第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会(第9回) 議事録

1.日時

平成27年6月1日(月曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省15階 15F特別会議室

3.議題

  1. 審議まとめ(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

須藤座長、有川座長代理、上山委員、海部委員、北山委員、小林委員、橋本委員、山本廣基委員、山本眞樹夫委員

文部科学省

丹羽文部科学副大臣、德久総括審議官、吉田高等教育局長、義本大臣官房審議官(高等教育局担当)、常盤研究振興局長、安藤大臣官房審議官(研究振興局担当)、豊岡国立大学法人支援課長、牛尾学術機関課長、鈴木学術研究助成課長、吉田国立大学法人支援課企画官、瀬戸学術機関課学術研究調整官、萩原振興企画課課長補佐、三浦国立大学戦略室長、手島大学病院支援室長

5.議事録

【須藤座長】    それでは、所定の時刻となりましたので、第9回第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず本検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
  本日は、本検討会の検討状況の審議まとめとしまして、国立大学法人運営費交付金の在り方につきまして、御議論いただきたいと思います。
  また、本日は丹羽文部科学副大臣にお越しいただいております。議題に入ります前に、副大臣から一言御挨拶をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【丹羽文部科学副大臣】    それでは、改めまして皆様、こんにちは。座ったまま御挨拶させていただきたいと思います。
  須藤座長初め皆様方におかれましては、今まで8回の議論を重ねていただきまして、心から感謝申し上げます。4月8日に中間まとめとしてこれまでの御議論についてお取りまとめいただきましたことを改めて御礼申し上げたいと思っています。
  今日は、この4月以降の状況変化も踏まえまして、審議まとめ案について御検討いただき、これを今月中に審議まとめとしてお取りまとめいただきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  文部科学省といたしまして、現在新たな経済社会を展望した大胆な発想の転換の下、学問の進展やイノベーションの創出に最大限貢献する組織へと自ら転換する国立大学を実現するための国立大学経営力戦略を今年の夏までに策定するといたしております。この検討会で御議論いただきましたことを踏まえまして、その戦略に是非盛り込んでいきたいと考えておりますので、委員の皆様方におかれましては、運営費交付金の適切な配分を通し、各国立大学の形成する強み、また特色を最大限に生かした、自ら改善・発展する仕組みを構築することにより、持続的な競争力を持って高い付加価値を生み出すことができますよう、是非活発な御議論をお願い申し上げまして、御挨拶と代えさせていただきます。
  本日も、本当にお忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【須藤座長】    丹羽副大臣、ありがとうございました。
  それでは、議題に入りたいと思います。
  まず、事務局から配付資料につきまして、説明をお願いいたします。
【事務局】    それでは、参考資料からまず御説明をさせていただきたいと思います。
  まず、参考資料の1でございますが、本検討会におきまして8回の議論を経まして、前回の検討会で座長一任とさせていただきました中間まとめに関しまして、4月8日に公表させていただいた資料の本体、それからポイントと概要でございます。こちらの内容につきましては、説明は省略させていただきたいと思います。
  参考資料の2-1を御覧いただければと思います。この検討会の中間まとめを踏まえまして、4月15日に開催されました産業競争力会議の課題別会合におきまして、下村文部科学大臣から御説明をいたしましたイノベーションの観点からの国立大学改革についての資料でございます。
  1枚おめくりいただきまして、この資料の基本的な考え方というところでございますけれども、日本を「世界で最もイノベーションに適した国」にするには、全国に配置されました国立大学の「知の創出機能」を最大化することが鍵である。この下で、改革の方向性といたしまして、新たな経済社会を展望した大胆な発想の転換の下、学問の進展やイノベーション創出に最大限貢献する組織へと自ら転換する国立大学を目指すべく、今後の推進方策といたしまして、本年4月に施行いたしました学校教育法、国立大学法人法の施行を踏まえ、今年の夏までに「国立大学経営力戦略」(仮称)を策定いたしまして、第3期の中期目標期間に更に自己改革を加速していくというような全体の方向性を打ち出しているところでございます。
  2ページでございますが、「国立大学経営力戦略」に盛り込むべき内容のポイントを1枚に整理させていただいております。大きく4点ございまして、一つ目が大学の将来ビジョンに基づく機能強化の推進というところでございます。この一つ目のポイントにつきましては、本検討会でおまとめいただきました中間まとめの内容に即しまして、三つの重点支援の枠組みを新設し、評価に基づくメリハリある配分を実施すること、これによりまして、新研究領域の開拓や、地域のニーズ、産業構造の変化に対応した人材育成などを行う組織へと転換するというような方向性を示しているところでございます。
  2点目といたしまして、自己変革・新陳代謝の推進でございます。こちらにつきましては、1の機能強化の方向性と併せまして、各大学の組織再編、それから大学間、あるいは専門分野間での連携や連合などの促進に関しまして、積極的な取組への重点支援を行っていくこと、また、本検討会の二つ目の改革の方向性でございます学長裁量経費を活用いたしましたマネジメント改革を積極的に推進すること、また、三つ目といたしまして、特に若手が活躍する組織への転換を図るということで、人事給与システム改革が中心でございますけれども、年俸制やクロスアポイントメントなどを活用し、実績に基づく給与体系へ転換していくことを二つ目の柱として考えているところでございます。
  3点目が、改革を進める上での財務基盤の強化ということでございまして、一つ目の丸は基盤的経費でございます運営費交付金を確保しつつ、改革に取り組む大学に重点支援を実施していくこと、また、二つ目の丸といたしまして、更に大学の努力によりまして自己収入を拡大していくような観点から、規制緩和に基づきます自己収入の拡大、あるいは外部資金獲得へのインセンティブの付与に関しまして今後検討し、方向性を出していきたいという点が含まれているところでございます。
  4点目といたしまして、未来の産業・社会を支えるフロンティア形成ということでございまして、現在省内で検討を進めております特定研究大学の創設、それから卓越大学院の形成、また、卓越研究員の受入れに関しましても、検討の状況を見ながらこの経営力戦略の中にその内容につきまして必要なものを盛り込んでいきたいと考えているところでございます。
  また、一番下、オレンジ色のところでございますが、これらを進めるに当たりまして、大学改革と競争的研究費改革の一体的な改革についても触れさせていただいているところでございますが、この点につきましては後ほど御説明をさせていただきたいと思っております。
  併せまして、5月21日、資料2-2でございますけれども、産業競争力会議の新陳代謝・イノベーションワーキンググループで説明をした資料でございます。内容につきましては、今御説明した内容とほぼ同一でございますが、5ページと6ページを御覧ください。特定研究大学に関しまして、若干5月21日の資料で少し記述を増やしているところでございまして、特定研究大学につきましては、世界の有力大学が国内外の優秀な教員や研究者を招聘(しょうへい)し、また優秀な学生を惹きつけ、高い自律性と教育研究の最高水準を維持する力を持っているというような観点、これは公的な資金のみに頼らない豊富な資金力と高いマネジメント力に裏付けられているというようなことから、日本の国立大学におきましても、改革と併せまして、世界の有力大学と互角に渡り合うことができるようなリソースと経営力のあるような国立大学の形成を進める観点から検討を進めてまいりたいということでございます。
  現在考えられる検討事項は、真ん中の四角でございますけれども、大きく4点考えているところでございまして、一つ目は世界トップレベルの教育研究の自律的な展開でございまして、優秀な教員や学生を惹きつけるような環境整備、例えば業績に基づくような人事給与、あるいは研究環境や奨学金など経済的支援の充実など、また、組織編制の柔軟化、定員管理の自由度の拡大といった規制緩和事項も検討事項として考えられるのではないかというところでございます。
  また、二つ目の規制緩和等による財務基盤の強化でございますが、ここは現在国立大学が有しております資産運用の自由度の拡大でございますとか、収益を伴う事業の自由度の拡大、また、民間との共同研究や委託研究の拡大などに関しまして、必要な規制緩和などが行えないかというのが検討事項でございます。
