学校法人会計基準の在り方に関する検討会(平成24年度)(第4回) 議事録

1.日時

平成24年11月7日(水曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.議題

  1. 学校法人会計基準の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

大橋委員、片山委員、桑田委員、佐野委員、鈴木委員、高橋委員、徳田委員、村山委員、森本委員、渡辺委員

文部科学省

小松私学部長、牛尾参事官、西山学校法人経営指導室長、岸本私学経営支援企画室長 ほか

5.議事録

【大橋座長】  

 それでは、第4回になります学校法人会計基準の在り方に関する検討会を始めさせていただきます。

 議事に入ります前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

【田辺専門官】 

 それでは、資料の確認をいたします。

 1番上に座席表が置いてあって、その下に議事次第があります。1枚おめくりいただくと資料の1といたしまして、前回3回目の議事録をつけさせていただいております。

 続いて、資料の2ですが、横長のA4で1枚もの、カラーになっていますけれども、財務3表についての論点比較というのが1枚入ってございます。

 それから、今度また縦長に戻って資料の3、資金収支に区分経理を導入することのメリットとデメリットを整理しています。これが1枚入ってございます。

 その後資料4として、今考えている計算書類のイメージ、現在のところのイメージを資金収支計算書が4-1で、めくっていくと4-2が資金収支内訳表です。内訳表をどうするのかという話がありましたが、内訳表、それから、事業活動計算書、現行の消費収支計算書が4-3で、事業活動計算書の事業活動内訳表が4-4、最後に4-5として貸借対照表、それから、今回、計算書類ではないのですが、4-6といたしまして、資金収支計算書の新旧を勘定科目の組替え表みたいなもののイメージ図をつくってみました。

 それから、最後に資料の5といたしまして、残りの論点です。今まで見てきた財務3表と基本金以外の学校法人会計基準の在り方について、その他論点ということで、資料の5を用意させていただいております。

 ここまでが配付資料でございまして、委員の皆様方の机の上に、机上配布資料といたしまして、学校法人経理研究会で発刊されております「学校法人」という冊子の10月号に、「学校法人会計基準の諸課題に関する検討について」意見ということで、一般社団法人大学監査協会の方から、意見出しのペーパーが出ておりましたので、これを参考として机上に配布させていただきました。

 配付資料は以上でございます。

【大橋座長】 

 ありがとうございました。よろしいでしょうか。 それでは、議事の1の学校法人会計基準の在り方についてに入りたいと思います。

 まず、財務3表についての議論の続きから始めたいと思います。きょうはそれに大方時間を費やしたいと思っています。

 それで資料の2、3、4ですけれども、これを事務局から説明していただきたいと思います。お願いします。

【田辺専門官】 

 まず、資料の2からまいります。

 資料の2、横長のカラーになっている部分でございますけれども、これは一応前回までの財務3表についての議論を整理したペーパーでございます。

 見方ですが、縦の区分が計算書類3表、資金収支、消費収支、貸借、それから事業報告書となっております。横の方の見方ですけれども、大きくまず会計基準上、私立学校振興助成法上の会計基準上をどう位置づけるのかを現行と変更という書き方、右側の方は、財務情報の公開、私立学校法に基づく閲覧義務の財務情報の公開を現状では私学部長通知でこんなふうにやっているけれども、変更後の案はこんなふうになるんじゃないかというあたり、前回までに委員の皆様方から出てきた議論を整理したところです。

 大きく意見が分かれていたかなと思われる部分について、この黄色をつけておるという見方をしていただければいいのではないかと思っております。

 まず、資金収支計算書から御説明いたします。

 資金収支計算書、一番上が法人全体、本表でございますけれども、現在、資金収支計算書については、区分経理が入っていない状態でございます。これを変更案として提示してまいったものが資金収支計算書に区分経理を入れていこう、キャッシュ・フロー計算書のように教育研究活動、施設整備活動、財務活動、その3つの活動に分けた区分経理を入れていこうという案を提示してきたところでございます。

 一方で、もう一つの意見としましては、会計基準上は現行どおりでいいのではないかという意見もあったかと思います。ゆえに両論併記の形でA、B案が2つあるよということで書かせていただきました。

 さらに、同じところを右に行って、これを公表するときに今までどうしていたかということでございますが、私学部長通知の方で参考事例として出ておるのは、資金収支計算書を区分経理なしで出しておくというのが今までどおりの扱いでございますけれども、この変更後の方の案としては、区分経理した状態で会計基準に合わせて、公表用も出していくという案になってございます。

 ここの最終的な形、外に出す形については、皆さんの意見が分かれていなかったのではないかと思います。会計基準上どう位置づけるかという部分で意見が大きく分かれていたので、会計基準の変更案のところに両案載せているという見方で御理解いただければというふうに思っております。

 次、資金収支計算書の内訳表が次の段でございますけれども、会計基準の「現在」というところ、内訳表は今2種類つくってございます。資金収支内訳表、学校別ないしは学部等レベルまで今つくっております。資金収支内訳表という見出しです。部門の内訳という意味です。

 人件費支出内訳表というのは、資金収支計算書の人件費を更に細かく、本給は幾らだと、賞与は幾らだと、給料の中身まで分けて出しているのが人件費支出内訳表でございます。レベルといたしましては、学部等単位まで作成しておるということでございます。

 それから、勘定科目の種類に関しては、資金収支内訳表の勘定科目は法人全体に比べて少し少ない部分があると、収入に関しては、学納金から借入金まででございます。調整勘定的な部分は入っておらない、資産運用関係も入っていないというのが今の収入の部です。

 支出に関しても人件費から設備までで、資産運用支出であるとか、調整勘定は入らない、そこは法人のみという整備で今まではできておるということでございます。

 こちらについても変更後の案として提示しておったのは、区分経理した上で内訳表についても現状レベルで作成するということで、B案の方は上の本表と同じですが、区分経理を入れない、今までどおりに内訳をつくりたい、区分経理はしないというのがB案だったかと思っております。

 さらに、これ公表用の方に持っていきますとどうなっているかというと、現状は資金収支計算書に関しては、法人全体のみを指定様式として参考例で出しておって、学校単位も是非出してほしいんだけれども、出す場合に関しては、補助金の交付の観点からの表示区分になっているということを注記するというようなことを書いて、私学部長通知の形で通知をしているということでございます。

 この補助金交付の観点からの表示区分というのは、内訳表をつくったときに、現行は人件費の按分基準として、1人の先生が複数部門にわたっていたときに、発令基準どおり処理をするので1つの部門に集中してしまう。補助金配分基準に合わせてそういう人件費の処理をしているわけでございますけれども、そういう特異のルールがあるということがわかった上で見てくださいねという意味で注記を残しておるということだったかと思います。

 これに関して、変更後の案でございますけれども、区分経理した上で現状レベルで公表という案と、もう一方の案としては、内訳表については現状どおりでいいのではないかという案が出ていたかと思います。

 ここまでが大きく意見が異なっていた部分ですけれども、次からの部分は前回宿題で頂いたりした部分と、前回までの部分訂正という意味でつくってみました。

 資金収支計算書について、今までは予算と決算を対比する形で、予算対比型で計算書類をつくっており、その点は会計基準上も公表用も変えないのかなということでございます。

 資金収支計算書の方の一番下に、公表用としてキャッシュ・フロー計算書の作成を推奨というのがあります。ここまで求めるかどうかは別として、現状案として提示していたのはキャッシュ・フロー計算書の作成を推奨ということでございます。

 それから、次の消費収支計算書の部分でございますけれども、消費収支計算書の会計基準上の取扱いは区分経理がない状態です。この名称を事業活動計算書に変えて、区分経理を入れるというのが前回まで出していた案だったと思います。区分経理の仕方は、大きくまず「経常」と「特別」を分けると、「経常」の中を更に「事業収支」と「事業外」に分ける、こういう案で提示していたところでございます。これは公表ベースでも、同じように考えるということでございます。

 次に、内訳表のレベルでございますけれども、今、消費収支計算書は内訳表を学校単位まで作成しておるというところで、勘定科目に関しては、当年度の収支のみ、翌年度繰越とか、基本金取崩しといった部分については、法人全体のみつくっておって、内訳表はないというルールでできておりますけれども、ここについては会計基準上の取扱いは変えない、ただ、内訳表に関しては区分経理を入れる、というところで提示していたと思います。

 公表上の扱いに関して現状では、法人単位でつくるということになっておって、学校単位は先ほどの資金収支と同じですけれども、公表を推奨するにとどまると、ただし補助金交付の観点からの表示区分になっていることを注記することで対応するというやり方にしております。この公表の仕方は特に変更がないのかなということで、説明してきたところでございます。

 消費収支計算書の方は、やはり資金収支と同様に、今も予算対比でやっていますが、これをそのままいくかどうかということです。一応今のたたき台の案としては、そのままいくという案で出させていただいてございます。公表についても同様です。

 貸借については、特に大きな変更はありません。

 最後の事業報告書のところですけれども、これは公表用だけで今作っている事業報告書ですが、今は財務3表をよりわかりやすくするためにつくられた趣旨を生かすために財務の概要として経年比較を例示したらどうかということで、私学部長通知には書かせていただいているところですけれども、例えばこれを少し踏み込んで、財務3表、経年、例えば5か年程度で、大科目レベルで掲載したらどうかということを書かせていただいたらどうかなという案を提示してみました。これを大科目レベルにしているのは、後で資料で見ますが、新しい事業活動計算書の案を小科目まで出して、詳細を出しているので、比較可能性からいえば大科目だけあった方が、経年では比較しやすいのではないかということで、事業報告書の方は大科目のみというような表記にさせていただいてございます。

 ここまでが資料の2でございます。

 資料の3で、今、資料の2で意見が大きく分かれていたというふうに申し上げましたその黄色の部分についての論点を整理するということでつくったのが資料の3でございます。

 資金収支計算書に区分経理を導入するといったときに、どんなメリットがあって、一方でどんなデメリットがあるのかということを前回までの議論を整理して書かせていただいたものでございます。

