学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第13回) 議事録

1.日時

平成26年7月28日(月曜日)15時~17時

2.場所

15F特別会議室(文部科学省 東館15階)
(千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 学生への経済的支援の在り方に関する取りまとめについて
  2. その他

4.出席者

委員

奥舎委員、小林委員、中村委員、濱田委員、前原委員、松本委員

杉野理事長代理(日本学生支援機構)、甲野理事(日本学生支援機構)、石矢奨学事業本部長(日本学生支援機構)

文部科学省

吉田高等教育局長、佐野審議官、渡辺学生・留学生課長、田中学生・留学生課長補佐、渕村学生・留学生課長補佐

5.議事録

学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第13回)
平成26年7月28日


【小林主査】  それでは,ただいまから,学生への経済的支援の在り方に関する検討会,第13回を開催いたします。
 本日も,日本学生支援機構の関係者が陪席しております。御了承ください。
 議事を始めるに当たり,配付資料の確認を事務局でお願いいたします。


【田中課長補佐】  本日は,配付資料1として,「学生への経済的支援の在り方について(案)」を御用意しております。
 以上です。


【小林主査】  ありがとうございました。
 では,議事に入ります。本日は第13回ということで,2年間にわたって議論をしていただきましたけれども,いよいよ最終的な報告となります。最終報告案について,全体の細かいことも含めまして,あるいは大きな方向性につきまして,忌憚(きたん)のない御意見を頂ければと思います。前回まで様々に御議論いただきましたが,そうした御議論を踏まえて作成いたしました原案について,事務局からまず説明をお願いしたいと思います。