  三つ目といたしまして、こうした学内のリソースマネジメントの確立をどうするかという点でございます。学内にどういったリソースがあるのかということをしっかり把握・分析するとともに、マネジメント戦略に基づきまして学内の資源配分や組織見直しをしっかり行っていくような方向性を検討するということでございます。
  四つ目に評価という点がございますけれども、世界水準、国際的なスタンダードに合ったベンチマークや目標設定、厳格な評価システムの確立などの検討を進めていくということでございます。
  こうした検討事項に関しまして、今後有識者会議を改めて設置いたしまして、年内までに結論を得て必要な整備を行いたいと考えているところでございまして、こうした内容につきまして、5月の産業競争力会議で御説明を申し上げたということでございます。
  以上でございます。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  それでは、今の説明につきまして、御質問、御意見を頂きたいと思います。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。
  何か、御質問等ございますか。
  北山委員、お願いします。
【北山委員】    ありがとうございます。
  先ほど御説明のあった5月21日の産業競争力会議新陳代謝・イノベーションワーキンググループについてですが、今日は、橋本先生はいらっしゃいますでしょうか。
【橋本委員】    はい。
【北山委員】    すみません。私はその日は欠席させていただいたのですが、後から聞いたところ、その日に橋本先生から、三つの重点支援の枠組みについて、枠組みごとの具体的な評価指標や、評価手法などについて夏までに公表するといった趣旨のペーパーの提出があったそうです。出席委員からは、夏までと言わず、早めに示してほしいという御意見もあったと聞いています。
  また、先週、私が委員長を務めております国立大学法人評価委員会の総会があったのですが、そこでも、枠組みを選ぶタイミング等について複数の委員から質問が出ていました。各国立大学は第3期中期目標・中期計画の6月末の素案提出に向けていろいろと作業をしておられるところだと思いますが、この三つの重点支援の枠組みのどこに軸足を置くかという選択は、当然、その中期目標・中期計画に大きく関係します。
  したがって、各大学は現在進行形でいろいろと話が進んでいる中で計画を作っていかなければいけないという状況にあります。当然、文部科学省は、各大学と継続的に対話をされていると思いますが、今、大学はそういった作業に入っておられて、素案に関しては最終の時期に差し掛かっているところかと思いますので、大学にとって無理のないスケジュールとすべく、引き続き御努力をお願いしたいと思います。
【須藤座長】    橋本委員、何か追加でございますか。
【橋本委員】    いえ。私の方からは特にありません。
【須藤座長】    文部科学省の方からただいまの意見に関しまして、何かございますか。
【事務局】    はい。今、全体の状況という形を簡単に整理して御説明いたしますと、中期目標・中期計画を策定するに当たって、各国立大学の組織業務見直しの全般的な内容につきまして、大臣通知を出すことにしておりますが、北山委員から御説明がありましたとおり、先週の国立大学評価委員会の総会で御意見を頂きましたので、それを踏まえまして速やかに通知を出したいと考えているところでございます。
  これを踏まえ、各大学が中期目標・中期計画の策定を行いまして、素案を6月末までに提出していただく予定にしております。これが今後6年間の全体的な各大学のビジョンになるわけでございますので、そのビジョンの中から、予算的にどういったところにウエートを置いて重点支援を受けていくのかということに関して、予算の概算要求に向けまして各大学が作業していただくという形になると思っております。
  確かに、今、私どもも制度設計をしながら各大学に情報提供を順次行っているところでございますけれども、中期目標・中期計画の素案の検討状況と併せまして、概算要求につきましても、今回この検討会での審議まとめを踏まえまして、速やかに作業の依頼を行っていきたいと考えているところでございます。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  そのほか、何かございますか。
  小林委員、お願いします。
【小林委員】    すみません。少し確認したいのですけれども。この特定研究大学ということで出てきたのと、今までの三つに分けるという話は全く別の問題と考えてよろしいのでしょうか。というのは、例えば前も重点支援の2というので、特定という言い方を以前はされていたと思うので少し分かりにくいですね。ここで書いてある特定研究大学というのは、むしろ重点支援の1に近いような内容がかなり含まれていると思いますが、三つの重点支援の話と特定研究大学というのは全く別で、例えば重点支援の2に入ったから特定研究大学になるとか、そういう話ではないということですね。確認です。
【須藤座長】    お願いします。
【事務局】    特定研究大学の方は今後の検討状況によるということになると思いますけれども、基本的には今回の三つの重点支援の枠組みとは別のものと考えているところでございます。
【須藤座長】    よろしいでしょうか。
【小林委員】    はい。
【須藤座長】    そのほか、ございますか。
  また、後ほど全体の議論の場を設けたいと思いますので、次に移りたいと思います。
  続きまして、競争的研究費改革の検討状況につきまして、これも事務局から説明をお願いいたします。
【事務局】    それでは、説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
  参考資料3の1枚目ですが、検討会の設置について書いております。名古屋大学の前総長の濵口先生に座長をお願いしておりまして、この検討会から上山委員と橋本委員にも御参画をいただいて議論をしているところでございます。これまでに6回検討をしておりまして、まだ中間報告のようなものはまとめておりませんので、これまでの中途段階の検討状況ということで次ページ以降で御紹介をさせていただきたいと思います。
  めくっていただきまして2ページ目です。まず、改革の必要性といたしまして、イノベーションの実現ということを考えたときに、競争的研究費としてどういう改革をしなければいけないかということで、まず必要性について検討しております。
  一つ目が融合性、国際性などの現代的要請への対応ということです。こちらの議論は学術分科会において主に議論をしてきたことではございますが、知のフロンティアが拡大していくという中で、これまでの既存の縦割りの分野であるとか組織であるとか、そういったものではなかなか対応がし切れないということで、分野・組織を越えた総合力の発揮が必要であって、なおかつ若手が挑戦できる環境の整備が必要であるということが一つ目です。
  二つ目が、産学連携の本格化ということですが、やはり大学が社会の中の位置付けということを考えていく上では、産業界の要請に応えて研究活動をしていくということも必要であろうということで、そのための研究活動を拡充することに伴う研究基盤の整備をしていかなければいけないという話です。
  三つ目が、研究基盤の持続性の確保というもので、若手研究者や技術支援者、それから研究設備、研究機器などの研究基盤が確保されて、より良質な研究成果が持続的に供給される体制の整備が必要と。一過性のものではなくて、ずっとその大学等においてすぐれた研究成果が生み出されていくシステムというのを作るということを考えなければいけないということです。
  四つ目が、研究時間の確保など研究環境の向上ということで、現在大学等の研究者が研究に割ける時間が少なくなっているという指摘がございまして、こうしたことが研究成果を上げていくということを考えた上ではよろしいことではないので、研究を進める上で対応すべき課題というのをしっかり大学側で対応できるように我々としても支援をしていくことが必要ではないかということです。
  こうした必要性を踏まえまして、まずに我々が検討しておりますのは、間接経費の措置というのをしっかりしていかなければいけないということです。研究機関が組織的な取組を進めるという上において、間接経費を全ての競争的研究費に適切に措置をして、解決を図ってはどうかということです。
  ここにおいて、間接経費の特長といたしまして四つ挙げておりますが、一つ目が、研究機関がそれぞれの強みを生かす独自の取組が可能であるということで、間接経費については、直接経費とは違いましてかなり裁量を持って使えるということがございますので、研究機関側の基盤的な経費と併せて一体的に使うことで独自の取組をかなり拡充していくことができるということです。
  二つ目が、所属の研究者が外部資金を獲得すればするほど研究機関側の間接経費も増えるということで、所属の研究者と研究機関の協働に好循環をもたらすということが考えられるというものです。
  それから三つ目ですが、企業などステークホルダーとの組織的対話の本格化を通じて、社会ニーズに応える力を抜本的に強化していくことができるということが挙げられます。
  それから四つ目ですが、間接経費の活用に係る戦略や実績の公表を通じて、研究機関の取組の透明性向上等と組織改革を促すことができると。間接経費を戦略的に使っているということを対外的に示していくことによって、政府のみならず民間等から来る研究費についてもしっかり間接経費を付けていただく。そうすることで、研究機関の取組というのが企業から応えられるものにもなっていくし、社会から望まれるものになっていくと。そういう組織改革を促していく効果があるのではないか、そういうことです。
