独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会(第3回) 議事録

1.日時

平成24年8月21日(火曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省5F3会議室(5階 )

3.議題

  1. 各ワーキンググループの報告書について(報告)
  2. 検討会報告書のとりまとめに向けた討議
  3. その他

4.出席者

委員

石原委員、大本委員、新野氏(大森委員代理)、加藤委員、木谷委員、小林(雅)委員、小林(光)委員、谷口委員、富沢委員、濱田委員、堀委員、前原委員

文部科学省

松尾学生・留学生課長、保立学生・留学生課長補佐、辻学生・留学生課長補佐、大川学生・留学生課長補佐、森山学生・留学生課長補佐

オブザーバー

髙塩理事長代理(日本学生支援機構)、米川理事(日本学生支援機構)、月岡理事(日本学生支援機構)、石矢奨学事業本部長(日本学生支援機構)、鈴木留学生事業部長(日本学生支援機構)、藤江政策企画部長(日本学生支援機構)、関口学生生活部長(日本学生支援機構)、山田日本語教育センター長(日本学生支援機構)

5.議事録

【谷口主査】
 ただいまから独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討委員会を開催させていただきますのでよろしくお願いいたします。
 議事に先立ちまして,今回ご出席の委員をご紹介したいと思います。
 学校法人文化学園大学理事・副学長の濱田勝宏さんでございます。

【濱田委員】
 濱田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。1回目,2回目ともに校務の都合で欠席させていただきましたが,大変ご迷惑をおかけいたしました。申しわけございません。どうぞよろしくお願いいたします。

【谷口主査】
 きょうは機構の関係者も陪席しておりますので,ご承知おきいただきたいと思います。
 議事を始めるに当たりまして配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

【保立学生・留学生課長補佐】
 配付資料につきましては,議事次第にございます配付資料のとおりとなってございますので,議事の途中でも過不足ありましたら事務局までお申しつけください。
 以上です。

【谷口主査】
 よろしいでしょうか。お手元に資料が1から6,それから参考資料が1,2ということで,それ以外に机上資料がございますが,過不足がございましたらご指摘いただければと思います。
 それでは,議事に入りたいと思います。本日は,それぞれ第1ワーキンググループ,第2ワーキンググループと両ワーキングで検討いたしました結果をまとめた報告書の内容について報告をいただきたいと思いますが,親会議としての報告をまとめるための議論を進めるということにしたいと思っておりますので,まず事務局のほうからワーキングの報告書につきまして報告をいただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