 まず、資金収支計算書全体の観点からいったときのメリットでございますけれども、1つ目、現金預金の流れを活動区分ごとに把握できる。今の資金収支ではそれぞれが1本になって、区分がない状態でございますので、活動区分ごとの把握ができるようになります。例えば教育研究活動、いわゆる本業等の部分でどの程度資金的に余剰が生み出されているのか。これを教育研究活動のキャッシュ・フローという言い方をしておりまして、財務分析などでも使われているところでございます。

 それ以外、例えば当期に施設設備の購入があったとか、施設設備の購入をするための財源が自己資金だったのか、若しくはそれが足りなかったので、財務活動で借金で調達していたとか、そんな活動がわかるのではないか。

 イメージとして、3つの区分が大体こんなふうになるだろうというのが括弧書きでつけさせていただきました。

 通常の年度であれば、教育研究活動、本業の部分の経常的なものがプラスでキャッシュ・フローが生まれておって、通常、設備なども毎年買うでしょうから、施設設備活動はキャッシュ・アウト、マイナスになっておると、財務活動の部分で過去の借入金の返済等があってマイナスになっているというのが、通常の年度のキャッシュ・フローの動きなんじゃないかなということです。

 例えば、建物を建てたときになりますと、本業の部分、教育研究活動でプラスになり、施設投資が出てきますので、当然そこはマイナスになっている。自己資金で足りない場合は、借入れをしてきますので、財務活動がプラスになるというようなお金の流れがそれぞれわかりやすくなるのではないかということでございます。

 これが、経営がだんだん厳しくなってまいりますと、最初の教育研究活動のキャッシュ・フローの部分がマイナスになってきてしまいます。まず、これによって、経営状態を把握することができます。施設活動、財務活動についても同様です。また、財務活動で資金が足りなければ、借入れを行い、プラスになる場合もあり得るだろうと考えますので、その法人の財務戦略であるとか、投資活動であるとか、経営の状態がより明確に表せるというのが一番大きなメリットではないかと思われます。

 これは単年度だけではなく、中長期的に見てもメリットになると考えられます。

 中長期的に財務計画を立てるときでも、例えば5年、10年先に施設投資をやると想定したときに、毎期学校法人の本業である教育研究活動の部でどれぐらいプラスが出ていて、そこからどれぐらい施設投資に回せるのかということが可視化されていた方が、法人にとって、中長期の財務計画の作成、中長期的な管理に役に立つのではないかということで、メリットの1つに加えてみました。

 次は、メリットというよりも比較可能性の問題ですが、ほかの公益法人、国立なども並びでつくっておるので、比較もできることになるのではないかということでございます。

 前回、委員からも発言があったように、金融機関が融資判断するときに、こういう区分経理は最低限必要だと御意見がありましたので、それもつけ加えさせていただいたところでございます。

 一方で、今の段階でデメリットとしてお話を頂いている部分といたしましては、収入支出の管理、今、資金収支計算書の一番のメリットとしては、予算管理に使われているというところがあって、その場合には収入が1列に並んでいる、支出が1列に並んでいるような総額表示の方がより便利ではないかというような意見があったのではないかと思います。また40年近くこの会計基準でやってきて、これによって予算管理をすることに慣れているという意見もあったかと思います。

 次に、区分が煩雑である、という点です。3つに区分するというときのその区分の仕方が複雑になると事務が煩雑になるのではないかという意見もあったかと思います。

 最後ですが、システム変更が必要になってくるのではないかという点です。システム変更ということになれば膨大なコストもかかってきてしまうので、それを超えるメリットがなければいけないのではないかというような意見もあったように思います。

 このあたりがデメリットとして、言われていた要素かなと思います。

 同様にこれを内訳表ベースで考えてみますと、メリットの部分は、それぞれ現金預金の流れや財務計画が法人全体だけでなく、学校・学部レベルでも把握できるようになるのではないかというところがメリットになってくるかと思います。デメリットとして言われた部分としては、資産運用とか、その他の支出、つまり現在学校単位ではなく、法人単位でつくっているようなデータは内訳表にはなく、施設整備活動や財務活動の部に数字がなくなってしまってくるので、内訳表をつくる意味が余りなくなってしまうのではないかというようなこともデメリットとして出されていたのではないかと思っております。

 最後にもう一つイメージとして、先ほどの資料に出ていただいたように、会計基準を変更しないで、外部公表用のみ区分経理を入れるという意見も出ていたかと思います。この場合のメリットといたしましては、現行の資金収支とか、システム体系での予算管理ができるということと、外部向けにはですけれども、一般にわかりやすい計算書類が公表できるというあたりをメリットとして出していただいていたのかなというふうに思います。ただ、一方でデメリットですけれども、会計基準に位置づけないということは、法的な拘束力はない、任意であるという部分があるので、その点が弱いのではないかというデメリットが考えられるというところでございます。

 このあたりが大きくメリット・デメリットを整理したものです。

 次に、資料の4でございますけれども、6種類用意させていただいておって、ざっとポイントだけお話をさせていただきますと、最初は資料の4-1資金収支計算書でございます。前回まで出していたイメージ図が大科目だけで出していた表ですので、小科目もつけてどういうイメージになるのかということをわかりやすくするために小科目まで入れて、実際に今の会計基準で使っている勘定科目のレベルで今つくっています。予算・決算対比型で(A)-(B)という形にしてございます。

 最初のページが教育研究事業活動による資金収支となっておって、収入の計があって、支出の計がある。

 その下に、利息の受取と支払があって、下から2行目ですけれども、調整勘定というものが入っております。前回まで提示していたのでは、調整勘定は本当に計算書の一番下、全部まとめて1行で表示しているという案で提示していたんですけれども、今回の案としては調整勘定を3つの活動それぞれに分けるという案で出しております。

 こうやってそれぞれの調整勘定を入れるメリットは、この資金収支計算書は飽くまで活動ベースです。4月1日から3月31日までの期間に合わせた前受金であるとか、未払金を調整した後の純粋な現金の動きではなく、当期の活動に合わせた収入、支出を把握しておるので、最終的にキャッシュの動きを見るのであれば調整勘定を入れなきゃならない、前受金であるとか、前年度前受金、未払金とか、調整勘定の部分です。それを活動ごと、教育研究活動・施設・財務それぞれの区分ごとに入れると、それぞれ3つの区分ごとにはキャッシュ・フローの流れがわかる。ただ、それぞれの勘定科目ごとは活動単位ですけれども、3区分の一番下ではキャッシュ・フローベースの金額がわかるので、情報としては有用性があるのではないかということで、3つに分けるような案で出してみたところでございます。

 これが資料4-1です。

 資料4-1と4-2を横に置いて見ていただけるとわかりやすいかと思います。4-1にあって、4-2にないものが出てまいりますので、その部分の説明をしたいと思っております。

 資料4-1の1枚目と資料4-2の1枚目を見比べていただくと、ない部分が下から2行目、調整勘定の部分です。ここがないわけですので、内訳表ベースでやったときには調整勘定がないということになります。今の決算書でも学校法人にはあって、内訳表にはないのが調整勘定ですので、そこに関しては新たな負担をお願いするものではないという案でつくってございます。

 1枚それぞれのページをめくっていただくと、施設等整備活動による資金収支という区分が入ってございます。

 最初に収入の部があって、本表の方は5行になっていますが、内訳表の方は3行になっています。上3行は一致しておりますけれども、下の2行がないというふうに見ていただければいいですが、いわゆる資産運用に関する収入、その他収入に該当するような部分に関しては、法人全体にはあるけれども、内訳表ベースにはない勘定科目ですので、そこの部分を新たに負担をお願いして、作成いただくことはないということです。

 それは支出に関しても同じです。施設・設備はあるけれども、その下の2号基本金繰入、(何)引当特定資産への繰入支出のあたりはないということが違う点です。また、調整勘定がないということは同じです。

 それが顕著に更にあらわれているのが財務活動のところでございまして、借入金の出入りのみで、細かい調整勘定、資産運用の部分は本体のみにあり、内訳はそこまで開示しない。こうすると今のままの区切りで組み替えるだけで新しい区分経理に基づいた内訳表まで恐らくつくることかできるのではないかということで、こんな案をつくってみたところでございます。

 ここまでがざっと資金収支の案です。

 続いて、旧消費収支計算書、名前を前回から事業活動計算書ということで提案させていただいている部分でございますけれども、4-3と4-4です。

 それぞれの1枚目は基本的に変わらないというか、全く一緒です。区分だけが4-3の方が予算決算対比で、4-4の方は学校単位でつくるというのが事業活動計算書、このレベルは今と同じレベルに落としています。

 次のそれぞれのページをめくっていただいて、4-3の方と4-4の方で比較していくと、違いが出てくる部分は予算対比という関係もあって、下から七、八行目ですか、予備費という概念があるかないかという部分と繰越収支の部分、当年度収支差額を出した後に、基本金組入を引いて、基本金等を組入後、当年度収支差額というふうなものを出しておるところでございますけれども、ここで内訳表の方は終わっています。法人全体の4-3の方は、前年度繰越などの増減を加えたりして貸借対照表の繰越差額と合わせるような構造になってございます。これが事業活動計算書です。

 4-5貸借対照表でございますけれども、これは前回までと変えた部分で言えば、固定資産の部分を3つに分けて、「有形」と「特定」と「その他」にしたというところが前回までに御説明したとおりですが、「特定資産の部」のところに4号基本金の意義をより高めるという観点から、それに対応する資産として2号や3号と同様に、第4号基本金引当資産というのを設けておるということで、具体的な資産を持たせるイメージでつくったところが前回と変更している部分でございます。

