独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会(第1回) 議事録

1.日時

平成24年4月18日(水曜日)

2.場所

文部科学省3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 日本学生支援機構の概要について
  2. その他

4.出席者

委員

石原委員、大本委員、大森委員、加藤委員、木谷委員、小林(雅)委員、小林(光)委員、谷口委員、富沢委員、前原委員

文部科学省

奈良大臣官房審議官、松尾学生・留学生課長、保立学生・留学生課長補佐、水畑学生・留学生課長補佐、辻学生・留学生課長補佐、森山学生・留学生課長補佐

オブザーバー

髙塩理事長代理(日本学生支援機構)、藤江政策企画部長(日本学生支援機構)、石矢奨学事業本部長(日本学生支援機構)、鈴木留学生事業部長(日本学生支援機構)、関口学生生活部長(日本学生支援機構)

5.議事録

【松尾学生・留学生課長】
 それでは,お時間近くなりましたし,今日お集まりいただける委員の先生方,皆さんおそろいでございますので,これから会議に入らせていただきたいと思います。
 本日は,独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会の第1回目ということで,委員の先生の方々には,ご多忙中お集まりいただきまして,ほんとうにありがとうございます。
 事務局のほうから,手続的な件等々についてまずはご紹介したいと思います。
 まず,委員の先生方に配付させていただいております資料でございますが,議事次第というのがございます。その議事次第の下に配付資料が,資料1-1,1-2から資料6まで,そして参考資料等々ついてございます。資料8つでございますが,ご確認いただければと思います。過不足等ございましたら事務局のほうにお申し付けいただければありがたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 まず,今回の議事に入ります前に,私のほうから委員の先生方のご紹介をさせていただきたいと思います。
 委員の先生方でございますが,この議事次第の下に資料1-1というのがございます。それをご確認いただければと思います。
 資料1-1,有識者検討会の開催についてという開催要領でございますが,1枚めくっていただきまして,別紙というのがついてございます。委員の構成でございます。
 まず,本日ご出席の先生方をご紹介させていただきたいと思います。
 まず,株式会社移民情報機構代表取締役の石原進様でございます。

