学校法人会計基準の在り方に関する検討会(平成24年度)(第2回) 議事録

1.日時

平成24年9月24日(月曜日)14時~16時

2.場所

三田共用会議所(港区三田2-1-8)

3.議題

  1. 学校法人会計基準の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

大橋委員、片山委員、桑田委員、佐野委員、鈴木委員、高橋委員、徳田委員、村山委員、森本委員

文部科学省

小松私学部長、牛尾参事官、岸本私学経営支援企画室長 ほか

5.議事録

【大橋座長】  

 それでは、まだ少し時間は早いんですけども、おそろいですので始めさせていただきます。第2回の学校法人会計基準の在り方に関する検討会を開催させていただきます。

 議事に入ります前に、事務局から資料の説明をお願いします。

【田辺専門官】  

 それでは、資料の確認をいたします。

 座席表の下に議事次第がございまして、議事次第の下の順番どおりに話をしていきます。

 最初、資料1でございますけれども、前回1回目の会議の議事録が入ってございます。A4の縦で、両面刷り、全部で29ページに及ぶ議事録が、一番上に入ってございます。内容については、委員の皆様に個別にすべて内容確認済みのものでございます。

 次に、今度は横になりますけれども、資料2といたしまして、「学校法人会計基準の在り方について(検討用素案)」A4の1枚ものが入ってございます。

 続いて、資料3でございますけれども、財務三表のイメージの案ということで、A3サイズ横カラーで、傍聴席の方は、恐縮ですがA4サイズになっておりますが、カラーの財務三表の比較表のようなものが入っております。最初の1枚、3―1が資金収支、1枚めくって3-2が消費収支、最後の3-3が貸借対照表、この3枚が入ってございます。

 続いて、資料4ですけれども、これは前回お配りしたもののリバイス版なんですが、会計基準の論点ごとに、ほかの会計基準との比較表が入っています。A4の横で、2枚ものになっています。これは、前回1回目にお出ししたものに新たに比較対象として、社会福祉法人を加えたのと、一番上の行に目的、前回議論になりました会計基準の目的をつけ加えた、この辺が変わってございます。

 それから、参考資料といたしましてつけさせていただいたのが、私立学校法が改正されて、平成17年度以降に情報公開が義務づけられたタイミングで発出させていただいた私学部長通知のコピーが、参考資料としてつけさせていただいてございます。

 それから、今回、それ以外に机上配布資料、傍聴席にはありませんが、委員の皆様にお配りする机上配布資料がございます。この黄色のファイルの上に1つ乗っている資料でございますけれども、平成24年9月6日付で日本私立大学教職員組合連合様の方から文部科学大臣あてに提出された文書、「学校法人会計基準の諸課題に関する検討について、(課題の整理)に対する見解と要望」という文書を頂いてございましたので、こちらを机上配布資料とさせていただきました。内容は、この検討会への意見、要望でもありますので、委員の皆様への情報提供として配付させていただこうという趣旨でございます。資料の説明は以上でございます。

【大橋座長】

 ありがとうございます。

 それでは、議事の1、学校法人会計基準の在り方についてに入りたいと思います。

 今回準備していただきました資料の2と3、これは、1回目の検討会の審議をこの後効率的に進めるというそういう視点から了承していただきましたが、私と事務局の相談の上で、各論点、検討を進めるたたき台、これを整理させていただきました。これからの資料として用意したものです。

 きょうはすべての論点を一度にはできませんので、今回は財務三表、それについて、それと基本金、それについての検討用の素案を用意いたしましたので、まず、その資料の説明、中身の説明、これを事務局からお願いしたいと思います。

【田辺専門官】

 それでは、1枚ものの資料2をごらんください。

 一番上、論点の1つ目ですけど、目的、これは前回1回目の検討会で議論になった部分ですけれども、会計基準の目的は何かという部分でございます。

 ちょっと、「基本的な方向」と書いてあるところを読ませていただきますけれども、今までの会計基準は、昭和46年に制定されて以来、補助金の適正な配分という目的で制定されてきた基準であるということがございますけれども、近年、一般社会に対する説明責任というのが強く求められるようになってきたということがありますので、学校法人会計基準の目的として、新たに「外部報告目的」という目的もあることを明確にしてはどうか、ということを目的につけ加えさせていただいてございます。

 その下に、括弧で参考というのをつけさせていただいたんですが、先ほど参考資料で御紹介したものでございますけれども、私学法の47条で新たに、私学法が改正されて財務諸表の公開が義務づけられました。そのときに、どの財務諸表を使うのかという通知がこの私学部長通知で発出されているので、参考として今回つけさせていただいたという趣旨でございます。

 ここまでが、まず目的です。目的に関しては、新たに「外部報告目的」というのをつけ加えたらどうかということでございます。

 次に、財務三表に入ってまいります。細かい点は後で横長の色のついたもので説明しますが、ポイントとなる点だけまず、財務三表について説明いたします。

 資金収支計算書、若しくはキャッシュ・フロー計算書でございますけれども、これもちょっと読ませていただきますが、公の教育、公教育を担う学校法人は、今は4月から3月でございますけど、学年単位で活動を行っているものである、ということもあり、財務会計上も、やはり当該年度、年度の活動のくくりで資金の流れを整理する必要があって、資金収支計算書というのが存在しているというふうに我々は考えてございます。

 この資金収支計算書は、それ以外にも、補助金の算定であったり、学校法人の予算管理にも使われたりしており、有用な財務諸表であるということは変わりないので、今後も維持してはどうかということでございます。

 ただ、一方で、今の資金収支計算書は、収入は収入、支出は支出で、それぞれ勘定科目が並んでいるだけでございますので、大きく3つに活動区分を分けます。「教育研究活動」、「施設等整備活動」、「財務活動」、名称はいろんなことがあるかと思います。例えばこんなふうなイメージで、本業と施設と財務ぐらいに3つに大きく活動区分を分けて、資金の流れがそれぞれわかるようにしたらどうかという課題も以前から指摘されておりますので、これを、資金収支計算書の計算体系のままで活動区分を入れてみたらどうかということが本イメージでございます。

 さらに、参考という形にさせていただいておるところでございますけれども、かなり検討を進めたという意味でございまして、資金収支を組みかえるだけではなくて、キャッシュ・フローをつくってみようというのがこの参考というところのイメージです。経済活動が複雑化、多様化している現状にかんがみたときに、教育研究活動を維持していくための資金繰りをより明確にするという観点から、その年度の純粋な現金預金の動きをあらわすキャッシュ・フロー計算書の様式も、併せて示して、情報公開の観点からの様式として作成を推奨してみたらどうか。プラスアルファでこれもつくってみてはどうかというイメージが、参考に書かせていただいたところでございます。これが資金収支の考え方でございます。

 続いて、消費収支計算書でございますけれども、消費収支について言われているのが、一番上のポツ、経常的な収支と臨時的な収支が一緒くたになって混在している関係で、経常的な活動での収支状況というのが把握できていないのではないかということです。ゆえに区分経理、例えば、全体を「経常」と「特別」に大きく分ける、経常の中を「事業」と「事業外」に分けるみたいなものを導入してはいかがかというイメージです。

 そうは言うものの、それぞれの建学の精神に基づいて各学校の継続的な運営を可能にするという観点から従来よりやっておりますので、基本金を組み入れた上で健全性を見る指標である消費収支差額の概念は、やはり継続したらどうかということも考えられます。

 さらに、それに加えて、やはり長期的な収支バランスは見られるものの、毎期の収支バランスも判断できるように、基本金組入れ前の帰属収入から消費支出を差し引いた、帰属収支差額を表示してはどうかということを考え方としてつけ加えております。毎期の収支バランスを把握することで、その後の施設整備、資金調達などの中期的な学校法人の財政運営に役立つ情報ができるのではないかと考えております。

 続いて、貸借対照表ですけれども、貸借に関しては、基本的な構造は変わらないんですけれども、きょう以降、次回になるかもしれませんが、減損会計だとかいろんな論点が出てきたときの、その個別論点の議論も踏まえて、更に貸借対照表での検討が必要なのかなというふうに思っております。

 最後に、基本となる財産、基本金ということでございますけれども、これもまず大きなイメージといたしまして、公の教育を担う学校法人として、それぞれの建学の精神に基づく各学校法人の継続的な運営を可能にする観点から、必要な校地・校舎等の基本財産を自己資本で維持するための制度として、基本金制度がとられてきているということでございます。これは、現在でも学校法人の健全性が維持されているかというのを判断するための有効な手段、仕組みであることは変わりないのではないかというふうに考えますので、そこで、さらなる明瞭性を確保しつつ、基本的な考え方は、基本金については維持していったらどうかという方向性として書かせていただいたものでございます。

 まず、これが資料2の御説明ですが、一緒に、資料3まで説明させていただきます。

【大橋座長】  

はい、お願いします。

【田辺専門官】 

 今申し上げたものを具体的に絵で見てみたいということで、横長の「資金収支計算書のイメージ」というのをつくりました。資料3-1です。一番左側に現行の制度、右の方にいくと変更後のイメージということでつくらせていただいております。

 現行の資金収支計算書は、一番左のように、収入が学納金からその他収入までずっと並んでいて、調整勘定を置いて収入の計となっています。支出の方も、支出がずっと並んで、調整勘定を置いて支出の計、現金預金に合わせるという動きでできておるんですが、その収入と支出を大きく、A、B、Cの3つの活動に分けていきましょうという点は、この右側の2つ、共通でございます。

 A、教育研究活動、B、施設等整備活動、C、財務活動でございますけれども、この辺までは共通で、右2つ、違うのはどこかというと、下から4行目あたりに「調整勘定」というのが存在しています。調整勘定を残しているのが真ん中、資金収支ですね。今までの活動区分、4月1日から3月31日にどんな活動があったか、つまり未収や未払、前受け、前払等を調整した後の活動基準に合わせた金額を学納金や人件費に計上しておいて、最終的に現金預金の流れに合わせるために、一番下に調整勘定を置いていく。これが、真ん中の資金収支計算書のイメージです。どちらかといえば、資金収支計算書を組みかえるというようなイメージでとらえていただくといいかもしれません。

 一番右端のキャッシュ・フロー計算書は、そうではなく、調整勘定がなくなっているのでおわかりいただけるように、現金預金の動きのみで把握をするというのが、一番右のキャッシュ・フロー計算書のイメージです。これはプラスアルファでここまでできればというイメージでつくらせていただいた場合、こうなります。

 あと若干勘定科目の説明をしていきます。

 一番左の一番上から、学生生徒等(ら)納付金収入、これがそのままAのところに行きます。手数料収入もAの教育研究活動に行きます。

 寄附金、あえて小科目に分けているのは、行き先が違うから分けさせていただいています。特別寄附金収入はAかBに行く。真ん中の変更後の資金収支で見ていただくと、収入の3つ目ぐらいに、「寄附金収入(施設設備指定分除)」となっています。今の会計基準のイメージで言えば、使途特定のない一般寄附と、使途特定があっても、施設設備ではなくて、ランニングコストのようなものをここに載せていくよというイメージです。残りの寄附金がどこに行くかというと、Bの上から2つ目で、施設設備寄附金収入、ここに行くというようなイメージです。

