第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会(第7回) 議事録

1.日時

平成27年3月13日(金曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 中間まとめ(案)について
  2. 討議
  3. その他

4.出席者

委員

須藤座長、有川座長代理、上山委員、海部委員、北山委員、熊平委員、小林委員、橋本委員、日比谷委員、山本廣基委員、山本眞樹夫委員

文部科学省

丹羽文部科学副大臣、德久総括審議官、岩瀬政策評価審議官、吉田高等教育局長、義本大臣官房審議官(高等教育担当)、常盤研究振興局長、安藤大臣官房審議官(研究振興担当)、豊岡国立大学法人支援課長、木村学術機関課長、鈴木学術研究助成課長、吉田国立大学法人支援課企画官、瀬戸学術機関課学術研究調整官、三浦国立大学戦略室長、手島大学病院支援室長

5.議事録

【須藤座長】    それでは、所定の時刻となりましたので、第7回第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会を開催いたします。委員の皆様方には、御多忙にも関わらず、本検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
  本日は、本検討会の中間まとめとしまして、国立大学法人運営費交付金の在り方につきまして、御議論いただきたいと思います。
  また、本日は、公務御多忙の中、丹羽文部科学副大臣にお越しいただいております。議題に入ります前に、丹羽副大臣より一言いただきたいと思います。
  よろしくお願いいたします。
【丹羽文部科学副大臣】    改めまして、こんにちは。
  第3期の中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会におかれまして、委員の先生方、本当に御多忙の中、毎回毎回、御議論いただきまして、心から感謝申し上げます。現在、政府といたしましても、教育再生や経済再生、科学技術イノベーション、また地方創生など、様々な喫緊の課題解決のために取り組ませていただいておりますが、その中で、政府全体として厳しい財政状況の下に置かれているのも、委員の先生方は御承知のとおりだと思っております。現在、文部科学省といたしましても、国立大学法人運営費交付金の充実はしっかりと取り組まなければならない課題であり、我々もコンセンサスを図って一生懸命取り組んでいく中で、限られた財源であるからこそ、国立大学法人運営費交付金の適切な配分というのは非常に重要なことでもあると思っております。この検討会で、これまでの議論について、今月中には中間取りまとめを座長の下で行っていただきたいと思っております。
  なお、本日は中間取りまとめ案の検討を頂きますが、委員の先生におかれましては、国立大学法人運営費交付金の適切な配分を通し、国立大学がより一層ポテンシャルを発揮して社会に最大限貢献できるような、活発な御議論をお願いさせていただきたいと思います。
  本日、国会で衆議院の方は予算が大詰めでございますので、途中で退席させていただく御無礼をお許しいただきたいと思います。
  以上でございます。
【須藤座長】    丹羽副大臣、どうもありがとうございました。
  それでは、議題に入ります。まず、前回の検討会におきまして、大学共同利用機関法人の財務状況について説明してほしいという意見が委員の先生方から出ましたので、それにつきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【事務局】    それでは、大学共同利用機関法人の財務状況につきまして、御説明いたします。配付資料の参考資料を御覧いただければと思います。
  こちらの方、1枚めくっていただきまして、1ページ目を御覧いただければと思いますが、大学共同利用機関法人でございます、人間文化研究機構、自然科学研究機構、高エネルギー加速器研究機構、情報・システム研究機構、4法人の財務状況でございます。費用・収益金額は記載のとおりでございますが、費用につきましては、各法人とも、茶色の人件費の部分、そして、だいだい色の大規模共同利用設備の運転経費などの共同利用・共同研究経費の部分が多くを占めているという状況になっておるところでございます。収益のところにつきましては、青色の運営費交付金収益の部分が大部分というふうになっているところでございます。また、焦げ茶色のその他収益の部分につきましても、運営費交付金を主な財源といたします研究設備などの減価償却等に係る収益化額が含まれていると、そういう状況になっているところでございます。
  なお、これらの経費以外に、左下の注釈のところでございますが、法人ごとの科研費の助成の金額を書いているところでございます。こちらは研究者個人に対する科研費による助成ということで、4法人を合計いたしますと、41億円になっておるところでございます。
  2ページの方は、各法人に置かれました機関ごとの内訳ということになってございますので、御参照いただければと思います。
  そして、3ページ目のところでございますが、こちらは4法人の合計の数字でございます。国立大学法人を含む全体の90法人と比較した場合、学生納付金収益、附属病院収益、あるいはその経費といったことがないのが、財政構造上の顕著な違いとなっておるところでございます。
  また、4ページ目のところは法人化後の経常費用の推移、5ページ目のところは経常収益の推移というふうになっているところでございますので、御参照いただければと存じます。
  簡単でございますが、以上でございます。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問、御意見等を頂きたく思います。どなたからでも結構ですので、お願いいたします。
  何かございますか。前回、この法人の議論をしたときに、財務状況が分からないので紹介してほしいということでしたので。山本委員、お願いいたします。
【山本(廣)委員】    せっかくですから。私もそういったことを申し上げたものですから。
  お礼を申し上げるだけでして、大変丁寧な資料を作っていただいて、ありがとうございました。こうして見させていただきますと、財務構造はやはり、4法人全体で見ればそんなに大きく変わらないかもしれないけれども、研究所単位で見ると随分違うなと。とはいっても国立大学の違いほどは大きくないなというのが非常によく分かって、非常に今後の議論の参考になると思います。ありがとうございました。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  ほかにございますか。よろしいでしょうか。
  それでは、次の議題に移ります。これまでの検討会の議論を踏まえまして、委員の皆様方から頂いた御意見を基に私と事務局の方で中間まとめ案を取りまとめましたので、まず、事務局の方からその説明をお願いいたします。
【事務局】    失礼いたします。資料1を御覧いただければと思います。第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方についての中間まとめ案でございます。全体を8章立ての構成といたしております。
  1ページ目は、1といたしまして、現状と課題についてでございます。まず、大学改革の取組と、大学を取り巻く社会状況の変化についての関係と、国立大学への期待についてが、第1段落でございます。その下、財務状況の変化に伴う大学への影響についての課題についての記述、それから、次の段落におきましては、デュアルサポートシステムについての現状と課題について、記載させていただいているところでございます。
  おめくりいただきまして、2ページの2は、これまでの運営費交付金に係る改善点とその課題について、まとめております。まず、運営費交付金の性格を確認し、これまでの運営費交付金の配分についての仕組みの概略を述べさせていただきました上で、2ページの下でございますが、箇条書の部分におきまして、現状の課題につきまして幾つか列挙させていただいているところでございます。
  3ページに参りまして、3といたしまして第3期中期目標期間における国立大学法人の在り方についてでございます。一つ目の段落におきまして国立大学の果たす役割を改めて確認させていただいておりますとともに、次の段落では「国立大学改革プラン」によります改革の取組が着実に進んでいる点を記述させていただきました。また、その下、3ページの下からは、様々な会議におきまして大学の取組への期待について提言がなされておりますので、4ページ以降、そうしたものを幾つか御紹介させていただいているところでございます。
  5ページに参りまして、上の方でございますが、こうした状況、それから国立大学に対する期待を踏まえまして、本検討会におきましては、「第3期中期目標期間における国立大学法人の目指す姿を、各国立大学が形成する強み・特色を最大限にいかし、自ら改善・発展する仕組みを構築することにより、持続的な『競争力』を持ち、高い付加価値を生み出していくことにあると考える」としているところでございます。その下、その重要な視点といたしまして、まず各大学のビジョンの明確化、戦略的な運営体制を構築するマネジメント改革の必要性、財政面も含めましたIR機能の強化や情報公開についても、取組の重要性について記述させていただいております。さらに、「また」以下の次の段落では、人材の育成につきまして、多様な学生の受入れが大学の教育研究の発展を支えるということでございますので、そうした観点から、さらに、外国人留学生の受入れや、社会人の受入れについても、積極的な対応を求めているところでございます。
  6ページに参りまして、こうした国立大学の目指す姿の実現に向かっての改革のためには国立大学法人の財務基盤の充実が求められるということでございまして、運営費交付金の確保に努めながら、経費の節減、効率化、学内資源の再配分とともに、外部資金等の多様な財源の受入れを積極的に進める必要性について、掲げております。その上で、大学間のネットワークの重視という点も重要という御意見を踏まえまして、そこに記述をさせていただいております。国立大学を含みます我が国の教育研究の機能を全体として発展させる視点の重要性ということを踏まえまして、共同利用・共同研究の推進でございますとか、様々なネットワークの形成について、ここに記述をさせていただいているところでございます。
  次の4でございますが、大学共同利用機関法人の在り方についてでございます。まず、第一段落は大学共同利用機関の設置目的について確認した上で、その下から、大学共同利用機関法人に期待される役割といたしまして、7ページに参りまして、一つ目に研究者コミュニティへの貢献、二つ目に国立大学の機能強化への貢献、三つ目に社会への貢献、三つの期待といたしまして整理をしているところでございます。こうしたことを踏まえまして、大学共同利用機関法人の第3期に目指す姿といたしまして、「共同利用・共同研究体制全体の機能強化を図ることで、国立大学の機能強化に貢献し、さらには、日本全体の研究力向上に寄与することで、我が国の研究力の機能強化による好循環を実現するとともに、各大学共同利用機関法人が形成する強み・特色を最大限にいかし、自ら改善・発展する仕組みを構築することにより、持続的な『競争力』を持ち、高い付加価値を生み出していくことにある」と定義をさせていただいております。
  その下、「また」以下は、大学と同様に、マネジメント改革、それからIR機能の強化等について記載をさせていただいておりまして、8ページに参りまして、特に大学共同利用機関の関係におきましては、一番上のところでございますけれども、国際的な頭脳循環ハブとしての機能の発揮、グローバルな競争の中で未来を切り開くイノベーションを生み出していくことについて、また、次の段落で、優れた研究者人材の人材育成のハブとして、人材の多様化を促進するなどの人事制度改革の先導への貢献について、記載をさせていただいているところでございます。
  5の第3期中期目標期間における運営費交付金の配分方法等についてでございます。その下の段落でございますが、第3期の運営費交付金の在り方といたしまして、国立大学の機能強化を一層進めていく観点に立ち、規模、分野、ミッションや財務構造等を踏まえた、きめ細かな配分方法を実現すること、また配分方法の透明性を高めることが必要であるとしております。まず、これまでの仕組みといたしまして、第2期から継続していく部分につきまして、その下の段落で記述をさせていただいているところでございまして、それを踏まえまして、9ページに参りまして、第3期の運営費交付金の配分方法の改善について、大きく二つの方向性を打ち出させていただいております。その下、大学共同利用機関法人の運営費交付金の配分方法につきましては、基本的には国立大学法人と同様でございますが、一部、大学共同利用機関法人の特性に応じて対応する部分につきましては、別途記述するということにしております。
