学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第6回) 議事録

1.日時

平成25年12月11日(水曜日)13時~15時

2.場所

5F文化庁特別会議室(文部科学省旧庁舎)

3.議題

  1. 「中間まとめ」に関する団体からのヒアリング
  2. その他

4.出席者

委員

相川委員、奥舎委員、小林委員、濱田委員、樋口委員、前原委員、松本委員

徳久理事長代理(日本学生支援機構)、月岡理事(日本学生支援機構)、石矢奨学事業本部長(日本学生支援機構)

文部科学省

中岡審議官、渡辺学生・留学生課長、田中学生・留学生課長補佐、渕村学生・留学生課長補佐

5.議事録

学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第6回)
平成25年12月11日


【小林主査】  それでは,時間になりましたので,ただいまから学生への経済的支援の在り方に関する検討会を開催いたします。本日も日本学生支援機構の関係者が陪席しております。御了承ください。
 議事を始めるに当たり,配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。
【田中課長補佐】  それでは,資料の確認をさせていただきたいと思います。本日お配りしている議事次第を御覧いただければと思います。配付資料として資料1から4まで,それから,参考資料の1,2ということで本日配付をさせていただいております。資料1につきましては公立大学協会さんから頂いたペーパー,資料2につきましては国立大学協会さんから頂いたペーパー,資料3につきましては国立高等専門学校機構さんから提出いただいたペーパーでございます。その後,資料4といたしまして今後の日程。それから,参考資料1,2ということで公立大学の授業料減免の概要,それから,国立大学の授業料減免の基準についてということで,お手元に配付をさせていただいております。乱丁・落丁等ございましたら,事務局までお申し付けいただければと存じます。
 以上であります。
【小林主査】  ありがとうございました。
 それでは,議事に入ります。本日,8月に取りまとめました本検討会の中間まとめについて,各団体から順次御意見をお伺いいたします。今回は公立大学協会,国立大学協会,国立高等専門学校機構からそれぞれ関係者の方にお越しいただいております。皆様,年末のお忙しい中,御参加いただき,まことにありがとうございます。そのヒアリングの後で学生への経済支援の在り方について委員の方に御自由に御議論いただく予定です。
 それでは,まず公立大学協会から資料について御説明をお願いいたします。今日は福岡県立大学の柴田学長に遠路お越しいただいております。どうもありがとうございます。では,よろしくお願いいたします。
【公立大学協会(柴田)】  福岡県立大学の柴田でございます。公立大学協会の第2委員会,これは学生関係の委員会でございますが,そこの委員を務めさせていただいております。このたびの検討会の中間まとめ,大変立派なまとめを出していただいたことに改めて感謝申し上げる次第でございます。そこにも記載させていただいておりますけれども,公立大学協会としてもこの中間まとめと基本的には考え方を同じくするものでございまして,全く異論はございません。その上で今後の検討に対して公立大学の特殊性等を勘案した上で以下のお願いを行うというものでございます。私,以前,国立大学に在籍しておりましたけれども,公立大学は,かなり設置者との形態等が多様でございまして,全ての公立大学の意見を代表するものではないということをまず前提としてお含みおきいただければと思っております。
 最初にも申しましたように,全体を通して全く同感でございますが,本日,提出させていただきました意見で大学全体に関するものとしましては,この貸与型の支援制度の在り方,私どもの資料の2というところで出させていただいたものにつきましては,この無利子奨学金の拡充,それから,給付的な支援ということで,これはまた全ての現在の支給を受けている方にも関係することでございますし,社会的にも非常に関心の高いところでございます。今後いろいろ検討が進められることと思いますが,そこにも書かせていただいておりますように,やはり基本的には学業成績と経済状況を考慮の上で給付にするにしても,事後か事前か等々の御判断,それから,どのような機関を経由して給付するのかということ,返還の方法等々多様でございますが,是非御検討いただければと思っております。
 ただ,あくまでもこれは個人的な感想というか,意見でございまして,実は私も日本育英会の奨学金,高校,大学,大学院を通じて10年以上お世話になって大変感謝している次第なのですけれども,その立場から申しますと,この中間まとめの11ページに今後の方針等々ございますが,我々の時代は特別貸与の時代でございまして,ある程度の金額を期限内に返還すると,あとは免除されるという制度,これは非常に有り難い制度でございまして,インセンティブの付与等々を考えますと検討に値する。現在廃止になっているようでございますけれども,こういう感じがいたしております。
 それから,従来から20年間での返還ということでございましたけれども,やはりこの多額の貸与を希望する学生というのは経済的に困窮している者が多いわけでございまして,その者たちにとりまして返還の際にある一定の期限で,同じような期限で区切られるというのはまた非常に経済的にも過重である。すなわち在学時も負担が大きいし,返還に当たっても結果的に大きな負債を負うという形になりかねませんので,やはりそういうことも御配慮いただきまして,返還期限等を弾力的にお考えいただければと思っているところでございます。どうぞよろしく御検討いただければと思います。
 公立大学に特有な事案というのを申し述べさせていただきます。それは1番,資料1の1に書いております授業料の減免制度,これを御検討いただいているようでございまして,この授業料減免というのは就学支援の極めて有効な手段と考えるわけでございますが,公立大学の授業料の減免につきましては,御承知のように,それから,本日,参考資料も出ておりますように,地方財政措置を通じて支援がなされているところでございます。総務省を通じてですね。その支出につきましては,地方公共団体の裁量に委ねられているという部分が非常に多くございまして,実際にその授業料減免を実施する公立大学にはほとんど裁量権が残っていないという状況でございます。これに対する我々の不満感というのは非常に大きくなっております。
 具体的なお話に入らせていただきますと,聞くところによりますと国立大学法人におきます授業料減免制度というのは,各大学の授業料の従来8%程度であったということでございますが,この参考資料の公立大学の授業料減免事業の概要というのを付けていただいておりますけれども,これが地方交付税,この表を御覧いただきますと,地方交付税の算定に当たりましては授業料収入の11.5%分を欠損分として考慮している。これが大学の裁量分に相当する部分とみなされるわけですけれども,実際にはこれが全て授業料減免に最終的に回っているわけではございませんで,我々九州地区の公立大学でも調べたところ,6.5%で実施しているところ,4%で実施しているところ,それから,本学のように2%しか認められていないところとか,設置者,あるいは大学によって様々でございます。
 本学の場合には福岡県の設立した公立大学法人でございますけれども,3大学ございまして,これが2%でも十分に満たされている大学と,我々のように2%では基準該当者に全く不足しているところがございまして,それにつきましては各個別の大学で設立者に対して交付金の特別措置をお願いして割増し分を頂いているというような状況でございます。本年は,それでも足りずにさらに追加をお願いしておりますけれども,厳しい財政状況等々でなかなか希望者には回らないというところでございます。
 それからもう1点,この率が国立大学では6%以上,今はもう8%ぐらいのようでございますけれども,公立大学,我々の大学の認定基準からしますと,とても認定基準が異なっておりまして,そういう状況で他大学では2%で十分間に合っている。すなわち,極めて厳しい認定基準で何とか2%の枠を埋めているという状況でございます。
 たしか私も以前,在職しておりました国立大学では非常に複雑な――複雑というか,精緻な認定基準で家計基準などをやっておりましたけれども,公立大学では極めてシンプルと申しますか,要するに住民税の対象にならない家庭のみが対象であるということ。生活保護などはもちろんですけれども,住民税の基本的な基準のみとか,極めて厳しい基準でやっと何とかその2%の対象者を選んでいるという状況でございます。この中間まとめ8ページに記載していただいておりますとおりでございまして,地方公共団体,あるいは法人の裁量により実施されている。この「裁量」というのが極めて厳しい基準で実施されているという状況を御理解いただければというところでございます。
 特に公立大学は,御承知かと思いますけれども,現在,地域振興とか,地域の基盤的な,専門的な職業人の養成ということで看護系や福祉系のもの,他の分野でなかなかカバーできないような分野の学生を育成するということに特色を持っている大学が多うございまして,そういうものに志願する学生さんというのは,やはりどうしても経済的な家計の背景が弱い方が多いような印象がございます。そういうこともお考えいただきまして,この授業料減免措置の国立,私立,公立大学の実情の違いということをこの機会に抜本的にお考えいただければとお願いする次第でございます。
 それから,3番目に書かせていただきましたのは,多様な今後の学生支援の在り方ということでございまして,ここの記載にございますようにやはり社会人,あるいは特にこれは修士課程,博士課程に多いのですけれども,再度の学び直しというような方に対しても是非,非常に強いインセンティブになるような学生,社会人に対する学生支援の在り方等々を考えていただければ,特に医療系の方の学び直しについては大きなモチベーションになるのではないかと考えております。
 それから,提出しました2ページ目にございますように,やはり経済的な理由で学業を中断する学生が最近増えておりますけれども,それが継続できるような学生支援の仕組み,復学にインセンティブが非常に高くなるような仕組みをお考えいただく,あるいはそれ以外のサイバー大学等々ございますので,多様な学びで継続ができるようなものに対する支援等々も合わせてお考えいただければと思っている次第でございます。
 それからまた,今,大学の中で働きながらやっていくという,これは欧米の大学では普通に見られる形,ワークスタディというようなものの御支援ということが改めて開発していただけるのだったら,大学関係としても非常に有り難い制度であろうと思っております。雑ぱくなお話で恐縮でございますけれども,公立大学協会としての特殊性ということで強調させていただき,この授業料の減免措置についての抜本的な改革ということを是非お願いできればと思っている次第でございます。それ以外につきましては,大変有り難い中間まとめを作っていただいたということで感謝申し上げる次第でございます。
