平成25年4月24日(水曜日) 10時~11時45分
文部科学省16F3会議室
井口、太田、奥野、川島、河田、黒田、佐藤(弘)、島、清水、杉本、鈴木、田中、福宮、両角の各委員
池田大学振興課長、松坂大学改革推進室長、山路大学振興課課長補佐
杉野国立教育政策研究所次長
開会に先立ち、文部科学省より以下のとおり挨拶等があった。
【池田課長】
文部科学省では10年にわたり、いわゆるGP事業を実施してきた。一定の成果はあったと思われるが、成果の還元や補助機関終了後の実施について不十分な点もある。また、学内や他大学への波及については厳しい意見もある。このような意識を共有し、更に大学改革を発展させるため、今後の支援策について御議論いただきたい。
その後、山路課長補佐より、事務局の紹介、資料1-1に沿った本会議の趣旨等についての説明、委員の出席状況、資料1-2に沿った事業全体像についての説明があった。
山路課長補佐より、委員長を鈴木委員、副委員長を黒田委員とすることについて提案があり、了承された。
【鈴木委員】
短期的には、本委員会の検証により、大学改革を推進するための予算措置を、長期的には大学改革支援の恒常化を推進したいと考えている。皆様の協力により意味のある会議としたい。
【黒田委員】
GP予算はとくに地方の私立大学には重要と考えている。今まで進めてきた改革を継続するためにも、予算の継続を望んでいる。
大学改革は多くの方が関心を寄せている。GP予算については何とか復活させたい。
山路課長補佐より、資料2-1、2-2、2-3、2-4、3-1、3-2に沿って、過去の取組等について概要及び論点と検証の方向性、検証の為のアンケートの実施について説明した後、以下のとおり質疑応答があった。
【河田委員】
元私立大学学長としての感想だが、GPは教員の意欲や大学の教職員の結束を高めた。地方の小中私学はGPを役立てており、仕分けの結果は「何でだ」と言った失望感を与えた。
ただ、中小私学、特に短大は経済的な余裕がなく、継続が出来ないため、事業期間終了後も継続的な支援が出来るよう希望する。
就職活動の後ろ倒しが行われるなど、過去にも増して教育の重要性が問われていることから、大学教育をきっちり行う必要がある。
【田中委員】
医学分野でもGPのインパクトはあった。とくに予算措置をきっかけに、大学間の連携が加速したことはそれまでになかった効果だと考えている。
しかし、公募から募集締切りまでの時間が短いと考えており、応募に当たってもう少し大学側に考える時間が欲しい。
【佐藤(弘)委員】
GPのような事業であっても、仕分けなど政治的に振り回されてしまうと言うことを思い知らされた。文科省と大学関係者の間には長期にわたり積み重ねられた信頼関係があり、それを瓦解させることはならない。当初の補助期間は文科省として死守することを求めたい。
また、いくつかの事業で選定委員を勤めた際、短期間で目立つ申請書を書く重要性を感じた。応募に事務の果たす役割が大きく、事務員の少ない中小私学には負担が大きいと感じた。結果、事務組織の育成が比較的進んでいない小さな組織はエントリーすらしづらくなっている。すべての組織がエントリーできる環境が大切と感じた。
【奥野委員】
公立大学として仕分けの結果は本当に残念。政策的な話や全体論を抜きにして、「ばらまき」だから、「本来業務」だから廃止すると言う議論になっていることに憤りを感じる。
文科省として、大学に対する政策をアピールできていないことが問題。
【清水委員】
奥野委員のおっしゃるとおり、事業の意義や成果を対外的にアピールできなかったことが問題。
また、本委員会における議論の対象をどうするのか。いわゆるGP事業だけにとどめるのか。この際、国公私立大学補助金全般の議論をすべきではないか。
審査のあり方についても、審査基準など改善の余地はあるため、議論すべきではないか。
【鈴木委員】
GPと言う言葉がどのような意味を持つのか自覚する必要がある。
国際的は質保証団体では、「グッドプラクティス」と言う言葉が定着している。当該団体では、グッドプラクティスを公募し、広く公表されており他の見本となっている。
これがグッドプラクティスのあり方ではないか。この考え方に戻って考える必要があるのではないか。中断することは言語道断であり、継続すべきである。
【福宮委員】
明治大学もGP事業に採択されており、改革の原動力となっている。しかし、苦労が大きいことから、本会議によって事業の普及・継続について改善したい。
【黒田委員】
