実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議(第6回) 議事録

1.日時

平成26年12月11日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

中央合同庁舎第4号館1階 全省庁共用108会議室

3.議題

  1. 新たな高等教育機関の基本的方向性について
  2. その他

4.議事録

【黒田座長】  所定の時間になりましたので、まだ数名の委員の方が未着でございますけれども、ただいまから始めたいと思います。実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議第6回を開催させていただきます。本日は、お忙しい中御参集いただきまして、ありがとうございます。
 本日は、前回に引き続きまして、新たな高等教育機関の基本的な方向性について御議論を頂くということになりますが、特に質保証の問題、質の在り方について御議論を頂くことになります。
 なお、本日も報道関係者から会議全体の撮影、記録という申出がありますので、これを認めております。御承知置きいただきたいと思います。
 それではまず、本日の配付資料について、また委員の出欠状況について、事務局から御確認をお願いします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、本日の配付資料につきまして確認をさせていただきたいと思います。資料は、資料1から資料3までの3種類、参考資料が参考資料1と2の二つを御用意してございます。
 具体的な内容は後ほど御説明させていただきたいと思いますけれども、資料1は、教育再生実行会議の第五次提言を踏まえた基本的なイメージの資料となっております。それから、資料2は岡本委員の提出資料、それから、資料3は各学校種の法令の規定とか基準を比較した表となってございます。また、前回提出しました、これまでの議論で指摘された主な論点につきまして、参考資料1として同じものを提出してございます。また、参考資料2は、大学設置基準他各学校種の設置基準を集めた資料となってございます。
 なお、資料1は2枚物になっておりまして、併せて資料1ということで御確認頂ければと思います。資料の不足等がございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。
 それから、続きまして、委員の出欠についてでございます。本日は、青山委員、金子委員、鈴木委員、仙波委員が御欠席となってございます。以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 それでは早速、議題の審議に入りたいと思います。前回に引き続きまして、事務局で取りまとめていただきました参考資料1の(3)と(4)、両方とも質保証でありますが、企業等との連携による実践的な職業教育の質の在り方について、それから、高等教育機関としての教育の質の保証をどうするかという問題、この二点に絞って御議論を頂きたいと思います。まず、事務局から資料1について説明をお願いいたします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、資料1を説明させていただきたいと思います。表題で「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化について」、副題としまして、「教育再生実行会議の第五次提言を踏まえた基本的なイメージ」というものを用意させていただいております。
 中身でございますが、最初、1枚目の上半分は、教育再生実行会議の五次提言の抜粋となっております。(1)は、新たな高等教育機関を創設する目的と致しまして、社会・経済の変化とか、それに伴う人材需要に対応した質の高い職業人を育成するといったこと、それから、専門高校卒業者の進学機会や社会人の学び直しの機会の拡大に資するために、国は、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関を制度化するということが目的として提言されております。加えて、これにより、学校教育において多様なキャリア形成を図ることができるようにし、高等教育における職業教育の体系を確立すると、教育再生実行会議の五次提言でこうした新たな高等教育機関の創設の目的が示されてございました。
 また、(2)と致しまして、新たな高等教育機関を創設するという提言をするに当たり、既存の学校種の課題として幾つか提起されていたものを抜粋してございます。一つ目は、大学や短期大学は学術研究を基にした教育を基本とし、企業等と連携した実践的な職業教育を行うことに特化した仕組みにはなっていないということ。二つ目として、高等専門学校は中学校卒業後から5年一貫教育を行うということが特色でございますので、高校卒業段階の若者や社会人については十分対応していないということ。それから、三つ目として、専門学校は教育の質が制度上担保されていないこともあって、必ずしも適切な社会的評価を得られていないといった課題が指摘されてございました。
 本日の議論に資するように、今の教育再生実行会議の提言や指摘されていた課題をまとめますと、下にありますように、新たな高等教育機関が備えるべきと考えられる特色と致しまして、一つ目は、社会・経済の変化に伴う人材需要に即応できる仕組みとすること。二つ目として、質の高い職業人を育成できる仕組みとすること。また、三つ目として、企業等と連携した実践的な職業教育に重点を置いた仕組みとすること。四つ目として、高等学校卒業段階の若者や社会人に対する職業教育に対応すること。五つ目として、教育の質を制度上担保し、社会的な評価を得られるようにすることが、提言からうかがい知れる、備えるべきと考えられる特色ではないかということで用意をした資料でございます。
 さらに、この特色を踏まえまして、2枚目の資料を御覧頂きたいと思います。実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度設計のイメージとして、先ほどの五つの点を踏まえながら、(1)の中に大きく三つにまとめてございます。
 1)は、職業実践的な教育を行う高等教育機関としてふさわしい要件とするということでございます。どのような高等教育機関にするのかということにつきましては、金子委員から御指摘のあった、大学の体系の中にするのか、あるいは独立したものにするのかといった点は次回に議論をしていただくところかと思いますけれども、いずれの形になるにいたしましても、職業実践的な教育を行う高等教育機関について1条校の範囲の中でふさわしい要件はどういったものかということを御議論頂く必要があろうかと思ってございます。
 具体的な内容と致しましては、教育課程、単位数とか、あるいは教育方法、それから、教員数、施設・設備といったところが挙げられると思います。こうした個別の内容を踏まえまして、実践的な職業教育を行う高等教育機関としてふさわしい要件は何かということを検討していくということでございます。
 2)が、教育内容・教員については実践的な職業教育を行うものとして構成し、産業界のニーズへの対応を重視するという点でございます。これは教育課程や第三者評価に産業界に関与頂くといったことや、博士号の保有等よりも実践的な専門性を重視して実務家教員を積極的に登用することなどが挙げられるのではなかろうかと思っております。
 また、3)は、質保証システムを確立し、修了者の社会的・国際的な評価や円滑な就職・進学等を確保するということです。質保証という意味では第三者評価の在り方、また、学位や称号の付与の在り方、そして、大学への接続、編入学とか大学への進学を可能とするといったことが必要になってこようと思ってございます。
 こうした三つの柱が制度設計の基本の部分になってくるかと思っておりますけれども、さらに(2)では、制度設計の方向性のポイントと致しまして、実践的な職業教育の特徴を踏まえて、どのような方向にするかということを案としてお示ししてございます。
 その実践的な職業教育の特徴に関しましては三つほど挙げております。一つは、実践性の水準を維持するために、最新の知識・技能等に即応する必要性が高いといったこと。それから、二つ目が、就職先である企業等のニーズに対応する必要から、各学校に求められる教育内容・手法等も極めて多様であるということ。そして、三つ目としまして、教育の質の適否につきましては、その成果を実際の現場で評価する企業や実務家等によって判断されるべきということです。特に実践的な職業教育の側面としては、一つ目にありますような変化への対応といった面、それから、二つ目の多様性への対応、そして、三つ目の実際の現場の方々によって質を見ていただくことが必要であろうということを特徴として挙げてございます。
 したがいまして、これを踏まえると、新たな高等教育機関では、多様化する企業等のニーズに対応して実践的教育の質を確保していくために、企業等の参画を得ながら教育の質を確保できる体制やプロセスを確立する、それによって質を確保するということが必要なのではなかろうかということをお示しさせていただいております。
 具体的には、若干繰り返しになりますが、教育内容に関しては、教育課程編成へ企業等が参画するといったこと、また、指導者に関しましては、実務家教員を一定割合配置するといったこと、それから、事後評価に関しましては、評価に企業等の参画を頂いたり、あるいは専門分野別の第三者評価などをすることで、実践的な職業教育としての質を確保するといったことが必要ではなかろうかと考えてございます。
 一方で、例えば次のような要件については、新たな高等教育機関の目的を踏まえまして、柔軟な設定を検討してはどうかということです。例示と致しましては、一つ目に、教員の資格に関しては機関の目的に応じて適切な要件を考えることです。特に広く実務経験者の中から教育的指導力のある者を任用できるようにするといった視点とか、最新の知識を備えた実務教員を実務との兼務により確保し、必要教員数にもカウントするといったような視点も必要かと思ってございます。
 また、最後、校地・校舎面積などにつきましても、機関の目的に応じた適切な要件を設定するということで、その機関の特性を踏まえるとともに、定量的・定性的な規定の仕方などを踏まえながら適切な在り方を検討するということが考えられるのではないかと思います。
 本日の職業教育としての質の保証あるいは高等教育機関としての質の保証といったときに、1枚目、それから、2枚目に掲げました五次提言を踏まえての制度設計のイメージを御議論のたたき台としてお示しさせていただきましたので、御参考にしていただければと考えてございます。私の方からは以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。随分詳しいイメージ案が出ておりますので、議論の参考にしていただきたいと思います。
 それでは引き続きまして、この議論に関連して岡本委員から資料の提出がありますので、御説明をお願いします。
【岡本委員】  資料2に基づきまして、簡単に御説明させていただきます。既に第2回目の有識者会議で発表させていただきましたし、その後の議論ということで既に出ている論点がありますが、それを整理させていただいたということでございます。
 「企業等との連携など、実践的な職業教育としての質の確保に関すること」ということで、左側がこれまでの議論で指摘された主な論点ということでございます。右側の二重丸が、職業実践専門課程の要件となっているもの、それから、丸が専門学校の実態ということであります。
 まずは、実務経験のある教員につきましては、その下の矢印、最新の実務能力を有する教員を確保するには、専任と同時に積極的に兼任教員の活用も認める必要があるのではないかと、これが一つの論点でございます。
 教育課程の編成における企業等の参画、これにつきましては、既に教育課程編成委員会等をやっておりますが、企業等が参加する委員会の設置が必要であると。