 概略,以上でございます。よろしくお願いいたします。
【小林主査】  どうもありがとうございました。
 今の柴田学長からの御意見について,御自由に御質問,御意見等頂ければと思いますが,いかがでしょうか。
【樋口委員】  よろしいですか。
【小林主査】  はい。どうぞ。
【樋口委員】  頂きました資料で1ページの2の最後のところに「公立大学の学生が国と地方公共団体との関係の影響による不公平な取扱いを受けることのないよう」とありますが,これはどういう意味でしょうか。
【公立大学協会(柴田)】  公立大学の所管が総務省なんですね。それで,国立大学等々でやられている文教施策による学生支援と齟齬(そご)が生じるような事例が生じているようでございまして,今回の制度改正に当たっても,そういうことが生じないような御配慮を是非お願いしたいという一般論でございます。
【樋口委員】  一般論。
【公立大学協会(柴田)】  はい。
【樋口委員】  ああ,そうですか。分かりました。
【小林主査】  ほかにいかがでしょうか。私の方からお伺いします。これは確認なのですが,この頂いた資料ですと,授業料減免については,具体的な方法は各大学の規定,基準等に基づいて判断,実施されているとあるのですけれども,柴田先生の先ほどの御説明ですと,かなり地方自治体の縛りがきついというお話だったと思うのですが,そのあたりどういう関係になっているのでしょうか。
【公立大学協会(柴田)】  御承知だと思いますが,資料があるのですけれども,総務省から頂いている査定では88.5%で授業料が査定されているということなので,残りの11.5%は授業料減免分として措置されている形になっているのですけれども,最終的に本学に来ている枠というのは2%であるという状況になっておりまして,その途中がどうなっているかというのは自治体の財政状況等々がいろいろあることだと考えられるわけでございます。ほかにも11.5%の中身が全て純粋に授業料減免とみなされていないのではないかという気はしております。こういう実情でございます。
【小林主査】  分かりました。しつこいのですが確認いたしますと,そうすると実際には,その11.5%という枠があるはずなのに,大学に来るときには2%になっていて,そこから大学が,それをどういうふうに授業料減免するかは大学の裁量であると。
【公立大学協会(柴田)】  一応の基準というのはございまして,先ほど申しましたように住民税の非課税所帯とか極めて――どうもこれもやっぱり2%に抑えるために国立大学とは随分と違うような基準になっているように思いますけれども,ほとんど普通のサラリーマン家庭の方はもらえないというような,資格がないというような状況になっているという印象がございます。
【小林主査】  たしか認められていないという言い方をされたと思うのですがいかがでしょう。
【公立大学協会(柴田)】  はい?
【小林主査】  そのときになかなか認められないのだという言い方をされたと思うのですけれども,そうすると,その基準というのも地方自治体で決まっていて,大学の裁量で今申しましたような住民税非課税世帯とか,生活保護世帯とか,そういう厳しい基準であって,ここには大学の裁量ということが書かれていますけれども,実際には大学の裁量があまりないというふうに見てよろしいのでしょうか。
【公立大学協会(柴田)】  ようございますか。その2%の基準で学生を選抜せざるを得ないという状況を勘案しますと極めて厳しい基準を引かざるを得ない。その裁量につきましては,地方独立行政法人化しておりますので,大学の裁量なのですが,財源としては限られておりますから,その中に抑えるためにはそういう厳しい基準を引かざるを得ないというのが実情かもしれません。他大学の例を集めておりませんけれども,本学ではそういうことでやっておりまして,やはりこの基準に合致するものとしては大体4%ぐらいおります。だから,あと2%を何とか工面していただきたいということを毎年度,県の方にお願いして,認められる年もありますし,切られる年もあるという状況ということでございます。
【小林主査】  よく分かりました。もう一つ質問なのですが,この頂いた資料で大学の例として奨学金を受給しているというのが授業料減免の方の受給の条件になっているようなのですが,これは何か理由があるのでしょうか。
【公立大学協会(柴田)】  まず,奨学金をもらってくださいよということだと思います。自助努力をしてくださいよ。その上で更に授業料減免を考えましょうという追加の支援という考え方があろうかと思います。ただ,私の記憶では,私たちの時代は奨学金をもらっている者は授業料減免が認められなかったような時代があったと思うので……。
【小林主査】  ええ。それをちょっと思いましたので。
【公立大学協会(柴田)】  それと逆の現象になっているのだと思いますけれども。
【小林主査】  このあたりの私たちも今少し調べているのですけれども,かつては先生がおっしゃるように逆だったのですが,どうも今は両方,奨学金と授業料減免で学生生活を送っているという学生がかなり増えていると思っておりますので,その基準でやられているということですね。
【公立大学協会(柴田)】  本学の場合は,これは基準に入れておりません。
【小林主査】  ああ,そうですか。それも大学によって違うということですね。
【公立大学協会(柴田)】  はい。そういうことでございます。
【小林主査】  分かりました。ありがとうございました。 ほかにいかがでしょうか。奥舎先生,同じ公立大学の立場から。
【奥舎委員】  柴田先生が言われたとおりだと思いますし,一番のネックは,普通交付税は一般財源でありまして,地方自治体で何でも使えるという財源であります。ですから,各地方自治体が裁量を持ってやっていくというのは間違いありませんので,公立大学は非常にアンバランスな状態になっているとは思います。
 それから,私のところの大学は小さな大学なのですけれども,一応は基準がありまして,国立大学法人岡山大学のいわゆる免除基準を参考にして,それに基づいた規定を作っておりますが,予算で抑えられますので,基準はできても実際は3.8%ぐらいなっているということで,実情は全く一緒であります。ただ,先ほど先生が言われた住民税の非課税ぐらいの基準とか,そういう安易な基準ではなしに,公立大学そのものも国立大学に近いような規定,基準というのに準拠した方がいいのではないか。それを前面に押し出していった方がいいのではないかという感じは持っております。今,お聞きしまして。
【公立大学協会(柴田)】  私の記憶では,国立大学で授業料減免措置等をやるのはかなり複雑なコンピュータのプログラムがありまして,それで作業をして極めて厳密に査定していたように思っております。たしか兄弟の数とか,いろいろなファクターでやっていたように記憶しておりますけれども,公立大学はとにかく財源に限りがありますから,極めて分かりやすいというか,そういう基準でとにかく抑えようというような形でしか実施できないというのが実情でございます。ただ,同じ福岡県にあります北九州市立大学,これはやはり福岡県と北九州市の財政の違いかもしれませんが,こちらは8.4%という具合になっているようでございまして,自治体の財政状況によって随分と違いがあるというのは事実でございます。
【小林主査】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【渡辺課長】  事務局から恐縮ですが,先生,御発表の中で社会人の学び直しに対してインセンティブということをおっしゃったのですけれども,これは具体的にはどのようなことを想定されていらっしゃいますか。
【公立大学協会(柴田)】  これは学部生というよりも,むしろ院生だと思うのですけれども,我々,看護系を持っておりまして,看護師さんなどがある程度経験を積んで,更に研究,学びを深めたいというときに修士課程に進学したいという場合に,やはり問題になるのが学資の問題でございます。どうも医療,福祉系というのは給与水準が低いということもございまして,なかなかお金を貯めて改めて大学院に入るというのが厳しい状況があるようでございます。
 是非そういう方々の学びの意欲が削がれることのないような制度,社会人に対して御配慮いただければと思うのですけれども,そういう方々は,ありていに申しまして直接進学してきた方々に比べますと学力等々,やはりなかなか厳しいところがあるのは事実でございます。そういう方々に対しては別の学業成績基準とか,そういうものがあってもいいのではないかというようなことは考えておりますが,なかなか実現できません。ありていに申しまして,やっぱり語学力などにはかなり差があるのが実情でございます。そういうものを社会人の学びということで,もう少し余裕を見て長期的に支援できるような制度ができればいいのではないかなと考えている次第でございます。
【樋口委員】  よろしいですか。
【小林主査】  どうぞ。
【樋口委員】  来年度から教育訓練給付金という雇用保険の自己啓発に対する支援が,今の要請ですと年間に90万を上限に引き上げるといって,大学院の授業料等々もそれでカバーできるというような案が出ているのですが,そちらとこういった奨学金制度との関係でどちらを考えていらっしゃるかというようなことというのは,何かあるのでしょうか。
【公立大学協会(柴田)】  もしそういう制度が導入されると,大変インセンティブにはなると思いますし,できましたらダブルで御支援いただけると一番有り難いのですけれども。
【樋口委員】  それはそうですね。働いている方ですよね。だから,雇用保険受給に,加入している方だとは思うのですが。
【公立大学協会(柴田)】  はい。それは大変有り難いのだと思います。今,就学延長等々で働きながらやっている大学院生が,うちなどは福祉系で非常に多いんですけれども,そういう方々にとっては非常に有り難い制度になるのではないかと思っておりますが。
【樋口委員】  そうですか。分かりました。
【小林主査】  ほかにいかがでしょうか。何か委員の方。先ほどの授業料減免の基準の話については,大学によっても違いますけれども,確かに今の制度はいろいろな控除をして,それで所得とかを認定するというような仕組みでかなり複雑な形が多いのです。東京大学の場合ですと400万円以下という非常に分かりやすい基準を作ったのですけれども,これはよく勘違いされますが,401万円ではいけないのかということではなくて,その場合は従来の基準もありますので,従来の基準の方で合致すれば401万円でも授業料減免を受けられるという形になっています。そのあたり,ですから,制度の分かりやすさということと,できるだけいろいろな要素で精緻に行うということとの間をどうとるかをここでもいろいろ議論しているのですけれども,先生は,先ほど両方言われました。つまり,今までの基準と,それから,精緻な基準もあるというお話だったのですけれども,そのあたりのことはどのようにお考えでしょうか。