  こうした間接経費の拡充の方向性に対して、具体的な措置として書いてあるのが一番下の(3)のところですが、まずほとんどの競争的研究費というのは文部科学省で措置をしていることもありまして、まず文部科学省の中で具体的な方向性を検討すると。これをもって内閣府の総合科学技術・イノベーション会議に打ち込んで、政府全体としての方針を示していただくとともに、経団連等を通じて民間資金についても間接経費の措置の必要性を訴えていただくということをしていきたいと考えております。こうしたことを通じまして、シーズの創出力の強化であるとか、産学連携の本格化がなされて、最終的には非連続イノベーションも含めて研究成果の持続的な最大化が実現されるということを目指しております。
  3ページ目には、その他の議論として三つ大きな論点を挙げております。一つ目が、融合性・国際性などの現代的要請の対応ということですが、これまで科学研究費助成事業、いわゆる科研費であるとか戦略的創造研究推進事業において、分野融合的研究でありますとか国際共同研究の推進に向けた取組をしておりますが、更にこれを加速していきたいと考えております。例えば、科学研究費助成事業におきましては、今年度から国際共同研究加速基金という形で基金化をいたしまして、下に書いてありますけれども、いわゆるアワードイヤーギャップと言われていますけれども、国によって会計年度が違いますので、研究費の出るタイミングが異なるということで、なかなか一緒に国際共同研究を始めづらいという問題がありますが、こういうのを解決していきたいと考えております。
  その他、ここには科学技術振興機構であるとか、WPI拠点における取組というのがありますが、例えば科学技術振興機構におきましては、戦略的国際共同研究事業という国際共同研究を支援する仕組みがありまして、こういったものを競争的研究費制度と連携をして、いい成果が出たものについては国際共同研究に広げていくといった取組をしておりますし、例えばWPI拠点と書いておりますが、例えば東北大学の取組ですが、海外の大学等と共同研究契約を結ぶ際に、知的財産の取扱いでありますとか守秘義務の取扱いでありますとか、かなり専門的な事項について契約内容を詰める必要があるのですが、これがなかなか従来の事務局では対応し切れないということがありまして、そういった専門人材を支援するといったことをやっております。こうした好事例を推奨していくことで、ますます国際共同研究であるとか分野融合研究を支援していきたいということを考えております。
  二つ目が、研究情報や研究成果の可視化、事業間の府省を超えたシームレスな連携です。ファンディング機関同士の連携でありますとか、データベースを活用した研究情報・研究成果の一層の可視化・共有等によって、多様性のある学術研究・基礎研究からイノベーションの種を見いだして実用化に向けて育てる仕組みと、研究者へのシームレスな支援の方策の構築が必要であると指摘されております。具体的には、科研費で研究者の自由な発想によって優れた成果が得られた場合、それを国として戦略的に育てるということで、科学研究費助成事業と戦略的創造研究推進事業の間では、ファンディングマネジメントデータベース、FMDBというのを整備いたしまして、科研費の中で優れた成果というのがどういったものがあって、それが今度どうやって発展していったらいいのかというのを、そのデータベースを通じて日本学術振興会と科学技術振興機構の間で情報を共有いたしまして、優れたものにしっかりつないでいくと。研究者の方については、シームレスに研究支援が受けられるようにしていくという取組を進めていますが、これを科研費と戦略的創造研究推進事業の間だけではなくて、もう少し広げていけないかということを考えております。
  具体的には、そういった意味で政策的な趣旨、目的による研究費マップというのが作成できればと考えておりまして、これによって研究者から見たとき、それから研究機関から見たとき、自分の研究のフェーズが今どこにあるのでどういった研究支援が受けられるのかというのが可視化されると。これによってシームレスな支援が実現できるのではないかということを考えております。加えて、過度な集中も問題になることがございますが、これの排除にも資するのではないかと考えております。
  三つ目が、設備・機器の共用促進というものです。現在、競争的研究費の直接経費でDNAシーケンサーとか研究設備や機器を買うことができますが、1マシンタイムと呼んでおりますが、必ずしも設備が100%ずっと使われているわけではないというような現状もありまして、仮に空いている時間があるのであれば、ほかの研究者の方に貸していただくことで、より効率的な活用ができるのではないか。また、そうやって外の方に貸すことによって新たな研究交流が生まれたり、産業界の方にも共用することによって新たな産学連携が生まれたりするといった好循環が生まれるということも考えられますので、そういったことを一層促進していくことが必要ではないかというものです。特に、直接経費で研究機器を購入する場合に、複数の研究費で合算しようという形で、複数の研究室で合同で買うとか、一つの研究室で買うのだけれども、空いている時間はほかの研究室にも使わせてあげるといったことを考えたときに、この共用する機器の設備維持費、あるいは技術支援員の方の人件費については、間接経費というのを戦略的に活用していただくことで、その共用の高度化がより図られるということがございますので、こういったことも間接経費の使用の目的として、政府として推奨していきたいというような議論をしております。
  その他、若手の研究者育成の観点から、例えば研究費の直接経費の中から研究代表者の方の人件費を支出する方向性について議論をすることになっておりますが、こちらについてはまだ議論が終わってございませんので、今回はそういうことを検討しているということだけ御報告をさせていただきます。
  残りの2ページは参考ということですので割愛をさせていただきます。以上です。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、お願いいたします。
  何かございませんか。
  ここで議論していることとかなり密接に関わってまいりますので、少し意見交換をしたいと思うのですけれども、この委員会に出られています橋本委員と上山委員、何か一言ずつお願いします。
【橋本委員】    内容は今御説明いただいたとおりですけれども、最初からここで申し上げていましたが、この運営費交付金の改革と競争的資金改革を一体的にやっていただきたいという希望をずっと出しております。いろいろ考えていただいているところで、これからなのだと思いますが、是非進めていただきたいと思いますし、ここの委員会でもいろいろな意見を出して進めていければいいのではないかと思います。お願いいたします。
【須藤座長】    上山委員、お願いします。
【上山委員】    ここで割と比較的大きなトピックになっているのは間接経費の問題なのですが、この大学改革に掛かってからデュアルサポートという話が随分出てきて、運営費交付金と競争的資金と二つのサポートの仕方ですけれども。その仕組みの中にぽこっと抜けている、つまり研究者の研究時間とか研究環境をよくしていく資金という捉え方がなかなかできない。それは、ある意味では間接経費的なものでサポートできるのではないかなということから、割と焦点として上がってきていると。それから、デュアルサポートをより円滑に、研究者の環境をよくしていくものとしての間接経費という議論は、割と重点的に議論をいたしました。
【須藤座長】    ほかの委員の方、何かございますか。
【海部委員】    よろしいですか。
【須藤座長】    海部委員、お願いします。
【海部委員】    今おっしゃった間接経費というのは非常に重要な部分と思うのですけれども、そういうことも若干ここに書いてあるようではありますが、つまり、その種の間接経費の資源というものを増やしていくという議論が具体的になされているのでしょうか。
【須藤座長】    これはまず事務局の方からお答えいただいた方がいいかと。
  よろしいですか。
【事務局】    具体に間接経費の財源というのをどこから持ってくるかという話は、さすがにこの検討会ではしておりませんが、直接経費と間接経費があったときに、総額が変わらない中で間接経費を増やすことで直接経費が減るという事態がいいかどうかという御議論は1回していただいたことがございます。最終的には、そういうこともあり得るかもしれないけれども、もともと間接経費の必要性が高まってきたという状況があるので、やはりそこは外付けでできるだけ頑張るべきではないかと。総額を増やした上で、その増やした分を間接経費に充てるべきではないかという議論が趨勢(すうせい)でございました。
【海部委員】    よろしいでしょうか。
【須藤座長】    どうぞ。
【海部委員】    これは、全てのことに言えるのですが、新しい政策にはそのための予算というものが付きものであると、私は常にそう思うのです。しかしながら、日本では少なくとも大学教育改革に関する限り、予算の裏付けのない改革ということをずっとやられてきたのではないかと思います。私は、例えば財界にしましてもイノベーションが重要だから大学も協力しろと、それはそれで分かりますが、それであれば財界は応分の協力をするべきであると思います。大学に対して要求するだけでお金は増えないんだよと、こっちからこっちへ付け替えるんだよというので、どうして大学に元気が出るのか。私は基本的にこの種の改革をするためにはそれに必要な予算というものをどうするかということを一緒に考えていただきたいと思います。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  上山委員、お願いします。
