【資料1】第3回(平成25年6月17日開催)議論の主なポイント

学生への経済的支援の在り方に関する検討会
第4回(7月29日) 資料1

学生への経済的支援の在り方に関する検討会
第3回(平成25年6月17日開催)議論の主なポイント

事務局より、議題に沿って説明。委員による自由討議を行った。主な内容は以下のとおり。


(中間まとめ案について)

  • 経済同友会では被災県の学校への支援をしているが、半数は地元で就職する。彼らのような若者が学び直す機会が以前と比較して少ない。eラーニングを充実して学び直しを進める等を中間まとめの最後の部分に記載していただきたい。
  • 非正規労働者の増加が顕著で、日本でも貧富の差が拡大している。解消する取組をしていかなければならない。
  • 日本の場合、高校段階と大学段階とで奨学金の制度が断絶している。もっと連携していかなければならない。中間組織が弱いというのも難点だ。民間奨学団体への支援も必要。
  • 中間まとめ案に児童養護施設の生徒への支援の観点を盛り込んだ点は評価できる。児童養護施設の生徒への支援に関しては経済的支援のみならず、精神的にも支援する体制が整っている必要がある。奨学金を借りる段階になると保証人のなり手がいないという問題が存在する。
  • 中間まとめ案で民間の奨学金について言及されていた点は評価できる。国の奨学金制度が貸与型なので民間の奨学金の役割は給付型であると思っている。民間奨学金団体は相互の交流が少ないので、文部科学省には民間奨学金団体により積極的な関与を期待している。給付型奨学金に関しては中間まとめ案ではまだ玉虫色であるが、引き続き検討していただきたい。
  • 民間奨学金団体からの相談を個人的によく受けていたが、文部科学省があまり関与していないのは確かだ。民間奨学金団体の相談先が必要となる。
  • 公立大学、公立短期大学には文部科学省からの授業料減免制度がなく、交付税措置があるといえども財源が明確化できていない。中間まとめ案に公立大学の問題点も盛り込んでほしい。また民間の奨学金だけでなく地方公共団体の奨学金と日本学生支援機構の奨学金との整合性についても検討すべき。これらの奨学金を併給できる場合でも厳格な基準を設ける等、奨学金の公平な分配がなされるべき。
  • 公立大学、高等専門学校、専修学校の内容は中間まとめに記載する方向でお願いしたい。各種奨学金の併給の状況は日本学生支援機構の学生生活調査である程度把握できているが、併用を禁止している学校は減少している。これは奨学金の制度設計上の大きな課題。

 (給付型奨学金と授業料減免の一元化について)

  • 学生支援における学生間の公平性という観点からは、授業料減免を給付型奨学金という形に統一していくべきではないか。その場合、給付型奨学金を授業料へ充当する方法が考えられるが、現在の授業料減免と同じように、学生本人にとっては支援を受けている実感がないという問題点が存在するので工夫すべき。
  • 無利子奨学金の拡充も必要である。財源が限られている中で何を優先すべきか考える必要がある。
  • 予算の配分を変える必要がある。給付型奨学金、授業料減免、貸与型奨学金の順番で学生にとって恩恵が大きい。これらの制度の予算配分が重要である。
  • 公立大学、公立短期大学には国による授業料減免制度が明確に整備されておらず、各自治体の裁量によって実施されているということは、世間に知られていない。大学の設置者別での差別があってはならず、大枠としての高等教育内の公平性は担保する必要がある。
  • 公立大学の授業料減免については、文部科学省からは国立大学に準拠して明確化するという方針はある。ただ地方自治体は財政状況が厳しい場合が多いので、実務上実施することは難しい。
  • 機関補助か個人補助かという視点が重要。機関補助は設置者別で異なるが、個人補助は学生に公平な制度であるべき。給付型奨学金の実施にあたっては、高等教育機関に支援枠を割り振るのか、学生本人を評価して個人単位で支援をするのかという実務上の論点も存在する。各大学は成り立ちが異なるため、機関補助の一元化、国私立大学授業料減免の一元化は難しいのではないか。授業料減免の財源を吸収して、個人補助へ一元化することも時間がかかるのではないか。(事務局)
  • 授業料減免から給付型奨学金という方向性は理解が得られるのではないか。
  • 授業料減免より学生の感謝の念が生まれやすく社会への還元の意識を持たせる給付型奨学金の方がよい。

 (手数料の徴収の導入について)

  • 互助会的な仕組み、具体的には学生から手数料を徴収するという仕組みが考えられないか。
  • 過去に検討はしたことがあるものの、困難であった。手数料をとるということはなじみにくいのではないか。
  • 手数料という考え方を学生が受け止められるのかが問題。
  • 手数料をとるという方法は、給付型奨学金を導入する際の社会への説明力にはなるのかもしれない。
  • 学生が後で恩恵を感じられるならば手数料を導入してもよいのかもしれない。
  • 手数料の徴収の導入は今後の検討課題としたい。

 (社会人の学び直し支援について)

  • 社会人の学び直しに関してはまだ議論が及んでいない。日本における社会人の大学での学び直しはキャリアアップにつながらず、インセンティブが欠けている。
  • 日本のビジネススクール、ロースクールは卒業しても社会では役に立たない。経済的支援の議論よりも、教授する内容を見直すべき。
  • 現政権下では社会人の学び直しについて議論を進めてきており、奨学金に限らず様々な取組を組み合わせて学び直しを支援していくこととしている。(事務局)

 (その他の論点について)


<奨学金の上限額>

  • 有利子奨学金の最高額である12万円を希望する学生はどの程度存在するのか。毎月12万円を借りると約500万円を社会人になってから返還しなければならない。300万円程度が一般的に社会人が返還できる限度ではないか。過大な借入れをしないよう大学から指導することとしているが、現実的に学生の家庭の経済状況を正確に把握することは大学にとって困難だという問題もある。
  • 奨学金の上限金額については将来的に検討していきたい。学生の家庭の経済状況の把握については、アメリカの制度がきめ細かい。家庭の経済状況の把握は困難だが、今後社会保障・税番号法の成立を受けて家計を把握できるようになると所得連動返済型奨学金制度が導入できるので解決できる。所得連動返済型奨学金制度についての具体的な制度設計は専門家の委員会で別個検討していく。

<日本人の留学支援について>

  • 現在産業競争力会議等で議論されている日本人の留学支援についても今後の検討課題として中間まとめに記述させていただきたい。(事務局)

以上

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