【石原委員】
 どうも,石原です。よろしくお願いします。

【松尾学生・留学生課長】
 全国大学生活協同組合連合会常務理事の大本隆史様でございます。

【大本委員】
 大本です。よろしくお願いいたします。

【松尾学生・留学生課長】
 続きまして,株式会社みずほ銀行ローン業務開発部長の大森隆一郎様でございます。

【大森委員】
 大森です。よろしくお願いします。

【松尾学生・留学生課長】
 続きまして,国立大学法人埼玉大学理事・副学長の加藤泰建様でございます。

【加藤委員】
 加藤でございます。

【松尾学生・留学生課長】
 独立行政法人国立高等専門学校機構理事の木谷雅人様でございます。

【木谷委員】
 木谷と申します。よろしくお願いします。

【松尾学生・留学生課長】
 続きまして,学校法人平安女学院大学副学長・特任教授の谷口吉弘様でございます。

【谷口委員】
 谷口です。よろしくお願いします。

【松尾学生・留学生課長】
 国立大学法人東京大学大学総合教育研究センター教授小林雅之様でございます。

【小林(雅)委員】
 小林でございます。どうぞよろしくお願いします。

【松尾学生・留学生課長】
 学校法人敬心学園理事長,全国専修学校各種学校総連合会常任理事の小林光俊様でございます。

【小林(光)委員】
 小林でございます。よろしくお願いいたします。

【松尾学生・留学生課長】
 公立大学法人静岡県立大学副学長の富沢壽勇様でございます。

【富沢委員】
 富沢です。よろしくお願いいたします。

【松尾学生・留学生課長】
 公益社団法人経済同友会副代表幹事・専務理事の前原金一様でございます。

【前原委員】
 前原でございます。よろしくお願いいたします。

【松尾学生・留学生課長】
 どうぞ,今日はよろしくお願いいたします。
 また,本日ご欠席の先生がお二方いらっしゃいます。お名前のみご紹介だけさせていただきます。
 学校法人文化学園大学理事・副学長の濱田勝宏様,それから,堀総合法律事務所代表,国立大学法人千葉大学理事・副学長であられます堀裕様,お二方にもメンバーとして委員会に加わっていただく予定でございます。
 また,本日は,文部科学省それから日本学生支援機構の関係者も陪席しておりますので,よろしくお願いいたします。
 ここで,本日は政務官の城井がここに来る予定でございましたが,急遽,国会が入ってしまいまして,文部科学省を代表いたしまして,高等教育局担当の奈良審議官から,ごあいさつをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【奈良大臣官房審議官】
 奈良でございます。よろしくお願いいたします。
 局長も一緒に国会に陪席しておりまして,出席かなわずということでございますので,かわってごあいさつ申し上げたいと思います。
 本日は,大変お忙しいところお集まりいただきまして,ありがとうございます。また,独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する検討ということで,お力添えをいただくということで,改めて感謝申し上げたいと思います。
 皆さん,新聞報道でよくご案内のとおり,昨年,行政刷新会議におきまして,独立行政法人の在り方について,さまざまな制度,組織の見直しが議論されてまいりました。その中で,日本学生支援機構につきましても,特に奨学金の扱いにつきまして,かなり活発なご意見,またご議論もあったところでございます。
 ご案内のとおり,学生支援機構はもともと5つの法人が平成16年に統合されまして,学生の支援という観点から,奨学金,留学生交流,学生の生活支援という3つの事業の柱に基づきまして一体的に対応するということで,そういった施策を推進していただいているところでございます。
 現在,厳しい社会情勢,経済的な問題もございまして,志のある学生が進学を見合わせるとか,また,その後の就職問題ということで,学生を取り巻く環境というのは非常に厳しくなっているという現実がございます。
 そういう中で,意欲と能力のある学生がきちっと修学いたしまして,また海外にも留学し,多様な経験を積む,そういったようなことで,今,グローバル人材の問題とかイノベーション人材の問題とかさまざまな議論がございますけれども,そういった中で,将来,きっちりと能力を発揮していただいて活躍していただくということがますます非常に重要になっているんではないかと考えております。
 私どもといたしまして,先ほどの行革の動きも踏まえまして,日本学生支援機構の在り方につきまして,我が国の学生,留学生のためにどういった支援の政策が必要か,そういったような根本的なところも振り返りまして,ぜひ,推進方策や方法,体制,組織などを含めましていろいろご議論いただき,それを踏まえた上で,私たちも,具体的な方向につきまして,政策として立案また推進させていただきたいと考えております。
 業務の在り方はもちろんのことでございますけれども,先ほど申し上げたような社会情勢もございますので,真に学生に対して必要なそういった関連施策につきましてもご議論いただいた上で,ご指摘,ご示唆いただきまして,それらをまた私どもの政策の上で反映させていただきたいと考えております。
 ぜひ,本検討会におきまして,今後の日本学生支援機構の在り方に対する積極的なご意見,また今後の方法その他につきまして,忌憚のないご意見を賜るようにお願い申し上げまして,ごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【松尾学生・留学生課長】
 どうもありがとうございました。
 自己紹介がおくれましたが,私,文部科学省で学生・留学生課長をしております松尾でございます。今日はどうぞよろしくお願いします。
 本日は,奈良のほうから申し上げましたように,昨年来,日本学生支援機構の在り方について,これは独法の改革全体の中でございますが,議論してまいりました。それを受けた形での在り方の見直しということでございます。
 本日は,お手元にあります資料1,これはこの委員会の構成についてでございますが,それから3,これまでの経緯,4,今の日本学生支援機構の業務の概要,これに基づきまして,私どものほうから説明をさせていただきます。今回は親会議で,ここで自由にご議論をいただければと思っておりますので,論点の案として資料の5を配付させていただいております。こういったものを私どもから説明させていただきながら,先生方のフリーなご議論をいただければと思ってございます。
 議事の進行,それから議論の整理に当たりまして,取りまとめを委員の先生方から行っていただく,いわゆる主査をお願いしたいと思いますが,事務局のほうから提案させていただいてよろしゅうございますでしょうか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

【松尾学生・留学生課長】
 できれば,事務局のほうからは,谷口先生に主査をお願いしたいと思っておりますが,よろしゅうございますでしょうか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

【松尾学生・留学生課長】
 どうもありがとうございます。了承のもとに,谷口先生に主査をお願いしたいと思います。
 以降の議事進行につきましては,谷口先生にお願いをしたいと思いますので,先生,どうぞよろしくお願いいたします。

【谷口主査】
 ただいま紹介いただきました谷口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は,1996年から,国の国費の留学生の調査研究協力者会議の委員を長くしておりまして,数年前から主査を仰せつかりました。それで,国費の問題についてはさまざまな問題がございましたので,昨年の8月から,国費にかかわる改革委員会の委員として具体的な国費の改革を進めてまいりまして,この3月で取りまとめを行いました。そういう意味では,私が主査をしておりまして感じたのは,国費が始まって60年近くになるんですが,初めて改革の手が入ったということで,今後,新しい方向で国費が進められていくと期待をしているところでございます。
 私は以前,3月の末まで立命館大学の総長特別補佐をしておりまして,この3月で退職ということで,新しくそこにございますような平安女学院の副学長として参りましたので,留学生問題についてもこの独立行政法人の日本学生支援機構の在り方のところで議論されるということでございますので,あまり力が発揮できるかどうかわかりませんが,皆様の協力のもとで進めさせていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたしたいと思います。
 ありがとうございました。