【公立大学協会(柴田)】  一つにはやっぱり担当事務の方の作業量があります。非常に公平性に配慮されて大変な作業量になっているわけでございまして,たしか国立大学ではある程度のパッケージソフトを使って,その透明性,公開性を担保していたと思うんですね。だから,そういうやり方はあろうかと思います。ただ,そのときの記憶でも,全国立大学で措置されている授業料減免枠が全部満たされない大学もありました。それを私どものいました地方の国立大学は回してもらって埋めていて,時代の特徴なのかもしれませんけれども,現場では困窮した学生の救済のために,特に学生関係の職員の方,あるいは文科省の学生課の方々は努力いただいているというのは非常に有り難いと思っておりました。
 ただ,これがまた元に戻るのですけれども,公立大学になりますとやはり県というのがあまりというか,ほとんど配慮が欠けているのではないかというような措置が多々ございまして,そういうところを県との交渉だけではどうも限界がある。そういうものもカバーできるような制度を御配慮いただければ,公立大学としては大変有り難いと思っている次第でございます。
【小林主査】  ありがとうございました。今の一定のパーセントにしますと,必ず不足と余りというのは出てきますので,それもなかなか悩ましい問題だと思っております。その辺もこちらでは認識していますので,また検討していきたいと思っております。
【公立大学協会(柴田)】  はい。どうも。
【小林主査】  時間になりましたので,どうも短い時間でしたが,貴重な御意見,ありがとうございました。
【公立大学協会(柴田)】  いえ,どういたしまして。こういう機会を与えていただきまして,ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【小林主査】  よろしくお願いいたします。
 それでは,引き続きまして国立大学協会の方からのヒアリングに移らせていただきます。国立大学協会,今日は一井専務理事と木谷常務理事にお越しいただいておりますので,よろしくお願いいたします。
【国立大学協会(一井)】  それでは,よろしいでしょうか。
【小林主査】  はい。よろしくお願いします。
【国立大学協会(一井)】  それでは,始めさせていただきます。このたびは,こういう発言の機会を頂きまして大変ありがとうございます。実は私自身も大学院のときにずっと奨学金を5年間もらっていた経験がありますので,奨学金というのは非常に大事なものだと私自身も認識しております。このたびの意見発表ということで機会を頂きましたので,それを受けて国大協の中にあります教育研究委員会の委員の方々の意見を紹介して,それを基に以下の意見をまとめましたので説明させていただきたいと思います。資料に沿って説明させていただきます。
 まず,お手元の資料にあります1番目は,貸与型奨学金の在り方についてでございます。私が受けました奨学金も貸与型のものでありましたけれども,貸与型のものというのは,私は無利子であるのが本来の姿であると考えております。人からお金を借りて利子を払うのは当然だということではなくて,日本の将来を担う有為な人材を育てるという考えに是非立っていただきたいと考えております。有利子奨学金から無利子奨学金への転換,あるいは無利子奨学金枠の拡充というのを是非お願いしたいというのが次の点であります。
 2番目に返還方法に関わることでありまして,返還する人の経済状況を配慮したやり方というのをとっていただきたいというものであります。具体的には,そこに示してありますように3点ございます。その最初は延滞金の賦課率を引き下げてもらいたいというものであります。現行では延滞金の賦課率というのは10%となっておりますけれども,是非これを半減させていただきたいと考えております。博士課程を修了して博士の学位をもらったけれども,直ちに希望する職につけないような人とか,あるいはポスドクとして研究活動を続けていましたけれども,その契約期間が一旦終了して,次の就職までの間にやむなく一定期間待たなければならないような人というのも結構現実にはございます。このような返還したくても,その日の生活に追われているような,本当に困っている人への救済措置の一層の拡充をお願いしたいと考えております。
 次の返還猶予制度の制限年数の延長をはじめとする適用の柔軟化についても博士課程修了者などによく見られる事例であると思っております。奨学金という制度でせっかく育てていただきました日本の将来を担う有為な人材を社会で活躍できるように,是非御支援をしていただきたいと考えております。
 それから,3番目に,所得連動返還型の奨学金制度の導入についてでございます。この制度は御存じのとおり諸外国では非常に多く導入されていると聞いております。24年度から導入された制度では,無利子奨学金に限定されているということや,必ずしも本人の年収に連動していないことなどの課題はあると理解しておりますので,よりきめ細かい検討をお願いしたいと考えております。
 大きな項目の3番目は,給付型支援についてでありますが,その一つ目は給付型奨学金の創設についてのお願いであります。財源上の課題もあると聞いておりますけれども,先進諸外国ではほとんどの国で,いわゆる給付型奨学金が実施されるということは御存じのとおりであります。大学教育におけるキーワードの一つとして,最近はいわゆる国際化というのがしばしば挙げられております。教育環境の国際化という観点からも是非給付型奨学金の創設をお願いするというものでございます。また,家庭の経済状況が進路選択に影響しないようにするためにも給付型の導入を期待するものでございます。
 次は授業料減免制度についてでございます。授業料減免制度の拡充を図る必要は強く感じておりますけれども,国立,公立,私立の大学というのはそれぞれ設置形態が異なっているという点もございますので,その点を配慮した検討が必要であると考えております。更に3として挙げております学内のワークスタディ,あるいはTA・RAの充実についても述べておられますけれども,このワークスタディとか,あるいはTA・RAというのは学生の教育にとって重要であり,支援の拡充を是非私としてはお願いをしたいと考えておりますけれども,それらは基本的に労働に対する対価であると考えております。そういう意味で,奨学金の趣旨とは異なるのではないかとも思われます。特にワークスタディはTA・RAとも性格を異にするものではないかと思っております。
 最後のその他の点については,大きな4番目のその他の点でありますけれども,その一つは,いわゆる学修の場であります大学の教育環境の充実についてでありまして,質の高い教育を提供するための財政支援の充実であると考えております。これらの教育環境の充実と財政支援の充実というのは,学生の修学,経済的側面から支援するものでありまして,また,同時に学修の質の向上につながるものと考えております。したがいまして,総合的な経済支援策の充実というのをまとめの8ページにありましたけれども,その項目の中に是非教育環境の充実というのと教育のための財政支援の充実という,その二つの論点を加えていただければ幸いと考えております。
 最後に,大学院生に対する支援の充実についてのお願いであります。社会の高度化とか,グローバル化に対応して,日本社会をリードし,国際社会で活躍する人材の多くというのは大学院修了者であります。海外では行政官はもちろん,大手企業のトップ,それから,政治家も最近では大学院修了者が多いと承知しております。また,大学院生に対する我が国の支援体制というのは,欧米に比べて必ずしも十分でないと思っております。先ほど申し上げましたように,教育の国際化という観点からも是非大学院生に対する経済的支援の充実を早急に実現していただきたいと願っているところであります。
 以上,学生支援の在り方について,国立大学の立場から考えを述べさせていただきました。今後の取りまとめについて参考にしていただくことを願っております。どうもありがとうございました。
【小林主査】  どうもありがとうございました。
 木谷理事の方はよろしいですか。
【国立大学協会(木谷)】  いいです。
【小林主査】  それでは,今の国立大学協会側からの御説明,御意見について,委員の方から御意見,御質問等ございましたら,よろしくお願いいたします。どうぞ。
【相川委員】  私の方が認識不足だと思うので少しお知らせいただきたいのは,大学院生の経済的支援の充実ということなのですが,これまで院生への経済的支援というのは,どういう形で行われてきて。
【国立大学協会(一井)】  主には奨学金,それからもちろん授業料免除,それから,ここで先ほどもありましたようにTAとかRAというのが主なものだと承知しております。
【相川委員】  じゃあ,更にそれを充実してほしいという。
【国立大学協会(一井)】  違うものというよりも,奨学金そのもののパーセントを上げていただきたい,給付する率を上げていただきたいというのがその部分であります。
【小林主査】  よろしいでしょうか。
【奥舎委員】  ちょっとお聞きしていいですか。
【小林主査】  はい。どうぞ。
【奥舎委員】  先ほど公立大学の授業料減免の率が大学によってばらばらでありますとか,設置形態が法人化している大学とそうでない大学とで違うとか,いろいろパーセンテージが違うのですが,国立大学法人の場合は平均どのぐらいの授業料減免のパーセンテージか分かれば教えていただきたい。
【国立大学協会(一井)】  だから,8.何ぼですね。
【奥舎委員】  ほとんど皆一緒でしょうか。
【国立大学協会(一井)】  8.何ぼぐらいだったと思いますけれども,大体一緒ですね。
【奥舎委員】  もう皆,それでそろえられているということですか。ばらばらになっていることはない。
【国立大学協会(木谷)】  国の方の運営費交付金の予算の中で毎年授業料減免分は何%というのを……。
【奥舎委員】  出ますわね。
【国立大学協会(木谷)】  決まっております。
【奥舎委員】  それはもう皆そのとおり実施されているということでしょうか。
【国立大学協会(一井)】  はい。
【奥舎委員】  大学によって,例えばA大学は7%,いわゆる予算の中で7%,実際はA大学は12%とか,そういうことはないんですね。
【国立大学協会(一井)】  私が前におりました大学はやっぱりきちっとその基準を守ってやっておりました。ただ,大学間の格差ということについては,あまり学長内でもそういう話は聞いたことがございませんので,承知しておりませんけれども。
【奥舎委員】  はい。分かりました。
【小林主査】  どうぞ。
【渡辺課長】  その前にお手元の資料(第1回配布資料の資料3)をめくっていただくと3ページ目に,大学等の経済支援の全体像ということで,奨学金や授業料減免のデータがありますので,適宜御参照いただきながら御議論いただければいいかと思います。奨学金は,これはJASSOの奨学金を中心に書いてありますので,もちろんこれ以外にも民間の奨学金であるとか,大学独自の奨学金もございますし,それから,給与というところの欄で言いますと,先ほど少し伺ったティーチングアシスタント,リサーチアシスタント,更に大学院の博士課程になりますと,日本学術振興機構のフェローシップ,DCというのもございます。それから,授業料減免について,これはデータとして必ずしも予算の数字ではなくて実績が入っていたりするので,議論としては若干かみ合わない面があるかもしれませんけれども,おおむね状況としてはこのような状況であるということは少し御理解いただけるのではないかと思います。