  以下、二つの大きな方向性につきまして、具体的な枠組みについて説明をしております。
  (1)は、機能強化の方向性に応じた重点配分の枠組みでございます。基本的な考え方といたしましては、現在の大学改革促進係数を見直しまして、新たに機能強化促進係数(仮称)を導入し、機能強化に積極的に取り組む国立大学に対して運営費交付金を重点配分する仕組みといたします。その際、国立大学の多様な役割がございますので、こうした役割を踏まえて、機能強化の方向性に応じた取組をきめ細かく支援するために、予算上、三つの重点支援の枠組みを新設したいということでございます。この機能強化の重点支援につきましては、その下のパラグラフですが、基本的には中期目標期間を通じて支援する仕組みを前提といたしまして、運営費交付金の予算配分に反映することとしたいということでございます。なお、この三つの重点支援の枠組みについては、国立大学の役割を踏まえまして、その機能を限定するものではないこと、また、国立大学の選択した枠組みにつきましては、中期目標期間を通じた支援であることを前提に、取組の進捗状況等に応じて変更することを妨げないことについて、留意点として書かせていただいております。この機能強化促進係数の具体的な割合につきましては、今後の予算編成過程において決定されるものと考えるということでございます。
  これを踏まえまして、10ページに重点支援の枠組みを三つ記載させていただいております。一つ目は、主として、地域に貢献する取組とともに、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のある分野で世界・全国の教育研究を推進する取組を機能強化の中核とする枠組みでございます。二つ目は、主として、専門分野の特性に配慮しながら、強み・特色のある分野で世界ないし全国的な教育研究を推進する取組を中核とする枠組み。三つ目は、主として、卓越した成果を創出している海外大学と伍(ご)して、全学的に世界で卓越した教育研究、社会実装を推進する取組を中核とする枠組みという、大きな三つの枠組みを示させていただいているところでございます。
  「このほか」のところで、高等教育に関する政策課題のうち、国立大学に共通する課題に関する重点支援、例えば高大接続に関する大学教育・大学入学者選抜の改革のような、現在あるいは今後新たに生じてくる政策課題を推進する取組、また、国立大学に広く関わる取組の支援は、別途枠組みを設けることといたしております。
  その下、大学共同利用機関法人につきましては、法人の特性に応じまして、国立大学全体を俯瞰(ふかん)し、最先端の研究機能を強化する取組を支援するために、新たに次の重点支援の枠組みを設定するということにいたしておりまして、11ページにございますとおり、三つの枠組みを設けさせていただいております。一つ目は、主として、大型装置等を用いて国際協力・国際共同研究など、国立大学全体を俯瞰(ふかん)する先導的なモデルとなる研究システムの創出に資する取組など、研究体制の整備を先導し、世界最高水準の研究力を強化する取組。二つ目といたしまして、主として、国立大学全体を見据えて、特定分野における大学共同利用機関を中核とする大学間連携やネットワーク形成による新たな学問分野の創生に資する取組など、大学の枠を越えた研究拠点の形成・強化する取組。三つ目といたしまして、国立大学全体の学術研究の基盤構築や運営等を効果的・効率的に推進する取組など、強み・特色のある分野の教育研究を基礎として大学全体を支える研究環境基盤を構築・強化する取組を支援するとしております。
  イといたしまして、予算配分の決定方法でございます。マル1につきましては、文部科学省は、三つの枠組みごとに、概算要求を行う上での支援の観点や留意点を決定いたしまして、各国立大学法人に提示をする。マル2といたしまして、支援の観点を踏まえまして、各国立大学法人には、基本的には平成28年度の概算要求時に枠組みを選択し、取組構想を提案していただく。マル3で、評価指標につきましては、まず、各国立大学法人が、取組構想の内容に応じまして、中期目標期間を見通した取組の成果を検証するための測定可能な評価指標を独自に設定するとともに、文部科学省が提示する複数の指標から関連する指標を選択する仕組みとする。また、一番下のところでございますけれども、国立大学法人独自の評価指標につきましては、その妥当性を裏付けることができるように、各国立大学法人において比較すべき指標(ベンチマーク)や客観的な根拠を用意することとしています。12ページに参りまして、マル4でございますが、文部科学省は、有識者の意見を踏まえまして、重点支援の対象とする取組構想を選定いたします。選定された取組につきましては、原則として三つの重点支援の枠組みごとにまとめた機能強化促進係数による財源を活用して、主として改革の取組内容に応じて配分することとします。
  次に、高等教育に関する政策課題のうち、国立大学に共通する課題等に関する重点支援につきましても、基本的には同じような枠組みで支援項目を文部科学省があらかじめ提示をした上で、各大学の取組構想を提案していただき、測定可能な指標を設定していただきまして、有識者の意見を踏まえながら、取組構想を決定するとしております。
  大学共同利用機関法人につきましては、国立大学法人と基本的には同様ということでございますけれども、国立大学の機能強化への貢献を中核といたしまして、支援の観点や留意点を設定するといたしているところでございます。
  ウに参りまして、評価の方法及び評価指標の設定でございます。国立大学法人につきましては、原則として、年度ごとに、有識者の意見を踏まえつつ取組構想の進捗の状況を確認するとともに、設定いたしました評価指標を用いて、取組によりどの程度向上したのか、その向上の度合いに応じて段階別で評価を実施いたしまして、その結果を踏まえて次年度の予算配分における重点支援部分に反映させるといたしております。具体的な評価指標の設定に当たりましては、各国立大学法人の取組構想に応じた多様な成果指標の設定をすることになりますので、留意点と文部科学省が提示いたします評価指標についての重点支援ごとの観点を示させていただいているところでございます。また、大学が設定する指標につきましては、大学の規模、あるいは専門分野の特性を踏まえた形で評価を行うことができるような、配慮についても記述させていただいたところでございます。
  その下から、重点支援ごとの評価指標の設定についての観点、また、大学共同利用機関法人についての評価指標の設定の観点を記述しているところでございます。大学共同利用機関法人の評価につきましては、教育研究を中心とした外部評価を行いまして、その結果を文部科学省に報告し、その結果を踏まえて予算配分に反映させることとしております。
  エの機能強化における優れた取組の一般運営費交付金への加算というところでございますが、第3期におきましては、重点支援による取組の後、各国立大学法人の既存の財源による継続を原則といたしまして、各国立大学法人において支援終了後の対応をあらかじめ設定するわけでございますが、その優れた取組につきましては、その経費を現在の区分で言います一般運営費交付金の配分に一定の加算をするという形にいたしまして、その取組が継続して行えるような仕組みを導入することとしてはどうかということでございます。
  14ページに参りまして、もう一つの方向性である学長の裁量による経費(仮称)の区分でございます。アの基本的な考え方でございますが、組織の自己変革や新陳代謝を進めるための教育研究組織や学内資源配分等の見直しを促進するための仕組みといたしまして、学長の裁量による経費を新たに区分することとしております。この経費の具体的な割合につきましても、予算編成過程において決定されるものと考えております。なお書きのところで、この経費の設定が、運営費交付金全体が学長のリーダーシップの下で使用されるべきものであるという基本的な性格を変更するものではないということについて、留意すべきとさせていただいたところでございます。
  イのところに参りまして、学長の裁量による経費の設定でございますが、マル1にありますとおり、第3期中期目標期間中に想定される学長の裁量による経費、6年分の規模を算出いたしまして、各国立大学法人に提示をいたしました上で、各国立大学法人におきましては、これまで取り組んできた実績に基づき計画を作成し、年度ごとに活用する額を設定して、取組を実施していただきます。
  ウに参りまして、学長の裁量による経費に基づく活動等による実績の評価と予算配分への反映でございますが、マル1のところで、経費を活用した教育研究活動等の実績と業務運営の改善の状況を確認いたしますとともに、マル2にありますとおり、各国立大学の設定した指標を中期目標期間の3年目及び5年目に確認し、その結果に応じて予算配分に反映することとしてはどうかということでございます。
  大学共同利用機関法人につきましては、中期目標期間の前半期までに国際性や学問的専門性の観点から教育研究を中心とした外部評価を行い、文部科学省にその結果を報告していただきまして、予算配分に反映させるということでございます。
  エの評価指標の設定についてでございますが、こちらの学長の裁量による経費につきましては、学内資源の再配分を行う基礎的な環境の整備、また情報の把握などの観点を重視いたしまして、文部科学省が全国立大学に共通する指標を精選して設定いたしまして、各国立大学の取組に応じて選択をしていただくということでございます。また、こちらにつきましても、専門分野の特性の配慮について、記述をしているところでございます。
  (3)は第3期中期目標・中期計画との関係についてでございますが、その段落の真ん中から下のところでございますけれども、機能強化の方向性に応じて重点支援を受ける取組構想につきましては、国立大学法人等として特に重視する取組であることから、当然にして中期目標・中期計画に記載され、中期計画に書き込まれるべき検証することができる指標につきましては、重点支援を受ける取組構想の評価指標を踏まえて設定されることが想定されるということでございます。このように中期目標・中期計画と評価指標が連動していくことによりまして、自己点検・評価におきましても、取組構想の進捗状況の管理と年度評価による中期目標・中期計画の進捗状況の管理を同じ観点から行うことが可能となるのではないかというような構成で、関係性について整理をさせていただいたところでございます。
  6の競争的研究費との一体改革につきましてでございますが、この点につきましては、平成27年2月に競争的研究費改革に関する検討会が設置されているところでございますので、今後、これらの検討状況を踏まえながら、運営費交付金の在り方についても必要な検討を行うという形にしております。
  16ページに参りまして、7の財源の多元化や自律的な運営を図るための今後の検討課題でございます。運営費交付金の配分だけでなく、自己収入を増加させるための取組等を併せて進めることにつきましても、本検討会での意見として記載させていただいたところでございます。(1)としまして、寄附金につきまして、現在認められている一定の優遇税制の記述と、それから、寄附が拡大していくような具体的な取組、その効果的な運用についても、今後の検討課題として掲げております。(2)は、学生納付金についてでございますが、こちらにつきましても、今後、各国立大学法人の設定の在り方につきまして、授業料の減免等による低所得者への配慮を十分に行いつつ検討していくことが考えられるということで、記述をしております。(3)は、特定研究大学(仮称)についてでございますが、産業競争力会議から提案されている特定研究大学につきまして、重点支援の枠組みとの関係の整理なども含めまして、今後検討していく必要性について記述をしております。
  最後、8といたしまして、「おわりに」でございますが、こちらにつきましては、これまでの検討会の御意見でございました、運営費交付金全体の予算の確保についての、文部科学省に対する引き続きの努力と、それから、国立大学法人に対する国民の信頼に応えられるような教育研究活動への期待という形で、最後を締めさせていただいているところでございます。