 ここまでが財務3表のイメージでございまして、あと1つつけ加えさせていただいた資料、これもカラーつきでありますが、資料4-6でございます。

 さっきのデメリットのところにも出てきましたが、どうしても区分が煩雑であるということをカバーするための1つのイメージといたしまして、右側が現行の資金収支計算書で左側が新しく今提案している3つの区分に分けた資金収支計算書の勘定科目の組替表みたいなもののイメージ図をつくらせていただいたものでございます。

 例えば見方としては、右側で勘定科目1番、学納金収入2,528という数字が入っておりますけれども、これは新しい基準になったとしても新番号1番、旧番号1番、学納金収入2,528で、内訳である授業料とかも同じ金額が載ってきます、同じ場合は特に金額を入れない形にしてございます。手数料も同じです。違ってくる部分についてだけ色をつけました。黄色と水色の部分が現行から組替が必要になってくる、特別な処理が必要になってくる部分という意味で色をつけさせていただきました。それ以外の科目は全部AがBに行くみたいな形で移行させることによって、簡単に移行ができるのではないかというイメージでつくったものです。

 具体的に、黄色が出てくる最初が旧の現行の方の13行目、特別寄附金収入でございますけれども、現行64という数字が入ってございます。これ左側の新の方でどこに行くかというと、同じ13行目に特別寄附金収入のうち施設とか設備に指定されていないものだけ、仮に50とします。残りの14がどこに行っているかというと、次の活動、このページの一番下です。施設等整備活動による資金収支の最初の科目、施設設備寄附金収入という2つの場所に分かれると、特別寄附金収入というのは、使途が特定された寄附金ですが、そのうち施設に使うんだよというふうに指定されたものに関しては、下の方の区分に行って、そうではないランニングコスト等に関しては、上の方に置いておく、そういった区分で考えております。

 次の補助金に関しては、経常費補助金収入の部分だけを上の区分に持ってきて、それ以外の部分を真ん中の活動の方に落としていく、そんな記入の仕方を考えております。

 あと分かれてくるのが現行右側の48行目の引当特定資産の繰入収入が、2番目の区分である施設等活動や財務活動の方にそれぞれ内訳として分かれてくる。施設にかかわる2号は真ん中だし、財務的なものは財務活動として下の方に移っていくという感じで分かれていきます。

 それ以外の部分でいうと、調整勘定の前受金とか、前年度末の未収入金とかいう水色の部分がそれぞれ左側の3つの調整勘定に収れんされて入っていくというような感じです。このような移行表をつくってできるだけ実務の負担を少なくし、ハードルを下げられればというふうに考えています。

 例えばこのように、現行のシステムどおり、右側の現行の財務諸表をつくった上で、これを最終的に成果物として出すときだけ左側のように組み替えて出していただくということでも対応がひょっとすると可能ではないかと、大きなシステム変更を伴わないのも可能性があるのではないかということで、こんな案を出していたところでございます。

 資料4までの説明を以上で終わらせていただきます。

【大橋座長】

 ありがとうございました。

 ちょっとじっくりと説明していただきましたけれども、特に資料の2は、資金収支計算書の区分経理、それについての議論を整理していただいておりますが、それは資料3のメリット・デメリットという形で整理させていただきました。このあたりから御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

 特に、前回ちょっとこれ厳しいんだというデメリットについての指摘が幾つかあったと思いますが、このメリット・デメリット、資料3あたりを基礎に御意見を伺いします。

 はい、どうぞお願します。

【佐野委員】

 盛りだくさんの御説明で、ちょっと頭の整理がつかないところもあるんですが、この資料2と3につきまして、ちょっとスタートラインのところを確認させていただきたいと思います。この資料2で会計基準の変更案と閲覧開示義務のある私学法上の変更案がありますが、メニューとしてはこれだけあるというのはわかりますが、今、文科省さんの方で御提示いただいているのは、私学法上は閲覧開示ということで、公表というお言葉とはちょっと違うと思うんですが、この閲覧開示については、これ私学法上の理事会決議、また、それと異なる計算書類、学校法人会計基準に基づく計算書類ができてもいいんだと、つまり左側のAと右側のBの組合せもあり得るという前提でお考えなのか。また、法的な整備というのは、今後なさるのか。

 たしか1回目で私学法の改正についてはお考えじゃないとか、学校法人会計基準の改正で説明責任を果たせる。若しくは今まであった補助金の公平配分にも資する。その辺を手当てするというふうに伺った気がするんですが、今回御提示いただいた、この変更案でのA対Bの組合せというのは、私学法の改正を伴わないとすれば、やっぱり推奨レベルの私学部長通知で終わってしまうのか、その辺、私学法上の理事会決議の計算書類との関係は、この上ではどういう整理をされているのかをまず、スタートとしてお伺いしたいと思います。

【田辺専門官】 

 そうですね。ここでつくったイメージは、現行は私立学校法に基づく閲覧義務の方は、私学部長通知を別途出して、用紙はあくまでも参考例として提示しているということで、特に法的な義務はないというレベルでございます。

 基本的に、これを最終的にどうするかは議論いただいた上だと思いますけれども、現状ベースは維持する形でやっていきたいと、そのときに、会計基準で示した計算書類のイメージをできればそのまま公表用に使えるというのが一番いい方式ではないかなというくらいの整理が今できているところでございます。

【大橋座長】 

 はい、どうぞお願します。

【佐野委員】 

 そうしますと、有価証券発行学校法人の財務諸表規則ができたときに、私学法の施行規則の方で、この私学法で言っている収支計算書、これの作成については、一般に公正妥当と認められる学校法人会計の基準によるという整備がされたと思うんですが、それが変わらないとすれば、今回議論している我々のこの会議でも、学校法人会計基準が改正されれば、それが私学法上で言っている収支計算書類のもとになるという整理をしてよろしいという理解でよろしいんでしょうか。

 ちょっと言い方を変えますと、このA対Bの組合せがあった場合に、その組替え等につきましての決定権というんですか、決議、そこはどこが行うのか。

 私どもの監査という立場からすると、どれが意思決定した計算書類になるのか。どれがそれなのか、監査の対象は何なのだろう、その意味も含めまして、今の私学法対助成法の計算書類のA対Bの組合せはあり得るのかというのを確認したいんです。

【田辺専門官】 

 そうですね。監査対象という意味では、飽くまで私学助成法に基づく監査をしていただいているということでございますので、左側の会計基準が一緒であることはもちろん変わらず、公表用のものを改めて監査するということはないかと思います。そのシステムは変わりません。

【佐野委員】 

 そうしますと今、私どもの方では、各学校法人が寄附行為の中で、当学校法人の会計処理については、学校法人会計基準によるということを定めているが故に、私学法上の理事会決議でもおおむねそれに従った計算書類ができていると、ただ、詳細規程がないので、注記が多少ないものが通ったとしても、科目と数字は変わらないんだという前提でやっているわけですけれども、その立ち位置は変わらないということですね。

 もし、この今拝見している資料2の左側の現行案で、区分経理した上で現状レベルで作成するんだということになって、例えば右側の閲覧開示対象の書類については、Bの現状どおりでいいんだとなった場合には、随分計算書類の見た目変わりますけれども、あくまでも閲覧開示の対象となるのは区分経理したものをイメージすればよろしいのでしょうか。

【田辺専門官】 

 基本的には、AとBのクロスというのはないのかなと、AはA、BはBなのかなという整理だと思います。

【大橋座長】 

 よろしいでしょうか。

 それでは、先ほど申しました資料の3、このあたりからお願いします。

 先ほどデメリットの話をされておりまして、結構これはきついということで、特に煩雑であるとか、システム変更が必要でコストがかかるとかというようなことが出されている。

 また、これをだれが見るのかというような御意見があったかと思いますが、その辺のところの議論からまず始めたいと思います。

 徳田委員お願いします。

【徳田委員】 

 今回かなり整理されたものとして、私も頭の中の整理が大変だと思っております。

 こういうふうに見てみますと、資金収支のこの区分別、活動別でしょうか、というのはやはりどうなのかなということもあると思います。それを内訳表まで持ってくるという、果たしていいのかなというような。法人全体として、やはりあのような形で情報公開、また御理解いただくという部分では、そこはやっぱり必要だとは思っておりますけれども、内訳表まで作成するというのは、ちょっとやはり私自身は前から申し上げているとおりですが、そのように感じております。

 内訳表をどの程度のレベルまでつくっていくかというのは、現状をやはりそれるような内訳の作成というのはやはり相当負担になっていく。それが内訳表自身がどういうふうにするかというのは、これは非常に疑問になってきます。「部門」の定義は学部単位であり、学部をベースとしない大学院、これも内訳に入ると思います。

 ですから、非常にその大学としては、非常に広い範囲、研究所もそうですし、もう広い範囲で現在やっていることは事実なので、それを考えるとこの「活動別」というのは果たして有益なものなのかどうかということで、一番最後に3番目に会計基準は変更せずに、外部公表用のみ区分経理を入れるのはどうかという一つの部分があります。メリットの方が逆に多いような気がいたします。基本的にも最小限の移行で済むのではないかと思います。デメリットとしては、先ほどお話がありましたように、法的な拘束力をどのような形にとらえていくかということについては、またあるかと思います。それはまた資料の具体的なものの中でちょっと発言させていただきたいというふうに思います。

【大橋座長】 

 ありがとうございました。

 森本委員お願いします。

【森本委員】 

 資金収支計算書の全体をこういう整理をするというのは、私はそれなりに理解します。前に言ったかと思うんですけれども、内訳表といいますのは、現在のところ、多分内部で全部を見ている人からみても、ここは俗な言葉でいうと収入が多いと承知してやっているところと、ここはもう支出が増加するのを承知してやっているところがある。だけど、そのことを一般に外部から察する人はいるにしても、公表していないので、そうすると、例えば収入が多い部分のところはいいとしても、支出の多い部分のところに対して、内部的にそこのところはやめろというようないいがかりが出てきたりする。全体を眺めれば問題はないですけれども、部分的に見たときに、いわゆる足を出しているとか、おかしいんじゃないかと言うと、今度何かちょっと内部でいろいろな問題が出てくるのかなと思います。

