実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議(第5回) 議事録

1.日時

平成26年11月21日(金曜日)16時00分~18時00分

2.場所

中央合同庁舎第4号館1階 全省庁共用108会議室

3.議題

  1. 新たな高等教育機関の基本的方向性について
  2. その他

4.議事録

【黒田座長】  所定の時刻でありますけれども、まだお一人遅れていらっしゃるようでありますが、ただいまから会議を始めたいと思います。本日は、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議、第5回でございます。今日は御多用の中お集まりを頂きましてありがとうございます。
 本日は、新たな高等教育機関の基本的な方向性について議論を頂くということでありますけれども、その前に池田委員、服部委員から御意見を伺うということになっておりますので、時間の関係上誠に恐縮ですが、お一人10分程度で御発言をお願いしたいというふうに思っております。
 また、本日も報道関係者から、会議全体の撮影をしたいという申出がありますので、これを認めておりますことを御了承頂きたいと思います。
 それでは、まず本日の配付資料の確認と、委員の出欠状況について事務局から御報告をお願いします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、本日の配付資料につきまして確認をさせていただきたいと思います。議事次第にございますように、池田委員と服部委員から御提出いただいた資料を、それぞれ資料1と資料2としてございます。また、本日の議題の新たな高等教育機関の基本的方向性について御議論いただく際の資料といたしまして、資料3、これまでの議論で指摘された主な論点というのを用意しておりますが、これの内容については後ほど御説明をさせていただければと思っております。また、参考資料につきましては、1から4まで御用意をしてございます。このうち参考資料の1は、池田委員が御説明の際に参照資料とするとのことでしたので配付をしているものでございます。また、議事次第にはございませんが、池田委員からパンフレットの御提出がございましたので、机上資料として配付をしておりますので、御確認いただければと思います。
 資料の不足等ございましたら、事務局までお申し付けいただきたいと思います。
 また、続きまして、委員の出欠についての御報告ですが、本日は冨山委員と樋口委員、それから前田委員が御欠席となってございます。以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございます。それでは、早速議事に入りたいと思いますが、まず池田委員から、御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【池田委員】  ただいま御指名いただきました池田でございます。発表の機会をいただきましてありがとうございました。それでは、資料1に基づきましてお話をさせていただきます。
 私の今回の立場は、大学、大学院、専門学校、高校等いろいろな教育機関を経営しておりますが、実はその他いろいろな企業グループを構成していまして、その他に今、ベンチャー育成を110社ほどやっていまして、いわゆる地方を活性化するという意味では、職場がなければ、それもやりがいのある職場がなきゃいかんということで、制度化したのは12年ぐらい前なのですけれども、実際は20年ぐらい前からベンチャー育成のいろいろな努力をしてまいっています。ベンチャー育成だけではなく、いわゆる企業再生、この4月にも、ここに載っておりますが、ホテルの経営も頼まれました。新潟で140年前のホテルを頼まれたとか、あと味噌屋とか酒蔵を頼まれて再生をしているというような、起業家、若しくは起業家であり、起業を支援しているという立場で専門学校との関わりを、また職業実践専門課程に関して、大学もそれに近い、医療・福祉系の大学も経営しておりますので、その中から発言をさせていただければと思います。
 まずNSGグループということで、新潟総合学院、38年前に創業いたしました。実は私、新潟の小さいお宮の、今も宮司をやっていまして、神主でございます。なかなか町のど真ん中にある神社でございますので、氏子さんが郊外に行って、神社として経営的には非常に厳しい状況になりそうだと。でも、跡を継ぐ。そうすると、何か始めなきゃいけないということで、教育事業をスタートさせた。それで今。そういう意味では、創業者、ベンチャーでございます。
 いろいろな御縁があって、新潟の発展というふうに考えているうちに、教育から医療・福祉、またいろいろな、このオレンジ色はちょっと派手でございますが、サッカーチームの観客動員日本一でありまして、今、浦和さんに抜かれていますけれども、サッカーを中心にほかのスポーツも、地域密着ということでやっております。併せて今お話ししました、120社ほどのベンチャー育成もしている。そういった育成している企業も含めて、今、従業員1万名ぐらいになっています。育成している専門学校、大学等で、3割ぐらいここの卒業生になってまいっております。
 その他アジアの諸国を中心に、今、留学生を受け入れて、国の方針である、留学生を倍増しようということに一生懸命チャレンジしておりまして、アジアだけではなくてヨーロッパの方からも、今、留学生を徐々に増やしております。これは専門学校、大学に、今、450名。4、5年後ぐらいに1,000名にして、新潟にいながら国際化を学生たちに体験してもらおうというような仕組みを作っています。
 そんなことをやっているうちに、1ページ目の日本ニュービジネス協議会連合会という、全国の経営者の団体の会長をさせていただけることになりました。経産省と内閣府と連携しておりまして、今、3,000社を超える中小企業。イノベーションをしたい、若しくはベンチャーにチャレンジする経営者たち、そういうところの全国会長をさせていただいています。
 ニュービジネス協議会はどういうところかということになりますと、最後のページの方に、参考でございます。これも30年前に東京から始まって、全国組織ができましたのが10年前です。今、全国ほぼ県庁所在地にございます。そこを今束ねております。
 そんなことをやっているうちに、1ページの3番目、企業のイノベーション・ベンチャー企業の育成、ここが今、119法人でございます。その中でもベンチャーを興したい者たちを、異業種交流会501という名前をつけてやっています。これは渋沢栄一という方が明治のときに、民間の企業が育たないと、日本は間違いなく欧米の植民地になるということで、民間の企業を500社作ったというお話でございます。これは今は地方都市です。各地方が同じ概念で中核都市に企業を作り上げて、いわゆる職場を作らなかったら、日本は中期的に、長期的に大変なことになる。要するに、各地方にある、個性のある地方から人材が輩出されて、官僚になったり、グローバル企業に。地方が経済的に自転をしているという仕組みを作らなければいけないことを提案しておりましたら、そんな中で3ページにちょっと飛びますけれども、内閣官房のまち・ひと・しごと創生会議の有識者委員を引き受けるということで御指名を頂きまして、今、発言をさせていただいているところでございます。
 2ページに戻りますと、実践的な職業教育を行う高等教育機関の制度化を検討すべき社会のニーズ、私はすべきだと思っているのですね。その理由としては、終身雇用制度の変革に伴い、企業内研修制度の基盤がほぼ崩壊しております。各企業ですね。大企業さんに聞いてもそうです。技術・情報革新の進歩・女性の社会進出、いろいろな社会的変化の中で、日本の企業、特に地方の中核企業を含めて、創造的イノベーションをやらなきゃいけないということでございます。
 その中で、アベノミクスもそれなりの形をとって、地方都市にとってはとにかく人材不足になってきている。中央集権になって、若者がどんどん出ていっている。御存じのとおり7割以上、8割近くが東京、首都圏にございます。行ったら戻ってこない。戻る場所もない。昔は商店とかいろいろあったのですけれども、スーパーマーケットとかが来て、跡を継ぐにも、継ぐ会社がないという感じで、ましてや最近の地方創生のデータですと、若い女性が首都圏に行っちゃって、子供も産んでくれないというようなことで、地方が大変な状況になっている。その中の、東京に行った人たちを地方に戻すということだと、外国人(留学生)も、やる気のある人材を求めながらやらないと、地方は大変なことになるなということで、それをやっています。
 そういうことを体験しながらやって、仕事を作る。やりがいのある仕事を作らなければ、地方は衰退する。それも雇用政策で、日本は徹底的にやってきたんですね。中央で儲けたものを地方に配布して、土木だとか建築だとかいろいろなことで交付税をやったのだけれども、どんどんどんどん中央集権になる。これは何なんだと。いろいろな政策が徹底的に失敗している。
 どういうことかというと、中央に出した優秀な人材が、大企業に入ればいろいろな意味で滞留して、データによると400万人の方が大企業の中で、例えば40歳の部長の下に名前だけの部長で、有効に使われていない優秀な人たちが山ほどいる。だけど、給与は高い、年金があるということで、死んだふりして働いている。この人たちは本来、内閣府が今回アンケートをとりましたら、4割の方が地方に帰って、やりがいのある人生をやってもよいと思っているというアンケートがあったんですね。ところが、子育ての問題、ケアの問題などいろいろな要素があって帰るに帰れないのですね。もちろん一番大きなのは、やりがいのある仕事と給料です。
 そんなこともありまして、各種教育機関が首都圏に集中している。これは中央国家を作った。では大学を、若しくは高等教育機関を地方に移そうという議論はよく出るのですけれども、誰も動かない。動くはずがないということですね。そんなことをしたら、倍率がめちゃくちゃ下がってしまうということで、東京間でちょっと移動したある大学でも、倍率が下がってしまった。あんなことをやったら、地方になんてとても行けないと。大学の存続に関わる。それは無理だということになりますと、地方を整備して人材を作るには何が必要かということを考えたわけです。
 4ページです。それをやっている中で、例えば私どもの専門学校に留学生も来ています。これからは専門学校と。地方の中堅企業がグローバル化しようと、例えば専門学校を卒業したら、そこで働くためのビザをとろうとすると、学士と比べて専門学校は、ものすごいビザのとり方、期間とかとれる確率が、国によってですが相当違うんですね。そう考えますと、私ども専門学校ですが、県内就職率、赤字で4ページに書いていますが、新潟の専門学校の就職率、大学54.2%ですが専門学校は74%、ほぼ地元に就職しているのですね。地元が持っているのです。地方の国立大学、私立大学入れて50%ぐらいです、実態は。