  本文は以上でございまして、18ページから、別紙1といたしまして、国立大学法人の評価指標についてまとめさせていただいております。1につきましては機能強化の方向性に応じての評価指標の例ということでございまして、これまでの検討会の御意見を踏まえまして、例示という形でございますが、機能強化の観点例と評価指標の例を再度整理させていただいたところでございます。18ページは重点支援1といたしまして地域の関係の取組、19ページは、重点支援1の中のもう一つの柱でございます、特色のある分野で教育研究を推進する取組についての評価指標の例でございます。20ページは重点支援の二つ目の枠組みの中での特色のある分野での教育研究を推進する取組につきましての評価指標の例、21ページは重点支援3の評価指標の例となっております。22ページに、もう一つの学長の裁量による経費に基づく実績の評価に係る指標の例という形で、IRの充実についての取組やマネジメントに関する指標の例について、列挙させていただいているところでございます。
  23ページは、別紙2といたしまして、大学共同利用機関法人の評価指標でございまして、別紙1と同様に、1の部分でございますが、23ページは重点支援1の世界最高水準の研究力の強化、24ページは重点支援2といたしまして研究拠点の形成強化、25ページは重点支援3といたしまして研究環境基盤の強化についての、それぞれの評価指標の例でございます。最後、26ページに、大学共同利用機関法人の機構長の裁量による経費に基づく活動等による実績の評価に係る評価指標の例を記述させていただいているところでございます。
  説明につきましては、以上でございます。
【須藤座長】    どうもありがとうございました。
  それでは、今、事務局から説明のありました中間まとめ案につきまして、御議論をお願いいたします。御質問を含め、お願いいたします。
  小林委員、お願いします。
【小林委員】    すみません、あと30分ほどで中座しなければいけませんので、言いっ放しになるかもしれませんが、幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。
  初めに、9ページのところで「学長がリーダーシップを発揮しながら」というのがありまして、学長の裁量による経費を新たに区分するということなのですが、ここの上にありますように教育研究組織や学内資源配分等の見直しを促進するための仕組みを導入するということなのですけれど、これは、大学の本部機能といいますか、それを全体として強化するということの中で出てくるというふうな位置付けで考えるべきだと思っております。つまり、ただ単に学長の裁量による経費を増やせばといいという話ではないということで、運営費交付金が減って一番困っているのは実は大学の本部でありまして、外部資金とかはほとんどないわけですから、ある意味では一番機能が弱くなっているという側面があります。そういう意味で裁量経費ということを考えて位置付けていきたいということです。
  それに関連して、14ページの真ん中のイの前ですが、「なお、この経費の設定が、運営費交付金全体が学長のリーダーシップの下で使用されるべきものであるという基本的な性格を変更するものではない点に留意すべきである」とありますが、これはおっしゃるとおりだと思いますから、両方のことを考えていかなければいけないという意見です。
  それから、2点目といたしまして、私は大学共同利用機関等についてそれほど詳しくないのですけれど、6ページに大学共同利用機関の法律的な定義がありまして、「大学における学術研究の発展等に資するために設置される大学の共同利用の研究所」ということになっております。これに関して、これ自体に異論があるということではないのですが、全体のトーンが国立大学中心に書かれているというのが、若干気になります。どういうことかと申しますと、例えば、11ページの重点支援のところは全部、「国立大学全体を」とか、「国立大学全体を見据え」とか、そういう文言になっています。これ、趣旨から言うと、「国立大学」でなくて、「大学全体」でも構わないのではないか。つまり、なぜ「国立」にする必要があるのかというのがよく分からないということで、これは私の勘違いかもしれませんけれど、検討していただければというふうに思います。
  それから、3点目。少し細かい話になりますが、指標の考え方で、基本的に、加点主義といいますか、加算主義でやっていただきたいということであります。13ページの大学共同利用機関法人については、機能強化における優れた取組について加算するというように書いてあるのですけど、国立大学法人については同じような表現はないので、できたら加算主義ということをもう少しはっきり出していただきたい。それに関連しまして、技術的な話になりますが、その前のところに測定可能な評価指標(KPI)を作ってするということでありますけれど、KPI、パフォーマンス・インディケーターというのは数値で細かく表されるというような受け止め方が一般ですので、その下にありますように3~5段階程度にランク付けするという程度のことで、あるいは2ランクでもいいのではないかと私は思いますけれど、もう少し言えば、必ずしも定量的な指標だけではなくて、定性的な指標というのもあり得るのではないか。これはこれからの検討課題だと思いますが、それを考えていただければというふうに思います。
  それから、4点目ですが、22ページの学長の裁量による経費に係る指標例のところなのですが、これはなぜか「IRが充実していて、活用できているかなどのマネジメントに関する指標例」ということになっていまして、全部IRだというふうにここでは捉えられているように、このままですと見えます。確かにアメリカの大学は、大学の長期ビジョンの策定とか、長期ビジョンを実現するためのエビデンスに基づいた計画というようなこともIRの役割としてやっている大学もありますが、全ての大学がそういうふうにIRをしているわけではありません。長期ビジョンの策定は別の委員会とかがやるわけで、そういった意味で言いますと、これは非常にIRを重く受け止め過ぎていると思います。今の日本の大学の現状からすると、この表現ですと少し誤解を与えるのではないかということで、むしろこれはガバナンスを強化していくということの意味合いで言っているわけですので、そういった形に変えていただければというふうに思います。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  事務局の方から、何かありますか。
【事務局】    小林先生の方から、1点、大学共同利用機関のことについて、国立大学のことにちょっと限定されている書きぶりじゃないかという御指摘を頂いた点でございます。この点につきましては、御指摘いただいたように、大学共同利用機関につきましては、個々の大学に属さず、国公私立大学全ての大学における学術研究の発展に資するための大学共同利用機関ということでございます。本検討会の御議論は国立大学ということを中心に御議論していただいておりましたのでこういう書きぶりにしておったところでございますが、御指摘の点を踏まえて、公私立も含めたということで考えさせていただければというふうに思ってございます。
【須藤座長】    ありがとうございました。
【事務局】    その他の点につきましても、御指摘を踏まえて、考えてまいります。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  有川座長代理、お願いします。
【有川座長代理】    最後の学長の裁量による経費のところですが、評価の例として、IRのことが書いてあって、その中身も展開してあります。こうして書きますと、大体それを押さえておけばいいというメッセージになってしまいます。経験者としましては大体、そこを見ますと、これは押さえているから大丈夫と、こんなメッセージとして受け取ります。もう一つの機能強化の方は、重点支援の三つの枠組みですから、そちらの方は少し細かな具体例が書いてあってもいいのですが、学長の裁量のところは、学長というのは、ちょっと乱暴な言い方ですが、命懸けで取り組むわけでして、その大学のことというのは、その学長が本当に一番よく知っているわけです。地域とのこととか、自分のところの強みとか、そういったようなことはもちろんのこと、今後の発展性のことも含めて知っているわけです。そこで特別な裁量経費というようなものがありますと、それをうんと伸ばすためにとか、あるいは、よその大学では発想もできないようなことを考えて、それを強化していくというような考えが出てくるのではないかと思います。ですから、学長の裁量による経費のところの評価の中身については、余り具体的なことは示さずに、個々の大学の学長裁量の努力をちゃんと見て評価しますよというようなメッセージにしておく方が効果的ではないのかなと思います。自分の経験からして、もしそのような風になっていたら、相当真面目に考えます。このままだったら、対応は非常に楽で特に工夫の必要もないというような感じになると思います。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  今の御意見は、検討するということにいたします。
  山本委員、お願いします。
【山本(廣)委員】    今の有川委員と同じような話になるのですけれども、ここは非常に細かく書いてあって、むしろIRの状況を分析して、結果を踏まえてどういう取組をやろうとしているか、そういうことを評価していただくのだろうというふうに思います。取組の方向性とか、そういったことを評価する。
  それから、14ページの一番下ですけれども、「教育研究活動等の実績」うんぬんとあって、「中期目標期間の3年目及び5年目に確認し、その結果に応じて予算配分に反映する」と、書いてあるのですが、国立大学法人は86あって、歴史的な経緯や規模も随分違うといったところで、学長のリーダーシップが発揮しにくいところと、しやすいところがあるのです。これを御理解いただく。だから、学長のリーダーシップが発揮しにくいところはしっかり発揮しなさいという話なのかもしれないけれども。ですから、この実績評価、教育研究の実績というのは、ある取組をやって、それが3年・5年で直ちに出てくるようなものと、そうでないものが混在しているという意味から見れば、3年・5年で評価して予算配分への反映というのは、かなり慎重に考えないといけないかなというふうに思っております。ですから、余り言葉はよくないのですけれども、現在、非常に学長のリーダーシップが発揮しにくいような大学においても、学長が、こういうことをやりたいのだという、先ほど言いましたIRに基づいて、こういったところの強みを出したいという取組の方向性、まさに機能強化の方向性に応じた、そういった意味での評価というふうにするべきではないかなと。学長の裁量による経費の方についても、評価については少し慎重にする方がいいかなというふうに考えます。
  それからもう一点、今の学長の裁量による経費に関わったところですが、どこもIRをしっかりやってくれということはもちろんそうなのですけれども、もう一つはやはり、コンプライアンス問題の体制がきちんと整備できていて、これに対する意識向上の取組はどうかといったところについても、これはきちんと押さえておく必要があるかなというふうに思っております。
  有川委員に関連した話ではそういうことなのですけど、もう一点だけ、すみません。
  国立大学の重点支援の1ですけれども、1-1と1-2というのがありますね。地域課題と特定分野というのがある。今までは「や」というふうに書いてあったのですけれども、今度は「ともに」というふうな書きぶりに、微妙に変わっているのですね。恐らくここは、1あるいは2というふうにはっきりと分けられないというのをどこの大学も持っているという、これまでの議論の中から出てきてこういう書きぶりにしていただいていると思うのですけれども、1-1と1-2をそれぞれの大学がウエート付けをして、地域7、特定分野3とか、そういうふうな形で何か言うのか、あるいは、地域についてはこういう取組をやります、特定分野の方についてはこういうふうなところを機能強化しますと言うだけでいいのかという、そういったところはいかがなのでしょうか。地域の部分を7、特定分野の部分を3とすると、それぞれの評価によって予算配分が7:3で反映されるのかといった、そういった点について、お聞かせいただけますか。
【須藤座長】    最初の方で、有川委員、何かありますか。
【有川座長代理】    最初の方のことに関しては、今度、ガバナンス改革といいますか、学校教育法と国立大学法人法の改正がありまして、学長のリーダーシップというものがかなり強く出せるようになります。そういった法律改正の直後ですので、それに呼応したものである必要はあると思います。したがって、今、先生が御指摘のように、大学によっては、それでも学長がリーダーシップを発揮しにくい大学はあるかもしれないけれども、そういうことでは駄目だということで法律が改正されたのですから、そこへ先祖返りすることは許されないというのが、私の印象です。