【保立学生・留学生課長補佐】
 それでは,資料1と資料2に基づいてご説明させていただきます。まず,第1ワーキング,資料1でございます。
 第1ワーキングは奨学金のワーキングでございますが,大きな構成としまして1,2,3となっておりまして,最初に機構の奨学金事業について。それから,2.で奨学金事業における課題と今後の方向性について。それから,3.で組織の在り方についてということを含めまして,このような構成になっております。
 早速3ページからでございます。まず,日本学生支援機構の奨学金事業についてでございます。奨学金事業は,憲法や教育基本法に基づいてやっております教育施策でございまして,貸与から返還まできめ細やかな教育的配慮のもとで実施している事業でございます。
 中ほどにポツが4つほどありますが,例えば所得の低い家庭を優先的に,無収入の学生本人に対して無担保で,将来の返済能力を審査することなく,無利子または低利子で貸与を行うとか,家計所得のみならず成績や人物を見て貸与対象を判断するとか,在学中の学生に対しては,大学等と連携して教育指導を実施していくとか,また,返還段階においても,返還の期限の猶予,減額返還等の仕組みによって,返還まで通じて教育的配慮のもとで事業を実施しているという,事業でございます。
 現在の奨学金事業は,無利子の第一種奨学金と有利子の第二種奨学金で構成されておりますが,4ページに特徴的ですが,貸与規模が飛躍的に増大していまして,主にこれは有利子の第二種奨学金の飛躍的な拡大に支えられる形で,近年急速に貸与規模が拡大しておりまして,これはこの10年でも1.5倍というような非常に大きな拡大となっております。
 次に,これまでの行政改革等の議論における指摘ですとか,今回の検討の経緯でございます。4ページの(3)からですが,今般,内閣府の行政刷新会議に独立行政法人改革に関する分科会が設置されまして,独立行政法人の制度及び組織の見直しにつきまして議論がされまして,統合後の法人,これは大学入試センター,それから大学評価・学位授与機構,それから国立大学財務・経営センターの統合後の法人への統合ができるか,あるいは事務事業をほかの主体に一部移管等ができるか等,具体的な在り方についてこの夏までに結論を得るということを閣議決定されておりますので,今般の検討となっているということでございます。
 そして,この検討の中では,特に奨学金事業につきまして,金融事業としての側面に着目した抜本的な見直しと効率化を図るべきですとか,内閣府の支援を行う法人全体の組織統合をすべき等の指摘もなされております。それを踏まえて今般の検討が行われたということでございます。
 5ページの2.で学生の経済的支援における課題と今後の方向性についてでございますが,ここが大きく奨学金の事業の貸与から返還までの段階もございますし,少し項目を段階に分けて議論をしておりまして,マル1マル2マル3マル4とあります。まずマル1が奨学金事業全体の課題ということでございまして,その後また貸与段階ですとか回収段階と続きますけれども,マル1が奨学金事業の課題で,奨学金事業は,大学の授業料が上昇する一方で家計所得が伸び悩むことで,年収に対する授業料の割合が増加しておりまして,経済的支援の必要性が高まっております。このような中で,財源の問題もありまして,先ほど述べましたとおり,有利子奨学金の規模が大きく拡充されてきておりますが,課題としましては奨学金制度の趣旨にかんがみれば,利子のない無利子奨学金もしっかり拡充することが望ましいという課題がございます。
 また,現行の貸与の奨学金でございますが,貸与ですと当然,卒業時に債務を負うことになります。これは学生にとって心理的にも経済的にも大きな負担になりますので,給付的な効果のある支援の必要性,国費による給付型奨学金の必要性ということも望む声が高いという状況でございます。
 6ページに行きます。さらに,奨学金の返還免除というのも給付的な要素のある支援でございます。これは現在,大学院段階の業績優秀者に対する仕組みしかございませんが,これも奨学金がより勉学のインセンティブにつながるように,学部の段階にも広げるというようなことも検討が必要ではないかというような課題もございます。
 それから,マル2は貸与段階の指導ということですが,これは例えば貸与段階で大学と連携して適格認定,奨学金貸与の適格性をきっちり認定するということを一層充実していくべきであるとか,また,奨学金の制度に関する理解の促進をしっかり図るべきということを述べております。
 それからマル3,返還金の回収について,ここが行革における議論の中でも一番中心になったところというふうなことでご議論いただいたところですが,まず,返還金のそもそも債権回収の状況でございますが,これは機構のほうでも数値目標を設けて計画的に取り組んでおりまして,また,その目標を上回る達成度合いでございます。ただ,近年の就職・雇用の厳しい状況も踏まえますと,返還能力の有無というものをしっかり見極めまして,返還できる人には確実に返還してもらうとともに,諸事情で返還が困難な人には必要な指導を行うということが必要であろうということでございます。
 そしてまた,単に総回収率ということだけでなく,例えば当年のほうの回収率と,また延滞分の回収率とでは大きく回収率が異なっておりますので,延滞債権の状況の性質に応じた回収促進というのも不可欠であるという課題がございます。
 7ページにまいりまして,先ほどは,債権回収の状況でございましたが,これにどのように取り組んでいるかという状況ですけれども,これまでも機構の債権の回収につきましてはいろいろ議論が重ねられてきておりまして,さまざまな議論を踏まえまして,例えば早期の督促の集中的な実施ですとか,個人信用情報機関の活用,それから法的措置の強化,また,サービサーの活用等の策を講じておりまして,引き続きコスト面も含めて効果的な外部委託の在り方の検討が必要ということでございます。
 また,長期にわたって債権を管理するという点も,機構に独特の点でございますが,これに伴いまして,例えば延滞金の負担によって延滞の解消が難しくなったり,また,長期に保有することによって債権管理の負担が重くなって回収コストに見合わない債権も存在しているというような課題もあるということでございます。
 それから,次のマル4奨学金事業の中核的機関としての機能ということでございますが,機構は先ほども述べましたように,延滞者の状況ですとか,よく奨学金事業の運営における基礎的状況の調査・分析というようなことをしっかりしていくことが課題であるということ。
 それから,奨学金の実施に当たっては,大学における学生の修学の支援ということでございますので,大学等が重要なパートナーとなっておりますので,こうした関係機関との連携や協働というものが不可欠であって,こうしたことの充実を図ることも期待されるということでございます。
 以上が課題ということでございますが,これを踏まえた今後の方向性ということもマル1からマル4の段階に分けてまとめております。
 まず,奨学金貸与事業の在り方全般の話でございますが,奨学金に対するニーズというものは引き続き増していくということが予想されます。8ページに参りまして,奨学金の貸与に際してですが,進学の際の予見性を高めるという観点からは,大学に入って初めてという在学の採用ではなく,高校段階から予約の採用ができる,予約採用の割合を増やしていくことも重要ではないかということです。
 それから,次に,給付型奨学金,給付的効果のある仕組みの導入ですが,これには当然大きな財政負担を伴うことではございますけれども,奨学金制度というのはそもそも,我が国の将来を担う人材育成のための先行投資であると,この趣旨を踏まえて,どのような支援が必要か,国民の議論をよく踏まえて検討を進める必要があるのではないかということ。
 それから,次のポツに参りますが,諸外国の奨学金制度を見ますと,給付型の奨学金ということのほかにも,例えば返済額が所得に連動するような形の奨学金というものを導入している国も多々見られるところでありまして,我が国におきましても平成24年から新たに所得連動返還型無利子奨学金という制度を創設しておりますが,これは,卒業後,年収が300万相当のところを超えるまでは返還期限を猶予するものということでして,必ずしも返済額が所得に完全に連動するというものではございません。今後,完全に連動するような仕組みを構築していくような場合には,また所得の補足ですとか源泉徴収といったようなことが課題になるということになります。
 それから,少し大きな話になりますが,そもそも現行の奨学金制度の仕組みの前提としている社会の状況というものですけれども,これは従来の右肩上がりの経済で,大学を出れば正規の職に安定的につける,そしてまた経済全体がインフレ基調であると,そのような状況を背景にしていた制度でありまして,比較的うまくいっていた面もございます。しかしながら,大学進学率も50%を超えまして,大卒であっても非常に若年雇用が厳しい状況であるという状況を踏まえますと,例えば,当然,こういった状況ですとデフォルト率というところにも反映されてくることでございますので,こういった社会構造のもとでの奨学金のあるべき姿というような長期的視点を持った検討も必要であろうという指摘もありました。その際には,こういった中長期的な検討を行う際には,機構において,例えば諸外国の奨学金制度の動向等,適切に情報分析を行っていくことが求められているということでございます。
 それから,今後の方向性のマル2の採用段階での指導の在り方というところでございますが,これも引き続き適格認定をしっかりやっていくということですけれども,特に今後,学生への経済的支援を充実していこうという場合には,当然,社会の理解をしっかり得ていくことが不可欠となりますので,そういった意味から適格性の認定ということをしっかりやっていく必要がある,一層重要になるということでございます。そして,奨学金に関する理解の促進というのも引き続き,例えば教育委員会等も含めて積極的に連携してやっていくことが必要であるということでございます。
 次に,マル3の回収段階における今後の方向性でございます。まず,「民間の手法の一層の活用」というタイトルをつけているところでございますが,現在の機構の回収の手法に関して見ますと,ワーキングでご議論いただいた中でも,民間の金融機関から見ても相応な程度に,民間的な手法が取り入れているものという評価はされるところでございますが,引き続きさらに専門的,効果的な実施が見込める場合には,業務の外部委託を進めるなど,民間の視点も取り入れながら不断の見直しを行う必要があるということでございます。
 また,債権回収の状況につきましても,機構の回収努力ですとか回収実績が十分に伝わっているのかという議論もありまして,国民の理解を得るという観点からも,わかりやすい情報公開ですとか,透明性の確保を図ることが重要であるということでございます。
 また,長期にわたる債権管理という機構独特の課題でございますが,先ほど少し述べました,延滞状況にあるとそこを抜け出すことが困難な状況に陥る場合もあるということですけれども,延滞状況にあっても返還の意思があるものに対しては返還を継続しやすくするような,そのような延滞金の返し方ということも検討が必要であろうということ。
 それから,債権を長期に保有することによって管理コスト等,回収コストに見合わない債権があるのではないかという指摘に対しましては,これまでも償却基準の見直しということに一定程度取り組んできているところではございますが,引き続き事業の健全な運営ですとか,モラルハザードを起こさないようにというような観点にも留意しつつも,限られた回収資金の効果的な投入ということについて引き続き議論が必要であるということでございます。
 また,返還者の状況に応じたきめ細やかな回収の促進ということが非常に重要でありまして,そのためには返還者の実態把握の強化ということが必要になってまいります。現在,政府においてマイナンバー法による社会保障・税番号の導入に向けた検討が進められておりますが,こういった状況も見据えつつ,機構の業務管理システムも含めた業務運営方法が効率的に行われるようにしていくことが必要であるということでございます。
 それから,最後に,奨学金事業の中核的機関としての機能についての今後の在り方でございますが,引き続き調査・分析の充実に努めるということ,それから大学等関係機関との連携についても努めるということですけれども,特に,今後,先ほど申しました予約採用の割合を高めていくようなことを目指す場合には,高等学校等との連携ということも一層重要になってくるということもございます。
 以上が奨学金事業の課題と今後の方向性でございまして,11ページ,3.の組織の在り方についてでございます。まず,奨学金事業の実施体制と機構の役割ということでございますが,奨学金事業は冒頭にも述べましたとおり,憲法ですとか教育基本法の理念を実現するための制度でございまして,貸与から返還まで教育的配慮を確実に配慮しながら実施されるものでなくてはならないという,まずそのような前提がございます。それを踏まえて民間の主体への移管ができるかどうかという検討でございますが,行革の議論の中でも教育費のための金銭の貸し付けという面から,回収率の向上のために民間でやってはどうかという指摘があったわけでございますけれども,ただ,11ページのポツが幾つかございますが,こういった観点をよく考えるべきであろうということが幾つかございまして,まず,民間の教育ローンですと,主に貸し付け時の審査によって債権回収のリスクを管理しておりますので,民間に移管した場合,真に経済的支援が必要な者に奨学金が渡らなくなる可能性があるのではないかということ。
 それから,民間の教育ローンと大きく異なるのは,機構の奨学金は無担保で,また,将来の返済能力を審査せずに貸し付けを行っているという点で,教育ローンのノウハウを生かせる部分が必ずしも多くないのではないかということがございます。
 また,それから,次のポツですが,教育的配慮の実施,例えば適格認定ですとか,また,返還の猶予ですとか,そういった教育的配慮についても民間の事業には見られない特徴でありまして,また,こういった教育的配慮を行うことを条件に民間の主体に移管するということをしたとしましても,仮にそうした場合に,そのような教育的配慮が適切になされているかどうかということを事後的に検証するということが非常に困難であるということから,民間への委託にはなじまないのではないかということ。
 それから,これは主体の話ですが,経済的な困難な者への修学機会の確保という観点からは,第二種,有利子の奨学金についても,低利子で安定的に行うことが重要なところでございますが,現在,独立行政法人である機構で行うからこそ財政融資資金の活用ができて低コストの安定的な資金調達が可能であるということも論点に置くべきではないかということ。
 それから,ほかの主要国を見ても奨学金事業は国や公的機関が実施していることが多いということ。そして,民間機関の提供する教育ローンに政府が利子補給を行うという,そういった形を試みた例もありますけれども,例えばアメリカですと,それはまたもとに戻して,政府の直接奨学金に戻しているという,諸外国のそういった例も見られるということ。
 それから,最後のポツですが,民間金融機関においては,結局,無担保で無審査というような貸し付けを行う場合には,そのリスクを補うための相当の利子を課すことが必要になりますので,これを結局,民間に出すということは,相当の公的補助金を必要としますので,結局,効率性という面からはかえって非効率ではないかということ。
 こういった点を踏まえますと,奨学金事業の,例えば債権回収ですとか債権の管理ですとか,そういった個別の業務には民間の手法を積極的に取り入れつつも,業務全体の主体としては機構が実施することが教育政策としては必要なのではないかということでございます。
 それから,奨学金事業は安定的かつ持続可能なものとする組織の在り方はどういうものかというところでございますが,まず,奨学金の需要の高まりにこたえていくためにも,円滑な事業実施の基盤となる事務体制の確保が不可欠であるということ,これに関しましては例えば財政的な基礎ということで,学生に一定の負担を求めるということも検討すべきという指摘もありましたけれども,その際には,そもそも経済的に困難な学生の修学を支援する制度であるということを踏まえて,制度の趣旨を害うものでないような検討が必要であるということでございます。
 それから,また,学生の修学を支えるパートナーという,大学との一層の連携・協働も必要でありまして,この連携によって業務全体の安定性と持続性を高めることが必要ではないかということ。
 それから,国民への理解を得ていくことが不可欠でありまして,事業の透明性の確保に組織を挙げてしっかり取り組むべきであるということ。
 それから,事業の検証と改善のシステム,PDCAサイクルを充実することも有効であるということ。例えば,理事長直下の第三者機関を設置するということも考えられるということがございます。
 それから,次に,奨学金事業の中核的機関としての機構の機能の整備ということでございますが,奨学金事業を確実に実施していくために,政府としても必要な措置を講じることも必要でございますけれども,機構においても関係機関との連携ですとか,機構内でのめりはりのある資源分が行われるように,業務の不断の見直しを行うことが必要であるということでございます。
 それから,最後に,13ページの(2)で,奨学金事業の実施主体の在り方ということでございますが,これは検討の端緒となった閣議決定におきまして,統合後の法人への統合,それから事務事業の他の主体への一部移管等について,平成24年夏までに結論を得ることとされておりますので,これについての議論ですけれども,まず,統合後の法人への移管の可否でございますが,統合後の法人,この三法人の統合につきましては,現在,検討が進められているところでございまして,奨学金事業を統合後の法人へ移管できるかどうかといいますのは,その当該法人が発足した後にその状況を踏まえて検討することが必要であろうということがございます。
 また,その検討の際には,奨学金事業に当たっては,機構と大学等との間のネットワーク,4千を超える学校との間で築かれている連携体制があるということ,それからまた,それに加えて,さらに予約採用を増加する場合には高校等との連携強化が必要であって,そういったネットワークの存在ですとか,それから,現在,機構が長期に保有している延滞債権,それから奨学金のそもそも貸与事業における多額の債権債務の扱いということには十分なガバナンスや配慮を要するということにも留意が必要であるということでございます。