【松尾学生・留学生課長】
 それでは谷口先生,引き続き議事進行お願いできますでしょうか。

【谷口主査】
 それでは,議事に入りますので,資料1,有識者検討会の開催についてと資料2の検討内容の公開について,事務局のほうからご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【保立学生・留学生課長補佐】
 文部科学省学生・留学生課,課長補佐をしております保立と申します。
 それでは,ご説明をさせていただきます。
 まず,資料1-1をごらんください。有識者検討会の開催についてという資料でございます。
 既に,先生方にはお願いするときに経緯をお話ししてはおりますけれども,独立行政法人の制度及び組織の見直しが昨年の秋から行政刷新会議で行われまして,詳細は後ほどまたご説明をいたしますけれども,そこで,日本学生支援機構につきましては,その機能を整理した上で,統合後の法人,これは下に注でありますけれども,大学入試センター及び大学評価・学位授与機構を統合するとともに,国立大学財務・経営センターを廃止し,その業務のうち当面継続されるものについて統合後の法人に移管とされておりますが,その統合後の法人への統合ですとか,あるいは事務・事業の他の主体への一部移管等,その具体的な在り方について検討を行うこととされております。そして,この検討を行うに当たりまして,今回,日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会を開催するということでございます。
 検討事項といたしましては,機構の実施する各事業の在り方を検討しまして,機能の整理をいただく,それから,機構の組織の今後の在り方について,その他必要な事項について,ご検討いただきたいと思っております。
 実施方法としましては,ワーキンググループを必要に応じて開催するとしておりまして,資料1-2のほうをごらんいただきたいのですけれども,ワーキンググループを2つ置きたいと考えておりまして,奨学金事業についてのワーキンググループ,それから,留学生支援事業及び学生生活支援事業のワーキンググループを開催して議論をいただきたいと思っております。
 ワーキンググループのメンバーにつきましては,資料1-2の2枚目につけております。本検討会の委員の先生にお入りいただく先生もいらっしゃいますし,それ以外に追加でご参加いただく先生もいらっしゃるということになります。
 続きまして,資料2をごらんください。この検討会の検討内容の公開についての案でございます。
 議事の公開につきましては,原則として公開,ただし,会議の円滑な実施に影響が生ずるものとしてこの検討会において非公開とすることが適当であると認める案件を検討する場合のみを,例外として非公開としたいと思います。
 議事録につきましては,議事録を公開,ただし,今申し上げました議事が非公開となった場合のものを除くということでございます。
 それから,内容に応じまして,議事要旨を議事録に代えることができるものとする。
 それから,会議資料につきましても,原則,公開,ただし,会議の円滑な実施に影響が生ずるものとして検討会において非公開が適当と認める場合のみを例外とするということで案を作成しておりますので,これでよろしければ,これでご決定いただければと思います。
 以上でございます。

【谷口主査】
 ただいま,資料1-1,それから資料1-2,資料2につきましてご説明をいただきましたが,ご質問,ご意見ございませんでしょうか。
 それから,資料2の公開の扱いにつきまして,これでよろしゅうございますか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

【谷口主査】
 それでは,これは承認いただきましたということで,次に進めさせていただきます。
 文部科学省から,資料3,独立行政法人改革の経緯についてを,説明をお願いいたしたいと思います。