【須藤座長】    山本委員、お願いします。
【山本(廣)委員】    すみません、少し簡単に。もちろん、言われていることはそうだと思うのです。ただ、学長の裁量による経費で取り組んだことの実績評価ということで予算配分に反映させていくというのは、少し時間が掛かるのではないかと。こういう形で入れていくというのは。ですから、取組の方向性について評価するという、そういうふうなことじゃないかということを申し上げている。
【須藤座長】    分かりました。
  2番目の質問につきまして、事務局の方からお願いします。
【事務局】    18ページ、19ページのところで分けて記述させていただいておりますけれども、これは、今までの御議論を踏まえまして、重点支援の一つ目の枠組みにつきましては二つの観点が出されていたということで、そこの部分を分かりやすく整理するというふうな形でお示しをさせていただいているところでございます。実際の各大学の取組を考えますと、それは当然、地域での課題解決と特色のある部分というのが決して分かれているわけではなくて、密接不可分に関係してくると。それはどういう形で機能強化の取組というものを大学は構想してくるのかという部分に掛かってきますので、実際の設定に関しましては、各大学の取組の構想を見ながら、一つ目と二つ目の観点が合わさったような形で評価指標の設定を検討していくというような形になると思いますので、それが単純なウエート付けとしてどうするのかということに関しましては、大学の取組状況によってくると、今は考えているところでございます。
【須藤座長】    有川委員、お願いします。
【有川座長代理】    この件は後ほどお伺いしようと思ったのですけれども、三つに分かれておりますが、1は2を完全に包含しているわけですね。そういった項目の立て方もあり得ますが、通常は、こういった場合には、なるべくディスジョイントにしておいて、その中から、一つ、あるいは二つを選ぶ、といったやり方をするのだろうと思います。1のところだけなぜ2を含んだ格好にしているのかということについては、これをこのまま使うのであれば、その説明が必要だと思います。
  それから、もう一つ大事なこととしましては、大学の目的というのは、教育研究と社会貢献、こういったことになっておりまして、社会貢献には地域貢献を含みます。そこのところ、つまり、地域のことも無視できないし、なかなか難しいところがあります。ですから、これはいろんなところで議論されてこういうことになってきているのだろうなということは理解できるのですけれども、もう一つのやり方としましては、2を独立させて、1から2を引いたところを新たな1として、見掛け上はかぶらないようにディスジョイントにしておいて、そして、その中から、三つ選ぶということはあり得ないので、一つ、あるいは二つ選ぶ。もし二つ選んだら、先ほど山本委員がおっしゃったように、適当にウエート付けをする。そういったようなことを考えるのが自然ではないかと思うのですけど、あえてこうなっているということは、何か理由があると思いますので、その理由について、これはもっと前に聞かせていただいた方がよかったのですけど、お聞かせいただければと思います。
【須藤座長】    重要なところですので、事務局の方からお願いします。
【事務局】    国立大学の重点支援に関します、10ページのマル1、マル2、マル3についての関係ということであるかと思います。この会議では、ここで書いております重点支援1に当たるものを、地域活性化という名前で、当初、資料で呼ばせていただいたことがあったかと思います。地域活性化と、特定のものと、世界最高水準というような並べ方を過去にしていたと思うのですけれども、御議論の中で、地域の活性化あるいは地域課題の解決にいろんな大学が取り組んでおられると。特に、国立大学は地方に均斉に配置されておりますので、地方大学も多いという中で、地域活性化という表現だけでは、各地方で、大変優れた研究を展開して、そういう拠点になっている大学もあるという姿が見えにくいのではないかというような御指摘がありまして、当然、そういうのを排除しているつもりはございませんでしたので、もともと地域活性化と書いてありましたところに加えまして、地域と特定分野ということで併せて、もちろん両方ありますということをはっきりさせたという経緯があったかと思います。
  そうしますと、重点支援2のところで今度は特定分野というものだけがあって、1と2の重複があるのではないかというように見えるということはそのとおりかと思うのですが、ここの整理の考え方といたしましては、むしろ重点支援2にございます特定分野というのは、逆に地域に機能強化の軸足を必ずしも置いてない。全く置いてないという趣旨ではないのですが、1に比べれば、1は地域にも軸がありますけれども、2は、地域の活性化とか地域課題の解決に主要な軸足は置いておらずに、特定分野の研究で世界ないし全国的な教育研究をやるという、そういう考え方で置かせていただいております。分かりにくければもう少し補足した方がよろしかろうと思いますけれども、考え方としてはそのような経緯で整理したということでございます。
【須藤座長】    重要なところですので、皆さんの御意見を聞いた方がいいかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
  北山委員、お願いします。
【北山委員】    重点支援1、2、3のどれを選択するかという話ですが、12ページに、「学部・研究科等の単位で評価を行うことができるようにすることにも考慮すべき」との記載がありますので、そうした学部等の単位で柔軟に評価できるのかなと理解していました。大学といっても大所帯なところでは、一つの学部が、例えば地域と特定分野で重複するといったケースもあると思いますが、「主として」というふうに考えれば、もう少し小規模の大学で考えた場合は、ある程度細分化していくことで、もしかしたら何らかの形にくくることもできるのではと思います。
【須藤座長】    海部委員、お願いします。
【海部委員】    この問題は、今、有川委員もおっしゃいましたし、つまり、複数という考え方は成り立つのかどうかをはっきりしないでこのことを議論しても、仕方がないと思うのです。この種のことは、最初からそういう議論はたくさんありましたように、大学と言っても一色ではないのだから、その中で、例えば、地域貢献をやりながら、ある分野では世界で頑張るよというところがあってしかるべきです。ですから、大学が、うちは1です、2ですと選べというのではなくて、大学のこの分野では1をやる、この分野は2をやるというような重層的な選択が可能なのかどうか、それをはっきりしていただけませんか。そうすれば、この議論はそれほどもめないで済む話のように思う。
【須藤座長】    その辺をはっきりさせるのもこの会の仕事だと思いますので、是非その辺を御意見いただければと思います。
【海部委員】    そうですか。であれば、私は、是非そうするべきだということを申し上げたい。
【須藤座長】    そういう御提案ですね。
  有川委員、お願いします。
【有川座長代理】    今の1、2、3というのは、極めて現実的なのですね。先ほど事務局からありましたように、初期のころは分かれていたと思うのですけれども、地域だけではなくて、ちゃんと特色ある研究で世界的にも頑張っている。大多数の大学がそういうふうになるわけですね。ですから、どれか一つをということであれば、非常に選びやすいように工夫されているということは、分かるのです。ただ、ロジカルに見たときにちょっと気持ちの悪さが残るので、そういう意味で説得力のある説明が必要だということであります。
【須藤座長】    橋本委員、お願いします。
【橋本委員】    おっしゃるとおりだと思います。ただ、一つ気を付けなければいけないのは、今の議論を突き進めていくと、結局みんな同じになってしまうということもあり得るのですね。なので、有川委員がおっしゃったように、今は非常に分かりやすい枠になっていて、そこにうまいこと、中のマネジメント上というか、実際上に組み合わせていけるようなシステムを作るということが重要なのだと思っています。この会議の限界でもあるわけですけれども、ここでは今、運営費交付金の配分の仕方で議論をしていますが、一方で、併せてこれは、最後の方にちょっと書いてありますけれども、例えば、規制緩和の話とか、授業料設定の話とか、学生定員の話とか、そういうものの自由度との組み合わせが当然出てくることなのだと思うのです。
  もう一つ言うと、競争的研究費改革の議論が今大分進んできているわけですけれども、そこでも、単に画一的なものになるのではなくて、今のここでの議論や幾つかの議論と併せたものに、だんだん総合的に組み上げていくことになるのではないかと思うのです。そうすると、ここで余りにも複雑にしてしまうと、何が何だか分からなくなってしまい、結局、全部同じになってしまうみたいなことがあるので、やはり、ある大きな枠組みのところはシンプルにしておいた方がいいのではないかなというのが、私の意見であります。
【須藤座長】    ありがとうございます。
  山本委員、お願いします。
【山本(眞)委員】    マル1-1とマル1-2の関係ですが、確かに総合大学ですと学部ごとに、地域に貢献する学部であるとか、あるいは、ある学部については世界最先端だということがあり得ると思うのですけれども、単科大学の場合、私のいる帯広畜産大学では、畜産の分野で全国的な研究がイコール地域貢献につながっていると、こういう例もあります。ですから、やはりシンプルにした上で、一つ二つ、三つ選んだら全部になりますから、二つぐらい選べるというような形にした方が分かりやすいのではないかなと思います。実際、例えば帯広畜産大学は重点支援マル1-1とマル1-2の指標を設定するということになるのでしょうけれども、そうでない小樽商科大学の場合はどうするのかというのは非常に難しいところがございますので、シンプルにして、複数、二つまで選ぶといった方が分かりやすいのかなあという気がします。
【須藤座長】    シンプルといいますと、1-1、1-2という言い方をしないで、1、2、3にして、場合によっては1と2とかを選んだ方がいいということでよろしいのですか。
【山本(眞)委員】    はい。
【須藤座長】    ほかにございますか。
  熊平委員、お願いします。
【熊平委員】    三つの枠組みについては、できれば、MECEといいますか、漏れなく、ダブりない感じにした方がいいのではないかと思います。そうすると、マッピングのようなものができて、分類して、国立大学全体としてはどうなのか、各大学はどうなのかということが見えてくるようになると思うのです。その場合に、今ある三つの枠組みですけれども、よく見ると、何となくこういうことなのかなというふうに理解しているのですが、1番目は、ローカルなニーズがあるという重点支援。それから2番目は、世界では伍(ご)してはいないのだけれども、自分の大学としては強みと考えていて、そこに取り組みたいというテーマ。そして3番目は、世界に伍(ご)している、あるいは伍(ご)さなければならないような、そういうテーマなのかなと。なので、そういう三つの枠組みになるのではないかというのが一つ。
  それから、資質の向上ということがすごく大事だと思うのですが、結局のところは、そこで出てくるキーワードは、教育の話と、研究の話と、そして実装の話。教育では、将来の研究者を育てるという話と、就職などの社会に役立つ人を育てるという世界と、2種類あると思うのですが、教育と研究の両方を合わせれば結局はファカルティ・ディベロップメントにつながってくるということで、何となく、全体を分類することによって物事がもう少しクリアにできるのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  あと、もう1点。すごく気になったことは、オランダなどは、高等教育のグローバル化に遅れていたということで、非常にグローバル化に力を入れたときに、グローバルを、一つの領域ではなくて、全体を覆う考え方だというふうに明確に考え方を変えたと聞いているのですが、そういう意味で、先ほど最初に申し上げた、ローカルと、世界と伍(ご)さない、世界と伍(ご)するという三つの枠組みの話は、グローバルを覆うものとしては考えないという大学教育の考え方を我々は選んでいるという理解でよろしいでしょうかという質問であります。