【田中課長補佐】  ちなみに,ここのパーセンテージについては,学生数の割合でございます。全体の学生数に占める授業料減免を受けている人数は何%ということでパーセンテージを入れているものを学部別,修士,それから,博士という段階別でまとめてございます。
【小林主査】  ありがとうございました。
 では,樋口委員。
【樋口委員】  いいですか。今のところと関連すると思うのですが,御趣旨は概念としてよく分かりました。じゃあ,具体的にどうするんだと,そういうようなところで御質問をさせていただきたいと思いますが,まず,3の給付的な支援の(2)ですね。国公私立大学によって,設置形態によって事情が異なるから,これは慎重な扱いをしろというような要望なのですが,これ,要するに共通では困る。どういう意味でこれが書かれているのでしょうか。
【国立大学協会(木谷)】  困るとか,そういうふうなことではございませんで,この前の中間まとめでも書かれておりますように,現在,かなり違っている。そういう中で全体的な整理が必要である。しかし,それには慎重な検討が必要だということは中間まとめそのものに書いてあるわけですが,私どもとしてもそのように考えるということでありまして,なかなか一気に全体を整理,同じような考え方で整理するというのはなかなか困難があるのではないでしょうかと。少しその設置形態,予算の状況等,あるいは様々な状況をもう少し見た上で慎重に整理をしていく必要があるのではないでしょうかということを申し上げているつもりでございます。
【樋口委員】  先ほどお聞きになっていたと思いますが,公立大学の方は国立とは大きな差があるということで,むしろ,その差を国立並みに上げてほしいということだろうと思いますが,どちらかというと統一的な共通化の方向というようなことをおっしゃっているのに対して逆なニュアンスを受けたもので,ましてや私立は今日は来ていないわけですけれども,そこに至ってはもっと違った状況だろうと思っておりますので,何で国立だけというふうな。
【国立大学協会(木谷)】  基本的に全体に拡充をしていただくという方向は,私ども国立大学としても当然そういうことで考えているわけでございますが。
【樋口委員】  分かりました。それと,2の(1)で,この延滞に伴う遅延金の賦課率を10から5に下げろというような要望が出ていますが,これは痛しかゆしのところがあって,ある意味で下げることによってますます遅延が多くなっては困る。そこで線引きをしろということだと思うんですね。生活に困っている人たちとそうでない人という,それがどうやってできるのだろうかというようなことですね。この要望に対して,それとも一律にやっぱり5%に下げてほしいというような要望であるのか,何かお考えがあったら。ごもっともだというふうに思った上での話なのですが。
【渡辺課長】  これ,若干補足しますと,概算要求で実はこの延滞金の賦課率の引下げ,それから,例えばその下にあります返還猶予制度の年限の延長は概算要求に実は出させておりまして,今,最終的な調整を行っているところでございます。
【樋口委員】  概算要求でどんな制度を。
【渡辺課長】  これは延滞金の賦課率については10%から5%。
【樋口委員】  一律ということですか。
【渡辺課長】  はい。
【樋口委員】  全員について。遅延した人は。
【渡辺課長】  ええ。もちろんこれは延滞金が発生した人に対するものですので。
【樋口委員】  はいはい。もちろん。
【渡辺課長】  延滞金が発生しなければ,当然,賦課はされませんから,実際適用するのは来年の4月1日以降に発生する延滞金に対してということになります。もし仮に認められればですね。
【樋口委員】  そこではこれは財務省との関係だろうと思いますけれども,線を引くというようなことというのは。
【渡辺課長】  なので,結局,特に今回,生活に困窮している人,本当に困窮している人は何とか救いたいということで,例えば今,延滞金が賦課されている方についても5年という期限があるわけですね。返還猶予期間というのが。返還猶予期間,5年を超えてしまうと,その後は,もし返還できなければ延滞金が発生してしまうということになってしまいまして,延滞金が発生するとそれは10%発生するという状況はあるのですけれども,本当に困っている人を救うために,例えば返還猶予制度というのをもう少し延長できないかという要求をしています。これはその後に(3)にもありますような所得連動型の返還の制度というのが,これはマイナンバーが入ってくればセットで是非とも導入したいと。
 所得連動で返還できるということは,仮に所得が少なければ少ない額で返還することです。延滞という状態に陥るのではなくて,仮に少ない額であってもちゃんと返還をしていただくということで,ちゃんと返還の意思がある方については救済措置を考えたいと思っております。ですから,本当に最終的に延滞金が発生する人というのは,今でも一定数いるのですけれども,そもそも返還をしなければならないという意思が希薄な方であるとか,ほかのローンがあって,そちらのローンを優先するから奨学金は返さないとおっしゃる方であるとか,そういう方々に対してはやはりペナルティとしての延滞金というのは,一定程度は必要であると思います。ただし,全体としては10%から5%に何とか引き下げたいというのが今回の概算要求の趣旨でございます。
【樋口委員】  ミーンズテスト的なものをやるということであれば,そこで線引きができると思うんですね。マイナンバーについては,総務省が言っているのは,個人のマイナンバーについては3年後に見直しをということで,それまでに各省庁からの要望や,議論が始まると思うので,そこで何かやっていこうというような考え方ということでよろしいですか。
【渡辺課長】  今,JASSOの方でも制度設計の準備を進めつつあるのですけれども,マイナンバーが入れば,恐らく技術的に,電子化されたデータとしてJASSOに所得のデータが行かなければシステムとして機能しませんので,そういった扱いも含めて,今,詳細を検討しかかったところです。なかなかまだ総務省の方でも詳細な検討が余り進んでいないようですので,そのあたりは連絡を密にしながら検討を進めていきたいと考えております。
【樋口委員】  これは国立大学ということではなく,という理解でよろしいわけですね。全体。
【渡辺課長】  全体。
【国立大学協会(一井)】  はい。
【樋口委員】  分かりました。
【前原委員】  ここでもそういう議論をしていました。簡単な質問なのですが,国立大学と公立大学と私立大学の延滞率って差はあるんですか。
【渡辺課長】  実際の延滞率ですか。
【前原委員】  ええ。というのは,就職,正規雇用されるかどうかって結構影響があるのではないかと思うんですけどね。ですから,我々経済界もできるだけ正規雇用を増やすようにしようよという問いかけを経済界の中でも一生懸命しているんですけれども。
【渡辺課長】  今ありますか。マスとしての。データとしてはもちろんあるはずなんですけれども,今すぐに提供できるものはないんですけれども。ただ,1点補足しますと,この延滞率については,JASSOの今期の中期計画においては,特に延滞率の改善が進まない大学については,その学校名を公表することも含めて検討すべしということになっています。それはダイレクトにそのとおりにやると,半ばペナルティのような形で延滞率の改善が進まない大学は名を公表せよということになります。実際,これまで財務省の,特に財政審の中の財投分科会でもそういった御指摘等も頂いています。ただ,我々としても,それについては実際にどういう形で公表すべきか検討しているところでございます。
【前原委員】  随分改善されていますよね,延滞率。
【渡辺課長】  ええ。やはり単にペナルティとしてではなくて,我々の目的は延滞をとにかくさせないということが目的ですので,延滞率を全体として改善するために良い方策としてどういう形で対策を打てるかという視点で今検討しております。また多分,近々何らかの形で御相談させていただければと思います。
【前原委員】  正規雇用が増えれば延滞率は絶対減るはずなんですよね。
【渡辺課長】  はい。
【小林主査】  それを含めまして,あるいは短大とか専門学校についてもかなり延滞率が違うと思いますので,今日すぐということではないのですけれども,その数字を出していただければと思います。
 それから,少し補足しますと,延滞率は実は日本学生支援機構の内示数に関わります。ですから,延滞率が高いと次の後輩たちが減るというような,そういう問題もありますので,そのあたりを含めて延滞率の扱いというのは考えていきたいと思っておりますけれども,よろしいでしょうか,ほかに。どうぞ。
【濱田委員】  先ほど公立大学協会からお話があったのですが,給付型奨学金制度の導入ということで,従来の特別奨学金制度,そういったものをイメージとしてお持ちなのかどうか。
【小林主査】  昔ありました割増し分で、特別貸与奨学生制度です。
【国立大学協会(一井)】  我々が議論していますのは,どっちかというと完全な給付,欧米にあるような給付型というもので,上積みとして特別貸与奨学生制度の,昔あったようなイメージではないと思いますけれども。
【濱田委員】  はい。ありがとうございます。
【小林主査】  私の方から一つお伺いしたいのですが,大学院生の支援についてなのですが,これがまだ不十分だというのはおっしゃるとおりだと思いますが,今,JASSOの返還免除は優秀者免除ということになっておりまして,修了してから,そのときに初めて全額免除なり半額免除ということが分かるという仕組みになっております。これは修学のインセンティブをつけるという意味ではかなり効果があると思いますが,逆に言いますと大学の進学時には免除になるかどうか分からない。我々の学生時代,2004年以前でしたら,研究者になるということになれば返還免除を受けられるということが分かっていましたので,かなり予見性が高かったわけですけれども,そのあたりのことをどういうふうに国立大学協会としてお考えかということをお伺いしたいのですけれども。
【国立大学協会(一井)】  その点について,協会として意見というのは全然上がってきていませんけれども,私,個人的な経験から申しますと,最終的な3月の段階で,そういう委員会があってやります。そうすると,そのときに学生自身から,もう少し早く何とかならないのかという意見があります。例えば今言われましたように入学の時点でできないのか,それでないと将来について何となしに不安感があるという意見は,そのとき間接的にとか,あるいはその場で,たまたま私が出くわした場合でも,聞きましたけれども。
【小林主査】  私も,狭い範囲ですけれども,いろいろな方に,大学の先生を含めてお伺いしていると,この現行の制度がやはりかなり手間もかかりますし,問題が大きいということはお聞きします。ですから,もし全体として御意見がまとまれば,またこの在り方も考えたいと思っておりますので,そういうことで少しお伺いしたのですが。
【国立大学協会(一井)】  特に大学院生については,是非私も支援を拡充していただきたいと願っておりますので,よろしくお願いしたいと思います。