【田中課長補佐】  資料1を御覧いただければと思います。本日お手元に,「学生への経済的支援の在り方について」として,最終的な取りまとめの案をお示しさせていただきました。目次に,全体の構造を示しています。これでまず大まかなところを説明した上で,中身について入っていきたいと考えています。全体の構成ですが,「はじめに」から始まりまして,1章,2章,3章,「むすび」という構成になっています。
 まず第1章ですが,「学生等の置かれた経済的状況」として,細かく四つの項で分けております。この部分におきましては,近年の経済状況によって家計の収入が減少しているという学生等の経済的状況,授業料減免,奨学金等において支援を受ける学生が増加している話,雇用慣行の変化によって非正規雇用が増加しているという事柄を踏まえた上で,学生等が安心して高等教育の学びの場に進めるような仕組みの充実が必要ということで,第1章を取りまとめています。
 また第2章ですが,「学生等への経済的支援の意義と目指すべき方向性」について,大きく二つの項目を中に記述しております。一つ目としては,学生等の学びを社会全体で支えることが必要であるという点です。また国際人権規約のA規約の留保の撤回を踏まえて,高等教育の無償化に向けて漸進的にその方向性を目指すという点,あるいは先般成立しました「子どもの貧困対策の推進に関する法律」がございますけれども,経済的に困難な状況にある学生等に対しては,支援を一層充実していくことが必要という点を記載しています。
 第3章ですが,「各制度の改善の方向性等」として具体の各論を記載しております。昨年の秋口から冬にかけて,中間まとめに対するヒアリングを8団体から行いました。その内容を記載した上で,「各制度の改善方策」として,大きく三つに分けて書いています。一つ目は貸与型支援の在り方,二つ目は給付型支援の在り方,三つ目はその他の事項です。(1)番目,貸与型支援の在り方については,無利子奨学金の話,所得連動返還型奨学金の話を中心に記載しております。また(2)番目,給付型支援の在り方については,授業料減免の充実という話,将来的な給付型奨学金の創設という話を記載しております。(3)番目,その他の検討事項,改善事項について,(ア),(イ),(ウ)に書いておりますような返還困難者対策,あるいは情報提供,金融面のリテラシー向上,民間奨学団体との連携について記載しています。大まかにはこのような構造になっております。
 引き続きまして,具体的に項目ごとに御説明を申し上げます。
 まず「はじめに」ですが,まさに序文であり,これまで高等教育段階における学生への経済的支援の方向性についての検討を,8回にわたって行ってきたという,これまでの議論の成り行きです。それから最後の部分ですが,「本取りまとめにおいては」として,この最終的な報告書取りまとめの全体の構造について説明をしています。
 次のページですが,最初に第1章「学生等の置かれた経済的状況」でございます。構造としては,1から4までございます。最初に「大学等の在学者の経済的状況」ですが,近年の経済情勢を踏まえて,大学等の在学者の経済的状況の現状を説明しております。
 そのような経済的な状況を踏まえた上で,その後引き続き,「我が国の学生等への経済的支援の状況」を大まかに書いています。具体的には,経済的支援のメニューとして,大学等奨学金事業とともに,授業料減免等への支援,TA・RAという給付的な支援を行っていますが,近年の経済情勢を踏まえると,授業料減免,あるいは奨学金に依存している学生等が増加しているという記述をしています。
 続きまして,「学生等の卒業後の状況」でございます。先ほど冒頭でも御説明いたしましたけれども,最近の経済状況については若干好転してきているということで,現下の就職率についても改善の傾向を示していますが,その一方で,雇用慣行,産業構造・労働市場の変化により,非正規雇用が非常に増えていることを記述しています。とりわけ高等教育機関を卒業した30代から50代のうち,3分の1以下が年収300万円以下にとどまっているという現状を説明しております。
 続きまして,「学生等の経済的状況から見る課題」でございます。最初の段落におきまして,生活保護世帯,母子家庭・父子家庭を合わせたひとり親家庭世帯,児童養護施設に入所している,又は入所した後,二十歳を迎えて退所している方々については,中退率が高く,大学等への進学率も低い傾向があるという傾向について記載しています。また「その際には」というところですが,経済的支援を進める一方で,奨学金等の経済的支援を活用して,在学中の学修にインセンティブを付与すべきではないかという意見も,記載しています。最後の段落ですが,高校卒業後に引き続いてという場合のみならず,いったん社会に出て就労した後の学び直しに際して,経済的側面から支援をすることも,一層重要であるということを記載しています。
 第1章については以上です。
 引き続きまして,第2章でございます。冒頭リード文として,第1章で述べた学生等の置かれている経済的状況を踏まえて,「学生等への経済的支援の意義」について記述しております。項目としては全部で二つです。まず1の真ん中「また」からですが,高等教育の受益者は学生等本人であると同時に,人材育成という観点から社会全体が受益者でもあることを改めてここで記述しています。次の段落,最後の行ですが,学生等の学びを社会全体で支えることが必要であることを記載しています。
 また「将来的に目指すべき方向性」として,これも冒頭に申し上げましたが,国際人権規約のA規約の留保を撤回したことを踏まえて,2段落目で,高等教育の無償化に向けて漸進的にその導入を目指すことが求められることを記載しています。
 続きまして,第3章ですが,ここから各論に入っていきます。「各制度の改善の方向性等」です。第1章,第2章で示したような基本的な認識を踏まえた上で,中間まとめ以降,ヒアリングを行い,その後,再度論点を整理した上で議論を深めてきましたが,それについて各論で,今後の取組の方向性を示しています。
 この章の最初の内容ですが,「中間まとめに対するヒアリングの概要」として,冒頭でも述べさせていただきましたが,秋口から冬場にかけて8団体からヒアリングを行いました。その中で,様々な意見を頂戴いたしまして,主なものとして三つ挙げています。一つ目として,在学採用,予約採用ともに無利子奨学金を更に拡充すべきこと,二つ目として,「所得連動返還型無利子奨学金制度」をより柔軟な形で拡充していくべきという点です。三つ目として,給付型支援に関して,給付型奨学金を導入すべきという点です。このような点を御意見として頂戴したことを整理して記載しています。
 「各制度の改善方策」として,まず貸与型の支援と給付型の支援の二つに分けまして,各論を記述しています。
 「貸与型支援の在り方について」ですが,まず「現状と課題」として,グラフにして整理しました。大学等奨学金事業の推移について,このグラフから分かること及び依然として残されている課題として,チェックマークを付して三つ記載しています。一つ目ですが,事業規模の拡大は,無利子奨学金ではなく有利子奨学金の大幅な拡充によって達成してきていることを確認しております。また二つ目ですが,奨学金の貸与対象として,真に必要な学生等に貸与できているのか,本当に経済的に困難な状況にある学生等に貸与ができているのかという点について,引き続き検証が必要であると記載しております。三つ目ですが,この検討会の中でも最後の方で議論になりましたが,奨学金の借入れが非常に高額になっているという現状があり,返還も困難になるのではないかという問題意識について,こちらに記載しております。奨学金を借りる,お金を借りる意義も十分に理解されていないのではないか,そのような部分の周知の徹底が必要ではないかということも記載しています。
 続きまして,二つ段落を記載しています。「また」以降ですが,冒頭でも申し上げましたように,現下の就職率は改善しているものの,雇用慣行,産業構造,労働市場の変化に伴って非正規雇用が非常に増えている。そういうことから奨学金の返還が経済的な理由により困難な状況にある者も増えており,そのような者からの回収については,先般取りまとめていただいた中間まとめの内容を基に,今年度から少し改善したところです。しかし依然として,多額の延滞金が返還の意欲をそぐようになっているケースもあることから,延滞金の負担の軽減,あるいはより柔軟な返還への要望が寄せられるケースがあることを記載しています。
 次の段落では,所得連動返還型奨学金制度について述べています。こちらについては現行の「所得連動返還型無利子奨学金制度」について記載していますが,この制度がまだ限定的なものであることを整理して記載しております。具体的には,4点でございます。一つ目は,無利子奨学金のみに限定されていること。二つ目ですが,「所得連動返還型無利子奨学金」を貸与する際に,保護者の年収が条件として設定されていること。三つ目ですが,本人の卒業後の年収が300万円を下回っている間については返還期限が猶予されるものでございますが,四つ目と併せますが,300万円を上回ったと同時に通常の返還ルールがそのまま適用されてしまう点。こういった点がまだ不十分であることを記載しています。
 このような現状を踏まえまして,「取組の方向性」として,無利子奨学金とより柔軟な「所得連動返還型奨学金制度」について,改めて記載しております。まず「無利子奨学金について」ですが,一番のポイントとして,無利子奨学金については,奨学金の制度そのものが,希望者へ幅広く貸与するための規模の確保を有利子奨学金の拡大に頼ってきた実態があるけれども,原則に立ち戻って無利子奨学金を基本とする姿を目指すべきであるという点について,改めて指摘しておきたいと述べています。一方で,奨学金の貸与層の拡大に伴って,真に必要な学生等に貸与するため,貸与基準の見直しについては,今後とも必要であるという点について記載しております。
 引き続きまして,「より柔軟な所得連動返還型奨学金について」です。まず冒頭ですが,貸与型奨学金ですので,「借りたものは返す」ことが飽くまで原則であると付言した上で,お返しいただいたお金,返還金については,将来の世代の学生等への奨学金貸与の原資となりますので,しっかりと返還してもらうことが重要であるという点を補強して記述しております。他方で,次の段落ですが,貸与に当たっては,奨学金の卒業後の返還への不安を軽減していく視点が重要ではないかと記載しています。次の段落については,先ほど申し述べましたように,雇用慣行の変化など,以前と比べて日本の労働市場が変化している事情を踏まえるのであれば,奨学金のシステム,返還のシステムもそれに伴って進化していく必要があるということを記載しております。
