規模で我々人類が抱えている様々な課題は非常に複雑で、その課題を解決する力が求められています。ですから、これらのことを考えますと、グローバル化というのは、確かに不安と閉塞感とも言えますけれども、一方で我々に大きな可能性を提供しているものですので、このグローバル時代、あるいは今の時代の捉え方を不安と閉塞感でまとめてしまうというのは、特に未来の社会を作ってくれる人たちを教育しようとする我々としては少し不十分ではないかなということを、改めて感じております。
  たまたま先月、アイビーリーグのある大学の卒業式に参りまして、そこで大学が何を若者に期待しているかという話を聞きましたが、やはりそこでは学びを未来のより良い社会のためにどう生かしてくれるのかということを盛んに学校全体が述べていまして、20世紀に我々が作ってしまった社会をこれからどう変えていくのかということに対して若者に大きな期待を寄せていて、むしろ学校サイドの先生方は、もはや我々にも答えが見えていなくて、あなたたちが一緒に考えてくれないと駄目だというような、そのくらいの大きな期待を掛けているという場面にも遭遇しまして、そういう影響もあったのですけれども、改めてこの最初の文章について気になりました。
  さらには、これは私の願いということになりますが、大学というのは人間形成における非常に重要な役割を果たしていると思いますので、生きる使命をどういうふうに自分が持つのかということですとか、そのために自分が何をするのかといったことをしっかりと考え、そして学んだことを生かして社会に貢献する人を作っていただけるような、国立大学の改革に発展していくといいなというふうに思います。
  以上です。
【須藤座長】    ありがとうございました。ただいまの御指摘も、この後検討してみたいと思います。
  それでは、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】    こういう審議会にしては珍しく時間があるようですので、少し長くなるかもしれませんが、申し上げたいと思います。
  初めに、委員の皆さんから既に出ましたように、全体としては非常に目配りが効いて、いろんな部分を細かく検討した結果でありますので、非常に包括的によくできているものというふうに感じております。前回お願いいたしましたデータ集についても、非常に丁寧なものを付けていただいて、参考になるかと思います。
  ただ逆に、国立大学の問題というのは、一番難しい点は、国立大学は余りにも複雑になってしまって、国民からすると非常に見えにくい存在になっているということだろうというふうに思います。それに対して丁寧な説明が必要なのですが、丁寧な説明をするとこういうふうにいろんなところに目配りしなきゃいけないという、そういう問題になってしまっている。そのあたりをどういうふうにするかということが、こういった検討会とか審議会の難しいところであるというふうに、個人的には非常に感じております。私たちの責任でもあるのですけれど、できるだけ大学が何をやっているかということを明らかにして、説明責任を果たしていくということが求められると思います。
  その上で申し上げたいのですけれど、こういった検討会とか審議会というのは、最近、文部科学省でよくポンチ絵を付けて1枚の概要というのをまとめまして、大体、本文は皆さん読まないで、そういったポンチ絵とか概要だけ読むものですから、それが独り歩きするということがありまして、いろんな目配りをしたところが全部飛んでしまって、概要だけが生き残るというようなことがあります。ですから、今回はこれが付いていないのですけれど、このあたりは概要のようなものを付けられるのかどうかということをお聞きしたいということが、第1点です。これは質問です。
  次に、そういった点からして、私が一番問題だと思うのは、大学の自主性とかを尊重するということはこの中に何回も書かれております。ただ、片方で、ほかの委員の方からもありましたように、非常に競争的な環境の中で社会のニーズに応えていかなければいけないということも事実でありまして、この二つのバランスをどうとるかというのは非常に難しい問題なわけです。例えて言いますと、外部資金の問題というのを何回も議論いたしましたけど、これについても、国立大学の置かれている環境は各国立大学によって全然違いますので、取りにくいところ、取りやすいところというのは、様々あります。実は、東京大学のような大学は外部資金が多くていいということをよく言われますが、私たちのような人文社会系は非常に取りにくいというような状況がありまして、大学間だけではなくて、学部間の間でも非常に差は出ております。そういう中で人社系をどうするかということが非常に大きな問題になってきているというふうに思いますけれど、そういった競争的な環境で競争するということ自体必要だということはここの中でも出てきているわけですが、そういったフェアな競争はどうあるべきか、条件整備をどうするかということは、もう少し考える必要があるのではないかというふうに思います。そこは、実はこの中にも様々書かれておりますし、きょう参考資料1で頂いた見直しの通知の方にも、あえて時間がありますから少し申し上げますけれど、2ページを御覧いただければ分かりますが、「見直し内容を示すにあたっては、大学の自治の理念を踏まえ、個々の法人ごとの具体的な組織・業務に言及するのではなく、全ての国立大学法人を対象に、一般的に見直すべき点を示すこととする」というふうに書かれているわけですね。「したがって、本見直しの内容は、個々の法人に全ての項目が一律に該当するものではなく、各法人の状況に応じて該当する内容は異なる」と。つまり、法人ごとに異なるのだから、法人ごとにきちんとやるということが前提だということが書かれているわけですが、先ほど申しましたように、こういった点が今後本当にそういうふうになっていくかどうか。やはり、法人ごとに異なるという点が抜けてしまうと、非常に問題であろうというふうに思います。