 次、補助金でございますけれども、補助金は、Aのところの4行目あたりに、経常費補助がAのところに行って、施設設備系の補助がBのところの一番上に行く、こんなふうに分けてみたらどうかというイメージです。

 資産運用収入というのが次にありますけど、これは勘定科目を変えて、一たん、Aの教育研究活動のところに小計というのがあると思うんですが、その下の利息及び配当金の受取額、これが資産運用収入の行き先です。

 次に、資産売却収入は、大きく3つに分けて、一番上の不動産売却収入はBの施設整備で、有価証券とその他はC、財務活動に置いております。

 事業収入はAの活動、雑収入は、基本はAだと思うんですが、一部Cになるかもしれないので、Cに行くかもしれない。AかCです。

 借入金等収入は、Cの財務活動です。

 前受金収入は、調整勘定のところに全部持っていくというようなイメージです。

 その他収入、ほとんど多くは特定資産からの受入れ収入等が入りますが、一番最初の退職給与引当資産からの繰入収入はCの財務活動です。

 施設設備引当資産からの繰入収入は、Bのところに入ります。Bの上から3つ目です。

 第2号基本金引当特定資産繰入収入、これは後で貸借のところでも御説明いたしますけれども、施設設備で2号に「色」がついているものについては、2号という形に変えようというイメージです。

 減価償却はBです。

 第3号基本金引当資産は、これは財務なのでCです。その他もCです。

 前期末未収入金収入は、調整勘定に持っていきます。

 その他のその他はCです。

 資金収入調整勘定は調整勘定のところ。こんなイメージです。

 支出の部にいきまして、人件費、教育研究経費、管理経費まで、すべてAです。

 借入金等利息支出は、Aの小計の下、利息の支払額というところに行きます。

 続いて、借入金等の返済の方、元本の返済の方は、Cの財務活動ですね。

 施設関係支出と設備関係支出は、B、真ん中の設備等整備活動です。

 資産運用支出に関しては、最初の有価証券と退職給与引当金がC、施設と減価償却がB、その他の引当とか、収益事業元入金、それ以下は全部Cというような整理をしています。

 その他の支出の最初の2つ、未払金と前払金は調整勘定です。

その他のその他支出は、Cのところに持っていきます。

 支出調整勘定も、全部、調整勘定に持っていくというような整理をしています。

 真ん中の資金収支計算書、調整勘定は一応一本で書いておりますけど、これを更に詳細で書く、若しくは注記にする、若しくはそれぞれA、B、Cに振っていく。いろんなやり方があろうとは思いますが、とりあえずここでは、一番下に置くというやり方を提案させていただいてございます。

 ここまでが、まず、キャッシュ・フロー計算書の説明です。

 1枚おめくりいただいて、資料3-2でございます。「消費収支計算書のイメージ」です。

 まず、大きく左側が現行で、右が変更後のイメージでございますけれども、最終的な部分、一番下から3行は変わらない感じになります。消費収支差額と、繰越の部分は、今までどおり、最終的な金額は変わりません。長期の収支バランスを表示し、基本金組入れ後の額を出すということは変わらないというイメージにしてございます。

 さらに、一個追加されているのは、右側の紫色の下の部分ですけども、帰属収入から消費支出を引いて、帰属収支差額を出しているという部分ですね。ここの部分で、長期的な収支バランスだけではなく、毎期の収支バランス、基本金組入れ前も同時に表示しましょうという概念ですね。

 次に内訳を3つに分けます。まずは、経常的な収支バランスと臨時的な収支バランスに大きく2つに分けて、経常的な収支バランスを2つ、本業での収支バランスと本業外の収支バランスに分けます。黄色の部分が本業での収支バランスで、教育研究事業収入・事業支出になっています。緑の部分が本業外の収支バランスで、教育研究事業外収入と教育研究事業外支出が載ってきています。オレンジが特別収支というような整理をしてございます。

 先ほどの資金収支と同じように、左と右で対比して見ていきますと、まず一番上、学生生徒納付金は全部事業収入、手数料も事業収入です。

 寄附金の部分ですけれども、事業と特別に分けて入ってございます。基本的に使途不特定と特定の部分の経常費経費の部分は、一番上の事業収入に入り、施設とか設備みたいなものに特定されたもの、臨時的なものは、このオレンジ色の特別収入の中の寄附金に入っていくのかなというイメージです。

 補助金も、やはり大きく2つに分けて、事業収入に行くのが経常的な補助金、特別収支の方に行くのが施設設備系の補助金、こんなふうに分けていくのかなというイメージです。

 資産運用収入は、事業外の方に持っていきます。

 資産売却差額は、これは臨時的なものでございますので特別収支に持っていきます。

 事業収入は、そのまま事業収入です。

 雑収入もほとんど事業だと思うんですが、それ以外にもあるかもしれないので、一応、事業外にも勘定科目を置いておきました。

 この辺が、収入の内訳でございます。

 それから、支出の方ですけれども、人件費、教研費、管理経費は全部事業支出です。

 借入金利息は、事業外支出の方に入っています。

 資産処分差額は、臨時だということで特別収支です。

 徴収不能の関係は、全部経常的な支出です。こんなふうに支出の内訳を分けております。

 まず、経常的なものと臨時的なものの違いは、臨時的なものの方の収支がむしろ経常的でないものというような収支ですね。資産売却とか資産処分、前期損益修正みたいなものが主に入ってきます。施設系もそうでしょうけども、そういったものが主な構成要素になってくるんじゃないかなというふうに考えております。

 ここまでが、消費収支計算書のイメージです。

 最後、貸借対照表ですが、変更になった部分だけ色をつけております。3か所ぐらいですかね。資産の部のその他の固定資産の「施設設備引当特定資産」と呼んでいたものを、右側では「第2号基本金引当資産」というものにしております。

 資料2でお話しした基本金のさらなる明確化、さらなる明瞭性を確保しつつというところの1つの例になってございますけれども、現行の基本金の第3号は、同じ名称で、引当資産の部に、第3号基本金引当資産を同額載せるというルールになっているのに対して、2号に対してはそういうルールがありません。施設設備引当資産というもので同額計上をしているところがほとんどだと思うので、少なくとも2号と同額を第2号基本金引当資産として明確に、ちゃんと資産的な裏づけがあるんだよというふうにしてもらいます。これは明瞭性の観点から、入れてもらいます。

 ただ、学校によっては、2号に入れないんだけれども、施設設備引当資産を持っている学校もあろうかと思いますが、その場合はそのままにします。2号相当分を2号として特定してもらおうというのが、この2号基本金引当資産のイメージでございます。

 それから、大きく資産の部、負債の部、基本金の部といって、消費収支差額の部というふうになっていた大きなくくりを、資産の部、負債の部までは変わらないんですが、その下に、基本金の部と消費差額の部を合計した「純資産の部」というものを設けてはいかがかというのをつけ加えてみました。これも、明瞭性の観点ですね。負債に対して純資産がどれぐらいあるのかということがわかりやすいように「純資産の部」を載せて、その部分を一番下、「純資産の部合計」、「負債及び純資産の部合計」というような経緯に変えさせていただいているということでございます。

 ここまでが、財務三表のイメージでございます。

 あと、最後に、資料4で、前回と変えた部分だけ、簡単に御説明だけさせていただきます。

 一番上の「目的」でございますね。学校法人の主なる目的は、補助金の適正な配分と、永続性を図るための計器であるというところだったのだけども、先ほどの資料2で、新たに「外部報告目的」ということも追加して明確にしたらどうかというようなことをつけ加えました。

 国立大学法人等は、国民に対する情報開示、業績評価です。公益法人も、寄附財産受託責任の明確化、国民への情報提供です。社会福祉法人は最近変わった、変更されたばかりでございますけれども、経営分析と外部への情報公開です。企業は、投資家保護と債権者・株主保護というような形態で、外部報告目的が、ほかの基準にほぼ入っているというところを見ても、入れる必要性はあるのかなというところでございます。

 それ以外の部分で見ていないのは社会福祉法人で、縦に見ていったときに、資金収支計算書かキャッシュ・フロー計算書かというと、社会福祉法人は唯一、資金収支計算書というのを改正後も維持しておるというところが、ほかの会計基準と違うところなのかなというところでございます。

 消費収支計算書に関しては、「事業活動計算書」という名称にしておって、区分経理は入っています。これは、ほかの会計基準にあって学校会計にないという共通要素は同じでございます。

 貸借があって、基本となる財産は基本金ですけれども、これもやはり改定になって、寄附者から使途特定でもらった寄附金のみに基本金を限定するというような改定内容になっていたかと思われます。

 次のページ以降は次回の論点ですので今回は省略し、目的から、財務三表、基本金までの部についての、座長と私どもとで話し合って決めたイメージだけ説明させていただきました。

 どうぞ、御議論をお願いします。

【大橋座長】 

 ありがとうございました。それでは、順番に、三表ですから、ここからの表あたりを中心に、御意見をいただければと思います。どこからでもいいですけど、どうでしょうね。佐野委員、どうぞお願します。

【佐野委員】 

 資料2について確認させていただきたいんですが、資料2の資金収支計算書のところで、「公教育を担う学校法人は云々(うんぬん)」ということで、学年単位の作成を示しています。そこに、その資金の流れを整理する資金収支計算書が必要だという根拠を置いているんですが、通常といいますか、一般的には、私学法人、社団法人、会計年度を基本として、資金収支を図るために調整勘定があるということかと思うんです。ここに学年というのを持ってきたのは、例えば国際的な、9月入学とか意識があるのかとか、ちょっとこの辺の根拠、理由、会計年度以外のところに根拠を置かれた、会計年度としなかった理由を教えていただけますか。

【田辺専門官】 

 9月入学という話はとりあえず置いておいて、会計年度が4月から3月になっていることのイメージというのは、やっぱり学校の活動が4月から3月になっているからなのかなという、その原因のところに少し触れて、それに合わせて会計基準が年度単位になっているというイメージで書かせていただいたものでございます。

【小松部長】

 補足ですけど、会計のことですから、会計年度に合わせてもちろんわかるようにしなきゃいけないということがあると思いますが、そのほかの、基本金とかそういうことも含めた、すべての学校法人会計というものが設けられている基本は、学校法人の設置目的なり、あるいは存続目的が、学校教育法に定める教育活動を、法令に基づく教育活動を行うということです。それについて、どのような資金の流れになっているかということがわからなければいけないという、いわば会計基準上、学校でなくてもすべての事業体に通用する意味での会計年度という議論はありますけれども、それと同時に、学年としてどういう単位でお金が入ってくるか、あるいは出ていくかということを明らかにするという視点が、独自のものとしては維持されなければいけないということが、前回の御議論の中で、これの根本的な姿勢として、学校教育の目的に沿った会計基準にするという手続をしっかり表現してくれというようなお話もありましたので、それに沿った書き方になっているということで、矛盾することはないというふうに考えています。

【大橋座長】 

 「学年単位で活動を行っているため」というのは、学校はそうだよねっていう線、もう少し大きな、基本的な位置づけがあるんですよね。佐野委員、よろしいでしょうか。

【佐野委員】 

 はい。

【大橋座長】 

 では、片山委員、お願いします。

【片山委員】 

 資料2のところの「目的」というところです。説明では2行目のところで、「外部報告という目的もあることを明確にしてはどうか」というふうに書かれているんですけれども、これは主たる目的は、従来どおりの補助金の適正な配分というのを目的とするというのは、それはそのまま掲げているということですか、それに加えて、外部報告という目的もありますよという、そういうことなんでしょうか。