【上山委員】    間接経費というのは、今のところ一部のものしか付いていないわけですけれども、これが果たしてここの委員会でなされている提言がそのまま現実化するか、マテリアライズするかどうかというのは分かりませんけれども、議論の方向性は全ての競争的資金に関して間接経費を原則30%として付ける。それは民間の資金も同じであるという議論は一応コンセンサスを得ております。したがって、もしそれが現実化すれば、海部先生がおっしゃるような、総額としては伸びていく可能性がある、ただ、そこの委員会がそのようなことを結論出したとしても、果たしてなるかどうか分かりませんけれども、そうではならないというフィロソフィーはある程度貫かれているという気がいたします。
【須藤座長】    ほかにございますか。
  先ほどの、海部委員の話にも関連するのですけれども、私も経団連で産業技術委員会の企画部会長というのをやっておりまして、この辺の議論は非常に興味がありまして。産業界としても何か対応するだろうと考えているのですけれども、今は文部科学省の資金を議論しているのですが、この話題はいずれ来ますよね。経団連なりに話が行くと思いますが、その辺の時間的なイメージがつかめません。これを6月10日に中間取りまとめをした段階で一気にそこまで話が進んでくるのか、その辺の時間的な感覚はありますか。
【事務局】    文部科学省としての検討は、6月の早い段階でまとめたいと思っておりますが、早い段階でまとめる趣旨は、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議に文部科学省としての考えをしっかりお伝えをして、やはり政府全体の方針は総合科学技術・イノベーション会議で決めるということになりますので、そちらで決めていただくと。さらに、民間等に呼びかける上においても、やはり文部科学省からではなくて、政府全体の方針として総合科学技術・イノベーション会議の方から呼びかけていただくということを検討しております。そういったことでいきますと、いつ総合科学技術・イノベーション会議から行くのかという話になりますが、今の予定だと6月の末であるとか7月の初めぐらいに、成長戦略とかもろもろの政府の文書が出てくると言われておりますので、そのぐらいのタイミングでまず話が行くのではないか。で、年末にかけて、よくよく産業界を含めて外部のステークホルダーの方とお話をさせていただくのだろうと考えております。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  北山委員、お願いします。
【北山委員】    私は民間企業出身とはいえ金融機関の人間ですので、間接経費に関する議論については、それほど詳しくはないのですが、私が知っている限りのことで少し質問させていただきます。
  去年の12月頃の時点の調査だったと思いますが、文部科学省の附属機関が、企業と大学の共同研究が進んでいない理由について、企業側にアンケートをとった結果を公表していました。それを見てみると、日本の大学の課題として、アメリカなどの海外の大学と比べて相対的に多くの企業が挙げたのが、「企業から見て実用化につながる研究成果が少ない」とか、「時間が掛かり過ぎる」といった項目でした。
  費用が高すぎるという意見は、海外の大学に対しての方が多かったと記憶しています。
もちろん、これはアンケートですから一般論に置き換えているわけですし、個々の具体的なプロジェクトでは違う切り口もあるとは思いますが産学協働をもっと進めていこうという中では、こうした企業側の問題意識やニーズについてもしっかりと議論されておられるのでしょうか。
【事務局】    産学連携の在り方自体については、科学技術・学術審議会の中に産業連携・地域支援部会というのが置かれてございまして、そちらで主に本格的な産学共同研究はどうあるべきかといった議論をしております。こちらの方では、そこでの議論を踏まえて、やはり産業界の要請というのがあって、現在の大学の組織というのは必ずしもそれに応えられる形にはなっていないのではないか。ただ、そのために組織改革が必要で、そのための財源の一つとして間接経費を戦略的に活用していただくという道があるのではないかといった議論をしていただいています。
【須藤座長】    よろしいですか。
  そのほか、ございますか。
  この後、説明していただく審議のまとめと、その後で議論の時間がありますし、そこを一度説明していただいてからもう一度全体の議論をしたいと思います。
  それでは、事務局から審議のまとめにつきまして説明をお願いします。
【事務局】    お手元資料の1を御用意いただければと思います。
  4月8日にまとめました中間まとめから、ただいま御説明いたしました参考資料などによりますその後の状況の変化などを踏まえまして、何点か修正をしたいということで事務局の案として御提示をさせていただいているところでございます。
  資料1をおめくりいただきまして、まず5ページでございます。中央あたりでございますけれども、国立大学法人の今後の方向性、基本的な考え方でございますけれども、ただいま御説明いたしました競争的研究費などの議論などもございますし、今後経営力戦略などの策定なども併せまして、修正点のところでございますけれども、学内の財務構造、それから経費の使途、あるいは人的資源の把握と分析といったことをしっかり国立大学としても取り組んでいただくということにつきまして、若干の修正を加えさせていただきたいと考えております。
  それから、おめくりいただきまして6ページでございます。一番上のところでございますけれども、この修正につきましては、参考資料の4を御覧いただければと思います。理工系人材育成戦略に関しまして、3月13日に公表させていただいております。国立大学法人の中で理工系が非常に重要な役割を果たしているわけでございますけれども、今後理工系の人材育成に関しまして、2020年度末までに集中して進めるべき方向性と重点項目を整理させていただいているところでございますが、こちらの概要を見ていただきますと、今後理工系人材に期待される四つの活躍の分野ということで、新しい価値の創造及び技術革新、それから起業、新規事業化、産業基盤を支える技術の維持発展、それから第三次産業を含む多様な業界での力量発揮ということが示されているところでございます。この中で、詳細は省略させていただきますけれども、例えば学生、若手研究者などの育成、あるいは女性の理工系分野への進出の推進などが盛り込まれているわけでございまして、こうした点は既に中間まとめの中でも記載をさせていただいているところでございますけれども、今回のこの戦略の中で一点、企業などを今後起こしていきますベンチャーマインドを持った人材育成に関しましての記述が若干不足しているのではないかということで、この6ページの冒頭に記述を加えさせていただきたいと考えております。
  読ませていただきますと、「このような、多様な人材の受入れとともに、失敗を恐れず新たな事柄にも果敢に挑戦する人材の育成が重要であり、課題発見や課題解決能力、イノベーションの実現等につながる起業や新規ビジネスに挑戦するベンチャーマインドを持った起業家等、事業創造の核となる人材を育成することを意識した教育を進めることも重要な視点であり、将来的には大学の教育の成果としてこのような点を重視していくことが必要である」という点を加えさせていただければと考えているところでございます。
  また、同じ6ページの中央でございます。ここは大学間のネットワーク、あるいは共同利用・共同研究の推進のパラグラフでございますけれども、先ほど御説明しました産業競争力会議への御説明の資料の中で、こうしたネットワークの連携・連合の推進ということがございますけれども、大学間だけではなくて、専門分野間でのそうした取組に関しましても御説明したところでございますので、そうした点を加えさせていただければと考えているところでございます。
  それから、飛びまして16ページでございます。7ポツの財源の多元化や自律的な運営を図るための今後の検討課題の部分でございますけれども、先ほど御説明いたしました、今後策定いたします国立大学経営力戦略の内容と平仄(ひょうそく)を合わせるような形でございますけれども、今後財源の多元化に関しまして検討を加えることとしております。例えば、土地、建物その他の保有資産を活用した収益を伴う事業の可能な範囲の明確化、あるいは、民間との共同研究の拡大等によります民間資金獲得のためのマネジメント強化といった点につきまして、今後の検討が望まれるということで、この部分に関しまして経営力戦略との関係で追記をさせていただいているところでございます。
  また、17ページ、(3)の特定研究大学についてでございますけれども、こちらも先ほど御説明いたしましたとおり、今後別途有識者会議を設置いたしまして検討を進めることを文部科学省から御説明しておりますので、そうした点を修正させていただいたところでございます。