  もう1点だけ申し上げますと、そういう中で強みと弱みを発揮するということで、各国立大学法人が自分たちの強みと弱みをはっきりさせてIRを行い、それによって自主的に自分たちで判断していくということが求められていることがこの中でも強調されているわけですけれど、そういった点を各国立大学法人がどのように受け止めるかということは、これから非常に注意深く見ていかなければならないというふうに思っております。
  ほかにもいろいろ細かい点はございますけれど、私としては、そういう形で今後是非、文部科学省においても、これから指標を使って各国立大学といろいろ協議しながら進めて、国立大学改革を進めていくというふうに思いますので、そこを期待したいと思います。
  すみません、長くなりましたが、以上です。
【須藤座長】    ありがとうございました。最初の質問については、事務局にお願いいたします。
【事務局】    お手元の青い冊子の46番というところに、中間まとめを出させていただいた際に作りました、ポイントと概要という資料が入っております。ポイントというのは、国立大学版と大学共同利用機関版、それぞれ1枚にしたものでございます。それから概要は、5ページまであるものでございますけれども、まとめたものがございまして、一応それを修正した形で審議まとめのものとして使わせていただきたいと考えております。
【須藤座長】    これを取りまとめる際は、何か事前にアクションはあるのですか。それとも、アクションなくそのまま出してしまうのですか。
【事務局】    事前に委員の方にもお配りしたいと思います。
【須藤座長】    その辺はお任せしますけれども、今のような御指摘もありますので、今回せっかくまとめた案をじっくり反映していただきたいと思います。
【事務局】    はい。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  それでは、日比谷委員、お願いします。
【日比谷委員】    ありがとうございます。全体につきましては、少し遅れて参りまして申し訳ございませんでしたが、私が伺った範囲の方々がおっしゃっているとおり、よくまとめていただいていると思いますので、特に申し上げることはございませんが、幾つかコメントしたいと思います。
  修正版ということで、赤字になっているところを見ますと、最初、3ページのところですけど、「知識基盤社会を支える多様な人材を育成する中核」というところを明確に打ち出していただいたことは大変結構だと思っておりまして、やはり国立大学が育成すべき人材というのはあらゆる分野に出ていく人ですので、この「多様な」というところは大変よかったと思いますし、実際に各国立大学がそれぞれの特徴や強み、またミッションを生かして、本当にこれからの世の中にはいろいろな人が必要ですので、是非ここのところをしっかりと実現できればと思います。
  全体を見ますと、イノベーションとか、新たな社会の創造・発展というような言葉が結構ちりばめられている感じだと思うのですが、私が最近非常に気になっておりますことは、これに限らないのですが、よく「社会のニーズに応えて」という言葉があるのですね。今回も最後の「おわりに」のところに、これは赤になっていませんからもともとあったところなのですが、最後の段落に「社会のニーズを的確に把握するとともに」みたいなことが書いてあるのですが、これは先ほど熊平委員がおっしゃったこととも少し関わりがあると思うのですが、本当にイノベーションを創出したいとか、新しい価値観を作る、あるいは新たな社会の創造・発展に貢献するというのであれば、今の社会のニーズに応えていては全く追いつかないと。ニーズの先取りと申しますか、これから起こることを予測する力とか、展望する力とか、あるいは予測もしなかったことに対応できる能力を育てるといった、そういったところがもう一歩欲しいなと強く思っておりまして、このあたりについてのお考えを伺えればと思います。
  以上でございます。
【須藤座長】    ありがとうございます。ただいまの御指摘は私もそのとおりだと思いまして、社会のニーズというのは非常に難しい。もちろん将来のニーズも踏まえて社会のニーズというふうに捉えないといけないかなと思いますし、想定外のこともどうやって予測できるのかというようなこともあると思います。多分、ここの議論だけではなくて、本来で言えばこれは第5期科学技術基本計画の中にしっかり入れてほしいような内容だと思います。その辺は、この委員会だけではなくて、日本全体として考えていくべきものじゃないかなと、私は思います。
  いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【有川座長代理】    おっしゃるとおりだと思います。ただ、そういうことで議論を始めますと、じゃあ将来のニーズというのはどういうことか言ってみろと、大体こんなことになりまして、身もふたもなくなってしまいます。ここら辺に問題があるものですから、そこをどう収めていくかが大事だと思います。気持ちはよく分かるのですけれども、それを議論すると、ただ言葉だけじゃないだろう、何か具体的に言ってみろ、ということになり、それは、10人いたら10人、それぞれ考えが違ってくるでしょうから、学問的で一般的な話なのですが、非常に難しいところではあると思います。
【須藤座長】    どうぞ、熊平委員。
【熊平委員】    このあたりのところの社会の前提として共有しているニーズの認識というのが、日本は世界とかなりずれていると思うのです。世界では、もちろん目の前の収益とかニーズに対して何をしなきゃいけないのかという中で生きている人たちもいますが、中長期的に、人類の100年後あたりを見据えて、今、何をやっていかなきゃいけないのかということを考えている人たちもいて、特にアメリカですと、大学がそういう場所です。ですから、目の前のことではなくてというところで。ただ、日本は高齢化社会なので、そういう長期的な利害を考える若者の人口が非常に低く、どうしても短期的な、今の利益、ちょっと先の利益ぐらいのことしかなかなか考えにくいという状況だと思うのです。なので、むしろ大学の方が長期的な視野と展望に立っていただきたいなあというのを強く願います。
【須藤座長】    ありがとうございます。非常に大きな話になっています。これは恐らく、今別途、第5期科学技術基本計画の策定作業をやっていますので、そちらに反映できるよう努めていただきたいと思います。
【有川座長代理】    ここのところは、今回の議論ではないのですけど、これまでの様々なところの議論などからしますと、大学人は何かに付けて立派なことを言っていきたが、現在の社会のニーズに応えてないじゃないか、というようなことをこの約10年間にわたって言われ続けてきたように思っています。それがこういう形になっているのかなと思います。このようなことを言っていただきますと、大学にいた者としては非常にうれしく思います。
【須藤座長】    どうぞ。
【熊平委員】    それは本当に企業側の問題だと思います。企業が非常に近視眼的でグローバルでなくなってしまった今日、そこの要求を大学にするという流れが非常に強くなっていますけれども、しかし、それは社会のニーズとしてはほんの一部でして、企業の一部の声というのがすごく大きいことは私も特に気になっておりましたので、是非、もう少し大きな視点で国立大学の方は臨んでいただきたいなと思います。
【須藤座長】    この議論に入りますとかなり時間が掛かってしまうと思いますので、今、いろんな場でこの議論をする機会があると思いますし、文部科学省の方もそういうことを発信しなきゃいけないときでもあります。各委員の先生方もいろんなところでそういう機会あると思いますので、頭に置いて発言していきたいと思います。
  それでは、山本委員、お願いいたします。
【山本(廣)委員】    最後になりますと、大体、言いたいなあと思っていたことは皆さんおっしゃっているので、もうこれ以上言うことないのですが、全体にこの審議まとめは、皆さんおっしゃったとおり、これまでの議論を非常に丁寧にまとめていただいて、こうして出しても恥ずかしくないような文章になったのかなというふうに思っています。
  それで、2点、私も思っていたのですが、一つは競争的環境が非常に強く出ているということと、それからもう一つは、社会ニーズに応えてないじゃないかというようなことからこういった文言が出てきていると思います。競争的環境については、先ほど小林委員が言われたように、全く私も同感でございますし、それから、社会のニーズというのは、今まさに何人かおっしゃったように、ただいますぐに役に立つニーズに応えてないじゃないかというような雰囲気がいろんなほかの会議でも出てまいりまして、そういう意味では、10年、20年、50年先の社会を、どういうふうな社会になっているのか、あるいはしたいのかといったこととの関係の社会のニーズというのを考えていく必要があるかなというふうに思っていました。細かなことは、もう申し上げません。今、皆さんがおっしゃったとおりだと思います。非常に大事な視点だと思います。
  以上です。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  私の方からも一言発言させてもらいます。この最終的な取りまとめ、審議まとめの案を作る上で、皆さんのいろんな意見を反映させて、一つ一つ、1行1行の文章を事務局と一緒にチェックしてまいりました。それをまた各委員の先生方に見ていただいたという経過があると思います。皆さんのいろんな思いがあると思いますけれども、1行1行精査した結果、このような形になりました。