【田辺専門官】 

 主たる目的がどちらかというのは別ですけれども、補助金目的も維持しつつ、プラスアルファで外部報告という目的をつけ加えるということで、両方生きるということになります。

【片山委員】 

 きょうは委員会としては2回目なんですけども、基本的なところを議論する前に、既にこういう形で提案という形を出されるということですよね。ちょっと前の方で議論が必要なのかなと、こう思うんですけれども、この問題についてでは、基本金の問題とかですね。全体的にすべて、御提案ということなので、少し急ぎ過ぎというような印象も受けるんですけども。

 それから、会計基準ということで、いろいろな事業体に対して会計基準というものを設定されておりますけれども、会計の方の観点から言うと、基本的には会計基準というのは、外部報告目的の会計基準というのがあるんですね。会計基準というのは、その外部報告目的のために、どういうような会計基準から情報公開の資料として提供できるもの基準を設定すればいいかというのがあって、それに加えて、それを助成金とか補助金とかそういう目的のためにも使うとか、あるいは内部管理目的にも使うとかそういう、微妙に立つ位置が違うと思うんですよ。それが、こちらの方では、補助金目的は補助金目的で、これは第一ですよっていうことでいくんでしょうか。

 例えば、公益法人の会計基準の決め方としては、平成16年改正とか20年改正のあたりの意見ですけれども、基本的に、外部報告目的の会計基準なんですよというふうにスタンスを決めて、それで、ただ、公益認定の問題などがありますよね。公益認定に当たっては、それに対応する配慮を別の段階でしています。

 例えば、会計上は費用には計上されないものなんだけれども、公益認定の観点から言うと、それは費用扱いをしてもいいですよと。例えば、ボランティアだとか何かの費用なんかも、お金は払っていないから会計上は費用には計上していないんだけども、一定の客観的な相場の分だけ金額を計算して、それは公益認定に当たり、公益目的事業比率ですとか、収支相償の基準とかでは、そのときは費用扱いしますよという、そういうふうな扱いをしているんですけれども、こちらの方では、補助金目的というのを中心とするということでいくんでしょうか。

【大橋座長】 

 これ、この「も」というのは確かにね、ちょっとひっかかりますね。しかし、前回の議論もそうですけど、全体の流れとしては、今学校法人会計に必要なのは、外部報告をどういうふうに、その要請にどういうふうに対応するかというのが課題ですよね。前に書いた補助金の配分ということだけならば、あるいはこれでいいのかもわかりません。だけど、どうしてこういう検討会を実はやっているかというと、やっぱりこれじゃ、わからないよね、もう少しほかの事業体と比較できるような、そういうものにしなきゃいけないよねと。

 だから、基本的な検討の課題の方向は、外部報告をするということです。それが、わかりやすく、どういうふうにできるか、その基準をどういうふうにつくるかということにあるのは結構はっきりしているんじゃないかと私は思って、ちょっと見過ごして読んじゃったんですけれども、それはそういうふうに思っていますけれども、その辺、いかがでしょうかね。

 だから、きっと片山委員の今の御発言は、いつまで補助金目的を引きずって、外部目的の基準として議論していくのか、あるいはちょっと躊躇(ちゅうちょ)しながらしていくのかというようなことだと思いますが、方向ははっきり、外部報告のためのきちっとしたわかりやすい会計基準はどうあるべきかということを議論していくことではないかと私は思っていたんですけども、どうですかね。

【徳田委員】 

 いろいろと議論があると思いますけども、やはり学校会計基準も40年の長い歴史を踏まえて、学校、私立学校のためにつくられたところの会計基準だろうというふうに私は理解をしております。その他、いろんな社会情勢の中において、わかりやすく、要するに補助金を受けている学校法人として、社会にわかりやすいそういうものをどうつくるかというのがやっぱり今回は、私は、最大の部分ではなかろうかというふうに受けております。

 今全体を見させていただきましたけれども、これはやっぱりなかなかそのまま実行するということは、大改正ということで、果たして学校法人全体が実務的に耐え得るかどうかという部分もあると思います。

 ですから、やはり今までのものの、40年間のものを踏襲しつつ、国民に、皆さん方に情報公開としてわかりやすいものを、どういうものがわかりやすいのかということを付随的に作成するということの視点も必要ではないか。会計の仕組みを全部もう変えてしまうというのは、確かに将来的にはあり得るかもしれません。でも、現行は、少なくとも補助金を受けているということは事実ですので、やはり補助金がなくなった場合には、また新たな会計基準というのはどうあるべきかということを議論すべきではないかと私は思います。

【森本委員】 

 前回もお話ししたんですけども、学校法人会計基準というのは、文部省が補助金のためにつくった。だから、そっちが先にできてしまったというのが、いわゆる学校法人会計の、ちょっとほかとの違うところでありまして、それで、世間一般から情報公開しろというのは、これはごく当然の流れだと思います。

 その流れに乗っていくときに、これまでの40年間の歴史をどうするんだという問題ももちろんありますし、急カーブを切ると非常に、とんでもない勘違いを起こす可能性があるのは確かなんですけど、やっぱり基本的に言うと、私は、私学振興助成法じゃなくて、私学法に対する具体的な、例えばこの47条で情報公開だと言っている以上は、そこの情報公開は何をもってするんだということで決めておいて、結果的に言うと、それは振興助成法で言っているのと同じものなんだよというようなことが、それが法令の書き方として技術的にできるのかどうかわかりませんけども、その辺のところの基本をそろえた方がむしろすっきりして、補助金のためだと言いながら、みんなにもわかるようにというと、どうしてもちょっとそこのところは無理があって、みんなにわかるようにするんだけど、補助金でもわかるようにという方が、もうちょっと楽になる決め方なのかなと。

 ただ、一般の学校の人というのは、補助金のためだと信じ込んで書いていたのが、急に一般のためだという目的が目の前になってくると、びっくりしちゃって、自分は何していいか全くわかりませんという人が前にいましたね。特に小さいところですと、全くパニック状態になる可能性は起こり得るとは思っていますけども。

【徳田委員】 

 例えば、資金収支計算書のイメージなんかは、こういう2つ出てまいりましたけども、かなりもう急カーブという、私は印象を受けております。

 キャッシュ・フロー計算書は、そういう意味での、事業別に何らかの形で決算書用のものを、やはり公開用に何かつくらなきゃいけない。それは理解しておりますけども、それをどういうふうなプロセスで、どういうふうな手順でつくるかというのは、まさに我々実務家、実務をやっておる人間、これには余り負担をかけずに、やはりキャッシュ・フロー計算書というものをつくり、公開できるのが一番、私は、いいのではないかと。

 というのは、資金収支計算書は、この最初の資料2でもやはり予算制度、学校法人はやっぱり予算制度が一番、ある意味においては非常に、中長期も含めて大事だということで、これは、中長期計画の予算書がスムーズにできるんだというものが一番やはり大事だろうと思います。そういう中における調整勘定というのは、やっぱりそういう意味でもできているのではないかなということの仕組みです。

 しかし、そういうもので、調整勘定が社会一般的にはよくわからないということで、キャッシュ・フロー計算、実際のお金はどうなっているかということでの財務諸表をもう1表つくる。これについては、社会への情報公開という視点からいけば、やはり必要なのではないかなというふうには私は感じて、これを見させていただいたときにはそういうふうに感じたわけでございます。

【鈴木委員】 

 ただ今の座長代行のお話から、これまでの経緯がよくわかりました。

 ただ一方で、今回このような形で検討会を開いて、大きな形で、情報公開というところに統括したような形で改正をするということであるならば、そこのところをしっかり表に出した方が、一般の人にとってはよりわかりやすいのではないかと思います。

 ですから、実際問題のところは、補助金の適正な配分という、非常に大きな目的があるわけですから、これは維持し続けるとしても、表のところでは、情報公開というものを前面に持ってきて、実質的なところで、この補助金の適正な配分というのを確保していくという形の方がよろしいのかなと感じます。

【徳田委員】 

 確かに、外から見られる方からすると、多分そういうふうな御意見になろうと思いますけども、我々、長く中からやっている場合で、この資金収支というのは、やっぱり予算制度というのが非常に大事であるという認識です。

 ですから、キャッシュ・フロー計算書は、それはそれとして、新たなきちっとした形で位置づけをする。位置づけをするということで、同等、ないし同等の位置づけをするということで、決算書の一部としてやるという方向と、できるだけそれを情報公開にするという方向、ここは、大学法人、小中高法人、いろいろありますけれども、どこまでするかというのは、またこれは議論をしなきゃいけないんですけども、少なくとも大学法人は、ちゃんと資金収支計算書、法人全体のものと、最低、キャッシュ・フロー計算書は公開しますよ、ということであれば、社会の部分の報告と、学校法人特有の活動というものについては、両論があり、維持、活動ができるのではないかなというふうに私は思うんですけども。

【大橋座長】 

 今までの実務の中で、実務といってもいろんな規模のでというか違っていて、いろんな実務があると思いますが、今までの会計基準でなされてきた、例えば予算会議の問題なんかを、資金収支計算書なんかをきちっとどう位置づけるかということは、きちっと議論しなきゃいけない。

 それと、例えばキャッシュ・フロー計算書をつくるとすると、そうすると資金収支とキャッシュ・フローとどういうふうに、どういうレベルで、みんなそれをやらなきゃいけないのか。あるいは、そういう方向性を誘導する。あるいは、「大きいところはやってください」というような言い方をするかというような、バラエティはあると思うんですね。

 それで、今までの実務と、それから補助金の配分のための会計、それから外部報告のための会計というものが、もう全然違うもので、一緒に議論できないというような性格ではないんじゃないか。今までの会計実務を尊重しながら、でも、新しい外部報告会計を目指していくとか、あるいは提示するというようなことは、両方できるんじゃないかというふうに私は思っているんですけども。その辺は、個々の計算書を議論するときに、これはとても全部の学校にはできませんよとか、あるいは、これはやっぱり社会的に要請されているから、ここまではやらなきゃいけないんじゃないかという議論を、これから十分にやっていければいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうかね。

【高橋委員】 

 まず、冒頭、片山委員の方から御提案というか、ございまして、その目的はどうなんですかというところに関しては、そして会計基準というものはそもそも外部報告目的だから、そこを強調するんですかどうなんですかというあたりをおっしゃられていたと思うんですけれども、私は、先生のおっしゃるとおりでもあるし、そして、その両方の目的を並立させるというのがいいのか、どちらが主従と決めるのではなくて、改めて明確にするのはよろしいのではないかというふうに思います。外部報告目的ということがこれだけ大切だとされてきているわけですし、私もそう思いますし。

 それから、現実的に、では、どうしようかと。例えばこの資金収支計算書、キャッシュ・フロー計算書についても、今までの実務から大きく変わるように見えます。そして、適正な補助金配分に資するという目的に関して、これが両立するかどうかという論点もあったと思うんですけれども。私は、まず、大きく変わるということに関しては確かに危惧している部分がありまして、非常にスタッフのそろった大学法人を中心とする大学法人は、いわば容易に対応していける改正かもしれませんけれども、必ずしもそういう法人ばかりではないのも現実だというふうに思っています。

