体系的なキャリア教育・職業教育の推進に向けたインターンシップの更なる充実に関する調査研究協力者会議(第1回) 議事要旨

1.日時

平成25年3月1日(金曜日)17時30分~19時30分

2.場所

文部科学省3階3F2特別会議室

3.出席者

委員

稲永委員、荻上委員、加藤委員、剣持委員、正田委員、田籠委員、続橋委員、藤村委員、古屋委員、宮川委員、吉本委員

文部科学省

山野大臣官房審議官、内藤専門教育課長、児玉専門教育課課長補佐、杉江専門教育課専門官、小栗専門教育課教育振興係長、森山学生・留学生課課長補佐

オブザーバー

吉田厚生労働省若年雇用対策室室長補佐、廣瀬経済産業省産業人材政策室総括係長

4.議事要旨

議事の概要:
(議題1~3について)
荻上委員を座長、吉本委員を座長代理に選任し、協力者会議の運営方法等について決定した後、事務局より今後の進め方等について配布資料に沿って説明。概要は以下のとおり(○:委員、●:事務局、◇:発表者)。

(議題4について)
※資料6について、委員から説明
◇法政大学は3種類のインターンシップに取り組んでいる。
◇一つ目は、各学部主催で行われているもの。約500名の学生が参加している。二つ目がキャリアセンター主催で行われているもので、単位の付与はなし。人数は少なくて、24社を対象として約40名が参加している。三つ目はキャリアセンター経由で申し込むもの。2011年度の実績で、13社71名が参加している。
◇実際、インターンシップを実施する上で大変なのは、受入企業を開拓であり、多くが教員のつてによって、企業に頼み込んで受入をお願いするという形式になっている。
◇一つ目の学部主体で行うインターンシップ参加者は484名であるが、全学で約2万8,000人の学生がいるので、割合でいうと2%程度になり、3年生が中心。キャリアセンター内には、3年生が中心で本当に教育効果があるのかという議論があり、もう少し早い時期がいいのではないかという意見もある。
◇二つ目のキャリアセンター主催のインターンシップについて、2012年度は応募が161名あり、実際にインターンシップに参加したのは40名だった。事前と事後の指導を丁寧にやろうとすると、なかなか参加人数が多くならないのが悩みである。
◇三つ目のキャリアセンターで申し込むインターンシップについて、これは、採用と非常に絡んだものになる。このインターンシップの特徴は採用を意識している点である。よって、企業に対して「2年生がインターンシップを受けたいと言っていますがどうでしょうか。」と尋ねると、断られる。「3年生を対象にしています。」という答えが多く返ってくる。
◇以前、ハイパーキャンパスという事業が、厚生労働省の補助金で行われていた。この補助期間終了後、中小企業にインターンシップで行くというのが減ってしまった。
◇学生側の問題点としては、大企業志向がとても強いこと。世間で余り名前が知られていないような中小企業に対しては、せっかくキャリアセンターの職員が開拓をしたにもかかわらず、応募者がいないということもある。また、学生の中には、インターンシップに参加しないと就職に不利だという固定概念が広がりつつある。
◇インターンシップ推進のための課題としては、就業体験を大学での正課教育とどう連携させていくのかということが挙げられる。
◇現在社会人として活躍している卒業生に会うと、もっと大学で勉強しておけばよかったという話をよく聞く。働き始めて、自分に何が足りないかがわかるということだと思う。インターンシップを経験することで学生自身が「もっと勉強しなければいけない」と感じ、学業により真剣に取り組むようになってくれれば良いと思う。インターンシップで体験したことや企業の実態について、大学の学びと結びついているのだという説明を学生にしないとインターンシップに参加させても大学教育は改善されない。

(法政大学における事例発表に対する意見等)
○社会に対する無知を学生に知らしめる、それをもって学びへの気づきとするということは、日本で最も普及している短期のインターンシップの定義に近いようなものであることに全くの同感。
◇大学を通らずにインターンシップに参加している学生を捕捉する仕組みはない。インターンシップに参加する際に、学生は保険に入るので、その数は捕捉できる。それが毎年300人から500人ぐらい。
◇実は民間企業がやっているインターンシップの中には、インターンシップという名を借りた低賃金労働の場合があり、そのような場合は、大学に相談に来るように指導している。
◇地方でのインターンシップは、その地域の出身の学生が行くことが多い。インターンシップの経費について、あくまでも学生個人で交通費などを負担している。
◇マッチングについて、いわゆる有名企業には、学生の応募が殺到する。これについては、キャリアセンターの中で職員が面接をして、本当にどういうことをしたいのか、何を求めてこのインターンシップに行きたいのか、ということを聞いて、その上で紹介をするようにしている。よって、160名の応募があっても、実際には40名ぐらいしか参加できない。
◇法政大学でインターンシップに取り組むようになったきっかけは、経営学部で実際の経営を勉強しているので、インターンシップという形を学生に提供し、体験してもらうことが必要であろうということで、学部のイニシアティブで始まった。
◇全学的に広まった契機としては、一つには、学生からの要請による。もう一つは、理事会の方針があった。理事会から「あなたの学部はインターンシップをどれくらいやっていますか」という調査があり、その結果、実施していないとなると、学部は実施しなければいけないと感じる。理事会が予算決定の権限を持っているので、インターンシップをやっておいたほうがいいという教授会の思惑がある。
◇インターンシップと採用関係について、企業の方も優秀な学生を採用したいという思惑があり、学生も志望企業に行きたいというのがあるので、インターンシップに参加し、結果的に採用につながることになってもおかしくないと思う。
◇企業というのは、コストをかければそれに見合ったリターンがあってしかるべきだと考える。
○インターンシップに係る業務について、教員の負担となっている状況が続いている印象がある。このような状況に対して、例えばキャリアセンターが、学部のインターンシップ事業とタイアップする形で一緒に何かやっていることがあるのか。
◇教員の負担を軽減するため、ビデオ教材を作った。働くようになったら、様々な問題に直面するという現実を学生に見せるためである。
◇教員にそれを配り、ぜひ講義で使ってくださいとお願いしている。そうして、大学での学びが働くようになってどういうふうに生きるかというのを理解させるようにしている。それと同時に、出前授業を実施し、休講となった講義時間に、グループディスカッションをさせる。その結果について、最後のリアクションペーパーに書かせて、その講義の先生に返す。そうすると、学生の考えがわかって、教員も少し変わっていくと思う。
◇また、教授会を回って、大学教育がいかに役に立っているか説明し、教員の皆さん方がやっていることは、決して間違っていないという訴えをすると、大変感謝されるので、いかに教員が悩んでいるかがわかる。


