配付資料3-1 論点の整理と検証の方向性

1.事業の成果・もたらしたものについて 

(1)効果

○個別の取組については一定の効果。「大学を動かした」と言う意味では、過去に類を見ない政策であり、意義は大きい。
○大学教育に関する世論の形成はできた。
○GPが大学の「気分」を変えたことは間違いがない。
○採択、不採択に限らず、大学改革のきっかけとなった。

(2)成功例

○GP事業によって大学改革が進行し、教育が大きく変わったと思われる大学は多数存在。そのような成功例について広く周知する必要(取組全体の概要、学内の推進体制、学生の変化、教員の変化、現在の継続状況 等)。

2.課題

(1)政策上の位置づけについて

○過去、様々なGP事業を行ってきているものの、GPの高等教育政策上の位置づけが明確ではない。(当初の「特色GP」については、実績がある取組を支援してきたが、その後、意欲的な取組を支援するようになった。)
○GPへの関わり方により、事業に関する評価は様々である。

(2)長期的な視野について(事業の継続)

○事業期間の終了後も、多くの機関が事業継続の意欲を持っているものの、過去実施された調査では、その実現のためには「補助金の継続」、「学内措置」といった、事業資金に関わる支援が課題であるとしている。
○現行の補助金では、支援期間は3年程度であり、事業の実施者は、新しい補助金(内部・外部資金)獲得のため、数年ごとに新しい見せ方を打ち出していく必要に迫られている。
○または補助期間の終了後、人員の削減など事業の縮小を余儀なくされている取組も多数見られる。
○その他、学部の改組など、予期せぬ理由により取組が終了する事例も存在。

(3)普及について

○補助期間終了後の事業継続は、ほとんどの取組で行われているとの調査結果があるものの、取組内容が公共の財産として残っていない。
○また、各大学も成果普及について必ずしも十分に実施しているわけではないのではないか。学内改革に結びついた実感も乏しい。
○採択された取組が良いものであったとしても、その取組が必ずしも(学内においても)普及していない現状がある。
○(他の大学の取組と差別化された)優れた取組が、必ずしも普及可能な取組というわけではない。
○事業終了後、学術振興会等において報告書を作成している。作成の意義については疑う余地がないが、これだけをもって普及活動を行ったとすることには疑念がある。

3.今後行うべきこと

(1)検証

○GPの光と影を検証し、何を変えるべきか把握した上で、大学の役割の重要性、国のサポートの必要を訴える必要。
○委員会として評価軸を明確にする必要。
 ・「取組が定着しているかどうか」というのは、評価する指標になる。定着している取組としていない取組の違いがわかれば問題が明らかになる。いくつか事例が必要。
○定量的に効果を示すことが出来れば一番良いが、個別事例や定性的なものでも良い。
○教育効果だけではなく、教員の意識変化、連携体制など、二次的な効果もある。

(2)新しい支援の方向性について

【支援期間】
○短期的な補助だけではなく、特に優れた取組・普及可能性のある取組については、支援期間終了後も長期的に育成するという考え方が必要。
○長期的な補助を行わない場合であっても、今後採択を行う取組に対しては、今まで以上に補助期間終了後の事業の発展・継続や普及について、明確なビジョンを持たせることが必要。
【支援の考え方】
○支援対象を、「優れた取組」とするのか、別の観点(普及可能性の大きさ 等)とするのか、検討が必要。(特色あるものは多数存在しない。また、大きく普及もしないのでは?)
・意欲的な取組を支援し続けるのか。
・補助金でコンサルタント機能を持つようなチームを作り、文科省の関与の度合いを高めてはどうか。
・既に効果が出ている取組をメニュー化し、その取組を行う大学を支援できないか。(パッケージで普及させることが難しいのであれは、構成要素ごとに分化して普及させることも一案)
・既に実績にある、コアとなる大学に、取組を普及させる役割を担ってもらうことも考えられる。

○政策上の位置づけの明確化が必要なのではないか。 

 (3)予算以外の支援方法について

○成果普及、評価の実施
 ・各大学団体においても自主的に過去の取組を検証し、成果発表、検証の場を設けることが望まれる。
○データベース(ディレクトリ)の構築
 ・何をしたら教育が良くなるのか、世の中にわかりやすく示す必要。
 ・ 「普及」といった観点で、構築することが必要。意欲のある大学の担当者は、過去の良い取組の内容を知りたいと考えている。

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