【事務局】    地域の関係につきましても、この検討会の中でも、当然グローバルと密接に関係しているという御意見がございましたので、18ページ、機能強化の観点のところ、地域に貢献する取組の中の観点例の中で地域の発展やグローバル化というような形で書かせていただいております。地域だからグローバルとは関係がないということではなくて、グローバルということも意識はさせていただいています。
【熊平委員】    もちろんそうなのですが、大きな考え方としてどうなのかということですね。選択の問題なので、いい悪いではないと思うのです。ただ、どっちの方向で行くのかなという。
【橋本委員】    ちょっと確認ですが、違いますよね。誤解があるのではないでしょうか。
【事務局】    もちろん、それぞれの重点支援の中でも「世界」というのは書かせていただいておりますので、当然、世界は意識している。ただ、委員がおっしゃるような全体を覆うというような部分での設定という形になっているかという部分については、確かに記述という形では工夫はされてないかもしれませんので、そこはもしかしたら工夫は必要かもしれませんということでございます。
【須藤座長】    お願いします。
【事務局】    この三つの予算上の重点支援の枠組みにつきまして、少し補足をさせていただきます。中間まとめ案の9ページの、国立大学法人と書いてある中ほど以下の二つ目のパラグラフを見ていただきますと、考え方としてはこういうふうに捉えているのですが、各国立大学におきまして、それぞれの強み、特色、社会的な役割を受けて、機能強化を進めていこうという大きな流れがあるわけでございますけれども、三つの重点支援の枠組みは、各大学が様々な取組をされていると思います。様々な研究とか、様々な地域貢献活動とか、いろんな取組を大学はやっておられます。大学には様々な、機能、役割がありますので、そういうことをされているわけでございますが、ここで申し上げております重点支援というのは、各大学が様々行う一つ一つの事業・プロジェクトを支援するというよりも、むしろ、第3期、この6か年を通じた形で各大学がこういう方向性でもって機能強化していこうという、その大きな方向性に沿って、そういう機能強化を大きく進めるようなものを重点支援していこうというのが、この重点支援の枠組みの考え方の中にございます。であるからこそ、9ページの最後のところに、一つ選んではいただきますけれども、機能を限定するものではございませんということと、各大学が一つ選択される支援の枠組みがあると思いますけれども、中期目標期間を通じた支援であることを前提といたしまして、取組の進捗状況等に応じてその枠組みが変わっていくということはあり得るだろうと、そこまで考えております。一方で、先ほどシンプルな方が良いという御意見も頂きましたので、私どもは一つ選んでいただきますということで整理をさせていただいておりますけれども、一つ一つの枠に入る取組の範囲はかなり広いと思っておりまして、むしろ、いずれか一つを選ぶ、ただし、その範囲はすごく大きい、広いと思うのですけれども、それによって、めり張りのある、あるいは機能強化の方向性に応じた支援ができるということで、一つ選んでいただくのを提案させていただいているということでございます。
【須藤座長】    この件についてはなるべく皆さんの意見をお聞きしたいので、日比谷委員、最初にこちらの議論の方のお考えをお聞きしたいのですけど。
【日比谷委員】    実は、二つ申し上げたいことがあるうち、一つはこの議論に関係がありますので、ここでよろしいでしょう。
【須藤座長】    そうですか。よろしくお願いします。
【日比谷委員】    今ちょうど御説明くださったことと直接関係するのですが、9ページから10ページについての御説明は今伺ったとおりなのですけれども、仮にシンプルにどれか一つを選ぶとして、中期目標期間6年の間に進捗状況に応じて変更することを妨げないと書いてあるのですが、そのプロセスというか、どういうふうに変更できるかという、もう少し具体的な変更の例といいますか、こういう場合に変更があるということをもう少し詳しく知りたいなと思ったのが、最初の質問です。
【須藤座長】    事務局の方から、お願いします。
【事務局】    想定といたしましては、先ほど申し上げましたように一つ一つの枠組みというものが非常に範囲の広い取組を包含できるものだと思っておりますので、例えば、ある一つの取組から、頻繁に、次の取組、次の取組と変わっていくのではないだろうと、一般的には考えております。したがいまして、一つ選んでいただくことで大学の機能強化の方向性との関係で支障が生じるということはないのではないかと思っておりますが、仮に変更があり得るということは、例えば、重点支援1の枠組みをお選びになっている、すなわち地域に軸足も置きながら特定分野を伸ばしていくというような取組を選ばれたところが、そういう機能強化を進めておられたわけですけれども、何らかの進捗状況に応じまして、地域に軸足を置くというよりも、重点支援の2とか3とかの特定とか世界最高水準というふうになっていくというようなケースはないとは言えないと思いますし、逆に、重点支援2ということで特定分野の機能強化ということを進めてきた大学におきまして、地域性というものに非常に軸足を置くような取組を重視してやっていくようになられるということで1になるとか、そういうことはあり得るのではないかということで、変更ということがあり得るかなということで書かせていただいております。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  上山委員、お願いします。
【上山委員】    この議論を続けてきて今回出てきたことで、私自身の印象的なことを申し上げますと、学部教育の違いが余り明確にならなくなってきたなという印象を持っています。私自身は研究大学についてのことに非常に意識があるので、日本の研究大学をどうすべきかということは、自分自身の研究のテーマでもありますし、非常に関心があるのですけれども、一方でそれを支える幅広い学部教育というのがあるのです。日本の場合はそれをかなりの部分で支えている私立大学という存在があって、そことの関係ということは非常に難しい問題で、ただ、範を垂れるというか、国立大学の改革を通して全国的な大学システムに影響を与えるという意味では、学部教育がこれによってどう変わっていくのだろうかということが少し見えないなという感じがしました。実は、自分自身も大学の教員として研究と教育をやっていますけれども、学部教育は非常に問題があるなあという気がしているのです。実際のところ、社会科学のある分野を教えていても、今の体制だったら、4年は要らないなと。この程度のことを教えるのに4年は要らない。つまり、4年やらないような学部教育の在り方にまで踏み込んでいけるような、学部教育の先鋭的なものを打ち出していけるような、そういう改革がここの中から、1でしょうか、2でしょうか、分かりませんが、出てくるのかなという、それがちょっと見えないなと思いました。特に、1が地域とそれ以外の二つに分かれていますよね。そうすると、1-2の部分が非常にあやふやになってきていると。もちろん、私は教育を中心とした大学になれなんて言いませんけれども、それもとてもいい選択だと思うのですよ。教育というのは何より大切なものですから。例えば学長のリーダーシップによって学部教育の在り方に大きな変更を加えていけるような、そういう力強さがこの1の中で出るかなということです。そこが少し見えないですね。その意味で、この1という部分が少し薄まってしまったなというか、何か新しさを打ち出せるようなところに踏み込めていないなという。実は非常に重要な問題だと思うのです。学部教育の在り方というのは。研究大学というものの基盤を作っていくときでも学部教育の在り方というのは重要です。そこから例えば、先ほど言いましたように、3年でいいとか、あるいは、それこそ本当にプラクティカルなものだけに限定するような教育をやっていくとか、そういうような大学の在り方みたいなものを提言できるような、そういうリーダーシップを持つような、そういうものがどこから出てくるのだろうかと、そこは少し、物足りないと言ったら失礼ですけれども、ここからはちょっと読み取れないところですね。
【有川座長代理】    関連して、よろしいですか。
【須藤座長】    お願いします。
【有川座長代理】    発言し過ぎている感じで、すみません。確かに、学部教育のことは一つの切り口として大事だと思います。しかし、ここでは運営費交付金について議論しているわけですので、今おっしゃったようなことまで含めますと、かなり大掛かりな議論が必要になると思いますが、一方では、1のところの地域の関係で言いますと、実は、それぞれの都道府県にある国立大学は、自分の地域の学部教育に関しては、しっかり貢献しているわけです。その辺は少し、マル1のところに書き込んでおってもいいのではないかと思います。
【小林委員】    すみません、15時までと申し上げていたのですけれど、非常に重要な議論になってしまったので、なかなか席を立ちにくく、ずるずる来ちゃったのですけれど、私の考え方は前に申したとおりで、ちょっと理由は分からないのですけれど、三つに分けるというのは一つのやり方だというふうには理解していまして、橋本委員が言うようにはっきりするという議論は分かるのですけれど、そういう形で先に分けることが必ずしも望ましくないのではないかということは、前に個人的な意見として申し上げました。上山委員は、それは百年河清を待つようなものだと、そんな調子では改革は進まないのだというのが御意見であって、大体その方向で議論としてはまとまったというふうに私は理解していたのですけれど、今日、またこういう形で議論が出てきたと。
  私は、その中で、1のところだけ二つになっているというのはやはり不自然で、三つにするべきだと思います。その上で、複数を選べるという選択肢があってもいいと。つまり、一つしか選ばない場合は3通りで、二つ選ぶ場合は6通りの選び方ができると。もちろん、6通り全部が、大学が選択するかどうかは大学の自由ですから、どうなるか分かりませんが、その方が今の段階では望ましいと思っております。そうしますと、結果として思ったような機能分化が起きないのではないかという御意見も、確かにもっともです。そのおそれは非常に強いと思います。ただ、今の段階で三つに分けることの問題の方が大きいと、私は思っております。
  すみません。言いっ放しになりますが、以上です。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  今、一通り皆さんの意見をお聞きしまして、それを聞いた後で、もう一度発言されたい方。
  海部委員、お願いいたします。
【海部委員】    はい。私は、大学共同利用機関のことについて後で発言させていただきたいので、できるだけ発言を控えていたのですが、やはりはっきりしてほしいと思うのですね。非常にあやふやなままで行くのは困る。私は、今、小林委員がおっしゃったこととほぼ同じです。私の現在の意見はそれと同じであるということを申し上げた上で、例えば、運営費交付金をどれぐらい重点支援に回すのかということについては、ここでは一言も数字が出ません。今までは、1%、2%、3%というようなことがやられていたわけですが、しかし、どういうわけか3割とかいう話が聞こえてくるわけです。どこでどういうふうに出ているのか、分からない。しかし、仮に1、2、3という重点項目を決めて、その一つに重点的に支援するために3割の運営費交付金を回すということになったら、今の大学は成り立たないと思います。そこまで考えてやっておられるのかどうか、私にはよく分からないのです。徐々に、徐々に、限定的な重点をするだけだということで、だから、三つに分けてもそのうちの一つを選んでもらうのですよという、のみやすい形でやって、じゃあ3割だと。3割って劇薬ですね。そこまで考えた上でこれは出されているのか、私は正直言って理解できないままで来ております。ですから、そういうことも踏まえた上で、どういう方針なのか。3割というのはどこで出た数字か存じませんけど、今、小林委員が言われたように、どれかを選んで重点的に考えていくのはいいし、みんなが同じであるというのもばかばかしいというのは、橋本委員がおっしゃったとおり。ですけれども、状況により複数選ぶということがせめても、今、必要なことではないかというふうに思います。その上で三つの点をシンプルにするのは、大変結構なことです。
【須藤座長】    今の御発言で3割という言葉が出ていますけど、この場では一回も出ていませんよね。
【事務局】    この場では、恐らく過去に配付させていただいた資料の中に、財務省の御意見として財政制度等審議会に出た資料にそういうものがあったというのを資料としてお付けしたことはあったかもわかりません。他の審議会での御議論の資料ということで出たことはあったかもわかりません。