  ただ、少し危惧しましたのは、余り細かいところばかり見ていますと全体が見えなくなってしまって、この報告書全体でどんな流れがあるのかというのが分からなくなってはまずいなと思いまして、今日はあえて少し時間を割いて、事務局の方に、修正点だけではなくて、全体の説明をしていただきました。全体を読み直しますと、今までの大学、あるいはアカデミアの良い点はそのまま入っているところもありますし、直した方がいい点、あるいはもっとはっきりと直さなきゃいけない点というのも、メリハリを付けて報告書としてまとめ上げたという気持ちはあります。是非その辺は酌み取っていただきまして、せっかく作った取りまとめですので、今日ここに出席されている皆さん、大学の関係者の方もいらっしゃると思いますし、文部科学省、あるいは関連府省の方もいらっしゃると思います。あるいは私のように産業界のメンバーもいると思いますので、もう一度、全体を通してじっくり読んでいただいて、各立場を超えて意識を共有化する必要があるかなという気がします。今まで何となく、産業界は産業界、大学は大学で勝手なことを言っているようなところはありました。これをちゃんと読みますと、いろんな意見の違いはあったのですけれども、ある程度、意識の共有が図れるかなと思います。是非読んでいただきたいと思います。
  先ほど先生方から意見が出ましたように、問題はこれから、これをどうやって大学の改革あるいは良くする方向として反映していくかということだと思います。立場は皆さん違うと思いますけれども、それぞれの立場でこの方向を、今後どうこれに沿って進めるかというところも、もう一歩先を進んでいければと思っております。
  皆さんに発言をお願いしましたので私も発言しましたけど、まだ時間はありますが、何かございますか。よろしいでしょうか。
  それでは、かなり時間は早いのですけれども、御意見はこれ以上ないようですので、本日付けで原案のとおり取りまとめたいと思います。もちろん、先ほどの修正点は反映して、書き直すつもりでございます。いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【須藤座長】    ありがとうございました。それでは、若干の修正を加えて、これを取りまとめていきたいと思います。
  これまで10回にわたり活発な議論をしていただきまして、誠にありがとうございました。先ほど申し上げましたように、運営費交付金というのは国立大学にとっては重要なものでありますし、この審議のまとめに沿って改革することもやはり重要なものであります。文部科学省にお願いですけれども、この審議のまとめを確実に実行していただいて、大学とともにいい方向に進めるように御尽力していただきたいと思います。
  それでは、最後に、吉田高等教育局長から御挨拶をお願いいたします。
【吉田高等教育局長】    高等教育局長の吉田でございます。今、須藤座長の方から御紹介ありましたように、昨年の11月から10回にわたりまして非常に熱心な御議論を頂きまして、本日、非常にいろんなところに目配りをされた、いい報告書が出来上がったものということで、委員の皆様の御尽力に心から厚く御礼申し上げたいと思います。
  今回のこの審議まとめは、国立大学法人にとりまして非常に大きな変革を促すものでございます。もちろん、これは大学でございますから、自主的・自律的な改革といったものをそれぞれの大学においてお考えいただいて、私どもはそれをサポートするということではございますが、先ほど来、様々な御議論もありましたけど、社会のニーズの捉え方といったものもございますが、そういった社会のニーズの変化に応じて大学がどのように変わっていくのか、それを運営費交付金という形でどういうふうにサポートしていくのか、そういった観点から非常に有益なまとめが取りまとめられたものというふうに感謝しております。
  今日のこの会合の場でも、いろんな御意見を頂きました。まさに私どもとしても、この審議まとめを一つ源泉といたしまして、今後具体的な、第3期の中期目標期間におきます各国立大学法人への運営費交付金の予算獲得といった、こういった局面に入ってまいります。そういった意味では、この審議まとめが生きるような形で予算の確保に努めたいと思いますし、また、これまで「国立大学改革プラン」に基づいた様々な改革を各大学で取り組んできていただいておりますから、その成果を更に伸ばすような努力といったものを私どもとしてもしていきたいと、こういうふうに思います。
  先ほど須藤座長から、この審議まとめを確実に実行するとともに、その実行に当たっては各大学とも十分な意見交換をと、こういうお話がございました。その点について私どもも本当に心の中に強く受け止めて、きちんとした形でこの審議まとめが実行されるように努めてまいりたいというふうに思っております。
  最後になりましたけれども、これまで本当に精力的な御議論を頂きまして、誠にありがとうございました。心から御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
【須藤座長】    それでは、本日の議事は全て終了いたしました。改めまして、10回にわたり活発な御議論、本当にありがとうございました。これにて閉会したいと思います。

――  了  ――


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