 その後,諸外国の状況をある程度述べました上で,諸外国を参考にした所得連動型の返還制度の導入が必要であると記述しております。ただしここで想定されている制度は,これまでと大きく異なる仕組みでありまして,この制度を適切に運用していくためには,マイナンバー制度が導入されて本格的に稼働することが前提になります。依然このマイナンバー制度も,詳細が設計途上でありますので,この検討会としても十分な議論が尽くされたとは言えませんが,今後とも,専門家,あるいは文部科学省,JASSO等が共同でしっかりと検討していくことが必要であると述べております。
 13ページの真ん中からですが,重要な視点として,我が国独自の制度でしっかりと改善していく観点から,幾つか論点を示しております。具体的には,返還月額の設定,あるいは返還開始の閾値(いきち)の設定,財政的な負荷の多寡,どれぐらいの規模になるのかという点については,しっかりと検討していく必要があると付言しております。
 続きまして,これまでは(1)で貸与型支援の在り方について申し述べましたが,(2)で給付型支援の在り方について記載しております。まず現状ですが,我が国においては公的な給付型支援としては,授業料減免,あるいは事後的な給付として返還免除制度が導入されておりますが,純粋な給付型奨学金については導入されていないという現状を改めて記載しております。また,現在の経済状況等を見るのであれば,家庭の経済状況が進路選択に大きな影響を及ぼしていることを,我が国の「現状と課題」として整理しております。
 続きまして,このような状況を踏まえた「取組の方向性」ですが,まず総論として,保護者の経済的格差が子の教育格差として次の世代に引き継がれることのないよう,まさに高等教育の漸進的無償化の理念の下で,給付型支援の充実をしていくことが,我が国の高等教育において重要な課題であることを記述しております。そのような中で給付型支援の充実は,より柔軟な「所得連動返還型奨学金制度」の導入と併せて,学生等への経済的支援の方策において重要な位置を占めることを,改めて確認しております。
 続きまして,各論として,大きく二つ,授業料減免と給付型奨学金を明確に記載しています。まず「授業料減免について」ですが,先ほど申し述べましたように,給付型奨学金が導入されていない現状においては,授業料減免は給付的な側面を有するものとして,重要な位置を占めているものであることを踏まえて,引き続き充実を図っていく必要があると記載しています。「また」として,ここはとりわけ専門学校,専修学校への支援の検討について記載しているところです。高等専修学校の生徒については授業料に対する国からの支援がされている状況ですが,一方で,専門学校の生徒は現在国からの支援の対象とされておりません。これについては別途,生涯学習政策局においても検討されていますが,専門学校の生徒に対する授業料減免の制度の導入に向けて,速やかな実現が求められることを記載しています。
 また,授業料減免の現行の制度についても,私立大学,公立大学,国立大学と,設置者によって若干のばらつきがあることを考えるのであれば,授業料減免制度も含めた給付的な支援の全体的な制度設計について,給付型支援の充実と併せて将来的な課題として整理が必要であることを,付言として記載しております。
 次に,純粋な「給付型奨学金について」でございますが,冒頭において,今後,高等教育の漸進的無償化を進めていくに当たっては,給付型奨学金の果たすべき役割は大きいと,まずはしっかりと書き込んでおります。その上で,まず喫緊のところとしては,より柔軟な所得連動返還型奨学金の制度設計を着実に行う必要があるけれども,それとともに将来的には給付型奨学金の創設に向けての検討も併せて進めていくべきであることを,しっかりと記述しております。
 ただ,その際の論点として,幾つかここで記載しております。一つ目ですが,大きなものとして,給付の目的と受給のタイミングの関係,あるいは制度のターゲットと受給基準,給付すべき内容,あるいは実施の方式などについて検討が必要であること。これについて中間まとめにおいても記載されておりますが,それ以外にも,少し記述を補強しています。どのような層に対して支援を行うべきか,優先順位をしっかりと考えていくべきであること。あるいは,返還免除制度について,現行では大学院生のみについて認められていますが,事後的な給付として,将来的には給付的な支援との関係も併せて検討を行う必要があることは先ほども申し述べましたが,改めてここで記載しています。
 最後に,貸与型の支援,給付型の支援以外の「その他の検討事項,改善事項について」として,大きく三つ記載しています。一つ目として,(ア)の「より一層の返還困難者対策について」でございます。先ほど申し述べましたように,昨年の夏に取りまとめいただきました中間まとめの提言を生かしまして,本年4月から,延滞金の賦課率引下げと,返還期限猶予制度の制限年数を延長する措置については導入されています。これによって一定程度,新たに返還困難で延滞に陥る者が抑制されることが期待されます。一方で,より長期にわたって返還困難な状況に陥っている者については,引き続き対応を行っていく必要があると我々としても捉えていることを記載した上で,基本的な対応の方向性として,真に困窮している者が返還に対する意欲を失わない方向で検討を行うよう留意する必要があることを記載しています。
 そのような観点から,ここで新しく単語として記載しておりますが,返還計画を柔軟に見直す,返還の「リスケジュール」については,今後も積極的に活用して,所得に応じて無理ない形で返還ができるように,きめ細かな対応をしていく必要があると記載しております。
 また最後の段落で,なお,返還困難者対策は奨学金だけの問題ではなく,その前提として,しっかりと卒業した上で就職して,経済的に安定した状況になっていただく必要があるということで,文部科学省だけではなく,厚生労働省あるいは内閣府,経済産業省などと連携を強化しながら,卒業生も含めて学生への就職の支援を行っていくことが重要であると記載しています。これが一つ目でございます。
 続きまして,検討会の後半部分で御議論を大分していただいたところですが,(イ)の「奨学金についての情報提供,金融面のリテラシーの向上について」です。冒頭の段落ですが,先ほども申し述べましたように,奨学金の返還が困難な理由として,貸与の総額が高額となって,結果として返還月額が高額になることも見受けられる。このようなことについて,しっかりと説明をしていかなければならないことを記載しております。
 次の段落ですが,奨学金の貸与を受けるに当たっては,貸与を受ける意味をはじめ,将来生じる返還のプロセスや責任,あるいは負担について,しっかりと伝えた上で理解を徹底させるように取り組んでいくことが必要であると記載しています。
 次の段落ですが,この検討会でもお示しさせていただきましたが,返還困難になった場合の困難者対策の制度が,まだ周知が十分行き渡っていると言い難い状況にあることから,どのような方々に対して集中的に情報提供をしていく必要があるかをしっかりと検討した上で,働きかけを行っていくべきであると記載しています。
 その上で,次の段落ですが,早い段階から情報提供あるいは理解の増進を図っていく必要があるという点です。中学校・高等学校段階も含めて,あらゆる機会を通じてこれまで以上に周知を行っていくべきである。あるいは,金融リテラシーの育成という観点からも,金融教育をしっかりと進めていく必要があることを記載しています。あわせて,奨学金のリテラシーや,返還に対する遅延について,返還困難者対策等については,大学等と協力した上で周知していくことが重要です。奨学金制度についての周知活動を強化していくとともに,まさに税金を使って行われている奨学金事業ですので,納税者への説明責任を果たすために,今後の奨学金事業の運営状況については積極的に情報公開に取り組んでいくことを記載しています。
 最後ですが,(ウ)の「民間奨学金団体の連携について」でございますが,民間奨学金団体をはじめ,民間の力をしっかりと奨学金の事業についても活用していくことが,まさに社会全体で子供の育ちを支えるという理念に合致するという考え方の下で,この取組を記載しています。
 17ページ目ですが,この検討会でも御議論していただきましたが,JASSOや国の支援等と,民間の持つ力を合わせて,学生等への経済的支援に取り組むことが重要であるという観点から,民間奨学金団体の横のつながりをしっかりと持っていくことを記載しています。また,これまでも行っておりましたが,民間奨学金事業の情報を一元的に集約する活動を行っていくとともに,今後は民間奨学金団体の方々の意見を聞きながら,どのような活動ができるのかを把握した上で,情報交換の場を設ける等,連携が取れるような取組を,しっかりと進めていくべきであることを最後に記載しております。
 具体の中身については以上ですが,最後に「むすび」として,18ページ目,総論的なところですが,締めくくりの言葉を記載しています。冒頭の真ん中部分で,「家庭の経済状況などにかかわらず,意欲と能力のあるすべての若者が質の高い教育を受け,一人一人の能力・可能性を最大限に伸ばしていく必要がある」とまず言った上で,まさに奨学金の事業の理念でございますが,日本国憲法においても「その能力に応じて,ひとしく教育を受ける権利を有する」とあることを受けて,教育基本法においても「奨学の措置を講じなければならない」と定めております。これを基本理念としまして,教育の機会均等の確保をしっかりと憲法や法律等でも規定していることを,改めてここで記載させていただきました。
 そして,このような理念を踏まえて,意欲と能力のある学生等が,経済的事情によって高等教育段階への進学等を断念することなく,しっかりと学修に取り組んでいくためには,何よりも必要なのが高等教育段階における経済的な支援策です。そのような更なる支援の方向性について,ここで議論を重ねてきました。また,経済的な状況に関わらず,高等教育段階まで含めて進学して学び続けるためには,早い段階から一貫した総合的な政策立案が求められることを,注意喚起として記載しています。
 最後に締めくくりでございますが,この検討会でなかなか議論し尽くせなかった点,学び直し,あるいは海外留学,大学院生の支援など,まだ残されている点は多いですが,まずは今後の学生等への経済的支援の具体化を図るに当たって,この報告書が道標となることを願ってやまないという形で,締めくくりをさせていただきました。
 長くなりましたが,説明は以上です。