【須藤座長】    橋本委員、お願いします。
【橋本委員】    私も、先ほど小林委員がおっしゃったことと、認識は全く同じです。ただ、結論は違いまして、どちらの方がよりマイナスが少ないかというか、プラスが多いかという観点から言うと、私は三つの枠組みのどれかを選ぶという方がいいと思っています。それはなぜかというと、この場の議論だけがあるのではないのですね。大学の中の議論だけではなくて、その周りには社会があるのです。今、財政制度等審議会の話が出ましたけれども、例えば財務省はああいう厳しいことを言っているわけです。産業界もこういうことを言っている。社会もこういうことを言っている。そういう中に大学でのここの議論があるわけで、全体としてどこが一番受け入れられるかという視点が必要なのです。そのためには、結論はやはり、この三つを決めたら、その中のどれかを選んでいくのだと。その代わり、先ほどから御説明が文部科学省からあるように、この部分をできるだけ広くとって、そこで自由度を上げましょうということをしているわけです。だから、全て100%よいということはないわけで、その中でどれが一番、社会からの支援も受けながら我々は改革できるのか、こういう視点が重要だというふうに、私は思っております。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  北山委員、お願いします。
【北山委員】    先ほど来の三つの枠組みとも関連するのですが、これらの議論は、全て、一昨年の「国立大学改革プラン」の延長線上にあります。国立大学は国立大学改革プランの一環で、去年の3月末までにミッションの再定義を行っていますので、もしその定義がある程度しっかりとしたものであれば、今、議論している三つの枠組みというものにも、何となく当てはまっていくのでは、と思います。
  それから、影響額がどれくらいかという点、つまり、今回の資料でピンクと黄色で示されている部分の規模感についてですが、先日の財政制度等審議会の資料に3~4割といった記述がありましたけれども、「国立大学改革プラン」の方にも同じ数字が書かれています。ただ、国立大学改革プランには、影響額を3~4割とすると書いてありますが、どういうものを影響額の対象とするかというところまでは、はっきり書いてありません。概算要求まで、3~4割の中身がよくわからないまま放っておくというのも、余りよくないのではないかと思います。
【須藤座長】    3~4割については、先ほど事務局からもありましたし、今、北山委員からもありましたし、あと、この場でヒアリングしたときに、産業界からのヒアリングで、それぐらいが妥当じゃないかという意見が確かに出ていました。けれども、この場でどれぐらいが妥当だというのはまだ一度も議論していませんので、その辺はこれから、北山委員の意見ですと、やった方がいいと。
【北山委員】    いえ、今幾らにするという話ではないのですが、「国立大学改革プラン」に3~4割と書いたときは、何かしら、対象とするもののイメージが頭にあったわけですよね。
【事務局】    今の御指摘につきまして、補足をさせていただきます。机上資料マル2として、「国立大学改革プラン」がございます。その6ページのところに、矢印の三つ目を見ていだたきますと、改革加速期間中、すなわちそれは平成25年度から27年度まで、つまり第2期の後半のことを指しておりますが、「改革加速期間中に各大学の改革の取組への配分及びその影響を受ける国立大学法人運営費交付金の額を3~4割に」という記載がございます。これは、今、北山委員に御指摘いただいた記述でございます。
  ここはどういうことかといいますと、運営費交付金がおよそ1兆1,000億円ございまして、そのうち、特別経費と言われております、各大学の改革の取組に応じて配分している部分が約1,000億ございます。運営費交付金全体の1兆1,000億と、裁量的に、つまり取組に応じて配っている経費の比率が110対10だということで、裁量的に改革に応じて取り組んで配分している経費が小さいのではないかという形で、いろんなところで御指摘を受けたことがございます。ただし、運営費交付金のほとんどの部分は人件費でございますので、単年度で大きな割合を裁量的に変更するというのはそもそも基盤的経費として非常になじまないことであるということでございますけれども、改革に一生懸命取り組んでいるところへの配分といったものを増やしていくという目標を立てるに当たりまして、今、改革プランで取り組んでいただいているのは、組織再編あるいは年俸制を中心とする人事給与システム改革でございます。こういった改革が進むことで例えば年俸制が普及してくるということになりますと、年俸制が導入された方の人件費は、ここで書いております、影響を受けるといいますか、改革の影響を受ける額としてカウントできるのではないか。そういった観点で、具体的に何を積み上げて書くとは書いておりませんけれども、影響を受けるということで捉えれば、年俸制だとか組織再編とかいう取組を大きく入れていったときに、3~4割が一つの目標として、27年度までの目標として目指せるのではないかというのが、ここの記述でございます。
  それから、机上資料マル8財政制度等審議会への資料でございますが、その通しページの31ページを御覧いただければと思います。これは、財務省主計局作成の資料ということで、この場で御紹介だけさせていただいたことがあったかと思いますけれども、その31ページのところに財務省案として運営費交付金改革案が出ておりました。これを見ていただきますと、改革案に棒グラフがございまして、一番左端に改革経費とありまして、ここに「一般経費のうち約3割」という数字が出ていると。ですので、改革経費としては、一般交付金、退職金等々を除く経費のうちの3割ぐらいはこういった取組に配分したらいいのではないかという財務省案があったということは、この場で資料として出ております。ただ、海部委員が御指摘のとおり、実際にこの場での御議論でその高さをどうするかというのを議論したことは、これまでございません。今回の中間まとめ案では、最終的にはそれは予算編成過程を通じて決まってくることでございますので、その旨だけ書かせていただいておりまして、この扱いはそのような記述にさせていただいているところでございます。
  先ほど御説明申し上げましたように、ほとんどが人件費だということからして、3~4割の政策的配分というのは非常に難しいことであるということは考えております。
  単年度でそういう取組をすることは、今申し上げましたように、基盤的経費としての性格から、限界がございます。ただ、例えば中期目標期間の6年間を通じてそういった経費を積み上げたときにどれくらいの規模になるかというと、ある程度の規模感というものは出てこようかというふうに思っております。
【須藤座長】    上山委員、お願いします。
【上山委員】    いい機会なので私の考え方をしっかり申し上げておこうと思います。
  基本的に、三つの枠組みを人工的にやるというのは、本来は正しいやり方ではないと思っています。こういうのは自然にそうなっていくものだと思います。ところが、日本においてそれをやることは難しいと思っています。なぜかというと、グローバルに戦えるような研究大学というのは、本来は、大学院を持ち、非常に先鋭的な研究をやっているというところですが、日本の場合は、ほとんどの大学に大学院が認められてしまう。つまり、大学設置・学校法人審議会のときに書類がある程度そろっていれば、全部認められてしまう。その段階で違いを出していくことが非常に難しくなっているわけです。だから、グローバルに戦えるような大学に関しては大学院を認め、全部の領域に関してそれを認めているものがある意味ではグローバル大学であり、幾つかの部門に関してだけ大学院博士課程を認めているのはそうではないところ、大学院を一切認めないというところは割と学部教育に特化している。それが普通のやり方だと思いますね。そういう形で自然に分類ができてくるということですけれども、それがこの国の現状では難しい。したがって、この三つの枠組みの形を最初に導入しながら、大学の本来果たすべき役割をそれぞれが意識して行っていけるような状況を早く作るべきだというのが私の考え方で、かつ、これは固定すべきではないと思っています。その中で伸びていく大学、グローバルに全学的に戦っていけるような大学がそうでないところからも出てきても当然いい。そういうような余地をちゃんと残しておくべきだと思います。これをきっかけにしてアカデミアのきちんとしたそれぞれの役割が明確化される。そして、先ほど言いましたように、学部教育に関しては非常にイノベーティブなことをやれる余地がいっぱいあるわけですね。イノベーティブなことをやれる余地があるような大学にもかかわらず、どこかで研究みたいなものがくっついているために、それができない。そういう状況を早くやめて、そこの中で本格的なイノベーティブな学部教育を展開していけるような大学を作っていくべきだと。その意味では非常にいろんなタイプの学部教育が求められているわけですね、産業界からも、社会からも。そこにしっかりタップしていけるような大学はなかなかないということが日本の問題だと思っていますので、この三つの枠組みをそのようなきっかけにして大学の流動性を高めて競争を高めていくということの方向にどういう形で行政的に持っていけるかという、そこに知恵を働かすべきだというふうに思っております。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  山本委員、お願いします。
【山本(廣)委員】    一言だけ。今、上山委員が言われたことに似ているのですが、先ほど橋本委員が言われた、財政制度等審議会はじめ産業界等々からそういったことを言われているのだから、そうしなければならないということではないと思うのです、私は。我が国の高等教育をどうやっていくかという話であって、それは、ここで十分議論した上で文部科学省として国立大学の運営費交付金はどうするのかという議論をすべきであって、そういう意味では、今、上山委員が言われたように、いきなりそういったことで、最初の資料は「拠点」と書いてあったのですね。そういう意味から重点支援という形に変わってきて、少しは上山委員が言われたような方向に誘導していこうというような議論に変わりつつあるということだろうと思います。橋本先生は自分が言っていることはそうじゃないというふうにおっしゃるかもしれませんが。
【橋本委員】    一言だけ。言われているからやりましょうと言っていることじゃないのは、明らかであります。ただ、そういう中で私たちはどういうポジショニングをとるのかという判断をしなければいけないと申し上げている。
【須藤座長】    ほかの議論もしたいので、そろそろこの議論をきょうは終わりにしたいと思うのですけれども、どうしてもある方は一、二名。
  熊平委員、お願いします。
【熊平委員】    度々申し訳ございません。
  先ほどのお話の続きでもあるのですけれども、今回、このテーマを通して大学の教育の在り方をよりよくしていくというきっかけになるためには、なるべく明確に考え方を示していった方がいいと思います。その観点から、研究のテーマは地域とグローバルと両方の観点からあると思うのですが、ローカルのニーズ、それは、地域の産業だったり、地域の歴史だったり、いろんな地域のニーズに基づいている、絶対そこでやっていただかなければならないこと、それは守っていくべきです。そして、グローバルで伍(ご)していかなければならないものに関しては、それに対してやっていく。でも、その中間のところにあるという学部はたくさんあると思うのですが、そこをどうしていくのかということをこの時期に分析していただいて決めていくという、その流れを作ることが最も大事なのではないかと思いましたので、そういうふうにガイドしていけるような形にしていただければと思います。
【須藤座長】    ほかにございますか。後でまた関連で出てくるかもしれませんけれども、一旦この話題を終わらせていただきます。
  それでは、日比谷委員、もう一つの御質問の方をお願いします。大変お待たせしました。
【日比谷委員】    いえいえ。大変細かいことで恐縮なのですけれども、評価指標の例というところに、今、少し議論になりましたが、マル1-2とマル2が重なっているということで両方に出てきているのですが、どちらを見ていただいても結構ですが、評価指標の例の人材育成に関する取組の指標例というところの2番目のポツで、「自大学以外からの大学院進学の状況」と。前回、私が大学院進学のことを申しましたので、そのことを取り入れてくださって、これは新しく出てきたと思います。そうであるとすれば、私が言ったことはこれの逆でして、マル1-2とか、マル2の大学だったら、自大学以外の大学院への進学状況ということを私は申しましたので、例えばマル2の大学の学部を出た人がマル3の大学院にどのぐらい行っているかという意味で言ったので、ちょっと表現が違うかなと思いました。