 実習・実技等をどのように取り入れるべきかと。これも、企業等と連携した実習等を重視する。割合については、やはり分野ごとの特性に配慮する必要があると。
 企業等と連携した教員の研修をどうするかと。これについては、企業等と連携した研修ですね。これも職業実践専門課程で既に実施しております。
 学校評価の在り方。これは自己評価、学校関係者評価、そして、これからの課題である第三者評価と、その中で企業の参画をどうするかと。これにつきましても、企業等から参画する委員会等による評価や積極的な情報提供が必要であるということで、これも職業実践専門課程で既に実施しております。
 それから、第三者評価につきましては、これは今、研究課題ということで文部科学省の委託事業等で分野別に研究がされておりますが、分野別の評価は必要であって、それについては今後の検討課題ということでございます。
 それから、企業等との協働、個別企業と業界代表性との関係の問題については、やはり特定の企業に著しく偏らない配慮をするということともに、卒業生の就職先など地域との関係等も考慮することが重要であると。
 以上、簡単にまとめさせていただきましたので、また必要に応じて御覧頂ければと思います。以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまから、論点3、企業等との連携による、実践的な職業教育の質の確保をどうするかという問題について御議論を頂きたいと思います。今日は冨山委員が御出席頂いて、第1回目のときに産業構造の変化とか労働市場のパラダイムシフトについて御提言を頂いておりますが、今、参考資料の3番目の企業との関係における職業教育の質の保証の在り方に関して何か御意見ございましたらお願いします。
【冨山委員】  ありがとうございます。なかなか出られませんで申し訳ございません。今日はやっと出られて大変光栄に存じます。
 今せっかく御指名頂いたので、ある種、産業界といいましょうか、企業サイドから見て今回のテーマについて本音ベースでどういう視点を持っているかというと、それから、全体的にこのテーマについてどうかということをさらさらと申し上げたい。
 最初に出したペーパーにも書きましたが、現状、産業界全体の姿というのは、雇用の80%がどういう企業が支えているかというと、中小企業が支えているわけです。いわゆる大企業ではありません。これ、どんどん大企業の比率が下がっていまして、どちらかというと、データを追いかけたら、25年ぐらい前は多分上場企業は25%ぐらいの雇用比率だったのですが、今、大体、10億円以上の上場企業の雇用というのは十七、八%まで下がってきていて、実態は圧倒的には中小企業が雇用、求人の主体になっています。多分、現状の求人倍率の推移を見ても、景気回復で先に上がってきたのは中小企業の方で、大企業はゆっくり上がってきているという実態があります。
 それから、もう一点、産業分類なのですが、どちらかというと、職業訓練的な話をするとマスコミはすぐ製造業の現場の話をするのですが、これも実は実態とずれております。現状、製造業で働いている人たちの数は、御存じのように20%ぐらいにすぎません。80%は非製造業、サービス業であります。今の求人動向を見てもこれは割と明白、多分このデータは皆さん把握されていると思いますが、これだけでアベノミクスで今ほぼ完全雇用の状態で求人数が非常に上がっておりますが、いわゆるクラシックな大企業のホワイトカラーの終身年功的な職場、すなわち、一般事務職の求人というのは、多分いまだに東京でさえ1を切っているはずで、0.6とか0.7だと記憶します。地方に参りますと0.3ぐらいです。
 ところが、いわゆる士業・師業、運転士、介護士、看護師、あるいはもっと広く捉えると保育士もそうです。それから、建築分野でも、どちらかというと技能職、鉄筋工であるとか、そういったいわゆる士業に属する企業というのは既に2とか3とかという猛烈な求人倍率になっています。ただ、これはずっと歴史的に高くなってきた経緯があって、要は、一般事務職の求職はなくなってきているのです。これもある種、産業構造的にそうなってきてしまっております。これは実は8割の世界で、実際、今、雇用と高等教育のミスマッチが甚だしく起きているというのがまずベースとしてあります。あの資料はそれを申し上げたかったので。
 大体、経済界というとどちらかというと大企業の人が出てきてしまうので、どうしてもどちらかという一般事務職的なグローバル人材とかという話になるのですが、私自身が実は東北地方でバス会社をやっていたりするものですから、東北地方で4,000人近くの雇用を持っております。あとは、ホテルなんかもやっております。今、地方創生の議論がありますが、地方に行ってもそうですし、あるいは日本全体で今、そういう求人構造になっていますので、実は企業等といってもいろいろな企業がございます。これ、過去にもこの議論が上の方にあったようですけれども、要するに、どういう求人が現実に存在して、どういう求人が今後増えるのかと、やっぱりこれはリアリティーに目を向ける必要があります。そういった意味でいうと、今こういう議論をしていることには私は大賛成なのですが、そこが非常に重要であるということが一つ。
 それから、スケール観でいうと、これも資料で述べたことなのですが、8割の世界がそうなってきているということは、実はもう大学自体どうなんだよという話になるわけです。要するに、一方で半分の人が大学に行ってしまいます。半分の人が行ってしまう中で、これだけ一般事務職求人がない中で、大学という仕組みを出た人が一体どこへ行くんですかという。これ、ポスドクでさえ、今、仕事がないわけですから、そういった状況の中で実際どういうふうな人材を作っていくのかというのを多分これ、トータルに議論しなければポイントだと、まずマクロ的には思っております。
 期せずして、今日たまたま朝日新聞に近畿大学の大広告が出ていて、俺たちはローカル大学のナンバーワンを目指すんだということを明確に、別に今日私が出るので世耕さんと打ち合わせたわけではないのですけれどもたまたま出ていて、ある意味では私はやっぱり分かっているのだろうなと思いました。要は、本当に世の中の人材ニーズがどこにあって、それに対して、別に大学も含めた高等教育機関がどういうふうにそのニーズにマッチしていくのかということのリアリティーがやっぱり近畿大学は分かっているのだろうなという感じが正直致しました。
 その脈絡で論点(3)について申し上げたいのですが、これは基本的には今日の資料2ですか、ここで出されている方向感で私もそんなにずれはなくて、とにかくできるだけ実務経験のある人間がフレキシブルにその中で仕事をしやすい環境を作るということが大事なのですが、繰り返しになりますが、やっぱり業種の幅をどう捉えるかということが大事です。その中でとりわけ今申し上げたサービス産業の領域というのは、専門職種的な、要するに、技能職種がすごく多くなりますので、その技能職種的な人たちの訓練をどうやっていくかという意味でいうと、むしろそういう産業領域の人にできるだけ来てもらうということが大事だということです。
 それから、もう一点、今のこの技能というのは、何か二流の大学の人が行く世界だから何かすごく古臭くて後進というか、そんなことはなくて、実はこの世界もすごい勢いで進化しています。ですから、例えばサービス産業といっても、もう3年4年たちますとあっという間に技能は陳腐化します。したがって、実はすごく大事なのは、最先端の技能を本当にここで身に付けられるのですかという問いです。
 例えば今、それこそいわゆるコンピュータープログラミングも日々進化で、言語も御存じのようにどんどん変わっておりまして、残念ながら今更C言語を教えてもちょっとつらい感じがあるわけです。ですから、そういったことも含めてどこまで最先端のものが常に新陳代謝しながら、ですから、これも多分教える人も常に最先端の人に新陳代謝していくような仕組みを企業と組んで相当用意しておかないと、変な話、企業の中で役に立たなかった人がロートル的にここに教えに来るというモデルだと、教わる側からすると全然役に立たないことを教わることになってしますので、そこは是非工夫してほしいなと思うところです。
 それから、この裏返しの議論になってしまうんですが、ちょっとくどいようで申し訳ないのですけれども、資料2でいろいろなことが書いてありますが、これ逆に吉田さんとかに質問したいのですけれども、実はこういう話は、要は、企業側の実務的な人が大学でもどんどんもっと教えてほしいなというニーズが多分産業界にはあると思うのですけれども、その辺はどんなものなんでしょうねという、そういうことは難しい、何かやりにくい事情が大学側には逆にあるのかなというのは一つ疑問として湧いています。
 それから、例の教育再生実行会議の議論にあえてまた触れますが、(2)のローマ数字3かな、専修学校専門課程(専門学校)は、教育の質が制度上担保されていないこともあり、必ずしも適切な社会的評価を得られていない、などの課題とありますが、これ、本音で言います。産業界、経済界の本音で言ってしまうと、大学の大半も同様です。採用する側はちっともそんなことは思っていません。大学の恐らく3分の2ぐらいに対しては、大学の教育によって質が担保されているなんて採用する側は全然思っていません。これが本音です。こういうことは産業界の人は建前で、こういうところで余り言わないので本音を言ってしまいますけれども、腹の中ではそう思っています。
 なので、実はこの問題は、ここに書いてあることはほとんど全部そのまま大学にも当てはまる、私の申し上げているL型大学にも当てはまると思っています。要は、くどいようですけれども、教育再生実行会議のローマ数字1、2、3は何を言っているかというと、実は産業構造の変化に対して、全体として高等教育が輩出すべき人材の中身とニーズとの間にものすごく大穴が開いているということをここで言っています。そういった意味合いでいうと、とにかくこの議論は私、大賛成なのですが、この議論の中にやっぱりこれ、最終的には私はこういった教育観がちゃんと整備されるとすれば、大半の大学も同じことをやるべきだと私は思っているので、その脈絡で是非とも議論が具体化することを私としては望んでおります。
 とにかく繰り返しになりますが、結局のところ、本当の実践的な職業教育訓練をしていくということを高等教育がやってくれているとすると、ここのある意味での審判というのは割と明確に下されると思っています。要は、これは就職です。就職率あるいは就職の中でどれだけよいところに就職できているかということで私は割とこれは市場が多分決めていくと思います。学生さんは最近ばかではないので、すごくよく見ています。皆さんも御存じのように、やっぱり今、例えば大学でも、仮に偏差値50前後以下で人気がある大学というのは、要は、こういうことをちゃんとやっている大学です。学術的な一般教養なんて誰も気にしていません。これは多分専門学校の世界でも私は同様だと理解しております。
 これについて第三者評価も大事なのですが、私はむしろ第三者評価と同時に、ここは開示が大事だと思っています。それぞれの学校がどういうところに就職しているのか。あるいは、できればその初任給、賃金までちゃんと開示させれば、これはほぼ自動的に評価がされるように思います。
 これはついでに言ってしまうと、例えばアメリカの大学の場合、これ、ほとんどオープンになっています。少なくとも私が卒業した、これを職業訓練校と言って今、私、ネット上で怒られていますけれども、アメリカのスタンフォードビジネススクールは、あれははっきり言って高等職業訓練校です。高等職業訓練校ではノーベル賞を取った先生が職業的なことを教えているのですけれども、そういう大学ですが、基本的にああいった大学は、どこにどれだけのプレースメント、要するに、就職のパーセンテージと平均初任給を全部開示しています。これでもう厳格にランキングされています。でも、ちゃんとそういった学校でもノーベル賞を取っているのです。この20年間に3人取っています。