金沢工業大学では、25件の取組が採択されている。すべての取組は自大学の改革の中から生まれたものであり、一つの流れの中にある。GP予算があるから応募したわけではない。補助が終了しても、自大学の予算により継続している。
審査にも参加したが、大学全体の流れとは関係なく、明らかに個人又は一部部局のみの考えで応募した取組も多数見られた。それでは補助金が途切れた際に事業も終了してしまう。
GPは大学の改革を実施する予算である。事業を実施するには、自大学の改革の流れの中に位置づける必要があり、そのためには、大学が組織的に動くことが重要である。事務と教員の連携に各大学が取り組む必要があると考えている。
金沢工業大学の取組状況については、必要に応じて取りまとめ、本会議に提出したい。
【奥野委員】
アンケートの内容によって今後の方向性が決まることから、設問はしっかり考える必要がある。個人としての取組成果ではなく、大学の取組姿勢が問える質問を入れて欲しい。
【池田課長】
そのようにさせていただく。今後、委員の先生方の意見を聞きながら調整したい。
【島委員】
アンケートの対象にGP事業に採択されていない大学等も含めるべき。
また、大学のトップとそうでない側の教員では視点が違うことから、個人レベルの教員の意識調査も必要ではないか。
さらに、新しい補助の考え方としては、補助先を全大学等とせず、制限することも考えられる。
【河田委員】
アンケートには自由記述欄も必要ではないか。
【太田委員】
事業期間の終了によって、事業が継続されなくなることは問題である。
本委員会では、数ある補助事業のうち、どこをターゲットに議論すれば良いか。
【池田課長】
検証作業についてはGP事業にとどめるが、意見まとめを出す際にはそれにとらわれず、広く検討をお願いしたいと考えている。
【鈴木委員】
大学改革実行プランとの関係はあるのか。
【池田課長】
直接の言及はないが、メリハリをつけた支援の必要性については大学改革実行プランでも言われているので、方向性は同じである。
【杉本委員】
自大学の改革の中にGPを位置づけることが必要である。そのためにはそれを支える教職員が重要である。アンケートの内容について、補助期間終了後も継続されている取組には、人材育成や人材の専門性を高める取組について聞ける内容として欲しい。
【清水委員】
アンケートでは、新しいGPに望むこと(条件や提案)を聞けるようにして欲しい。
【奥野委員】
アンケートの設問順だが、継続状況や自大学における予算措置状況ではなく、成果や効果をはじめに聞いて欲しい。
【鈴木委員】
改革を実行し続け、それが常態化すると必ずしも資金措置は必要ではなくなる(通常の事業となる)。そのようなコンセプトを持つことが必要。
【両角委員】
金沢工業大学のように、改革の流れに位置づけることが必要。それに加えて、GP予算を獲得したことによって何が可能になったのか、GP予算がなかったらできなかったことは何だったのかを確認したい。こうした費用対効果が見えにくく、仕分けの議論につながってしまった。
【井口委員】
自大学の改革はもちろんのこと、効果が学外に波及したこともGPの成果ではないか。大学間への連携や地元団体との連携も行われた。大学の取組が外に対して認知されることも必要であることから、難しいと思うが大学関係者以外がどう変わったのか、アンケートで拾えると良い。
【川島委員】
GPには予期せぬ効果もあったので、そういった二次的効果もアピールする必要がある。
GP予算を継続させることも必要だが、平成15年から情勢も変わってきており、「良い取組だったのでもう一度やりたい」という理屈は通用しない。
実行プランでも、大学を社会のエンジンと位置づけている。そのため、社会の関係の変化によりGPの継続が必要になったとのストーリーが必要。
【佐藤(弘)委員】
採択後の改革の進行状況について、GPそのものの継続状況も把握したいが、それを発展させて自大学の改革にどのように結びつけたかという問いもアンケートに入れたい。
【島委員】
特色GP、現代GPでは性格も違うため、区分けして考える必要がある。
また、次の支援がどのような大学を対象にするのか(改革が進んでいるところなのか、改革は十分ではないが潜在的な能力のある大学を育てるのか、改革が進まず苦しんでいる大学を支援するのか 等)議論する必要がある。
山路課長補佐より、資料4に沿ってスケジュールの説明があった。
杉野国立教育政策研究所次長より、本調査検討会議と連動し、大学団体等で組織する実行委員会の主催によるフォーラムを本年8月9日に開催することについて説明があった。
(以上)
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