【須藤座長】    海部委員、お願いします。
【海部委員】    大学共同利用機関について、一言説明したいと思います。
  私の理解では次の3月26日のときに中間まとめを決めるということだと思いますが、その前に細かいことでは意見を申し上げるチャンスはありますよね。ですから、それは申し上げません。
  まず、6ページと、あと21ページに関係するのですけれども、ここに大学共同利用機関のことも書いていただいて大変結構なのですが、どうしても一つ欠けていると思っている視点がありまして、ネットワークや共同利用をするのは、個々の大学のためだけではないのです。個々の大学のためになるのですが、それはやはり、日本全体の学問レベルを押し上げる、研究環境を押し上げるという視点があるのです。そのことがここにはどうしても出てこない。私はそういうことを個別意見で申し上げましたが、入ってこないのです。私は別のところでも、個々の法人同士の競争、競争、競争と言うのは非常に危ないですよということを申し上げていますが、競争をある程度するのは結構ですが、それ以外に、日本全体を押し上げていくという視点がどうしても必要なのだと。大学共同利用機関はまさにそういう視点でやっているわけです。そういうことは大学に対して言っていただきたいなと思う。ですから、6ページの4ポツの上のところに、例えば我が国の教育研究を全体として発展させるといった言葉を是非入れていただきたいと思うわけであります。実は、21ページも同様な部分があります。
  それからもう一つは、10ページ目を見ていただきまして、大学共同利用機関法人についての重点支援というのが11ページにマル1、マル2、マル3とありまして、それぞれ理由があるのですが、ただ、今、大学に関してあった議論とやや似たところがあるのですが、重点支援1とあるのは、これは実は、大学共同利用機関であれば、全部やるべきことなのです。当たり前なのですよ。ですから、これ、どれか一つ選べといったら、1を選ぶしかないのです、大学共同利用機関は。それは非常によくないのではないかと。2なり、3なりをやりたいところはあるわけだから、ここで一つだけ選べというやり方をやられると、非常に困るであろうということを申し上げておきます。
  先ほどからここでの議論で複数もありだという議論がありますが、これを読む限りは、そういうことは一切書いてございません。そのことは、先ほど御説明があったように、出した前提としては、一つを選ぶということを前提で書かれているというのは明らかなのです。だから、私は先ほどから申し上げている。そのことは是非是非考えていただかないと、非常に窮屈なことになります。
  それから、3点目、これで最後ですが、有川委員がおっしゃった面は、学長に対して余り細かいことを言うなよということはあるとは思う。ですから、私も、22ページに書いてあることを全部細かくやるというのは、余りよくないなと。ただ、そうかといって、どうぞ自由にやってくださいと言うと、今度は、それをどういう視点で評価するのか、批判するのかという点で恣意的なものが入ってくるおそれがありますから、私はやはり、基本的な方向性はそこにあるべきだと思うし、これは大学あるいは大学共同利用機関の改革という視点でやっているわけですから、そういう視点の項目はかなり大くくりにしてあるべきであろうと思います。
  そういう中に是非何らかの形で入れていただきたいことは、共同利用拠点及び大学共同利用機関との関係です。例えば、大学共同利用機関ないし共同利用拠点が一生懸命頑張っても、大学がそれをちゃんと評価して受け入れなければ、実はどうにもならない。現時点はそれに近い状況であります。つまり、大学のマネジメントが、共同利用という面での評価、自分の大学は何をしているか、どういう貢献をしており、あるいはどう利用しているかという視点がほとんど、残念ながら、ないのが現状です。ですから、私は、学長の視点としてはそのような、大学の枠を越えた共同利用、連携、そして、特に重要な大学においては全国を見渡したような視点というものを是非ここに入るような形にしていただきたいということを申し上げておきます。
【須藤座長】    最後におっしゃったことを、22ページに入れると。
【海部委員】    これを見ると、ここの並びの中にもうちょっとそれを付け加えろというふうには私も言いにくいですけれども、そうではなくて、学長の裁量に関する評価指標等の視点をある程度大くくりな形でまとめると。ここに書いてあるようなことでいいと思うのです。だけれども、ここに欠けていることとして、今申し上げたようなことがあります。
【須藤座長】    分かりました。
  私も座長として、今日、どうしても議論したいのは、先ほど海部委員から御指摘のあった、11ページの1、2、3、これは余り議論されてないのですけど、あえて今日出てきていますので、是非意見をお聞きしたい。もう一つ、最後に言われた学長の裁量のところも、最初に有川委員の方から意見があったのですけど、それ以来余り出ていませんので、その辺ももう少し意見を聞きたいと思っています。そのほかでも結構ですけれども、その辺を重点的にお願いします。
  橋本委員、お願いします。
【橋本委員】    11ページの共同利用機関法人の方の重点支援についても、私も海部委員と同じで個別意見で申し上げたのですけれども、重点支援1のところだけ最後に「世界最高水準の研究力を強化する取組を支援する」となっていて、2、3は付いてないのはやっぱりまずくて、2も3も世界最高水準の研究力を強化する取組というふうに当然なるものだと思いますので、これは変えていただく必要があるのではないかというふうに、私も強く思います。
  それからもう1点ですけれども、大学にある附置研究所のことがこれには全然書かれてないのですけれども、大学改革の中において附置研究所をどのようにしていくのかというのは、大きな視点になると思います。法人化した後の附置研究所の在り方について、余り議論がされてないような気がいたします。財産としても大きなものですし、あるいは予算の枠組みを決めていく中においても大きなことで、各大学の方といろいろお話しいたしますと、やはり附置研究所はどうあるべきかというのを非常に悩んでおられるような部分があります。それについてもしっかりとある方向性を提示できるようなことが必要かなというふうに思っております。
  以上、2点です。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  有川委員、お願いします。
【有川座長代理】    大学共同利用機関法人のことですけれども、ここに三つありますが、これは当然、一つではどうしようもないと思いますね。それから、今、橋本委員がおっしゃったように、みんなに世界最高水準というのを付けて回るというのも、何を言っているのか分からなくなりますので、そういうのではなくて、例えば3なんかですと、情報・システム研究機構はSINETを持っているわけですけれども、これなんかは、全てのところと関係しているわけでありまして、彼らはここを選ばざるを得ないわけですね。ですから、複数を選べるようにしておけばいい。簡単に、「主として」というところを三つとも省いてしまえばいいのではないかと思います。
  それから、大学の共同利用・共同研究拠点に関しましては、ちょうど11ページの真ん中あたりにも出てきておりますけれども、ネットワークということを言っていまして、そこを中心にして非常に密なネットワークが形成されていると思います。その辺で、大学の共同利用というようなことに関しては十分にやっていけると思います。
  それから、海部委員がおっしゃったこと、私の方で最初に言った件でもありますが、学長の裁量による経費のところというのはそんなに詳細に記述すべきことではないと思います。そうすると、評価が難しくなりますが、「学長裁量」を評価するというのは大変なことです。評価者の資質が問われることです。これは、半端な評価では済まない、そういったものだと思います。評価者にそのくらいの緊張感を与えるということが、今日は申し上げませんけれど、いろんなことを更に深く考えていきますと、実は大事なことだと思うのです。要するに、それぞれの大学に個性を輝かせてもらうことが大事であると思います。そのためには、幾つかの視点を用意して、これを満たすようなことをやれというようなことではなくて、その視点も含めて自分たちで考えてほしいという、そういったやり方がいいのではないかと思います。
【須藤座長】    山本委員、お願いします。
【山本(廣)委員】    何度も発言して、すみません。今、共同利用機関法人の話なので、少し。
  この三つの枠組みについては、今、それぞれ御意見が出て、もっともだと思うのですけれども、それぞれの機構がどれかを選ぶというようなアイデアですね、今日の原案は。これは海部委員がいろいろ詳しいでしょうけど、随分質の違う研究所が一緒になっている機構があります。例えば、情報・システム研究機構なんかは特にそうだと思うのですけれども、国立極地研究所とか国立遺伝学研究所がこんなところに入っていると。一方で、国立情報学研究所や、統計数理研究所みたいなところもある。こういうところが機構としてこの三つの枠組みのどれを選ぶといったときには、随分、中で議論が起きるのではないかなというふうに感じました。もし選ぶのであれば、研究所ごととか、そのようなことになってくるのかなという感じはいたします。
【須藤座長】    その辺は私も議論していただきたいなと思ったところなのですけど、どうですか。事務局の方は、今言われたように、機構として今は考えているのですよね。その中の研究所単位に落とすとかいう発想もあると思うのですけれども。
【事務局】    国立大学の三つの枠組みの方ではいずれか一つの枠組みにより重点支援ということを書いておりますが、ここでは書かせていただいていない表現でございます。大学共同利用機関法人につきましては、各分野のナショナルセンターとして大学共同利用機関の特性に応じた研究機能の強化を図るというような観点でございますので、ここの重点支援のマル1、マル2、マル3、それぞれちょっと重複があるのではないかということでございますので、表現の工夫は当然必要だと思いますが、それは、各機構というよりも、今御指摘ございましたような、各研究所、あるいはその機能という観点から複数選択するということも含めてあり得るのではないかというふうに思っておりますので、御意見を頂いた趣旨で考えさせていただくということもあるかと思ってございます。
【須藤座長】    ほかにございますか。どうぞ。
【有川座長代理】    そうしますと、大学の方の学長の裁量とかリーダーシップとかっていうのは、機構に関しては機構長のということになっているのですけれども、法人化に当たって、今御指摘ありましたように、かなり無理してまとめたようなところがあって、さっきおっしゃった情報・システム研究機構の方はデータの発生源と処理をするのが一緒にあって、これほど美しいものはないと私は思っているのですけれども、機構長のリーダーシップだけではなくて、機関法人に関しては所長のリーダーシップというのも大事になるのではないかと思います。それを言うと、大学だったら研究科長のリーダーシップというような話になるだろうと思われるかもしれませんが、それとこれとはちょっと違って、できたいきさつが違うので、大昔までさかのぼれば似たようなものだということはあるかもしれないけれども、所長のリーダーシップというような視点をちょっと入れておけばいいのかなと思います。
【須藤座長】    海部委員、お願いします。
【海部委員】    それはまさにおっしゃるとおりで、先ほど出たような、例えば重点支援マル3というのは、今、これに当てはまるところはどこかというと、国立情報学研究所のSINETしかない。そうすると、国立情報学研究所が属している情報・システム研究機構はどうすればいいのだと。ほかのところは全然違うことをやっている。ですから、これは不可能なのです。だから、私も見落としましたが、前のページに「各法人が自ら選択した」とあるのは非常にまずくて、実は、大学共同利用機関は、法人化される前は一つ一つが国立大学と同じ資格だったのです。私、それは当然だと思うのです。全く性格が違うものですからね。それが、ああいう形で法人になったために、そうでなくなった。だから、そういうことは十分配慮していただきたいということと、さらに、研究の状況を踏まえて、先ほど申し上げましたけど、最低限、例えば重点支援1と2と3のどれかを選べとかいうことではなくて、もっとフレキシブルな重点の志向の仕方を考えていただくことが、本当に有効な改革につながるだろうと思うのです。