 だから、この議論というのは私はすごく大事だと思っているので、第三者評価は大賛成なのですが、企業側から見ると、そういった情報を開示してもらうということが私はすごく有効なような気がしております。以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 吉田局長、何かありますか。
【吉田高等教育局長】  最初の方の質問で、いわゆる実務家教員について。これは資料3の方に各学校種別のいろいろな要件がありまして、その中に教員資格といったところがちょうど真ん中辺りにあります。大学が二つ目の欄にありまして、そこにずっと1から6号までのものがあります。例えば実務家教員ですと、芸術、体育とかそういった分野で特に秀でた人の場合には5号だろうし、それから、6号の方で専攻分野についてというのであったりして、そういうところでは実務家教員を排除はしていないのですけれども、ただ伝統的に大学の場合には、やっぱり上の方の、博士の学位を持っているとかといったものが重視される傾向があって、ある意味では今回の議論はそういった教員組織の在り方についてもやはり新しい高等教育機関の姿に応じて、もっと実務家教員を入れるようなふうにしなくてはいけないのではないではないかということです。
 専門職大学院が一番左側にございます。これについても、例えば法科大学院の場合には、何割以上が実務家教員でなければいけないとか、教職大学院の場合には何割以上でなければいけないとかいうことで、そういう意味ではそういうものを明示して、実務家教員が一定の割合、つまり、アカデミアの方に偏るのではなくて、まさにそういうプロフェッショナルな方を重視するような形の教員構成にすべしという方向で専門職大学院の方の仕組みがなっていますから、そういったものも参考にして、新しい高等教育機関の中で教員の資格の在り方をどうしていけばいいのか。多分、今の大学のものとは少し違った形にしないと意味をなさないのだろうと、こういうふうに思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 よろしいですか。
 それでは、どなたからでも結構ですが、御意見をお願いします。
 はい、麻生委員。
【麻生委員】  教育の質の保証に関わる問題としまして、既存の大学並びに短期大学は、文部科学大臣から認証を受けた認証評価団体があり、法令では7年に1回第三者評価を受けなければなりません。現在すでに第2周期に入っております。私自身は短期大学基準協会の理事並びに第三者評価副委員長をしております。
 その中の基準を第2周期になってから少し変えたのですが、もちろん教育の質の保証が重要であり、この教育の質の保証の中に含まれている一番大きな観点は、学習成果を一番大事にしております。学習成果を様々な観点から測定していくということが重要なポイントとなります。第2周期から、第1回目に発表しましたが、選択的評価基準として職業教育に対する取組も加えられています。特に短期大学基準協会におきましては、学校教育法の中に、「職業教育」と、「実際生活」という言葉が入っており、それを念頭に評価をしております。
 このような評価のシステムにより評価が行われ、7年に1回評価結果が公表されております。そういう第三者評価が全ての短期大学並びに大学に課せられています。これによって教育の質の保証がなされておりますが、現在のところは、機関別です。機関別評価ということで、今後議論がなされる分野別評価に関しても、特に短期大学は職業教育が目的となっておりますので、分野別評価のあり方が必要になってくるのかなという感じはしております。
 また話は少し変わりますが、短期大学には職業教育と、前に申しました学術・学際を基本としていますので、先ほど高等教育局長からお話がありましたとおり、教授の資格の第一に、博士の学位を有し、教育や研究の業績を有する者と規定されております。博士の学位を持っていればすぐ教授になれるかというと、設置審等では、基本的には研究業績を一番見られます。例えば過去5年間にどれだけの研究業績があるかにより、審査される方の職位が決まります。職位は、教授、准教授、それから講師は置くことができるということになっており、そして、助教というのが教育職です。
 ある程度研究業績等がないと教授になれないという現状と、今、私が悩んでいる点は、研究業績を持っている方が実践的な職業教育ができるかということです。これにつきましてはやはりそれぞれの対応をしていかなければいけないと思います。今後、新たに実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関ができることを前提とするならば、それは評価の在り方や、教授制度になるのかどうかはわかりませんが、教員の資格がポイントになってくると思います。その点と、現状の大学、短期大学とのギャップが余りにも大きすぎますと、今の高等教育全体が崩壊するというようなイメージを持っておりますので、そこの議論を第三者評価も含めて是非していただきたいなというのが私の意見です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。他にありましたらお願いします。
 はい、前田委員。
【前田委員】  ちょっと視点が違うのですが、最初に文部科学省から御説明頂いた、資料1の2枚目の実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関のイメージ(案)の中の(1)の制度設計のイメージの3)の「質保証システムを確立し、修了者の社会的・国際的な評価や、円滑な就職・進学等を確保。」の下の山括弧の中に、大学への接続というのがございます。つまり、大学に接続することがどういう意味を持つのかということは、大学と新たな高等教育機関がどういう位置関係になるのかということと大きく関係してくると思うのです。
 例えば現状でいいますと、大学には教養教育というものが、昔のように一般教育として置かなくてもいいですけれども、そういうものがあります。接続して入ってきて学位を取るということは、もともと大学が4年一貫の学士課程という形で教育をするということになっているということと、新たな、職業教育を中心にしてきた人が大学に来て学んで学位を取りたいと思う、それはどういう違いがあるから大学に来て学びたいと思うのかと、この辺の議論がちょっと見えません。何を求めて大学に編入し、1年生から入ってきている人の学位と同等だとみなして出していくのかと、この辺りは少し考えないといけないのかなという気がしております。
【黒田座長】  ありがとうございました。今の大学への接続、これは逆もあるのだろうと思うのです。大学から新たな高等教育機関への接続と。これ、両方を同等に扱わないとおかしいことになると思うのですね。その辺の構築をどうしていくかという、これはこれからの議論になると思いますので、これについて何か事務局の方で答えられますか。
【神山教育改革推進室長】  まず大学への接続と書かせていただいた趣旨といいますか、意図と致しましては、新たな高等教育機関は主に高卒段階の人が入る。入り口においては、そういう意味では大学などとほぼ同等のところをイメージしております。今でも高等専門学校からの編入学とか、あるいは専門学校からの編入学、あるいは短期大学からの編入学といった形で、そもそも大学に接続することが必ず皆さんが通る道ということではございませんけれども、必要に応じて、更に学びたい、あるいは別のことを学びたいといったときに大学に編入学をする仕組みが用意されています。新たな高等教育機関でもそういったことが可能な仕組みである必要があるのではないかということで大学への接続を書かせていただいてございます。
 ここでは、編入学だけではなくて、これは後の議論で、修業年限にもよりますけれども、場合によっては大学院へ進学するといった議論もあり得るかもしれませんし、大学院だけではなくて大学の専攻科などもあるので、広く読めるように大学への「接続」と致しましたけれども、必ず接続するということではなくて、更に学びたいといったケースについての編入学などを主としてイメージをして、こういった言葉で書かせていただいております。以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 他ございますか。
 それでは、内田委員が先に手が挙がっていましたね。
【内田委員】  まず今のいろいろな議論の中で、大学の現状では社会人入学という制度があります。ですから、大学の中には、普通の大学生と同じレベルの人を途中からでも入れるという発想と、それからもう一つは、大学院の場合は、社会人としてそれなりの素養のある人は入れましょうという、この2種類がありますので、今の御説明の中で少し仕分が必要だと思います。そこまでの段階で教養的なものを勉強した能力を持つ方が大学と同じレベルで入ってくるという考え方と、もう一つは、社会で活躍し、それなりの見識を持っている人で、大学院生として受入れ可能と教授会等が判断すれば入れますから、そこは今の制度と余り矛盾はないような気がしております。
 それから、別件なのですけれども、資料2でいろいろ職業教育の方向性を示していただいて非常に分かりやすいと思いました。この中で例えば専任教員で実務経験がどのぐらいあるかというような具体的な例として、実務経験5年以上が70%ぐらいとありますが、高専の場合ですと、現在30%ぐらいです。70%と比べると半分よりやや少ないですが、おおむね対応はしているという印象です。
 それから、一つ飛んで下の方、三つ目のところで、実験、実習、実技の割合が平均35%ぐらいとありますが、高専では23%ぐらいです。3分の2ぐらいですけれども、余り大きなずれはないと思います。それから、演習の方も合わせると約50%とありますが、高専の場合、30%ぐらいということで、これもそう大きな違いはないように思います。
 それともう一つ、全体を通して、職業教育として実技といいましょうか、最先端の技術をどう組み込むかの議論がありますけれども、これはここに入る学生がその前の段階でどういう状況だったかということを考える必要があります。例えば普通高校を出た人が入学して来た場合には、専門教育をしっかりやると全体としてバランスのいい人ができると思います。一方、工業高校とか専門学校等を出た人がここに入学して来た場合には、逆にもう少し一般教養的なことも必要ではないかと思います。
 前回ちょっと申し上げましたけれども、今の教育システムは一般教養からだんだん専門の方に移っていく仕組となっています。一方、高専の場合ですと、早くから一般教養科目と並行して専門科目も一部入れながら、学年が進むにつれて専門科目を増やしていくというくさび型教育を行っています。新たな高等教育機関では、例えば専門を先にやりながら、学年が進んでいくに従って一般教養科目を増やしていくという考え方もありまして、どういう人材をどういうふうに育てるかということとの関連が非常に大事だと思います。
以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 では、川越委員。
【川越委員】  接続という点では、今既に専門士、2年課程卒業生には大学3年への編入が認められているわけでありますけれども、そうたくさん行くわけではないのですね。現状は、基本は専門学校の場合は、完結教育といいますか、そこで終わって社会に出ていって働くということが基本でありますが、ただ、やっぱりふん詰まりにしないというようなことから、高等教育として正式に認知されているわけではないけれども、専門士を得た者については大学3年への編入を認めますよということに今なっていますが、そんなたくさんの数じゃなかったと思いますが、行っていると思います。
 最近の面白い例は、前もお話ししたと思いますが、私どものペットの学校の来春卒業する子が宮崎大学の農学部に編入させていただくことが決まったという例がございます。その場合は、私どもは宮崎大学とそれなりの業務提携等もしている中で、私どもの教えている単位を認めていただいたので受験させていただいたと。この子は優秀な子で合格したというような例もございます。これからは正式にこのような学校種が誕生すれば、単位制にしていくわけでありますので、御認定頂ける中で、やっぱり俺もうちょっと勉強したいよなというのが大学へも行けるというのは大変すばらしいことだなと思っています。