【小林主査】  どうもありがとうございました。
 ただいまの事務局からの原案の説明に対して,細かい議論に入る前にまず全体として何か御質問等,ございますか。 私から1点ですが,これは本文のようなものだと思うのですが,これ以外に参考資料などは付けられるのでしょうか。


【田中課長補佐】  検討会の議論で一番使っていた資料が,本日,委員の皆様の机上資料の中に入っております。これが経済的支援の全体像を示しているものでございますので,これを最終的な取りまとめの段階で参考資料として添付したいと思っております。また報告書本体についても簡単な概要のポンチ絵を作成して,今後の説明等に,皆さんの御理解に資するように,準備させていただこうと考えています。


【小林主査】  ありがとうございました。この本文で見ますと,脚注に幾つかの根拠が載っているのですが,逆に根拠が示されていないものなどもあり,そのあたりの扱いがよく分かりませんでした。現在のような状況ですと,できるだけ根拠を出して説得していくのがエビデンス(証拠)重視のやり方ですので,参考資料は十分あるとは思いますが,本文の中に脚注の形で入れ込めるものがあれば,できるだけ入れた方がいいと思うのですが,いかがでしょうか。


【田中課長補佐】  脚注を書き過ぎると,脚注が3分の1ぐらい占めてしまうこともあるので,そこは全体のバランスを見た上で脚注に落とすか,あるいは参考資料を添付いたしますので,報告書の本文からそちらに誘導ができるような形で記載して,全体としてしっかりと,筋も根拠も示せるような形で取りまとめをしたいと考えています。


【小林主査】  ありがとうございました。是非そのようにお願いいたします。
 ほかにございませんか。


【前原委員】  感想みたいなものでもいいですか。


【小林主査】  どうぞ。


【前原委員】  大変いい報告書をまとめていただきまして,ありがとうございました。この委員会に参加させていただいて,とても光栄に思っております。特に小林主査と事務局の御尽力に心から敬意を表したいと思います。特に私がいいなと思いましたのは,延滞金賦課率の議論をして,直ちに行動していただいて,10パーセントから5パーセントに下げたことです。こういうことができたのはすばらしいと思いますし,返還期限の猶予期間も5年から10年と延長され,加えて給付型の方向も明示されたことは画期的だと思いますから,大変良かったと思います。三つ目は,専門学校の支援で授業料の減免について触れられたことも,私は高く評価しております。
 感想は以上ですが,お願いが二つありまして,たしか前にもお話ししたと思うのですが,奨学金の貸与を受けて社会人になった人が,返還をしていきます。返還が終わった後の,その方の追跡というか記録をずっと持っておいていただくといいと思うのです。前に聞いたところ,5年しかないとおっしゃったと思うのですが。というのは,返還し終わってすぐには経済的ゆとりが余りないので,寄附したくてもできない状態だと思うのですが,10年から15年たつと,経済的にゆとりができる人が多いので,寄附してほしいという依頼が行けば,何がしか寄附できるようになると思うのです。最近,留学生支援企業協力推進協会の活動を経済同友会でやっています。以前は8,000万円ぐらい財政的な支援が毎年あったのですが,ゼロになってしまいまして,大変苦しんでおりましたけれども,経済同友会のメンバーから寄附を集めてやっておりましたら,ある方が遺言信託で今回3億円寄附をしてくださいました。これで当分の間は維持できるようになりました。世の中がそのように寄附をする方向へ変わってきていると思うのです。ですから,特に奨学金事業は大変大事な事業ですので,ある程度社会的な地位に上がった人に対してアピールできるように,大臣はじめ,いらっしゃるわけですから,そういうことをやっていただけると有り難い。これが一つ目のお願いです。
 二つ目は,外国からの研修生が農業や工業,水産業などでこれから増えると思うのです。これも受入れ期間が3年だったのが5年に延長されるということですので,そういう中で,日本で更にステップアップしたいという若者がいたときに,これを受け入れられるような仕組みを,この制度の中で何か作っていただけるとうれしいと思っています。今は無理やり帰してしまっているのですが,とてもいい若者がいます。農場や漁業のところを視察しますと,ベトナムやタイなどいろいろな国から来た若い研修生がいるのですが,そういう人たちに対して日本で頑張って働くと更にステップアップできるという道があったら,すばらしいなと思います。熊本県知事がそうですよね。アメリカに行って苦労をしたのが,ドクターを取って,東大の教授になり,今は熊本県知事ですが,そういう例もあるわけですから,是非よろしくお願いいたします。


【小林主査】  どうぞ。


【渡辺課長】  一つ目の件に関しまして,私もJASSOの奨学金を借りて,返して,その後,寄附していないので思いましたけれども,今後もJASSOへ御支援を頂けるように情報提供をしてもよろしいですかと,本人に了解を得た上で継続して情報提供させていただく必要があると思います。その仕組みはすぐにでもできると思いますので,これは是非前向きに検討したいと思います。


【前原委員】  そうですね。本人が嫌だというなら,しようがないですが。


【渡辺課長】  それから後段の研修生のステップアップですが,これはその研修生の方が日本の大学に入学されるようなことを想定されてですか。


【前原委員】  支援する仕組みがあったら,大学に入ろうかと思う子がいるかもしれません。今は多分ないと思います。恐らく3年ぐらい働かせて,帰してしまっていますから。けれども,そういう支援する仕組みがあることをみんなが知ったら,また行動が変わると思います。


【渡辺課長】  今,日本にいる留学生で優秀な方に対しては,学習奨励費という形で月額5万円から7万円程度ですが支給する制度があります。これは完全に給付,留学生向けです。こちらの日本学生支援機構の貸与型ですと,その後の返還が発生してしまいますので,自国へ帰国する方への貸与は難しい部分があります。日本人学生に対してもまだすべての基準を満たす希望者に貸与できていない段階で外国人へと対象を広げるというよりは,まずは現在あります学習奨励費等の活用ができるような形で検討させていただければと思います。


【前原委員】  よろしくお願いします。


【小林主査】  ありがとうございました。初めの点については,何回か前原先生から頂いた点ですが,最後にありました,民間団体との関係もありますし,寄附や基金を将来的に作っていただいて,寄附を活用するなり,もう少し基金にして大きくするなりということも考えられるのではないかと前に議論いただいたと思いますので,そのあたりのことを少し書いていただければと思います。そのあたり,もう少しうまく連携ができるといいなと思います。
 次も非常に重要な問題で,外国人の研修生や留学生の問題は非常に長い期間にわたって影響を及ぼすものです。私もアメリカに行って非常にお世話になったことが原点になっていますので,日本に来た研修生や留学生がそういう思いで帰る,あるいは日本に定住してもらうことは非常に大事だと思います。それは学生・留学生課の方の課題だと思っていますので,是非よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 ほかに,全体的なことで御意見はございますか。
 そうしましたら,また出たときにそれぞれ意見を頂いても結構ですので,少し個別に回りたいと思います。「はじめに」のところで,序文に当たる部分ですが,これについて何か御意見はございますか。
 よろしいでしょうか。
 私から一つですが,3番目の段落で,高等教育段階における教育支出の公財政負担の割合が約30%にとどまっているというのは,そのとおりです。一番使われるのは,GDP比で少ないという議論ですので,これはある意味では言い尽くされているかもしれませんが,重要なことだと思いますので,それを入れておいていただければと思います。


【田中課長補佐】  GDP比の話ですか。


【小林主査】  はい。要するに,初等中等教育に比べて高等教育段階が少ないという議論ではなくて,全体が少な過ぎるというのが重要な論点ですから,それは是非入れていただきたいと思います。
 よろしいでしょうか。そうしましたら,また気が付いたことがあれば戻っていただいても結構です。
 第1章の「学生等の置かれた経済的状況」については,いかがでしょうか。これも事実を述べた部分でありますので,どういう根拠を出していくのがいいかは少し議論があるかもしれません。また先ほどありましたように,かなり細かく出しているところもありますので,そのあたりはまた少し調整が要るかもしれませんが,大きなところで何かございますか。
 私ばかり話して恐縮ですが,5ページの下から2番目の段落ですが,経済界などから,奨学金等の経済的支援を活用して在学中の学修にインセンティブを付与すべきではないかとの意見もあるというのは,どういう議論だったのか覚えていないのですが,根拠が何かあってこういう話になったのでしょうか。