 現状の資金収支計算書は、予算との絡みでも非常に使い勝手が多分よろしいということもあって、継続したいという気持ちの一方で、ちょっと両論併記で本当に申し訳ないんですけれども、このキャッシュ・フロー計算書のイメージの、内容別に資金収支差額を出していくという形は非常に有用だというふうにも思っております。徳田委員のおっしゃったような、どこまでどう、どこの大きさの法人にといいますか、まで適用するかどうかはともかく、決算書の一部とするのか、情報公開用とするのかはともかく、キャッシュ・フロー計算書も取り入れていくことに賛成いたします。

【佐野委員】 

 今の、どこに軸足を置くかというお話かと思うんですけれども、会計基準を今議論している大もとというのは、やはり外部報告目的を果たし得ない基準になっているのではないかというところに、一番の問題があったというふうに理解しております。

 今般、この計算書類の体系、それから個々の会計処理基準なども今後検討されるのであろうと思いますけれども、それに当たってどこに軸足を置いて物を考えるかというのは、大変重要な問題だと思っております。

 今般はやはり、法的な措置につきましては、森本委員の方から私学法に置くべきだろうというべき論もありましたが、これについてはここの委員会のマターではないと思うんですけれども、検討会としては、やはり外部報告目的の基準検討をするのかと。冒頭、一番初めの委員会でもありましたが、私学部長からは、外に対してはわかりやすく、そして、内向きについては経営判断を誤らせしめないようなものということがありましたので、やはりこれは外部報告を念頭に置いて考えるべきと思っています。ただ、実務上、やはりこの40年の歴史を持つ会計基準が、他の会計、例えば国大とか独法のように新しい制度の中でスタートしたのではなくて、40年の歴史の中で培われたこのノウハウを捨てるものではないとも思っています。したがって、この40年の歴史を、いいところを取り込みながら、また、その実務へどうほうり込んでいくか。組みかえなのか、それともやり直しなのか、そういったところは、その方法論として、実務に混乱を来さないように考えるべきだと思っておりますので、やはり外に対して説明しやすく、そして経営者もわかる、理事者の方もわかるというものを念頭に置いていくのがこの会議ではないかなと私は思っております。

 それで、一番気になるのは、例えば目的を補助金配分と両論併記とした場合に、皆様御承知かと思いますけれども、特に人件費の部門別配分が一番これ、実務的に問題になっています。外部にどう説明しようとしても、今の補助金配分を念頭に置いた部門別張りつけというのは説明しにくいところがあります。

 こういった問題をここで今後検討していくに当たっては、やはり、外部に対してどうしたら、例えば学校部門別の教育研究活動が行われているのかを説明しやすいか、また、学校法人として、公教育を担うこの制度として永続性を果たしている、果たせるんだということを見せるか、その辺のところをやっぱり中心に物を考えていきつつ、補助金については、必要に応じて、例えば今見せていただいた資料3にあるような計算書類から、必要なところは補助金配分用に組みかえるといったようなことを考えるような方向で考えた方がよろしいのではないか、というふうに考えております。

【大橋座長】 

 かなりこれ、具体的な計算書を見ながら議論しないと。確かに、補助金なのか、外部の方なのかって全然、2つ対立しちゃいますけれども、実際の計算書を見ながら、やっぱり外部目的をきちっと果たして、補助金配分に役立っていけるような、そういう計算書というのが、そんなに違うものとしてあるかなというふうに正直思うんですけれども。

 そうすると、今課題として課せられている外部目的の計算書をきちんと構成する。それと、実務がそれにきちっと対応できるかということを検討する。それと、補助金の配分についての対応関係を検討するというような形になればなというふうに思いますけども。

 それともう1つ、片山委員から御指摘されました、ちょっと早過ぎるんじゃないのという議論と。私も、この全体の構成を見たときに驚いたのですけれども。

 しかし、やっぱりこれは、議論が長ければいいというものでもなくて、この議論が、「こういう形で構成されればできますよね」ということをやってみないとわからないなということで、それをなるべくこの日程に合うような形で努力していく。あるいは、できないものはできないですから、それは結果ですけれども、目標としては、こういう設定をしていただいていますので、これでいきたいなというふうに思っています。しかし、議論が省略されるとかそういうことはあってはならないので、きちっと御意見を出していただければというふうに思っています。

【片山委員】 

 ありがとうございました。それでは、いろんな財務諸表が入っているんですけども、やはり消費収支計算書の取扱いの方から議論していただくといいかなと思うんです。それは、現行法上の学校法人の会計基準の非常に大きな特徴、ほかの、企業会計や公益法人等の会計制度にはない特徴としては、消費収支計算書及び基本金組入れという、ここのところが非常に大きな検討課題だと思うんです。ですから、消費収支計算書について、ここから議論していただければいいんじゃないかなと思うんですけども、いかがでしょうか。

【大橋座長】 

 私はそれでいいんじゃないかと思いますが、何かご異論はありますか。

【大橋座長】 

 異論ないとのことですので、よろしいでしょうか。特にこの区分経理と基本金の組入れのところですよね、このあたりの議論から始めさせていただいてよろしいでしょうか。

 では、資料3-2ですね、これを御議論いただいて。この区分経理ですね、これはやはりそれなりに実務的にも、考え方としては、もともと実務的にはどういう課題があるのか私はわかりませんけれども、何かございますか。

【徳田委員】 

 私は、こういう提案が出てきたというのは、社会的に見て、こういう情報公開は必要であると。そしてその中の一環として、こういう経常収支の部分、それから教育研究の3つに分ける。あくまでもやはり説明をする、わかりやすくという、そういう中における社会一般的なものとしてのこの位置づけというふうに私は理解したということで、現行の「消費収支」という、消費収支というこの文言が非常になじみがないということでのことではないかなというふうに思っていますし、また、基本金については、これはいろんな議論がありますけども、私はやはり、私立学校特有のものであるというふうに認識して、理解していただくしかないんだろうというふうに思っています。

 先ほど、前回も私、会社の資本金というふうなものと、資金の導入の仕方が全然違う。違う中で、基本金はおかしいという議論というのはちょっとやはり、株式会社と学校法人とは違うというところの、資金のいろんな教育研究活動の部分が違うということで、やはりこの基本金制度というものを残すというのは非常に大事だろうと説明しました。

 結局、基本金というのは、この辺がちょっと疑問の点もあるんですけども、要するに、固定資産をどこの資金で掲げますかということなんですね。ですから、その財源が、裏打ちがないものの財源の計算体系というのは、やっぱりまずいだろうというふうに私は思っています。ですから、当初の消費収支計算書というのは、それを帰属収入、負債とならない収入で賄ってください、というのが私立学校の当初の考え方だろうと思います。ですから、それによって、設置基準である土地建物と寄附金、そういうものが必要であるから担保されているという。その中からやっていたのが当初の学校法人会計の基準だろうと思います。

 それが、だんだん基本金取崩しとか、そういう要件の緩和を含めて、果たしてそれでいいのかなという議論の中で、収支差額を求めた後の中から基本金というものを考えてはどうかということでの、この資料としての私は理解をしておるということで、細かく言うと、図書についてどうするんだという1つの疑問が残るんです。

図書というのは、大学にとって非常に大事なものなんですね。なおかつ、固定資産に載せている。それは、帰属収入から基本金という形で控除して、図書を購入している。それも、減価償却をしていないです。この扱いをどうするのか。学校の根幹である図書について、社会福祉法人でもない、多分大学法人には本当に大事なものなんです。この図書についてどうするんだということです。

 要するに、今までは、収入から買ったんですよということが担保されるんですけども、今後は、帰属収支差額から図書を買います。あ、収支差額はないですから、図書は買えませんねという発想にもなりかねない。

 ですから、この図書というのは非常にやっぱり、いろんな教育研究をしていく上に大事な部分でありますので、何とかこの、とにかく部門別の、区分別のものをやっていくのであれば、この図書をどうするのかということを、どこかの中でやはり計上するとなると、教育研究活動ですね。もう図書なんていうのは数千、数百、金額に関係なく固定資産とするというのが現行の制度ですので、この辺も、もし経常収支と区分別に移行するのであれば、その辺を明確にして、できれば経常収支の中にちゃんとそういうものが入れられるのであればいいなというように思います。ですから、一方ではやはり固定資産として管理しなきゃいけないという、相矛盾するような部分が出てくるのではないかなと思います。

 あとは、機器備品については、最近はもう取りかえ更新という考え方の中で教育研究活動をきちっと担保ができます。平成17年の基本金取崩し要件が緩和されてきましたので、そういう中で、教育研究活動はそういう意味では担保されます。しかし、図書についてはどうするんだと、こういうものを少し私は、これを拝見したときに、経営計画を、例えば財政計画を立てるとき、側面からすると、この問題もやはり避けて通られないのではないかなというふうに私は理解をいたしました。

【大橋座長】 

 こういうふうに区分すると出てきますね、その課題が。どうですか。

【鈴木委員】 

 ちょっと質問なんですが、単純な質問ですけども、現物として寄附された図書はどのように、現在は処理しているんでしょうか。

【徳田委員】 

 現物寄附金収入と図書です。貸借対照表上の、貸借対照表と、消費収支計算書だけの取引になります。消費収支上では、現の寄附金収入の中に、現物寄附金収入のところに入ります。それが、相手方の貸借対照表では図書の評価にするわけです。

【鈴木委員】 

 すると、買った図書と寄附を受けた図書で、資産として分けているんですか。

【徳田委員】 

 資産は一緒です。

【鈴木委員】 

 資産は一緒ですか。図書が固定資産になるのですか。

【徳田委員】 

 固定資産です。問題は、買った図書が、財源がどこなのかということが見えないことです。

【片山委員】 

 資料3-2、消費収支計算書ですね。これを拝見しますと、今まで、消費収支計算書も資金収支計算書も1区分しかなかったわけですから、これが活動区分別で表示をするということはいいことだと思うんです。この消費収支計算書も、経常と特別というふうに分けておりますね。これはいいんじゃないかなと思うんです。

 ただ、一番最後のところで、特別収支差額というのがあって、その下に帰属収入というのが来ていますよね。現行では、左の方の様式のところで、学生生徒納付金から雑収入のところまでが帰属収入ですよということはわかりますよね。ただ、変更後のこの様式ですと、特別収支差額というところまで来ていて、ここに帰属収入というのが入ってきますから、今までのことが何もわからない人から見ると、あれっ、この帰属収入というのは何かなって思うかもしれませんね。

 それから、消費支出というのもありますけれども、この上の方の様式からは、消費支出はどれかということはわからないかもしれないですよね。

 その下の帰属収支差額というのは、いわゆる経常収支、それから特別収支、全体を合わせた差額が帰属収支差額になりますかね。そしたら、経常収支、特別収支って、そして、その特別収支差額の下のところに一本で、全体のところのは、例えば帰属収支差額というふうにすればわかりますよね。

 それから、消費支出というのは、上の支出の部分、全部なんですか。

【田辺専門官】 

 はい、そうです。

【片山委員】 

 そうすると、「消費支出」という言葉を使わなくても、帰属収支差額が出て、帰属収支の差額というのは別の表現かもわかりませんけれども、その数字が出て、基本金組入額を控除するという形になるんですかね。