【保立学生・留学生課長補佐】
 ご説明申し上げます。資料3をごらんください。先ほど申し上げました,独立行政法人の行政刷新会議等で行われた議論の経緯でございます。
 そもそも,まず,この独立行政法人の制度及び組織の見直しの議論が行われた背景でございますけれども,独立行政法人の制度は制度創設から10年以上経過しております,また,さまざまな分野で業務を行っている法人すべてを一律の制度にはめ込んでおりまして,国の政策を効果的に実施する機能の発揮が不十分ではないかという観点から,今般,一番下の白丸で1から4とありますけれども,国や民間との関係も視野に入れて組織をゼロベースで見直して,廃止ですとか民営化をまず実施する。廃止または民営化を行うべき法人以外の法人につきましては,各法人の事務・事業の特性に着目して類型化しまして,類型ごとに最適なガバナンスを構築する。類型を踏まえまして,政策実施機能の強化ですとか効率性の観点から法人を再編し,そして新たな法人制度に共通するルールを整備するといった観点から,このたび抜本的な見直しの議論が行われました。
 2ページ目に行っていただきまして,具体的に,行政刷新会議における議論でございますけれども,昨年9月に,行政刷新会議に「独立行政法人改革に関する分科会」が設置されまして,また,この分科会の下にワーキンググループが設置されまして,府省や独立行政法人からのヒアリングも行いつつ議論が行われました。メンバーはその括弧の中にございます。
 日本学生支援機構につきましては,国立大学財務・経営センターや,大学評価・学位授与機構,大学入試センター,そして日本学術振興会とともに,大学の支援を行う類型の法人の一つとして検討が進められました。
 日本学生支援機構につきましては,主に奨学金事業について議論がなされまして,金融事業としての側面に着目した抜本的な見直しと効率化を図るべきであるということ,それから,先ほど申し上げました大学の支援を行う類型の法人,その法人全体の組織統合をすべきといったような指摘がなされました。
 こういった議論を踏まえまして,本年1月20日の閣議決定におきまして,日本学生支援機構につきましては,「その機能を整理した上で,統合後の法人への統合,事務・事業のほかの主体への一部移管等,その具体的な在り方について平成24年夏までを目途に結論を得る」とされたところでございます。
 この閣議決定につきましては,3ページ目の四角で3つ囲っておりますけれども,これは上から,独立行政法人改革に関する分科会のワーキングの報告,次の四角が分科会の報告,そして最後の四角が,閣議決定の,大学の支援を行う類型の法人部分についての抜粋でございまして,この閣議決定の全体版につきましては,お手元の資料に紙の冊子として置いてございますので,必要に応じてごらんいただければと思います。
 これが今回の独法改革の議論の経緯でございますけれども,ご参考に,日本学生支援機構につきまして,これまで事業仕分け等においてどのような指摘がなされて対応してきたかということを,簡単にでございますけれども,次のページをおめくりいただきまして4ページ目でございます。
 民主党政権のもとで,事業仕分けが何回か行われておりますけれども,独立行政法人日本学生支援機構にかかるものとしまして,事業仕分け第1弾,平成21年の11月に行われたもの,第2弾,22年4月に行われたものがございますが,平成21年11月に行われたものにおきましては,大学等奨学金の見直しを行うこととされました。具体的には,回収の強化,給付型奨学金ですとか,経済状況への柔軟な対応をするように,それから,独法の在り方を中心に見直しをするようにということを指摘されております。
 前後しまして済みません。それから,次の事業仕分け第2弾は,これを踏まえて,その下の(3)の閣議決定がございますのでこちらでご説明いたしますけれども,事務・事業の見直しとしましては,まず,留学生支援事業に関しましては,留学生宿舎等の設置・運営の廃止,私費外国人留学生学習奨励費の見直し。それから,学生生活事業につきましては,研修事業の重点化や有料化,また各種調査の重点化。
 それから,資産・運営等の見直しとしましては,保有資産の見直しとして,先ほど申し上げました留学生宿舎のことでございますけれども,国際交流会館の設置・運営の廃止,職員宿舎の見直し。それから,事務所等としまして,海外事務所ですとか,東海北陸支部(分室)の在り方を検討ということを指摘されております。
 これへの対応状況としまして,少し字が小さくて恐縮でございますけれども,5ページ目に少し細かい表が載ってございますが,ざっと簡単に申し上げますと,まず上から,留学生宿舎につきましては平成23年度末までに廃止ということでございますけれども,これは平成23年度末までに13館中7館を既に売却しております。この残ったもの等につきまして,後ほどまたご説明をいたします。
 それから,私費外国人留学生学習奨励費の見直しにつきましては,成果検証ですとか渡日前の予約採用の拡充等を指摘されておりますけれども,例えば,報告書をこの3月に取りまとめておりますし,渡日前の予約採用の拡充につきましても取り組んでおります。
 それから,研修事業の重点化,有料化ですとか各種調査の重点化につきましても順次取り組んでおります。
 それから,表の下側に行きまして,国際交流会館,これは先ほど述べたものと同じですので飛ばしますけれども,それから職員宿舎につきましても,7カ所ございましたけれども,閉鎖しまして,順次売却を進めているところでございます。
 また,海外事務所の見直しとしまして,例えば日本学術振興会の事務所と共用化といったようなことが指摘されておりますけれども,これは平成24年3月に共用化を開始しております。
 それから,東海北陸支部(分室)ですけれども,これも廃止を決定しております。
 といったように,比較的対応しているというふうにご理解いただければと思います。
 その後は,事業仕分けの具体的な議論の内容をご参考につけておりますので,必要に応じてごらんいただければと思います。
 以上でございます。

【谷口主査】
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして,ご意見あるいはご質問がありましたら,お願いいたします。
 どうぞ。

【前原委員】
 一点,質問させていただきます。今の日本は将来の人口問題とか働き手の問題とかありまして,留学生に対して将来期待するところが非常に大きいと思いますが,留学生会館が次々と廃止されて,世の中の求めるものと逆行しているのではないでしょうか。留学生の話を聞きますと,住居で大変困っている学生が多いようです。そういう中で,会館を廃止するのであれば,どういう形で留学生をもっとたくさん受け入れて支援できるのか。代案があるのでしょうか。

【松尾学生・留学生課長】
 よろしゅうございますでしょうか。
 確かに,前原先生言われたように,宿舎は一番重要でございます。この事業仕分けで廃止というのも,単純な廃止ということではなくて,裨益者というのが大学,もちろん留学生でございます。それで,売却を進めるということで,なるべく大学に売却ということでございます。したがいまして,一昨年の仕分けを受けまして,これまで売却を進めていきました。都合,日本全体で日本学生支援機構が持っている宿舎は13館あるわけですけれども,7館,大学のほうに売却を…。

【前原委員】
 国立大学?

【松尾学生・留学生課長】
 はい。国立大学のほうに売っています。

【保立学生・留学生課長補佐】
 私立も一部。

【松尾学生・留学生課長】
 私立にも一部いっております。
 それで,どうしても売れない6館というのは,これは今,いろいろな事情がございまして,土地が都道府県,市や自治体とか,それから合築になっているということでございます。したがいまして,私どもも,留学生の受け入れにつきましては,宿舎というのは最も重要で,谷口先生のところでやっておられる民間のものも含めて,これから総合的に考えていきたいと思っています。
 ただ一方で,宿舎につきましては民間の宿舎もあって,そこは競合する部分もありますので,そういった部分はうまく民間と相乗りをして,国として,どうしても民間の賃料が高く支援しなくてはいけないというところなどはやる,ということで整理をしながら仕分けていく。あくまでも,日本学生支援機構のみのコストというよりは,社会全体のコストを下げながら留学生の受け入れを強化する,という観点に立って今回ご議論いただいて,私どもはそれを参考にして,次の施策に結びつけたいと思ってございます。