【田中課長補佐】  これは,中間まとめのフレーズを,特に後半御議論がなかったので,そのまま記載しているところであります。前段の学修時間については,脚注の「10」に示しております。具体的には日本の学生の学修の時間については1日4.6時間です。ただし,アメリカとの比較,要は諸外国との比較については,すみませんが脚注では記載されてございませんので,そこについて明確になるように根拠を記載したいと思っております。一方で,在学中の学修にインセンティブを付与すべきではないかということについては,具体には例えば,給付にしても事前に渡し切りだと分かってしまうよりは,返還免除のように,大学の在学中にしっかりと勉強したら免除しますという形で,成果を基にして評価をした上で事後的に経済的な支援を与えるという点も重要ではないかということを敷衍(ふえん)して,書かせていただいております。


【小林主査】  ありがとうございました。今の点ですが,少し分かりにくかったのが,田中補佐の説明ではっきりしたと思います。ですから,そこをもう少し分かるように書いていただければと思います。アメリカとの比較という根拠はあるのですが,奨学金の返還が免除されるかもしれないということが,学修のインセンティブになっているという証拠があればいいのですが,それがあるかと思ってお聞きしたのですが,ないとなると難しいわけです。いずれにしても,ここはそういう形で奨学金が活用できるのではないかということを,もう少し明確に書いていただければと思います。


【田中課長補佐】  はい。少し書き加えさせていただきたいと思います。


【小林主査】  お願いいたします。
 ほかにございませんか。
 そうしましたら,次に第2章に参りたいのですが,「学生への経済的支援の意義と目指すべき方向性」で,これは意義を書いたかなり重要な部分ですので,是非御意見を頂きたいところですが,いかがでしょうか。
 ここは,私からは,文言的なことですが,7ページの下から2番目の段落で,これは非常に重要なことですので,確認させていただきたいところがあります。「無償教育の漸進的な導入」は,高等教育の話ですか。


【田中課長補佐】  はい。


【小林主査】  それが抜けていると思うのです。後ろの方には「高等教育の無償化」と書いてあるのですが,「高等教育の」を入れておいた方がいいのではないかということが1点です。
 次のページに行きまして,所得連動返還型奨学金制度については後に詳しく説明がありますので,これでもいいとは思うのですが,2行目に「所得連動返還型奨学金。所得が一定額に達するまでは,返還を猶予」と書いてあるのですが,この部分は所得連動返還型奨学金制度の一番重要な部分ではないと思います。前回議論があったと思いますが,閾値(いきち)を設けるかどうかを含めて議論したい,これから検討したいということで言ったと思います。所得が非常に低くても返す意欲があれば少額でもいいから返した方がいいのではないかという議論もあったと思いますが,この説明ですと,所得が一定額に達するまで返還期限を猶予するというのが所得連動返還型奨学金制度だという,現行方式のことだけになってしまいます。むしろ所得に応じた返還月額であるということが今後の所得連動返還型奨学金制度の一番重要な要素なので,少し書き変えていただければと思います。


【田中課長補佐】  はい。記述を差し替えます。


【小林主査】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 そうしましたら,これも気が付いた点があれば戻っていただくことにいたしまして,第3章,「各制度の改善の方向性等」についてでありますが,これは幾つかのセクションに分かれておりますので,最初に「中間まとめに対するヒアリングの概要」,「各制度の改善方策」については事実関係ですので,特に何かございますか。
 次の10ページ目の「貸与型支援の在り方について」からが一番肝要な部分ですので,少し丁寧に見ていただきたいと思います。現状について,課題が三つ挙げられております。それに対して,11ページ目から説明が2点付けられていますが,その後,「取組の方向性」という形で「無利子奨学金について」,それから「より柔軟な所得連動返還型奨学金制度について」と続いていくわけですが,このあたりまででいかがでしょうか。現行方式のところです。
 私から先に申し上げますと,どこに入れていただくのが適切かどうかはよく分からないのですが,現行,日本学生支援機構の奨学金は予約採用と在学採用とあります。予約採用を拡充していくのが大体の筋で,これは予見可能性という意味からいっても,予約採用を増やしていく方がファイナンシャルプランを立てられるという意味で望ましいという議論だったと思います。そのことがここでは触れられていないので,現行としても予約採用が拡大しているわけですが,一層拡充していくことが望ましいのではないかということを入れていただければと思います。ただ,これについてはほかにも御意見があるかもしれませんので,皆さんの御意見を踏まえたいのですが,いかがでしょうか。
 予約採用の拡充ということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。


【渡辺課長】  関連しまして,手元にデータは持ち合わせていないのですが,現状をまず御紹介しますと,貸与基準を満たした者のうち貸与を認められた者の割合が,有利子奨学金については予約・在学ともに100%でございます。一方で,無利子奨学金については,平成26年の直近データで,予約段階で約60%,在学段階では100%となっています。主査から御指摘いただいたように,確かにこれは抜けておりまして,必ず記載しないといけないのですが,まさに予約段階の無利子奨学金の率を上げていくことは,是非追加して盛り込みたいと思います。


【小林主査】  奨学金の種類が2種類ありまして,それぞれ貸与を認められた者の割合ということなので,ややこしいわけですが,奨学金の枠自体も拡大していただくということです。特に無利子奨学金を拡大することは重要だということは,ここにも書かれているわけですが,その中で予約採用を増やすということを入れていただければと思います。
 もう1点,これも御意見を頂きたいのですが,所得連動返還型の一つの要素として重要なのが,源泉徴収方式です。オーストラリアやイギリスにおいては,この方式が採られております。アメリカの場合は源泉徴収ではありません。スウェーデンにおいてはかつて所得連動返還型があったのですが,これは源泉徴収ではなかったのです。スウェーデンでは,手続が非常に煩雑になる,一々通知を出して,それに対して小切手や銀行口座からの振り込みという形で処理しなければいけないということで,所得連動返還型はかえって煩雑になるということで最近やめてしまったと聞いております。そういうことを考えますと,所得連動返還型奨学金制度にとって源泉徴収は非常に大きな要素だと思うのですが,これについて取りまとめ案には特に源泉徴収という言葉が出てこないので,ここの会議としては,それを是非要望したいということを提案したいのですが,いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。事務局,何かあれば言ってください。