 そういう流れの中で、実際県内求人倍率は、桁違いに専門学校が多いのですね。これは全部データがそろっています。地元の特に中堅企業、中小企業は、実践力の即戦力型人材を輩出する役割を果たしてきた。一つは、留学生が来て、専門学校を出ても、もとの国に戻っても、なかなか評価されない。日本人も、出ても評価されない。地方の国立大学も私立もありますけれども、では人材的に本当に足りないか足りるか、能力はどうか。私どもがベンチャーを育成している中で、半分以上専門学校卒の学生が社長になっています。ものすごい能力を発揮しています。何が違うのだという感じで、かえってそちらの方が。下手にちょっと勉強すると、能書きだけたれて動かないみたいなのがいっぱいいまして、そういう中で、じゃあ国際的なプロトコル、若しくは日本におけるアドバンテージ、それだけの教育内容を充実して、実践的な職業教育を行うための教育機関の新設を、是非お願いしたいなと。それがそういう幾つかのファクターです。
 そういう意味で、一定の条件を満たせば既存の学校種にとらわれずに認めるべきだと思っていますし、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の一条校としての設置認可条件については、もちろん新たに整備すべきだと思います。
 地方都市において、アベノミクス、今回の選挙になりましたけれども、地方が本当に衰退したら、日本ってこんなところでのうのうと東京でやっていますけれども、本当に衰退するということは現実として、地方に住んでいますと本当に感じます。そういう意味で、サービス産業が7割以上なのですね。コンセンスはすばらしい役割をしてきたのだけれども、サービス産業に関してはみんな、じゃあ大学卒でサービス産業にいって使い物になるか。まずならないですね。ですから、地方においては専門学校の要望がものすごく高いわけです。もちろん東京においてもそうだと思いますけれども。東京も、グローバル企業を抜けると、ほとんど地方なのですね。そういう意味では、東京も地方の部分とグローバル、二重になっているというふうに認識をすべきだと。
 5ページ。実践的な職業教育を行う新たな教育機関ということで。一条校としての要件を整備し、その場には専門大学、専門短大とする。その要件の判断においては、現在専門学校に対して適用されている職業実践専門課程、皆さん御存じかも分かりませんけれども、今、私どもの専門学校36校も、全部この課程、1教科、1学科、2学科であって素晴らしい制度になっています。これはそのときに地方のサービス業関係を中心とした企業さんと連携をしている。やっぱり残念ながら、中小企業なのですね。そこに関する教員を認定している。それで勉強してもらわなきゃいけない、その職業。またそういう人たちを認定するような仕組みを作って、それが中小企業でそういうことを受け入れられるような体制を、是非作っていっていただければと。
 5ページの2番で、設置認可及び既存の学校種からの移行に際しては、一条校の視点から文科省の審査・認可を行う。審査・認可においては、既存の大学・短大に課されている要件とは別に新たな設置要件を検討すべきである。今、大学並みの設置、私どもも大学、大学院を持っていますけれども、それ並みにしたらほとんど移行は難しいと思います。それは現実に合わせたところで、高度なレベルにしていただければと。
 学位の授与は、先ほど申しました。学位の創設、これは外国とのプロトコル。また外国人を大量に入れていって、日本というものを売り込んでいくという意味では、海外の大卒と日本の専門学校卒では、間違いなく日本の専門学校卒の方がレベルが高いです。そういう意味で、そういう人たちをきちっと認可して、もう少し体制を整えればいいのではないか。
 3番で、実務家教員の採用ということで、そういう意味で中小企業の方々に。
 6ページになりますと、制度化に際しての検討課題。受皿としては、サービス業、中小企業がございますので、そこに関わるコスト負担の問題。学校からのインターンシップ依頼に伴う費用とか、企業からの講師派遣費用。インターンシップ受入れや社員の派遣に伴う企業側に発生する費用。地方においては中小企業が多く、サービス業が中心ですので、よろしくお願いしたいと。
 それに加えて、これは十数年前にいろいろな資格が、官の天下りで、そこの専務理事とか常務理事がいると退職金が1億5,000万円、1億もらえるというのが批判されて全部なくなって、いろいろな資格が民間になってしまった。これを絶対公益にするべきだと。仕組みは財団法人作ったりする必要はないと思うのですけれども、認定は国がすべき。これは他の国はほとんど国家試験にしている。そうしないと、日本人が専門職として外国で働けません。日本の専門学校に入って資格をとっても、そこの国に戻ると民間だと相手にされません。これは国際的なプロトコルで、日本が大損しているということを認識されればいい。そういう意味では、一応国家試験のある分野と国家試験のない分野が出ていますが、国によってはスポーツトレーナーとかエステティシャンとかも、ものすごい高度な資格として認定されていまして、職業的に付加価値の高い存在になっているのですね。そんなことを含めて御提案をさせていただければと思います。一応参考資料で他の資料がございますので、うちのパンフレット等参考にしていただければと思います。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。ただいまの御発言に対して、御質問、御意見はございますか。はい、どうぞ、金子委員。
【金子委員】  これ、あえて質問申し上げますが、もうそろそろこの議論も、余り言い放題ではなくて、そろそろかなりかみ合ってこなければいけないと思いますので、あえて厳しいことといいますか、ちょっと批判的なことを申し上げるかもしれませんがお許しいただきたと思うのですが。お話の途中で、外国の大学より日本の専門学校の方がレベルが高いものはたくさんあるというふうにおっしゃいましたけれども、例えばどういったものを念頭に置いてお話しになっているのでしょうか。
【池田委員】  例えば、ビジネス系は特に高いと思いますね。いわゆる経営だとか。
【金子委員】  ビジネス系といいますと、経営系というのは、例えば今の専門学校の経営系ってそんなにたくさんないと思うのですが、例えばどういった分野で。
【池田委員】  一つ、ITがありますね。ゲームだとか、ものすごい。私どものネットで、ゲームだとかマルチメディア系なんかは、フランス人がネットで探して自ら留学に来るとか、何も宣伝しなくてもそういうことが起こります。そういうことも含めて、いろいろな分野であります。例えば、以前は漫画、アニメーションは、どちらかというと文化も、低俗だと言われていたのです。今は国家戦略に位置づけられています。10年前に漫画、アニメの専門学校を作るといったときに、国の融資をお願いしたら、こんなおちゃらけのところに出せませんと言われたのですね。ところが、クールジャパンを含めて国家のど真ん中に入ってくる。では、それを大学レベルでやっているところがありますかということなんですね。海外ではいろんな国が大学レベルでやっているのです。事実、中身はよいから、アジアはもちろんですけれども、外国から、自らホームページを見て留学に来ているという子も実際います。
【金子委員】  そういう面もあるでしょうけれども、ただ、学士課程として本当に日本の専門学校で教えていることが、外国の大学の学士課程より高いというふうに言えるでしょうか。
【池田委員】  全部とは言いません。ただ、日本の一部の大学も、レベル自体もアジアの中でもだんだん低くなってきているのは事実だと思うんですね。だから、そこの部分はあるのではないですかね。実務教育の部分と、そこのちょうど今、はざ間に入ってきていますね。
【金子委員】  そこら辺はさらに議論すべきところだと思いますけれども、一部に多分、専門学校で教えておられることは非常に先端で、いいことをやっておられることは私もそうだと思いますが、ただ、大学教育としてのレベルというふうに比較できるかどうかということは私はちょっと疑問に思いますので、これはさらに議論をさせていただきたいと思います。
 それともう一つ、資格の件ですけれども、国家資格にした方がいいというのは一つの考え方ではあると思いますけれども、例えば国家資格というのは、さらに今より拘束性が強くなるのですが、そうした方がよいということでしょうか。
【池田委員】  事例としてはエステティシャンがあります。今エステ関係はものすごい数の職業がありますよね。今、香港とオーストラリアとシンガポールが連携してエステティシャンを養成している専門学校があります。日本は国が絡んでいないので、日本のエステティシャンの資格をとっても海外で働けない。彼らは連携していまして、大学課程を持っているところもあるわけです。彼らはそこの国同士で働けるような形になっている。例えば、フランスのエステティシャンというのは国家認定で、すごい高いレベルの人材を輩出しています。それを具体的に数値化してどれだけするかという課題はありますけれども、それは職業認定としてやっているわけですね。だから、そういうことというのは、いろいろな分野で起こってきているなというふうに思います。
【金子委員】  国家認定というか職業資格、そういうふうにやって認定制度をきちんとするということは重要ですが、ただ、もう一方ではカリキュラムをいろいろなところで絞るという問題は一つあるのと、国際的な通用性はまたちょっと別な問題だと私は思います。私が知っている限りでも、大学レベルでも、分野別の資格は相当国際通用性を確保するのに苦労していまして、これも即座にはつながらない問題ではないかと思います。これは別に間違っているというわけではありませんけれども、やはり資格をとれば学位等は必要ないということにはならないといいますか、ここもやはり重要な関連を意識しておかなければいけないところだと思います。
【池田委員】  ありがとうございます。最低限学位はあった方がいいと思います。いろいろな意味でプロトコルは中小企業の国際化、地方からの国際化という点では、ものすごい課題になっていますという実態を、今、お話しさせていただきました。
【黒田座長】  ありがとうございました。今の議論は、また後ほど全体の議論をするときにやりたいと思います。
 今、発表していただいた方に対する意見があればということなのですが、時間的に押していますので、次に続けたいと思いますが、服部委員からの発表です。お願いします。
【服部委員】  ありがとうございます。このような機会を与えていただきまして恐縮です。ありがとうございます。
 私自身は、高校の教員を11年間やりまして、その後二十数年間は県の教育委員会におりました。その間、普通科高校と商業高校、工業高校の校長をしましたが、普通科とは違う専門高校の学びの仕組みというか、ある意味ではすばらしさというのを痛感しましたので、そういったことについてもお話をしたいと思います。ただ、専門高校といっても、地域によって本当にいろいろな扱いとか、いろいろ思いが違いますし、それから同一県内でも本当に様々です。さらには専門高校というと、農業、工業、商業、それから家庭科、情報、看護・福祉、水産等ありますが、そのそれぞれの専門分野によっても様々ですので、ひとくくりに専門高校の実態ということは申し上げられませんが、あくまでも岐阜県における公立高校の専門高校の実態ということでお話をさせていただきたいと思います。