 大事なことは、学校をやっているときに、あるいは学校でも学会でも何でもいいです。それをやっているときに、それをやっていることによって学校法人全体としてうまくいっているのかが大事でありまして、特定のことをやったからといって、そこでいわゆる足を出しているところがあれば、すべて切りなさいと言うと、例えばそれは費用関係であっても、研究開発とすれば全部必ず採算が合うということが考えられないので、ですから、やったうちでこれだけ研究開発して、これだけ商品が上がっていませんということは、多分公表していないだろうと思うんですね。

 そして学校でも、この部分に関しては特定の学校・特定の学科・特定の研究所などに関しては、足出したまま承知でやっているのであって、それを殊更外部に出して、この研究所でこれだけの赤字を出していますということは、私は公表することじゃなくて、法人としてちゃんとできていれば、それでいいんじゃないのかなと感じはするんですけれども、だけど一般的なその情報開示という話だけ聞くと、学校のことだけじゃなくて、ほかのところがどうやっているのかというのも参考にもしなきゃいけない。その辺のところをぴたり合わせる意向ではないと思いますけれども、学校の中からいうと、部門別の公表をすることによって、いろいろな問題が起きてきて、ですから、おかしなところを全部削れみたいなことにすると、全部そこ削ったら全体がプラスに転がって単純にそういう問題じゃないようですからちょっとその辺が課題かなと思います。

【大橋座長】 

 おっしゃる懸念といいますか、課題というのはよくわかるんですけれども、それは、それぞれの学校が建学の精神というんですか、学校教育の在り方を十分議論されて、それで基本は全体として、どういうふうにバランスをとるかということをどの学校も目指していると思います。

 例えば、個々のこと言ってあれですけれども、例えば、キリスト教の学校がキリスト教研究にかなりの人とか費用を費やす。でも、それは採算合わないよねというか、さっきの言葉でいうと足が出ますよね。でも大学全体としてそれが必要だということは、大学の中でも理解を進めなきゃいけないし、対外的にも理解を進めなきゃいけない課題だと思いますけれども、それが現実に、じゃ、どこまで公表するかという、非常に今の課題になっていることが出てくると思います。

 それは内訳表で学部とか、学校ごとの資金収支表を出すとするとありますが、それはどこまで出すことができるか、出さなきゃいけないかということは、また議論しなきゃいけないと思います。

 全体として言うと、今、森本委員もおっしゃってくださったと思うんですけれども、全体として言うと、これくらいの区分経理は必要じゃないかというふうにお考えであるというふうに御理解してよろしいですか。

【森本委員】 

 はい、ありがとうございます。

【大橋座長】 

 まず、私もこれが何ていうのかな、全体とそれから内訳表で学部とか、学校ベースに同じレベルでということには厳しいだろうと、ここにもあるように、学校レベルまでいくのは厳しいだろうというふうに思いますけれども、まずは議論として、全体としての資金収支計算書は、これぐらいの区分経理はやっぱりしないといけないんじゃないか。事業活動計算書の区分経理もかなり進むようになってきていますので、それはやっぱり必要じゃないかなというふうに、同じレベル、全体ですよ。それに皆さん御異論なければ、この区分経理、内訳表ですね。そちらの議論に行きたいと、その辺まずいかがでしょうか。

 片山先生、何か。

【片山委員】 

 先生がおっしゃったように、これは2つの論点があるわけですよね。まず1つ目は、全体の資金収支計算書を現行は1区分なんだけれども、それを活動区分ごとに分けるか、それが1つですよね。ここでは現状どおりというのと、初めの方の区分の方と両方出ているので、この段階でこのまま併記というわけにはいかないと思うんですね。決める必要があります。だから、じゃ、1番目でいく。

 2番目としては、更にその内訳表をどうするかということですよね。具体的に形式が出たのは今度の検討会が初めてですよね。ですから、この内訳表について、内訳表を作成するのか、あるいは内訳表を作成するとしたら、こういう形式でいいかどうかというのは議論が必要だと思います。

 それで現行の内訳表は2種類あって、資金収支内訳表と人件費の支出内訳表がありますよね。通常ですと資金収支内訳表はつくっておりますけれども、人件費の支出内訳表のところまでは、公表しているものには出していないのが一般的なので、内訳表をつくるとしたら、資金収支の内訳表だけ出して、人件費の方は必要がない。その内訳表の形式をどうするかというのが今回御検討いただきたい2点だと思います。

【大橋座長】 

 ありがとうございます。

 桑田先生、前回この資金収支計算書には、かなり厳しい御意見だったと思うんです。率直に御意見をお願いします。

【桑田委員】 

 現行の資金収支計算書に区分経理を導入するということには、もちろん賛成ではないのですが、区分経理をした結論を見て、本業はどうなのかとか、施設設備活動はどうなのかというのは、私は各大学が個別に当然つくるべきだと考えております。

 ただ、このメリット、資料3です。資金収支計算書のメリットのところとデメリットを単純に比較すると、これに書いてあるとおり通常年度というのは、大体の大学、学校法人で本業がプラスで、施設活動がマイナスで、財務活動がマイナスという形になると思います。

 それだけの結果に対して、中長期の財務計画の作成・管理に役立つというのは、どういう意味で役立つのかよくわからないのですけれども、デメリットにある区分が煩雑であるとか、システム変更に膨大なコストがかかるという、これらのデメリットを上回るようなメリットというのは、余り私の中では見いだせないので、前回もお話ししたとおり、資料3の3番にある会計基準は変更せず、外部公表用のみ区分経理を入れるぐらいでおさめていただくと、それでも当然デメリットにある法的な拘束力がないとありますけれども、少し前進したのではないかなというふうに思っております。ちょっと雑駁な意見ですけれども。

【大橋座長】 

 ありがとうございます。

 その辺のところをこの学校法人会計のすっきりした姿としてどこまで踏み込むかということになりましょうか。

 私は、先ほど申しましたように、事業活動計算書、それから資金収支計算書が、内訳表はともかくとして、全体としてやっぱり区分表示がされない、そろっていないというのは、公表して、社会的に提示していく場合に、やっぱり具合が悪いんじゃないかなと。

 それとほかの会計、それとの対比といいますか、比較ということもあります。やっぱり学校法人会計基準というのは少しのんびりしているなというか、ずっと同じだなという、それがわかりやすい表示になっていないんじゃないかという感じがしますけれども、皆さんの御意見で何か。

【高橋委員】 

 私は、やはりこの活動区分別であるべきではないかなと思います。確かに会計基準は変更せず、外部公表のみで区分経理をするという形ですれば、その影響が小さく、目的がある程度達せられるのかもしれませんけれども、なるべくでしたらやはりおおむね一致していくべきだと思いますし、そうするとやはりその活動区分別に表示してわかりやすくする、あるいは他の会計基準と合わせていくというのが時代の流れではないかと思います。

【大橋座長】 

 ありがとうございます。

 鈴木委員、お願いします。

【鈴木委員】 

 いつも金融機関と対比した物の言い方をさせていただいていますが、かつて銀行はつぶれないという時代が長く続いたのですが、そのときに預金者は、銀行のこうした財務内容にほとんど興味を示しませんでした。ところが、金融機関であっても経営がうまくいかないとつぶれることもあるんだという前提に変わったときに、預金者の方もできるだけ安全な、財務バランスの健全な金融機関に預けようという動きがものすごい勢いで起きました。

 それを即学校経営に置きかえることは無理があるだろうとは思うんですが、ただ、学生の方がどこの学校を選ぶかというときに、今のところは、「じゃ、そこの学校の経営の財務内容はどうなんだろうか」というふうなことを考える人は余りいらっしゃらないとは思いますが、学校においても、先行き先般のような解散命令が出るような事例が多数出てきますと、おのずと学生の方々も自分がその4年間きちっと授業を受けられるのかということは、自己責任として当然ある程度のことは見極めた上で大学を選択しなきゃいけないということになるはずだし、なるべきなのではないかと思います。

 世の中の動きが一足飛びにそっちの方に動くとは、私もさすがに思っていませんが、しかし、そうした方向性にあるということは覚悟する必要があるのではないかとは思います。

 そういうふうに考えてみますと、財務内容について、どういうところに問題があって、どういうところに長所があるのかということを受験者の方々にもわかりやすく説明するということが、学校経営上の戦略面においても一つの重要なポイントになってくることもあるのではないかと思われるわけでありまして、そうした観点から考えてみますと、ある程度のコストをそこにかけるということは、それなりに学校経営の継続性についても大きな意味があるのではないかという気がいたします。

【大橋座長】 

 ありがとうございます。

 はい、お願いします。片山委員。

【片山委員】 

 デメリットの件で、区分が煩雑であると、それからコンピューターのシステムを変更するときにコストがかなりかかるということですけれども、きょうの資料4-6の新旧科目組替表がこれはわかりやすいと思うんですけれども、これを拝見していくと、この現行基準と新しい基準のがどこが違うかというと、マーカーでくくられている部分のところが違うわけですよね。例えば寄附金だとかも、教育研究事業の方に入るのが64のうち50で、それから14というのが下の方の施設等整備活動による収入というので14と書かれています。補助金も経常的なものに行くのと施設の方に行くのというふうに2つに分かれている。大体のこの項目というのは、今の方法でそのまま移行すれば済むのではないかなと、ちょっとこう思うんですけれども、変更に費用がかなりかかるんでしょうか。

【大橋座長】 

 はい、お願いします。

【徳田委員】 

 確かにこの表面だけを見ますと、差異は小さいと思います。ただ、昭和46年に会計基準が制定されてから、財務3表というものについて、それぞれがいろいろな大学がシステムの構築をしてきております。