【前原委員】
 今,松尾課長からお話ありましたが,経済同友会では,かねてより,留学生に会員会社の寮を提供するという活動をしております。この寮で生活して卒業した留学生は,75%ぐらいが日本企業に就職しています。留学生平均が2割ちょっとですから,やっぱり日本が好きになってなじんでくれる学生が非常に増えるということです。そういう意味で貢献できていると思います。
 秋田の国際教養大学を拝見すると,留学生と日本人学生が一緒に寮の部屋で生活しています。そのことが非常に教育上効果が高いと私は思います。そういう意味では,学生寮に外国人の留学生も一緒に住めるような環境整備をしていくということのほうが,長い目で見るとお互いの国際人材養成という意味で効果的だと思いますがいかがでしょうか。

【松尾学生・留学生課長】
 多分,それも相当あると思います。あとは,それから,今考えなければいけないのは,同じ大学の中で同じ学生が住むだけではなくて,例えばその学内を超えて交流するということも重要で,お台場の宿舎を見ると,いろいろな大学のいろいろな学科の方がいます。彼らが帰国していくと,そこだけで,国も大学も違うというような多様性でもって交流できていて,大学では確かに大学内の勉強の交流ですが,こちらでは生活の交流ができる。それも外に出ると,もっと広いネットワークになる,しかもその中に日本人が入ることになる。そういったことを含めて,国際交流館の在り方というか,学生の住まいの在り方というのを考えていって,我々もそこを資産として使えるのではないかと考えています。そしていい経験をして帰っていただいて,親日になってもらうというようなことを少しご示唆いただけたんだろうなということで,検討したいと思います。

【前原委員】
 ありがとうございました。

【谷口主査】
 ほかにご意見ございますでしょうか。
 どうぞ。

【富沢委員】
 富沢でございます。今の前原委員のご質問と関連して,国立大学とか民間,私立大学に売却されたということですが,その使用法というのは,全くその大学の自由な使い方ができる,つまり,例えば留学生を全く入れなくても使用できるとか,そういう無条件なのか,そこを伺いたいと思います。

【松尾学生・留学生課長】
 条件を付してございます。あくまでも留学生のための宿舎と。ただし,日本人がチューターやレジデント・アシスタントのような形で入っていただいております。だから,日本人ばかりという状況ですと初期の目的とは違うので,あくまでも留学生の宿舎ということで売却を一次,二次させていただいているところでございます。

【富沢委員】
 ありがとうございます。

【谷口主査】
 ほかにご意見ございますでしょうか。
 ないようでございましたら,次に進めさせていただきたいと思います。
 続きまして,資料4です。ちょっと大部な資料ですが,日本学生支援機構の概要のご説明をお願いいたします。