 申し上げたいのは、ここの様式、変更後のどこだというと、帰属収入というのは、これは何を指すのかなというのがほかの人からわかるだろうか。消費支出も、ぽんと出てくるので、わかるかどうかという、そういう感想を持ちました。

【森本委員】 

 これの組み方の問題で、計算の仕方は当然、右にあるようにこうなっていくと思うんですけども、言葉の表現の問題はちょっとありますけども。従来ですと、帰属収入を計算しまして、何億円だとまず出ますね。それから、消費支出を計算して何億、帰属収入やって基本金組入れをしたから少し減ったなと、そこまで単純に計算をやって、消費収入の合計と消費支出の合計を比べたら、ああ、マイナスだということで、一つの支出超過だということで済んだんですけど、今度ので見ると、帰属収支差額を出してみて、それがマイナスになっていることは当然あり得ますよね。そこのところで基本金組入れをするというと、マイナスで組み入れているとは何ぞやという、非常に初歩的な疑問が出てくると思うので、ですから、前のこと、現在からも問題がないわけじゃないんですけども、それをこうすると、問題が非常にはっきり見えてしまって、だから、各学校でこれ、決算説明をする人はめちゃくちゃ困るんじゃないかなと思いますけども、というような感じです。

【佐野委員】

 私も、この基本的な区分については、非常にわかりやすくて賛成です。どこに何を入れるかというのは今後また議論があろうかと思いますが、基本的に、この経常的な収支と特別収支という区分があって、経常的な収支も2つに分かれるというのは、大変見やすくなるのだろうと思っています。

 ところで、今、紫のところの話題になっていますけれども、帰属収入を出して、基本金組入れを引いて消費収入を出していたというのは、やっぱり収入が一本だからこそ意味があった合計値で、そこから永続的に維持するための価値の額を引いて収支バランスを合わせようとするならば、将来の固定資産の買換えに備えようということで意味があったのだと思うんですが、この区分経理をするということになると、果たして全体の収入が、ここの1表の中で出すことに意味があるんだろうかというふうに思うんですね。紫の表の帰属収入は、この縦の計算からは出てこない数字になって、非常に逆にわかりにくいのかなと。

 これは、先の諸課題の検討会においても、単純に「収支の差額」ということでこの紫の欄を表現したんだと思うんですけれども、この欄の使い方は、ちょっとわかりにくいという意味で、説明しにくいんじゃないかと思います。

 帰属収入と帰属収支差額の意味というのは必要だということは重々わかります。帰属収入の中からといいますか、過年度の収入も含めまして、そこから基本金を組み入れるということに、学校の永続性を図る1つのメルクマールがあったわけですから、この帰属収支差額から基本金組入れを差し引くというのは、御提示の様式では、ちょっと、説明しにくくなってしまうのではないかというような気がいたします。むしろ別に、消費収支計算書改定案ということで、この変更後の案があったとしても、その指標としての帰属収支差額は別に求めるか、求めないかを検討した方がいいのかなと思います。

 となると、当然、基本金のありようにも影響してきてしまって、今まさに、基本金をここに書くことがどういう意味があるんだろうか、どういう意味を持たせるんだろうかということが問題になってくると思うんですね。

 やっぱり基本金を維持するかどうかというのは、今後話題になるんだと思います。一遍になくしてしまうという、乱暴といいますか、極端な意見もないことはないと思うんですけれども、やはり学校法人の制度としての特殊性からかんがみると、やっぱり説明のつく、いわゆる基本財産というものの価値の維持は図るべきだと思うので、何らかの形で整理が必要と思っております。ただ、この表の中に入れ込むには、この紫の欄が非常に説明しにくいというのが感想でございます。

【高橋委員】

 私は、この紫のところなんですけれども、まず、帰属収支差額という概念は非常に重要だなということには同感いたします。

 ただ、先ほど、この計算書がわかりにくいというところで、例えば、帰属収入と消費支出というこの紫の上の2行が、今までの概念を引きずっているので必要だということであるのかもしれないんですけども、これを取っ払ってしまって、その差額の積み重ねで帰属収支差額という形できて、そして、基本金組入額を差し引けばいいではないかというふうに思っているんです。

 ただ、基本金概念とは確かに非常にリンクする話で、そう簡単な話ではありません。基本金組入れというのは、そういう差額概念から、差し引くものではないんだということがあるとは思うんですけれども、現代の経営において、この帰属収支差額の概念が大事だと思いますので、まず、この消費収支計算書に載せるということです。

 でも基本金は、今の前提でいけば、基本金は維持していこうということでありますから、基本金組入額を別のところで記すという方法もあるのかもしれませんが、今の消費収支計算書のお尻と合う、合わせるような形でいくと、そういった形で基本金組入額を差し引いて、当年度の消費支出超過額という形で出てきます。

 そうすると、こちらで言う帰属収支差額は、短期・中期の経営を見るときに、外部報告用でこれは欠かせないだろうと。そして、やや基本金の位置づけが緩くなるような、甘くなるような感じはしますけれども、基本金組入れをそこから差し引いて、当年度消費支出超過額という形で、基本金の概念も取り込んだ利益概念を持ってきます。これは、中長期的に収支均衡を図ろうということで、短期・中期と中・長期の利益の概念を両方表示できるいい計算書の形なのではないかなというふうに私は思います。

 ただ、冒頭申しましたけど、帰属収入、消費支出というところを残すかどうかというのはありますけれども。

【桑田委員】

 前回私も、区分経理は必要であるというような話をして、1つの計算書の中にやっぱり経常的なものと臨時的なものが入っているということで、この区分経理については賛成だったんですけども、今の議論を聞いていると、やはり現行の消費収支計算書と、付表として、こういう形の区分経理、収支計算書を、例えば事業報告書とか事業計画書に載せるという形が、一番まとまりやすい形じゃないのかなというふうに思っています。

【大橋座長】

 消費収支計算書の中に基本金組入額が入っているということと、議論が前後しちゃうんですが、基本金をどうするかという議論があります。基本的には、学校法人会計のずっと今までやってきた考え方を踏襲したなら、これをやっぱり残していかなきゃいけないんじゃないかというふうに私個人は思っているんですけれども、そうすると、今までわかりにくい、わかりにくいと言われた基本は、この基本金を差し引く場所が悪いよねっていうことです。

 今、高橋委員がおっしゃってくださったように、帰属収支差額は出す必要があり、それからの話じゃないかなって思うんですね。それで、その後、基本金を組み入れるということで、確かに、一番初めにおっしゃっていただいた、帰属収入と消費支出はどこから出てきたんだというと、いかにも据わりが悪いという気はするんです。

 いきなりこの紫の上2行を取って、帰属収支差額が出てくれば、こうこう、こういうふうに計算するって、表の並びとしてはね、わかりやすいかなというふうに今のところ思っていますけども。

【佐野委員】

 「帰属収支」という言葉を残すかどうかというのは、また別問題だと思うんですね。

 前回の在り方検討会や諸課題の検討会でもお話ししましたように、ここは「当年度収支差額」でいいのではないかということで、事業収支差額があり、経常収支差額があり、特別収支差額があって、この3つを足せば、当然に当年度の収支差額であるということです。

 「帰属」という言葉が非常にわかりにくいというのはあります。要するに、収入全体を一本化したときには「帰属収入」という言葉に意味があると思うんですけれども、区分表示したときに、「帰属収支差額」というのは、学校会計になじんでいる我々はわかったとしても、説明しにくいのです。

【大橋座長】

それはいいですね。それはいいと思います。

【佐野委員】

 その下に、基本金組入額を、入れざるを得ないのであればここしかないんですが、冒頭の会計基準のそもそものスタートのときにあった、それぞれの収入から引くという方法、例えば特別寄附金から差っ引くのだと。当然、固定資産を取得するものについてはですね。そういう考えもあったということで、これは、個々に入れるのか、それともこの一番下に入れるのか。それから、また、さっきちょっと申し上げましたように、当年度収支差額とは別につくるのか。その辺のところはやっぱり、説明しやすさという点からして、議論の余地があるんじゃないかなと思います。

【鈴木委員】

 今のお話を聞いていて思いましたのは、先ほど御指摘がありましたように、私も、ここの部分につきましては、付表にすれば、今のような問題が全部解決できるのではないかという感じがしました。

 というのは、情報として提供しなきゃいけないということで言えば、こうした収入、あるいは支出について役割別の区分をしていただいた方が、はるかにわかりやすくなるわけですが、今のような問題が出てくるのだとするならば、無理にその辺のところを詰めるよりは、2つ、ともこれを表に出して、詳細説明を展開するという形にするのがよろしいのかなと思いました。

 そう思うもう1つの理由は、教育研究事業収支、それから経常収支、特別収支というふうに分けてありますが、ここのところの区分というのは、一見すると簡単なようですが、実際やり始めると、どこに分別するのかがなかなか難しい問題にもなりかねない感じがしました。

 例えば人件費がすべて教育研究事業にかかわるものなのかということは、多少は議論が出てくる可能性がありますでしょうし、そうした意味で言うと、管理費とか、雑収入、寄附金は分けていらっしゃるようですが、これを前面に出して基本にすると、かなり作業が大変になって、逆に当初の趣旨が損なわれることにもなりかねないかと思っています。

【大橋座長】

 鈴木委員がおっしゃるのは、この紫のところを全部、別表ということですか。

【鈴木委員】

 紫のところは、もともとは現行の消費収支計算書に出ているわけですが、これを変更後のように、帰属収支差額というような形で突然表記すると、確かに一般の人にはわかりにくくなるのではないでしょうか。

【大橋座長】

 先ほど高橋委員がおっしゃってくださった、例えば呼び方とも関係して、帰属収支差額から書いたらどうか、この2行を取ったらどうかというような御指摘がありましたが、それはどうですか。

【鈴木委員】

 そういうことです。

【大橋座長】

 それでよい、そういうことですか。

【鈴木委員】

 別表に移すという意味で、その通りです。換言しますと、現行の消費収支計算書を並行して生かし続けるとすれば、ここで説明がつくわけですから、消費支出という表現をしましても、読者は何ら迷うことはなく理解可能なはずです。したがってこの場合には、残しておいても問題は生じないと思います。

【高橋委員】

 紫の部分で、例えば注記にするとかいう案もあるのかと思いますけれども、やはり貸借対照表とちゃんとリンクするという、その美しさは捨て難いなというふうに思いますので、何とかこの形が基本でいいのではないかなと思います。名称とか、あるいは、帰属収入、消費支出という扱いをどうするかというのはあるかもしれませんけども、やはり三表の中でリンクしていた方がいいのではないかと思います。

【大橋座長】

 なるほど、それはありますよね。

【片山委員】

 今の御意見のことについてですけども、この下の紫の部分のところは、社会福祉法人なんかの会計基準になっていくと、繰越活動増減差額というんですか、剰余金のあたり、剰余金計算書みたいな感じで、繰越活動増減差額というそういう区分を設けて、そこのところに入れるというか、これを統括するという、そういう考え方もあるかと思うんです。