 私が見ているところによると、財務3表をつくる方法というのは、みんなそれぞれのやり方があります。1つは、いわゆる企業的な発想の方から現状における消費収支計算書、貸借対照表をつくりながら資金収支計算書をつくっているところ、それから、資金収支計算書をベースにして、総勘定元帳の消費収支それから貸借対照表をつくっているところ、そうじゃなくて、一緒にやっているところ、少なくとも3つのやり方がこの大学法人、学校法人にあるということです。

 ですから、それを踏まえたときに、確かに簡単に、比較表ありますけれども、その根底にあるものについては、非常に膨大なシステムになっています。昭和46年の移行時のときは、あくまでも会計だけでシステムを作っていました。しかし、今40年たって、予算編成、それからいろいろな物品関係を含めた物の発注、それから管理会計、そういうものが総合的に大学法人自身がシステムとして大きくなっています。ですから、表面的には確かに簡単には見えますけれども、とてもじゃないがそう簡単にはいきません。それは私が今までずっとやってきて見た面では、それだけのいろいろな大学があるということです。だから、この新旧の移行だけでははかれないと、それが私の見解です。

【片山委員】 

 私は、これに関連する会計ソフトをすべて知っているわけではないけれども、私の知っている範囲の学校法人の、あるいは非営利法人の会計ソフトは、収支計算でインプットする場合と、通常の企業のような収益費用で仕訳してインプットする場合と両方あるんですけれども、システム上はどちらの方式でもその法人の任意で、どちらを適用してもいいですよと設計してあり、結果としては同じ計算書類が出てくるわけです。システム上はそういうふうになっているというふうに聞いていますが。

【徳田委員】 

 私は、実際、自分の大学でつくっておりまして、そんなに簡単じゃない。みんなパッケージを利用している間は、パッケージはシステム会社の方がつくるわけですから、そのまま申し出る。

 しかし、自分の大学の学校法人、自分でつくっていると、そんな簡単なわけがない。みんな違います。ですから、特に大学法人になってくると、いろいろな管理をしていかなきゃいけない。例えば幼稚園法人などの小さな法人ですとまぁはっきりしているでしょう。それでも十分間に合います。しかし、大学法人になってくると、やはりそんな例えば目的別というような、そのように計算機でないとできないようなオリジナルなものになってくる。その辺のところがちょっとやはり私と片山委員とのちょっとした見解の差かもしれません。

【片山委員】 

 ただ、それももう40年以上たっていまして、現状でいいかどうか。必要な投資もある時期には必要なのかもしれませんよね。これがまた10年、20年そのままにしておいていいのかどうか。あるときにはやっぱり整備しなければいけない時期があると思うんですよ。

 それで、こういう区分経理というのは、非営利法人を見ておりますけれども、非営利法人でも、全部そういうふうに活動区分ごとの様式になっているんですよね。学校法人の会計基準のみ、これは1区分になっていて、それでこのままでいいかどうか。社会の側(がわ)の観点から見ると、それは学校法人の会計基準はユニークでいいが、非常に孤高なシステムに思われる可能性があると思います。

【大橋座長】 

 はい、どうぞ。

【徳田委員】 

 私は決してそれを区分別を駄目だというふうに否定しているわけじゃないんです。社会が求めているものについては出していきましょうと。ただし、その実務的にその内訳を含めて煩雑になるような形で、目的は何なのかということを明確にして、私は区分別、活動別をつくるのは駄目だと言っているわけではない。それを現状を踏まえて、より説明しやすいものがやっぱり法人としてつくっていくということが大事だと思います。

 ちょっと先になりますけれども、一番ここで問題になっているのは、資金収支関係の内訳表ということで、御提案されたものをちょっと拝見させていただきました。

 決して私は駄目だと言っているわけではない。それをどういうふうに位置づけるかということについて、法律的にどうするのかということは、また別次元としてやっぱり考えなきゃいけないと思っておりまして、その辺をちょっと否定しているということではないということを御理解いただきたいと思います。

【大橋座長】 

 ありがとうございます。

 渡辺委員、お願いします。

【渡辺委員】 

 今、幾つかの提案がされているわけですけれども、全体的に、私はこの程度の区分というのは、あってしかるべきかなと考えます。

 先ほど、今回の提案にメリットが少ないのではないかというような御意見もありましたが、私は一般の会計基準に近づくというだけでもメリットは非常に大きいのではないかなと考えます。先ほどこの会計だけが孤高であっていいのかという御意見もありましたが、私はやはり世の中一般のものに近づくということが一番大きなメリットではないかなというふうに思っています。

 だからそういう意味で、そのデメリットとして挙げられるところをもう少し緩和するような措置だとか、そういうことを議論していけばいいのかなというふうに思っています。システム変更の困難さの話もありましたが、私はシステムの方の専門家ですが、確かに昔つくったシステムというのはロール・ユア・オウンといいまして、手づくりのシステムが大部分で、ユーザーの各種要求に十分に対応できるように作成されています。しかしこのシステムが古く複雑なため、他のシステムとの連携では、その維持メインテナンスの観点で多大なコスト・期間が必要なケースがあります。一方、最近システムを導入されたケースでは、多分会計パッケージを採用されていて、先ほど片山委員のお話にあったようなセレクションができるようなところもあるかもしれません。この場合は比較的短期間で対応可能と思われます。

 それぞれいろいろなシステムを導入されていると思いますので、1つは移行期限、通常考えられるところを少し伸ばして、今からでも少しずつ準備をして、その負担が少なくなるような、そういう措置も併せて議論されておくといいのかなというふうに思っております。

【大橋座長】 

 ありがとうございました。

 村山委員、何かありましたらお願いします。

【村山委員】

 幼稚園法人からしますと、やっぱりもう少し簡略化した例外規定を是非頂きたいのが1つです。

 それから、この資料4-2の資金収支内訳表の最後の財務活動による資金収支のところは幼稚園法人ではできません。1か所の幼稚園で返済するわけじゃありませんので、学校全体で返済するとなるわけです。

 それから、もう1点は、資料4-5で貸借対照表を、資料4-6で資金収支計算書の新旧勘定科目組替表がありますが、4-5の記載の第4号基本金引当資産について、それが4-6のどこから繰入れするのかが記載されていないんです。

 それから、幼稚園は平成27年度から新たな認定こども園制度となる予定です。それを考えますと、今システム変更して費用をかけても27年度にまたもう一回つくり直す可能性があるならば、幼稚園法人は厳しいかなという思いがあります。

【大橋座長】

 ありがとうございました。

 どれぐらい時間をかけてとか、あるいは幼稚園と高校、大学と一緒にしていいとか、あるいは内訳表の在り方という課題はあると思いますけれども、大学の財政の状況というのは、学生さんの集まりぐあいがほとんどだという言い方でございますけれども、そのとおりだと思います。しかし、今、渡辺委員から御指摘がありましたように、会計として、ほかの会計基準と同じようなレベルの会計をきちっと維持していくということは、財務プラス会計の役割ではないかというふうに思いますので、やはりこれは、時期等の課題がありますけれども、基本的な財務全体の資金収支の計算書というのは、ここに提起されているような区分経理で進めなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。御異論あると思いますけれども、大きなプランとしては進めております。いかがでしょうか。

【徳田委員】

 内訳表を含めてどのような位置づけをしていくかということでないと、ちょっとやはりよくないんじゃないかなと思っています。

【大橋座長】

 議論の仕方としてはもちろんそうで、また、戻っていただいて、この課題についてやらせていただいて結構ですけれども、一応そういう方向性を持って、時期とか、それからこの課題あります。これもきちっと配慮して考えなきゃいけないというふうに思っていますが、内訳表の方に議論を進めたいと思います。よろしくお願いします。

 内訳表もいろいろな議論が出てきておりますけれども、3つに分けるとなると施設設備、財務の数字がほとんどなくなるケースがあることは確かにあると思います。そういうケースでの配慮と、特に大学でそれなりの規模を持っているところについてのこの内訳表の義務感といいますか、基準観といいますか、それについてまず議論していただいて、それから、先ほどから出ています時期の問題とか、規模別の問題とかということを少しやらせていただければと思いますが、よろしくお願いします。

【徳田委員】

 現行の会計基準に載っている内訳表と科目のレベルが同じだということであるならば、現行の内訳表でいいんじゃないかと思います。無理して内訳表をこのような事業活動計算書にしなくてもいいんじゃないかという意見です。

 そうしますと、この資金収支計算書、特に新しい内訳表、これを見ると、現在も、私はあくまでも資料3の3.にある「会計基準は変更せず」というところの視点で良いと思うのですが、活動区分別というのは法人としての事業活動について作ると良いのではないかと思います。どのように会計基準の中に位置づけるかということについて、資料4-2の資金収支内訳表の中、このようなレベルで活動別の内訳表を資金収支でつくるとすると、資金収支の内訳活動別を法人全体として内訳表をつくるというのが1つの方法ではないかと思います。そうするとこの活動別を法人全体として、会計基準の中に1つの位置づけをするという考え方としては可能と思います。

 これをどのように今度は公表をしていくかどうかというのは、それはまた別の次元になりますけれども、そうするとやはり現行の資金収支計算書の大きなメリットはそのままに、システムの変更も大幅にしなくても済みます。これに加え、社会の要求に適応するものとして、学校法人としての活動区分別のものが公表、つくれるというものが両方できるんではないかなと思います。メリットとしてはあるんじゃないかなと、そういうふうに私は思います。

 これを全部変えてしまうと、もう事務的なものからすべて変えるという、先ほど桑田委員がおっしゃっておりましたように、変えるための大きなメリットというものはあるのかなというのは、我々はまだ十分な理解はできていません。