【保立学生・留学生課長補佐】
 それでは,資料4のご説明をさせていただきます。
 まず,日本学生支援機構全体の組織,事業及び予算の概要につきまして,3ページ目からごらんいただければと思います。
 日本学生支援機構は,ご案内のとおり,奨学金事業,留学生支援事業,学生支援事業の3本の柱で,我が国の学生支援のナショナルセンターということで,国の施策と密接に連携しつつ,施策を実施しております。
 次のページに行きまして,日本学生支援機構の創立の経緯でございますけれども,先ほど審議官からも平成16年に5つの法人が1つになってと申し上げましたけれども,一番左側,特殊法人日本育英会,ここが奨学金事業をやっております。それから,中ほどの箱囲みの中で,留学生支援につきまして,4つの法人,まず,財団法人日本国際教育協会,これは留学生宿舎ですとか日本留学試験をやっていた協会。それから次に,財団法人内外学生センター,これは,学生のアルバイトや下宿の斡旋ですとか,最近ですと就職の支援ですとかをやっていた法人。それから,下の財団法人国際学友会,及び,その下の財団法人関西国際学友会につきましては,日本語の予備教育ですとか留学生宿舎の事業をやっていた法人。これら及び文部科学省で行っていました業務の一部を引き継ぎまして,平成16年に独立行政法人日本学生支援機構ということで創立されたものでございます。
 次のページは組織でございますので飛ばさせていただきまして,その次のページ,日本学生支援機構の予算ですけれども,これは奨学金の部分が大変大きな額になっておりまして,事業予算で申しますと1兆1,790億円。この内訳につきましてはまた後ほど資料がございますけれども,留学生支援事業関係で133億円,学生生活支援事業で0.8億円等々で,合わせて1兆1,980億円になっております。後ほどまた申し上げますけれども,奨学金貸与事業の部分,財政投融資等も活用していますので,結局,一般会計からの支出としましては1,471億円,運営費交付金を151億円というような規模となっております。
 次のページをごらんいただきまして,運営費交付金等の推移でございますけれども,ピンクの線が日本学生支援機構の総支出額でございまして,これは事業規模を拡大しておりますので年々伸びておりますけれども,運営費交付金は削減の方針に従って年々減少しておるという状況でございます。
 また,右側のグラフでございますけれども,職員数につきましても,常勤職員数につきましては中期計画の目標値以下に抑えて,非常勤職員ですとか任期付職員の活用で対応しているといった状況でございます。
 次に,まず,3本柱の一つであります奨学金貸与事業につきまして,ご説明申し上げます。
 もうご案内のことかと思いますけれども,奨学金事業はそもそも,憲法の,その能力に応じて教育を受ける権利,それから,教育基本法で,能力があるにもかかわらず,経済的理由によって修学が困難な者に対して,奨学の措置を講じなければならないといったものを受けてやっておるものでございます。
 次のページに行きまして,奨学金の種類でございますけれども,大きく分けまして,無利子の第一種奨学金,有利子の第二種奨学金になりますけれども,貸与月額は,それぞれ,無利子の奨学金は2種類あって,そこから選ぶことになっておりまして,有利子奨学金はもう少し多い選択肢から選ぶことになっております。
 それから,貸与基準,無利子奨学金につきましては成績の基準がございます。有利子奨学金につきましては,平均以上の成績,または特定分野で特に優秀な学生,または意欲のある学生といったことになっております。また,家計の基準につきましてもそれぞれございます。
 それから,無利子のほうは当然利息はございませんけれども,有利子のほうは上限3%と表にはございますが,これは実際には,変動で0.4%,固定利率で1.17%と,そのくらいの低い水準になっております。
 それから,大きく分けて2つと申しました,その1つの無利子の中で少し囲ってありまして,所得連動返還型というものがございまして,これは平成24年,今年度から新設した制度でございまして,これにつきましては次のページをごらんください。
 家計の厳しい学生,これは具体的には,給与所得世帯の場合,家計の年収が300万円以下相当ということでございますけれども,こういった家計の厳しい学生の将来の返済の不安を軽減しまして,安心して進学できるようにするために,卒業後に一定の年収,こちらも300万円で少々ややこしいんですけれども,一定の年収を得るまでの間に返還期限を猶予するという制度を今年度から導入したところでございます。これはあくまで無利子奨学金の一種ということで,貸与基準等は無利子奨学金の満たす者ということでございますけれども,さらに,貸与時の家庭の年収が300万円以下の学生を対象にするという制度を導入しております。
 諸外国では,収入に応じて月々の返済額が異なったり,総返済額も異なるような制度を導入している国もありますけれども,我が国では,まずそれをするには所得の正確な捕捉が必要となりますので,今回は,卒業後に300万円を超えたら払うようになるという制度でございますけれども,現在,国会で審議されております社会保障・税番号の法律が通った場合には所得の正確な捕捉も可能となりますので,そういった本格的な所得連動にもつながる制度かと思っております。
 次のページに行きまして,行革の中でもしばしば議論になりましたけれども,奨学金事業と類似した制度として,教育ローンがございます。しばしば比較されますので,一例として三菱東京UFJ銀行のものを入れておりますけれども,教育ローンの比較の表をつくっております。
 これはポイントは三点でございまして,まず一点目はその目的でございます。日本学生支援機構の奨学金は,目的が教育の機会均等ということでございますけれども,教育ローンにつきましては,そもそも民間の教育ローンというのは入学時のまとまった資金需要に応えるための商品ということになりますし,真ん中の日本政策金融公庫というのは一般の金融機関が行う金融の補完ということでございまして,あくまで金融事業というところに,まず違いがございます。
 ポイントの二点目としまして,貸付の対象でございますけれども,奨学金は学生本人ということになりますが,したがって無資力ということになりますけれども,教育ローンのほうは保護者ということでございます。ですので,奨学金事業につきましては,当然,学生本人ですので無審査で,無審査といいますか低所得者を優先的に貸与しておりますけれども,教育ローンのほうは,一定の審査を行いまして,返済の能力に不安がある場合には融資を断られることがあるということでございます。
