【資料4】大学通信教育における対面授業の意義について(検討たたき台)

【調査研究協力者会議における主な意見】

・学生、教員相互のコミュニケーションが十分に取れるので、充実した指導ができる。
・教員や他の学生と交流することで、学生の孤立を防げる。
・メディア授業にはない臨場感がある。
・学生の満足感、達成感が高い。
・多くの大学で面接授業を非常に重視している。 

【中教審における主な意見】

・社会人にとって通信教育は重要だが、適する分野とそうでない分野がある。面接でなければ学べない分野もたくさんあるので、どのように組み合わせるかが大事。(再掲)
・ビジネス(に関する教育)でも学生同士のコミュニケーションは重要。フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーション無しに、外の人と付き合うのは無理がある。(再掲)
・学部段階では、知育、体育、徳育など、豊かな人間性を涵養することが重要であり、社会空間、公共空間の中で教育を行うことを考えると、4年間、教員と学生が全く相対しないのは問題。完全デジタル化はできないのではないか。(再掲)

【特区評価・調査委員会における主な意見】

・大学の通信教育は非常に盛んで、日本の高等教育の非常に重要な部分になっている。それでもやはり一方的に教えるだけではなく、対面が非常に重要だという認識からスクーリングができ、学生もその重要性を感じている。
・スクーリングの全くない大学を本当に認めるのかどうかは非常に大きな問題。
・学生はインターネットだけで授業をするというのがわかった上で入学したのだからそれでいいではないかという意見があったが、入る前の段階では全てはわからないのが教育の特質だと思う。全て選んだ本人の責任という議論だと、教育については規制緩和のロジックだけになり、社会的なメリットにつながらないのではないか。ある程度の教育的配慮が常に必要。
・インターネット大学で重要なのは、対面性をどう補完するか、いかに教員と学生との間のインタラクション(相互作用)を保障するかということ。
・インターネットで授業を行う大学が増えているが、教育技術上、対面性を補完するノウハウがかなりあるので、そういった対面性を補完する手段をきちんと発展させていくこと、また、適格認定のプロセスできちんと検証するといったことを含めて、文部科学省において専門的に検討していただきたい。 

 【大学審議会答申における指摘】

「『遠隔授業』の大学設置基準における取扱い等について」(平成9年12月18日大学審議会答申)
「面接授業」の30単位以上の修得を卒業の要件とすることの妥当性については,学生の多様性や通信教育の方法の進展を踏まえると一律に卒業要件とする必要はないのではないかといった意見がある反面,教員・学生間の触れ合いといった点でその重要性は高いとの意見など,様々な意見がある。
情報通信技術の進展に伴い,通信制の大学における授業方法も,従来の「印刷教材による授業」を中心とした形態だけでなく多様なメディアを利用して行われるようになり,学生の学習効果をより高める工夫がなされてきている。しかしながら,現段階においては,「面接授業」は,直接の対面授業による方法でなければ十分な学習効果が期待できない科目への対応や,教員と学生の触れ合い,学生間の交流による人間形成といった面において他の授業方法では代替しがたい効果を有するものであり,通信制の大学の学部については,当面,現行どおりとすることが適当である。
一方,通信制の大学の学生の実態を見ると,学生の学習歴,年齢構成などは多様であり,卒業の要件としての「面接授業」の取扱いについては,多様な学生の学習歴等を踏まえた取扱いも考慮されてよいと考えられる。即ち,現行大学通信教育設置基準上は,通信制の大学の学生が,当該大学に入学する前に修得した単位や他大学との単位互換により修得した単位のうち,「面接授業」によるものについては,大学の定めるところにより,当該大学の「面接授業」として取り扱うことも可能である。したがって,各大学においては,多様な学生の学習歴等を考慮して,このような取扱いを適切に活用し,学生に対して過重な負担をかけることのないよう配慮することが望ましい。

「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」(平成12年11月22日大学審議会答申)
今後の通信制の大学には、直接の対面授業による修得が必要な20単位についても、遠隔授業により修得することができるものとすることが適当である。このことにより、124単位すべてを遠隔授業により修得することも可能となる。ただし、平成9年12月の答申で示したとおり、直接の対面授業には教員と学生や学生相互の触れ合いなど、人間形成の効果があると考えられることから、高等学校を卒業して、実社会での職業経験を経ずに大学教育を受ける青年期の学生などに対しては、各大学が定める範囲内で直接の対面授業を履修させる機会を与えることが望ましい。

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