【黒田座長】  はい、どうぞ。
【服部委員】  すみません、よろしいですか。新たな高等教育機関の制度化についてということで、資料1のイメージするところですけれども、一番下の新たな高等教育機関が備えるべきと考えられる特色ということで、このような「仕組みとする」という言葉が二つあるんですね。社会・経済の変化に伴う人材需要に即応できる仕組みとする、それから、三つ目に、企業等と連携した実践的な職業教育に重点を置いた仕組みとする。したがって、例えばこういう新たな高等教育機関というのは、一つ大きな建物を建てて、そこの中で学ぶということではなくて、要するに、産学官が協働して高等教育機関と言われるような仕組みを作るということになるというふうにイメージしているのです。
 そうすると、例えばこれは様々な学修歴を得た人材、これは専門学校とか、それから、特には大学卒、大学での産業教育、職業教育を学んだ者とか、あるいは私が先般説明させていただいたように高等学校の専門高校とか、様々な学修歴を得た者が、ある一定の条件を得てそういうことが学べるところで学修できる。
 例えば一つの考え方として、入り口としてどういう人材を受け入れるかということでは、例えば最低限6箇月以上の産業界での職業体験を持つというようなことを入れる。例えばこれ、高等学校から出るときに、実際の専門高校では優秀な者ほど就職先が決まってしまうのです。そういう者が一旦就職をして6箇月実際に産業界の経験を得て更に何か学ぶというときに、こういう新たな高等教育機関の方へ受け入れられて学べると。その新たな高等教育機関というのは、今持っている現存の高等教育、例えば大学等で行っている研究機関とか、実際の各大学の産業教育を行っている農学部とか工学部とかそういったようなところを活用しながら学べるというようなそういう仕組みですね。そのままではいけないかもしれませんが、それをある程度改変するなりして、先ほど言いましたように、産学官が協働して学べると。
 この選ぶときの、学ぶ人材と、それから、どういうところで学ぶかというところでの接続の部分でのある意味ではコーディネーターという仕組みが必要かと思います。こういう学修歴を得ている、あるいは現在産業界でこういう職業に就いている。さらに、それを職歴を増やすとか経験を増やすためにはこういう研究がしたいというようなもの、そういうマッチングを適切にするためのコーディネーターの役割をその機能として持っていくというか、全体としての新たな高等教育機関としての学びの仕組みを作るというふうに私は捉えているのですが、そのようなことを今後検討する必要があると思い申し上げました。
【黒田座長】  今の質問、大変重要なことなんですね。新しい仕組みとしての制度を作るということと、全く新しい機関を作るということとは違うわけでありますので、その辺の仕分、これはまた次回のところで仕組みの話が出てきますので、そこで議論したいと思います。今日それをやると質の保証のところが飛んでしまいますので、次回でよろしいですか。
【服部委員】  はい。
【黒田座長】  では、前田委員どうぞ。
【前田委員】  すみません、誤解があるといけないので少し申し上げたいのは、職業教育を行う新たな高等教育機関が非常に実践的で高度な職業教育を提供するのであれば、むしろ大学を出た人がその職業教育機関で学びたいということの方がイメージしやすいのです。例えば私も高専から編入する学生の単位認定の業務を委員会としてやっていますけれども、一体どの部分が教養教育に当たるのか、どれだけ履修基準に適合しているのかと一人一人丁寧に見てやっています。ですので、何となく今の議論だと、大学に行ってもっと学びたいというふうに言っている「もっと」の中身が何なのかは議論されていないと思っておりまして、そこが気になるところだということを申し上げたかったんです。失礼いたしました。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 それでは、冨山委員。
【冨山委員】  私も非常に大事なポイントだと思っていて、これ、もしちゃんとこのシステムが機能するとしたら、おそらく普通、大学なんか行きません。これがちゃんと機能しているのであれば、変に編入する子はいないはずです。もっと言ってしまうと、むしろ私も前田先生と同じで、これ、逆だと思います。くどいようですけれども、今の大半の大学の平均的実態で考えたら、例えば採用する側からすれば、どう考えても採用しにここへ行きます。申し訳ないですけれども、現実問題として、漫然と普通の平均的大学で4年間過ごした子をそんなに採りたいと正直、企業は全然思っていないです。学術的な一般教養の教育の有無も関係ありません。もしここで書かれたことを本当にちゃんとやってくれるのであれば、これは100%ここに採りに行きます。私どもの会社も多分そうだと思います。
 学生の側も同じくで、皆さん御存じのように、世の中のことをむしろ学生の方がよく見ています。現実問題として、今、例えば東京大学でさえ理系がどんどん偏差値が上がって、どんどん理系に行く子が増えて、文系はがたがたになっていますよね。これはやっぱり学生も、そのレベルの学生だってばかではないのです。東京大学の文系に行ってもしゃあないと思っているのです。だから、そこはもう明らかにそういうことが起きているので、そういった意味合いでいうと、私もむしろ変にこう何か、やっぱりこの接続の議論の中に、暗黙のうちに、大学が上のものであって、こういう専門技能を教える話というのはちょっと下にある目線の差別感を私は感じています。
 それで、こういう場なのであえてもっと言ってしまうと、私が1回目に出した資料が出されてネット上で炎上しているのですけれども、むしろ炎上してもらおうと思って出したので全然オーケーなんですけれども、そこで大学の多分現職の教員から来た典型的な批判が、要は、大学教員に技能教育とか職業訓練教育をするということはアカデミズムに対する冒とくだというのが典型的な批判なのです。それは私に言わせれば、こういう専門技能で生きていく人たちに対する冒とくですよ、これ、言うなれば。要するに、アカデミズムをやっている人が人間として何が偉いんだか僕には全然分からない。職業に貴せんはないんです。
 だから、ここの世界観として私は絶対排除してもらいたいのは、何となくアカデミズムの世界でずっとノーベル賞に向かって走っていく人間の方が高尚であって、学術的な一般教養を持っている人間の方が高尚であって、例えば高校を出てうちのバス会社に就職して、バスの運転手を本当の職業的な矜持を持って働いている人をばかにするなということです。そういう感覚がやっぱり大学の人たちにこの国はあるんです。せっかくこういう議論するのだったら、その感覚は徹底的に排除しないと、この国はまともな高等教育が絶対できないですよ。あえてちょっと興奮して言いますけれども、とにかくそういう声が多かったので、本当にめちゃめちゃ頭にきて。
 ついでに言ってしまいますけれども、福島原発の事故のときにあの20キロ圏から人を出したのはうちのバスの運転手なんです。うちの連中がほとんどの人間を全部出したんです。要は、命がけで飛び込んでいって。はっきり言って、その状況下で大卒の我々なんかくその役にも立たないんです。だって、大型第2種持っていないんだから。だから、あの状況下においてはよっぽど人類、社会に貢献しているのは、大型第2種を持っているうちのバスの運転手であって、東大を出た私じゃないんです。
 だから、それがやっぱり基本的にこの議論の底流にあるべきで、ですから、この編入とかいろいろな議論も、基本的にはやっぱりその価値観はそういう価値観を共有して議論しないと全体の議論がゆがむと私も思います。私も前田先生の意見に全く賛成です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 池田委員ですか。
【池田委員】  専門職大学院を持っている大学、どちらかというと職業教育、医療福祉大学をやって、それから、専門学校やって、うちの関連にいろいろ出して、多分二十数年前、25年ぐらい前、アメリカの大学とうちの専門学校と単位認定させて留学生を送ってずっと続けている実際とか、留学生も500人近くいたりしてと、プロトコルを考えていると、まずここの視点で質の担保という意味では、やっぱりグローバルの視点というのがあるのではないかと。
 前もちょっと発言させていただいたんですけれども、要するに、大学と専門学校が議論していると、さっきのお話のように、専門学校は低いものだと言っているうちに、質は高くないんだけど、片や大卒で、片や専門学校卒で国際的には学歴的にはフローするわけですね。いわゆるキャッチアップしている国というのはみんなやっぱり学歴社会というのはリアリティーとしてあるんです。日本の中でもすごくあるのは、例えば地元の新聞で発表すると、新卒を何人採用したかと、大卒、その他なんです。だけど、実際は相当行っている。それで、入学のところを見ても、大学を途中で辞めて、卒業してから専門学校に勉強に来ているのも今、パーセンテージが結構多いのです。十数%とかですね。そういう実態がある。
 編入のところ、例えば上位を大学に期待しないという。だけど、例えば国家試験の税理士とか会計士を学ぶとき、税法は、大学院に行ったりするといわゆる受けなくて、この課程をすれば認定すると、いろいろな制度が彼らの言うように複雑に、やっぱり専門学校は排除されている。専門学校でそういうことをやって、すごく盲腸になっている。
 それはグローバルの視点から考えても、私の発言は、いろいろな資格をきちんとやっぱり民間じゃなくて、できるだけ国として標準設定をして、国際的に対応できる、国として挙げてやるべきところに来ているのではないのではないかと。それは、要するに、日本の子たちはものすごい被害感になりつつあるなという感じがありまして、その時点で教育制度を考えるべきだと考えますと、課題として論点としてまだ相当あるのではないのではないかなという感じがします。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 はい、寺田委員。
【寺田副座長】  論点(3)のことにとどまらない話をするかもしれません。まず接続に関してです。これは3)の実務経験教員の配置の問題と同じようなことがあるのですけれども、どういうことかというと、設計する今回の新しい高等教育・職業教育機関の性格によってこれは違ってくるのではないのではないかと思います。科目にもよるでしょうし、専門分野にもよるだろうと思います。
 それで、やや信仰告白をしますと、やっぱり根幹になっているのは、今日の議論でも、教養教育の問題が一つあるのかなと思っていますけれども、新たに設計する今回の機関というものが、初回金子委員がおっしゃいましたドイツモデルにするか、アメリカモデルなのかというところがかなり決定的な鍵になるのだろうと思うのです。つまり、ドイツモデル、私が紹介した韓国、最近試みている中国もそうですけれども、概してドイツモデルで、教養教育はやっておりません。ドイツなどは全くやっていません。対して、アメリカは、短期であるにもかかわらず、2年若しくは3年であるにもかかわらず、教養教育を3分の1程度というふうに下限を割合において決めています。
 どういうことかというと、結局、短期、2年、3年ですと、やはり先ほど先生提案されました編入という話に当然なってくるわけです。つまり、ディグリーがアソシエートにとどまってしまいますので、フルのバチェラーを取りたいということで当然編入が課題になってきます。ところが、韓国あるいはドイツのように4年制あるいは2年、3年の上に1年積み足すということになりますとバチェラーに到達しますので、編入というのは別に大きな課題にはならないと。完全に編入を閉ざしてしまうということをしない場合は、やや一部は4年制大学に編入していくという場合が韓国の場合ドイツモデルの場合でもあるようですが、というふうに、設計する新機関のカリキュラムと年限、これに関わってくるのだろうと思います。