  また、最後、8.おわりにというところでございますが、こちらも今後国立大学経営力戦略をまとめることになっているわけでございますけれども、本検討会でのこの審議まとめの内容をしっかり踏まえた形で策定することが望まれるということで、「また」以下、「文部科学省においては、新たな経済社会を展望した大胆な発想の転換の下、学問の進展やイノベーション創出に最大限貢献する組織へと自ら転換する国立大学を実現するため『国立大学経営力戦略』を今夏までに策定することとされているが、当該戦略は、この審議まとめを踏まえて策定することが望まれる」という部分を追記してはどうかと考えているところでございます。
  本日の資料では、修正点としては以上でございますが、1点、15ページに戻りまして、(3)の第3期中期目標・中期計画との関係について、先ほど北山委員からも御指摘があった点でございますが、今後文部科学大臣の通知を発出することになりますので、そうした点を踏まえまして、今後若干時点修正があり得るということと、それから16ページの6ポツの競争的研究費との一体改革につきましても、先ほど御説明がありました競争的研究費改革に関する検討会の検討状況も併せまして、必要に応じて修正を加える可能性があることだけ御紹介させていただければと思っております。
  修正点につきましては、以上でございます。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  ただいまの説明につきまして、御質疑、御討論、お願いします。
  この前に議論しました競争的資金、あるいは大学改革とも関連してきますので、全てまとめてこの場で議論したいと思います。
  何かございますか。
  山本委員、お願いします。
【山本(廣)委員】    特に御発言がないようですので。
  今回、新たに追加された6ページと17ページのところですけれども、このあたりが何となく産業とか経済とかこういったようなことが強く書き込まれたような気がいたします。
  それで、特に6ページの一番上の部分のところですが、こういった事業創造の核となるような人材育成というのはこれは十分意識していかないといけないことなのですが、最後の文章の、「将来的には大学の教育の成果としてこのような点を重視していくことが必要である」という書きぶりなのですね。これは将来的に大学の教育研究というのがこういうところを非常に重視していくんだということでよろしいのでしょうかというふうに私は感じました。
  じゃあ、具体的にどう書けという話になりますと、その上の行の、「意識した教育を進めることも重要な視点である」というところで止めるのではないだろうかと思います。こういう視点は大変重要ですが、いわゆる人文科学、社会科学、こういったようなところも踏まえて、こういった非常にバランスのとれたといいますか、そういうふうなことの多様な領域を持っているということが国立大学の非常に大きな強みではないか。したがって、ここを重点的にやっていくのだというふうな書きぶりにしてしまうのはどうかと感じます。
  それから、17ページの「おわりに」のところの赤字の部分です。冒頭のところですが、「新たな経済社会を展望した大胆な発想の転換の下」と、経済社会という言葉を使われているのですが、これまで文部科学省では知識基盤社会であるとか、あるいは成熟社会であるとかいろんな答申の中でこういった言葉をずっと使われてきていて、経済社会という言い方というのは、冒頭の丹羽副大臣の中にも経済社会ということはございましたけれども、私はちょっと違和感を覚えます。
  そういう意味では、人口はずっと減ってくる、若者が減ってくる。そういう中でいつまでも経済経済ということだけでいいのかというようなことを含めて、やはり知識基盤社会とか、そういったような言葉の方が妥当ではないかなと感じるところです。以上です。
【須藤座長】    ありがとうございました。非常に重要な御指摘だと思います。
  少し今の山本委員の御発言で皆さんの意見をお聞きしたいところですけれども、6ページの書き方、あるいは最後のまとめのところの書き方、「おわりに」ですね、の書き方につきまして何か御意見はありますか。
【海部委員】    よろしければ。
【須藤座長】    はい。海部委員、お願いします。
【海部委員】    実は、私、非常に似た印象を持っておりました。言葉としては違う言葉で考えていましたが。イノベーションもベンチャーも結構です。やらなきゃいけないことですからやるのはいいのですが、このことを強調する余り、あるいは当面の日本の経済という、そこに非常に重点が行ってしまっている余りに、本来大学なり学問なり教育なりというものが目指すべき非常に長期的な視点であるとか、国際的な視点であるとか、そういう非常に本質的なところが何か全体に少し感じられないという印象を私も持っております。ただ、ここまで来たものに対してどう言えばいいのかというのは難しいですけれども、少なくとも今山本委員が言われましたようなことは私も同じで、新たに加わった文章が全てそういう方向に行っているということについては、私も違和感というよりは心配を感じる。やはり大学をどういう方向に持っていくのかという非常に基本的な部分が何かかすんでしまっているのではないか。当面の、非常に短期的な目標だけが強調され過ぎていないかという、私も同じような心配をします。
  ですから、やはり大学の使命として、社会の未来を作るということですね。それから、日本全体として国際的な視点をより強めるということは、実は学問を強化し、イノベーションも含めてですが、そういう力を強化するためにはやはり国際的視点ということも非常に重要なのですが、私は何か所か本当は国際法を入れたいなというところが幾つか正直言うとあります。そういう点がなくて、何か非常に日本の社会の中に閉じたような印象が心配です。今日は細かいことまで申し上げることは難しいのですが、もし時間があればそういうことをもう少し考えて意見を申し上げたいと思います。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  この件で、ほかの委員の方でございますか。
  有川委員、お願いします。
【有川座長代理】    先ほど、山本委員がおっしゃった件ですけれども、5ページの下、2行のところで、知識基盤社会というのがありますね。基本的には、大学として、特に国立大学として大事なことはやっていくけれども、この全体の調子としましては、産業競争力会議を始めとして様々なところから言われていることに対しては、第3期ではちゃんと応えていきますよ、ということを一つ表現したのだと私自身は理解しています。
  それで、中期が代わるごとに前の中期6年間を反省し、その間の社会の変化にも対応しています、というメッセージを出しておく必要はあると思っております。国際化とかグローバル社会への対応といったことは当然ですが、当面言われていることに対してもちゃんとした取り組みをしていきましょうというメッセージかなと感じておりました。
  ただ、最後の6ページのところの表現については、繰り返しがあり、工夫の余地があると思います。
【須藤座長】    ありがとうございます。
  少し事務局にお聞きしたいのですけれども、今の点は確かにそういった観点で追加されているのですけれども、最初に山本委員が言われたような観点というのは、この文章の中できちんとどういうところに反映されているのか。有川委員の方から5ページの下の方に単語としては入っているという発言がありましたけれども、そういった観点もやはり大学の一つの使命なので、どこかに書かなきゃまずいのではないかという気がします。今、全部さっと見たところ、ほかに余り記述がないかなという気がします。事務局としては入れたというところはあるのですか。
【有川座長代理】    いろんなところ、例えば5ページの上から3分の1ぐらいのところにもありますけれども、「各国立大学の自主性・自律性を前提としつつ」というような表現がありまして、これはさりげなく書いてあるようですけれども、これは極めて大事なことですね。その辺を併せて考えていただかなきゃいけないと思います。
【須藤座長】    上山委員、お願いします。
【上山委員】    6ページの表現について、私も感じることを申し上げます。
  前々からこのベンチャーという言葉は非常に、何といいますか、中に込められている意味をきちんと把握して使わないと、実は非常に難しい言葉だと思っています。特に、ここの中で言うと、課題発見や課題解決能力を大学で学ばなければいけないのかという。それは非常に大学というものとは随分違うイメージがあります。例えば、ベンチャーって要するにそれは商売を始めるということですよね、簡単に言ってしまうと。資本主義社会が健全であればあるほど、実はいろんなところでそういうベンチャーというのは別に大学に関わりなく起こっているもので、つまり、Consumer  to  Consumerですよね、消費者・消費者の間のいろいろなスキームを考えて商売を始めるということは、課題発見をして課題解決しながら商売を始めるということなのですね。
  それも一つのベンチャーでしょうが、大学に関わるベンチャーというのは実はそういうものではなくて、新しいものが大学から生まれてくるということを基盤にし、普通の大学に行っていない人たちでは思い付かないような新しいベンチャー活動をしていくということが前提でなければならないと思います。そうしないと、大学に関するディシプリンはどんどんなくなっていってしまいますよね、それがなければ。ディシプリンを学ぶ、大学で学術を学ぶということとベンチャーは全く無関係だというイメージが出てしまうことは非常に大きな問題だと。実際のところ、Consumer  to  Consumerより、むしろBusiness  to  Businessみたいな、大きな新しい知識発見が行われ、それに基づくような新規の大学発ベンチャーというのが、実は本当に大きな経済的価値を生み出していくようなベンチャーの形で、それは大学というものの学術がやっぱり背景になければできないようなものであるはずなのですね。実際にアメリカで起こってきているものは、そういうものを我々の社会になくて、アメリカで起こっているのがそういうものだとすると、こういう書きぶりをすると、要するに商売さえ始めればいいという形になって、それが大学の一つの方向性なのだと言われると随分違ってしまうと。多分、大学の本来持っている学術的なものを失ってしまう可能性は大いにあるということだと思います。