【佐野委員】

 資金収支計算書を区分経理するという方向で進める前提での資金収支内訳表ですから、つまり、これは資金収支計算書類を内訳にしたものですから、当然同じレベルということを前提にすべきだろうと考えています。

 内訳表は現行の基準のようにべた打ちで、計算書は区分経理だというと、これは実務上手間暇がかかる気もするぐらいでありまして、会計的にはやはり内訳表は計算書類の内訳ですから、それと同レベルではないかと思います。ただ、レベルと申し上げましても、もともと内訳表が必要だったのは、部門ごとの補助金の学校配分、それから教育成果の把握、これがありますので、必要なラインといいますか、その財務関係のところで必要のないものはこれまで省略していたわけですから、この資金収支内訳表の表示科目レベルは現行のままで良く、つまり今御提案いただいているこの資料4-2は、おおむね適切だろうというふうに考えます。

 ただ、そこでちょっと気になりましたのは、資金収支内訳表とそれから消費収支の事業活動計算書の内訳表、これが2つあったときに、その重複感、これまでも資金収支と消費収支の現在の現行会計基準の中であった重複感、これについて批判が平成17年の改正後あったと思うんですが、この重複感をどうするのかということがあります。

 資金収支内訳表で、財務活動の一部が入ったところまであらわしたときに、消費収支と何が変わってくるのか、この重複感をどうするかということも並行して考えるべきであって、事業活動計算書の内訳表を同レベルでつくりましたとなると、やはり重複感はぬぐえないんじゃないかと、あらわすものが違うんであれば、その違う部分を補てんするということで、どちらか一方でもよくなる可能性があるので、その辺は今後慎重に議論すべきだろうと思っています。

 ただ、内訳表として考えた場合には、今御提示いただいている資料4-2のレベルは、それ相当のものかなと思います。懸念があるとすれば、資金収支計算書で言っております、例えば9分の1ページにあります一番下の教育研究事業活動資金収支差額、これと9分の3ページの内訳表であらわしている、この名称が同じでありながら調整勘定が入らない、名称が同じでありながら合計が合わないというのは、ちょっとどうかなと、現行の資金収支内訳表でも資金計でも単なる計ということで、科目ではありませんけれども段の名称を変えておりますので、その辺は配慮が必要かなという気はいたしております。

【大橋座長】

 ありがとうございます。そうですね。ほかに御意見いただけますでしょうか。

 これを進めると先ほどの議論に戻りますけれども、森本委員がおっしゃっていたように、各学部の収支状況というのは出てしまいます。出てしまうというと変ですけれども、それはきちっと出して、きちっと議論をして、きちっと共有するという、それが大学の基本だろうと思います。社会もそれをきちっと共有するというのが、教育機関の基本だろうというように思いますが、あるいは正直なところ、そこにかなりの御抵抗が、現地の問題としておありになるんじゃないかなというようなことも勝手に推察するんですけれども、そういうことだとやっぱり会計の在り方というんですか、公表の在り方としてちょっと違ってくるかなと、その辺つらい課題でありますけれども、それをやっぱり踏み込んでいかないといけないような気もするんですけれども、その辺ちょっと微妙な議論ですけれども、森本委員からお願いします。

【森本委員】

 まず、話を分けまして、やはり会計基準としてするということであれば、先ほどの佐野委員がおっしゃったような言葉遣いの整合性に問題はありますけれども、こんなものかなと思います。例えば、寄附金であれば、寄附金の小科目を1つか、2つ追加しておいてやっておいて、この小科目がこっちに、うち(勤務校)で今これするとなったら、とりあえずは今のページのままでいって、小科目を少し追加していって、それでやると、それで決められた今度の組み替えるときだったら、これをこっちに落とすという作業をやっていけば、そんなすごい時間かけなくても、また一たん計算書類ができてしまえば、そこからのつくり直すという作業ができるんじゃないかというとこで、ですから、大きなところですと、その会計ソフトの中に、いろいろなほかの機能をつけ込んでいれば、それがめちゃくちゃ混乱してくるだろうと思いますけれども、小さいところだと、むしろそれはいいのかなと思います。

 これを公表段階に持ってくるとすると、現在でも評議員会レベルで、これは学校によって違うでしょうけれども、教員のある程度の方は、評議員になっているだろうと思いますので、ですから、学内である程度は内訳表が流れていって、殊更それが話題になっていないという    問題に上がってこないということは、問題がないと思っているのか、大体内訳表のあの数字の膨大なもの見るとわからないということで一切考えていないとか、ちょっとどっちかわかりませんけれども。

 だけどもこれが外部に出てきますと、いろいろな見方する方がいますので、ですから、例えば大学のこの学部は、俗な言葉でいうと、むちゃくちゃにもうかっているじゃないかと、これだけ残しておいて損していることがあるからやめちゃえばいいんじゃないかという、すごい結論も出れば、研究者なんかは絶対に損しているんじゃないですか。それは先ほど意見があったように、法人としての共通理解があれば別にかまわないですけれども、現段階で数字がわからないから共通理解をしているんですというのがありまして、数字が内部でも完全に分かれてしまったら、また一悶着(もんちゃく)起きてから静まるんじゃないかなと思います。

 それがやはり一つの経過措置の問題で、公表の前に少しずつ少しずつ説明していけばいいですけれども、一気に天地がひっくり返るみたいなもの出して説明すると、学校で言えば、教職員との関係もあれば、高校の方、親に対する説明で、例えば高校はこんなに損しているんだよ、中学校はこんなもうかっているということがいうような議論がもう少し出てきたりすると、その辺のところをどうするのかと、授業料を変えることできませんので、それのためには、やはり経過措置的な期間がある程度の年数がないとちょっと難しいんじゃないかと思います。

【大橋座長】

 ちょっと公の会議で議論するのは何かきつい課題ですけれども、大事なことですけれども、やっぱり公教育として、きちっとどういう収支になっているかというようなことは、学内的あるいは対外的にきつい議論もありますけれども、これは御理解いただかないと成り立っていかないという、先ほど鈴木委員から倒産する銀行の話、あるいはこれから倒産する問題が出てきました。

 そういうときに、どういう状況で、どういう収支をどこでどういうふうに確保してきたかというようなことは、どこまで公表するかというようなことはともかくとして、基準としては、確保していかなければいけないんじゃないかというふうに思います。そのあたりはまた厳しいですけれども、やっぱり方向性として、共通の認識視点として持たないと、さあ、会計基準、日本の学校の会計基準どうしますかという議論にはなかなかなっていかないだろうと思います。個々の事情としてもありで、それは配慮しなきゃいけないと思いますけれども。

【徳田委員】

 新しい活動区分別というのは学校単位、そういうことで比較的中では学校単位、資金収支の区分というは、学部単位、この辺の区分合わせて公表するということは、非常にそれは現在、私が調べた感じでは学問の種類というのは、平成元年には97あったが、去年でもう470種類があります。ということは学部別に出せば、どっちかはいい、どっちかは悪いと、これは明白なんですね。これぐらいの時代のグローバル化が進んできて、それで選ぶのは大変だと思いますけれども、それを区分別、学部別に公表するということは逆に混乱を与えると思います。ですから、そういうようなことを公表するとなると、保護者や学生のことを考えなければならないということがあろうかと思いますが、ちょっとやっぱり慎重に考えなければならないと思います。

【大橋座長】

 よくわかります。

 それで内訳表をどこまでどういうふうに出していくかということはこれから議論しますが、基本的な考え方として、やっぱりそういうものもどこまでというのは、これから議論して案としても出していかなきゃいけない、ある程度出していかなきゃいけないと、説明がつかないというふうに思います。

 それと確かに資金収支と事業活動の内訳表が重なってきてしまうというようなことはありますけれども、あとは、だからどこのどういう学校はどこまで、どれくらいまで、あるいはどういう期間で余裕を持って進めるというような議論ですよね。それをこれから少し文科省の方でも素案をつくっていただくというようなことにさせていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。それでまた議論をさせていただきたいと思います。

【森本委員】

 そのときに、学校の基本的なやり方で一般企業と違うだろうと思っていますのが、いわゆる収益性のいい大学というのと、教育内容がいい大学というのは同じじゃないということです。収益性がいい大学というのは、俗な言葉でいうと授業料をもらっているけど余り使っていないよというところなので、そうすると何に使うのか、入ってきた学生、若しくはその親から見れば、払った分は入っているときに使ってほしいということなんですよね。気持ちから言えば。

 この教育内容がいいというの、これ学校の教員なんかだとよく起こるんですけれども、いいことだからしましょうと言うと、収入がなくてもしようしようということでやってくれる方が往々にしてあります。そうすると、学生から見るといろいろなサービスを受けられていいんだけれども、今度法人全体が金払わなきゃならない日がいつか来るものですから、その辺のところの、ですから公表するときに、一般企業とちょっと性格が違うんだぞということです。

 つまり、費用を考えたときにどうやって回収するのじゃなくて、入ってきたお金の中でどうやってやっていくんだというところが学校の一般的な考えで、もちろん先行投資的に、これだけの金かけるから来年度受験生が増えるのかなというような感覚のところもありますけれども、大つかみでいうと、これだけのお金を頂いているから、その中でうまくやっていきましょうということです。その中では若干将来のことで残す部分もあるし、あるいは将来のこととしてこれまで持っていたお金を使うこともあります。だけどそういった経営行動といいますか、やり方の基本的な違いというのを、これ会計でいうと直接関係ないですけれども、公表する段階だとそんな説明もしながらやっていかないと、ちょっと収益性のいい学校がいいということですけれども、これ受験生からいいますと、自分が入って卒業するまでにその学校がつぶれなければ、収益性が悪い学校の方がいいという極論まで起こり得るわけですね。サービスがいい学校だということで。だけど自分の卒業後に入ってくる受験生は逆かもしれないのです。だけど実際は、経営者がしっかりしていれば、そういうことは起こらないようになるんですけれども、だから公表というときには、雰囲気の違いということをよく説明しておかないと、単純に収益力だけじゃ困るということです。