【大橋座長】

 実際に実務的には、それこそ人件費にしろ、寄附金にしろ、割り振るのは結構きついというようなお話がありました。それは、結構大変なことなんでしょうか。

【徳田委員】

 割り振りの中で、先ほど人件費のお話も出ましたけれども、すべてが教育研究事業なのかというと、学校法人はそうじゃない。法人部門というのがあるんですね。その人件費はどうするんだという問題が、やはりこの区分経理をしたときには出てきます。

 ですから、私は、区分経理をするのであれば、できるだけその壁を低くしてほしいのです。補助金の算定上、ものすごく高い壁がたくさんあるんですね。具体的には、学生生徒納付金に対する教育研究経費比率だとか、管理経費は、入れない。資本的支出は駄目だと、非常に高い壁があり、人件費も同じです。ですから、そこの中に神経を注いでいるのに、なおかつその区分経理においてまた神経を使わなきゃいけないのです。

 それも学校法人は1円単位まで求められます。企業は、私が聞いたら何か100万円単位までと、非常にその辺はいいんですけども、学校法人は1円単位まできちっと経理しなきゃならないということで、私なんかの実務の立場から言いますと、区分経理は、世の中のいろんな各法人さん、公益法人を含めた法人さんがいろんな区分経理をされているから、わかりやすい情報公開として位置づけをすることについては、社会の流れとしてやむを得ないのかなと思います。ただ、そのときに、やはり学校法人の特殊性というものを考慮して、科目の壁は低くしてほしいです。細分化すればするほど非常にそれは手間暇がふえ、大学法人でもやはり難しい分野でございます。ですから、私は、その辺のところは、やはり十分な考慮をしていただくということが望まれるのではないかなというふうに思います。

【佐野委員】

 実務上の対応についてですけども、これはやはり相当問題が出るんだと思うんですね。これに多分、内訳表がつくことをイメージすると、学校法人本部そのものは、教育研究事業ということでいいのかということです。つまり、学校を設置しているわけですから、間接的には、学校法人というのは学校教育を支えているのだろうと思うんですけれども、それがこの区分になったときにいいのだろうかという疑問は持ってくるのだろうと思うんですね。

 だから、管理経費が全部入りますけれども、それも、法人本部については教育研究でいいのだろうかとか、そういった問題が出てくるのだろうと思うので、その辺、現在であれば、全体を表現した中で部門別がありますから、余り問題はないのだろうと思うんですけども、こうやって区分経理して、そこにそれぞれ、教育研究だとこの事業だ、それ以外だというふうに冠がつくと、ちょっと混乱を招く可能性はあるんだろうというふうに思います。

 それと、先ほどの紫のところにこだわっての発言をもう1つさせていただきたいんですけれども、これは、せっかく上を経常と特別にしたので、下は、さっきも片山委員がおっしゃったように、今で言いますと繰越消費収支の部分ですね、これは、1区分設ければ、消費収支計算書の一体の中で、取引に関係のないといいますか、経済取引のない基本金組入れを組み込んでもおかしくない、説明がしやすいんじゃないかと思います。

 消費収支計算書という当年度の消費活動以外のところの部分は、今で言うと紫の下の、当年度収支差額の下の繰越収支差額の部で出ていますよ、ここに基本金組入れが入って、学校の永続性が図れる指標ができていますよというふうなくくりにすれば、1つの計算書類であっても、区分を分けることによって説明しやすくなるのかなというふうに思います。今は一表の中であらわしているので、どうしてもやっぱり、経済取引と、それ以外の意思決定の部分が混在していて、説明しにくいというのがあるんだろうと思うんですよね。

 区分経理の話にもう一度戻しますと、先ほど御説明の中で、1つの、現在の消費収支計算書の、例えば寄附金を2つに分けるとか補助金を2つに分けるというお話がありましたが、これはやっぱり実務的にはかなり苦労が伴うのだろうと思います。

 我々、監査という立場で見ましても、この区分を誤れば当然監査上の意見に影響が出てくるということで、シビアに見させていただくことになるので、これはかなり厳しく、実務は大変になるんだろうというふうに思っております。

 1つの補助金でも、学校側によって、固定資産に計上しなきゃいけないものはするんでしょうけども、固定資産の計上基準が違いますから、固定資産に転嫁するものと、それから経費に転嫁してしまうものと、計算基準が今ばらばらな中では統一はできません。そうすると、やっぱり、出てきた事業収支差額と、それから経常収支差額が、学校によって中身の違うものが出てくる可能性も出てくるということで、実務上、結構厳しい問題が入っているんだろうなというふうに思います。

【鈴木委員】

 今、佐野委員がおっしゃったように、実際上難しいところが出てくるかもしれません。ただ、全般的に非営利法人の会計基準を見ていると、そこら辺はある程度達観して、どうぞ御自由に使ってくださいという場合と、使途を指定した場合とに分けているように見えるのですが。

 学生生徒納付金なんかについても、本来的な授業料の部分と、施設費に分けるべきかと思いますが、あれは、学校によって仕分がばらばらになりかねないとか、もともと分けにくいことを考慮して、教育研究事業収入に一括して分類していると思うのですが、そのほかの、寄附金とか補助金については、大体目的別に分けているのが一般的ではないかなと理解していますが。

【大橋座長】

 目的がありますものね。奨学金も、そうですよね。ほとんど、ごっちゃですよね。ごっちゃですよねなんて言っちゃいけないかな。

【片山委員】

 消費収支計算書ですけれども、前回にも申し上げましたけれども、収支計算書が、現行では2本あります。資金収支計算書と消費収支計算書と2つの財務諸表があることが、一般の人から見てわかりにくい部分の1つかと思うんです。

 内容的に、資金収支計算書という中には、減価償却費が入ったり、それから引当金の繰入れが入ったりしておりまして、やはり発生主義の計算書ですので、今回のこの改正に当たっては、この消費収支計算書の「収支」というのを外した方が、一般の人から見てわかりやすくなるんじゃないかと思うんです。

 消費収支計算書は、「収支計算書」というのを使わない名称にする。それから、資金収支計算書の方は、収支計算書ですからそのままでいくか、あるいはキャッシュ・フロー計算書に変えるかというのがありますけれども、「収支」を使うんだという計算書で、消費収支計算書は、運営上の成績、運営成績なんかを示すものですから、企業で言えばちょうど損益計算書的な計算書ですので、そのほかの非営利法人の方でも、例えば資料4にありますように、公益法人会計基準では正味財産増減計算書、国立大学法人では損益計算書、社会福祉法人では事業活動計算書、これは「Statement of Activities」というものですよね。前は、社会福祉法人の会計基準では「事業活動収支計算書」と呼んでおりましたけども、今回の20年改正では、その「収支」を外しまして「事業活動計算書」。そうすると、資金収支計算書というのと、この事業活動計算書の違いが、これは一般の人でも非常にわかりやすくなったと思うんですね。

 ですから、この際ですから、消費収支計算書のところの「収支」というのを外すというのを御検討いただきたいと思います。あるいは、「消費収支」という表現がほかのところには全然ないので、帰属収支、消費収入、消費支出という、このあたりも、もしかしたら変えてもいいかなというふうにも思います。

【鈴木委員】

 資料4を見ますと、国立大学法人のところが損益計算書になっておりますよね。この「損益」という言葉が余り適切じゃないというふうな感じはよくわかるんですが、国立大学法人でさえ「損益」ってもう使っていますので、これは、それでいいのではないかという感じがするんですが、やっぱり駄目なんですかね。

【徳田委員】

 いや、国立大学法人が法人化されたときの経緯というのは、国立大学法人のために会計基準がつくられたんじゃなくて、もともと独立行政法人をつくっていく過程において、その独立行政法人共通の会計基準としてつくられました。それを国立大学法人に持ってきたということで、もともとは損益計算書なんです。ですから、ちょっと入り口が違います。

 それで、少し変えたのが、貸借対照表上において、企業ですと流動資産が先に行きますけども、私学と同じように固定資産が先に行く、というふうに若干の起伏があったりということで、現在の国立大学法人の会計基準があるというふうに私は理解しておるんです。

【佐野委員】

 同感なんですけども、やっぱり企業会計ありきでスタートしていますから、独法基準は。だから、企業会計の言葉を変えるには積極的な意味が欲しかったんだと思うんですけども、そこまで意味がない。行政コスト計算書もありますので。私は余り詳しくはわかりませんけれども、そういう意味で、国大法人の方は企業会計の流れで来ているのだろうと思っているんです。

 私は、学校会計は、「損益」という概念で表現するよりはむしろ、例えば資料4の中で見れば「事業活動」の方が近いのかなという気がしますね。損益計算書があって、その中で基本金を入れる構造を取り込むって、なかなか難しいのかなと。学校って、やっぱり公教育を担っているということからすると、「損益」というのはちょっと、説明をするときに、しにくいかなと思います。

【片山委員】

 私も、損益計算書というのはどうかなというふうに思います。ただ、国立大学法人の会計基準を決めるときにはそういうような経緯があったと思うんですけども、もう既に動き出していて、申し訳ないんですけれど、「一般の立場から」というのはよく使うんですけども、一般の人から見ると、同じ教育研究をやっている事業体が、片一方の方は学校法人会計基準になっていて、国立大学の方は、前は収支計算書だけだったんだけども、一挙に損益計算書となって、同じ土俵でイコールフッティングという感じで見ますと、違和感というのは持つと思うんです。

 ただ、非営利法人ですから、「損益計算書」という表現は余りというか、望ましくないと思います。ですから、「事業活動計算書」あたりで。公益法人の正味財産増減計算書というのは、いろんな人と話をしますと、この「正味財産」というのがわかりにくいと言います。その点から言うと、「事業活動計算書」あたりの方が、非営利にとっては一般的な表現になるかなという感じを持っております。

 それから、消費収支計算書については、これまでも「収入・支出」という表現を使っておりますけれども、会計を研究している立場から言いますと、こういうのは収入なのか、支出なのかと。私も、よくセミナーなんかで、例えば中小企業の経営者なんかに対して話をいたしますけども、「収入・支出」というのと「収益・費用」という概念は、意外と区別されていないんですよね。しかし、会計上では違うわけですよね。両方重要なんですけれども、やっぱり概念としては違いがあるわけですから、会計基準としてはもう、この発生主義による損益計算書的な計算書、財務諸表ということなので、この際、「収入」を「収益」に変えて、それから「支出」の方は「費用」という形に変えたらどうかと思います。

 ただ、収益・費用の差額は一般的には利益ですけども、非営利法人の場合には、利益という概念は使えないと思いますので、別の表現を考える必要があります。例えば「増減差額」とかですね、そのあたりにするとかということでいかがでしょうか。

 これは、公益法人の会計基準が設定されたときに、この問題はいろいろ議論がされたんですよね。非営利で、こういう収益・費用という概念も、使うことは望ましくないのではないか。だけども、そのときの委員会では、収益、あるいは費用という概念はもう一般的に常識化しているので、企業であっても、非営利法人であっても、同じ経済的な活動をやっているという意味で、収益・費用という概念は使ってもいいのではないかというふうな結論になったようです。

 ただ、差額が利益という概念は使えないので増減差額というふうに使ったようです。学校法人でも、消費収支計算書のこのタイプの財務諸表の場合には、収入・支出という概念を収益・費用というふうに変えた方が、この際、私はいいのではないかと考えています。