 それから,最後に,機構における三事業の在り方というところでありますが,そもそも機構は奨学金事業に加えて留学生支援事業,それから学生生活支援事業の三事業を総合的に実施しておりまして,これを一元的に実施することによって効果的,効率的に実施しておるところでございますけれども,特に奨学金事業と留学生事業部の連携というところでは,奨学金事業部で実施しておる海外留学奨学金,有利子奨学金の一部ですけれども,というものと,留学生事業部の実施する日本人学生の派遣に関する給付の奨学金との役割分担も踏まえて連動させて推進することが効果的でありまして,このような点から留学生事業部との連携の必要性があるということがございます。
 また,学生生活支援事業との関係でございますが,学生生活上,直面する困難には経済面に起因するものも多うございまして,奨学金貸与事業と学生生活事業の連携した事業実施も有効であるということがございます。
 というのが第1ワーキングの報告書の概要でございます。
 それから,続きまして第2ワーキングの資料2のほうでございますが,これも第1章が留学生事業で,第2章が学生生活支援事業ということで,それぞれの構成は奨学金事業と同じように,まず事業について,それから課題と今後の方向性について,最後に組織の在り方についてというふうに求めてございます。
 まず,3ページ,留学生支援事業からでございますが,留学生支援事業は,これはグローバル人材の育成,それから我が国の大学の国際化ということで,我が国の将来を支える基盤というべき重要な施策でございまして,政府の重要な政策として,例えば新成長戦略,日本再生戦略等々位置づけられているところでございますが,3ページの下のほうでございますが,「しかしながら」の後でございますけれども,海外に留学する日本人の数は,平成16年をピークに減少。また,日本で学ぶ外国人留学生の数は,増加傾向にあったものの,平成23年が震災の影響もあり,やや減少というような状況にございまして,より戦略的,積極的な留学生交流の活性化が求められているところでございます。
 このような重要な学生の双方向交流を行う組織として機構が創設されて,また,もろもろの行革の指摘を受けて対応してきたということが4ページ,5ページでございまして,少し飛ばしまして,5ページの2.課題と今後の方向性のところに参ります。課題と今後の方向性のところが大きく3つに分けてございまして,まず留学生支援全般についてと,それから日本人学生の派遣について,それから外国人留学生の受け入れについてという3つに分けております。
 まず全般についてでございますが,5ページ,留学生交流をさらに発展させるために,留学の前の段階から帰国後まで一貫して戦略的に取り組みを行う必要があり,そういった点からも機構のナショナルセンターとしての機能,例えば情報収集や発信ですとか,調査・分析ですとか,専門的知見の提供,それから関係機関のコーディネートですとか連携の支援・促進等といった機能が求められるというところでございます。
 それから6ページ,2番目の日本人学生の派遣でございます。これはグローバル人材の育成という点からも非常に重要な課題でございますが,6ページの中ほどの障壁の解消というところでございますが,しかし,海外に留学する日本人学生の数は近年減少しておりまして,一方で留学時にインターンシップやボランティア活動を行うということへの注目度は高まっておりまして,このようなことも含めて考える必要があるということ。それから,海外留学を見送る理由としてしばしば,若い世代があまり海外留学に魅力を感じていないのではないかというような指摘もありますが,調査によれば経済力ですとか大学の体制の問題,それから就職の時期の問題,また語学力等の問題を挙げている調査結果も複数ございまして,意識の問題のみに還元するのではなく,留学の障壁となっている要因をしっかり把握・分析して解消するような取り組みが必要であって,機構においてもこういった調査・分析の機能が一層重要となるということでございます。
 それから,学生の双方向交流の質の確保や効果の検証ということでございますが,これは文科省の行政事業レビューで議論が行われた内容を踏まえ,大学等における国際化の取り組みのような,ほかのプログラムと連携を図りながら事務の効率化を図って,学生の海外留学派遣を促進していくことが必要であるということですとか,また,採択時審査の厳格化ですとか,また,3カ月未満の特に短い期間の派遣事業の成果の検証というようなことが必要であるということでございます。
 それから次に,外国人留学生の受け入れについてでございますが,これも戦略的に進めていくことが重要で,まず,段階に分けて議論しておりますけれども,まず,受け入れ段階における窓口機能の強化のことにつきましては,これは我が国の留学の受け入れの窓口となるような機能を強化することが重要であるということ。特に,海外から我が国に留学したいという希望があるにもかかわらず,代表的な窓口機関が現在では存在していないということも踏まえて,機構は国とも連携しながら海外の大学等との交流を促進するための情報提供等の窓口機能を担うことが期待されるということ。
 それから次に,滞在中の段階でございますが,滞在中に安心して勉学に励むことができるように各種のサポートが必要であるということ。具体的に,特に機構が担うべき主な課題として,白丸で幾つか挙げておりますけれども,まず,7ページの一番下の経済的支援の必要性で,これは特に予約型の奨学金というものは,なかなか民間等でもできない部分でございますので,このようなところをしっかり機構で拡充していくことが必要であるということ。
 それから,次の白丸で,留学生との交流の活性化ですが,我が国では特に,来日した留学生と日本人学生との交流機会が十分でないというふうに言われておりまして,留学生が留学の効果を十分に上げられるように国や機構において交流が積極的に進められるように,特に大学等の枠を超えた幅広い交流の中核的な機能を担うことが必要であるということでございます。
 それから,次の白丸で,宿舎面の支援でございますが,ここも海外の留学生が安心して来日して留学生活を送るために,我が国の住宅事情等を勘案しますと,非常に重要な部分でございます。宿舎の提供に当たりましては,宿舎の経済的支援という側面のみでなく,留学生と日本人とが混住する環境によって,例えば異文化交流が促進されるなどの側面にも十分留意をしつつ支援をしていく必要があるということでございます。
 それから次に,卒業後・帰国後のフォローアップの段階でございます。かつて留学していた元留学生というのは,国を越えた人的ネットワークを形成するという点で,非常に財産と言うべき存在でありますけれども,ここの関係の維持が現在非常に不十分な状況ということでございまして,我が国においても関係の維持のための取り組みが必要であるということでございます。
 それから,最後に3.の組織の在り方というところでございますが,学生の双方向交流の推進体制の在り方というところでございますけれども,グローバル人材の育成の観点からは,これは国や大学,機構のみということではなくて,例えば企業ですとか民間団体ですとか,地域社会全体が一丸となって促進に取り組むことが必要であります。そして,例えば各大学であれば,そのミッションに照らして主体的に交流を推進するという役割,また国でしたら高等教育施策ですとか国際交流にかかる施策として留学生政策の在り方や基本方針を定めて大学を支援していくということでございますけれども,機構はこうした国の政策に基づいて学生の双方向交流を推進するとともに,国の政策立案に資するための実態調査ですとか分析を行うといった機能が求められるということがございます。
 また,このほかの主体,地方公共団体,企業,それから公益法人やNPO等,さまざまな民間団体も役割を果たしておりますが,その際,機構は連携ですとかコーディネーションといったナショナルセンターとしての機能が期待されるということでございます。
 それから,各主体の役割分担と連携ということでございますが,ここは一般論のようなことでございますが,機構は,国がみずから直接主体的に実施することにはなじまない執行事務の総合的な実施を担うということ。
 それから,おめくりいただきまして,大学との関係で言いますと,各大学等が主体的に取り組む学生の双方向交流に対して,機構がそういった具体的な主体的な取り組みを支援するという,そのような関係でございます。
 最後に,2.で述べましたような諸課題に適切に対応するような組織の在り方で見直すべきところがどのようなところかということでございますが,まず,国内における国際交流の中核的拠点の整備ということでございますけれども,国内における留学生の交流を促進するために,大学の枠を超えた幅広い交流の中核的役割を果たす場を「中核的な留学生交流の場」として構築しまして,大学や民間団体,地域社会等とも連携・協力しながら,若手人材の国際交流拠点のモデルとして活用すべきであるということ。その際には,例えば中核的拠点として交流の質の向上に係る機能を担うというようなことも有効であるということでございます。
 それから,今回の検討の端緒となりました閣議決定では,国際交流会館の廃止の在り方についても検討するということになっておりますが,これにつきましては,事業仕分けの趣旨を踏まえて引き続き売却を目指すということでございますけれども,ただ,留学生交流の効果を発揮させる上で必要な交流拠点の中核的役割を果たすにふさわしい条件を備えた施設があれば,それが中核的な留学生交流の場として再構築するということも視野に入れるべきであろうということでございます。
 それから次に,奨学金の支給事務の実施体制の在り方でございますが,現在,国費留学生制度は,募集・選考は国で実施しておりまして,ただ,一方で私費外国人留学生学習奨励費制度というのは機構で実施しておりますけれども,採用段階から帰国後のフォローまで一貫した事務体制によって効果的,合理的に行うためには,事務一元化ということによる合理化が望まれるということでございます。
 それから次に,日本語教育の実施体制ということでございますが,機構の日本語教育センターにおきましては,質の高い日本語教育を実施しておりますけれども,これは将来的には日本語教育を行う他の機関との関係等々も踏まえまして,機構による教育実施の必要性ですとか求められる機能等について引き続き見直しを図ることが望ましいということでございます。
 それから次に,11ページの海外拠点間の連携でございますが,機構は4カ所,海外拠点がございますけれども,その下の注にもございますが,各国数多くの海外拠点を持っておりまして,機構における海外拠点を充実・強化していくためには,既に海外に展開されているほかの機関ですとか大学の海外拠点とより柔軟に積極的に連携を図っていくことが必要ではということでございます。
 それから,ナショナルセンターとしての機能の整備ということでございますが,留学生交流の推進のためには,当然,政府においても必要な措置を講ずることも必要でございますけれども,機構においても関係機関との連携による機能の強化ですとか,適切でめりはりのある資源配分が行われるように業務の不断の見直しを行うことが必要であるということでございます。
 それから最後に,留学生支援事業の実施主体の在り方で,ここは先ほどの奨学金事業と少しパラレルなところでございますが,閣議決定で言われております統合後の法人への統合ですとか,事務・事業の他の主体への一部移管ができるかどうかということでございます。統合後の法人への統合につきましては,奨学金と同じく,統合後の法人への統合の状況を踏まえての検討ということでございます。
 それから,機構におけるほかの事業との関係でございますが,まず,奨学金との関係は先ほど述べましたように,奨学金事業でやっている海外留学の奨学金と留学生事業部の支給している給付の奨学金との連携ということが必要である,両事業の連携が必要であるということでございます。
 それから,また,留意すべき点としまして,機構が留学生支援機関として国際的に認知されている現状も踏まえまして,海外におけるプレゼンスという観点にも留意して事業の実施主体の在り方を検討する必要があるということでございます。
 以上が留学生支援事業に関する部分でございます。
 それから次に,13ページから学生生活支援事業についてでございます。学生生活支援事業につきましても,概要につきましては省略をさせていただきまして,14ページの課題と今後の方向性というところからでございますが,課題のところでございます。学生生活を取り巻く状況ということですけれども,大学進学率も50%を超えまして,また,大学に在籍する学生というのもさまざまになっておりまして,当然,学生が必要とする支援のニーズも多様化しているという状況にございます。また,学生を取り巻く社会環境というのも,例えば経済格差の拡大ですとか,少子化の進展等々,さまざまな要因が絡まって,社会に生ずる問題も多様で複雑なものとなっているという状況でございます。そしてまた,このような状況が学生に閉塞感を与えて,また新たな支援ニーズを生んでいるという,そういった状況にあります。
 そしてまた,各大学が置かれた状況を見ましても,例えば学生の相談件数は増加を続けていまして,大学に求められるニーズというものも,例えばキャリア支援ですとか,グローバル人材の育成ですとか,非常に幅広いものとなっております。また,例えば障害のある学生の支援ということにも期待が高まっているという状況でございます。また,大学の実情を見ますと,社会の環境を踏まえてさまざまな困難を抱える学生が増えておりまして,そして現在取り組まれている大学教育改革においても学生の主体性ということがかぎとされている一方で,学生のほうは困難な状況にあるということで,各大学も支援のノウハウを十分に持ち合わせているとは限らず,手探りの状況にあるということでございます。
 15ページで(2)の今後の方向性というところでございますが,まず,総合的な視点の必要性ということでございますが,述べましたように,学生生活における諸問題は非常に多様化して,また,複雑なものになっている状況でして,こういった状況におきましては個別の大学の対応のみでは取り組みやノウハウの蓄積が十分ではなく,必ずしも適切な対応が図られない課題も多くなっておりまして,機構がその解決に向けた手がかりとなるような情報や知見を提供することが必要となっております。
 また,さらに言いますと,そもそも課題ごとの対応ということの限界ということがございまして,さまざまな課題が絡み合ってきますと,課題ごとへの対応ということではなく,そもそも学生生活全体を1つの学生の成長過程としてとらえて,それに対するアプローチというような新たな視点も必要ではないかと。こういった新たな視点ですとか新たなモデルということを機構が積極的に提示するというような役割が期待されているのではないかということでございます。
 それから次に,連携の必要性ということですが,このようにさまざまな社会で生ずる問題の縮図とも言うべき問題が学生生活上の課題ともなっている状況でして,機構においては大学のみならず関係機関や地域社会,NPO等との連携によって学生の支援に取り組むことが必要であるということでございます。
 それから,こうした多様化,複雑化する課題や取り組み状況を適格に把握するということで,調査・分析機能の充実ということが非常に重要でありまして,この辺はまだ不十分ではないかということで,この充実が求められているということでございます。
 16ページの3.に参りまして,組織の在り方ということでございます。さまざまな主体の連携の必要性というところと重なるところでもございますが,そもそも学生の抱える問題というのは,社会の一部の層のみならず,社会の多くの層に共通するものになっているということで,大学のみならずさまざまな主体が学生生活支援に参画するということが必要であるということ。そして,その際,国においては大学全体を通じた学生生活上の課題の把握,認識,それから学生生活支援,高等教育政策の一環としての政策立案を行うことになりますけれども,機構においては政策立案に資する情報収集や調査・分析を行うとともに,各大学における学生生活支援の先導的なモデルを提示するという役割が求められるということでございます。そして,関係機関が連携して一体となって学生生活を支えていくことが必要であるということでございます。
 そして,諸課題に適切に対応するための組織の在り方でございますが,まず,重点的な支援ということでありますけれども,機構は先導的なモデルの一環として,例えば現在行っているような事例の収集,提供ですとか検証というようなことを行うわけでございますけれども,その際,機構は国の政策とも連携しまして,喫緊の課題ですとか,政策上特に重要性の高い課題や,各大学等の自主的な取り組みを促す必要がある課題について重点的に支援するということが必要であるということでございます。
 それから次に,固有のニーズのある学生への支援ということでございますが,障害のある学生ですとか,心理的な課題を抱える学生というような学生等については支援のニーズが増加する一方でございまして,こうした課題に的確に支援を行うためには,専門的な知識ですとか,支援実績に基づくノウハウが不可欠でございまして,機構はこういった面で各大学に対して先進的な事例の収集・共有ですとか,専門的な知見の提供ということを果たすことが求められるということでございます。
 それから,役割の検証ということですが,こうした社会の変化に応じたさまざまな支援ニーズに的確に対応していくためにも,機構においては新たな支援ニーズにも的確に積極的に対応していくことができるように,常に見直しを行いつつ,支援の目的に応じた対象ですとか分野の設定を柔軟に行って,より効果の高いものとしていくような工夫が望まれるということでございます。
 最後に,実施主体の在り方でございますが,これもこれまで述べた奨学金や留学生と重なる部分でございますけれども,統合後の法人への統合というのは,その法人の状況がわかった後にということでございます。
 そして,ほかの事業との関係というところも,全部,裏から述べたようなことになりますが,学生生活上の直面する困難というのは経済面に起因するものも多うございますので,奨学金事業との連携も必要であるということ。それから,大学の国際化が進みまして,留学生も学生生活支援の対象となりつつありますので,留学生支援事業との連携もますます重要となっているという,そのようなことにも留意することが必要であるということでございます。
 以上でございます。