【大橋座長】

 よくわかります。そのとおりであります。

【徳田委員】

 私も森本委員、実際に学校の方の予算編成ですけれども、何がいいか悪いかという判断はできないですからね。これをやることによって学校教育のためにいいんだ、研究のためにいいんだ。それは企業的にいうと、その投資する分にどれくらいの収入・収益が必ずそれがついてくるんですけれども、教育には内面的な学生の心、そういうものをはかれないです。そういうものは数字的にはかれません。ですから、それが学生の満足、また子供たちの満足、それが保護者の満足につながります。そういうものがまず大事なんだということです。ですから、非常に財政というのは、そういう面ではなかなかすっきりと割り切って数字的には出てきません。

 今現在の内訳表にしても確かに部門別にやっています。しかし、複数学部あってもいろいろな学部学生の交流というものをやっているその効果というものは、どうはかってもはかれないです。それは決算書には出てこないです。ですからその辺の説明というのは、なかなか難しいというのが現状です。

【鈴木委員】

 先ほど申し上げたようにこれからの学生が財務内容に関心を持つようになったとしても、別に最終的に収益性が高い大学をそれで見分けようという大学生はいないだろうと思います。倒産する確率があるかどうかということについては見ますけれども、学生がやっぱり見るのは、教育内容のよい大学がどこかということでありまして、そこで教育内容のよい大学であるためには、財務内容がよくなければ、よい教育ができないだろうというように考えるだろうと思います。

 繰り返しますが、単純に、収益性が高いから、そこに入ろうなんていう学生はいないと思います(教育内容を劣化させて収益性を高める手法もあるのですから)。このところは学生もしっかり見ている気がいたします。

 私は以前ある政令市の助役をしておりました。そのときに気がついたことですが、地方自治体の政策のよしあしは税収である程度わかるということです。市の税収というのは、大体半分が固定資産税で、3割が市民税です。一方で、市がよい政策をやっているというあかしというのは、やはりその町に住み続けたい、この町で商売をしたい、この町に人を呼びたいというふうに、その企業と市民が思ってくれることで、そうした政策を実行していれば、自(おの)ずと固定資産税も、市民税も上がる仕組みになっているのです。

 大学の場合も、学校の場合も全部一緒だというつもりはありませんし、一人歩きしかねないような形で財務内容のよしあしを図るべきだとか、あるいは全て公表すればそれで良いのだということを言っているつもりはありません。ただ、最終的に教育内容のよい学校であるということをきちんと示せるような財務内容の開示の仕方があるはずなので、それを追求すべきではないかというふうなことを申し上げたつもりです。

【大橋座長】

 ありがとうございました。

 それでは、貸借対照表について、何かありましたらお願いしたいと思います。先ほどの4号基本金の組入れの件について、何かございますでしょうか。

【田辺専門官】

 まず、村山先生から御質問いただいた4号、貸借対照表に4号基本金引当資産がありながら、資金収支4-6の方で御説明するときに、資金収支計算書の方に4号基本金引当資産の対応する部分がないという話です。確かにこれは漏れでございます。御指摘いただきましてありがとうございます。これに関しては、財務活動による資金収支の方に恐らく入れていく整理になるんじゃないかなというふうに今は考えております。

【大橋座長】

 ありがとうございました。

 ちょっと記憶があいまいですけれども、貸借対照表上の特定資産の例えば第2号基本金引当資産について、この間森本委員から、基本金と引当の間に特定という言葉を入れたらというような議論がなかったでしょうか。

【佐野委員】

 特定がない理由について、歴史をひもといてみますというお話もあったかと思いますが、でも特段に意味がなければ、現行の何々引当のための特定資産というように統一したらどうかというようなお話があったかと思います。

【大橋座長】

 そうですよね。では、そうしましょうか。また機会がありましたら、これを改めて議論したいと思います。

【佐野委員】

 4号引当資産をどうすることなんですけれども、今の状況を見ると持てる法人と持てない法人が想定され、その他記入したくない法人もあり得るが、この辺はどのように考えたら良いのでしょうか。

【田辺専門官】

 確かに現行の厳しい環境を考えますと、そういった法人が出てくる可能性は十分あると思います。飽くまで4号引当は1か月ではございますけれども、それに相当する現金預金がないという場合もありますので、それに対して必要な手当、会計基準上の手当なんかも必要になってくるだろうと、だからほかの有価証券であるとか、固定資産とかは全部見て、もう本当に要は足りないとかいう事態にもしなった場合に関しては、別途注記をする形でないんだよ、というのを注記する形で解決するしかないんじゃないかと思います。現金預金をゼロにしたり、マイナスにしたりするということはできませんので、手当をどこかで考えていかなければならないと思います。

【佐野委員】

 今の4号基本金引当の計算は、これはそうするとまず4号基本金貸方概念が出て、その計算額を予算特定しようという組立てになるんですね。

【田辺専門官】

 そのとおりです。

【佐野委員】

 そうしますと、固定資産明細表にも記載されるということや、一方では、固定資産ではないのではないかという議論も出てきますでしょうし、それから、そもそもその運転資金、恒常的に維持する運転資金という概念であれば、固定資産に置いておくのがいいのか悪いのかとか、いろいろな議論が出てくると思うんです。先日の会議、第1回、第2回あたりでは、4号基本金そのものの存否について、なかなか賛成反対両論あったというふうに理解しておりますが、前回あたりから4号はあってもいいねという話にお話が変わってきまして、それは1つの利益ではないけれども、処分概念としてあり得るなと思います。

 ただ、借方概念から基本金に行くのではなくて、貸方から借方に行くという、そのあたりの整理はまだついていないような気がするんですが、いかがでしょうか。これは必要であるということで、借方資産を持つと、期末だけでも持つのか、固定資産の特定資産として位置づけるのか、その辺はきちんとした議論をしないと、まず4号基本金そのものの存否も問われるのではないかと思うので、これはちょっと議論が必要ではないかと思います。

【大橋座長】

 わかりました。では、次回あたりにしたいと思います。片山先生何かおありですか。

【片山委員】

 貸借対照表はこれまでも固定資産から書いておりますよね。いわゆる固定性配列法ですよね。それについては、もう前からそうだからというので何も議論されておりませんけれども、これでいいのか、それとも流動性配列法が良いのか、どうしましょうか。

【田辺専門官】

 会計基準ができたときの経緯から考えると、学校で必要な基本的な財産が土地・建物に当たるものであるということ、そちらを優先して並べたということのような経緯を聞いてございますので、その事実はこれからも変わらないのではないかと思っているので、固定性配列法でいきたいと思っています。

【片山委員】

 今急いで変える必要もないということでしょうか。

【田辺専門官】

 はい。

【片山委員】

 それから、勘定科目で有価証券勘定が固定資産の分と、それから流動資産の方にありますよね。同じ勘定科目ですけれども、これはこれでいいんですか。企業の方は、有価証券というと短期保有目的の売買目的の流動資産扱いになっていますよね。それで固定資産に計上しいている場合には、例えば投資有価証券とかという、そういう勘定科目で使い分けていますけれども、その必要はないでしょうか。

【田辺専門官】

 確かに明瞭性の観点からいえば、それぞれ分けた方がいいのかもしれないんですけれども、投資という言葉はちょっと学校になじむかどうかがちょっと私は疑問がありまして、一応この案で出させていただきました。

【大橋座長】

 高橋先生、どうですか。

【高橋委員】

 現実に流動資産に入れるべきもの、固定資産に上げるべきものと有価証券が分かれますので、こういった形で、分かれることは必要です。確かに名称の部分が同一であるのはどうなのかという点については、検討する価値があると思います。

【大橋座長】

 わかりました。それでは、またこの議論は続けさせていただきますが、今日は3表についての議論はひとまずここまでとして頂いて、また資料をつくり、素案をつくっていただくということにします。

【佐野委員】

 ちょっとよろしいですか。

 この3表の議論が終わるということは、事業活動の内訳表と資金収支の先ほどの内訳表などの議論はもう終了ということですか。

【大橋座長】

 いえ、終了ではありません。行ったり来たりしながら議論するやり方です。

 それで議論はまだ資料の5がありまして、3表の議論はまたせていただきますが、その他の論点として資料が出ていますので、余り議論する時間がなくなってきましたが、説明をしていただきましょうか。

【田辺専門官】

 資料5です。学校法人会計基準の在り方について、同じ様式で前回まで3表と基本金の在り方について作ったものを残りの個別論点について改めて整理させていただいたという位置づけでございます。

 論点の1つ目でございますけれども、減損会計の話、特に有形固定資産に関しての減損会計のお話でございますけれども、基本的な考え方、方向性といたしましては、学校法人にとっての固定資産を持つということは企業と違って、営利獲得目的ではないので、教育研究目的、教育研究を行うために保有しておるということを考えますと、将来のキャッシュ・フロー、収益の減少を見込んで簿価を下げるというような考え方までは、入れなくてもいいのではないかというのが最初の表現でございます。

 ただ、一方で言われておるのが、学校を廃止してしまったり、学部を廃止してしまったりなどで使用していない施設などがあった場合、これらについてはその簿価を減損してもいいのではないかという意見もあったかと思います。前回の検討会のときです。

 これらについて、つまり未使用であったり、遊休であったりする有形固定資産で、今後も維持しないものについて、臨時償却という言葉が正しいのかどうかですが、そういう表現で、学校会計でもその分の簿価を落とすというルールを検討してもいいのではないかという案でございます。