※資料5について、委員から説明
◇高等専門学校は、全国に国立、公立、私立あわせて57校あるが、今回、データを集めましたのは51校の国立高専。
◇インターンシップでは、現場でというのが重要であるが、実際に働いている技術者の姿をつぶさに見る。あるいは、そういう技術者に経営者がどういうふうに声をかけてくるかというのを直に見る。こういうことが非常にリアルな実感をつかむ上で大事なので、インターンシップというのが高専のカリキュラムには組み込まれている。
◇多くの高専が、キャリア教育について、初年次からステップアップするような取組を行っており、実地演習を踏まえた専門/職業観の亢進、飛躍的成長、という段階で学生をインターンシップに送り出している。
◇1年生から工場見学というのが入っており、調査旅行、工場見学、そしてインターンシップ、このように年次ごとにこの活動が入っている。
◇工場見学を自ら企画し、準備し、実施するということを学生にさせている。このような準備をした上で、インターンシップに送り出している。
◇4年生を対象として地域産業論という授業を行っている。そこでは、地域企業の社長から自身の会社の技術や経営について講義を行ってもらっている。また、東京高専の専任教員からは企業を研究するための基礎知識、技法について講義を行っている。その両方を聞いた上で、学生は当該社長の会社を訪問し、いろいろ研究して、学校に戻ってきて、教室でほかの学生や教員の前でこれを発表し、討論をするという形で授業を行う。
◇高専のインターンシップでは、51高専のほぼ全て学科専攻がやっており、全部で346学科・専攻があるが、その内337学科がやっている。参加学生数は約8,000人。ちなみに、高専は1学年全国で1万人ぐらい。約8割がインターンシップに参加していることになる。教員が企業へ1年間インターンシップに行くという制度も来年度から始める予定。
◇対象は本科の4年生で一番多い。時期は夏季休業中が一番多い。期間は、いろいろ幅があって、一番多いのが1週間から2週間未満。中には6か月近く参加しているというインターンシップもある。
◇長野高専について、これは「起業の郷・企業書生制度」として、特徴は、日常的に報酬を得ながら、企業と真剣勝負で向き合って実践的な体験学習を行うもの。
◇久留米高専は長期学外実習ということで、特徴は、毎週1日だけ企業に行くのを、4年生の後学期半年間、全部それを続ける。それで企業と社会との交わり、かかわりを経験する。
◇東京高専について、企業を訪問し、学生がその企業がどうしてそういう技術、そういう製品が売り物になっているのかということを必死に勉強して、これを今度は一般の人に説明するというインターンシップである。学生が自分で企画・広報をするというもの。
◇グローバル技術者の育成として、高専機構による海外インターンシップがある。
◇学生の主体性を促す工夫が非常に大事。受入企業の確保は、高専でも苦労している。東京高専の場合は地元の信用金庫出身の優れたコーディネーターが駆け回っていろいろ企業を集めている。
◇東京高専を支える東京高専技術懇談会というサポートグループがあり、この会員企業がインターンシップの3分の1を受け入れてくれている。地元の中小企業と、日頃から交流を図り、共同研究等をやっていて、関係づくりに非常に役に立っている。

(国立高等専門学校における事例発表に対する意見等)
○技術系のインターンシップについて、実施期間の調整を、単位認定も含めて、どうやっているのか。また、好事例として、コーディネーターが学生と企業の間に立って、企業側のニーズを聞いて、プロジェクト設計をしているものに関して、学生が落ち込んだところにメンター的に指示したり、主体性を伸ばすということは重要だと書いてあるが、実際どこまでやれているのか。
◇全体としては長期だが、1週間に1日、半日だけ行くというもので、地元で時間がかからないところに行く。実効的に長期な内容になっている。それが解決する一つの方法だと思う。
◇コーディネーターの有効性は非常に実感している。
◇信用金庫の職員等、高専をサポートする技術懇談会という組織のつながりを普段から密に連絡をとりながら、インターンシップ先を確保できるようにしている。

(議題5について)
事務局より今後の会議開催スケジュールについて、配布資料に沿って説明があった。

(以上)

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