 与えられた時間は10分ですので、最初のレジュメのところの資料2ですが、岐阜県教育委員会の基本方針からずっと下の方の岐阜県の産業教育の実績、ここまでは簡単に5分程度で、最後に13ページ、一番最後のページ、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関に対する期待といったことについて、少し重点を置いて5分ほどお話をさせていただきたいと思います。
 資料の提供につきましては、現在の岐阜県教育委員会学校支援課、そこに産業教育係というのが、農業、工業、商業、家庭科。家庭科のことを岐阜県では生活産業というふうにいっておりますが、指導主事が4人、そして事務職員と5人で産業教育係という。そこでの話ですとか、何を期待するかといったようなことを聞いてきましたので、そのことも含めてお話をさせていただきたいと思います。
 それでは、1ページ目ですが、まず岐阜県の教育委員会の基本方針。5年過ぎたところで、第二次の教育ビジョンを立ち上げて、今年度から始まったところですが、その第一番目に施策体系の中で、産業教育の充実。これは長年地域の活性化、産業教育を活性化するためには、専門高校の人材育成というのが欠かせないというような意味で、重点施策の第一番目に挙げている。さらには26年度の主な施策として、中ほどより少し下ですが、グローバル化ですね。グローバル人材育成に向けた産業教育の推進。今年から新規に予算をつけて、施策に盛り込んだと。それの三つ下に、産業教育の充実に向けた校種間、先ほど言いましたように、いろいろな専門高校の間での連携とか地域との連携といったようなことにも力を入れているということでございます。
 2ページ目ですが、これは五つの柱の残りのところがこのようなことで進めているというところです。
 3ページ目をちょっとおめくりいただきたいのですが、教育を取り巻く状況。これは岐阜に限らず、地域を支える現役世代の減少。特にこの中では、右上のところですね。15歳から64歳の一番働く担い手のところがどんどん減少するというようなこと。それから、岐阜はもともとは繊維を中心に栄えたところですので、やっぱり企業の伝統的なものがアパレルというようなところ。左側の方の図ですが、そういったところが地元から海外へどんどん進出しているというか、そういうところに設置母体を持っているというような実態があるということ。それから、右下のところですが、これは県内の中学卒業生、高校への入学者数が、このように激減するというようなことで、その中で高校教育の在り方、特に専門高校の在り方というのも考えているというようなことです。
 4ページを見ていただきますと、これはいろいろなアンケート等とったところで、先ほど池田委員さんがおっしゃっていましたように、やっぱり地域の活性化というのが何よりも大事だという、そういう県民の意識があって、「とても必要」、それから「どちらかというと必要」、これが95%以上というような、地域の活性化を希望しているというような実態です。
 それから、5ページをちょっと見ていただけますか。これは岐阜県を支える産業教育。産業教育というのは、ここでいう職業教育ですけれども、この表は、最初に申し上げましたように公立高校です。全国の公立高校に対して、岐阜県の公立高校の生徒数の割合です。岐阜では長い間、私も教育委員会にいたときに、高等学校の入学定員を決めるときに、長年普通科6に対して専門高校を4というような割合で定員を決めて、ずっときておりました。そういったところがこの左上のところになっています。
 特にここで見ていただきたいのは、右上の棒グラフです。これは専門高校の卒業後の進路として、例えば工業では7割近くが地元に就職をする。農業もそうですが。その辺のことも後でお話ししますが、例えば私、岐阜工業高校に勤めていましたときに、やはりトップクラスの上位30人ぐらいは、指定席のように従業員1,000人以上の、ある意味では大企業へ就職することが決まっているような、愛知県を含めて、それから岐阜、東海近辺のそういったところへ就職をするということで、そういう状況を見たときに、これだけの力があれば、能力があれば、例えば大学名を言ってあれですが、名古屋大学の工学部なんかへ入れるのではないかというようなことをいったときに、いや、入れることは入れるけれども、そこへ行ったら逆に今、就職できるところへ行けないかもしれないというようなことも職員の間から出てくるような実態がありました。
 特に今のことを裏付ける資料、5ページの資料の右下のところですね。岐阜県の公立高校の卒業者の学科別の県内外の就職者の割合。例えば、今言いましたように、農業とか工業はかなりの割合で県内に就職するというようなことです。県外というのは、ほとんど愛知県へ行くというところです。求人も、先ほどの池田委員も、新潟県も非常に専門高校に対する求人倍率は高いということですけれども、岐阜も同じように高い求人倍率をずっと維持しているということです。
 それから6ページは、岐阜はほとんど山が多いところですが、ただし六つの学区があるのですけれども、公立高校66校、私がいたときには74校ありましたが、この間に8校ほど児童・生徒数の減少で減ってきましたが。ただし、各地域にそれぞれの専門高校が位置していると。ずっと伝統的に位置して、その地域の活性化につながるような人材育成に努めているという実態です。
 それから、7ページの方をちょっと見ていただきます。産業教育の充実ということで、これも今まで申し上げましたように、地域の活性化に長年、そしてこれからも貢献するような人材育成に努めるという意味で、岐阜県産業教育の目標。本県の地域産業、ものづくり産業、サービス産業の維持・発展に貢献する専門的な知識・技術を持った職業人を育成する。産業人の安定供給ですね。それから、調和のとれた豊かな人間性や社会性の育成。それから、社会の変化に対応した職業人の育成、この三つを目標に人材育成に努めているということで、そこに幾つかの細かい施策がありますが、右側の方に具体的な施策ですね。専門高校生の地域連携推進事業。これは新たに県単事業として、ものづくり、人づくり、それから地域問題の解決に努めるような、そういう人材をさらに進めるにはどのようにしたらいいかということを、県が指定して取り組ませていると。
 それから、スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール。これは文部科学省の初中局が平成26年度からこの事業を立ち上げたものですが、後ほど出てきますが、岐阜県内では岐阜県立岐阜商業高校が商業高校として1校指定されて、推進に努めているところです。
 それから、その下は、多様な学習成果の評価手法に関する調査研究事業。これも文部科学省の初中局の事業として、専門高校での学びの仕組みとか、そこでの学習の成果がなかなか評価されていないというか、ある意味では認められていないのではないかというようなこともあって、その客観的な評価の仕組みを検討するというような意味で、県内に2校指定して進めているというところです。
 下のところには、県単の事業としてグローバル化、国際化ということに応えるために、これは長年ブラジルへ農業高校生を、県内に7校ある生徒から毎年一、二名を選んでそこへ派遣して、国際感覚を身に付けた、将来の地域農業の従事者を育成するというような取組をしているところです。
 8ページの方を見ていただけますか。地域連携推進事業。これは「ものづくり」、「ひとづくり」、「地域課題解決」というようなことで、内容の五つの条件として、「学習と仕事がリンク」、「地域に感謝される活動」、「地域の人と協働実践」、「伝統文化の継承・地域の特産物の改良など」、あるいは、「資格を地域貢献に活用」といったような条件を満たす、そういう学校を指定して推進事業を進めていると。期待できる九つの力、そのような力は、専門高校ならではの力だというふうに思っていますが、細かくは時間の関係で省略させていただきますが。例えばこの右下の写真は、柳ヶ瀬の商店街が空洞化しているというようなところで、そういったところを活性化するという意味で、商業高校が協力をして商品販売といったことをしている場面です。
 9ページを見ていただきますが、先ほどのスーパー・プロフェッショナル・ハイスクールです。文部科学省初中局の児童生徒課産業教育振興室が、今年度から事業を始めた、そこでの認定委員を私も務めておりまして、全国から41校、専門高校の提案の中から10校を指定して、今年度からスーパー・プロフェッショナル・ハイスクールとして取り組んでいるところです。先般、今週の火曜日ですけれども、隣の愛知県立豊田工業高校の実地検査をしてきました。本当に職員も、国から指定されたことを非常に励みとして取り組んでいるという様子が分かりました。県立岐阜商業高校もこれを指定されて取り組んでいるところですが、詳細についてはまた読んでいただきたいと思います。このようなことで、グローバル化に応えるということで、教員、それから地域からのいろいろな要望を受けた取組をしているところです。
 それから、10ページ。先ほど言いましたように、多様な学習成果の評価手法。これは先ほども言いましたように、専門高校で行っていることがなかなか評価されることがないということで、岐阜県内の可児工業高校、それから加茂農林高校を指定して、様々な活動の仕組みを客観的に評価できるような、そういう方法を構築するといったようなことで、このようなシステムをとって、研究・推進に努めているところです。
 11ページです。グローバル化に対応した産業教育の推進ということですが、専門高校も国際化、国際人として通用する必要があるということで、例えば右上の写真で、岐阜工業高校は、タイに現地法人を有する企業に生徒、職員も一緒に行って、国際感覚を身に付けるといったようなこと。それから、生活産業高校。これは家庭科のところですが、大垣桜高校です。フランスのエスモード・パリ校に最先端のモード等を学びにいくといったようなこと。それから、左下の方は、先ほど言いましたように、農業高校の海外派遣。ブラジルでの、要するに日本人が活躍している様子とか、それから、オランダでの活躍の様子等を見学してくるといったようなことです。
 12ページです。岐阜県の産業教育の実績。これはどこの都道府県にもそれぞれに特色があるかと思いますが、一様に農業、商業、工業それぞれが資格取得。専門高校が普通科と違う学びは、行動目標というか、間近にステップアップできる目標があって、それを一つ一つ乗り越えていくことによって、生徒が本当に向上する。1年生で入ったときの力は、例えば客観的にいうと普通科高校に劣るかもしれませんが、1年たち2年たち、3年を卒業するときには、本当に自信に満ちた顔付きで卒業していくという、そういうところを私も目の当たりにしてきたのですが、いろいろな資格取得を目指している。例えば商業高校では、こういうような資格をとっている。
 それから、恵那農業高校。これはシクラメンとかシンビジュームといったものをつくって、世界らん展の最優秀賞ですね。それから、ものづくりコンテストでは大垣工業高校が全国大会優勝。それから、先ほど出てきました大垣桜、全国のファッションデザイン、ファッション甲子園、ここでも優勝していると。それから、情報科の各務野高校も、情報教育では非常に特色のある教育を進めているところです。地域のアイデアを生かして、情報教育に努めているというところです。