【谷口主査】
 ありがとうございました。
 それでは,第1ワーキングの主査の小林先生のほうから何か補足がございましたらご発言いただきたいと思います。

【小林(雅)委員】
 第1ワーキングの報告書については,今,保立さんから報告があったとおりで,それについて特につけ加えることはないのですが,第1ワーキングでどのような考え方でまとめたかということについて少し補足したいと思います。
 第一に,我が国の奨学金事業というのが非常に特異な形態をとっているということでございまして,これは学士課程段階で給付型の奨学金がないということ,授業料減免という制度はあるのですが,これは機構の事業ではないということです。そういう形で貸与奨学金という形をとっているということでありまして,それはいわゆる純粋な学資ローン,あるいは教育ローンとはかなり性格が異なっているということです。
 議論の中では,教育ローンあるいは学資ローンという形をとれば,かなり違うものになってしまうであろうということが議論されました。今の報告書にありましたように,この機構の奨学金事業というのは,さまざまな教育的配慮のもとに行われているわけでありまして,大学との連携ということも非常に重視されており,ただ単なるローンではないということがまず議論の前提になっております。
 その上で,民間にそれではそういったものを任せられるかということですが,これは民間の金融機関の委員の方からもご指摘がありましたが,そういったことは非常に難しい。むしろかえって非効率になってしまう。政府が大幅に補助金をつけるなりしなければいけないという形になってしまうので,委託するのは非常に難しい。ただし,民間の金融的な手法については十分取り入れる必要がある。前回の検証委員会の過程でもかなりの民間的な手法を取り入れているのですけれども,まだまだやれることがあるのではないか,特にマイナンバー制が導入されれば,これは例えば返還の源泉徴収というような方法も考えられるわけですから,こういったことではまだまだやれることがあるのではないかということです。
 それから,課題といたしまして,かなり奨学金事業自体が複雑化しておりますので,これについて十分な説明をするということ,説明責任を果たすということが機構に求められているのではないかということですね。それから,逆に,現在の所得連動型のような新しい制度を入れたときに,モラルハザードの問題とか,さまざまな予期される問題がありますので,それについても検討しておく必要があるのではないかということです。
 それから,最後に,繰り返しになりますが,調査・分析機能を充実させるということです。これは第2ワーキングの中でもかなり出ておりますけれども,現在の機構の非常に大きな問題点の一つとして,何回も指摘してまいりましたが,やはり調査・分析機能が非常に弱いということです。機構は諸外国の奨学事業調査とか学生生活調査とか,優れた調査を幾つもやっていますけれども,まだなお不十分であるというふうに言わざるを得ません。より具体的に組織なり人員を考えていただいて,この調査・分析機能をぜひ強めていって,エビデンスベースで政策あるいは奨学事業を行っていただきたいということです。
 第1ワーキングでは,第2ワーキングとのすり合わせということは行っておりませんので,それは本日議論していただければと思います。
 以上です。

【谷口主査】
 それでは,第2ワーキングの座長をしておりました私のほうから若干発言をさせていただきたいと思います。
 留学生事業につきましては,世界的に見ても優秀人材獲得競争が非常に激化をしております。あるいは,この周りをとっても,中国,韓国,それから東南アジアも含めて,このアジアの優秀人材を目指して欧米諸国が人材獲得競争に非常に乗り出してきているというような状況の中で,日本もグローバル人材を育成していかなければならない緊急の課題が国として持っているわけで,その中で機構の行っている留学生事業というのは,ある意味で非常に強化をしていかなければならない部分だろうと。そういう中で,やはり国と,それから機構と大学という関係があるのですけれども,やはり国そのものはどちらかといえば政策的な立案のほうに重きを置いて,機構については留学生事業全体を取り仕切るナショナルセンターという位置づけで非常に重要な役割を果たしていただくと。大学はそれぞれ各大学についてのミッションのもとでやるということで,その大学,国との橋渡しを留学生事業としていくということ。これは先ほど申しましたグローバル人材を我が国が推進をしている重要な課題であるという位置づけであります。
 御存知のように,国は2020年を目途に留学生の送り出しと受け入れにつきまして30万人という目標を定めております。今現在のところは非常に厳しい状況にありますが,それに向かって機構の留学生支援事業は強化をしていかなければならないと考えております。
 それから,学生生活支援ですが,これにつきましても,皆さんも御存知のように,さまざまな学生を取り巻く環境は非常に厳しくなっているかと思います。奨学金事業でも指摘されましたように,経済的な問題であるとか,それから雇用の問題であるとか,必ずしも予断を許さない状況になっているというふうな中で,さまざまな支援をしていかなければいけない。それから,留学生も今後,どんどん増えていくという状況の中で,やはり留学生を別途というのではなくて,それも含めた形の学生支援をしていく必要があるという意味でも,この重要性は非常に増していると考えています。
 そうしたら機構はその中で何をするのかと。国と機構と,それから大学との関係においては,やはり先ほど第1ワーキング主査も指摘されましたように,基本的には日本国全体としての学生の状況,情報分析ということが非常に大事だろうと。その中で,やはり大学とか,あるいは国に対して政策立案の基礎的な資源をつくる。あるいは大学に対して,個々に対してその分析あるいは資料の分析結果に基づいていろいろ指示を出すという形で,極めて重要な役割を担っていると考えています。
 その中で,そうしたらすべてのところを強化していかなければならないので,すべての部分はどうするのか,個々の部分はどうするのかということは,これはめりはりをつけて,やはりオーバーラップしている部分については精査をしていく必要があるのではないかと考えています。
 簡単でございますが,まとめでございます。
 それでは,大部な内容について資料を提供し,ご説明をいただいたわけですが,これにつきまして委員の先生方から簡単にご質問等がございましたらお受けしたいと思います。きょうの本来の目的は,もう少し後にありますので,あと1時間ぐらいで議論していただく必要な課題がございますので,とりわけこの今の第1ワーキングと第2ワーキングについて,これだけ聞いておきたいというようなご質問がございましたら,あるいは何か,落としているのではないかという重要な指摘がございましたらご発言をいただければと考えております。よろしくお願いします。

【前原委員】
 前原でございます。
 全体,2つの提言とも方向性はとてもいいと思います。賛成でございます。
 ただ,拝見していて,実現の具体策とか,政策を実現していくプロセスについての部分がかなり弱いという印象を持ちました。このままでは進まないのではないかという印象を持ちました。
 それから,質問が幾つかあります。サービサーの活用ですが,内閣府のほかの委員会でも使ってみて,いろいろ問題があることがわかっています。どういう状況なのか教えていただきたいと思います。
 それから,意見といたしまして,大学とのつながりをもっと深めなければいけない,そのとおりなのですが,真剣に取り組んでいる大学とそうでない大学との差が大きいですね。それについて回収をきちんとやらないような大学については差をつける政策をとっていくということは,明示的に書いてないのですが,お考えになっているかどうかという点をお聞きしたいと思います。

【谷口主査】
 それでは,質問だけ先にお受けして,後で一括して事務局もしくはワーキングの座長のほうからお答えするということにしましょう。
 ほかにございますか。

【石原委員】
 細かい点なのですけれども,ワーディングで,第1ワーキングの3ページのポツが4つあるうちの4つ目ですね。「返還に当たっては,奨学金の返還を通じて学生等の自立心や自己責任」とあって「可能な限り返還」というのは非常に引っかかったなと。つまり,2つ意味があると思うのですけど,できるだけやれよという意味かもしれないし,可能だったらやりなさいよという,2つの解釈ができて,全体的に憲法あるいは教育基本法にのっとって,普通の商業的な金融とは違うということはよくわかるのですけれども,わかるからこそ,ここにこういうワーディングが入ると,返さなくてもいい,そういう印象を私は受けます。少なくとも。だから,これは削ってしまったほうがいいのではないかと。あえてそこにこれがある必要がないかなという,ちょっと細かい点ですけれども,気づいたことです。

【谷口主査】
 ありがとうございました。
 ほかにございますか。

【加藤委員】
 先ほど小林先生がおっしゃった日本の奨学金の特異性というのをもう少しはっきりさせたほうがいいように思います。教育的な指導,大学との連携が重要である点は,もっと強調した方がよい。
 その上でちょっと気になりましたのは,5ページのところに給付型奨学金の問題をメンションされていて,給付型の奨学金についても望む声が多いというような表現になっていますが,8ページになると,給付型奨学金の導入がむしろ示唆されています。それはちょっと矛盾している。やはり現在のような奨学金の在り方を主張していくほうがよいと思いますが,その辺はどうなっているのでしょうか。

【谷口主査】
 ほかにございますか。
 よろしいでしょうか。そうしたら前原委員のご質問や,あるいはご意見。ご意見はご意見として承りますが,ご質問にお答えいただけますか。事務局のほうから。あるいは機構のほうでも。

【松尾学生・留学生課長】
 幾つかありますので,まず,サービサーの状況については機構のほうから,そのほかについては私のほうからそれぞれ説明いたします。

【谷口主査】
 もしくは小林先生。奨学金の問題についてね。

【月岡理事】
 まず,サービサーの活用ということですけれども,大きく分けて2つのタイプのところについて行っております。一つは,通常,返還は口座振替で行っておりまして,口座振替が1回,2回,3回,不能になってきて,4回目も不能になったといった場合に,大体半年間ぐらいの期間を定めて回収委託に出します。この回収委託に出した期間中に少しでも返還があれば引き続き回収委託を継続して,なるべくサービサーから緊密な連絡をとってもらって,返還を継続し,かつ,早期に口座振替に戻ることができるようなところまで持っていきたいということで,今言いましたように,振替不能4回目になった段階で半年間程度の一定期間を定めて,まず回収委託に出し,その期間中に少しでも返還があれば引き続き回収委託を継続していくと。最初の半年の期間中に例えば全然返還がないといった場合には,その段階で回収委託を終了して法的処理に移るといったような仕組みにしております。
 それから,もう一つのタイプは,そういう口座振替が不調になったといったものではなくて,ある程度延滞が進んでいるといった人たちがおります。そういった人について延滞,例えば23年度に回収委託されているものについては,2年以上8年未満を対象としておりますけれども,その段階で,例えば過去半年間において一度も入金がないといった人について洗い出しをして,それを回収委託に出すと。これも期間は例えば1年から1年半とか,そういった期間出しておりますけれども,その期間中にまた入金等があるのであれば,これも引き続き継続していくと。最初の段階で半年間以内に入金があったものについては回収委託に出さないわけでございますけれども,その後,半年たった段階で改めて同じ条件で洗い直しをしまして,その段階で半年間,入金がないといったものがありましたら,それはそこで改めて回収委託に出すといったようなことで,2段階に分けた形で現在,回収委託を活用させていただいております。