 恐らく事務局で、あるいはこの間の中教審等でイメージされている実践的な職業教育機関というのは、ややドイツモデルに近いイメージになっていると思っています。さっき冒頭に信仰告白と言いましたけれども、長らくドイツモデルを紹介してきてはいるのですが、さて、本当に日本でどうなのかということをやはり考えなければいけないと思っておりまして、非常に曖昧な言い方をしますが、真ん中を取ったらどうなのかなと思っています。これはどうしてかというと、日本の卒業者に対する採用だとか雇用市場の問題もありますし、それから、現に存在している大学、他の高等教育機関との関係もありますので、うんと専門あるいは実践特化しつつ、一定の教養教育も課しながら、そうすると当然年限も3年から4年という複数のオプションを置いた新しいものがよいのかなと思います。
 本来のテーマである実務経験の教員の問題に関していいますと、そういうことですとおのずとそれは科目によって考えていかないと、一律に実務経験何年以上だとか、例えば教養教育をする人に実務経験を求めるなんていうのはどうもこれは合わないと思いますし、あるいは専門科目の非常に高度な内容を教授するというのに実務経験を求めても意味がない話であって、これはやはり教育課程、カリキュラム分ごとに考えていくということかなと思います。
 一点、この点に関して、先ほど高等教育局長さんが説明されたこともあるのですが、日本の法科大学院あるいは教職大学院で一定割合の実務教員を配置するという、割合、パーセントで決めているというのはどうなのかなと思っています。先ほど言いましたように、やはり基本的には、特に今回の場合は科目の性格において考えていった方がいいのではないのではないかというふうに思います。
 法科大学院も教職大学院に関しても結構いろいろな問題が末端ではあるようですし、本当に必要であれば、それは科目によっては七、八十%ということもあり得るんでしょうし、余りこれは固く何割以上と決めてしまうとかえって身動きがとれなくて、既存の機関がそこにのって移行していくという場合にも問題が出てくるのではないかなという気がいたします。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 はい、どうぞ、樋口委員。
【樋口委員】  資料1について意見を述べさせていただきます。特に2ページ目の制度設計のイメージ、制度設計の方向のポイントというところですが、一般論としては恐らくこういったことになってくるのかなと思います。そして、皆さんのお話を聞いて少し触発されたのであえて言いますと、こういう実践的な職業教育について一般論はなかなか通用しないというのがまた事実としてあるのではないかと。やはり業種によっても、また企業規模によっても、さらには職種によってもそれぞれ求めているものが違っている。具体的に例えばこういうような職業能力を育てるためにはどうしたらよいのかというようなことをそれぞれについてやって、そして、後で横串の横並びの基準をどうするかというような議論の進め方があるんではないかと思います。最初から一般論に入ってしまいますと、皆さん想定している職種がそれぞれ違っているわけですね。
 にもかかわらず、共通のというところから始まっていきますと、なかなかこの議論というのは収れんしないのだろうと思いますので、ここで実践的な職業教育を具体的にどういうような中身を考えているのかというのを議論するという、今までもやってきたところではありますが、それによって多分この要件というのは変わってくる可能性があるんではないかと思います。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 時間の関係で次に移りたいと思うのですが、論点4に入りたいと思います。これについて、事務局の方の資料3で説明してください。
【神山教育改革推進室長】  それでは、お手元の資料3、A3の大きな表になりますけれども、各学校種における設置基準等の比較の表を御覧頂きたいと思います。これにつきましては、大学、短大、高等専門学校、それから、一番左には専門職大学院を並べております。右の方に専修学校のうちの専門課程、いわゆる専門学校と、その中で職業実践専門課程の認定を受けているところがどうなっているかというものを並べた表になってございます。
 まず大学のところの一番上、目的のところを御覧頂きますと、皆様御承知のように、大学に関しましては、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることとなっておりまして、深く専門の学芸を教授研究するということと、それだけではなくて、知的、道徳的、応用的能力を展開するといったところが大学の目的とされてございます。
 その右、短大を御覧頂きますと、深く専門の学芸を教授研究するというところは一緒でございますが、「職業又は実際生活に必要な能力を育成」となってございます。
 また、その隣、高等専門学校に関しましては、深く専門の学芸を教授ということで、「教授研究」ではなく「教授」しという形になり、また、職業に必要な能力ということが明示されてございます。
 一番左の専門職大学院を御覧頂きますと、若干書きぶりは違いますが、学術の理論及び応用を教授研究しということと、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うということで、「教授研究」するということ、それから、「職業を担う能力を培う」ということが書かれてございます。
 若干前後しますが、一番右の専修学校のところでは、「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成」ということが明示されてございますし、職業実践専門課程については、さらに「実践的かつ専門的な能力を育成」ということが明示されているということになってございます。
 また、点線の下のところは、1条校の高等教育機関におきましては、教育あるいは研究を通じまして社会の発展に寄与ということも目的として挙げられてございます。
 その次、修業年限でございますが、ごく簡単に申しますと、大学は4年というのは御承知のとおり、また、短期大学は2年又は3年となってございます。高等専門学校は5年、それから、専門職大学院は2年でございます。専修学校、右側の専門学校につきましては1年以上ですけれども、職業実践専門課程の認定を受けているところは2年以上のものが認定を受けている形になってございます。
 続きまして、学位・称号の部分でございます。大学は学士というのは御承知のとおりですが、短期大学は短期大学士という学位になってございます。その隣、高等専門学校につきましては準学士でございますけれども、学位ではなく称号という位置付けになってございます。同じく右側、専修学校、専門学校のところでは、修業年限等に基づいて、学位ではなく称号ということですけれども、専門士又は高度専門士の称号が条件を満たしたところで出せる仕組みになってございます。一番左側、専門職大学院は、修士ですので一つレベルが違いますけれども、学位規則でいわゆる専門職学位と言われているものが授与されています。
 その下、教育課程に関しましては、大学のところを御覧頂くと、体系的に教育課程を編成するといったことの他に、専門の学術を教授する他、先ほど教養教育の話がございましたけれども、幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養するよう適切に配慮するということになってございます。これは短大も同様でございます。
 高等専門学校のところでも体系的に編成ということになっております。専門学校につきましては、特に職業実践専門課程のところで、これまでも議論がありました、教育課程編成委員会という企業等の参画を得た委員会で編成する形になってございます。
 一方、左側の専門職大学院を御覧頂きますと、体系的に教育を編成するのは同じでございますが、事例研究や現地調査あるいは討論のような教育方法についても配慮することが言及されてございます。
 その下、教員の組織でございます。大学のところを御覧頂くと、これも目的を達成するために、学位の種類や分野に応じて必要な教員を置くというのが基本になってございます。その下のところに授業科目の担当というのがございまして、教育上主要と認める授業科目については原則として専任の教授又は准教授に担当させなければいけないということになってございます。また、演習、実習などにつきましては、なるべく助手に補助させるといった規定もございます。
 また、その右隣、高等専門学校を御覧頂きますと、二つ目のポツにございますように、専門科目を担当する専任の教授及び准教授の数が、一般科目を担当する専任教員の数と専門科目を担当する専任教員の数の2分の1を下ってはならないといった規定に特色がございます。
 さらにその右、専門学校でございますけれども、必要教員の数の半数以上は専任の教員でなければならないといったことが規定されてございます。
 一番左の専門職大学院に関しましては、専攻の種類や規模に応じて教育上必要な教員を置くといったような規定の仕方になってございます。
 その下の欄、教員の資格でございます。准教授などは書き切れませんでしたので、主なものということで教授の規定を引いております。先ほども御議論ありましたように、大学に関しましては、柱書きのところで、教育を担当するにふさわしい教育上の能力が必要だということを前提にした上で、次の各号のいずれかということで、1号では博士の学位を有し、研究上の業績を有するといったこと。2号でも、研究上の業績がそれに準ずると認められる者ということで、研究面のことが書かれてございます。その他、4号では、大学における教授等の経歴があること、あるいは5号では、芸術、体育での特殊な技能に秀でていること、6号では、専門分野について特に優れた知識及び経験を有すると認められる者というようなことが要件となってございます。
 隣の短期大学を御覧頂きますと、1号で博士の学位が書かれているというようなことはほぼ同様でございます。特色と致しましては、4号に、芸術上の優れた業績を有すると認められる者の次に、実際的な技術の修得を主とする分野にあっては、実際的な技術に秀でていると認められる者といったものが規定されてございます。
 その隣、高等専門学校でございます。これも1号で博士の学位を有する者となってございます。研究上の業績を有する者という部分はなくなっておりますが、1号では博士の学位が挙げられてございます。また特色としましては、4号に、学校、研究所、試験所、調査所などに在職し、教育若しくは研究に関する実績を有する者又は工場その他の事業所に在職し、技術に関する業務についての実績を有する者というものが挙げられてございます。
 その右、専門学校でございます。専門学校は、1号では、専修学校専門課程を修了した後、その関係分野におきまして教育研究又は技術に関する業務に従事した者ということになっていまして、当該専門課程にいた期間と業務に従事した期間を合わせて6年以上というのが1号で示されてございます。学位の関係では、2号に、学士の学位を有するということと、2年以上の実務の経験を挙げてございます。
 一番左側、専門職大学院に関しましては、1号では専攻分野について教育上又は研究上の業績を有する者、2号は専攻分野について高度の技術・技能を有する者、3号は専攻分野について特に優れた知識及び経験を有する者ということで、研究上の業績には言及をしているものの、博士号などといったものは明示的には書かれておらないというような形になってございます。
 その下、教員数でございます。ここは非常に複雑なカウントの仕組みになっておりますので、比較のための一例と致しまして、収容定員が200人のケースに限って表に入れてございます。その場合でも分野によって人数に違いがございますので、大学のところを御覧頂きますと、一番少ない分野で17人から多いところで21人以上という形になっております。また、短期大学に関しては、同様に8人から10人以上、そして、高等専門学校では、一般科目担当10人、専門科目担当8人、計18人となってございます。その隣、専門学校につきましては6人、そして、一番左、専門職大学院に関しましては13人から19人という形になってございます。