 13ページ、ここのところを一番強調したかったのですが、実践的な職業教育を、ここでの有識者会議ではどんなことを期待するかといったようなことです。高等教育機関に進学する生徒像。専門高校に学ぶ生徒はどんな生徒かということを知っていただきたいということです。専門高校で基礎・基本的な知識・技術を習得した上で、さらに専門的かつ高度な知識を身に付けようと目的意識が非常に明確であり、向上心を有する、そういう生徒をさらに伸ばすようにしてほしい。先ほどもちょっと触れましたが、本当に優秀なトップレベルの者が、もちろん地元の産業界に貢献するという意味があるのですが、やはりその生徒をさらに伸ばせるような高等教育機関があれば、そこに行ってさらに国際的に通用するような人材に育っていくというようなことを期待したいと思っています。近年、高等教育機関への、例えば大学等進学率は高くなる傾向にあります。
 高等教育機関への期待です。地域産業の担い手を育成するための職業教育の充実。具体的には長期のインターンシップや、応募前職場見学ということに加えて、日本版デュアルシステム。デュアルシステムというのは、様々な選択肢、様々な進路、実習先等が用意されているような、そういう学びの仕組みが必要かなというふうに思っています。ただし、大学の空洞化という、ちょっと言葉はきついかもしれませんが、大学で本来学ぶという、これは大学とは限らなくて、新たにできる高等教育機関ですけれども、それらの全てある機関、企業に任せきりになるというようなことになっては困るなというような意見がありましたのでそういう表現ですが。
 また、高等教育機関の専任教員ですね。そこで勤める教員は、長期間といってもそれは何年ということではなくて、2か月、3か月、絶えず企業に派遣し、今現在どういうことが課題になっているか、どういう問題が産業界にあるかというようなこと、そして何を目指しているかといったようなことを、絶えず新しい情報を身に付けていく。職員自身にそういう仕組みが必要です。
 専門高校は、産業教育実地研修という制度を長年やっていまして、若手の教員を二、三か月ですけれども、本当にローテーションを組んで絶えず近くの企業、ある意味では今現在何をやっているかといったことを学ぶ。そして学校へ戻って、その新しい情報を生徒に伝える。そういうことをやって、それをさらに発展的に充実させるような仕組みが必要だろうと思っています。時代の変化に即応した先端的な知識・技術を習得するとともに、職業教育指導者としての資質を養成するということが期待されます。
 それから、各産業分野の垣根は低くなる。互いの関連性を深めていると。今後は一層各産業の結合・融合することにより、新しい産業を形成することが必要。四角の中にありますが、例えば農業分野では、工業技術を活用した生産力を高めて、収穫した生産物に付加価値を加えるとか、あるいは生産力を上げるとか、専門高校というと、その専門だけに特化するのではなくて、職業教育も、その専門性を余りにも追求する、そこだけではなくて、いろいろな分野も含めた知識・技術が必要だろうというようなことです。
 それから、その下のところがちょっと強調したいところですが、専門高校に在学中に、専門的な知識・技術を習得したり、高度な資格を取得したりしている生徒が、その専門性をさらに生かすとともに、培った能力を一層高められるような専門的かつ優先的な教育カリキュラムの整備と拡大を期待する。これはちょっと言いますと、例えば現在の大学は、ほとんどが普通科高校出身の者を受け入れるようにできていると思います。私がいたときも、優秀な生徒が、例えば地元の工学部なんかに入ったときに、最初の2年間はある意味では寂しい思いをするというか、普通科高校と違って、カリキュラムが普通科に特化したような授業をやっている。彼らが3年生になって専門的な内容になってくると、俄然元気が出てくるのですね。それは今回、検討するような新たな高等教育機関だったら、専門高校では既に学んでいる、そういったことをさらに継続的に、発展的に高められるような仕組みがあってほしいというような意味です。
 例えば、地元の朝日大学経営学部の方では、将来公認会計士、税理士を目指す特別なコースとして、ある資格を持った者はそれをさらに発展するような、そういうコースを設けていると。
 最後のところです。企業内研修、社会人が受ける研修内容を学生が受けたり、社会で必要となる思考力、行動力、コミュニケーションスキルを育むゼミナール活動を、企業人が評価することで、学びと社会との連続を意識する。要は、専門高校と普通科との違いは、普通科は大体40人なら40人一斉授業がほとんどメインですが、専門高校は1年のときから、ある意味ではプロジェクトチームのような課題追求型の授業で、4人から6人のグループを作って、そしてそこの中である課題を追求しながら学んでいくという、そういう実験・実習、体験型の授業をずっとやってきているのです。そういうところで学んだ手法がさらに生かされるようなことが要求されるということです。このような学び方を身に付けた専門高校の生徒が、さらに高度に成長できるような仕組みが必要だろうということです。それは今の低学年における専門知識・技術の好奇心、探究心を身に付ける、そういうプロジェクト活動のような取組を続けてきた。そこがさらに伸ばせるような仕組みが欲しい。
 最後にちょっと、今回の有識者会議のテーマ、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関に対する。これ、二つキーワードが私はあると思いますが、実践的、もともと職業教育というのは実践的ですね。間に合わなきゃいけない、実践的。それにさらに実践的ということをつけたのはどういう意味かと。これはさらに実践的というのは、より一層高いレベルの高度な技術、専門的な知識が要るという、そういう意味かという。
 それから、新たな高等教育機関。これは、これまでの大学等とは異なる人材育成が必要だろうというふうに思いますが、これまでのいろいろな委員さんの提案とかをお聞きしましたが、私は高等教育機関というのは、三つあるとすれば、例えば教育の内容をどうするかということと、それから、教育の方法、学ぶ仕組みですね。何度も言いますが、プロジェクトチームでやるような専門高校での学びが非常に効果的だということ、学びの仕組み、教育の方法をどうするかということと、そういう意味での総括するような教育の組織がどうあるべきか。教育の内容、教育の方法、教育の組織ですね、仕組み。そんなところが新たなというところに入るのかなというように思いをしております。
 ちょっと時間オーバーしたかもしれませんが、岐阜県の専門高校における職業教育の概要と、それから、今回の有識者会議に対する期待ということでお話をさせていただきました。どうもありがとうございました。
【黒田座長】  ありがとうございました。それでは、服部委員に対する御意見がございますでしょうか。はい、どうぞ。
【寺田副座長】  細かいのですが、専攻科のことをちょっとお聞きしたいんです。その前に、前置きをちょっとやや長くお話をさせていただきますと、中教審の特別部会の最後のまとめの中でも、高等学校段階の職業教育、キャリア教育の抜本的改革の一つとして、専攻科の在り方、あるいは拡充という言葉も使っていたかと思います。これは初中局マターなのでこういう言い方しかできなかったのだろうというふうに私は思っているんですけれども。ということが一つあって、例えば愛知県で、私、長年産業教育審議会やっていますけれども、今度、学校統廃合の枠をさらに乗り越えて、総合技術科というのを作って、プラス専攻科を置くと。僕は都会で専攻科を置くのは余り賛成ではないのですが。専攻科というのは、地方で周りに専門学校、短大、高専等がないようなところでは、これは非常に意義があるというふうに思っているのですが、さて、どうなるかなということがあります。
 他方、例えば大阪府。高大接続。つまり、ここでまさに議論をしていることは、先生、今日御提案の、専門高校卒者の高等教育機関への受入れ。これはいわゆる編入という形では従来、現在もたくさんやっておりますけれども、いろいろ限界があるということで、まさに今ここで議論しているような高等教育段階の職業教育機関と結び付きたいということが裏にあって、こういう例えば工業高校の名前も工科高校というふうに変えておりますよね。ということで、先生御提案の、専門的な高度な知識を身に付けるということを、高等教育機関で受け入れるということを考えたときに、専攻科の総括といいますかね、難しいことを言いますと。これの評価がかなり問題だと思っております。
 もうちょっとだけ言わせていただきますと、私も非常勤講師だとかいろいろな機会に商業校だとか工業校の卒業生を大学で相手をしたことがあって、かなり分かってはいるのですけれども、商業、家庭、情報、福祉、ここらあたりは既存の枠組みでもある程度対応していると思います。特に私立大学、編入だとか特別入学とかですね。できないのが工業高校なのですね。これは非常に難しい。特別推薦とかという形で、場合によっては国立大学も入れていますけれども、大変難しいのですね。これはどうしてかというと、カリキュラムが職業教育、工業技術教育を受けてきたような人に対応していないのですよね、大学の枠組みは。さっき先生もおっしゃっていた。ということがあって、非常に重要な点だなと思っているのですけれども、岐阜県における専攻科の設置状況、若しくは方向ですね、問題、課題というのをちょっと教えていただければと思います。
【服部委員】  岐阜県では、多治見工業高校に唯一専攻科がある。窯業、美濃焼の、私がいたときは1年課程だったのですが、それを2年課程にして、さらに多治見工業高校の窯業科、セラミック科学と今、名前が変わりましたが、そこで学んだ者はさらに、ある意味では芸術性を高めるとか、もっともっと高度な技術を身に付けるというようなことで専攻科を設けております。それが1年課程から2年にして、2年課程にすると同時に、社会人ですね。学び直しというか、退職してから窯業をやりたいというようなニーズもあったりして、そういう社会人で、やはりそういう特殊な技術をさらに身に付けたいというようなところで、工業高校の中に専攻科というのがあります。
 一般的なところでは、先般私も愛知県の豊田高校に行ったときに、今おっしゃっていました新たな工科高校ですかね。5年制の高校も、近々愛知県は設置されるというお話を伺いましたけれども、そういう意味での、3年プラス2年というようなところはなくて。あと、今、飛騨高山高校の看護科ですね。高等学校だけだと、看護だと准看護師の資格しか取れないので、そこに専攻科というのが続いているというふうに思いますが、専門高校の中でも特殊な分野で、そこをさらに伸ばすというようなところに専攻科、その二つがあるのみです。
【黒田座長】  よろしいですか。他にございますか。