【渡辺課長】  それもこの会議の総意としてでしょうか。


【小林主査】  この会議としては,是非お願いしたいということです。
 ありがとうございました。この所得連動返還型奨学金制度のところまでで,前回もそうですが,まだマイナンバー制度がどのように導入されるかなど具体的なものが見えない中での御議論だったので,非常にやりにくかったかと思いますが,今のような点を含めまして,この検討会としては,最後のところに,返還月額の設定,閾値(いきち)の設定,財政的負荷に加えて,源泉徴収についても導入に向けて検討していただくということで,お願いしたいと思います。
 次に,給付型については,非常に重要だということで全く御異論がないかと思います。ただ,授業料減免との関係を議論しなければいけないこともここで出てきたことですので,それが整理されて書かれていると思うわけですが,幾つもここでは議論がありました。特に専門学校は,授業料減免が制度になったときから現在も国の支援としてはないということで,公平性の観点から検討する必要があるということが議論だったと思います。これについても,先ほど田中補佐が言われましたように,生涯学習政策局でも議論しているわけですが,給付型について,授業料減免という形とも連携しながら進めていく必要があることが,ここに書かれているわけです。脚注という形で入れるかどうかは難しいのですが,なぜ給付型が難しいかということについても検討したわけですから,それを入れていただければと思います。つまり給付型は渡し切りですので,どうしても財政的な負担が大きいわけですから,それだけ,今のような公財政の状況ですと,なかなか簡単に導入するのは難しいということです。それに対して,この検討会で最初からありますように,奨学金を創設することによって社会経済的な効果が期待できるということを,言うべきだと思うのです。給付型奨学金があることによりまして,いろいろな効果があるわけです。十分検証されているわけではありませんが,例えば生活保護世帯が減るかもしれない。それから健康な者が増え,医療費が抑制できるかもしれない。労働移動がより適切に行われて,失業の危険性が減るかもしれない。また,少子化に対する大きな対策の一つになっているということがあります。さらに,アメリカなどでは犯罪が減少しているとか,どこまで根拠を出せるかは別として,社会経済的な効果があることによって給付奨学金を出すことに意味があることは,言ってもいいのではないかと思います。この問題については,文部科学省だけの問題ではありませんで,先ほど返還困難者対策のところで出てきましたが,ここでも少子化の問題でいいますと内閣府,あるいは福祉系でいいますと厚生労働省,あるいは経済産業省との連携は必要になってきますので,そういうことをこの会議としてはうたっていけばよろしいのではないかと思いますが,いかがでしょうか。
 よろしいですか。ありがとうございます。
 すみません。私ばかり話してしまっていますので,皆さん,特に意見を言っておられない委員の方は,是非お願いいたします。私は全部入れていただくようにしましたので,ほかに言うことはございませんので,是非お願いいたします。
 最後まで行きますと,「一層の返還困難者対策」につきましては,先ほど前原先生からありましたように,ここではかなり議論しましたし,平成26年度から文部科学省としても取り入れていただいたと思います。この先どうするかは,なかなか具体的な政策がすぐ出てくるのは難しいかもしれませんが,引き続き検討していきたいということで,この会議としてはこれでいいのではないかと思います。
 次の情報提供や金融面のリテラシー向上については,ここでもかなり議論いたしました。特に延滞者について返還期限猶予制度の周知の問題など幾つか議論しましたので,そういう面を含めまして,是非御意見を伺いたいのですが,あるいは最後にあります「民間奨学団体の連携について」も,かなり議論したと思いますが,いかがでしょうか。
 あとは最後の結びになってしまいますが,本日で最後になりますので,せっかくですので,是非御意見を伺いたいと思います。同じ意見であっても結構です。この際,書き込んでおきたい,あるいは強調したいことがございましたらお伺いしたいのですが,いかがでしょうか。
 中村先生,是非御意見を。


【中村委員】  本当にありがとうございました。私にとりましては,いい勉強をさせていただいたことが,まずこの会議の非常に有り難かった点でございます。専修学校につきまして生徒への経済的支援の面で出後れているところ,委員に加えていただき,非常に有り難く思っております。委員の先生方の御協議と,小林先生のまとめのおかげで一つまたハードルを越えることができです。新たに,専修学校生に対する経済的支援の在り方検討会等にて,取り上げていただいていることに感謝申し上げます。ありがとうございます。また,この検討会の成果として,学校種を問わずに,今問題になっております困窮家庭,困窮者に対する教育の負のスパイラルを解消できる手段の提供ができるところまで持っていくことが,私どもの次の世代に対する責務かなと思います。
 またあわせまして,奥舎先生からお話がありましたが,金融リテラシーは,是非義務教育の中におきましても,取り上げていただきたいと思います。金融の知識は,高校新卒者は全く無いです。特に怖いと思われるのが,お金の貸し借りで,大学新卒者でも連帯保証人の意味も分からず依頼されればサインを簡単にしています。年金制度,保険制度の知識は皆無に等しいぐらいです。日本の将来を考えると大変不安です。これは文部科学省へ強くお願いしたいのですが,是非着手していただく時期ではないかと思います。また御検討を今後とも頂戴したいです。
 もう一つは周知についてです。先ほど小林先生からも予約採用の部分に厚みをつけていくというお話がありましたが,周知の前提があってこそ予約採用の部分の膨らみが教育的に意味をなすと考えられますので,中学校,高校を中心にすべての学校種,関係団体に対して,まず日本学生支援機構の奨学金制度の周知を徹底していただいた上で,困窮家庭,学生目線での予約採用の改善と確立化を図っていただければと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。


【小林主査】  ありがとうございました。今の点について,事務局は何かございますか。少し注文もありましたが。
 子供の貧困の話が少し入っています。今の時点でまだ不確実な部分は多いと思いますが,何か説明できることがありましたら御説明ください。


【田中課長補佐】  子供の貧困については,ここの報告書の中でも触れておりますが,この4月から今年の夏をめどに,子供の貧困対策に関する大綱を閣議決定として定めるという目標の下,これまでいろいろ内閣府で有識者会議等を開いて議論を重ねてきたところです。ここ1か月ぐらい前だったかと思うのですが,内閣府での有識者会議が最終的な結論を取りまとめた上で,報告書を担当の森大臣に提出しております。それを踏まえて,現在,政府の内部で,これをどのように大綱に落とし込んでいくかという検討を進めています。本年夏でございますので,近々にも,大綱という形で閣議決定を,まさに政府全体で取り組むものとして出される予定になっています。現在調整中でございます。
 以上でございます。


【小林主査】  その場合,「子供」というのは,大学生も「子供」なのでしょうか。


【田中課長補佐】  排除はされていません。


【小林主査】  そこが大事なところです。
 今の中村先生の御意見に対してですけれども,私からも一つ御紹介いたします。奨学金の問題に関しまして大学生の調査をしたときに,「猶予」という言葉が結構分からないのです。ほかの先生方はまさかと思われるかもしれませんが,かなりのレベルの大学生でも「猶予」という言葉は余りなじみがないことで,知っている学生は「執行猶予」なのです。そうすると,これはいい意味で捉えないので,猶予制度があると言われても,全然いい意味だと思わない学生がいたということです。今の学生のレベルはまさしくその程度だと思っていただいた方がいいわけです。ですから,そういう意味でも周知徹底することは非常に重要だろうと思います。
 ありがとうございました。
 では,松本先生,是非お願いします。


【松本委員】  感想と,最後にお願いです。感想につきましては,前原委員と同じような意見ですが,今回の検討で,奨学金制度問題全体が非常に網羅的に勉強できたかな,検討できたかなと感じております。今までそれぞれの制度が縦割り的な感じがしていたのですが,今回のこの十数回に及ぶ検討で横串が刺さって,それぞれの制度間の関連性がかなり明確になりましたので,これからこの取りまとめに沿って着実に一歩一歩進められていけば,かなり充実した新しい奨学金制度,経済的支援策ができていくのではないかと思っています。
 お願いの方は,中間まとめの際,少し表現が弱いなと私自身は感じておりました給付型奨学金についてです。今回かなり皆様の議論を経た上で,一歩も二歩も進んだ形でこの取りまとめの中で表現されております。ただこの問題は,先ほど主査がおっしゃったとおり,税金を返させないで使ってしまうという,嫌な表現をすればそういうことにもなるわけですので,慎重な制度設計が必要だと思います。またいろいろな制度との関連も出ますし,その上で,給付型奨学金が仮にできたとき,誰が奨学生を選べるのか,そこまでの学生さんを選べるのかという問題も相当大きな問題だろうと思います。大学の先生方に預けてしまうのか,別な組織を作ったりするのか,あるいは高校の先生なのかと,いろいろな問題があるかと思います。是非お願いですが,こういう立派な形での検討会とまで行かなくとも前段階的なものでも結構ですので,勉強会的にこの給付制度だけを取り上げた検討を進めていただきたいです。