 それから、その次は、校地・校舎面積について書いてございます。校地につきましては、大学、短大、専門学校では、生徒1人当たり10平米という形になってございます。一方で、専門学校あるいは一番左の専門職大学院では、ある程度定性的な書き方がなされてございます。校舎につきましては、そこにあるとおりですので省略をさせていただきます。
 その下、運動場、図書館、研究室なども、大学、短期大学、高専はそういった施設を整えるということになっておりますが、専門学校や専門職大学院に関しては、そこにございますように若干緩やかな規定ぶりになっております。
 その下、自己評価、第三者評価のところでございます。大学、短大、高等専門学校につきましては、自己点検評価が義務、さらに機関別の認証評価は義務となってございます。その左側、専門職大学院につきましては、今の二つに加えまして分野別の認証評価につきましても義務ということになってございます。右側の専門学校につきましては、自己評価は義務でございますが、学校関係者評価は努力義務となっております。ただし、職業実践専門課程の認定を受けているところは、企業等が参画する学校関係者評価も義務となってございます。
 その下の所轄庁は、ほとんどのものが文部科学大臣になっておりますけれども、専門学校だけが都道府県になってございます。
 設置認可についても同様でございます。
 それから、設置者に関しましても、いわゆる1条校に関しましては国、地方公共団体、学校法人となっておりますが、専門学校に関しましては、国、地方公共団体は同様でございますが、学校法人以外にも多様な主体が設置できるという仕組みになってございます。
 ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 それでは、先ほどからいろいろ議論がありますが、設置認可は国が行うかとか、教員の資格、人数等について、先ほど樋口委員が、これは分野別によってそれぞれ違うのだからという話もありましたけれども、これについて何か御意見ございますか。
 はい、どうぞ。
【清水委員】  この比較表、大変分かりやすくて参考になります。可能でしたら、修業年限の次辺りに、1単位の定義とか1単位の単位計算方法を掲載してもらいたいと思います。多分これは全部共通になっていると思います。今後の編入とか単位認定とかいろいろと教育の質に関わることですので、入れておいていただければと思います。
 その上で、御存じのようにマーチン・トロウの三つのステージにおいて、現在50%を超えていますので、ユニバーサルアクセス段階に来ています。これはどういうことかというと、高等教育機関というのは極度の多様性が特徴になっているのです。極度の多様性という意味において、有識者会議の議論というのは、新たな学校種だけじゃなくて、ここに掲げられた全部の高等教育機関、これをもう一度議論し直す絶好の機会だと私は思います。ですから、ここの議論が他の学校種についても改革、改善ができるように持っていくというのがまず一点です。
 表の左三つは、目的に書いてありますように、教授研究という言葉が共通しております。教育の質あるいは大学の質といったものを考えたときに三つあると言われています。一つは研究をすること、二つ目がカリキュラムを作ること、三つ目が人事をすること。この人事というのは教員の問題ですね。ですから、研究力とカリキュラム力と教員力なのです。これが大学の質とか教育の質を測る要素と言われています。この設置基準を見ても、教員組織に関わることが非常に多いです。それだけ、究極に言うと教員力で決まると言ってもいいぐらい、そういう設置基準の中身になっております。
 ですから、研究力、カリキュラム力、そして、教員力、これらをすみ分けするのか、あるいはもっと柔軟な形にするのか、その辺が新たな学校種のポイントになるのではないかと思います。ガチガチのものを作るのか、それとも、もう少し緩やかなものとして作るのかという議論が、大事ではないかと思います。もう一度繰り返しますと、既存の短大とか大学とか、あるいは専門職大学院にとっても、プラスの影響が働くような改革案、改善案を出していくべきだと思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 他に。
 はい、池田委員。
【池田委員】  教員のところなのですけれども、実際やっていて大変な問題は、こういう職業教育をやる場合に、ものすごい技術革新だとか新しいものがポンと出てくると、そうすると、既存の大学だとまだ若干対応できる。要するに、自己変革が教員ができない。そういう人を途中で首を切れない。日本の労働制度なので切れないと。小さい学校だと、たまってしまう。
 私のところは何で解決しているかというと、いろいろな職業の場を持っているので、そこに話し合って出向していただいて、また新しい技術に戻ると。そうすると、教員が例えば教養教員何名、専門教員何名と。そうすると、有期採用としては、地方なんかは特に有期採用はなかなか人材がいないということ、そして、それが固定的に何名、何名という、一旦職業を得てしまうと、ずっとしがみつかれたら、これ本当に職業教育じゃなくなってくるというか、本当に陳腐化してしまうということがこれ実際ものすごく起こるのです。それで、大学にした場合、なおのことそういうことが、個人の自己主張をするということもあるとものすごいリスクを感じるんですね、こういうものを見ていると。
 そうすると、職業の、企業側、要するに、例えば博士だとか修士とかとあんまりそういうふうに言うと、どちらかというと、一般企業に入れなかった人がそれを取って、もしそれを入れてしまうと、ずっとそれが固まってしまうということになって、職業教育にはもう対応できないのではないかという、ものすごいリスクを感じます。研修出しても何してもで、それがどんどんまた陳腐化して、また10年後、20年後になったら、同じような議論をして、いや、今の大学、陳腐化していますよねみたいな話になるので、それはやっぱり有期雇用がものすごいフレキシブルにできるような。
 それで、実務経験、そして、新しい分野というのは、研究もしていない、実務でやっている。そういう教員を、今はうちは何をやっているかというと、非常勤で客員教授のような形で本当にお願いをして、ものすごく入れ替えながら認可の範囲で一応させていただいているということで対応している。専任教員はどうかというと、だんだん専門職大学院であれ、専門学校であれ、陳腐化してしまう。それは、私どもいろいろな実務の職場を持っているからローテーションを組めているんですけれども、それ多分、専門学校さんは大変じゃないかなと。理事長さんとか校長さんがものすごいリーダーシップで首切ってしまうみたいなことがあるのかもしれないんですけれども、それで対応しているような感じじゃないかなと。
 それを新しい大学制度にした場合に、そこの流動性のある仕組み、若しくはどこかの企業にある人を実務家教員としてきちっと社会的にも認めて、有期雇用がきちっとして、また企業に戻れるような仕組みを本当にしていかないと、これ、非常勤で先端のものを対応して、専任は寝ているというか、にこにこしているみたいな感じになる構造になりそうなので、ここはものすごいやっぱり相当シビアに検討された方がいいのではないかと。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 はい、冨山委員。
【冨山委員】  今のお二方の話とかなりかぶるのですが、今、法科大学院の数を実質的に減らすためのやつをお手伝いさせていただいています。あれも一種の専門職大学院なのですが、専門職大学院的な世界というのは、別にごちゃごちゃこういうことを担保しなくても、ある意味ではマーケットが勝敗を付けてしまうんですね。だって、司法試験受からないし、受かっても就職ないのだから、そしたら、生徒来なくなってしまうわけで、そうやって自然に淘汰する力が働いているのです。ちょっときつい言い方をすると、ある意味でちゃんとした、非常に厳格に細かい設置基準を作って、ちゃんと大丈夫だよという前提で認定を出してしまっているものだから、潰すためだけにあんなに手間を掛けなければいけないということなんです。何でこんな手間掛けなければいけないんだと正直するんですけれども、私はそんな気がしています。
 何が言いたいかというと、要は、こういう話はもう自由でいい。かなりもう、学校側のやりたいようにやってちょうだいと。結局これ、くどいようですけれども、結果はマーケットが出すんです。結果は、学生が集まるか集まらないか、それから、入った学生が就職できるかできないか、この領域はこれで明確な点数が付くんです。特にはっきり付く領域のはずなんです。だとすれば、あんまりごちゃごちゃ、要するに、変に制度上担保されているということになってしまうと、ちゃんとやっている建前だから、駄目になっても潰せないという訳の分からない話になってしまうわけで、そういうところはそんなもの潰れればいいんです。
 ただ、潰れたときに、学生さんかわいそうという議論が出てくるから、それはまた別の議論です。すぐその議論が出てくるんだけど、その議論は、例えば銀行だったら預金保険機構みたいな仕組みがあるわけでしょう。ブリッジで学生や預金者を救う、それを作ればいいだけの、これは大学も同じです。だから、その議論であって、私はあんまりこんなことごちゃごちゃ言わないで、結果が全てだということと、くどいようですが、ある程度ある種の評価を途中でやるのであれば、これはやっぱり学生自身と、それから、採用した企業の側、この人たちの評価がほとんど全てです。
 要は、結局、あそこの学校はろくでもない卒業生しか出してないぜ、採用してみたらくそでしたというのは、それはもうそれでアウトでしょう。だって、そのために訓練しているのだから。だから、そういう評価をちゃんと全部、ある種の一定の基準で企業からとって、ちゃんと偏差値的なある種の偏差処理をして、それを統計的な数値でスコアリングして世の中に出せば、それが結果全てです。だから、プロセスにごちゃごちゃ、すみません、ちょっと言い方きついですけれども、あんまり介入して、プロセスがちゃんとしているからちゃんとした学校ですなんて変に表明しない方が、私は実は大学についても同じことを思っていますが、いいと思っています。
【黒田座長】  ありがとうございました。
【冨山委員】  すみません、今の、だから、池田さんの議論ともかぶっていて、こういうところをがんじがらめにしてしまうと、多分雇う側もいろいろな制約が出てきてしまうので、それも含めてできるだけ自由度を私は出した方がいいという意見です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 他に。はい、麻生委員。
【麻生委員】  先ほどこちらに関わるような話までしてしまって申し訳ございません。今、清水委員がおっしゃったように単位のことと、短期大学の立場から言いますと、短期大学には、専攻科があります。短期大学を卒業して、2年制の短期大学は、2年間の専攻科を設置し、その上に大学評価・学位授与機構の認定を受けて、そこで初めて学士の学位を頂けるという制度になっておりますが、ここには記載されておりません。先ほどの話で出た接続の問題になりますが、大学院に入学できるための認定を受けるのは大変な作業です。