【川越委員】  一つは、池田委員の言われた中で、地方の視点というか、そこは池田さんの基本を置かれる場所でもあるでしょうし、地方から、という観点で考えますと、東京オリンピックに向かってさらに東京がどんどん発展していくと、一極集中が更にまた進むのか、それとも東京に引っ張られて地方も発展につながっていくのかということは非常に大きなポイントだと思うのですけれども、地方の専門高校を出て、地方の専門学校に行って、そして地方の企業に働いているという人の数はすごく多いわけです。
 この前も言いましたけれども、高校を出て地元で進学をする場合の最大の進学先は専門学校でありますが、さっきちょっといろいろ見たのですけれども、4年前の資料ですけれども、高卒就職率が最も高いのは、1位佐賀県、2位青森県、3位長崎県、4位岩手県、5位宮崎県、6位福島県となっておりまして、これを所得で比べますと、佐賀県41位、青森県46位、長崎県35位、岩手県44位、宮崎県43位と、こういうことになります。
 地元の新聞は、今年は高校卒業生の就職率がすごくよいということをグッドニュースとして常に流すわけですけれども、僕はそれはある種バッドニュースではないかと。いつまで宮崎県は貧しいままでいるのだろうといつも思っているわけですけれども。二つ理由があって、一つは貧しいということですね。上に進みたい子供がいても、親が金を出せないから就職してくれ。もう一つは、親もそうだったのだと思いますので、親も本人も、さらに上の学校に進んで、自分のキャリアを高めたいという意欲に欠けるという点も、多分あるのではないかと思うのですけれども。
 そういう中で、地域で商業高校を出て、ビジネス専門学校へ行くとか、福祉系の学校を出て介護の学校へ行って、地元の福祉施設に勤めていくとかいうような子たちが、やっぱり学生であって学生でないという状況。前にも言いましたけれども、一度10年ほど前ですが、私どもの2年課程の専門学校を卒業してJAに就職した子が、しばらくして学校へ帰ってきて、僕は給料が高卒2年になっていると。専門学校を出たことが学歴として認めてもらえていないというので、早速全農とか東京にも抗議したのですけれども、地元のJAにすぐ抗議したんですね。そうしたら地元のJAの職員いわく、だって専門学校は文科省のいう学校じゃないでしょうと、こう言ったのですね。そういうことが今もある。学校を出て、地域で就職して、地域でずっと働いてきて、地方に貢献している彼らは、そこでやっぱり誇りを傷つけられているというところがすごくあるわけです。
 それに対して、大学教育というのは、大学に教育があるのかどうか、僕はあれは学問を研究すべきところだと思うので、教育の終わった人が行くところだと思っていますけれども、大学が提供する教育の内容は、文科省のいろいろな設置認可によって一定の水準が担保されていると。そうだと思いますが、ではそれを受けている学生が、それに耐え得るレベルの子は何割いるのかということを考えたとき、専門学校が提供している職業教育のレベルには大変ばらつきがあるという評価を長い間受けてまいりましたが、今回職業実践専門課程によっては、一定の水準を担保できるということになったとしたときに、同じレベルの子たちですね。偏差値的にいうと同じレベルの子たちが専門学校に来たとしたら、大学に行くよりも、よくその教育を理解できる。その教育に耐え得る学生が多いのではないかと私は思っておりまして、その意味では、本会議を経て、新たな教育機関として、職業教育を専らとする高等教育機関の創設は、地方で学ぶ人間の地位を正しいものにするということもございますし、今申し上げたような、偏差値輪切りによって無目的的に大学に行ってしまっているような子たちが、新たに創設されたところで誇りを持てて、自分に合った勉強ができるという機会を、地方で提供できるのではないかなと思っています。
 高校の専攻科のお話もありましたが、中教審で調べたときに聞いたら、8,000人いるらしいのですよね。全国で8,000人いらっしゃる。7,000人は看護師です。5年一貫の看護師課程です。1,000人です、他の専攻科。それは学歴として認められていないからだという御意見もあるし、それもそうかもしれないし、池田委員がおっしゃったように、専門学校がないところでは専攻科の価値があるというお話もございますけれども、現実に私ども宮崎県全域から通学できるところに学校を作っておりまして、専門学校がないから専攻科に行かなければいけないという理由は余りないなというふうに思います。不必要だと言っているのではなくて、そういうふうにちょっと感想を述べたいと思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。他にございますか。
 ないようでしたら、次に進みたいと思います。今日の本論でありますが、議題の1に入らせていただきます。新たな高等教育機関の基本的方向性について議論を進めるわけでありますが、いろいろな御意見を頂きました。疑問点も頂きました。それにつきまして、事務局で資料3におまとめを頂いておりますので、まずそれについて御説明を頂いて、具体の議論に入りたいと思います。お願いします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、お手元の資料3、「これまでの議論で指摘された主な論点」という資料を御覧頂きたいと思います。こちらは今座長から御説明がありましたように、今後議論すべき論点の全体像を見通していただくために、これまでの意見や疑問点を整理したという位置付けのものでございますので、個別の論点について、これ以外のものはもう出せないということでもございませんし、あるいは今後の結論の方向性を示すという段階のものではございません。あくまで今まで出てきたものを整理をしましたというものでございます。
 具体的には(1)では、養成する人材像・対象者に関することといたしまして、御議論のありました、対象として想定される業種や職種や職能、あるいは三つ目にありますような、主な対象として想定する人をどんな人と考えるのか、また、需要はどの程度あるのかといったことをまとめてございます。
 (2)は、新たな高等教育機関の教育内容等に関することということで、これも御議論ありましたように、職業専門知識のほか、一般コンピテンス等の扱いはどうするのか、あるいは、教養教育の扱いをどうするのかといったことを入れてございます。また、マネジメントに必要な素養などの扱いをどのように考えるか、それから、教育の方法になりますが、実習的な演習(PBL)ですとか、インターンシップなどをどのように取り入れるかといったことを並べてございます。
 (3)は、企業等との連携による、実践的な職業教育としての質の確保等に関することということで、実務経験のある教員、いわゆる実務家教員をどのように扱うか。あるいは、教育課程の編成における企業の参画をどうするか。また、実習・実技をどのように取り入れるか。それから、学校評価の在り方と企業等の参画をどうするか。また分野別の第三者評価をするのかといった点を挙げてございます。
 (4)は、高等教育機関としての教育の質の確保に関することということで、先ほどが実践的な職業教育としての質の確保ということでしたが、こちらは高等教育機関としての質の確保ということでございます。中身としましては、設置認可を国が行うのか、教員の資格や人数、あるいは校地・校舎なども含めた設置基準を大学や短大との関係でどう考えていくのかといったこと。また、認証評価の扱いや、先ほども出ましたけれども、分野別の第三者評価といったものをどうするか。最後に、学生の質保証ということで、学位や称号などの位置付けといったことも問題になろうかということで挙げてございます。
 (5)は、新たな高等教育機関の位置付けに関することとしてございまして、我が国の高等教育全体の中でどう位置付けるのかということで、修業年限ですとか卒業要件、入学資格という視点もございましょうし、その次の丸にございますように、研究の位置付けをどうするかといったことを踏まえ、さらにその次にある、大学体系の中に入るのか、あるいは職業教育体系を新たに整備して、大学とは異なる新たな学校種を設けるのかといったあたりを御議論頂く必要があるかと思います。また、学生の質保証という意味で、学位や称号ということになりますと、こちらの位置付けとも関係があろうということで、再掲で挙げてございます。
 最後に(6)社会人を含む学生のニーズへの対応ということで、大学等への編入学ですとか、大学院への接続のほか、情報公開や、社会人でも学びやすい環境をどう確保するかといった点を挙げてございますので、今後の議論の参考にしていただければと思ってございます。以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。本日は、この御提示頂いた(1)の、養成する人材像・対象者をどのように考えるかということ。それから、新たな高等教育機関の教育内容等をどうするのかというようなこと。六つに分類していただいておりますけれども、まずは高等教育機関の定義が私は必要だと思うのです。今、高等教育機関と言うと、大学イコールというような感覚で言っておりますけれども、後期中等教育の卒業者を受け入れる機関としての高等教育機関という意味合いをどういうふうにつけていくか。ポストセカンダリーをどうするか。それから、第三段階の教育というものをどういうふうに考えるか。これも世界的通用性も含めて考える必要があると思いますが、その中で養成する人材像、それから新たな教育機関の教育内容ということであります。これにつきましては、また事務局の方で資料をまとめていただいておりますので、この資料の説明をお願いしたいと思います。
【神山教育改革推進室長】  それでは、まず(1)の養成する人材像・対象者に関することにつきまして、参考資料2と参考資料3を用意しておりますので、御覧頂きたいと思います。
 まず参考資料の2でございますが、こちらは内容といたしましては、平成23年のいわゆるキャリア答申と呼ばれているものの抜粋でございまして、当時関連する議論をしていた際に、どういう議論がなされていたかというのを参考で載せているものでございます。
 上の方に(2)とあって、職業実践的な教育に特化した枠組みに関して議論がなされておりまして、その際、四つの視点のうちの一つとして、どういった「人づくり」をするのかと。経済成長を支える「人づくり」をすべきではないかということで、新たな成長分野をはじめとする各種分野において、具体的には二つ、黒いひし形の四角でございますが、今日の池田委員の御提言にもありましたとおり、地域経済ですとか産業振興に向けて、地域の強みを生かした産業・事業の創出・発展に関して、海外市場も対象に活躍し、地域の発展に貢献するような人材が必要なのではないかといった点と、もう一つは先進・創出を目指してということで、高度な専門的知識・技能を有する人材。あるいは、洗練・熟達した技能で、産業や企業の事業部門の主力を担っていくような人材が必要なのではないかといった議論がなされておりました。
 また、その次の丸にございますように、こうした人材の育成を行う上で、経済や産業の動向などを把握して、それに即応した教育をすべきだということで、企業や経済団体、職能団体と密接に連携して、こうした最新の実務・知識・経験に基づく、そうしたものを教授しておくことに重点を置く必要があるのではないかということが議論されてございました。