【鈴木委員】

 最初の「目的」のところに論点が戻るのではないかと思っております。ここのところの消費収支計算書等が、より多く、外部の方に対する情報開示という意味づけがあるとしますと、先ほどもお話がありましたが、一般的にこうした経営体の経営の健全性を財務諸表上から見る場合には、それを損益と言うのか、収支と言うのかはともかくとして、そうした指標であらわしていただかないと、「共通言語をお使いにならずに、何かガラパゴス的な計算書になっていますね」というふうな印象を持たれてしまう危険性があるのかなという気がします。したがって、大きな支障がないのであれば、できるだけ一般化した言語をお使いになった方がよろしいんじゃないかと思います。

 しかし、「損益」というところまでいくのはちょっと抵抗感があるというのであれば、別に「事業活動収支」でも良いのですが、そこまで良いのだったら、別に「損益」でも良いのではと、個人的には思います。逆に公益法人が一切そうした損益ということを考えないで活動をしているとすれば、それはそれで大きな問題であるような気がいたします。

【徳田委員】

 私は企業のことはよくわかりませんけども、我々は、企業は損益、「益」というふうに書かれていますと、ああ、もうかったんだなという印象を一般的に受けるものですね。そうすると、ああ、もうかった、どれくらい配当するんだろうか。これがやっぱり、経済用語の一連のところなんですね。ですから、確かに用語は一緒であっても、物の最終的なその顛末というのは全然違います。それがやっぱり一般の人にもわかるというのが、なぜ違うんだろうというのがわかるのが、やっぱり大事だろうというふうに私は思います。

【大橋座長】

 今のお話を伺っていると、「事業活動計算書」で、「収益・費用」で、その差額という感じですかね、読み方としては。そこまでいきますかねという感じが一方ではします。一方で、古い会計の仕組みが頭の中にはあって、逆に一方で、わからなきゃ駄目ということもあります。

【森本委員】

 一般的にわかるという言い方からすると、今先生が言った「収益・費用」の表現の方が、私もいいと思うんですね。ただ、現実問題として、学校の中で、例えば「収益」というと、学校の事務の人は、反対に何を言っているんだかわからないんです。多分、学校というのは一般的に見ればすごく小さな特殊社会ですから、そうすると、私は、もう切りかえていくのだったら、運用上はとりあえず前の言葉を全部残しておいて、外部表示のときには新しい言葉で書きなさいよとすれば、作業的には大したことではないということで、それをやっているうちに、だんだん気持ちが変わってくると思うんですよね。

 だから、やっぱり40年やっていると非常にね、変えなさいというときには、何か大きなきっかけといいますかね、何か天地がひっくり返るような話があったのなら、これは変えなきゃいかんと思いますけども、これまで、非常にうまくいっていたとは思わないまでにしても、まあまあうまくいっていたんじゃないのと思っていると、明日からそうしなきゃならないという、必然性が感じられないのです。

 だから、やっぱり学校の人というのは、みんながわかればいいというときには、ちゃんと自分の持っているのを見せますから、「これでわかってください」というそういう攻め方でいきますので、「それを持ってきたってわかりっこないよ」ということなので、みんながわかるような共通言語にするか、若干の注でもってわかるぐらいの範囲には振った方がいいけども、やっぱりこれでもってふだんのルーチンワークががらっと変わるというのは、とりあえずは避けた方がいいんじゃないかと思います。決算のときに、ちょっと手間が増えるぐらいだったらいいかなとは思うんですけども。

 少なくとも、私も学校に入って、消費収入と消費支出で、帰属収入まで来たら、何を言っているんだか、定義を見てもわからなかったですね。消費に充ててもいい収入っていうのは。普通、金が入ったら使うんでしょうということでね。だから、金が入っているけど使っては駄目というのは何でなんだ、そんな理解でありましたから、やはりみんながわかる言葉で使って説明してあげる方が早いような気がします。

【鈴木委員】

 すみません、一言だけ。そういうふうな意味で、とりあえず付表にしておくというのが、非常に有用なんじゃないかというような気がいたしました。

【小松私学部長】

 今、ちょっと、できればお願い中なものですから、そういう意味で、どう考えるかということでございますけども、用語の問題はなかなか、本当に微妙というか、いろんな考え方があって、バランスで、どこまでやるかということで大きく御議論いただければというのが私の正直な気持ちでございます。

 先ほどの「損益」で、例えば国立大学でも、いい悪いは別として使われていて、それとのイコール点とか、そういうことで言えば、そっちの方が近いではないかというのも1つの考え方ですが、他方では、先ほど徳田先生からお話がありましたように、これは独法から来ていて、独法は企業会計基準をストレートに持ってくることにその目標がありましたから、そうすると、独法とイコールフッティングということを重視するかというと、それはまた違うだろうということで、どちらも正当性のある議論が起こります。

 それから、そういう意味で言うと、今の収益・費用の問題にしても、考え方としては、1つ正当な考え方として、収入・支出と明らかに違うものをはっきり再掲示しておいた方がいいというのは正当な議論であります。またそれが定着していくのであればということも正しいと思うんですけれども、その一方で、国語上というか、一般社会の人もわかりやすいようにということを考えますと、国語上とか、あるいは、学校法人のいわば慣用上ということも尊重し、保護するに値するであろうという議論が当然あります。この場合に、例えば先ほど、「収益」と言ったら「益」なのかという、国語上の、嫌悪感というか、なじみにくいなという考えがあるというお話がありましたが、支出についても、「費用」ということにマイナスのイメージを持たれる方がたくさんあると思います。

 これは、企業で言えば、収益、そういうところから始まって、最後は配当までいく中での「費用」という言葉のイメージが会計上あるんですけれども、学校法人では、支出されて、そこで出ていくものについては、そちらが目的であって、収入を得るため、あるいは収益を得るためのものとしてその費用が置かれるというものとは、またちょっと違う気持ちでありたいということが文化としてありますので、そちらが必ずしも会計学上だけからではないなじみということもあります。

 これはちょっと、僕らにとっては非常に、概念を整理する上で大事なことだとは思うんですが、ここだけで議論しているとちょっと、用語論でずっとわからなくなってしまう場合もあります。それはまた後で整理しますので、要は両方併せてでよろしいかと思うんですが、行ったり来たりしながら、御整理いただければというふうに考えます。

【大橋座長】

 承知しました。ありがとうございます。何かありますか。

【高橋委員】

 用語の問題をちょっと申し上げようと思っていましたけど、またの機会にした方がいいですね。お時間もありますし、ちょっと切りかえたいと思います。

 先ほど桑田委員から、活動区分別はどうなんでしょうかという御意見がありましたですよね。というふうに私は伺ったんですけれども、そこについて議論を深めなくてもいいのかなと思って発言させていただきます。

 私は、基本的にこの活動区分別は、わかりやすくていいというふうに思います。ただ、先ほど議論がありましたように、では、本当に、実務上はきちんとこれが明瞭に分けられるのかというところもありましたし、例えば人件費の問題、こちらもどうするのかといったこともあったと思うんですけれども、これはちょっとアバウトな考えだとは思いますが、厳密に言ったら、人件費の中でも、例えば下の方の事業外の方へ持っていくとか、持っていかなきゃいけないものがあったとしても、ここでいう経常収支の部の人件費の定義、範囲を広く考えて、どれも教育研究事業に当てはまっているとみなすということです。下の本業外や、あるいは特別収支と絡むような人件費があったとしても、よほど特別な事情がない限りは、広くは教育研究事業に役立っているという形で議論していくという方向はないのかなというふうに思いました。

 まず、こうした区分案について基本的に賛成で、あと、実務上の困難性というんですか、そこは個々に議論しながら、実務対応もしやすい方向はないんだろうかという感じを持っております。

【大橋座長】

 わかりました。ここの消費収支計算書について、ずっと議論してきましたけども、ちょっとまた戻るとして、貸借対照表のイメージが出ていると思います。これについて少し、もう時間を大分過ぎちゃいましたが、特に基本金のこともありますし、これについて少し御意見を伺っておきたいと思います。

 特に、黄色く色がついているところあたりの議論ですよね。その他の固定資産で、第3号基本金の特定引当資産があって、第2号基本金の引当資産があって、減価償却引当ての特定資産があって、前には施設設備引当特定資産があって、これをどうするかというようなことがきっと出てくると思います。

 第2号、減価償却、施設設備って、実体的にはほとんど同じような中身になっておりますけども、これは、基本金にきちっと設定するかどうかということで、この辺のところの考え方とか、あるいは基本金の第4号、第1回にも少し議論がありましたけれども、第4号の基本金をこれからどうするかという話もあります。

 第1、2、3号と来て、ちょっと第4号は違うような性格になっていますけれども、これで、もっと維持すべき資産ということに限定的にはっきりと概念的にすると、第4号は取ってもいいかなというような気もしないでもないし、維持するべきという、漠然と言えば全部そうだよねということになりますけども、資産とのかかわりで、以前にするということになれば、第4号はちょっと性格が違うなというような気もしますので、その辺のところから御議論いただければというふうに思います。

【徳田委員】

 現行の基本金という制度を維持していくという中での2号基本金の引当特定資産、これをやっぱりはっきりと明確にするということが、大変これは重要なことだというふうに思っています。

 あとは、いろんな引当特定資産というのは、ほとんどがこれはやっぱり減価償却引当の中から生まれた財源だろうというふうに、私自身はそういうふうに理解しています。それを減価償却という形で持つか、施設設備という形で持っているというところで、現行の会計基準から、帰属収入の中から引いたものではないというふうに私は理解いたしておりますので、2号基本金だけをきちんと明確に、2号、3号を維持する、明確にするということが大変重要なことだと私は思っています。

 4号基本金についてはなかなか、12分の1という考え方は賛否両論たくさんあると思います。ですから、ある程度財政の安定した学校法人ですと、そんなには影響ないねということですし、また、財政上非常に難しいといいますか、という学校法人においては、4号基本金ですらもうないという、資金さえないんだと。そんなような状況を考えたときには、この4号というのも大変大事なのかなということで、どこに軸足を持って4号を見るかということが1つあるのではないかなというふうに、私は、昨今ホームページ等で各大学さんの計算書を見ますと、そういうような感想を持っています。

【大橋座長】

 ありがとうございます。ほかに御意見ありますか。お願いします、佐野委員。

【佐野委員】

 この黄色いところで、第2号基本金引当の資産、いわゆる2号がたくさんあった場合にまとめて一本にしようとすることはわかりやすいです。基本金明細表が残るという前提で考えるとわかりやすいと思います。その場合に、減価償却引当特定資産をここに例示で残すとなると、非常に説明しにくいんじゃないかと思うんです。

 といいますのは、そもそもが減価償却引当特定資産というのは、減価償却相当を消費収支で評価して、その分は資金で残して、耐用年数経過時に取替資産の取得資金に充てようということですから、その資金を残すという意味での減価償却引当特定資産の意味があったと思うんですけれども、2号としてまとめた場合には、将来、資産を買うよと、その資金を基本金として留保するんだよという概念からすると、貸借対照表上で、2号引当特定資産という資産を持つという前提になりますので、減価償却引当特定資産とちょっと重複感があります。減価償却対応の特定資産をこの例示に残す場合には、2号引当の資産は旧資産の上乗せ分であることを明確にしないと、2号基本金引当特定資産でまとめることの意味合いがちょっと薄れるのではないかなと思いますので、検討すべきかなと思います。