  そういうConsumer  to  Consumerのビジネスとか、その類いの、例えば大学的に関わろうと思ったら、インターネットを使ってこっちにあるものとこっちをつないでビジネスをするなんていうのはとても、何といいますか、簡単なベンチャーで、これはほっといても誰かやるんですよ、別に大学が一生懸命やらなくたって。目先のある人はそれを使ってやるということは幾らでもあることなので。
  だとすると、本格的な大学発ベンチャーを引き起こしていくスキームはどこかということを考えないといけないとすると、ここで関わっているのは、書いておりました三つの枠組みに分けてまで、本格的な大学の新しい使命を考えていくという議論からすると、私からすると、先ほど申し上げた理論の話というのは随分矮小化(わいしょうか)されてしまったベンチャーになってしまう可能性があると思います。ベンチャーという言葉はかなり気を付けて使わなければいけないということだと思いますね。
【須藤座長】    参考資料4の12ページに文部科学省の資料だと思いますけれども、重点の6でその辺のことが書かれていると思いますが。この記述が今の上山委員の発言で正しいか正しくないかということだと思うのですが。一応専門知識、技術シーズというのが一番左に入っていて、その後でそれを踏まえた上で、こういったことをやらなきゃいけないと私は解釈しているのですけれども。その左側のもともとの大学発の専門知識、専門的なシーズというのがどれぐらいこの中に入っているかというところだと思います。
  橋本委員、お願いします。
【橋本委員】    先ほど幾つか御意見が出ていましたが、産業競争力会議で今回大学改革に対して文部科学省にイノベーションの視点からお願いしたいということで、それが一つの大きなドライバーにもなっているという背景があります。それだけじゃないのはもちろんですけれども、そういう経緯もあるため、有川委員やほかの委員もおっしゃいましたが、産業の方に対する解が見える、そういうような文章になっているということがあります。私もそういうことに対して正面からというかかなり応えていただいている文章になっているのではないかなと思っています。
  産業競争力会議という会議は、経済復興に向けたそういうミッションを持った会議ですので、そういうようなことを是非ともやってもらいたいという依頼を出しています。そうなのですが、私は大学の人間としてワーキンググループの主査を務めていて、先生方と全く同じ感覚でして、やはり大学の根本的な問題においてはイノベーションのことはワン・オブ・ゼムでしかないし、それを中心にいくようなことは大変よくないということは、私も全く同じに思っております。一方で、今これだけ大学に対して、産業の振興に関する社会からの期待が非常に大きいということも事実であります。更に今、大学の状況が財政基盤を含め極めて厳しい状況にあるということがあります。こういうような社会状況の中において、私自身は、大学がやはり社会的な要請にも応えていくということが、学問を守って、若い次の人たちを育て、そういうために必要ではないかなと思っています。
  我々、アカデミックにいる人間から見ますと、今のこの社会から求められていることを、大学改革の手段として使うという立場もすごく重要だと思っているのですね。学校を守るためにも今の社会的要請に対してしっかりと答えていく必要があるだろうと。そういう意味においては、戻って、今の赤いところが確かにそういうニュアンスが強く出ている部分はありますけれども、それぐらい踏み込んでいくということが重要じゃないかなと私は思っております。
  ただし、山本先生がおっしゃったように、6ページ目の最後の行は、「将来的には大学の教育の成果としてこのような点を重視していくことが必要である」とすると、そればかりに見えますので、少なくとも、「そういうような点も」とするのでしょうね。ワン・オブ・ゼムという形で。それは大変重要かなと思います。以上です。
【須藤座長】    はい、上山委員、お願いします。
【上山委員】    基本的に私はほとんど同じ世界を見ていると思います。つまり、私はなぜ産学連携をやらなければいけないのか、この類いのことを推進していかなければならないのかというところは、基礎研究の一番重要なアカデミアを守るためには必ず必要だということは基本的に思っています。でも、このベンチャーマインドを育てるようなことを東京大学でするのですか。最先端のところでやるところが、それはもう当たり前の環境としてあるべきで、わざわざその教育を掲げなければいけないのか、これは分からないですよ。つまり、基本的には先端の研究をやるところから出てきたものこそがこのベンチャーを生み出すというストーリーでなければならないと思います。僕は前も橋本先生には個人的にも申し上げているけれども、その類いで劣化していくアカデミアが実はあるんですよね。これを推進していくことこそがアカデミアを守ることにあることは間違いないですけれども、本格的なベンチャーというのは、それはもう大学の先端のところしか出てこないんですよ。それを推進していくことがベンチャーになるというストーリーしかない。そのための方法を教えるなどということは、先端の大学がやるべきことだとは僕は思わないですね。
【須藤座長】    有川委員、お願いします。
【有川座長代理】    今おっしゃったことは非常に大事なことだと思います。こういうふうにして、具体的に書けば書くほど、「劣化」という言葉を使われましたけれども、まさにそうなっていくと思います。これは大学自身が、さっきも触れましたけれども、自主的・自律的にやっていかなきゃいけないわけでして、ですから、これが常につらいところなのですね。具体的に言えば言うほど、単にそれだけ、あるいは「それだけ」にも至らずにその手前で終わってしまう。そういったことになって、全体としては「劣化」してしまう。こういったことがいろいろなところで見られるようになっているのではないかという気がします。
  ただし、一方でこの財政的に大変な状況の中で言われているわけですから、それに関してはちゃんと書いて、やっていますよというメッセージは出しておかなければならないだろうと思います。
【須藤座長】    橋本委員、お願いします。
【橋本委員】    上山委員が言われたことは、私も全く同じ気持ちですね。ですが、じゃあどういうふうにこれを書けばいいでしょうか。このままでは確かに先生が心配されるようなことになるのかも分かりません。だけれども、一方で、今までやはり我が国の大学において、その超一流の最先端の研究者がそういうベンチャー的なことに対して積極的に考えるというか、前向きに考えるマインドがなかった、少なかったのは事実ですよね。
【上山委員】    そうです。
【橋本委員】    そこの部分をやはり強化するというか、そういう人たちがどんどん現れてくるような雰囲気作りというのは極めて重要なので、そういうことが分かるような文章は必要だと思うのですね。
【上山委員】    そうなのです。
【須藤座長】    ほかにございますか。
  お願いします。
【山本(眞)委員】    今の話とは別ですけれども。これまでの中期計画では、東京大学から下は小樽商科大学まで全く一律のルールの下で資金配分されて、その中で競争せよという話でしたが、この第3期中では一応三つの枠組みに分けて、その中で例えば地方活性化の大学であれば、その中で競争しなさいということですけれども。ただ、やっぱり例えば地方大学でも地方の単科大学もあれば地方の総合大学もありますし、それから規模も大規模な地方大学もあれば小規模な地方大学もあります。そういう意味で、最後に17ページに新しい言葉で、新しいというか、国立大学経営力戦略というのを策定するということがありますけれども、やはり総合大学、単科大学、あるいは大規模大学、小規模大学で当然とるべき戦略というのは違ってくるわけですね。ニッチを狙うのか、あるいは総合力を狙うのか、いろいろとるべき経営力戦略は変わってきますので、この面について一律に、国立大学の経営力戦略という形でまとめるということはできないのではないか。それはやっぱりそれぞれの自分の立つ位置、まさにSWOTを考えた上で、各大学が戦略を考えるべきだと思います。今まで、第1期中、第2期中よりは少し細分化されましたけれども、特にこの経営力戦略については、もう少し各大学のポジションというものを考えた上でまとめてほしいなと思います。以上です。
【須藤座長】    分かりました。
  ほかにございますか。
  海部委員、お願いします。
【海部委員】    少し関連もするのですが。17ページに特定研究大学の話がここに書かれているわけです。私は不勉強で特定研究大学というのは一体何を目指しているのかよく分からないのですが、果たしてこういうものを新たに作るということが、一つには何を目的にするかということがあります。特定研究大学ですから、世界的な研究をやろうというふうにも聞こえるし、企業の要求に応えるような開発をやるのだろうというふうにも思える。こういうことを作るということは、実は文部科学省では今まで何度か試みられてきたわけですね。幾つかの、例えば大学院大学とか、ものつくり大学とかいろいろなものが生まれてきたと。そういう大学を新たに作ったという過去の政策について、どのような検討をされた上でこれは出てきているのかという点が、私はちょっと不安に思う点です。