 さらにその下に、注書きの形ではございますが、そのときの議論の中で挙げられておった分野といたしまして、そこにありますハードウェア・ソフトウェアの設計・開発、デジタルコンテンツの開発といった各種の分野が挙げられておりましたので、御参考に挙げてございます。
 また、裏側につきましては、前回の資料でも御提出させていただいておりました、同じくキャリア答申の議論をしていたときに、三菱総研で調査をした際の人材群のレベルの設定の仕方を表にしたものでございますので、議論の参考にしていただければと思ってございます。
 また、もう一つの参考資料3の方でございますけれども、こちらは大学や短期大学、高等専門学校、専門学校の産業別の就職者数ということで、1枚目には学校種ごとの産業別の就職者数がグラフにしてございます。また、2枚目以降につきましては、学校種ごとに、2ページ目に関して言えば大学でございますけれども、大学の学科別・産業別の就職者の割合です。左側に、理学部、工学部、農学部といった学科の別がございますが、右側の方を御覧頂くと、農業、林業、漁業といった形で、産業別の割合が示されてございます。
 また、3ページの方を御覧頂きますと、これも大学のものでございますが、学科別に、今度は右側を御覧頂くと職業別ということで、例えば専門的・技術的職業に従事しているのか、管理的な職業に従事しているのか、事務従事者なのかといった職業別の就職者の割合を、学科別に示したものというふうになってございます。
 2ページと3ページが大学のものでございますが、以下同様に、次のページには短期大学のものが2ページ続いておりまして、その次には高等専門学校、そして最後に専門学校について、産業別・職業別ということで割合を示したものを提出してございます。(1)については以上でございます。
【黒田座長】  それでは、ここで一旦ちょっと切りまして、論点(1)について皆様から御意見を伺いたいと思いますが、大体30分ぐらいですかね。お願いします。はい、金子委員。
【金子委員】  まず最初に申し上げたいのですけれども、事務局が出された資料は、結局この議論にどう役に立つのか私は分からないのですが。基本的にこういう技術が必要だろうということは分かるのですけれども、この三菱総研のをぱらっと見ていましても、これが実践的な意味を持っているということも分かりますが、大学でやった方がいいのか、それとも専門学校でやった方がいいのかという議論にほとんどインプリケーションが分からないのですね。さっきからありましたように、それからここに例示しているものは、それぞれロットが小さいといいますか、コンピューター関係だって25万人とか書いてありましたけれども、これ、決して大きな数ではないわけで。しかもこれをぱっと見ていますと、大学でやった方がいいのか、専門学校、あるいは新しい学校種を作った方がいいのかというところに、どういうふうな形でこれが意味があるのかというのがちょっと分かりにくいのですが。
 それから、この2ページの方を見ていると特にそうなのですけれども、これは要するに、職階別の能力を定義しているのであって、これはまた専門学校、大学との関係の議論と意味があるのか、ちょっとよく分からないんですね。ちょっとそこら辺、もし何か議論があったならば御説明頂きたいのですが。
 それからもう一つ、参考資料3を見ていましても、典型的に分かりますのは、一番最後の8ページ、専門学校の関係学科別産業別就職者割合なのですが、これ、非常に細かくて見にくいんですけれども、農業、林業はほとんどないからいいのですけれども、その下の工業関係の専門学校の、鉱業、建設、製造、電気・ガス、情報通信というのは、全部合わせても4割ぐらいにしかならないので、要するにいわゆる工業関係というのは半分以下なんですね。工業高校はもっとそういう状況が多くて、大学の工学部卒も、実は3分の1ぐらいは非製造業なのですよ、就職しているのは。
 要するに私が言いたいのは、このようなデータで、新しい実践的な学校種というものの必要性を議論することは、非常に実は難しいということです。ここら辺、ですから私が事務局に申し上げたいのは、これはどのように具体的なベースとして議論するのかということを、もう少し詰めていただけないでしょうか。これはもちろん本来は私なんかがやらなきゃいけないことなのかもしれませんけれども、ちょっとこれを見ている限りでは、この議論に直接どこで関わるのかがよく分からないと思います。
 これから一つ意見を申し上げたいと思うのですが、これは根幹に関わるところだと思うのですけれども、先ほどの池田弘委員の御発表で、5ページなのですが、新しい高等教育機関で、将来像を明確に書いてくださったので話はかなり分かりやすくなると思うのですが、一条校としての要件を整備し、その場合に専門大学4年制、専門短大2年制、3年制とするということがあるわけです。ここで専門学校関係者の方も大分出ていらっしゃるわけですけれども、私、率直に伺いたいのは、4年制の、要するに現在の学術的大学と並行するような専門大学を作るということが、どの程度ニーズがあるのか。どの程度、それも今回の議論の射程に入れるべきなのかということです。
 これは前に岡本委員がお作りいただいたデータが冊子にありますけれども、この10ページを見てみますと、大体今の専門学校の修業年限数は、50%ぐらいは2年以上3年未満ですから、大体2年だと思うのですけれども、確かに経緯から見てみますと、3年以上というのが増えているのは増えていて、4割ぐらい確かに増えているのですね。ちょっとこれ、私は分からないのですが、どういうところでこういうような3年以上のところが増えているのか。あるいは、これも含めて、やっぱり4年制とするべきなのかどうか。これは岡本委員に伺った方がよろしいかと思いますけれども、ここについて伺いたいと思います。
【黒田座長】  では、後段のところを。
【岡本委員】  新たな高等教育機関の修業年限について、金子委員から御質問がありましたので、私の知る範囲でお答えできればと思います。現状の専修学校・専門学校が、2年課程が5割強、3年制が35%、4年制が8.6%ですから、3年、4年合わせると四十数%ということで、相当数が3年、4年になっているということですね。これはやはり技術の高度化とか、産業界の要請する人材像と。例えば私ども、ITの学科を幾つか持っているのですけれども、組み込みソフトウェアという、ハードウェアに直結する、組み込まれたソフトウェアということですが、回路とかいろいろ勉強すると。そういうことを考えると、やはり2年課程ではちょっと難しいということで、3年課程にしております。
 あるいは、ゲーム、CG、クリエーターですね。これも産業界から非常に強く求められておりまして、従来の2年型、2年制では、今の業界で活躍できるレベルは難しいのではないかと。できれば4年制、最低でも3年制でやってもらいたい。その代わりカリキュラム等々含めて応援しますよと。これは一例でございます。
 それと現在、医療系の専門学校が非常に増えておりまして、看護師から始まって理学療法士、作業療法士、臨床検査技師等々、多くの国家資格を有する医療関係従事者の養成を専門学校は当たっておりますが、これもやはり3年制若しくは4年制と。そういう意味では、大学を選ぶか、専門学校の3年制、4年制を選ぶかと、こういうふうになっておりまして、やはり基本的には産業構造の変化、技術の発展の中で高度人材が求められるということで、それに柔軟に対応する専門学校の学科構成ということで、こういうふうになってきたと思っております。
 では、新たな高等教育はどうするのだという御質問だと思いますが、ここは職業実践専門課程を例にとりますと、専門士及び高度専門士に実質上限定しておりますので、必然的に2年制若しくは3年制、若しくは4年制ということで、2から4ということで整理をしております。この新たな高等教育機関につきましても、いろいろな全国の専門学校の経営者の皆さん、あるいは教育現場の担当の先生方にお聞きしても、やはり4年制だけとか、あるいは2年制だけというのではなくて、2年、3年、4年を、是非そういう高等教育機関にしてもらえると有り難いという声が多いです。
 こういうニーズは、専門学校の方からは出ていると思っておりますが、新たな高等教育機関を設計する上では、例えば大学でいえば、大学があって短大があると。私は、基本的には大学と並び立つ高等教育機関と。どっちが上でどっちが下という意味ではなくて、やはり学問体系を勉強するということを主眼にして大学を選ぶか、職業とか実践的な教育体系を選択して、新たな高等教育機関を選ぶとか、こういう考えで選択したものが一番いいのではないかというふうに思いますので、やはりそういう意味で、2年制、3年制の新たな高等教育機関、これは短大に匹敵する話になると思います。それから、4年制の新たな高等教育機関、これは大学に相当するということになると思います。
 その場合、2年、3年の高等教育機関、4年制の高等教育機関を全く一つの同じパッケージでできるのか、あるいは卒業の資格も変わるので、学位になるかどうかということですが、分けるのか。この辺はまさに制度設計の議論が必要なところであります。また文部科学省のお考え、あるいは法律的ないろいろな整備、そういうことも踏まえて考えるべきかと思いますが、基本的にはそういうことで、専門学校の多くの実際に担当されている方々からは、2年、3年、4年も含めて、新たな高等教育機関の方にいけるような制度設計をしてほしいという、そういう要望は頂いております。以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございます。金子委員の前段の、この高等教育機関というのは本当に必要性があるのか、それから何を目的にしているのか、その辺について、事務局から御説明をしてください。
【神山教育改革推進室長】  最初の御質問は、こちらの資料を出した意図についての御指摘でございました。特に先ほど御説明した二つの資料に関しましては、第3回の、例えば樋口委員の御説明の中で、業種や職種ですとか、そういった点について見定めた上で、新たな高等教育機関というのはどういうものとすべきかといった順番で議論すべきではなかろうかということでございましたので、いろいろな段階で、私どもの方でこの業種でというように決めるというよりは、現状でそれぞれの学校種がどういった業種を担っているのかということをお示ししたり、あるいは過去、キャリア答申の段階でどういった議論があったかということを御紹介をさせていただく方がよいという趣旨で出させていただいたものです。今後こういった方面での議論に、こういう資料が必要だということがあれば、御指摘を頂ければそういった形で準備を進めたいと思っております。
【黒田座長】  今のお話ですと、この新しい高等教育機関というのは、業種、職種を限定して設定するようなお話になっているのですが、私はこれ、高等教育というとそうじゃないと思うのですね。今の専門学校からの要望が非常に強いわけですけれども、日本の教育体系を考えたときには、こういう既存の学校種を抜きにして、日本としてアカデミックの大学と並ぶ職業的な高等教育機関というのが必要かどうかという議論を、まずしなきゃ駄目だと思うのですね。業種を限定するなんていうことは、私はあってはならないことではないかと思うのですが、これはちょっとまだ事務局と打ち合わせしていないので分かりませんけれども。金子委員も、その辺を大変気にされておるのではないかと思うのですが、いかがですか。