 それから、「純資産の部」というこの表現、そのとおりだと思うんですけれども、以前の検討では「資産負債差額の部」とストレートに言っていました。

 1つには、純資産の額を登記するという組合等登記令の中での純資産の考えがあるので、ちょっと学校は、その資産登記というのと純資産とごっちゃに、わかりにくいというようなお話も、たしかあったと思うんですね。そんなことを踏まえると、「純資産の部」はごもっともなんですけれども、実務に浸透するには「資産・負債差額の部」でもいいのかなという気がいたします。

 それから、4号は黄色がついていないんですけれども、例に載っていますね。やっぱり1号から3号を整理するのは、基本金の定義にかなっているので整理しやすいんですが、4号は、必ずしも借方資産を持てという中ではないわけですね。これは、これだけの12分の1の資金が留保されていればとりあえず大丈夫でしょうというようなことからすれば、では、4号の基本金対象の借方資産を留保するのかというと、そこまでは要求していない、ということから考えると、やっぱり4号はちょっと説明しにくいのかなと思います。

 もし4号を、断固としてといいますか、4号は必要なんだ、これだけなきゃ学校はつぶれるよというなら、それだけ資金を留保させるべきであって、それだったら借方に留保させて、それをつぎ込まないと支払資金が残らないという学校は危ないんだよ、というぐらいの旗を上げないと、ちょっと説明しにくいです。そこまで私は考えないでいいと思うので、4号はなくてもいいのかなというふうに思っております。

【大橋座長】

 ありがとうございます。森本先生、4号について何かご意見があるようですが。

【森本委員】

 前からこの基本金のことを英語で説明をしようと思って、英語の言葉がないということにはたと気がついたんですね。

 1号というのは、固定資産に対する投資額だと、これは言えるんですね。2号というのは、そのためのものだし、3号は何かするためのファンドだと言えます。4号って、要するに金を持っていりゃいいんですということになるんですね。そうすると、どちらかというと私はこれ、流動資産の部に入るんじゃないのかなと思っていたんですよ。だから、流動資産の中に4号基本金引当特定資産なんて入っているのも、これは何となくおかしいです。

 それと、自分の学校でどのぐらい金が要るかを文部科学大臣に決めてもらわなきゃ駄目だというのが、立場で、学校を持っている人としては、相当なんか、じゃあ、数字に弱いというのを宣伝しているようなものかなと思います。

 だから、ガイドライン的に12分の1とどこかに書いてあるのは、あるいはどこかのガイドブックとか注釈とかに書いてあるのはいいんですけど、持っていないとそれが、基本金が間違っているんだとなるとか、それから、納付金とか、収支が規模が大きくなったときふえていきますけども、減ってきたときはどうするんだとか、そのときは下げるのが合っているのか、それが会計士さんから見て適正だと言われるのか、そうとは言われないのかなんて考えていくと、私から見ても余分な手間だと思うので、そういったのはもう、学校自体が資金がなくて資金繰りが駄目になってくるというのは、自分でやっていればそれはわかるはずなんです。

 ですから、その意味で言うと、4号だけは、少なくとも一番違っているものなので、流動資産をどのくらい持っていればいいというのは、どこかに説明として書いておけばいいのであって、貸借対照表に表示するものではなかろうと思っています。

【片山委員】

 第4号基本金については、前の論点整理検討会での多くの意見は、検討が必要だということだったと思うんです。今回、この御提案では、4号基本金はそのまま残すということであれば、なぜ4号基本金を残すのか、その理由というのを明確にしていく必要があるのかなというふうに思います。

 それから、固定資産の部の「その他固定資産」の中に、引当資産、特定資産が入っているんですけども、前回私の申し上げた意見としては、固定資産の部のところに、「その他固定資産」と、もう1つ、中間に「特定資産」というのを設けて、この引当資産などは、そこの区分のところに入れたらどうかという意見を申し上げたと思うんですけども、それについてはいかがなんでしょうか。

【大橋座長】

 基本金について、これ、一本で特定資産として上げなさいということですか。

【片山委員】

 いや、それは貸方側の方ですよね。借方側の方の、固定資産の分です。

【大橋座長】

 固定資産ですか、はい。

【片山委員】

 そこの部分のところが、「その他の固定資産」の中に、施設利用権とか、収益事業元入金と併せて入っていますけども、学校法人の場合には、特定の目的のために拘束させた資産というものをどの程度持っているかというのが非常に重要ですし、かなり保有している法人さんがおると思うんですよね。ですから、「特定資産」という区分を設けて、そこの中に記載したらいかがでしょうかという意見です。

【大橋座長】

 中科目を入れるということですね。

【片山委員】

 「その他固定資産」ってありますよね、区分としては。有形固定資産、その他固定資産ってありますよね。その中間のところに、例えば「特定資産」という区分を設けて、その中に入れるということです。

【高橋委員】

 片山委員がおっしゃるところというのは、特定資産、3号のようにしっかりとひもつきになるものもありますけれども、現状の特定資産の使われ方って、現実にはかなり恣意的といいますか、現預金が、支払資金が何か過大にいっぱいあるから、こちらの特定資金、資産に持っていこうよみたいな、そういう実務もひょっとするとあるかなというようなところもあると考えると、その特定資産と称する一群を、学校法人の比較的自由になるお金という意味で区別するという意味では、意味があるのかなというふうに思います。

 ただ、その中身がいろいろ属性は違いますので、本当にそういう区分でまとめることがいいのかなというのはちょっと、わからないというか、疑問のあるところだと思います。

【大橋座長】

 特定資産は、基本金の引当資産を除くと、かなり恣意的になりやすい中身ですよね。減価償却引当特定資産もそうだし、そうは言っても、実務的にどこへ行くかわからないですよね。

【片山委員】

 それはそこの学校法人の財務方針ですからね、それはそういうふうに決めることはできるわけですよね。

【大橋座長】

 高橋委員の発言は、特定資産の中身によって、一くくりにできないような、そういう性格があるんじゃないかということですね。

【佐野委員】

 片山委員に御質問させていただきたいんですけど、この特定資産は、くくりを中科目で設けたときは、2号、3号の引当金も特定資産のくくりに入れてという意味ですか。

【片山委員】

 ええ、そうです。そういう意味です。

【佐野委員】

 わかりました。

【大橋座長】

 施設設備引当特定資産なんかも、ここで復活するということでしょうか。

【佐野委員】

 復活というよりも、2号は青写真つきのですよね。青写真がなくて、グランドデザインだけみたいなものは、今、高橋委員から、くしくも、恣意的な理由という御発言もありましたけれども、学校としては、いつかやるかもしれないから資金留保ということなので、復活というよりも、残り得るということで。

【大橋座長】

 減価償却引当特定資産はどういうことになりますか。

【佐野委員】

 非常に難しいです。そもそも、この減価償却引当特定資産がなぜ例示に載ったかというところから考えないといけないんですけど、それは、私の理解では、さっき申し上げたように、将来耐用年数が来たときに、1号資産と同価値のものを自己資金で賄うための資金留保だということを考えますと、もし2号が、将来の設備投資ということで、耐用年数経過分も含めて、青写真つきで2号だと決めるのであれば、重複感が出てきてしまうので要らないのかなと思います。

 現在の実務上は、減価償却引当特定資産の中には、修繕のもの、将来修繕するけども、多額な修繕が見込まれているとか、資金はとにかく留保しておかないと壁の塗りかえができないというようなことで、減価償却引当特定資産がたまたまあるのでそこに入れちゃえというふうなところもあるようなので、実務ではいろんな形で使われているんだろうと思うんです。この際、2号をもしまとめていただけるという御提案が通るのであれば、減価償却はこの際整理して、各学校の意思決定機関で決定した特定目的の資金だけを留保する場所、というふうにしてはいかがかと思います。

【大橋座長】

 なるほど。そういうことも考えられますよね。

【徳田委員】

 私も佐野委員のお話ですと、ここに減価償却を入れると2号の重みが薄れてくるという、そういう意味にも聞こえるということで、結局、3号の下に何とか引当特定資産というふうにすると、順番化の配列、要するに例示で出すと非常にこれは重いですから、佐野委員の言われるように、この減価償却というものを外します。外したかわりに、3号の下に何とか引当資産とかという形で例示で入れておく方が、各学校法人の主体性の中における資金留保の方がいいのかなというふうに思います。

【高橋委員】

 少し議論が戻ってしまうのかもしれないんですけれども、この第2号基本金引当資産というのは、第2号基本金にもひもつけするという趣旨なのかなと思うんですけれども、厳密に言うと、第2号基本金というのは資金概念とはちょっと違うはずなので、建て替えとか、1号で足りない分を、となりますよね。

 だから、2号基本金に資金をひもづけすることは、間接的にはもちろん意味はあるんですけど、同額で必ず持ちなさいとかということだと、3号のような形のひもづきとはちょっと違うのかなという感じがします。

【佐野委員】

 2号基本金につきましては、基本金が号別に導入されたときに、2号基本金については特定科目は設けないけれども、借方資金を持ちなさいということが文科省からも説明されておりますし、会計士協会の問答集などでもそのように指導しているので、多くの学校は持っているんだと思うんです。

 ただ、今、高橋委員がおっしゃったように、建て替えなどのときは、2号基本金に入るのは、既に入っている、1号に入っている資金の上乗せ分だけになりますので、それだけの資金じゃ足りません。したがって、例えば10億の建物を建てかえると12億かかりますというときは、2億が2号になっていますので、2億だけでは12億のものは建ちませんから、残りの10億を自己資金で支弁しようとすれば、そのほかの2号基本金対象資産に見合う、施設設備の引当特定資産が10億必要になってくるんですね。

 ですから、最低、2号基本金の借方資産としては、2号基本金と同等額が必要です。それを超える自己資金分については、その他の、例えば「施設設備引当特定資産」というような名称で残さざるを得ないのかなと思います。

 それが現状の会計基準では見えないので、その辺は別途手当、今後の改正の中で手当てしていただいて、資金としてやっぱり2号基本金については、少なくとも2号引当特定資産としてはイコールでないといけないというふうに思っております。

【大橋座長】

 時間が来てしまいまして、この後どういうふうに整理するかちょっと難しいんですが、よろしくお願いします。

【小松私学部長】

 もちろんこの議論の進展ぐあいによるかと思いますので、一応前回に、こんな回数でというイメージで御議論を進めていただくために、回数を提示させていただいておりますけれども、議論の展開を見ながらということでよろしゅうございますので、また引き続き御議論を続けてくださればというのが私どもの方の立場です。

【大橋座長】

 はい、ありがとうございます。では、今日の議論をまとめて整理できるところはして、資料を再整理させていただいて、一部かなり進んだ議論もありましたので、それはまた素案として出させていただくということにしたいと思います。

 それでは、きょうの議論はこれで終了したいと思いますが、事務局から何かありますか。

【田辺専門官】

 どうもありがとうございました。次回、3回目でございますけれども、日程といたしましては、10月18日の木曜日、やはり同じ14時から16時の時間でお願いしたいと思っております。場所についてはまた追って御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。

【大橋座長】

 それでは、閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

お問合せ先

高等教育局私学部参事官付