【小林主査】  ありがとうございました。非常にごもっともでありまして,私たちも,ここにいらっしゃる委員の方も,文部科学省の方も,皆さん,給付型それ自体に反対はないわけでありますが,国民全体が納得していただけるような突破口を開けないところだろうと思っていますので,これは勉強会という形か,どういう形になるかは分かりませんが,是非これからもう少し理論武装の整備をして何とか実現に向けて検討していくということは,重要な課題だろうと思っております。ありがとうございました。


【松本委員】  この給付型奨学金制度ができ,社会に発表されると,相当大きなサプライズになると思うのです。このサプライズ効果が日本のこれからの新しい時代を担う若者を養成に必ずつながっていく,いい役割を持つと思いますので,そういう意味でも是非お願いしたいということです。


【小林主査】  ありがとうございました。私も少人数でもいいから,是非そういう制度ができると全然違うのではないかという感じを持っております。具体的には松本先生がおっしゃったように,誰にどういう形で渡すかはかなり難しい問題だというのは,ここでも何度も議論しましたけれども,是非これからも検討を進めていければと思っております。ありがとうございました。
 奥舎先生,どうぞよろしくお願いします。


【奥舎委員】  13回の会議に出させていただきまして,ありがとうございました。公立大学の立場もこの文章内容に表れていると思いますので,良かったと思います。この検討会そのものは,大臣からの御指示によって開かれたのですが,今まで奨学金制度等の経済的支援策について具体的に審議されたかどうかということも,不安だったと思います。本当に抜本的な改革の一歩だと思っております。是非実行していただきたいと思います。
 奨学金とは別の問題で,先ほど中村先生が言われましたが,各制度が次々に各省庁によってできております。例えば厚生労働省は後期医療保険制度や介護保険制度,国民健康保険,社会保険と,いろいろな制度がありまして,もちろん文部科学省の制度もあります。初等中等教育段階で,行政教育的な制度を教える方法が一つできないだろうかといつも思っております。最近の学生を見ると,先ほど小林主査が言われましたが,「猶予」という言葉の理解も問題ですし,制度が複雑になっていくと,しっかり勉強した者はますます利用して恩恵を受け,そうでない者はますます取り残されていくのが現実だと思います。今は行政的な教育,制度教育を中学校ぐらいの段階から教えていくことが必要なのかなと思います。是非,文部科学省の中で検討していただきたいと思います。
 もう一点,機構の方にお願いしたいのですが,広報の周知の仕方についてです。文字ではなく,大学の要覧のようなPRというか,端的に分かりやすくて,カラー写真を二,三枚でいいですから,例えば理事長の顔写真を入れたり,部長さんの顔写真を入れたりして,学生・生徒に直接訴えるような広報パンフレットをしっかりと吟味して作っていただきたい。文章の羅列やホームページの記載は,もう読めば分かるわけですから,そうではなく,高校生や中学生に,心に訴えて,印象に残る広報の仕方をお願いしたいと思います。
 この2点です。ありがとうございました。


【小林主査】  ありがとうございました。いずれも重要な御指摘だと思います。ここでも,先ほど,ほかの省庁との関係の話があり,私も文部科学省の内部の生涯学習政策局との連携を申しましたが,特に金融リテラシーなどは初等中等教育段階の問題ですので,そのあたりについて,もし事務局で何かございましたら御発言をお願いいたします。


【田中課長補佐】  金融リテラシーの点については,先ほどの中にも書いてございまして,初等中等教育段階からの金融教育の推進というフレーズを書いてございます。これは私も何回かここで御紹介させていただいたと思うのですが,とりわけ金融教育という点に絞っていうのであれば,現行の学習指導要領の中でも,高等学校の家庭科のところで金融教育のような内容については記載されてございます。また,もう少し行政制度全般と先ほど奥舎先生はおっしゃいましたが,例えば行政の在り方,運営,制度全般みたいな点であれば,高等学校段階では例えば公民科の中で取り上げられてございます。それより下の中学校段階になりますと,社会科の公民の授業の中で取り上げられていますが,中学生でございますので,なかなかそこまで細かいところは記載がなかったと記憶しています。学習指導要領段階でも,例えば最近であれば,法教育の観点から裁判員制度についてきちんと教えるようにということが,平成20年の学習指導要領の改訂の中で盛り込まれたことを記憶してございます。
 お答えになっていなくて申し訳ありませんが,以上でございます。


【小林主査】  ありがとうございました。
 機構についても,是非御回答を頂ければと思います。


【甲野理事】  先ほど奥舎委員から広報についての御指摘がありましたが,私どもとしては,広報活動はもっと分かりやすくやらなければいけないという声を,いろいろなところから御指摘いただいておりますので,いろいろさせていただいております。例えば保護者や生徒にも分かりやすいようにということでDVDも作成しておりまして,10月くらいに完成します。また大学に新たに入った学生等のために,色刷りの絵や表もたくさん入っている,4枚の見開きの簡潔なものなども準備しています。また,ホームページも非常に情報量はたくさんありますが,分かりにくいのではないかという御指摘もありますので,先生から御指摘を頂いた点を踏まえまして,広報活動はもっと充実させて,より分かりやすくさせていただこうと思っております。


【奥舎委員】  よろしくお願いします。


【小林主査】  ありがとうございました。私もかねてから,その問題は重要だと思っておりまして,機構はせっかく一生懸命やっているのに,なかなかそれをうまく説明できないで,かえって批判を浴びていることが非常に多いと感じております。その一つの要因は,説明の仕方や広報のやり方が,端的に言ってうまくない。広報の方はきちんとやっていらっしゃるのですが,どうしても政府的な広報になってしまうという印象です。それこそ松本先生の団体のパンフレットのように視覚的な情報も入れて分かりやすいパンフレットを作るなど,大学などもそういう工夫をしていますし,説明責任を果たす意味からも重要なことだと思いますので,是非そこの努力をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 濱田先生,是非お願いします。