【金子委員】  お聞きしたのは、意図は分かるのですが、非常に特定の職種で、こういった実践的な修業機会に対する需要が非常に強ければ、この議論に関して一つ大きな影響力があると思うのですが、どうも実態としては、このデータを見ていても余りそういうふうに見えないように私は思いましたので。もしそういった形で、この業種が特に必要だというようなことが分かれば、その議論に関してはかなり、もちろん別の議論もあり得るかなと思いましたが、これを見ている限りでは、必ずしもそうもちょっと見えないというのが私の印象でして。座長がおっしゃるように、やはりもうちょっと原則的な点から考えなければいけないのかなというのが私の印象です。
【黒田座長】  他にございませんか。どうぞ。
【服部委員】  職業教育ということに限定すると、専門的な知識と、ある意味では特別な技術を身に付けて、併せて人間教育ということがまず出てくると思いますね。例えば、専門学校、あるいは先ほど言いましたように高校における専門教育を行っているところでも、人間教育ということではかなり、例えば私のところの校訓というのは、礼儀正しく勤労を尊び、創意工夫に努めよという、長年そういう、まず専門高校は挨拶をするというか、徹底的に部活動もそうですけれども、そういう専門高校における人間教育というのはかなり基盤にある。
 専門高校、あるいは専門学校で非常に効果的に教育が行われているのは、そういう専門的な知識、特別な技術、それにあわせて人間教育に特化して、かなり効率的に実効性のある教育をしている。そのことが地域の人材育成に非常に有効であるというふうに思います。
 ただ、恐らくは、私はマネジメント能力というか、経営者的な能力ということについては、まだ欠ける部分があると。例えば、専門高校、あるいは専門学校を出て、企業の中に入って、企業の歯車というか、そういう言い方は誤解を招くかもしれませんが、そこで活躍するんですけれども、ある立場に立ったときに、もう少し高い立場で人を束ねて指導するというような、そういう立場でのマネジメント能力ということについては、やっぱりまだ欠ける部分があるだろうというふうに思います。
 新たな高等教育機関に期待するというのは、要するに、専門学校、あるいは専門高校等で身に付けた、非常に効率的に行っている学び方の仕組みをうまく活用して、さらにもう少し、例えばよく言われているように、国際的な視野を見通して、これから先どういうことに特化した職業教育が必要かといったような、そういう先見性のある人材育成とか、そういう意味でさらに伸ばす必要があると思っています。
 だから、このままではいけないという思いは、私も長年専門高校におったときに、先ほども言いましたが、せっかくこれだけの力がある、今はそのまま就職してそれでいいかもしれないけれども、もう少し伸ばす余地があるのではないかなということを長年思っていましたので、この取組というか、新たな高等教育機関の制度化に対して非常に期待するところが大きいので、そういう現在の仕組みの中では育成できないような人材育成が期待されると思っておりますので、よろしくお願いします。
【黒田座長】  どうぞ。
【寺田副座長】  必要性ということなのですが、再々発言しているんですが、今日の論点には余り入れていただけなかったようですけれども。必要性というのは、量的なニーズということなのでしょうけれども、ということで、そういう調査があるかという金子委員からの御質問で、事務局がこういうものを出されたんだろうと思っています。なかなかこれは難しくて、将来的なことを考えれば、予測調査みたいなことになってくると思うのですよね。なかなか確定的なそういうデータというのは出しづらいのかなというふうには思います。この点について、感想ですけれども。
 これは新しく、従来の既存のポストセカンダリーの職業教育機関とは全く別に、そこに何も依拠しないで新たに作るということになれば、おっしゃるようなデータが必要になってくると思うのです。私はむしろそういうイメージはしていなくて、かなり核心に入るのですけれども、そういう部分がコースだとか学科だとかであっていいと思いますけれども、現在のポストセカンダリーの、黒田座長がおっしゃったターシャリーの高等教育機関ですね。これをどう格上げしていくかという発想も必要なのではないかというふうに思います。今、先生がおっしゃったことに関係するのですけれども。短大、あるいは高専、専門学校の卒業生の質の評価、あるいはこのレベルアップといいますか、こういうことがこれからの産業のグローバル化だとか、国際的通用性が問題です。
 さっき池田委員がおっしゃった、専門学校の場合、留学生が国に帰って、ほとんど評価されないというふうなことというのは、全くグローバル化だとか、国際化という点で非常に大きな問題ではないかなと思いましたけれども。いずれにしても、短期高等教育機関の現在の制度、あるいは学生、卒業生の企業における評価と、それからそれに対する格上げというのでしょうかね、改善といいますか、こういう視点というのが非常にこれから大事になるのではないかなというふうに思います。国際的通用性の問題というのが今回の論点に入っていないので、どこかで学位のところ、あるいは修業年限だとか、そういったところで是非入れていただきたいなと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。どうぞ。
【内田委員】  今の必要性の観点なのですけれども、日本の教育制度は、一般にまず基礎をやって、それからだんだん専門に移っていきますけれども、その逆があってもよいのではないかと思います。つまり、興味を持って若いうちにある専門分野に入ろうとした人が、そこでまず専門をしっかり教育される。その上で更に高度な高等教育では、その人たちはさらに上にいくために、その分野の他の人たちを束ねなければいけないとか、他との連携をしなければいけないという役割が出てくるので、やはり一般教育も大事ではないかと思います。それから、今おっしゃった国際的な観点も大事です。したがって一般型の教育とは逆に、専門から入って、だんだんリベラルアーツ的なものも教えるような高等部分があってしかるべきだと思います。専門に特化した人たちも、上を目指すというのにはこれが大変重要ではないかと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。今のお話で、高等専門学校ですね、工業高等専門学校。これがくさび型の教育になっているのですね。1年から専門が入りますけれども、卒業するまで5年間、教養教育をずっと続けている。それによって、成果が上がっているということがあるのですね。そういうこともありますので、これはどういうふうに新しいシステムを作っていくか、考えていきたいと思うのですが。
【池田委員】  私のペーパーで御質問があったので。基本的に、先ほど言った3割ぐらいが専門学校を中心とした卒業で1万人いるのですけれども、3,000人ぐらいいると。その中で、私どものパンフレットの03ページの大学院、これ、壮大なるチャレンジなのですけれども。専門学校卒が実務教育をして、ここに入ってきたのも何人かいるのですね。それはグループだから奨学金を出してやっていると。やっぱり最終的には、職業教育だと。これは人間のレベルを差別するみたいな雰囲気が若干あるのですけれども、ものすごい専門学校のリーダーをとるんですよ。リーダーを望みたいし、若しくは人生として自分はリーダーになりたいと思う。社会経験をすることによってなると。やっぱりそこのところに、私どものグループの中でこういうことをやっているのですけれども、これは制度的にはそういうことが合法的なものですから、大学院の方が一応面接をし、今までの実務経験に基づいて入学を許可すると。
 そういう意味では、先ほど服部委員が言ったように、やっぱり4年制というのは、やっていくうちに社会で気付いて、いろいろなことに気付いて、そこでとまってしまう。戦後のJASDAQなり公開企業を見ていただくと、職業教育の卒業生、若しくは中卒、高校中退が7割ぐらいいるのですね、高校卒業。決して大卒ではないのです。というのは、産業を作ってきたリーダーとして、若干アウトローになったのが築いて国家を作ってきている。最近ですと、大学が非常に多くなったので大卒も多くなってきていますけれども。
 そういうことを考えると、人間のベースは、よほど障害的に有していない限り、築いているうちにどんどんどんどんリーダーになりたい。それを要するに社会で学ぶ、若しくは自らものすごい強烈に自分で学んでいるということが起こっている。そういう意味では、専門大学、4年、より高度なもの。若しくは人間のリーダーシップを学ぶとか、そういう意味でリベラルアーツを学ぶ。これは絶対専門を深めるというところにプラスある。この専門大学が4年になることによって、プロトコルが、大学院もいろいろな意味で、日本の大学院は残念ながら本当に競争力がなくて、一生懸命かき集めてやっている。大学がじゃあすばらしいという話もあるのですけれども、実はうちの専門学校を落としているのが私立の大学に行っているケースがよくあるのですね。あれ、あいつあそこの大学に行ったという話。門の前を通ると大学へ、それでなおかつ定員割れしているということもよくあるということなのです。
 うちの専門学校の3年制の、先ほどビジネスで何があるのというと、経理があります。私ども、3年間で税理士をとる。では、新潟大学、ほとんど4年の経済学部で、まあ、目的が違うのでこれは評価の対象にならないですけれども、税理士とるのはほとんどいません。というようなこともあって、そういう意味で、資格をとったからどうのこうのではなくて、そこで今度組織の中のリーダーになる。
 今日も朝、経済同友会で議論になったのですけれども、日本には経理、財務のCLOという人材がほとんどいないんですね。これは大学、大学院が養成すればいいのだけど。要するに、CEOはいる。リーダーは一応いるのだけど、財務の戦略的、国際的財務がやれる人材はほとんどいない。どうやって育成するか。これは一橋大の伊藤先生がスピーチをされていたんですけれども、そういう意味でのプロトコルがものすごく切れているのです。ほとんどの企業が、専門学校の経理を出たのが大体簿記をとって、経理をやっているケースが非常に多い。特に地方の中核企業。
 そんなことを考えると、ものすごくブツブツとあれが切れているので、そういう意味では、大学とのプロトコル、それから地方において、本当に進学するところがなければしようがない、他の県の専門学校、若しくは東京の大学、それしかない。本当に教育の機会均等という意味でいうと、ものすごい日本にとってマイナスの状況になっています。
【黒田座長】  ありがとうございました。時間が大分押していますので、次の議論に入りたいと思うのですが。よいですか。