【前原委員】
 サービサーは,有効に機能していると評価しているわけですね。

【月岡理事】
 はい。有効に機能していると評価いたしております。

【谷口主査】
 大学の取り組みの差についてはいかがでしょうか。

【月岡理事】
 まず,大学につきましては非常に重要な役割を果たしているということは認識いたしておりまして,大学との連携の強化,あるいは大学の職員の人に対して機構の行っている奨学金の在り方,あるいはその内容について理解をしていただくということは非常に重要だと考えております。そのために,例年,これまでも年に1回の会議を行っておりましたけれども,平成22年度から,新規に機構の奨学金業務に携わることとなった人を対象とした研修会を行っておりまして,今年も現在行っておりますけれども,これまでのところ大体22,23の2年間で約2,500人が参加しております。そういうふうな形で,機構と連携協力をして行っていくということの重要性ですとか,あるいは大学が実際果たしている役割の重要性といったこと,特に推薦のときの評価とか,あるいは適格認定のときの評価とか,そういったことも含めまして,非常に重要な役割を果たしているということの啓発とか理解の促進ということを行っております。
 それから機構の奨学金の採用枠については在学生については各学校に枠配分をいたしまして,まずはこの範囲の中で推薦してほしいということをお願いしております。その際には,第一種奨学金,第二種奨学金ともでございますけれども,延滞状況にある程度の重みをつけまして,延滞が悪いところには枠が小さくなると。延滞状況がいいといいますか,延滞者が少ない,延滞率が低い学校には枠が大きくなるといったような形で枠配分をいたしております。

【前原委員】
 どのぐらい差があるのですか。

【月岡理事】
 重みとしては約3割ぐらいというのを。

【前原委員】
 その程度ですか。

【月岡理事】
 重みとしてつけております。全体の学生数,それから奨学生の採用実績といったことと,それに加えて重み分で増減する割合を3割ぐらいというふうに決めて行っております。結構動くというふうに考えております。

【谷口主査】
 ほかに。
 これ,第1ワーキングのご質問が多いのですけれども,事務局か,あるいは小林先生。

【小林(雅)委員】
 じゃあ,私のほうから先に。
 前原委員のご指摘の,政策実現プロセスが弱いというのはおっしゃるとおりで,これは先ほど調査・分析の組織を具体的にやってほしいということを申し上げましたが,ほかの部分でも。

【前原委員】
 そうですね。予算が要ります。

【小林(雅)委員】
 ええ。そのとおりです。
 大学との連携が非常に重要だということは,繰り返しになりますけれども,コホートのデフォルトレートというのがアメリカでありまして,これは前回の検証委員会でも出ていますけれども,日本でもこれを公表してはどうかというような考え方もあったのですが,今回はこれは検討しておりません。
 その理由は,やはり,例えば,奨学生の数が5人しかいないと,3人いたらすぐフォールトレート6割になってしまうというような問題もありまして,アメリカでも定義を,2年平均を3年平均にするとか,いろいろやり方を変えています。ですから,ただちにこれを導入するのがいいかどうかという議論が前回の検証委員会のときもありまして,私はこれはただちに導入することは難しいのではないかというふうに考えておりましたので,今回のワーキングでは特に議論いたしておりません。
 それから,加藤先生のご質問ですけれども,給付型についても大学との連携はやはり非常に重要なことになってまいります。というのは,給付型奨学金の場合にも大学側がやはり推薦なりをしなければいけないということが当然予想されますので,そういう意味では大学との連携ということは給付型であっても同様ではないかと思います。
 それから,「可能な限り」は,これはご指摘のとおりで,やはりちょっと紛らわしい表現ですので修文していただければと思います。
 私のほうからは以上です。

【谷口主査】
 何か事務局から補足ありますか。

【松尾学生・留学生課長】
 いえ。

【谷口主査】
 濱田委員は初めてご出席されているのですけれども,何かこの報告でご発言ありますか。

【濱田委員】
 いえ,特にございません。

【谷口主査】
 それでは,時間が迫ってきておりますので。

【前原委員】
 すみません,第2グループについて後から言いたかったので留保したのですが,1つだけお願いがあります。課長に対するお願いですが,外国の場合,アテネ・フランセとか,最近だったら孔子学院とか,国がものすごい勢いで努力していますよね。日本については,日本語を教える仕組みが非常に弱い。それから,先生たちの待遇もものすごく悪いですよね。これはやっぱり考慮すべきことだと思います。国の政策として。私も50年前にゲーテインスティテュートでドイツ語を学んだのでよくわかるのですが,やっぱり国が後押しして広めないとなかなか行かないと思うのです。これまた予算の問題になりますが,ぜひその点書いてなかったので,ぜひやってほしいと思う。

【松尾学生・留学生課長】
 ここには,機構の業務の在り方ということですので書いてございませんけれども,日本語教育を世界に,それから外国の方にというのは極めて重要で,日本人学生が留学先で日本語を教育するとか,いろいろ意を尽くしていますので,こことはまた別な世界で努力をしていますので,いつも前原委員からは伺っていますので。

【前原委員】
 よろしくお願いします。

【谷口主査】
 ご意見を承ったとして,次に進めさせていただいてよろしいでしょうか。
 それでは,きょうご議論いただくことにつきまして事務局のほうからご説明いただけませんでしょうか。

【保立学生・留学生課長補佐】
 資料3と資料4に基づきまして説明させていただきます。
 本日は本検討会での報告書の取りまとめに向けたご議論をいただきたいということで,順序が逆ですけれども,まず資料4で報告書の骨子(案)というものをこちらでたたき台をつくらせていただいております。それに向けた論点として資料3の例を挙げているというような状況でございます。
 資料4の骨子(案)ですけれども,「はじめに」ということで機構の概要等々を説明した後,まず,機構に求められる役割は何であるのかということ,機構の本来的な任務ということはどうであるのか。それから,機構の置かれている状況を踏まえて,機構がどういった役割を今後の方向性として果たしていかなければならないのか。また,その中で重点的に取り組むべき業務というのはどういうことであるのかというようなことがありまして,それを踏まえて3章,4章のところの機能の整理ですとか組織の在り方ということを論じたいと思っております。
 3章の機構の機能の整理ということで,この機能の整理というのは閣議決定の文言ですが,機能を整理した上で組織の在り方ということでしたので。
 機能の整理の1.ですが,まず,機構の機能の見直しの視点ということですけれども,例えばほかの主体,国や大学や民間等との役割分担の考え方ですとか,また,機構内における適切な資源配分,めりはりのある資源配分ということだと思いますが,こういったことをとりあえずこちらでは2つ挙げさせていただいておりますけれども,ほかに何かあればということでございます。
 それから,全体の見直しの視点も踏まえまして,また各事業の特徴を踏まえた機構の機能の在り方ということで,各事業における機構の機能の在り方について論じるべきところは論じると。このあたりは過去ワーキングにおける報告書を,なるべくその議論を使えるところは使いたいと思っております。
 そして,これらを踏まえて,最後に機構の機能の在り方について,統合後の法人への統合ということですとか,また,事務事業のほかの主体への一部移管ということを含めた機構の機能の在り方,それからまた,その場合の留意事項としまして,例えば3つの事業をあわせて行うということが必要ではないかとか,また,統合しないとしても機構のガバナンスということをどのように改善,向上していくことが必要かというような,こんなような骨子を想定しての資料3の論点(例)でございますが,あわせてご説明させていただきますので資料3をごらんください。
 本日の論点(例)ということですが,1.はもう終わったような話かもしれませんが,各ワーキングからの報告を踏まえた議論があればということでしたけれども,こちらは省略させていただきまして,2.でこれを踏まえて,この検討会の取りまとめに向けてご議論いただきたい点。特に,各ワーキングのご議論でまだ十分にご議論がいただけていない全体の部分ということを中心に少しブレークダウンしておりますけれども,機構の果たすべき役割というところで,機構の任務について,機構がどのような任務を本来的に果たすことが求められていて,また,どのようなところに重点的に取り組むことが必要かということ。参考としまして,ホチキス留めの2枚目に機構の目的という条文もつけておりますけれども,ご参考になればということでございます。
 それから,ほかの主体との関係でございますが,役割分担の考え方ですが,留学生のワーキングでは少しご議論がありましたけれども,国や民間との関係,例えば国が直接実施することにはなじまない業務ですとか,民間では必ずしも適切に実施されない事務ですとかいったようなことの役割分担,それから大学との関係で言いますと,大学の主体的な取り組みを促進する役割ですとか,また,個別の大学の取り組みのみでは十分な対応が図られない課題を支援するとかいった視点。
 それから,これに加えてですが,そもそも機構の業務とすることが一見増えるように見えたとしても,それが社会全体で見たときの業務の効率化につながるというような観点があれば,そういった観点もしっかり踏まえて検討するべきではないかということで,社会全体のコストと機構における行政コストを総じたときの最小化というような,そのような視点ということもあるのではないかということで,3つほど例を挙げさせていただいておりますけれども,こういった視点についてご議論をいただければということでございます。
 それから,そもそもこれは行革の指摘を踏まえた報告ということですので,効率的で効果的な事業実施にどのように取り組むかということ。これは機構内における,例えばめりはりのある資源配分ですとかいうことが考えられますが,こういった点についてもまたご議論いただければと思っております。
 これらを踏まえて機構の組織の在り方についてで,3つの事業をあわせて行う意義ということも,各ワーキングでも少しありましたが,またさらにあればということ。それから,統合後の法人への統合ですとか,ほかの主体への移管ということについては,その可否ということに加えて,仮に移管等あるとした場合に,その際に留意すべき事項ということがあるとしたらどういうことであるか。例えば,先ほど,奨学金でしたら,例えば巨額の債権債務があることのガバナンスの重要性ですとか,また,1つ上の丸と重なりますけれども,三事業をセットで行わなければならないのではないかとか,あるいは切り離すところがあるのかどうかですとか,そういった点についてご議論いただければと。
 また,それを踏まえて,最後にまたガバナンスの改善ということがどのようなことがあり得るのかという,こういった点を本日ご議論いただければということで論点(例)とさせていただいております。
 そして,資料番号がついていなくて恐縮なのですが,その次に,1枚もので四角が2つ入っている,参考と書いてある資料がございます。行政刷新会議の報告と,それから閣議決定の抜粋ですけれども,今般の検討の端緒となった行革ですとか閣議決定の議論ですので,原点してこれがあってということですので参考に入れさせていただいております。
 資料の説明は以上でございます。

【谷口主査】
 ありがとうございました。
 あと時間が40分ぐらいしかないのですけれども,順番にご議論いただきたいと思います。
 一つは,資料4の取りまとめの報告書の骨子(案)なのですけれども,議論いただくのはきょう限りということになりますので,次回は取りまとめた結果ということになりますので,この骨子(案)について,このような章立て,あるいは内容でいかがでしょうかということの議論をお願いをしたいと思っていますが,何か抜けているところがあればご指摘をいただければ。章立てとしてこれでよろしいかどうか。

【加藤委員】
 ワーキングの報告をうかがいましたが,やはり3つの事業がそれぞればらばらな観点であるというのがどうしても感じられます。最終的な報告案でも第3章の機能の整理で,やはり既存の奨学金の事業,留学生支援の事業,学生生活支援の事業についてまとめる形になっている。この見直しというのはもう少し議論したほうがいい気がしているのですが,どうでしょうか。つまり,3つの事業としてやるという考え方でいくのかどうかです。

【谷口主査】
 これ,事務局のほうはどのようにお考えでしょうか。

【松尾学生・留学生課長】
 基本的に機構の事業というのは学生支援という観点から,3つの事業がコンセプトとしてありますので,確かに加藤先生が言われるように,3つの事業をそれぞれ章立てしてやるのか,それをどう包括していくのか,概念整理はおそらく必要だと思います。
 我々の柱立てとしましても,ここで,例えば今,先生が言われたように,行革の関係で言うと,各事業の課題と方向性をしっかりと見直しするということなので,第3章では事業ごとに書いていますけれども,その上の第2章においては,役割,任務で,その中に帰結として3つの事業があるみたいなコンセプトになるとありがたいなという思いが入ってございます。
 したがいまして,この2章のところで3つの事業でない事業があればまた別ですし,3つの事業を包括して2つの事業にするという結論にあれば,そういうことになるかもしれませんけれども,おそらく今は3つの事業であろうということでこのようなコンセプトにしてございますが,この2章のところでそこは加藤先生が言われたようなところをご議論いただくのがよろしいのではないかなと思ってございます。
 ただ,いずれにしても,現存する事業が3つございますので,それを第2章を踏まえてどうしていくかというのは少しご議論が必要であろうかと思っております。