 余談ですけれども,この委員会での話としては,そぐわない話かもしれませんけれども,私,前から少し気になって,今たまたま学生・留学生課長がおられますので一言申し上げたいなと思っていますのは,大学院生のときに外国人の国費留学生と博士課程,修士の学生との給付の格差というのが結構大きいんですよね。これは昔ほどはないとはなっていますけれども,かつては多分,国費が18万ちょっとぐらい,今は国費で大学院修士の場合は10万円弱で,博士になると11万ぐらいと伺っています。それでもやっぱり結構,格差がある。
 私なども同じ研究室に日本人のドクターと博士課程の留学生がいますと,片一方は18万もらって,片一方は私が現役で教わったころは七,八万か,五,六万ぐらいですね。大きな差がある。これはやっぱり出す側の立場はいろいろあるでしょうけれども,もらう側から,学生の立場からすると一緒なんですよね。それを何とか,そういう点,どこかで,この場ではなしに,どこかの検討の場でやっぱり頭に入れていただきたいなというのが,前から私,思っていましたので,あえて申し上げさせていただきました。
【小林主査】  ありがとうございました。その問題もあるということは認識していますけれども,ここで議論するかどうかは別の問題だと思いますけれども。
【国立大学協会(一井)】  そうです。おっしゃるとおりです。
【小林主査】  課長にはしっかり伝わったと思いますので。
【渡辺課長】  ちなみに,今,国費で,大分下がりまして18万なくて……。
【国立大学協会(一井)】  17万?
【渡辺課長】  いえ,もっと少ないです。
【国立大学協会(一井)】  もっと下がっているんですか。
【渡辺課長】  14万ぐらいです。
【国立大学協会(一井)】  そんなに下がっているんですか。
【渡辺課長】  はい。
【国立大学協会(一井)】  そうすると,大分下がっていますね。
【渡辺課長】  14万強です。
【樋口委員】  よろしいですか。3の給付的な支援の(3)で先ほどのRA・TA,あるいはワークスタディとは奨学金は趣旨が違う。そのことに留意しろという説明ですが,これはTA・RAという形で,それが増えたとしても奨学金を減らされては困るという意味ですかね。これ,スカラーシップよりはRAとかを充実させた方が研究のためにもなるしという議論も片方であるかと思いますし,ここは留意が必要だと。趣旨が異なるというのはよく分かります。片方は労働に対する対価だということで。
【国立大学協会(一井)】  私はどっちかというとやっぱり,給付型の奨学金,そちらを増やしていただく。そのTA・RA,これは当然,今以上にというふうに思っていますけれども,大学院生がメーンだと思いますので,院生にとってみたらやっぱり給付型のそういう奨学金があること,これが一番,私は大事ではないかなと思っていますけれども,TA・RAより。
【樋口委員】  よりも。
【国立大学協会(一井)】  はい。
【樋口委員】  ああ,そうですか。そこはいろいろ考え方があるかと思いますね。
【国立大学協会(一井)】  もちろんそうですが,ただ,TA・RAというのは結局,勤務とか,そういうのは全部きちっとやりますよね,今。毎回提出して,月に1回だったかな,何かやりますよね。そういうので確かにその学生の,一方で将来研究者になる,あるいは大学の教員になる場合には一定のプラス要因というのは当然あることは承知していますけれども,それとその問題とは少し別だろうというふうに私は個人的に思っています。
【国立大学協会(木谷)】  ここで申し上げているのは,いずれにしましても,TA・RA,ワークスタディ,こういったものも非常に重要だし,是非充実していただきたいけれども,全般的に給付的な支援を増やすというときに,そっちだけ増やせばいいというのではなくて,やはり基本としての給付型奨学金なり,授業料減免なり,こちらの方はやはり,そちらの方に置き換わるというようなものではないですよということで,特に強調してこういうふうなことだと思っています。
【小林主査】  私も樋口先生も以前,中教審の大学院のワーキンググループで,人文社会系で委員だったのですが。人文社会系と自然科学系とかなり学生支援に差があるのではないかと思っているんですけれども,そのあたりはいかがでしょうか。
【国立大学協会(一井)】  私はどっちかというと自然科学系におりましたので,人文社会系との間の格差の問題というのはあんまり実感したことがないですけれども。今,先生が言われましたように大学の中でそういう人文社会系より自然科学の方が優遇されているという意見は伺ったことはありますけれども,実態としては十分承知しておりません。
【小林主査】  分かりました。
 ほかによろしいでしょうか。それでは,どうもありがとうございました。
【国立大学協会(一井)】  では,どうもよろしくお願いいたします。
【小林主査】  どうもありがとうございました。
 それでは,今日,最後になりますが,国立高等専門学校機構の方のヒアリングに移らせていただきます。本日は上月理事にお越しいただいておりますので,上月理事の方から御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
【国立高等専門学校機構(上月)】  今日はヒアリングの機会を頂き,ありがとうございます。最初,1枚,こういうカラーの絵が付いていますが,1枚めくっていただきまして。釈迦に説法的な部分がありますけれども,高専,実は同年齢層の1%ぐらいの者が行っている。15歳が100万人とすればその1%,1万人ぐらいだというような非常に少ないパーセンテージのものです。制度創設以来,中卒から5年間,一貫教育です。高等教育として一貫,5年間行って,制度創設以来50年たっております。おかげさまで近年の大変厳しい就職状況の中でも高専卒業生については,非常に求人倍率も高くて,企業からも高く評価されております。おおむね20倍近い求人を頂いていまして,比較的良好な状況です。それから,最近進学も増えていまして,後ほど申しますが,専攻科に進学したり,あるいは更に大学院に進学したりといった状況がございます。
 私は,国立高専機構の理事でございますが,高専のほとんどは国立,9割以上が国立となっております。ほかに公立,私立が3校ずつございます。おおむね国立が多いという状況で,学生数は約5万人強,教職員が六千数百人といったところでございます。恐縮ですが,1枚目を御覧いただけますでしょうか。最初の絵に描いてありますが,この高専の学生の一つの特色は,中卒のときに進路を決めるわけです。自分は物づくり業に携わるとか,あるいは技術者としてやっていくということを15歳で進路を決めるというのが一つ。それから,5年間かなり厳しい。授業時間も非常に多いです。高校に比べても多い授業時間,7時間授業,8時間授業が普通にあります。そういった中で鍛え上げて5年後にしっかり就職するということが一つのパターンとなっておりまして,そういった意味では比較的家庭的に恵まれない親御さんが何とか大学まで行かなくてもしっかり就職できるといったようなことで高専に入れてくるということが結構あります。
 その下に高専学生の経済状況が書いておりますけれども,授業料はおおむね公立高校の2倍ぐらいです。5年間一緒なんですけれども,その上で家庭の年間収入,その下に枠がございますが,500万未満の家庭がおおむね3割強,3分の1程度は500万未満という家庭でございます。上に全国地図がございますが,そこに高専の配置図が書いていますけれども,おおむね1県に1校というパターンです。したがいまして,かなり広域から通う関係で学生寮を整備しております。これは創設のときからそうです。おおむね3割ぐらいは学生寮に入って勉強しているといった状況です。これは背景となる状況を簡単に申し上げた上で,すみません,またもう1枚めくっていただいて,最初に御覧いただいたところを御覧いただきたいと思いますけれども,1番は,今申し上げたことで第一種奨学金,無利子奨学金についてですが,今申し上げましたように学生寮に入っている学生が3割を超えている状況でございます。
 学生寮に入っていると生活的にどのぐらいかかるかというと,大体,学生寮費自体はそれほど変わらないですけれども,食費は変わります。食べ盛りの世代ですので,月3万円程度どうしてもかかっています。それでもかなり安くして3万円程度かかってしまいます。それにいろいろな電気,水道代とか,様々なものを含めるとおおむね4万程度ぐらい生活にかかってきます。それが比較的,先ほど申し上げましたように,家庭的に決して裕福でない家庭から出てくる子供たちにとっては結構負担。一方,第一種奨学金が1万円又は2万2,000円ということで,その辺のところに合わない,高専生から見て合わない基準になっておりまして,このあたりについてできたら4万円程度の枠を作っていただければ,その子供たち,あるいは親御さんにとっては非常に有り難いなという話が1点でございます。
 ちなみに,ごく一部ですが,民間企業からの奨学金というのがあるのですが,そこに書いていますように4万ないし5万円というのが多うございます。それが第1点でございます。
 それから,第2点は,先ほど来,ほかの学校種の方も言われたと思いますが,やはり給付型奨学金,これは私どもとしても是非お願いしたいなと考えています。基本的には奨学金というのは,日本はいろいろな事情があって貸与ですけれども,給付型ということについては是非積極的にお取組を頂ければなと思っています。それから,iii)ですが,奨学金返還免除がございまして,現状は大学院の優秀な学生に対して認められておりますが,高専生の場合が,さっき言いましたように5割強が就職というパターンでございます。そういったような構造の中で奨学金免除というのは,ほとんどできないという形になっております。彼らの中の優秀な学生ということになると思いますけれども,是非そこにも目を配っていただければ大変有り難いと存じます。これは大きな1番でございます。
 それから,二つ目は,これは制度のバランスのところなのですけれども,高専生が全体の1%しかいないということがあるのだと思いますが,高専を終えた後に,本科の後に進学する学生が今おおむね4割ぐらいいます。進学のパターンが二つありまして,プラス2年の同じ学校の専攻科へ行くのが4割いて,あと6割は大学に編入学するという形になっています。高専で奨学金を受給していても,その先へ進学する場合に予約採用制度というものがないので,また新たに学校に行ってから申し込む。
 そうするときに,移った当初,特に大学に入る場合は当然住所も変わるわけですので,大変費用負担が大きくなってくるわけでございますけれども,その辺があいてしまうといった状況がございます。高校の場合は予約採用制度がありますので,編入学と入学ということで,もしかしたらちょっと漏れたのかもしれませんけれども,是非その辺も目を配っていただければ大変有り難いなと思っております。これが二つ目でございます。