 続いて、金融商品会計基準、資産運用の部分でございますけれども、学校法人の資産運用は、基本的には長期的な満期保有目的であり、学校を円滑に回すための資産運用としてではないかと思いますので、時価会計を導入しても期末に未実現の評価損益を計上するだけになってしまう可能性がありますので、むしろ学校法人の収支差額、収支状況の適切な表示にはそぐわないのでないかと思います。つまり評価替までは、そこまではいらないのではないかということです。今の取得原価主義で50%以下である場合の強制評価減程度で十分なのではないかという意味で、1行目は書かせていただいたところでございます。

 ただ、そうはいうものの注記としてですけれども、今持っている有価証券等の注記情報については維持しつつ、更にということで資産運用に関するリスク管理を進めるという観点から、時価情報は今保有目的別に分けており、満期保有目的とそれ以外で時価割れ、時価超えで分けているだけですけれども、それを更に所有している商品、例えば国債、社債であるとかという商品種類別ぐらいに区分して表示していただくと、よりリスクの把握という観点から進むのではないかと、評価替えはしないけれどもこのようにできないかというのがその観点です。

 それから、退職給与引当金について、企業等の会計は既に退職給付引当金に概念が変わってきてございますけれども、現状、学校法人会計基準でいう退職金については、平成23年度時点で退職給与引当金を期末要支給額100%、期末に在職している教職員の方々が皆さん自己都合でやめたときの100%を積むというところまできておりまして、金額的にも退職給付で恐らく計算したものに比較しても十分な額が積まれているのではないかということを考えますと、現状どおりという考え方でもいいのではないかという案でございます。

 ただ、一方で言われているのが、幾つかの大手法人さんでは、独自の年金制度を持っていらっしゃるところがあります。そこに対する統一ルールが必要ではないかという話も出ていたのではないかと思っております。

 続いて、連結会計でございますけれども、そもそも学校法人自体が持分という考え方を持っていないので、連結会計自体はその概念はなじまないということが共通認識ではないかと思うんですが、例えばということで、理事構成を同じくするようなグループ法人間の取引についてを明らかにする必要があるんじゃないかということも言われているところでございます。

 例えば、現状関係当事者、理事長が民間企業の社長をやっていらっしゃる、そこで取引する関係当事者というものは、関係当事者間の取引については周知を今しておりますけれども、それ以外に学校法人間、学校法人間とここで言っているのは、グループ企業だけに限らず、学校法人間で取引があったとき、貸付金とか債務保証についても注記情報として出すということがあってもいいのではないかという案でございます。

 最後に、継続法人の前提です。継続法人の前提を判断するというときには、やはり何か基準が当然必要になってくるのだろうということですけれども、企業でいえば1年続くかということと基準があるかと思うんですが、それを学校の場合、どういうふうに定めていいのかということが一番議論がなるのではないかと思います。ただ、基準をクリアにするのがなかなか難しくなってしまうので、学校には本来なじまないんじゃないかというのが意見でございます。

 例えば、修業年限は大学では4年ですから、ただ1年間続けば良いということではなくて、受け入れたからには卒業まで面倒を見ることとなります。大学院まであれば6年、幼稚園からの一貫教育であれば、もう十数年、20年という期間を続けますので、そもそも学校法人というのは、そういう継続を前提にした組織であるというふうに考えますと、一定の1年とかの期間の基準はなかなか難しいのではないかということで、継続法人の前提については、余り積極的に入れるべきではないという案を出させていただいたところでございます。

 以上で資料の説明を終わります。

【大橋座長】

 ありがとうございました。

 これからの議論ですけれども、減損会計、有形固定資産はそのままでいいのかというのはありますよね。継続法人の前提は、ちょっとこれはちょっと書きにくいかなという感じがあります。何かご意見ありましたらお願いします。

【鈴木委員】

 お聞きしておりまして、時価会計をどの程度まで導入するかということに、議論が集約されるように思います。

 基本的には、私は一般論としてできるだけ時価会計に近づけるべきなのではないかという立場をとってはいるんですが、しかし、世の中の方向性はそうだとしても、本件のケースでも今すぐやるべきなのかどうなのかということについては、正直言ってちょっとよくわからないので、それはほかの委員の方々の御判断なんだろうと思います。

 ただ、この説明の仕方が少し気になります。固定資産の保有は利益獲得ではなく、教育研究のために保有しているというのは、そのとおりですが、前回も申し上げましたように、例えば金融機関が貸出しする場合に、担保を仮にこの不動産でとった場合に、ここのところの価格がどうなっているのかというのは、とても大事な話に当然なってきますので、いずれにしましても、その時価把握だけは、それをその財務諸表に反映するかどうかはともかくとしてしっかりやっておく必要があるのではないかなと思います。

 それから、前回申し上げましたように、体力ということが経営にとって、とても大事な判断要素になってきています。しかし一方で、学校の不動産の評価というのはとても難しい(一般的に採用されている収益還元法による評価になじみにくい)ので、どうすれば良いかはよくわからないところがあるのですが、いずれにしても体力判定に結びついているので、ノーマークでいいかというと、ちょっとそうではないのかなというふうな気がいたします。

【徳田委員】

 私も個人的には、学校の資産というのは、全国いろいろな立地条件、いろいろな形があって、本当に昔は不動産というところに資産価値が高いと言われていたんです。今はもう資産価値がないところがたくさんあります。確かに貸借対照表上では、現在の資産構成の価値観をあらわしていないと私は思います。多分貸す側(がわ)もそれは十分承知していると思います。ですから、やはり路線価格とか、そういうものをしっかりと調査していく必要があります。それでそれなりの担保力というものを計算して、これ以上は貸しませんということをはっきりと学校法人さんに言います。時価などは、まさにきちっと担保を確認して、この担保物件では、これでは融資できませんというふうにどんどん変わってきていますので、我々が見ている貸借対照表上のものとは、やはり現実社会が思う評価というのは違うということは、やっぱり認識しておく必要があると思うんです。現在の価値に変える必要があるか、見てやる必要があるかということはどうなのかなという気がいたします。

【森本委員】

 この話を聞いていて後で考えたんですね。例えば、校舎を持っていたとすると、入って使う学生がいなくなった場合、使わなくなったら、確かにとりあえずはあいている校舎があるということなんですけれども、学校がそのとき具体的計画をどこまで持っていくかは別として、一般的に考えるのは、建物があるから何かしようよということになってきます。

 ですから、学生が来なくなったから、こうなってしまったのが1年、2年続いたとしても、イメージとしては幾つかのプランがあります。具体的な整理はまだしていないんだけれども、また何年後かに使い出す可能性があります。ですから、もし1年使わなかったから償却みたいな、臨時償却ですか、そんなようなことをするんだと思うんですけれども、仮にしたとすると、使い出したときに今度どうするんですかということになっちゃうので、その辺の整理までしておかないと、ですから、学校の土地・建物を持っていて使わないというとなら、例えばごく単純に売っちゃうとか何かということじゃなくて、そのままの形で若干手直ししてまた使い直すということが起こり得るはずなので、その辺のところはどうするのか、会計処理上はそこが気になっているところです。

【佐野委員】

 資料5の論点はもう前回からの検討会で論点として出されているもので、当然議論すべき問題として積み残されている問題だと思います。

 方向として、時価会計に置くべきだという論もあろうかと思うんですが、私は個人的には学校の制度としての在り方からして、企業が求めているようなその財政状態にその公正価値を取り入れて、特にその経営者の判断の余地の大きいところを入れる意味がどこまであるのかなとちょっと疑問に思っております。だからといって、例えば時価や取得価額でがちがちにいこうという気もなくて、その辺は前回の検討会でも話題になりましたように、本当にバブルで今、全くそこまで回復しないようなものはどうするのか、それから部門を廃止したときにどうするのかということがありますし、今、まさに森本委員がおっしゃったような、ここでいいますと減損会計の2番目のポチにありますように、いわゆる有姿除却の問題をどうとらえるのかというのは、個々に学校の制度に合わせて検討していくべき問題ではないかと思います。

 特に、固定資産については、現物除却それから有姿除却と併せて基本金も考えなきゃいけないということがあるので、やはりここに挙げられている5つの論点については、十分な議論が必要かなと思います。

 先ほど、座長が継続法人の前提はどっちかとおっしゃっていましたけれども、これも学校ではなじまない、企業の考え方はなじまないというのはあるんですが、もし発想を変えて、例えば先ほどの貸借対照表の4号を残すんだと、4号基本金引当特定資産も目に見える形で貸借対照表の借方に計上だという用語が入ったとすれば、例えばこれが資金割れしていれば、これは1つの警告として、運転資金を持っていないけれども、こういう手だてをして経営者としては、学校運営を継続していく所存でありますということを表明させるという角度から切り込めば全くその議論の余地なしとして切り捨てる問題でもないのかなと思います。

 企業のゴーイングコンサーンではなくて、そういう切り口もあって、それは先ほど鈴木委員もおっしゃっている、学生が気になってみたときに、こうなっているけれども、理事者はこういうことで学校存続を図ってくれるんだというメッセージにはなるのかなという気がいたしまして、この5つはどれもやはり個別に議論すべきものではないかというふうに思っております。

【片山委員】

 資料5のところには5つの項目が出ています。これ以外には何かありますでしょうか。例えば、学校法人の経営が厳しくなって、再編成という、合併というんですか、そういうようなものが出てくる可能性がありますよね。そういうような企業結合会計基準といいますか、それは今、学校法人会計基準にはないですよね。それをどうするかということはあります。

【大橋座長】

 ほかにありますでしょうか。

 それでは、またこの議論は引き続いて、続けていきたいと思います。それから、3表については、少し検討していただいて、資料の案を用意した上で、また議論を続けていきたいというふうに思っています。

 それでは、そろそろ時間がまいりましたので閉会したいと思いますが、次回の検討会について説明をお願いします。

【田辺専門官】

 ありがとうございました。次回ですが、11月29日の木曜日、14時から16時、会場は三田共用会議所を予定しております。また、別途詳細については御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【大橋座長】

 それでは、本日の検討会を閉会します。ありがとうございました。

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