 それに対して、今、議論されている、実践的な職業教育を行う学校に関しては、職業実践専門課程が基盤になるとするならば、現在、専門学校には、高度専門士の称号があり、4年制を終えると、大学院の受験資格があります。短期大学は、短期大学を2年終わって、学位授与機構認定専攻科で学位を取得しないと、基本的には大学院の受験資格がありません。清水委員がおっしゃったように、他の学校種とのバランスや、先ほど言いましたとおり短期大学は、職業教育もやっておりますが、大学院に行きたいという学生のための道というのは専門学校とは違います。やはりこの点を整理をしておかないと、大学院はもちろん専門職大学院に行きたいという学生もおります。短期大学卒業生は、短期大学卒業のみでは進学できません。そういった現状があるということを認識された上で、新しい学校種のことを是非議論していただきたいというのが私からのお願いです。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 他にございません。どうぞ。
【岡本委員】  4の中で、丸ポツの三つ目でしょうかね、校地・校舎の基準等があります。やはり先ほどの冨山委員のお話もありましたけれども、経済が大きく変わって、世界的にも、特に先進国は製造業からサービス化、そして、ハードも大事ですけれども、やっぱりソフトウェア、ソフトスキルということで、産業界が求める人材も非常に変わってきていると。そこをどう柔軟に教育課程を編成していくのかというところが教員の採用を含めて大事であると。
 とかくいわゆる1条校論というのがありまして、1条校になるとガチガチの基準になるので、専修学校、専門学校の良さが失われるのではないか、だから、今のままがいいよと。自由な設置基準の中で自由にやってきたからこそ専門学校は発展してきたのだから、大学と同じような1条校というのは、これは専門学校の良さをなくしてしまうんだと、こういう好意を持って言っていただける方も多いんですね。
 ですから、そういう意味でやっぱり時代が変わりつつあるんだということで、確かに一定の質を担保する上で、大学はどう、短大はどうという、校地・校舎の基準等が必要な時期もあったかもしれません。今でもあるのかもしれませんが、少なくとも専門学校は、立地的に都市部、地方においても都市部、まあ、郊外ではないという意味ですね、駅から近い。したがって、通いやすい。社会人も働きながら学ぶことも可能である。そういうふうにやっぱり特色があるわけなんです。そういう意味では私も、まあ、これは専修学校の話じゃありませんので、新たな高等教育機関なのですが、柔軟な制度設計が必要ではないかと。
 ただ一方では、そうはいっても社会から求められる質の評価というのが当然ありますので、そういう質の担保をどう確保するかという、これは二律背反というふうに捉えないで、柔軟な制度設計と質の担保と、この二つをどううまく新しい高等教育機関の基本理念として制度設計するかと、私はそこは重要なポイントだと思いますので、是非その議論を今後もこの会議で深めていきたいと思っております。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。この4番目のところでは、設置認可の問題で、国がするのか、今までどおりの地方公共団体に任せておくのかという問題が一つあるわけです。それと、教員の資格とか設置基準の問題は柔軟にという声が多いわけでありますが、それならば、その新しいものに対する質の保証をどうするのかということですね。それから、ここを卒業した子たちに学位を出すのか、称号にとどめるのか、何も与えないのか、そういうことも問題になってくると。これは日本国内のこともあるのですが、国際的通用性のことも関連してくるので議論の対象にしてあるわけですが、この辺について何か御意見ございませんか。
 はい。
【寺田副座長】  簡単な意見を申し上げますけれども、座長が提起された一点目の設置認可の話です。当然、1条校になるんでしょうから、しかも高等教育機関ということですので、これ、柔軟は結構なんですけれども、国の設置認可に関しては他の高等教育機関と同様の審査過程を経るべきだろうと思います。ただし、個々の基準、この辺は以前のように国あるいは地方公共団体が高等教育機関を作るという時代ではないということも考えて、柔軟でよろしいのではないかと思います。
 最初の段階から、認可の段階から、例えば教育プログラムに関しては、日本ではまだ未成熟ですけれども、認証団体の評価を受けているということを条件付けるのか、あるいは設置が認められて認可後何年以内に認証評価を受けることにするというふうにするのか、その辺は幾つかオプションがあるのだろうと思いますけれども、基準を弾力的にするから認証評価が緩くなるというふうに考えない方がいいのではないかなと。逆に市場、世の中での競争性が非常に強く求められますので、教育の質が非常にきつく評価されてくるだろうと思います。いずれにしても、設置認可は基本的に国がやり、認証評価に関しては専門団体に委ねるという形がいいのかなと思います。
 それから、二点目の、最後の丸のところの学位・称号ですけれども、これもやっぱり国際的な動きからいっても、何回か前に池田委員もおっしゃいましたけれども、留学生を受け入れて留学生を国に帰すとか、あるいは日本の学生自身が海外で就職するだとかというふうなことを考えても、明らかにこれはもう国際的な通用性を担保しないといけないと思います。名称は漢字1字変わったりいろいろするんでしょうけれども、基本的には準学士あるいは学士が得られ、かつ個々の専門の分野の評価、例えば国家資格であれば国家資格が取れる、あるいは専門学校ですと従来の専門士というようなものが取れるというふうな、ダブルクオリフィケーションが得られて、4年制大学と比較しても、一般大学と比較しても、かなり労働市場的な価値がある、強みがあるというふうなことにしていくべきでないかなと思います。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 他にございませんか。
【永里副座長】  はい。一般論でやっても同床異夢でしょうし、樋口委員がおっしゃっていましたけれども、そういうことであれば、具体的に何を教えるかというようなことから考えていかなければいけない。その場合に、産業界のニーズ、産業界が求めるカリキュラムを作っていくとか、例えばそのために教員をどうやって養成していくかというように具体的にやっていかないといけないのではないか。そうすると、これはこういう有識者会議ではなくて、もうちょっと詰めたところでやった方がいいのではないかと。
 最初に冨山委員おっしゃいましたけれども、答えがすぐ出てくるのではないかと。ここ(本件、高等教育機関)を出てきたら産業界の人たちがこぞって雇うというようなことになると、おのずと分かるわけです。ということであるならば、本当は、産業界のニーズを考えて何を教えるか、そういうものを今ここでやる必要はないと思うんです。別途そういうものをやった方がいいのかもしれませんね。それと、今日お話ししているような大枠のところというのはまた別の話だろうと思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 他にございますか。はい。
【川越委員】  先ほど大学の質というか、研究する力とか、カリキュラムの力とか、人事の問題、三つぐらいおっしゃいましたが、専門学校の教員に求められる能力というのは、我々は専門の知識・技術、それを教える授業の能力、それから、学生を指導する力、そして、カリキュラムを作れる力だと、こういうふうに四つ言っています。特に専門学校の場合は、授業が下手くそだと、学生が寝てしまったり辞めてしまったりするものですから、おっしゃるように、選ばれる学校であり続けるためにはやっぱりいい授業を提供していかなければいけないということが一番の問題です。
 ただ、先ほど池田先生もおっしゃいましたが、地方で人を採用するというときに最初からそれほど優秀な人ばかり来てもらえるわけではないものですから、我々は何をやっているかというと、うちの場合は、研究授業と授業参観と学生アンケート、これ三点セットと呼んでいるんです。
 学校ごとにテーマを決めて研究授業をやらせて、それをみんなで見る。その教員がやっている授業をまた見に行く。それから、若干問題のありそうな場合は特に学生アンケートを取るようなことの中から、待ちますけれども、何回かはやりますけれども、明らかにあなた無理よねという場合は、これはもう学生さんに迷惑の掛かる話なものですから、別の学科に移ってもらう、別の仕事に移ってもらうとか、他の企業に移ってもらうというようなことを努力してやっているというところです。
 企業の品質と同じで、常に教務の品質を標準化していくためにいろいろな努力をどの学校種もされているんだと思いますけれども、我々の場合、それこそおっしゃったように選ばれない学校になってしまうという危機感が特に職業教育という場合あるのではないかなと思いました。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 前田委員。
【前田委員】  ちょっと思い付くままなんですけれども、一つは、大きな質保証の枠組みで考えたときに、昔からアメリカのアクレディテーションで言われていたことが当てはまるのではないかと思います。まずその教育機関がどのような目的を明示しているのかということです。多分、特定の職業人材養成が目的だと思うのですけれども、そのときに、その目的を実現するための資源を有しているか。資源は、教育プログラム、人材、施設や資金など全部資源という言い方になっていますが、それが2番目です。3番目が、現にその目的を実現し得ているかということで、4番目が、今後ともそれを維持し続けることができるか、この四つの点から見るというのがアメリカのアクレディテーションの基本的なところなのです。今はこれがもう教育成果にばかり重点が置かれて忘れられているところもあるのですけれども、こういう視点というのは、枠組みを考えるときに、それぞれの分野で違うとしても、こういう共通点というのは何か持っておくことができるかなというのが一点目でございます。
 それともう一つは、これは日本の独特のシステムとしてそうすればいいのかもしれないのですが、学位名称が既存の学位名称と同じものを付けるとしたら、質保証の枠組みも同じ中に入っていくのだろうというような気がしています。それはもしかしたら、日本はこうですと言って違う枠組みを作ってもいいのかもしれませんが、同じ学士でも異なる認証評価システムがあると、国際的に分かりにくいかもしれないということを漠然と感じております。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 他にございませんか。
 はい、樋口委員。
【樋口委員】  学校を考える場合に、教育、授業の話、授業を誰が教えるかというような話と、あとは学生の相談とか、あるいはいろいろ経営的なところ、あるいはアドミニストレーション的なところ、これを誰がやるのかというようところがやっぱりあるのではないかと思います。今出てきた、必ずしも専任じゃなくてもいい、まさに最先端のところを教えることができる、これは授業をやる方の立場の人間についてはそうかなというふうに思うのですが、一方において、いつもある意味では学生の相談に乗れるとかいうような、あるいはアドミニストレーションをやるとかいうところについては、やっぱり安定的な人でないとこれは難しいというところがありますので、その点は考えていただきたいと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 他よろしいですか。
 はい、どうぞ。
【冨山委員】  今の樋口先生の話とちょっとかぶるのですが、これ、恐らく相対的にプロセス管理と結果管理のバランスを取っていくという議論だと多分思うんです。それで、結局結果が問われるということは、くどいようですが、退出あり得べしという前提の仕組みにせざるを得ないはずなので、じゃないと、結果問うても全然ペナルティーがないということになります。そうなると、やっぱりこれ、経営なんですね。まさに今、前田先生が言われた話は、要は、PDCAがちゃんと回っているかどうかというところにすごくチェックが入るということのわけで、PDCAを回せるかどうか、これは経営者の能力の有無でほとんど決まります。