 それから,3番目は,これはほかでも出ていたかもしれませんが,実は奨学金の貸与基準について学力の基準はございますが,どうしても経済的に恵まれていない学生が学力を上げていくというのは,イコールではないですが,かなり厳しい面がございます。そういった場合で,奨学金を受給できない場合に,実情は先ほど申し上げた状況の中でアルバイトをやっているといったことになってまいります。そうすると,また更に学力的にはなかなか上がっていかないというような形になってきまして,この辺も,できればその辺の基準についても御配慮いただければ有り難いなということでございます。
 以上,高専について制度の特殊性のあるところがあると思いますが,バランス面であるとか,充実について御検討,御配慮いただければ有り難いと思います。よろしくお願いいたします。
【小林主査】  どうもありがとうございました。
 ただいまの高専機構の方からの御意見について,御質問,御意見等ございましたら,お願いいたします。
 では,私の方から先にお伺いしますが,確かに編入学する場合に予約制がないというのは確かに大きな問題だろうとは思いますけれども,それについて日本学生支援機構なり,事務局の方でも結構ですけれども,これはかなり制度的な問題ですので,これは比較的簡単に変えられるようなことなのかどうかということについてお伺いしたいのですけれども,どちらからでも結構ですが,いかがでしょうか。
【田中課長補佐】  よろしいですか。こちらについては,恐らく貸与の基準のところ,対象のところに絡みますので,省令の改正が必要になってくるだろうと考えております。
【小林主査】  省令レベルで。ただ,改正自体は,例えばこちらで検討して,こういう制度的な改正が必要だということであれば,検討していくということになるのですか。
【田中課長補佐】  そうですね。議論全体の流れも考慮する必要がありますけれども,検討は必要かなと思います。
【小林主査】  もちろん,ほかの委員の方の御意見もお伺いしなければいけないのですけれども,どの程度の改正になりますか。
【田中課長補佐】  基本としては恐らく省令の改正が必要です。
【小林主査】  省令のレベルということですね。分かりました。
【樋口委員】  今の1枚目のこの分布を見ますと,高校生のいる世帯と比べてやっぱり低所得の人たちが多いということはよく分かりました。今,実際に貸与で奨学金をもらっている人たちの親の分布というのはどんな状況なのでしょうか。
【国立高等専門学校機構(上月)】  貸与をもらっている学生たちの所得分布ということですね。
【樋口委員】  はい。
【国立高等専門学校機構(上月)】  今持っていませんので後ほど出させていただいて。
【樋口委員】  ああ,そうですか。はい。それが例えば高校とか,あるいは大学とどう違っているのかなと。それによって相対的にどうかという議論かなと思いますので。
【国立高等専門学校機構(上月)】  はい。
【小林主査】  おっしゃるとおりだと思いますが,エヴィデンスの問題ですけれども,高校生について所得階層別で受給率というのは全体として,日本全国で押さえているというのはないのではないかと思いますけれども,いかがですか。つまり,都道府県に移管してしまった関係上,JASSOの方でそれは押さえられているのでしょうか。例えば申請時の所得がありますね。それに対して樋口委員が言われたように所得分布を出せるはずですが,それはJASSOとしてデータはお持ちですか。
【徳久理事長代理】  高校生のものは持っていない。
【小林主査】  高校生はやっぱりないですか。これはそれぞれ各都道府県が持っているということなのでしょうか。
【樋口委員】  それなしに議論をなさっているんですか。どういう世帯がもらっているのかという。
【小林主査】  いや,結局,高等教育については全部分かるのですが。
【樋口委員】  ええ。高校もですね。
【小林主査】  初中等教育の方については完全に都道府県に移管している関係で,多分,そちらでやられているということになっている。
【渡辺課長】  JASSOの予約採用を申請した学生さんたちの保護者の所得分布のデータは当然あります。ただ,それは3年生ですね。だから,1年生,2年生,まあ,そんなに大きな差はないとは思うんですけれども,ただ,それはあくまでもJASSOの奨学金の申請をしてきた生徒さんの保護者の年収です。
【樋口委員】  大学についてはあるわけですよね。こういう親の。よく奨学金の批判として,必ずしも貧しい家に行っていないのではないかという批判が片方であったと思うのですが,それに対するプルーフというか,エヴィデンスというのは用意しておく必要があるだろうとは思うのですが。
【小林主査】  おっしゃるとおりで,高専と,それから,大学,短大に関しては,それぞれ基礎調査,学生生活調査というのがありまして,サンプル調査ですけれども,それでもかなり,2年に一度やっておりまして,奨学金受給者とそれ以外の人の所得分布というのは,それなりに分かるようにはできています。
 それから,今言われた問題ですけれども,先ほど少しありましたように認定所得というのがあります。例えば1,000万円超えてもほかに在学中の兄弟,姉妹がいるとか,そういうことで認定所得が下がりますので,結果としては1,000万円超えているというような高額所得層であっても基準に合えば奨学金を受給しているということになります。そのあたりは財政審等でも話が出ていますので,それについては十分こちらの側でもきちんとしたエヴィデンスを出していくことが必要だろうと思っております。
 どうぞ。
【田中課長補佐】  今の家庭の所得階層別の奨学金の受給状況ですけれども,JASSOの平成22年度学生生活調査によりますと,大学の昼間部については,300万円以下の階層であれば80.5%が奨学金を受給しています。これが900万円以上になると29.3%が奨学金を受給しています。以上のように,簡単に言うと,低世帯の方が受給している傾向が高いというのは出てくるところでありますが,いずれにせよ,ここのデータもまたお出ししたいと思います。
【小林主査】  そうですね。是非出してください。
【田中課長補佐】  はい。
【小林主査】  どうぞ。
【国立高等専門学校機構(上月)】  すみません,補足,いいですか。
【小林主査】  はい。どうぞ。
【国立高等専門学校機構(上月)】  データをまた御趣旨に沿って,あるものは調べていきたい,整理したいと思います。1番のところは,実は広域化しているんですね。最近,子供の数が減っていることもあって,より広域化しています。高専に通う学生。それで,通っている学生の問題と,実は遠方から来る場合に,希望はしているんだけれども諦めるパターンが出ているということなんです。つまり,月三,四万かかってしまうということについて,親が二の足を踏んでしまうという現象が出てきているというこの二つの両面があるので,入っている学生ではなくて,その背景となる層の問題もあるということが1点です。
 それから,2番目の先ほどのお願いは,高校生と高専生,これはまさしく運用の問題なので。財政そのものに影響を与えるというよりも。最終的にはやっぱりお願いして奨学金をもらうという可能性を持った学生たちなので,できれば運用についてはバランスをとって御配慮いただければ有り難いなという話でございます。
【小林主査】  諦めている方ということですけれども,私の方でも同じような調査をやって,どの程度の方が申告を断念しているのかということは見ているのですけれども,ただ,高専とか,そこまで細かくではなくて進学ということで見ています。それについて何かエヴィデンスといいますか,ケースは多分お聞きになっているとは思いますけれども,これくらいの数の人が諦めているということが分かるとまた規模的に,この程度の支援が必要だということが分かりますので,もし何かがございましたらお願いいたしたいと思います。
【田中課長補佐】  はい。
【小林主査】  どうぞ。
【渡辺課長】  確認ですけれども,御紹介いただいた資料の2ページ目の1.の第一種奨学金の拡充のところで,特にここでは1年生から3年生の自宅外の第一種奨学金が1万円から又は2万2,500円ということが記載されています。これ,4年生,5年生は多いんですけれども,これは1年から3年生についてという,そういう御趣旨ですね。
【国立高等専門学校機構(上月)】  はい。そういうことです。
【渡辺課長】  1点補足なんですけれども,2.の方で先ほど御提言いただいた予約採用と在学採用なのですけれども,今現在,第一種,第二種を合わせますと奨学金貸与を希望する学生さんには,基本的には全て奨学金の貸与という状態でございます。もちろん第一種奨学金の方がより高い成績の要件等がありますので,完全には第一種を希望される方には貸与できていないという状況があるんですけれども。ただ,一方で,実は予約採用の方が,そういった意味で言いますと,より条件としては厳しくて,予約採用段階では大体6割ぐらいですかね。
【月岡理事】  人数的に言うと20万人ぐらい申請があって,10万以上が予約の段階では採用されない。一種の場合ですね。そういう状況になっています。
【渡辺課長】  ですから,必ずしも予約の方ができても,そこで救われるということでは必ずしもないような場合もあるかもしれませんけれども,そういうことも含めてどういうことが一番良いのかということをまた別途御相談させていただきます。
【国立高等専門学校機構(上月)】  そうですね。はい。
【小林主査】  どうぞ。
【奥舎委員】  お聞きしていいですか。私,初めてなので高専の方にお聞きしたいのですけれども,民間の奨学金がありますね。これは高専全体で調整されているんでしょうか。各高専別にそれぞれ企業がされているとか。
【国立高等専門学校機構(上月)】  高専ごとにその地域で企業体だったり,自治体だったり,受けているものが多いです。全体,機構でもらって機構でやってというのではなくて。
【奥舎委員】  なくて。
【国立高等専門学校機構(上月)】  元々高専というのが個別国立高専で成り立ったという時代が40年あったわけです。その後に機構という一つにまとめたので,各地域の中でそういう篤志家がいて,あるいは企業なり自治体がそういうのを設けて,数的には非常に少ないですけれども出しているというものが多いです。
【奥舎委員】  そうした場合,例えば太平洋のベルト地帯,工業地帯の企業が多いところの高等専門学校は,そういうことが多くなることですわね,企業的に。そういうことではないんですか。
【国立高等専門学校機構(上月)】  データ的に,太平洋ベルト地帯がそもそもそういうのが多いのかどうかまで,今すぐつぶさには言えないですけれども。
【奥舎委員】  高専別にどのぐらいの民間からの寄附金があるというのは,データはあるんですか。
【国立高等専門学校機構(上月)】  一定あります。じゃあ,それをちょっと整理して。
【奥舎委員】  お見せいただければ,参考にさせていただきたいと思いますが。
【国立高等専門学校機構(上月)】  ええ。後ほどお出ししたいと思います。
【奥舎委員】  それと,企業によって額が違うとか,みんなばらばら。
【国立高等専門学校機構(上月)】  ばらばらですね。
【奥舎委員】  ばらばらですか。
【国立高等専門学校機構(上月)】  ええ,ばらばらです。
【奥舎委員】  そうすると,高等専門学校に行かれる学生さんは地域によって差が出てくる。民間からの奨学金を受給するのに。
【国立高等専門学校機構(上月)】  それはどうしても違いますよね。そういう地域性によって。