 三点目としましては,利息でございますけれども,奨学金事業はそもそもこういう教育の機会均等という趣旨でやっておりまして,無利子奨学金は当然無利子でございますし,有利子奨学金につきましても,在学中は無利子ですとか教育的な配慮も行っておりますし,利息も非常に低い水準で抑えております。教育ローンは,当然,商品ということですので,現在の利率でいえば,表にあるとおりでございますけれども,このような利率となっている,そのあたりがポイントとなるかと思います。
 次のページに行きまして,奨学金事業の予算の構造を,ざっとでございますけれども,無利子奨学金の事業規模は2,767億円でして,この財源は,政府貸付金の796億円及び貸した学生からの返還金の1,972億円,これを財源にして回っているという構造の事業でございます。
 有利子奨学金のほうは,事業規模の総額が大きくなっておりまして8,496億円,これは財政融資資金及び日本学生支援機構の財投機関債及び民間からの借入金を活用しておりまして,これに返還金の3,373億円も合わせて事業を実施しているという構造になっております。
 次のページに参りまして,奨学金貸与の状況でございます。これはグラフがずっと右肩上がりになっておりますけれども,予算規模が年々拡大しておりまして,特に第二種奨学金,グラフでいいますと黄色い部分ですけれども,これが飛躍的に伸びているという状況でございます。これに伴って貸与人員も増加の一途をたどっておりまして,直近の10年間で貸与人員が1.5倍,平成24年度では134万人の学生に貸与するという状況になっております。
 次のページに参りまして,奨学金は教育の機会均等という教育施策の一環としてやっておりますので,在学中の教育的指導として,奨学金の貸与の適格性の認定ということもやっております。観点としましては,人物,健康,学業の状況,それから経済状況,ほんとうに貸与が必要かという4点を見まして,その状況によっては,激励,警告,それから停止ですとか廃止ですとかいった処置も状況によってはとられるという仕組みがございます。
 次のページに参りまして,返還金回収についてでございます。返還金回収の状況につきましては,厳しい指摘もいろいろ行革の議論の中でも受けておりますけれども,回収率の目標を持ってやっております。まず,2つ目標がありますけれども,総回収率の目標としまして,第2期中期目標期間中,平成25年度までに82%以上にするという目標がございまして,グラフでいうと左側のグラフでございますけれども,オレンジ色の目標値に対しまして青い線が実績でございまして,回収率は年々上昇しているという状況でございます。
 それから,目標の2つ目ですけれども,平成19年度末に3ヶ月以上延滞している延滞額,これを平成23年度までに半減するという目標も立ててやっておりましたが,これは右側の上のほうのグラフでございますけれども,ピンクの棒グラフが計画額でございましたけれども,緑が実績で,年々削減はしておりますけれども,延滞の深い債権につきましては回収が困難ということもありまして,削減率が鈍化してきているという状況でございます。
 次のページに参りまして,日本学生支援機構の債権の全体の規模と,それを踏まえた回収の状況です。これはちょっといろいろ細々載っていて,わかりづらくて恐縮ですけれども,一番上の白い棒グラフが総貸付金残高で,その中の水色の棒グラフが返還を要する債権額で,これはずっと伸びております。省略を表す波線の下に行きまして,肌色の棒グラフが3ヶ月以上の延滞債権額。これも伸びておりますけれども,先ほどの水色の返還を要する債権額の伸びに比べて,肌色の3ヶ月以上の延滞債権額の伸びが少ない,それをあらわす線がピンクの三角でポイントされている折れ線グラフですけれども,これが平成16年ごろからずっと下に向いて,減少の傾向が見えると思いますが,要は,返還を要する債権額の中に占める延滞債権額というのはずっと減少を続けているというもので,それをあらわしております。
 次のページに参りまして,回収強化策につきましてです。具体的にどういうことに取り組んでいるかということでございますけれども,左側に各種施策がありまして,右側の線が,いろいろ取り組み状況がございます。回収強化のための対策としまして,なるべく早期の督促を集中的に実施する,債権回収を民間の業者に委託し,サービサーによる回収を促進する,徹底した法的措置をとる。それから,住所不明者に対する調査を徹底すること。それから,システムの全面改修とありますけれども,例えば,貸与ですとか返還のシミュレーションといったことをやっております。
 それから,学校と連携して取り組むこととしまして,大学等,学校に職員を派遣しまして説明会で説明をするもの。
 その下に行きまして,延滞の増加抑制のための対策としまして,コールセンターの設置・運営をしまして,相談しやすい状況,体制をつくる。それから,一番下に,個人信用情報機関の活用ということで,3ヶ月以上の延滞をした者につきましては,個人情報を個人信用機関に登録するということを開始しております。これは,回収の促進ということもございますし,多重債務者化の防止という意味もございます。
 次のページに参りまして,回収の強化の話を中心にしましたけれども,教育施策ですので教育的な観点から,返還期限の猶予ですとか,また状況に応じた免除という制度も備えてございます。猶予につきましては,在学中の猶予は当然ございますけれども,それに加えて,右上の太線の四角囲いの中で,例えば災害に遭った方ですとか病気の方,生活保護の方,それから入学準備中の方,失業中ですとか非常に低所得の方につきまして,返還猶予の制度も設けてございます。
 それから,中ほどに減額返還制度とございます。猶予の制度は昔からありますけれども,猶予というのは完全に猶予するものでございますが,これは,経済的理由で返還困難な方で,額を少なくすれば返せるという方につきまして,5年で返す分を10年で返す,半額ずつ返すということを認めることで返還者の負担を軽減して,もって返還金の回収促進,延滞の抑制ということを,平成23年の1月から導入しております。
 それから,返還免除制度が,当然,死亡した場合等はございます。それから,大学院の無利子奨学金につきましては,特に業績優秀な者についての免除の制度もございます。
 以上が奨学金事業の概要でございます。
 二本目の柱で,留学生支援事業についてご説明申し上げます。