  先ほどベンチャーの話がありましたが、ひところ大学がベンチャーをやれということで物すごく大学が一生懸命企業を作りましたね。あれはどうなったのか。基本的に言うと、私はほとんどうまくいってないという理解です。じゃあ、それはなぜだったのかということを抜きにしてベンチャーを更にやるんだということは言えるわけはないと思います。
  同様に、特定研究大学についても、私はしっかりした計画があり目的があり成算があるならこういうことをやるのは決して反対をするわけじゃないですが、過去の政策をどう踏まえた上でこれが出てきているのかということが明確にならない限り、私はこういうことをやるのはちょっと危ないとどうしても思えるのですが。その辺はいかがでしょうか。
【須藤座長】    ベンチャーとか特定研究大学となると、ここの議論からだんだん外れていくような気がします。
【海部委員】    いや、でもここに書いてあるので申し上げたのです。書いてなきゃいいのです。
【須藤座長】    事務局でこの件回答できるでしょうか。
【事務局】    特定研究大学について、まずお答え申し上げますと、本日の参考資料の2-2というところで、5月21日という日付のついた資料で、冒頭少し御説明させていただきました。参考資料の2-2の5ページにありますが、世界と互角に渡り合うようなリソースと経営力のある国立大学を形成していくということが必要ではないかということで、今後こういう観点で検討を進めようということで、今の時点できちっとした物の考え方とか、あるいは仕組みの具体なものがイメージされているわけではありません。今後、これはどこの大学でも必要なことだとは思うのですが、国内外の優秀な教員、研究者、それから優秀な学生が惹きつけられる、あるいは高い自律性を持って教育研究の最高水準を維持する力を持っているという海外の有力な大学と伍(ご)してやっていけるような大学を育てていく必要があるのではないかという問題意識に立ちまして、これから具体的な検討は進めていきたいと思っております。
  その際に、今海部委員がおっしゃったように、確かにスタートとして目的とか目標とか、あるいは過去やってきた施策の検証、あるいはそれとの整合性ということは十分考えていかなければいけないと思っております。今後の検討になりますけれども、そこはしっかり踏まえていきたいと思います。
【海部委員】    少なくとも、今の時点で私個人として申し上げれば、これを作るべきであるというふうに読める文章には賛成し難いということです。それだけの材料を持っておりません。
【須藤座長】    はい。今言われたのは、「検討を行うことが望まれる」とかそういったところが引っかかるということですね。
【海部委員】    そうですね。ちょっと前向き過ぎると思う。
【須藤座長】    「行われているようだ」とか書くのでしょうか。
【海部委員】    いや、書く必要があるのですか、これ。現在ある国立大学の運営費交付金の話をしているわけですよね。全く違う話じゃないかと思うのです。日本の国立大学の在り方全体を見直して、その研究の在り方を考えようということであればこういう議論が出てくるのは分かりますが、ここにこれが出てくるのは、私は正直言うと必要ないと思います。
【須藤座長】    その辺は次回までに検討したいと思います。確かに、大学改革全体の議論をする場ではありませんので。
  ほかにございますか。
  はい、お願いします。
【上山委員】    文言に関しては、まだ手を入れることができますよね、ここに関しては。
【事務局】    はい。
【須藤座長】    後で話が出てくると思いますけれども、もう一度15日に本検討会を開催しますので、そこまでに今日の御意見を反映して見直す予定です。
【上山委員】    私は、特定研究大学という名前かどうかは別として、先端のところの知識のアカデミアを伸ばしていくべきだという議論は極めて賛成いたします。それを特定研究大学の形でサポートすることについても、あり得ることだなと実は思っています。
  海部委員がおっしゃったみたいに、日本ってベンチャーがそういう学術から出てきて成功するのですかって、実は結構成功しています。かなり大きな成功例もある。ただ、それを本当であればもっと伸ばしていけるはずだったものが伸ばしていけないという現実もある。その意味で、そういうかなり先端的な科学研究をやっているところが、そこにもっとのめり込んでいけば大きな成果が出るだろうなというような感想も実は持っています。それをサポートすべきだとは思っています。
  ただ、言葉がまだうまく出てこないのですが、問題はどのような技術が出るか分からないという状況の下でそれをサポートするということが重要なので、ベンチャーをやります、ベンチャーでとにかく事業を起こしなさいよということをやると。それは本格的にチャレンジするような新しい技術、新しいものを出していく、つまり、我々には今分からない状態のものを作るところでの新しい技術、ビジネスですよね。それをサポートすることが本当は一番重要なのですよね。それが特定研究大学と呼ぶのかどうかよく分かりませんけれども、その大学はそういうことをやらなければいけないという。そのストーリーが何かこの中に余り出てきていない。とにかく、ベンチャーをやってその辺のものを集めてやりなさいみたいにとられたらよくないという話。しばしば大学の中でそういうふうにとられちゃいますから。とにかく、ビジネスをするための問題発見をしなさいよということを言っている、それは大学ということが関わるよりももっと大きなストーリーになるようなベンチャーに余りならないですよ。それがどこか出るような文言を是非入れてほしいなと私は思っています。
【海部委員】    すみません。
【須藤座長】    海部委員、お願いします。
【海部委員】    私は基本的に議論の流れとしてはほぼ同じベクトルと思うのですが、私はベンチャーということ自体、全然反対ではありません。かつて、戦前の理化学研究所は非常に優秀なベンチャー事業をやって、実際に世の中の役にいっぱい立ちました。そういう精神というのは私は科学者としては、これは大学を守るためというよりはやはり社会と結び付くという意味で科学をやっている以上、そういうものが社会と結び付くのであれば、積極的にそういう方向に行くべきであると思っております。ですから、その点は私は全く異論ないのですが。
  ただ、特定研究大学については、今まで議論してないのです。私は何も分からない。ですから、賛成のしようがないというのが一番申し上げたいことです。しっかりした内容を持って出てくれば、それは十分議論の対象になり得る可能性はあると思いますけれども、この検討会ではそういう議論はしてないのではないでしょうかということを申し上げたいだけです。
【須藤座長】    どうぞ。
【事務局】    確かに、特定研究大学についての議論をこの会でしていただいてはおりませんので、そこで賛成とか反対とかいうことはないと思うのですが、ここについては、この場ではなくて別途の検討の場を作って検討を行うということでございます。これまで、幾つかのいろいろ政府の取組の関係性を持たせるためにここに書かせていただいておりますが、別の場でやりますということを書かせていただいているということです。
【須藤座長】    今、いろいろと議論になっているところの全てがそういうところですよね。ベンチャーもさっきの資料の中で議論になっているので、一応ここにも入れておこうというので入ったのだと思います。余り議論してないところが、全体との整合性をとるために多分事務局の方で入れてきていますので、皆さん、初めて見て何だこれはというのが出ていますし、いろいろな意見が出てくると思いますので、この辺、もう一回少し整理して、ここで議論したこと、していないこと、あとは整合性をある程度とるのは仕方ないと思いますので、その書き方はもう一ひねりする必要があると思います。
【山本(眞)委員】    私自身まだ分かってないのですけれども、特定研究大学というのはこの重点支援の3の中に入るのでしょうか。
【須藤座長】    私も分かりません。
【山本(眞)委員】    2も1もあり得るということですか。例えば、1を選択した大学が特定研究大学。ちょっと分かりづらいような。先端とも言えないでしょうし。
【須藤座長】    ここで全然議論していませんし、別のあるところでは相当議論しているというのは私も聞いているのですけれども、何とも言えないですよね、全くこれは。
【事務局】    そういうことも含めて、別途の場でやらせていただきたいと思っております。
  ただ、運営費交付金の基本的な第3期の考え方は、今回まとめていただいている、今後、審議まとめになっていく、これを踏まえて考えていくわけですけれども、先ほど申し上げたのですが、特定研究大学はそれとは別に考えるということでございますので、この場で御議論いただいていないことでございます。
【山本(眞)委員】    はい。
【須藤座長】    ほかにございますか。
  小林委員、どうぞ。