【奥舎委員】  高専の大学の理事の方というか,学校を運営されている方が決定されるわけ。
【国立高等専門学校機構(上月)】  いやいや,それは高専の場合,元々成り立ちが地方の企業からかなり積極的に作ってくれという,背景を持って設立されたところが非常に多いんですね。ですから,いろいろな意味で高専教育を応援しようというのがいろいろな形であります。その中の一つとして,じゃあ,困っている学生には多少なりとも生活的な支援をしようかというのもあるということでございます。それ以外にもいろいろな支援があって,教育上にいろいろな講師で来たりとか,あるいはもちろん卒業者を採用するとか,非常に地元企業との結び付きが強いのが一つの高専の特色になっております。
【小林主査】  どうぞ。
【月岡理事】  予約のことについて補足です。25年度の予約採用は,この4月に採用するという高校生から大学等への進学について,昨年行いましたけれども,適格者が18万人ぐらいおりまして,そのうち予約採用の候補者となった者が約7万人弱というところです。3人に1人ぐらいの決定率となってございます。これをもう少し上げていきたいと考えて,概算要求の枠の中でもございますけれども,上げていきたいと考えておりますけれども。
【小林主査】  ありがとうございました。
 松本委員,どうぞ。
【松本委員】  高専について,今まで勉強不足で余り実情を知らなかったのですが,私が聞いておりましたのは,企業の採用からの見方として,高専の学生さんのレベル,意欲,そういうものは非常に各企業とも高く評価されていたということです。ただし,今の世の中全体の流れは4年制大学に全てが流れていく。これはこれでよろしいのですが,そういう中でやっぱり高専の位置付けというのがこれからのいろいろなキャリア教育とか,あるいはもっと大げさに言うと,今よく言われる成長戦略とか,そういう中での位置付けがもう少しハイライトされてもいいのではないかなと。
 そういう意味で今日のレポートをお聞きしていたのですが,一つ一ついろいろな細かい点はありますけれども,高専の応援演説ではないのですが,是非やっぱりここで高専の問題について検討することが,今日の御指摘の中でもたくさんあったかなと。金額のレベルの問題ですとか,免除の問題ですとかいろいろあると思うのですけれども,そんな感想をお聞きして思いました。一言申し上げます。
【小林主査】  よろしいでしょうか。これも確認なのですけれども,確かに自宅外の学生で一種の金額は少ないというのはこのとおりだと思いますけれども,逆を申しますと自宅生でもかなり足りないのではないかと思います。そのことについては特に触れられていないのですが。
【国立高等専門学校機構(上月)】  もちろん自宅から通っていてもそういう学生もいますし,奨学金をもらっていますし,それは今でも少ない場合もあるかもしれませんが,一番分かりやすいのはこのパターンなのかなと思ってお出ししました。
【小林主査】  はい。そういう意味でですね。
【国立高等専門学校機構(上月)】  はい。
【小林主査】  分かりました。ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
【月岡理事】  今の高専の月額ですけれども,自宅外のことをおっしゃっていましたけれども,自宅については1万円か2万1,000円かの選択で,自宅外が1万円と2万2,500円と1,500円しか違わない。そういう状況になっているのではないかと思います。
【樋口委員】  奨学金のほかに,これは民間の金融機関も含めたいろいろなローンがありますし,また,政策金融としてもやっているところだと思うのですが,そういうのを合わせた調査というのを,どういう人がどういうふうに利用しているかとかというのは調べていらっしゃるんですか。
【国立高等専門学校機構(上月)】  先ほどのいろいろな支給の前に給付する支援もあれば,貸与するものもあれば,いろいろなパターンがあるんですね。それで,出す主体も,先ほど少し申し上げましたけれども,企業体のような,あるいは篤志家のようなものから自治体のものまでいろいろあるので,データを整理して後ほど出させていただければと思います。
【樋口委員】  そうですか。はい。よろしくお願いします。
【小林主査】  よろしくお願いします。非常にいい機会だと思いますので,是非高専の実態を社会に広く周知していただくためにも,よろしくお願いいたします。
【国立高等専門学校機構(上月)】  はい。ありがとうございます。
【小林主査】  では,よろしいでしょうか。それでは,どうもありがとうございました。
【国立高等専門学校機構(上月)】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【小林主査】  今日は3団体の方からヒアリングを行ったわけですけれども,残された時間,今のヒアリングを含めまして,それから,これまでの審議を含めまして御意見等を自由にお伺いしたいと思いますけれども,その前に前回会議で各種のデータの提供をお願いしておりましたが,それを受けまして配付された参考資料につきまして,少し事務局の方から御説明をお願いいたします。
【田中課長補佐】  お手元に参考資料1,2ということで公立大学の授業料減免事業の概要,それから,国立大学の授業料減免事業の基準についてということでお配りさせていただきました。まず,公立大学の授業料減免事業の概要でございますが,これは先ほど来,大分お話をされていたところでありますが,まず基本的なところから少し御説明させていただこうかと思います。左側,意義のところの丸の一つ目でございます。公立大学における国からの授業料減免措置については,地方財政措置を通じて支援を実施と書かれております。
 そもそも地方財政措置というものの考え方ですけれども,御案内の方も多いかとは思いますが御説明させていただきますと,基本的には収支差補助ということでございます。「収」の方は,いわゆる税収,地方税の税収ということでございます。「支」,支出の方は,いわゆる基準財政需要額というものを総務省の方で全て計算をいたします。例えば学校を一つ作ったら先生何人とか,そういうのを全て計算式の基で成り立たせる。図書館一つであれば司書が何人,それから,蔵書購入冊数,何冊幾らというのを全て算出するのですけれども,公立大学についても同じ考え方でございまして,研究費等の支出,それから,授業料収入ということで収支を出した上で必要な経費というものを積んでいるということでございますが,その丸の二つ目のところに関連します。
 この地方交付税の算定に当たってということで,公立大学で一体幾らかかるのかという需要額の算定に当たって,実際の公立大学の方に入ってくる収入の面で,授業料収入が一応,積算されておりますが,そのうちの11.5%分については授業料減免だということで,これは積算上,収入から除いている。そういうようになってございます。そういった形で積算上は,11.5%分は授業料減免分だというふうに考えるということでありますが,実態のところは,先ほど来お話がありましたように,結局,交付税についてはひも付きではない,補助金ではないので,各地方自治体の判断でそこは自由に使えるということであります。本来は11.5%分だったはずなのが,どうも数字が少ないというのも地方自治体の判断でということになろうかと考えてございます。
 その右のところでございますが,24年度の実績ということについては,ここに記載のとおりであります。実績額は約35億円,免除数は約1.1万人ということであります。トレンドといたしましては免除対象者,それから,免除実績額も基本的には右肩の方で上がっているという形になっております。また,下の方に移ります。公立大学の授業料減免の基準例ということで,ここはサンプルということで二つほどお示しさせていただきました。基本的な考え方としては,公立大学法人,自治体がそれぞれ独自に規定している。ただ,おおむね生活扶助基準であったり,あるいは日本学生支援機構の審査基準だったり,国立大学の免除基準等,国立大学法人の前の,いわゆる国立大学だった時代の基準をそのまま準用しているといったものでありますが,そういったものを総合的に判断している場合が多いというものでございます。
 A大学ということでありますが,まず一定の家計基準ということで,「授業料免除選考基準の運用について」という以前の文部科学省の高等局長通知に,詳細に収入基準等定めておりますが,これを満たしているということ。二つ目といたしましては一定の成績基準,GPAは原則2.1以上,あるいは単位数,特別な理由なく留年していないことを満たすといったような基準を定めています。3番目といたしましては,奨学金を受給していることということでありますが,これは先ほど御議論の中にありましたけれども,まず自助努力をして,ほかから奨学金を頂いた上で,それでもまだなお足りないというのであればサポートしましょうと,そういうような考え方でということで定められているものというふうに承知しております。
 続いてB大学の方でございますが,これについてもまず一つ目としましては,まず,各学部・研究科から推薦された成績優秀者で一定の家計の基準を満たす者。また,同じような被推薦者でも全額の免除が受けられなかった場合には困窮度が高い者から順に免除額の範囲内で半額免除というようなことを定めているというところであります。これが公立大学の授業料減免事業の概要ということであります。
 続いて1枚おめくりいただきまして,国立大学の授業料減免事業の基準についてです。国立大学の授業料減免については,先ほど少し御覧を頂いたと思いますが,本日,机上配付の資料の中で粗方のものはお示しさせていただいております。具体的には,この黄色いファイルの資料の中に11ページになりますが,以前お示しさせていただいたものをベースにした上で,また具体の基準例ということで今回お示しさせていただきました。こちらについても2大学,A大学,B大学ということで,典型的なものとをこちらでピックアップをしております。
 まず,一つ目,A大学についてでありますが,まずは経済的理由によって授業料納付が困難,かつ学業成績が優秀と認められる場合ということです。具体的な家計基準,あるいは学業の基準でありますが,家計基準については,こちらについては,まずは給与収入が692万円以下。これはシミュレーションといたしまして,学部学生で4人世帯で,本人は自宅外通学で,兄弟に公立高校生の自宅通学者が1名いるというモデルのケースであります。学力基準については,学部等で定める標準修得単位数を修得した者で,こちらもGPAについては2.0以上の者というものであります。これが一つ目。
もう一つでございますが,これはいわゆる緊急対応でありますが,学生の学資を主として負担している者が死亡した場合,あるいは風水害等の災害を受けた場合ということ,これを基準として定めているというものが一つであります。