  どうもありがとうございました。
【須藤座長】    ほかにございますか。いかがでしょうか。
【有川座長代理】    そういうことですと、つまり、大学の方の1、2、3の気持ちというのは、本当によく分かります。あらゆる観点から考えさせていただいたつもりでおります。ただ、さっきも言いましたように論理的に少し気持ちの悪いところがありますので、ディスジョイントになるようにしておいて複数選ばせてウエートを付けておきますと、結果的には意図されたような方向に行くのではないのか。その次の段階でもうちょっと明確な方針を出すということもあるのかなというふうに思います。そういうことじゃなくて、もし、1の中に2も入れた、あの表現がすばらしいのであるということであれば、分かりやすいですから誰だって気付くわけでして、私みたいなことを言う人間も絶対いると思いますので、そうしますと、考えられるのは1と3なのですね。1と3を一緒にしたようなものを入れて四つにして、そのうちのどれか一つを選ぶというのであれば、全然問題はないと思います。
【須藤座長】    ありがとうございました。最後に言われたのは、大学共同利用機関法人の分類じゃなくて、もとに戻ったお話ですね。
【有川座長代理】    ええ、国立大学法人の方の話です。大学共同利用機関法人の方は、今、海部委員がおっしゃったようなことだろうと思います。
【須藤座長】    ありがとうございます。
  もう一つ、橋本委員が言われた附置研究所の話は、何か御意見ありますか。一言入れておけばいいだろうということでよろしいですか。
【橋本委員】    一言というか、これは今後の議論の中で、事務局の方で少し詰めていただく必要あるのではないでしょうか。
【事務局】    今回は、国立大学法人あるいは大学共同利用機関法人という枠組みで書いておりましたので、十分書き込んでいない面があったと思ってございます。その点については、改めて検討させていただければというふうに思ってございます。ありがとうございます。
【須藤座長】    上山委員、お願いします。
【上山委員】    附置研究所の話は、橋本先生に前からお聞きしたいなと思っていたのですけれども、つまり、大きな研究大学がかなりの数の附置研究所を持っていて、かつそれはどちらかというと共同利用的な役割も果たしているところもあるわけですね、大学を超えて。その意味では、大学共同利用機関とよく似た性格を持っているところもあるわけですね。もともと、大学共同利用機関というものがそういうところから出てきたという歴史もあるというふうにお聞きしましたし。そうすると、大学改革を進めていったときに、東京大学など大きなところが持っている附置研究所の公共的な役割というのをどこまで拡大していき、別の役割をそこに付与するのかということを考える時期が来る、そういうこともあるだろうと。恐らく、そういうところを持っているところというのは、幾つかに限られますよね。東京大学を中心としたところに。橋本先生なんかはどういうふうにお考えですかね、方向性としては。
【橋本委員】    これはそう簡単にお答えできない部分はあるのですけど、今、上山先生が言われたように、附置研究所の中には、大学共同利用機関的なものもあるし、そうじゃないものもあって、かなり混在しながら、法人化以前の形をそのまま引きずっているという実態があります。ですので、今、国立大学法人の役割等々を議論していく中で、ここはしっかりと再編成する必要があるだろうというふうに、私は思います。ただ、それは各国立大学法人の中の一部機関として入っているので、大学に任せておくだけではなかなか、今言われたようなことは進まないですね。ですので、こういう全体的な議論の中にしっかりそれを入れ込んで方向性を出す必要があると、こういうふうに思っている次第です。
【海部委員】    少しよろしいですか。
  よろしければ付け加えさせていただきたいのですが、今出ているのはまさに、ある意味、私たちもずっと気に掛けながら来た部分で、法人化したときに、それは非常に大きな問題になったわけです。各大学の附置研究所であるところは、おっしゃるように、大きいところはほとんどが完全に共同利用です。だとしますと、そういう活動は法人としてどう評価するのかという問題が、そこで直ちに生じたわけですね。ですから、事務局も非常に心配されて、科学技術・学術審議会では共同利用ということを大学の活動として評価できるようにしようという方向でずっと議論をしました。その結果として出てきたのが共同利用・共同研究拠点という考え方で、それがはっきりした体制的に整理された状況なのです。そこで今回のような運営費交付金の問題が出てくると、またさらにその問題が浮かび上がってきているという状況にあると思うのです。ですから、私たちも、大学共同利用機関のことなんかに関しましては、研究環境基盤部会というのがございまして、ずっと議論をしてきているわけですが、やはりそこでも、大学共同利用機関の在り方、それから大学附置の共同利用研究所をどうするのかと。
  かつては、大学附置の共同利用研究所が大学共同利用機関になって出ていくということが、多々あったわけです。例えば、私の国立天文台なんかはまさにそうです。東京大学東京天文台が国立天文台になった。そのおかげで天文学は、非常に大きな、強い立場を獲得したわけです。同じようなことは幾つか起こったわけですが、ここしばらくは全く起きてないのですね。それは、一つには大学共同利用機関というものを新設するということ自体が難しくなった。とにかく新しいものは作らないという方向がはっきりしてきた。それで非常に難しくなった。それからもう一つは、法人化しますと、今度は逆に大学が離さない。立派な共同利用研究所を離したら評価が下がるということで、離さない。そういうジレンマに、今は立たされているのです。
  ですから、この問題をどうしていくかということは、何度も申し上げて恐縮ですが、日本の学問・研究をどうやっていくかという全国的視点に立たなければ、決して解決しない問題なのです。ですから、少なくともそういうことをこういうところでも入れていただくと同時に、やはりちょっと長期的な視点でしっかりした議論が必要だと思います。事務局の方でも、そういうことをずっと考えられておられるというふうに思います。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  もう少し時間がありますので、どんな話題でも構いませんので。山本委員。
【山本(眞)委員】    これからの話なのでしょうけれども、二つお願いしたいのは、一つは、資料1の2ページにありますように、従来、大学改革促進係数から財源捻出した部分と再配分した部分の関係が不明確というふうになっていますけれども、次回は是非、この関係を明確にしてほしい。うちの大学から幾ら取れて、幾ら返ってきたかというのが、ある程度分かるような形にしていただきたい。
【須藤座長】    それは過去のデータのことですか。
【山本(眞)委員】    過去のデータというか、第3期以降です。大学改革促進係数で削減するわけですね、各大学から。
【須藤座長】    削減するとは。
【有川座長代理】    それはここで議論する。
【山本(眞)委員】    財源を捻出すると書いていますから、それと再配分した金額というのは、今までですと、何でこういう金額になっているのか、改めて概算されたものを分析しなければ分からないところがあったので、是非、関係を明確にしてほしいということ。
  それと、評価ですけれども、それぞれ予算に配分する評価、これが中期計画や年度計画の評価と別個に行われると、ここにも書いていますけれども、非常に負担が大きくなりますので、できれば、そういった重点配分の評価であるとか学長の裁量による経費の評価は、年度計画なり、3年ごとですか、そういうものの一部として取り入れて、できるだけ事務的な負担を減らしてほしい。更に言えば、来年度から業務方法書というのはかなり詳しいものを提出しなきゃならないわけで、ここでは学長の裁量による経費の評価指標にあるようなものがたくさん羅列されていますので、できるだけこういう重複というのを避けてほしいということです。
  要望です。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  山本委員、お願いします。
【山本(廣)委員】    今日は何度も発言して、すみません。あと1分か、2分ぐらい。
  私、最初の有川委員のガバナンスの話で学長の裁量による経費の評価のことについて申し上げたときに少し言葉足らずだったかなというのは、リーダーシップを発揮しにくい、ガバナンスが効きにくい、こういったところで、これを何とかしようということで、非常に果敢な改革をやろうとされる学長がいて、ところが、多少効きにくいために最初の計画ほどの成果が出ないというケースは恐らくあるのだろう。そういうときに、その学長の評価が非常に下がるわけですね。下がるというか、悪くなってしまう。こういうことになっては改革意欲というのは薄れてしまうから、取組に対する評価であって、そういう取組に対して評価をしていくと、こういうふうなことでやっていくのではないかなということを申し上げた。もちろん実績評価も必要な部分については必要ですけれども、主として取組に対する評価ということの方が大事じゃないかなと、学長の裁量による経費の評価は。
【須藤座長】    有川委員、お願いします。
【有川座長代理】    お気持ちはよく分かります。ですが、取組と、実績を出すというのは、全然違います。取組なんていうのは、いかようにでもできます。ですけど、大学の構成員の皆さんを納得させて、結果を出すというのは、全く違う話です。ですから、そういったようなことに基づいて新たな取組を提案するということでなかったら、単に作文するだけではないかと、こういった思いで言っております。
【山本(廣)委員】    一言だけ。もちろんそうなのですよ。だけれども、それは非常に難しいからこそ成果が問われるわけでありますけれども、中期目標期間の半分ぐらいのところまでで成果が出てくるかと、そういうことをちょっと申し上げた。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  ちょうど時間になりましたので、本日はここまでとしたいと思います。
  先ほど海部委員からもありましたけれども、次回までに中間まとめの案を出したいと思っております。きょう、皆さんから頂いた意見をもう一度精査して、次回に中間まとめ案として提出して、また議論をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  それでは、最後に、事務局から日程等の連絡をお願いいたします。
【事務局】    長時間にわたりまして、御議論ありがとうございました。日程につきましては、資料2にございますとおり、次回第8回を3月26日木曜日の14時から予定しております。正式な開催案内は別途お送りさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  以上でございます。
【海部委員】    質問なのですが、よろしいですか。
【須藤座長】    どうぞ。
【海部委員】    中間まとめ案は、その後、どういう扱いになりますか。パブリックコメントに出されるのでしょうか。
【事務局】    中間まとめ案は、次回のご議論を経て取りまとめいただければと思っておりまして、このまとめの案は一旦、中間まとめとして公表させていただき、また、各大学にもお送りさせていただきます。今、各大学で28年度からの中期目標・中期計画などの検討もしていただいておりますので、その参考にもさせていただくために、そのような扱いをさせていただきたいと思います。
【須藤座長】    パブリックコメントは入ってないのですか。
【事務局】    パブリックコメントにつきましては、その手続を要しないものだと思っております。制度改正とか規制が入ってまいりますときにはそういうものが必要でございますけれども、これは飽くまで議論のまとめという形でございますので、パブリックコメントはないと思っています。
【須藤座長】    それでは、本日はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

――  了  ――


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