【濱田委員】  奨学金制度が大きく変わらなければならないということで,いろいろ問題の指摘があって,それに対しての議論が深まって,できるところから改善していこう,あるいは新しい施策を出していこうという提言が,この検討会を通じて幾つかできたことは,大変良かったと思いますし,私個人も大変勉強させていただきました。ありがとうございました。
 今回のまとめの中で少し感じますことは,一つ,「はじめに」のところに,育英の観点と奨学の観点ということをきちんと訴えたらどうだろうかと,私は思うのです。文言としては,7ページからも出てくるのですが,この検討は両面から行われてきたことは事実であろうと思いますので,その辺のところが一般の人が読んだときにも分かるような書き方があってもいいのではないかと思います。その辺の御検討をお願いしたいです。
 それから,これもごく一般的になった言い回しだろうと思うのですが,有利子奨学金が非常に増える一方で,無利子奨学金の方が必ずしも増加していない,増加しているのですが,それが緩やかであるという表現がしばしばなされるわけです。私から見れば,ほとんど増えていないと言ってもいいぐらいの状況に,どうしても見えるのです。ですから,この表現,「緩やか」が決して間違っているとは申しませんが,本来ならこれは増やすべきだという観点が,全体を読めばもちろん出てくるのですが,冒頭にあった方がいいのではないかという感じもいたします。
 それから,返還免除制度がいろいろと議論になりました。前に戻る必要はないと思いますが,何かひな形を持ってきて,もう少し分かりやすい形で出せたら良かったかなというのが,私は心残りです。私の経験で申しますと,特別貸与奨学金制度があった時代に,たしか高校3年生の夏休みだったと思うのですが,結構難しい試験があって,特別貸与奨学金になるのか一般奨学金になるのかの選別が行われました。当初から一定の返還免除を特典として与えて,ただし入学後のいろいろな審査を受けることが義務付けられていたと思います。ああいうやり方がいいかどうかは別としても,何らかの形での入学前,在学中の返還免除,あるいは卒業後の返還免除制度は,必ずしも明確に私たちの力で出すことはできなかったのではないかという感じがするのですが,御異論もあるかもしれませんが,私はそのような感じを持っております。
 以上です。


【小林主査】  ありがとうございました。いずれも大変重要な御指摘で,私も,中間まとめでは入っていたと思うのですが,ここで抜けてしまっていることに濱田先生の御指摘を受けて気が付きました。
 順番にしたいのですが,最初のところに,もう少しきちんと書くべきだというのはおっしゃるとおりで,最後のところに憲法や教育基本法の話が書いてあるわけですが,これは最初に書くべきことだろうと思います。その上で,育英と奨学の観点から学生支援をやっているのだと,これはある意味で,お題目みたいなものですけれども,お題目はお題目で重要なので,書いておく必要があるかと思います。
 2番目の点については,書きぶりの問題もありますが,無利子奨学金が根幹だということはずっと続いているわけですから,そのことについてもう少し書き方を工夫されるこということだろうと思います。
 3番目が非常に重要な点で,確かに中間まとめに入っていたのですが,今回のまとめではこの点に余り触れられていません。かつてあった特別貸与奨学金の免除制度や,あるいは中間まとめでは予約型の返還免除制度を考えてもいいのではないかという御提案をしたと思いますが,それを最終まとめでは明確な形で出していません。書き方はあるとは思いますが,返還免除の在り方についても更に検討する必要があるのではないかということは,入れてもいいのではないかと思いますが,いかがでしょうか。
 ありがとうございました。書き方は任せていただきたいと思いますが,それを何らかの形で書き加えたいと思います。ありがとうございました。


【濱田委員】  よろしくお願いいたします。


【小林主査】  これで,本日御出席ではない委員の方もいらっしゃいますが,一当たり意見をお聞きしました。前原先生,最初にだけ御意見を頂きましたので,もう一回,是非最後にお願いします。


【前原委員】  最後に些細(ささい)な質問ですが,5ページの脚注の10で,学修時間が4.6時間とあります。これは「授業,授業関連の学修,卒論」と書いてあるのですが,問題なのは,授業のほかにする勉強時間がものすごく少ないということです。アメリカなどですと,6時間以上勉強する人が大半ですが,日本は5時間未満が大半という結果が出ています。授業のほかにはほとんど1日1時間も勉強しないという結果が出ていますが,そういうデータを出した方が分かりやすいのではないか。これを見たら,「何だ,4.6時間も勉強しているではないか」と誤解されかねない。4.6だと,授業時間ぐらいです。本当は大学生の場合は,一番大事なのは自分で学ぶ時間だと思うのですが。


【小林主査】  ありがとうございました。東大でやった「全国大学生調査」は非常によく使われるわけですが,これ以外にも日本学生支援機構がやっている調査もありますし,そういうもので見ましても,御指摘のように,とにかく授業には今の学生は真面目に出ます。しかし,それ以外の学修が非常に少ないことは御指摘のとおりなので,それはもう少しここに根拠として加えたいと思います。ありがとうございました。


【田中課長補佐】  その点についてですけれども,先生の御指摘のとおり,学生生活調査で,大学の授業以外の学修という時間で根拠を取ってございますので,脚注等で補足して書けるようにしていきたいと思っております。


【小林主査】  ほかに御意見はございませんか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 私自身もたくさん注文を付けましたし,本日,委員の先生方からいろいろな御意見を頂きましたので,いろいろ書き直す点がたくさん出てきたということで,最終案としてはこれをまたかなり書き込むことになるかと思います。残された検討課題がまだかなり多いこともよく分かりますので,先ほど松本先生から勉強会という話もありましたが,どういう形で行うかはともかく,ここで終わったということではありませんので,委員の先生方もこれで終わったというわけではございません。引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 本日は,いろいろ御意見を頂きましたので,事務局と協議してもう一回書き直したいと思います。それを,また改めて皆様に送付いたしまして,最終案をまとめさせていただきたいと思いますが,書き直しについては,事務局と私に一任ということでよろしいでしょうか。


(「はい」の声あり)


【小林主査】  ありがとうございます。そういう形で取りまとめさせていただきます。
 本日,一応の終了になりますので,吉田局長から是非最後の御挨拶を頂きたいと思います。


【吉田局長】  昨年4月にスタートいたしまして,早速8月に中間まとめをしていただきました。その成果は,早速私どもも平成26年度の概算要求に反映させていただいて,その結果,本年度の予算では,まず無利子奨学金の人数,緩やかなのか,横ばいなのかという議論はありますが,増員をさせていただきました。また返還期限猶予制度や延滞金賦課率につきましても改善を図らせていただくなど,この検討会の成果を着々と生かしてきたところでございます。今回,最終的なまとめを頂いて,ある意味では,今後,我々が目指していく方向性を明確にお示ししていただいたものだと思います。無利子奨学金は根幹でございますので,これについては引き続き増員の方向を図ってまいりますし,また所得連動返還型奨学金制度については,早速この後,具体の制度設計に向けて有識者会議などを組織して,マイナンバー制度の導入の時期を逃すことなく実行に移せるように,また日本学生支援機構や委員の先生方のお知恵を拝借することがあるかもしれませんが,着々と進めてまいりたいと思います。それから,将来的には給付型奨学金という,先ほど来も御議論がありましたように,乗り越えるべき課題は多々ございますが,そこに向けて何が必要なのかということを,文部科学省としてもきちんと整理して進めていきたいと思います。
 本日は最後の会合でしたけれども,様々な有益な御議論を頂きまして,ますますこの報告書の中身が充実したのではなかろうかと思います。これまで13回にわたりまして皆様の御指導を頂きまして,本当にありがとうございました。いい報告書ができたものと私どもは解釈しております。ありがとうございました。


【小林主査】  ありがとうございました。事務局から何かございますか。


【田中課長補佐】  特にございません。


【小林主査】  委員の先生方,よろしいでしょうか。
 それでは,2年間にわたりまして,本当にありがとうございました。これで,学生への経済的支援の在り方に関する検討会の第13回を閉めさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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