 先ほどからちょっと皆さんから出ている意見が、例えば(2)の新たな高等機関の教育内容に関することの論点の中にも出てきていますので、それをあわせてやりたいと思うのですが、まず参考資料4の説明をしていただいて、あと清水委員の方へ移りたいと思います。よろしくお願いします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、新たな高等教育機関の教育内容等に関することについて、参考資料の4を御覧頂きたいと思います。
 大きな1番につきましては、先ほどと同様に過去の経緯ということで、キャリア答申のときの議論を参考で載せておりますので、こちらについては御覧頂ければと思います。
 また、大きな2番につきましては、本会議で出た意見を編集しておりますけれども、左側のところは金子委員がお使いいただいていた説明の中で出てきたものをそのまま使わせていただいておりまして、右側、ブルーになっているところは、今までほかの先生方から意見が出ていたものを並べたものでございます。
 一番上にございますように、学術志向とは一線を画した、職業に就いたときに役に立つ実践的な知識の体得が可能なカリキュラムが必要だということにつきましては、永里委員の方からも御指摘があり、大まかな図式化をして、今までの議論からいきますと、学術専門知識というよりは職業専門知識、あるいは一般コンピテンスやマネジメントに必要な知識といったところかなということで赤く囲ってございますが、議論の出発点として囲ったものでございますので、もっとこれが必要だということがあれば、是非御議論頂ければと思っております。以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 それでは、お待たせいたしました。清水委員、どうぞ。
【清水委員】  むしろ後ろの方の論点で述べたいことがたくさんあるのですが、(1)のところで一言申し上げたいと思います。対象の方ですね。今日、お二人の報告を聞いて、特に服部委員のお話を聞いて、高校の教育内容、方法、組織と、専門高校の状況がよく分かりました。プロジェクトグループ学習というものを非常に熱心にされていると思います。これをその次の段階で、さらに進化・発展させる教育が求められるということからいいますと、第三段階の教育に、継続職業教育という概念を、私は導入した方がいいと思っています。つまり、専門高校で培ったものをさらに進化・発展させるという概念です。これに関してはアメリカでも2プラス2とか、2プラス3プランとか、ハイスクールと高等教育をつなげるものがありますけれども、既存の大学、短大とは違う継続職業教育みたいな概念を私は導入してほしいと、服部委員の発言から感じました。
【黒田座長】  はい。他に御意見のある方。どうぞ。
【岡本委員】  新たな高等教育機関が必要だということで、その一つの重要なテーマとして、私はこれからもますます進行する産業構造の変化、職業の変化、これについて一言申し上げたい。
 ちょっと余談で恐縮ですけれども、たまたま昨日、面白いセミナーがありまして、2045年問題というんですね。今のスピードで、十分この間コンピューターの発達があったのですけれども、さらにあと20年、30年、このままコンピューターの機能、性能が発展しますと、人間の脳の機能を完全に追い抜くことができると。こういうことで、これはアメリカ、ヨーロッパの認知科学やコンピューター科学の第一線の専門家が真剣に考えておりまして。その前にロボットとか、いろいろなエキスパートシステムという、専門家にコンピューターがかわるシステムですね。ということで、これから20年、30年、今まであった職業がどんどん変わっていくのではないかと。
 そういうときに、大学というのはやはり学問体系、古くからの蓄積された学問体系に基づいて教育されていくと。それはそれで私はものすごく大事であって、是非科学技術創造立国日本の科学技術を支えてほしいと。もっと言えば、専門学校化する大学は要らないと。基礎科学技術を徹底的にやって、ノーベル賞学者をたくさん出てほしいと。ノーベル賞学者を出すことだけが目的ではありませんけれども、やっぱりアメリカのハーバード、スタンフォード、イギリスのケンブリッジ。そういう大学に負けない国際競争力を持ってまいりたい。そのためには、AO入試と推薦入試で約40%の学生が入ってくるという、こういう大学は私はおかしいと。学力を軽視して、教育は成功するはずがないのですね。高等教育の世界で競争できるわけがないのです。だから、新たな高等教育を今論じるそのときに、大学生の今の学力低下、これも是非考えてほしい。
 これも昨今、つい一、二週間前に、某トップレベルの国立大学の副学長さんと相当長い話をしました。私は前から、トップレベルの国立大学でも学力低下があるのではないかという疑念を持っていましたから意見をぶつけました。そうしたらその大学は、理系も文系も数学を重視していると。数学においては、明らかにそういう傾向は見られますと。やはり学力の低下は非常に心配されていました。国立のトップレベルでもそうですから、はっきり言って、もう一度繰り返しますとAO入試、推薦入試、それはそれで一定の重要性もありますが、大学の入学者がAO入試、推薦入試で約40%が実質無試験で入ってくる。これが私は、学力低下の大きな原因になっていると思います。
 また話がもとに戻りますが、やはり新たな高等教育機関というのは、職業に対する意欲ですよね。学力は、大学にもっともっと重視してもらいたい。新たな高等教育機関は、職業の意欲を重視するということで、一つの特色ができるし、そしてさっき申し上げましたように、産業界と職業、職種がこれから間違いなく大きく変わります。ということで、そういうものをにらんで、大学の教育体系と、非大学といいますか職業に特化した高等教育機関と、二つあるということは、日本の学生、生徒、学ぶ学生の選択肢として自分はどっちを目指すのかと。学問が好きだから、勉強が好きだからそれを生かして、将来職業を考えようという選択もよいでしょう。そういう人は大いに勉強してもらいたい。
 そうではなくて、小さい頃、僕はこれが好きなのだと。教科の勉強は苦手かもしれないけれども、これだけは僕は得意だし将来やっていきたいのだという学ぶ意欲、職業意欲を伸ばしてやると。こういう二つの体系があることが、やっぱり子供たち、若者に夢を与えることになるのではないかと。ニート、フリーターも出さない、できるだけ少なくするということになるのではないかということで考えておりますので、御参考にしていただければと思います。以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございます。はい、どうぞ。
【長塚委員】  今、岡本委員に御紹介頂いたこれからの事例など、視点を変えるとまたちょっと別なようにも見えるなという、そんな思いでちょっと意見をさせていただきたいのですが。
 職業の問題は、いずれ子供たち、学生全員が職業人になるわけですから、全ての若者の課題であるということは当然ですが、そもそも職業教育というものをどういうふうにその全体を考えるかですね。最近の言葉で言えばキャリア教育という言葉が主になっていると思うのですが、子供の将来の職業教育を、高等教育まで含めてどういう位置付けで考えるかということ、つまりこの職業教育をする高等教育機関で何をするかという議論ではなくて、そもそも職業教育の全体構造はどうあるべきかというところで、高等教育機関として職業教育がどう必要なのかというふうに考えていかないといけないのではないかなと。中等教育機関にいる者としては、どうもそういうふうなことを常に考えさせられているものですから、どうしてもそういう視点を申し上げたいのです。
 生徒や保護者も、専修学校をもし選ぶか、大学を選ぶかというとき、専修学校に行こうとする場合には、恐らく企業から即戦力としてニーズがあるから就職にもいいだろうというような思いは当然あるだろうと思うのですけれども、そういう意味では専修学校の現在の制度というのは、本当に意味のあるものだと思うのですよね。実社会の職業に、変化していく職業に結び付きやすいという、そういう意味でのニーズが高いということは、これは大いに価値があるのだと思うのですけれども。果たしてこれは一条校化するというような単純な発想でいってよいのか、その自由度というのでしょうか、現在持っている設置条件とか、教員体制とか、財務体制とか、あるいは様々な変化させやすい体制をなくすというのが、逆に言えば一条校化するというようなものではないかなと、ちょっと単純かもしれませんが、私はそういうふうに思えるのですが。
 現在、短大が大学化しようとしているというのと、ある意味似ているような。もしかすると、専修学校が一条校化するということは、内部のニーズであって、本当に社会的にそういうことが必要だという声が上がっているのかということですよね。更に言えば先ほど言いましたように、即戦力的な職業教育ができるというところで大いに価値が認められているのであって、その縛りを強くしていくような、いわゆる大学化していくようなことで、逆に縛ってしまうことが社会から求められているのかどうか。どうも私はそういうふうには思えないのですね。
 我々、進路指導、キャリア教育というのを、適性論と発達論に分けて考えているのですけれども、適性論というのは、つまり能力、資質を職業や企業とマッチングさせるということ、これが従来型の進路指導だったのですが、今はこれを発達論という、まさにキャリア発達という観点で、岡本委員がおっしゃったような社会の流動化に対応できるような、基礎的、汎用的能力を高めるということが大事だということは、これも文科省の方でキャリア発達の考え方の一番重点的なこととして出されていると思うのですけれども、そういう意味では、職業教育を高等教育化するというのは、基礎的、汎用的能力を高める方向をもっと求めることになるということであるし、変化に対応する発達的な力をつけていくというのが、高等教育としての職業教育ということになっていくのではないかなと。そういうところに、今、議論していることが向かうのかどうか。そうでないとすれば、高等教育機関としての職業教育ということにはならないのではないのか。そんな思いをしております。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。根本的なお話をしていただいたわけでありますが、今日はもう時間がありませんので、次回にまたこの続きをさせていただきたいと思います。私の司会の至らなさで、議論をしたいところまでいきませんでしたけれども、次回からは本格的にやりたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、次回以降の日程について、事務局から説明をお願いします。
【神山教育改革推進室長】  次回でございますけれども、12月11日木曜日15時から、場所は、本日と同じこの第4号館全省庁共用108会議室で予定をしてございます。以上でございます。
【黒田座長】  頻繁に開かれていくわけでありますが、3月までには13回か14回ぐらいいくのだろうと思いますが、よろしく。その間に立派な方針が出てくれると有り難いと思っています。
 本日は、長時間にわたって御議論頂きましてありがとうございました。これで閉会いたします。ありがとうございます。

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