【加藤委員】
 たとえば何が問題かというと,奨学金の事業は学生に対する経済的な支援という考え方が大きいと思うのですね。留学生についても,やはり留学生そのものに対して支援をしている。ところが学生生活の支援というのは,学生に対する支援ではなくて,むしろ大学に対して支援していくようなところがあります。
 ですから,同じ支援という考え方でも,少し違う。事業で考えるからそういう整理になるのですが,機構全体の支援という点から言うと,学生個人に対する支援と,大学などの組織に対する支援とがある。そういうくくり方で事業を考えたほうがいいというのが私の意見です。

【谷口主査】
 それは論点整理のところで議論させていただいたらいかがでしょうか。章立てとしてはこれでよろしいでしょうか。

【大森委員代理(新野氏)】
 これ,ちょっとご質問なのですけれども,三事業についての目的,各先生からもお話が出ているとおり,ねらいとか,国として実現したい課題とか,こういったものを踏まえた上で,まず現状どうなっていて,何が問題なのかみたいなところがないと,それの理想とねらいと現実のギャップみたいなものというのはなかなか埋めるのは難しいかと思うのですが,この章立ての中では現状とか問題点みたいな課題みたいなものというのはどこで議論というか,考えていらっしゃるのか。ちょっと質問になってしまうのですけれども。

【松尾学生・留学生課長】
 わかりました。基本的には任務,それから機能の整理のところに入れ込むのかなと思いましたけれども,先生がおっしゃいますように,それがパッケージとしてあったほうが議論,あるいは論文をつくる上で流れがいいということであれば,どこか章立てで現状と課題というのを,例えばこの各ワーキングでも現状と課題というのがありますので,そのエッセンスをパッケージとして章立てするほうが流れがよければ,例えば2章と3章の間であるとか,あるいは初めと役割の間に持ってくるとか,そこは流れを踏まえてあるというのはあり得ると思います。

【大森委員代理(新野氏)】
 あともう1点,これは先ほど前原先生がおっしゃったとおり,やっぱり実現を図っていくに当たってはアクションプランというのでしょうか,スケジュール感というものも非常に重要だと思うのですけれども,この報告書の中でもそういった実現に向けてのステップ感,スケジュールみたいなものというのは提示をされたほうがいいのではないかと思うのですが,その点はいかがでしょうか。

【松尾学生・留学生課長】
 そこはいろいろ我々も考えがあって,予算を伴うものというのはなかなかステップ踏んでも実現性どうなるかというのがございませんので,ある程度この在り方というのは組織,体制の在り方ということでありますので,その方向性をここに記載いただいて,それをある程度行政として,あるいは機構の具体の人員と予算とでもってスケジュールを出していこうかなというふうな思いでいたところでありまして,ある程度,予算を伴わないものであれば,それは思いですのでできると思うのですけれども,書けるところは書いてみたいのですが,例えば給付型の奨学金をどうするかとか予算を伴うものというのは,なかなかそれがスケジュールをつくっても絵にかいたもちになる。絵にかいたもちというのは,我々,議論しないということではなくて,それがやっぱり少しずれる可能性があるので,その方向性をある程度やるというのは当然,我々としてアクションプランみたいなのもつくっていきたいと思いますけど,つくり方だと思います。どれぐらい年限を入れたアクションプランにするのか,手順を入れたアクションプランにするのかということでありますので。

【大森委員代理(新野氏)】
 提示の仕方として,今おっしゃったように,もし制約条件があるのであれば,前提条件つきで示すとか,その辺も含めてちょっとご検討いただければと思いますので,よろしくお願いします。

【谷口主査】
 よろしいでしょうか。
 先ほどご指摘いただいた加藤先生の件は後ほど議論させていただくとして,それから現状と課題については,2章と3章の間に入れるとかという工夫をさせていただくということで,スケジュールというか工程表については書けるところは書くと,書けないところは書けないという形で,予算のうまく表現をしていただくということにしたいと思います。

【富沢委員】
 最後のところに何か結びとか結論というか,そういう章があったほうがいいのではないでしょうか。

【谷口主査】
 そうしたら,最後のところに結びか結論か何かを入れると。だから,第6ぐらいになるのですかね。現状と課題を入れるとね。そんな形の章立てを。それでまとめに入らせていただきたいと。骨子はそのような形でつくらせていただくということでご了承を得ましたので,次に,最後の議論ですが,論点(例)の資料3ということにつきまして,ご議論をいただきたいと思っています。
 1のワーキングからの報告,これはもう既に終わりましたので,第2のところで機構の役割,それから機構が重点的に取り組むべき業務,それから国や大学,民間との役割分担についてご議論をいただくということ。その次に,資源配分について。それから,最後にガバナンスの在り方についてという,この順番でご議論をさせていただきたいと思いますので,まず機構の果たすべき役割のところでご意見いただければと思っておりますが,よろしくお願いします。

【富沢委員】
 きょうの第1ワーキング,第2ワーキングからの報告全体を通じて3つの事業を相互に連携させながらやっていくという趣旨で,私もそれでよろしいかと思います。特に,第2ワーキングのほうでグローバル人材についての定義が記載されていましたが,報告書の第2章の機構が果たすべき業務,あるいは4章の3つの事業をあわせて行う意義についてというところで,グローバル人材というのは一つ,結構大きなキーワードになるかなと考えております。
 つまり留学生の事業の問題と,それから奨学金の事業とかもありましたけれども,特にグローバル人材については日本人学生のイメージがすごく強く感じるのですね。日ごろからの使われ方を見ていますと。ただ,機構のほうで考えていくときに,日本に来ている留学生も重要なグローバル人材の卵であるというふうな認識で考えていったらどうか,と思っています。そこから,例えば日本人と留学生の共同の施設とかそういうのも考えていこうということが出てくると思いますので,その辺でグローバル人材のとらえ方を少し広くとって,この3つの事業が相互にリンクしていくというような枠組みで考えていったらどうかということをご提案したいと思います。
 あと,第2ワーキングのほうで,特に海外拠点間の連携という,報告書の11ページで,ブリティッシュカウンシルとかキャンパスフランスとか,海外の事情について若干言及されていました。第1ワーキングでは海外の奨学金制度の状況についての調査・研究が非常に重要だと指摘されていましたけれども,留学生のための海外拠点の問題についてはより一層,他国でどういう人材獲得の試みが行われているか,これをまず相当調べて,それに太刀打ちできるようなものを考えて行く必要があるのではないかということです。そういう意味では他国での留学生支援事業に関する調査・研究活動を綿密にやっていくということも指摘していったらいいかなと考えます。

【谷口主査】
 ありがとうございました。

【前原委員】
 今のご意見にもつながるのですが,2つあります。
 1点目は,留学生のネットワークということがたびたび出てくるのですが,長期的に日本の国益を考えたら大変大事なことです。今の日本はそれが欠落していると思います。ただ,これはものすごくお金と人が必要ですよね。今,首都大学東京の理事長が一生懸命取り組み始めておられますけれども,何かうまい方法を具体的にここで明示できたらいいと思います。ただお題目がここで出ているだけなので,これでは進まない。非常に大事な点だと思います。国益を考えたら。
 それから2点目は,資料2の16ページのところで,3の(2)「例えば」と書いてあるところです。これは課長も御存知のように3つの省で若者の就職問題をいろいろやっているわけですが,既に各地方の経済界と大学がネットワーキングをいろいろ始めていまして,協議会をつくって就職のマッチングとか,かなり各県で動き始めています。この動きは急速に進みつつあるので,多分,就職問題の改善にもなっていくと思いますですから,ここでこれが入っているというのはちょっと違和感がある。この機構がやるべきことなのか,ちょっとふろしきを広げ過ぎていると思います。
 ですから,先ほど加藤先生もおっしゃいましたが,3つ目の学生支援活動のところは,ほんと言うと,全体にかかわる話なので,あまりこういう「例えば」なんて書くとよくないのではないかと。ほんとうに機構でやるのですか,やる力があるのですかと言われたら,答えられないのではないのでしょうか」。
 以上です。

【加藤委員】
 前原委員がおっしゃったことは大事です。いろいろやらなければならないことはあるのですが,やれていないというような指摘を受けるわけですね。
例えば留学生の問題,富沢委員がお話しになったのですが,今,全体としては双方向が重要です。この文章でも双方向と言っています。しかし,機構は双方向の留学生の問題をほんとうにやるのか,それとも来る留学生のケアをしっかりやっていくのか,そこは大事なポイントだと思います。
 双方向でやっていくのはもちろん文科省,国の施策だと思うし,留学生の交流をやっていくのは大学の仕事だと思うのですが,学生の支援という観点でやっていく場合,機構はむしろ留学生,来る留学生をしっかりと支援する。そういう考え方もありだと思うのですが,読んでいくと,やっぱり日本人の学生に対しても支援するという。そこのところは,さっきのグローバル人材の議論とも関係します。
 ですから,機構の守備範囲は何なのか。今はまだ来る留学生に対して十分な支援ができていないという認識ならば,そこにもっと焦点を当ててやるというのも一つの考え方です。そのあたりのスタンスをはっきりしたほうがよく,あまり幅広にやるのはどうか。全体の施策の中で双方向をにらみながら,しかし,機構は来る留学生の方をしっかりと支援していくほうがいいかもしれない。そこのところは一つの論点だと思います。

【谷口主査】
 全体的に総花的にすべてを書き込んであるという感じは皆さんお持ちだと思うので,そこのところは……。

【松尾学生・留学生課長】
 多分このようなことなのではないかと思います。留学生に関して言うと,来る留学生,行く留学生,いろいろな施策があると思うのですが,この部分だけをやるのかということだと思うのです。そうではなくて,来る留学生,行く留学生,その他ということになると,例えば来る留学生についても行く留学生についても,大学を拠点としている場合にはその責任はおそらく大学にあります。したがって,来る留学生についてすべて機構が強化してやるということではないのだと思います。行く大学生に対しても,その責任はおそらく大学にあります。したがって,機構がやっているのは来る留学生についての経費的な支援と,それから,例えば宿舎支援や情報提供であるとか,あとは,行く学生についても,基本的には大学がやるのだけれども,それについての経費的な支援を機構がやるということなので,ある核の業務が事業としてあった場合に,その中の学生への経済的支援を行うということと,そのプラスアルファということなのだと思います。
 したがって,加藤先生が言われたように,これをやるかと言われれば,やるのだけれども,その中のおそらく一部で,これは大学と連携しながらやる。その一部をやるということだと思います。ただし,そのときに統一的な情報分析があったほうがいいということで,情報分析をやりつつ経済的な支援をやるということだと思います。したがって,どこか偏ってやるというよりは,すべてを総合的に見ながら学生の経済的支援をやっていくというのが,今の事業のつくりだと思うのです。
 それがいいのかどうかというのは議論としてありますけれども,そのような意味で,すべてにおいて,すべては大学の責任,機構の責任ということではなくて,一連としてやっていて,連携してやっていくということで,このペーパーのつくりとしては,課題としては全体の課題を入れつつ,そこで機構が何をやるべきかというつくりにしたいということで,課題はなるべく広めの課題を置いて,その中での機構の業務というふうにしたので,若干全体を機構がやるような印象になっているかもしれませんけれども,機構のやれる部分というのは大学のやる部分をうまく支援をしながら経済的な支援をしていくというような形での在り方ではないかと思ってはいるのですけれども。少しわかりにくいところは確かにあるかもしれませんが,そのようなことです。