 続いてもう一つの大学の例でありますが,こちらも(1)のところについては家計の基準,それから,学業優秀ということで,学力基準を定めているものであります。家計の基準については521万円以下。シミュレーションのモデルのケースとして学部学生で4人世帯,本人は自宅外通学で公立高校生の自宅通学兄弟が1人いるケースで半額免除というような場合であります。学力基準については,各学年で異なるけれども,学部については入学時は基本全員適格者とした上で,学部の2年からについては「優」の単位数と「良」の単位数を合算したものが,「可」の単位数プラス10単位よりも多い場合ということで基準を定めているというものでございます。それと二つ目といたしましては,主として家計を支えている者が風水害等の災害を受けた場合というようなケースについて認めるというものでございます。
 すみません,早口になりましたけれども,説明は以上でございます。
【小林主査】  ありがとうございました。
 今の資料について特に御質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それも含めまして,あと残された時間で御意見を伺いたいと思います。特に今日のヒアリングを受けてでもこれまでの審議経過を踏まえても結構ですが,いかがでしょうか。どうぞ。
【相川委員】  保護者の立場から考えてみたときに,国立,公立,高専という形でいろいろ仕組みも当然違いますし,ただ,公平に子供たちが学ぶということを支援していくといったときに,これほど違いがあるんだなというのを今回は再認識させていただきました。高校の授業料の無償化に所得制限が付きましたけれども,例えば高専5年という中で1から3年のところは高校生という扱いで考えた場合に,授業料無償化の生徒と合わせて考えることはできないものなのだろうかとか。公立と国立の場合は,公立の場合の地方交付税の算定における授業料収入の11.5%のこの開きが余りにも地域間,自治体での開きがあるというところを容認――容認と言ったら変ですけれども,この開きはある程度規制的なものがかけられないものなのかどうか。
 ひも付きでないから,地方交付税だから自治体によって優先順位があってということは分かるのですけれども,ここでもまた学生の格差が出ているというような,子供たちが上に進んで学んでいこうとする意欲を削がないためにも,是非ここは整理をしていただいて格差のない形での支援という策はないものなのかなというふうに,今回,説明を,ヒアリングを受けてとても感じました。
【小林主査】  ありがとうございます。
 今日はまだ私立大学と,それから,専門学校,専修学校の方は聞いていませんが,それはまた違う形になっていると思いますので,本当にそういう意味では全部違います。ですから,そのあたりのことは非常に大きな問題だろうと思っております。是非ほかの委員の方からも一言ずつお願いできればと思うのですが。どうぞ。
【奥舎委員】  相川委員さんが言われたとおり,すごく感じるわけですが,国の方から一定の基準とか,指示とか,要請とかいうのができるのかな。法的には無理かなと思っているんですよ。理由は自治体行政の大学に,国が地方自治に介入していくような,言葉は悪いですけれども,そんなことにもなるのかなと感じたりもしますし,一定のこの公立大学に対する指針が要請とか,そういうぐらいならできるのかも分かりませんが。それが可能なら教育の機会均等を思いますのでお願いしたいと思いますが,ちょっと無理かなと,私自身よく分かりません。そう思います。
【小林主査】  確かにその面も考えなければいけないので難しい問題だろうとは思いますけれども,国と地方の役割分担とか関係,そのあたりをどのように考えていくかという問題だろうと思います。
 ちょうど順番になりましたので濱田先生,いかがですか。
【濱田委員】  ちょっと声が出なくて,申し訳ありません。
【小林主査】  すみません。では,樋口先生,いかがでしょうか。
【樋口委員】  今,おふたりのお話しになったことと私も全く同じようなことを考えていまして,特に公立大学の場合には,それぞれの自治体の趣旨に添った形で設立もされ,また,運営も,そしてまた人材の育成もというようなことになっていると思うんですね。そこに対して,逆に今度は日本学生支援機構とかという共通のものが入ってきたときの在り方というのは,どのように考えたらいいのだろうなと。全く同じというのもおかしいですし,同じ制度を適用するというのもどうかなと思うところもありますが,それぞれの自治体の考えに沿って,例えばこういう学生に奨学金を出したいというような基準を設置することが果たしていいのかどうか,まさに自治体と国との関係がそこにどう関与してくるのかなという。
 今日のお話は私立がなかったですから,そこへまた私立が入ってきたときに更に複雑な議論が起こってくるだろうというようなところで,独立性と,一方においてこういった支援の公平性というようなものの難しさというのを痛感しました。余り差が大きくても困りますし,しかし,だからといってそれぞれの設置体の趣旨にやっぱりかなうような基準というのもなければ困るかなというところがあって,ここはどう考えたらいいのかなという。唯一は,出た後どうなっているんだろうと。卒業した後,これについては共通にいろいろ調べられると思うんですね。例えばそういった自治体がやっているところというのは,やっぱり自治体のためになっているのかとかいうようなことというのは,基準に,比較の対象に入ってくるだろうと思いますので,フォローアップを是非,卒業した後やっていただくと何かの論拠になるかもしれないと思いました。
【小林主査】  これもなかなか統一した,実は労働市場の調査がないのです。そこがなかなか痛いところです。
【樋口委員】  是非そこはですね。
【小林主査】  今後,確かにそれも必要だろうと思います。
【樋口委員】  そうなんです。それぞれの大学,あるいは機関ではやっているのかもしれないのですけれども,それが比較できるような形って出てこないと。
【小林主査】  出てこないですね。
【樋口委員】  これは議論にならないと思うんですね。
【小林主査】  ええ,そうです。それはおっしゃるとおりです。特に専門学校は卒業の状況調査自体がないですから非常に難しいと思いますけれども,松本委員,いかがでしょうか。
【松本委員】  教育機関ごとに多様性があるのは,それぞれの設置目的からして当たり前なことなので,そこでいろいろな経済的支援の在り方などもいろいろな違いはあっても当然だろうとは思うのですけれども,それがそこで学ぶ学生にとってやっぱり不公平であるのは,許されないのだろうなと思うわけです。今日お聞きしていて,それぞれ各3教育機関とも私はなるほど,そういう問題があるのだと。こういう対応をすればいいのだというような幾つかのヒントはあったかと思いますので,結局,「これだ」というのはなかなかないでしょうから,引き続き,今あるものを修正し,是正し,あるいは新しいものを少々導入してみるとか,そういうことでもって対応するしかないのかなとは感じました。感想ですけれども。
【小林主査】  そうですね。確かにこうやってヒアリングをやっていますと,実態がよく分かるだけに逆に難しいというのもよく分かってしまうところがあるのですけれども。例えば諸外国の例を参考に少し申し上げますと,アメリカの場合には連邦政府の役割は,実は連邦奨学金の支給があります。ただ,これは高等教育自体は州政府の責任ですから,州政府がやっていることとは別に全く全国統一の枠組みで連邦奨学金をやっているという,そういう性格を持っているわけで,これ,一つヒントになるかなというような気がいたします。つまり,国の事業とそれぞれの地方自治体の事業というのは,全く別の形で行われているということですね。
 これは実は大体の国がそうではないかと思いますけれども,ドイツにおいても連邦制ですけれども,奨学金枠組みを全部連邦として共通のものでやっておりますし,イギリスについても4か国で違いますけれども,例えばイングランドは共通でやっております。大学自体は非常に独立性が高いので,大学独自の奨学金というのもかなり裁量権を持ってやれるのですけれども,それとは別にやはり政府の奨学金というのがあります。地方と国の両方が関われるというのがもちろん一番いいとは思いますので,そういうことも検討の対象になるのかなというような気はいたします。それが1点ですね。
 それから,今日,高専とか,私たち認識不足のところがたくさんあるとは思いますけれども,逆に言いますと,なかなか専門学校,あるいは高等専門学校の御意見を伺う機会がないし,情報もあまり発信されていないのではないかと思います。もちろんそれぞれの団体は一生懸命やられていると思うのですけれども,ここのテーマになりました情報のギャップといいますか,そういった問題もかなり大きくて,今日お話を聞いていても高専を選択しようという方が,本人なり保護者の方が十分に情報を持っているかどうかというのは,私,疑問に感じたようなところもあります。そのあたりの情報提供で,もう少し何かできることがあるのではないかということを感じました。
 私の感想はそんなところなのですが,ほかに皆さんいかがでしょうか。
【樋口委員】  多分,連邦政府が例えばアメリカあたりでやる場合に,学校割当て,大学割当てというのはしないで……。
【小林主査】  しないです。
【樋口委員】  むしろ入る前のところでイコールフィッティングにして。
【小林主査】  ええ,そうです。はい。
【樋口委員】  あとどこに行くかは本人の選択という形だと思うんです。
【小林主査】  そうです。はい。全くそのとおり。
【樋口委員】  そこがこの制度を考えていくときに,今ですと割と大学で何人というような,こういった,あるいは高専何人という割当てですよね。
【小林主査】  ええ。この枠自体も日本でかなり独自な仕組みだと思うんですけれども,先ほど申し上げましたように,実は授業料減免額が余っているというようなところもあるということになると,実はかなり市場的に動いていないといいますか,割当制の問題点が出てきてしまっていますので,そのあたりも検討課題になるのかなという気はいたします。
 ほかにいかがでしょうか。次回以降もしばらくこういう形でヒアリングを続けていきます。いろいろな論点が出ていますので,また事務局と相談しまして整理させていただいて,引き続き来年以降またこういった形でヒアリングを続けていきたいと思っております。様々な意見が出ておりますので,まとめるのは大変だと思いますが,何とか頑張ってやりたいと思います。今年は今回が最後になります。委員の皆様,それから,関係者の皆様,長い間,ありがとうございました。また来年,よろしくお願いいたします。ありがとうございました。では,事務局から,来年の予定をお知らせください。
【田中課長補佐】  来年以降の話でございますが,資料の4を御覧いただければと思います。現在,鋭意調整中ではございますが,次回の検討会は,先ほどもお話がありました私立系の団体などにヒアリングを考えておりますが,1月中旬ぐらいを予定しております。8回以降でございますが,2月上旬,あるいは3月ということで今のところ調整をしているところでございます。引き続きまた御連絡させていただきますので,何とぞよろしくお願い申し上げます。
 以上であります。
【小林主査】  では,今回の学生への経済的支援の検討会議,この辺で終了させていただきます。どうもありがとうございました。

 

―― 了 ――

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