【小林委員】    確かに、今日出てきたことというのは、初めて出てきたことが多いので、ここで今まで検討してこないことを急に言われてもどうしようもないというところがあるわけですが、逆に言いますと、今まで検討してきたことについてもう少しエビデンスを出す必要があるのではないかと思うのですね。というのは、最近の文部科学省の資料というのは大体後ろに参考資料がたくさんついていまして、例えば寄附金についてもいろいろ議論していただきましたし、今まで委員からもいろいろ資料を出しております。そういったものがないとやはり説得力のある議論にはならないのではないかと思いますので、中間まとめということで出されないというのはそれも一つの考え方だとは思いますけれども、やはり最終的にはこういった資料集を付けていただきたいというのが希望です。
【須藤座長】    はい。これはいかがでしょうか。
【事務局】    検討いたします。
【須藤座長】    机上にいろいろ資料はありますが、これ全部付けると大変なことになりますし。
【小林委員】    中間まとめじゃないそうですので、この後に、私の希望としてはエビデンスを付けていただきたいというのが希望です。
【事務局】    考えます。
【須藤座長】    可能な範囲で入れていきたいと思います。
  ほかにございますか。
【海部委員】    すみません、度々で恐縮ですが。これだけはちょっと申し上げたいと思ったことが一つ、細かいことです。
  8ページですね。大学共同利用機関に関する記述がありまして、私はこれ全体として大変うまく書いていただいていると思うのですが、この8ページの一番上の行ですね。「こうした法人内での改革の取組を進めつつ、法人外では競争的な環境を構築することにより、個性を際立たせ、特に」とあって。これは、「法人外では競争的な環境を構築することにより」というところの意味が分からない。つまり、法人同士は協力しないでいいという意味なのか、法人内では競争しないでいいという意味なのか。これ、競争的環境という言葉が、私は多分非常に不明確かつ危険だと思うのですね。競争さえすればいいというものでは決してないというのは、これは皆さん御存じのとおりですが、競争的な環境を構築するということをなぜここで言わなきゃいけないのかが正直言うと分からない。ですから、この「法人外では競争的な環境を構築することにより」とあるこの文章は、私は要らないのではないかと。いや、特に私の読み取れない重要な意味があるなら別ですが。私の印象は、これはない方がいい。「法人内での改革の取組を進めつつ、個性を際立たせ」というのでこれは十分ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
【須藤座長】    いかがでしょうか。
【事務局】    この文言自体を入れた趣旨をもう一度再整理させていただきたいと思います。
【海部委員】    はい、よろしく。
【須藤座長】    ありがとうございます。
  ほかにございますか。
  先ほど少し申し上げたのですけれども、もう一回15日に再度取りまとめて、議論をしていただこうと思いますので、それまでにまた御意見等ございましたら事務局の方にお願いします。今日の意見は参考にさせていただきたいと思います。
  これから取りまとめるのですけれども、橋本委員が言われたことを私が正しく理解したかどうか分からないのですが、やはりこういう審議をまとめるに当たっては、今までと何が変わったのかというところだけは少なくとも強調すべきだろうと思います。変わったところ、今までのやり方とこういうことを変えたのだ、変えるべきだというところはきちんと残したいという気がします。この書き方で誤解を招いちゃいけないと思うのですけれども、そこはある程度目立つように書きたいと思います。
  その目立つところは、委員の御指摘がありましたように、どうも産業界寄りになっているんじゃないかというような意見もありました。私も数少ない産業界ですので一言言わせていただきますと、大学との産学連携の必要性については我々も強く言っていることです。我々も変わるけれども大学もこうなってほしいということが書かれています。ただ、あくまでも、それは産学連携の件で我々が言っていることでありまして、大学全てじゃなくて、大学自身については産業界もしっかりと基礎基盤をやるべきだという提言をしっかりと出していますので、あくまでも産学連携という意味ではここに書いたようなことをやってほしい。
  それ以外に大学としてやるべきことというのは、もっともっといろいろな大きなミッションがありますので、そこはそこでやってほしいというのがあります。その辺の兼ね合いを考えながら少し追加するべきところは追加して、あるいは文章を直すところは直していきたいと思います。ただ、変わったところというのをある程度色を出したいなと思いますので、その辺は少し強調させていただきたいと思います。
  そういった考えで、あと2週間ぐらいありますので、取りまとめていきたいと思います。またその間に御意見がありましたら、言っていただければ参考にさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
  少し早いのですけれども、ここで終わってしまいますが、何か言い残したことはございますか。
【山本(廣)委員】    今、座長のおまとめになったようなことだろうと私も思います。よろしくお願いしたいと思います。
  最後に指標例というのが、幾つかそれぞれ評価指標の例が載っておりますけれども、これは文部科学省の方が大学に示して、というようなことをやっておりますよね。これは最後のまとめのときもこの例のままで、この文章はそのまま付くということで理解してよろしいですか。で、改めてそれぞれの三つの枠組みに沿った指標を来年度の要求に向けてその後提示されていくと、そういうことで考えてよろしいでしょうか。
【事務局】    今、山本委員から御指摘いただきました方向性で考えたいと思っています。この審議まとめといたしましては、この評価指標の例という形で残させていただいた上で、各大学にお示しする際には、この参考例も踏まえた上で、今度は各大学での戦略の内容というものも具体的に出てくることになりますので、そうしたことも踏まえつつ指標というものをより具体的に提示させていただきたいと考えているところでございます。
【山本(廣)委員】    ありがとうございました。
【須藤座長】    ほかによろしいでしょうか。
【山本(眞)委員】    ちょっといいですか。
【須藤座長】    はい、どうぞ。
【山本(眞)委員】    15ページですけれども、「学長の裁量による経費」、まだ仮称となってございますが、これはこの検討会では三つの枠組みとこの学長裁量経費を措置するというのが大きな目玉の一つだと思うのですけれども、一つ気になるのは、どの程度、今年確か5%措置されておりますけれども、どの程度それが続くのかどうかということと、それからこれは明らかにこの学長裁量経費という形で区分されて配分されるのか、それとも、一般の運営費交付金の中で、言ってみれば小さな大学ではもう1%ずつ削減されてもう固定費ばかりで、何というか、学長裁量経費なんていうのがもうなくなっている大学があると思うのですけれども、それでもこれを区分して措置するとすると、更にその分だけ一般経費を削らなきゃならないということにもなりかねませんので、その辺きちっと区分して措置するのか、あるいは何%ぐらいが目安なのか、もし教えていただければと思います。
【須藤座長】    恐らくまだ検討しているところだと思いますけれども。
  どうぞ、はい。
【事務局】    まず、第3期以降のこの経費の在り方に関しましては、このまとめに書かせていただいているとおりでございますので、今後具体的な部分は設計をするということになります。今年度の取組というのは、一部試行的に進めている部分がございますので、その取組の状況をまた各大学の方からもお聞きしながら、そうしたことも参考といたしまして、平成28年度の設計をしていきたいと考えております。そういうことから、今年度は5%が最低でそれ以上という形になっておりますけれども、それが実際に各大学でどれぐらいの財政的な状況になっているのか、あるいは実際上の効果としてどれぐらいのものが望めたのかどうかということも含めまして、一部そういったものも検証しながら考えていきたいというのが今の状況でございます。
  それから、区分の仕方につきましても、こうした点を踏まえて、平成27年度は一般経費の中に一部区分した形で作っておりますけれども、そうした形が適切かどうかということも併せて検証しながら考えていきたいと思っております。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  それでは、今日はかなりいろいろな意見が出て、活発な議論ができたと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、私が述べたような考え方、あるいは今日皆さんから出てきたような意見を踏まえまして、もう一度資料をまとめて、次回また議論していただいてまとめたいと思います。
  その辺の日程をお願いします。
【事務局】    ありがとうございました。今後の日程につきましては、資料2にございますとおり、6月15日月曜日、10時から文化庁特別会議室におきまして予定をしております。正式な開催案内はまた別途お送りさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。以上でございます。
【須藤座長】    それでは、今日はこれで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

――  了  ――

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