【木谷委員】
 今の点ですけれども,私はどちらかというと,やはり今の日本の置かれている状況の中で,むしろ単に受け入れの留学生ということだけではなくて,双方向の交流を含めて,やはりグローバル人材育成ということをもう少し考えていく必要があるのではないかと。むしろこれまで双方向交流,あるいは派遣というふうなことについて国としてなかなか十分な施策がとられてこなかったというところについてきちんと取り入れてやる必要があるのではないか。
 そういう意味では,留学生支援事業とあると,いかにも来た留学生の支援だけというふうな感じにとらえられるので,むしろこの表題自身をもう少し変えていくということも考えられるのではないかということを思っております。
 ただ,そうは言いつつ,課長もおっしゃられましたけれども,ではそれをすべて機構がやるのかというと,そういうことではなくて,もちろん各大学,教育機関が基本的には主体的にやるべきことで,そこをどういうふうにその中で,機構があれもこれも全部やるのではなくて,どういうところに重点を置くのかということを精選してやっていく必要があるのではないかと思っております。
 それから,もう一つは,これは前原委員がちょっとおっしゃられた話ですけれども,学生生活支援の関係で言えば,確かに就職云々という,キャリア教育というふうなことよりも,機構に期待されることという意味では,やはり固有の問題,いわゆる障害を持った学生であるとかメンタルヘルスであるとか,そういう面での特に専門的な特別のケアを必要とする学生に対する支援ということについての,これは学生そのものというよりもやはり大学等の教育機関に対する支援ということになると思いますけれども,今,そういう学生が増えてきているわけですけれども,初等中等教育の段階では大体各県ごとに教育センターとかそういうものがあって,そういうところがいろいろケアをする。ケアといいますか,支援体制があるのですが,高等教育機関レベルではそういう機能が十分ではなくて,それぞれの大学,私ども高専もそうなのですが,非常に苦労しているというのが実情だと思うのですね。
 現在,既にある程度なされているということは,ネットワークがあるというのは理解しているのですけれども,やはりこういったところをもう少し重点を置いて考えていったらいいのではないかと思います。

【堀委員】
 概括的なコメントのようになってしまうのですが,行政刷新会議の報告を受けて,立ち上げて報告書をつくるということで,その報告書の位置づけだとかそういうものを自分なりにそんたくをしてみると,多分,機構でやっている三事業というのは,有機的に相互補完の関係に立っているので,一つ一つを切り出して他の事業体に持っていくというのは非効率であるということを多分,暗に言いたいのかなというふうにそんたくしているのですが,それの観点から見ていくと,三事業の相互の関連性に関する記述がちょっと弱いのかなと,そういうふうにまず感じます。
 それともう一つ,それぞれの機能を検証と。その機能の検証の仕方というのは,機構でなければきちんとした検証ができなかったと。機構の問題点の指摘は的確であると。しかもそれに対する対応策も機構なりにきちんとした,要するに今までの知見と経験,いろいろなことに基づいた対応策が出ているというところがそれなりに出ていると,本来の皆さんの目的にもうちょっとぴたっと合ってくるのかなという感じがいたしました。
 概括的な意見で申しわけございません。

【谷口主査】
 ありがとうございました。

【石原委員】
 一つは,論点の中の機能の果たすべき役割についてのところで,「他の主体(国や大学,民間等)」とあるのですけれども,ここに地方自治体ぐらい入れたほうがいいかなと思います。
 つまり前原先生がおっしゃいましたけれども,今は地方でいろいろな動きが始まっていて,その中でかなり地方自治体が大きな役割を果たしていると。これ,一つは,自治体の首長のマインドなり権限でいろいろなことができるのですね,地方自治体は。そことどううまくやっていくのかということがこれから非常に重要であると。これを入れないでおくと,機構が全部外された段階で全部動いてしまう可能性もある。
 例えば,ある区から相談を受けているのは防災とか地域の商店街の活性化とか,そういう問題について大学と連携するにはどうしたらいいのだと,そういう話があるのですね。留学生であろうが日本人学生であろうが,若者とどういうふうにうまくつき合うかというのは非常に自治体としても重要な問題になっていると。ボランティアを含めてですね。そういうのに一枚かんでおかないと,ちょっと損をしてしまうのではないかと思います。
 うまく機構が入ることによって非常にプラスになる面も多分たくさんあるのですね。この文章の中に出ている,例えば地域の交流拠点の活用の問題なんかも含めて,これはまさに自治体と組むことによって,いろいろな形で活用が幅広くなると。逆に,自治体の施設を活用しちゃうとか,マンパワーを活用するとか,これも含めて自治体次第というところがあるのですけれども,もう既に自治体は就職問題で,地方に行けば経済界と組んで,大学と組んでやっていかなければ地域がもたないという,そういう問題意識を持っているので,そういうところを見た場合,ちょっとそこまで考えておかないと,逆に機構自体がおくれてしまうのではないかなと,そんな感じがします。

【谷口主査】
 ほかにございますか。
 この機構の果たすべき役割ということですけれども,一つは,いろいろな組織体,学生を対象にしていますので,いろいろな要するに課題なり,それにかかわる組織というのは当然存在しているわけですけれども,国はどちらかといえば政策的な提言というところに重きを置いていくものだろうと。文科省としてはね。そうしたときに,機構というのはやはり,大学は個別の話だと思いますし,民間は民間として活動しておられる,あるいは地方自治体もあるという中で,相互の関係をどこが取り持つのかという一つの在り方としては機構の役割というのは非常に大きいのではないかと。それが個別に,例えば留学生のある部分だけを支援するというのではなくて,やはり補完的な,大学ででき得ない問題について留学生全体の中での機構がそこをサポートする。あるいは民間でできないところサポートする。あるいは国ができないところをサポートする,あるいは政策提言に対して情報収集をするとか,そのような全体を包括したような中で個々に役割を果たしていくというのが機構の在り方ではないかなと思っています。
 だから,そのような意味で,明確に,例えば国はこういうことをする,機構はこういうことをする,大学はこういうことをする,民間はこういうことをする,その中での統括的といいますか総括的な役割みたいなのがこの三事業にとって重要な役割を果たしているのではないか。例えば奨学金事業であるとか,留学生の事業であるとか,学生生活支援の問題についても,木谷先生がおっしゃったように,やはり初等中等教育まではあるのだけど,大学は全体として,国として抱える問題について,大学生が抱える問題について,やはりそれは機構のやるべき仕事があるのではないかと。一大学ではとらえきれない問題があると思いますので,そのような意味でも機構はいろいろなところに出ていってはりついて,やっていただくと。
 先ほど,前原委員がおっしゃった,あるいはほかの委員もおっしゃったのだけど,具体性がないと。僕もそう思ったのだけど,これは予算との関係があって,勝手に書くわけにはいかないというつらさが常につきまとっていますので,国民の皆さん,この報告書を読まれますので,やはりできるだけわかりやすい形で,そこの書けるところは書き込んで,何をしてくれるのだということがわかるような形で取りまとめる必要があるのではないかと思っております。
 時間があまりないのですが,次に進ませていただきたいと思うのですが。

【松尾学生・留学生課長】
 1点だけ。
 今,先生から言われたような形で書き込ませていただきますけれども,あと,それから加藤先生と堀先生から言われたように,三事業の連携といったときに個別具体的な連携を書くというよりは,思想としてこの三事業が,例えば学生への支援か大学への支援かは別として,相対的に学生にどう支援していくのかと,上からおりてくるような形で三事業が一体になるというような工夫をさせていただいて,個別に連携するというようなことは結果としてあるわけなので,思想として書くような形で工夫をさせていただいた上で表現させていただきます。

【谷口主査】
 よろしくお願いします。
 それでは,次に行かせていただきます。

【加藤委員】
 すみません,ぜひそのときに,小林先生がおっしゃっていた調査・分析機能というのは重要な点だと思うし,今,十分に果たせていないと言うと失礼なのですが,そういう印象もあります。ここしかできないだろうと思いますので,ぜひそこは取り入れていただいたほうがいいと思います。

【小林(雅)委員】
 すみません,いいですか。時間使って申しわけないのですけど,機構について,大きな思想としては,学生を支援するということで,それが日本人であるか外国人であるかという,それだけの違いです。それで,それは学生に対する支援であると同時に,国として見たら,人材育成,これはグローバルな人材もあるでしょうし,日本の国内の人材もあるでしょうけど,そういうことをやっているのだというのがまず一番大きな点です。その上で三事業があるということなので,そこは松尾課長が言われたように書き方を少し工夫していただければと思います。
 それから,第2ワーキングのほうを拝見して,非常にナショナルセンターということを言われていますよね。これは第1ワーキングのほうにはこの点の記述がなかったので,今,加藤先生が言われた調査・分析も含めて,機構がナショナルセンターとして国がやるべき仕事,それから大学がやるべき仕事の間に立っているナショナルセンターだということはぜひ,第1ワーキングも第2ワーキングもないので,そこで強調していただければと思います。

【谷口主査】
 いろいろと意見が出てきて結構ですけれども,前に進ませていただきます。
 適切な資源配分ということでご意見いただければと思いますが。なかなか発言しにくい問題ではあるのでしょうが。 この中身について少し補足していただけますかね。意見を誘導するという意味でも。

【保立学生・留学生課長補佐】
 具体論に立ち入ると少し難しいところかもしれないと思いつつ,このような視点もおそらく書き込まなければならないだろうということで書いていまして,もしかすると難しいかもしれません。

【谷口主査】
 それだと逆に意見が出にくくなるので。

【松尾学生・留学生課長】
 例えば具体的に言いますと,三事業は,奨学金,留学生,学生支援でございます。そのときに,事業としては1兆円,150億円,1億円という事業ですけれども,この中で,奨学金と留学生が一番大きな事業になっていて,学生支援は若干予算的には少ないですけれど,そうするとどうついないでいくのかとか,そういったことに主点を置くのか,やはり前原先生が言われたように,就職であれば,ほんとうはやらなければいけないかもしれないのだけど,自治体がやっているので,そこと連携してやるのだとか,そうするとそこへの資源配分は若干薄めにして,薄皮にするような形にすべきなのではないかとか,そういった資源配分。あるいは,奨学金であれば,回収については,例えばマイナンバー法ができたときには,それはある程度違う方向に行って,別のものに積み増すとか,そういったアクションプランも含めたような形での資源配分についてご議論いただければということです。

【谷口主査】
 何かご発言ございますか。この部分はこっちへ持っていったほうがいいんのではないかというような。増やす話は,これ,予算は多分減ってくるので。減ってくるというか,国の財政は非常に厳しいから,ぼんとつけるという話ではなくて,もっと効果的,効率的な資源配分というのがどういうものかということをご議論いただければいいと思うのですね。

【松尾学生・留学生課長】
 あとは具体的に言いますと,機構でやっている事業でも,石原先生が言われたように自治体とうまく連携をする。あるいは大学と連携するとか,NPOにお願いするとか,いろいろなことがあって,これはむしろ連携することによってコストを下げると。そうするとほんとうに機構でしかできないことに資源を集中すべきだとか,そういった全体を見た形での資源配分というのもあるかもしれません。