 となると、設置を認める、何らかのやっぱりお墨付きを与えるときに、この経営陣どうなのよと、この人たち大丈夫なんですかというのはやっぱり私は本来極めて厳しい基準であるべきで、これ、ある意味では国としてある種新しい事業体に投資するのと同じことですから、要は、投資に値するようなやつが経営しているのかという問題はこれはやっぱり当然なければいけない。恐らく今のアドミの問題を含めて、これ、やっぱり経営体ですよね。これ、やっぱりフルタイムで命かけてやってもらわなければ駄目なわけです。こういうところに集まってこられる方は優秀な方が多いのですけれども、多分世の中全般でいうと必ずしもそうではないはずなので、そこはある意味では、ここに書かれていること以上に実はそういう要素というのは私も大事なような気がしております。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 はい、どうぞ。
【清水委員】  設置認可は国が行うかどうかということですが、JABEEみたいに国際基準の中で通用しているものもありますが、学位もやっぱり国際的に通用する一つの称号となっています。称号の方が学位よりは上の概念で大きい概念ですけれども、もし学位を授与する機関というふうになれば、これは国が認可すべきではないかと私は思います。
 というのは、高専とか大学の認証評価制度の議論のときに、多くの人は、質保証が文科省の設置認可から事後の認証評価機関に移ったというように誤解して捉えていたと思います。でも、たしか当時の遠山大臣が、高等教育機関の質保証というのは、設置認可と認証評価が車の両輪であるということを明確におっしゃっていました。ですから、高等教育の質保証というのは、設置認可と認証評価等で行われておりますので、もし学位という話になれば、設置認可は国であるべきだと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 他ございますか。
 では、川越委員。
【川越委員】  おっしゃるとおりだと思います。だから、学位という概念が、この前も言ったけれども、いわゆるハイヤーエデュケーション独特のものであるとすれば、我々がイメージしている職業教育を専らとする高等教育機関が出すものがその分野における学位である必要は僕はないんだと。国際通用性さえ担保されるならば、例えばこのぐらいのレベルの能力を育成されましたよといって出てきた子がバチェラーと同格だということさえ認めていただけるような仕組みが作れれば、それが一番いいのではないかなと。おっしゃるように、学位を求めようとするとどうしても、極論すれば、おまえら大学になれよという話ですから、そうではないということだろうと思います。
【清水委員】  今のと関連して、バチェラーがバカロレアになったというのは多分多くの方は御存じだと思いますが、ヨーロッパの場合にはバカロレアとかアビトゥーアとか、いわゆる中等教育でアカデミックスタンダードができているわけです。日本は戦後それをやめて、高校までは普通教育機関として設定され、教養を大学の仕事に持ってきました。これがアメリカ型と言われるものです。ですから、大学から教養をなくすということは、その教養を高校に持っていかないと制度的にはおかしな話になるわけです。教養というのは日本の大学に必ず必要な部分なのです。前回の資料にも出ていましたけれども、新たな職業教育を行う機関においても教養という概念は当然導入でき得るものですから、教養というのは共通した概念として入れるべきだと思います。
【黒田座長】  それでは、池田委員。
【池田委員】  すみません、何度も発言させていただいて。認証評価で、うち、専門職大学院を持っていまして、何と五つも不適正を頂いて7年間付きっ放しでいたということで、それは戦ったんですが、何を戦ったかというと、最初やったのは認証評価の分野別でしたっけね。そのときに、ここに書いてあるのは、博士課程と書いてないので、ほとんど実務家教員にしたんです。あんた、これ修士課程なんだから研究者要るんじゃないのと、急きょ、そういう意味で某大学から退職した人を持ってきたら、学生からの評判がめちゃくちゃ悪いんです。だけど、認可を取るためにやらなければいかんということが、じゃ、もっといい研究者を持ってくればいいんじゃないかという議論があってですね。
 だけど、そのときの学長が、実務から上がってきた学長だから、何言っているんだ、現場はそんなものじゃないんだと。やっぱりそういう人たちが、実務家教員ほぼ100%で最初は固めたんです。そういうこともありました。でも、今はもう機関別になって、100%認証頂くように努力はして。それじゃないと、あんまり不適正が出ていると、やっぱり評判も悪い。
 そんなことをやりながら経験はしているのですけれども、今回のそれが、職業教育に関する認証できる先生方が、博士課程を持っておられる方がいた場合、果たしてどこまで評価できるのだろうかと。例えば専門職大学院が、日本においては新しい制度ができて、では、国際的にどれだけ専門職大学院が国際レベルで、それが国際レベルがいいのかどうかはまた議論があるとは思うんですけれども、100位以内にほとんど入っていないのではないかという話の中で、そういう先生方がどうして評価できるのみたいな内部的な議論もあって、あんまりそう言うと今度認証評価でまた怒られると悪いので、その辺はオフレコにしていただいて。そういうことがあるんですね。そうすると、職業のこういう新しい制度を作ったときに、やっぱりプロトコルとしては、国内だけの議論でしないです。学士、要は、国際的に通用すると。
 それともう一つが、地方において、今、新しい農業系の大学を作ろうと準備しているんです。それはそれで研究も含めて必要だと思うので大学で作りたいと思っているのですけれども、職業としたら、やっぱり町なかであって、専門学校、合理的に本当に駅前に、いろいろな意味でものすごい競争もありますから、そういう戦いをしている中で、設置基準が運動場とか図書館とかあんまりにも設置をがんじがらめにし、認可も認証もがんじがらめにされると、じゃ、誰がされるのかと。来た先生によって評価が、5人来られるんですけれども、やっぱり相当違って相当議論したんですけれども、やっぱり上位の認可をする人の方が勝つわけでございますので、あんまりけんかしないでくださいよと言って収めたんですけれども、そんなことも多分起こってくるのではないかと。
 地方都市に新しく、今の大学レベル、短大レベルの認可をすると、やっぱり郊外に、本当に郊外に、それもほとんど認可する側の財務を作り上げることはできないということ。そういう意味では、設置基準のところ、それよりは中身の方の、最先端で、それだけの知見のある人をどうやってうまく、さっき樋口先生がおっしゃったように学生のケアもできるようないい先生と、それと、最先端の技術を持ってこられるような認証というか、新しい機関としてのそういう基準にしていただきたいなと本当に切に願います。
【黒田座長】  ありがとうございました。要するに、頭に「実践的な職業教育」というのが付いていますので、そこを外すと、今の大学とどこが違うんだと言われることになるんですね。ですから、その辺の設置基準の考え方というのは、全く今の大学の基準とは違った基準が出てくるのだろうと思うんですね。その辺のことについてまたゆっくりと議論を深めていただきたいと思います。
 はい、どうぞ。
【永里副座長】  今のお話に関連するんですけれども、下村大臣が大学改革をおっしゃっているわけです。それで、今、既存の大学においては、なかなか学長の権限を大幅に認めないとか、旧態依然たるところがあります。そういうところで、大きな流れの中、大学改革の一環として考えた場合には、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関というのを、大学にはなりたくないという御意見もあると思いますけれども、別の形の新しい大学というか、そういう機能を持った大学が出てきていいのではないかと。そして、それは、イギリスにも存在しているわけですけれども、そこはユニバーシティと名乗っています。そういう観点で、大学になりたくないのではなくて、新しい大学を作っていくと、大学改革の一環の一つというふうに私は思いたいと思います。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 他よろしいですか。
 どうぞ。
【岡本委員】  高等教育が世界的に多様化していると。学術的な柱と職業教育体系と、この二つがやっぱり並び並立して、そして、それが統合しつつあるという、そういう動きがあるわけですけれども、日本においては職業教育という柱がある意味ではきちっとして位置付けられてこなかったということであります。
 そういう意味で、諸外国の職業教育という事務局から出された中にも、フィンランドの専門大学、韓国の専門大学、これは韓国の場合、専門学士という称号か、これは学位なのかよく分からないけれども出ておりますので、やはり高等教育イコール大学と、大学以外は高等教育ではないんだという議論は、私はもう世界から見たらこれは遅れていると。
 むしろ高等教育、第三段階教育、Tertiary educationが多様化しているんだと。学術と職業をしっかり二つの大きな柱として認めていく。その大きな柱の一つとして、新たな高等教育機関ということで位置付けが必要であり、したがって、当然それは国が認可すべきであり、各都道府県は今、専修学校を認可、指導、監督をしていますけれども、都道府県は高等教育のノウハウを持っていません。これはやっぱり国なんです。日本においては文部科学省なんです。ですから、そういう意味では、都道府県が認可するという選択肢は私はあり得ないと、こういうふうに思っております。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 それでは、麻生委員。
【麻生委員】  何度もすみません。私は質問をさせていただきたいのですが、現在、専門学校で認可を受けているところは、私の知る限り、その専門分野を学校名称に冠する、若しくは専門分野ごとに1学校で認可をされているのでしょうか。何を言いたいかというと、機関別、分野別評価という話になったときに、現在のシステムが、都道府県知事の認可だと思いますが、例えば分野ごとに各学校が存在しているのが現実なのか、その辺のところがよく分かりませんので、是非文部科学省か、若しくは専門学校を設置されている方に質問をさせていただきたいのです。
【川越委員】  いろいろだと思います。いわゆる単科単独の単一の学校もあれば、一つの学校の中に幾つかの分野の認可が入っているという学校もあります。だから、情報ビジネス専門学校なんていうと、工業系のコンピューター系の認可と同時に、ビジネス系の認可の両方、工業実務系と商業実務系の二つの認可を持って、二つの種類の学科を教えているということはあります。
【麻生委員】  それでは、私の所属する山口短期大学は、児童教育学科と、工業系の情報メディア学科という二つの学科を持っている1短期大学という機関です。こういう場合もあり得るんですか。教育系と工業系が一つの学校内に存在することもあるのですか。
【川越委員】  あります。
【麻生委員】  分かりました。ありがとうございます。
【黒田座長】  よろしいですか。他ございませんか。
 大体時間になったわけですが、今日の議論は一応ここまでにしておいて、次回は5番と6番、新たな高等教育機関の位置付け、それから、社会人を含む学生のニーズへの対応をどうするかと、いよいよ核心に入ってくるわけですが、その議論をしたいと思います。
 最後に、事務局から予定等について御説明をお願いいします。
【神山教育改革推進室長】  御議論ありがとうございました。次回は、12月24日水曜日10時から、場所は文部科学省3階の3F1特別会議室で行う予定でございます。よろしくお願いいたします。
【黒田座長】  今お話がありましたように次回はクリスマスイブの日でございますが、どうぞこちらの会議に御出席頂きますようにお願いいたします。
 本日は長時間にわたり御議論頂きまして、ありがとうございました。これで終了させていただきます。

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