【谷口主査】
 何か,例えば奨学金事業……。

【大本委員】
 多分,効率的で効果的な事業実施という内容を書かざるを得ないのでこの項目を設けられたのだと思いますが,結局は1番の役割で,国と民間の関係,大学との関係を述べる中で効率的なことが出てきますし,三事業を有機的にあわせてやるという中でしか効率的な運営については書けないと思いますから,あえて2番をここで単独に設ける必要があるのかどうかということもお考えいただいたほうが良いと思います。1番とも関係しますし,3番の3つの事業とも関係しますので,それを書かないと,効率的な運営については書けないと思います。

【松尾学生・留学生課長】
 一応,報告書の骨子案の中では,見直しの視点の中で,役割分担の中で書くような形にさせていただいております。

【谷口主査】
 いろいろな知恵をいただきましたので,それは先ほど大本委員がおっしゃった方向でまとめさせていただきたいと思います。
 最後に,ガバナンスの在り方についてはいかがでございましょうか。これはあまり議論したことはなかったと思うのですが。

【加藤委員】
 その前に,統合後の法人への統合という議論はどうなりますか。2つのワーキングの報告を見ましても,それは様子見という印象を受けるのですが。ここはすごく重要な点です。私,個人的な意見で言えば,統合後の法人へ統合することを危惧するというか,ここで議論している機構の重要な意味を考えると,このまま統合するとかなりぐあいが悪いのではないかと思います。
 今の議論のポイントになっていたように3つの事業がややばらばらになっている。ばらばらな部分がそのままより大きな法人の中に統合されていったら,ますますばらばらになるだろうと思います。それは今,我々が議論している問題を解決することにならないだろうと。むしろ,繰り返し申し上げているように,3つの事業というのは,3つの事業の問題ではなくて,大学の,あるいは学生に対するちゃんとした支援を統合的にやっていく母体はどこなのか,その組織をきちんとすることが重要なのであり,それができずに大きい法人に統合というのはまずい話になると思います。
 ですから,このレポートを書くに当たって,きょう申し上げたのですが,3つの事業の問題ではなく,機構全体に統合的な意味があるということを書くことが重要です。そこをぜひお考えいただきたいと思います。

【谷口主査】
 はい。なかなか難しい議論ですが,ほかに何かございますか。
 このガバナンスという話をしましたけれども,この三事業,組織の在り方も含めてご意見いただければ。今,加藤先生からいただいたのも一つのご意見だと思いますが,ほか,よろしいでしょうか。

【富沢委員】
 私も基本的には加藤委員と同様に思いますけれども,ガバナンスとのかかわりということでも,かなり統合性が失われていく可能性があると思う。より大きな法人への統合という場合ですね。

【谷口主査】
 ほかに。いやいや,そうではないというご意見は。前原委員,いかがですか。

【前原委員】
 独法の議論をかれこれ10年前ぐらいですか,さんざんしたときと,世の中が非常に変化していると私は思うのです。ですから,この3つの事業,非常にコアのミッションがはっきりしているし,そこをもっとクリアに訴えていくほうがいいような気がします。いろいろやって,失敗だったなと思う案件もありますよね。独法改革で。ですから,世の中がものすごく変化したので,そこのところを時代認識をきちんと書いて,この3つの事業のミッション,コアのところをきちんと世の中に訴えることが大事だと思います。

【谷口主査】
 全体に統合するのはいかがなものかというご意見があるのですけれども,皆さん,いかがでしょうか。これはかなり大きな課題だと思うのですが。そのために,きちんと三事業のことについて包括的なことを書いてほしいと。
 ほかに何かご意見ございませんか。木谷先生,どうですか。

【木谷委員】
 いえ。

【谷口主査】
 なければそういう方向でということになるのですけれども。

【松尾学生・留学生課長】
 あと1点だけ,ここのミッションで1つだけ確認させていただきたいのは,法人の在り方に加えまして,今回,1月20日の閣議決定では国際交流会館の廃止の件が出ております。これについては第2ワーキングのほうでも記載をさせていただいておりまして,結構議論させていただきました。これは宿屋事業ではない中核的な拠点,東京国際交流館を含めて存在するものの利活用も含めて検討するということで書かせていただいておりまして,親委員会のほうでもそのような形でもしご了承いただければご議論の結果として書かせていただきたいと思っておりますので,その点だけ少し触れさせていただきます。

【谷口主査】
 はい,確認ですね。よろしいでしょうか。
 そうしたら,それもご了解得られたということで。

【加藤委員】
 今のは,引き続き売却を目指すという基本方針のことをおっしゃっているのですか。

【松尾学生・留学生課長】
 はい。宿舎としては売却を目指すものの,やはり国として国際交流の中核的な拠点は別途やっていく必要があると。そのときにもし宿舎機能があるのであれば,それも含めてうまく利活用しながら中核的な拠点を形成していく。先生が今,ごらんいただいている段落の上のところに中核的な拠点という記載があると思いますけれども,そういったものの利活用も含めて検討するということです。
 宿舎については,今,13館あるうち7館,大学に売れて,宿舎機能として維持をしていますけれども,あとの6館については,なかなか地主との関係で売れない状況でございます。その利活用,売却の方法についてそのような記載を第2ワーキングのほうでさせていただいているのが現状でございます。

【加藤委員】
 そうですか。いや,もっと積極的に国際交流の拠点が重要であり,そういう中核的な機能が重要であるということを主張されてもいいのかなと私は思ったのですが。

【松尾学生・留学生課長】
 わかりました。

【谷口主査】
 この行革のことを読んでいると,少し逆の方向にどんどん。座長としては非常につらい思いをしているのですけど,力強い励ましをいただきましたので,機構としてもナショナルセンターとして機能を果たしていただく。

【松尾学生・留学生課長】
 ミッション,国家としてやるべきだということです。

【前原委員】
 それは,先生,いいのではないですか。

【谷口主査】
 ええ,まあ,それはそれで。

【前原委員】
 議論した結果,やっぱりミッションがはっきりあるのだと。

【加藤委員】
 そこを明確にすることが重要。

【前原委員】
 ということを強く,やっぱりアピールすべきところはアピールしたらよいと思います。

【谷口主査】
 わかりました。そういうところをしっかり記述して,ぜひ機構としては,すべての三事業について,ナショナルセンターとしての機能を果たしていただくという方向を目指していきたいと,そういう記述にしたいと思っております。それから,いろいろな励ましの言葉もありましたので,必ずしもこの行革の方針に沿っていなくても,時代は変わっているのだからということもありますので,少し力強く書いていきたいと思います。

【小林(雅)委員】
 だめ押しみたいな話で恐縮なのですけど,三事業を一体化してやるというためには,やっぱり組織のあり方も,3つがばらばらにやっているという印象を受けるというのは非常によくないと思います。実際仕方がない面がありますけれども,事業もあちこちでやられているわけですよね。だけど,組織的にはもう少し統合しているというイメージをつくるような,あまり組織いじりばかりやっているのは問題ですが,前の検証委員会のときも戦略室というのをつくっていただいたのですけど,これ,奨学事業にしか関係していない。調査・分析一体でやるとしたら,それはそういった統合した組織をつくっていただかないと,またばらばらにお互いやるという,そういう話になってしまいますので,その辺はぜひ考えていただきたいと思います。

【谷口主査】
 最後に小林委員,どうぞ。

【小林(光)委員】
 私は専修学校,専門学校の立場からこのようなところへ参加させていただいて大変感謝申し上げているところでありますが,今まで第1グループの小林先生,そして第2グループの谷口先生のお話,そして各先生方のお話を拝聴させていただきました。
 今後の機構に対するお願いという,要するに職業教育を強化をする,そしてさらには国際グローバル化人材の養成という観点からも,やっぱり職業教育というものをもうちょっと強化をするということをぜひ考えていただきたい。この場は大学の先生方がほとんどでありますから,専門学校という立場だと私だけということでございます。
 例えば,お願いは2点なのですが,一つは,ここの書類でもそうなのですが,すべて「大学等」というふうになっているわけでありますが,ここへ参加させていただいているのは,もちろん大学と短大,そして高専と専修学校,専門学校分野ということで参加させていただいているというふうに思うのですが,そうすると,「大学等」と言うと,我々教育関係者は,「大学等」の中には専修学校の専門課程も含まれている,あるいは高専も含まれているというのがわかるわけでございますが,これだけを読む学生及び第三者は,説明書きを見ないと中身がわからないということになります。できれば,今後,「大学・専門学校等」というふうに,あるいは「大学及び専門学校等」というふうに改めていただけると大変ありがたい。これは今後のお願いということです。
 特に,今,我々,専門学校の専門課程及び高専も含めてでございますと,全国的にも約25%以上の学生が学んでいるという実態がありますし,それから,例えば新潟あるいは北海道,東北,特に被災県などを見ますと,両方合わせますと30%以上の学生,中には50%近い学生が学んでいる県もあるわけです。大都市は大学が多いのですが,特に地方の経済困窮しているところの学生というのは,専門学校で学ぶ学生が圧倒的に多いということであります。ここをやっぱり国を挙げて,この機構が国のナショナルセンターと,学生支援のナショナルセンターという見地からは,ぜひそういった配慮もお願いを申し上げたいということが1点であります。
 それから2点目は,これは今後,文科省とともにご検討いただきたいと思っているわけでありますが,高等教育機関の中で,特に1年課程への教育支援というのはどこにも実はないわけであります。例えば,我々の職業教育のところであれば,調理師とか栄養士,あるいは社会福祉士とか精神保健福祉士とかというような,いわば高等教育機関の教育1年課程というのがあるわけでございます。
 例えば卑近な例で,私の学校なんかでは,5校あるわけですが,学んでいる学生さんが3千5百人いらっしゃるのですが,高校卒業生はたったの5百人で,大学卒業生が3千人という実態なのですよ。先ほど,前原先生から世の中が変化していて,時代認識というふうにおっしゃいましたけれども,今はまさに大学を卒業しても就職できない学生がたくさんいる。そういう学生は一部,専門学校へ来て,そして職業教育をきちんと受けて,そして就職し,社会人としての機能を果たすということになっているわけでございまして,そこのところもぜひご考慮をいただいて,1年課程というものについての奨学金をどうするかということは,ぜひ文科省と今後ご検討いただきたいと思います。
 いずれにしても,こういった場に,私ども,参加の機会を与えていただいたことに心から感謝を申し上げます。よろしくお願いをいたします。

【谷口主査】
 多分,議論はこれで最後になるのですかね。次回は,見ていただいて,さらに若干の修正とかという形になりますが,大幅な議論の流れというのはこれで大体終わりますので,何か最後に一言おっしゃりたいという委員の先生がいらっしゃいましたらぜひご発言いただいて終わりにしたいと思っていますがいかがでしょうか。
 よろしゅうございますか。時間が10分ほど超過しましたが,貴重な意見をきょうはありがとうございました。これで委員会を終わりたいと思います。どうもありがとうございます。

【保立学生・留学生課長補佐】
 次回,9月12日の開催になりますけれども,その前に,きょうの骨子を踏まえました案文を先生方にお送りさせていただきますので,またごらんいただければ幸いです。そのいただいた意見を踏まえまして12日にご議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【谷口主査】
 これ,メールでよろしいですかね。

【保立学生・留学生課長補佐】
 メールでお願いしたいと思います。

【谷口主査】
 だから,もし,まだこの点が不十分だとお思いの先生がいらしたら,事務局のほうにメールでお送りいただければ,それも反映させていただいた上で,最後,取りまとめるという形になると思います。
 スケジュールはどうでしょう。次回は。

【保立学生・留学生課長補佐】
 次回は9月12日で,ワーキングのほうが結構タイトだったのですけれども,こっちは余裕を持ってお送りできるようにしたいと思います。

【松尾学生・留学生課長】
 どうぞよろしくお願いします。

【谷口主査】
 どうもありがとうございました。

 

── 了 ──

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