 21ページでございます。まず,外国人留学生の受入れの状況。グラフの字が非常に小さくて恐縮でございますけれども,これは平成22年度まではずっと増加しておりましたが,平成23年度は震災の影響もありまして減少しており,13万8,000人となっております。出身地域としましては,アジアが94%,欧米が4%で,その他の地域がそれぞれ1%未満といった状況でございます。
 それから,日本人学生の海外留学の状況が次のページにございます。こちらは上のグラフの青の折れ線をごらんいただければと思いますけれども,2004年をピークに減少しておりまして,2009年で5万9,923人となっております。
 この減少についてですけれども,海外留学をなぜ見送るのかということですが,一つの参考となる資料としまして,ここに載っていなくて恐縮ですけれども,「東京大学国際化白書」のデータによりますと,学生が海外留学を見送る理由として挙げておりますのが,経済力ですとか,大学の体制の問題,これは例えば,自身の所属する研究室の姿勢ですとか留学プログラムに関する情報の不足といったことのようですけれども,こういった体制の問題。それから,就職の問題,留学に行くことによって,厳しい就職状況の中,しかも就職活動が早期化している状況の中で就職の機会を逃してしまう。それから語学力の問題,こういったものを挙げている学生が多かったという状況にあります。
 次のページ以降は日本学生支援機構で取り組んでいる事業の具体的な内容になりますけれども,少し段階に分けて資料を整理しております。
 まず最初のページが,大学入学の段階に係る支援でございます。最初の段階ですので,学生への情報提供のために,例えば,外国人学生のための進学説明会ですとか日本留学フェア・留学セミナーの実施や,日本人学生のための海外留学フェアや留学説明会。それから,日本学生支援機構の海外事務所が4カ国,インドネシア,韓国,タイ,マレーシアにございますけれども,こういったところでの情報提供を取り組んでおります。
 右の枠囲いに行きまして,日本留学試験とございますけれども,外国人留学生として我が国の大学等に入学を希望する者につきまして,日本語及び基礎学力の評価を行う試験を実施しております。これは日本国内でも実施しておりますけれども,国外でも,主にアジアですが,14の国と地域で実施しておりまして,これによって渡日前の入学許可が可能になるといったものでございます。これを利用している大学は全大学数の55%ございまして,受験者数は3万8,000人という状況です。
 下の囲いの中に行きまして,日本語教育センターが東京,大阪の2カ所にございますけれども,外国人留学生への日本語教育を実施しております。我が国の高等教育機関への進学を希望する外国人留学生の日本語教育及び基礎教科の教育を実施するとともに,モデル教育ですとかカリキュラムや教材の開発等を行っております。
 次のページに参りまして,留学生の在学中の段階の支援について,何枚かにわたってまとめております。
 まず,留学生に対する奨学金の支給でございます。まず最初,国費留学生,これは国で実施している事業ですが,一部振り込み等の事務は日本学生支援機構で実施しているということでここに掲げております。それから,私費外国人留学生の学習奨励費,予算上の人数ですけれども,67億円の予算で1万632人を対象にしているもので,これは日本の大学等に正規生として在籍する留学生を対象に支給している奨学金でございます。
 その下に留学生交流支援制度とございまして, 53億円の予算でやっております。下にポツが4つございますけれども,短期受入れや短期派遣,3ヶ月以上1年以内の受入れや派遣で3,720人。長期派遣,1年以上のもので200人。下のショートステイ・ショートビジットで1万2,600人。予算上の人数ですけれども,こういった規模で実施している事業でございます。
 在学中の支援として,次に,宿舎の支援がございます。まず1つ目としまして,大学等が宿舎を借り上げる際の支援制度がございまして,私費外国人留学生の奨励費を受給している留学生の入居のための宿舎を借り上げる大学に対する支援金を大学に支給しておるという制度がございます。
 次のページに参りまして,また宿舎の話ですけれども,既に議論に出ておりますが,全13館ある国際交流会館でございます。特に,渡日直後ですとか短期留学の留学生は宿舎の確保が困難でございます。25ページと26ページを一体的にごらんいただければと思うんですけれども,26ページの左半分に13館の一覧がございますが,備考の欄に24年3月売却としたものが既に売却済みのもので,そこが空白のものが残っている6館でございます。資料が行ったり来たりして恐縮でございますけれども,25ページの右の列をごらんいただければと思いますが,これにつきましては,平成22年の事業仕分けで,自治体や民間や大学に任せていくべきであって,事業を廃止するべきという結論が出まして,これを受けた平成22年12月の閣議決定で,平成23年度末までに廃止とされました。
 これを受けまして,日本学生支援機構におきまして一般競争入札をいたしまして,13館中7館売却しましたけれども,先ほど少し話にも出ましたが,建物と土地の所有が違うような場合ですとか,売却が困難な事情があるものが残っておりまして,こういったものにつきまして,本年1月の閣議決定で,やむを得ない事情により売却が困難な会館については,廃止の進め方について,現行中期目標期間中に,これは平成25年度中ですけれども,結論を得るということになっておりまして,先ほど少し申し上げました2年延長になっているというのがこの閣議決定でございます。
 それで,一般競争入札によっても売却できなかった会館というのはすべて日本学生支援機構が建物のみ保有しておりまして,土地は別の主体,いずれも自治体でございますけれども,そういった事情がございまして,売却が困難となっております。
 また26ページですけれども,残っているもののうち,規模の大きい東京国際交流館について少し状況をご説明いたしますと,これはお台場にあるものでございまして,科学未来館の隣に建っている4棟から成る大きな建物でございます。これは東京都の都市計画上も国際交流村の一環として位置づけられております。右側に実績についてとありますけれども,規模が大きいものですから,平成13年度からの10年間で5,457人のOBを既に輩出しているということで,まだ10年ですけれども,把握できている限りでも,一部ですが,例えば大統領補佐官ですとか,こういった国際社会でも活躍しているような在館生も出ているという状況でございます。
 また,ここでは毎年国際シンポジウムを開催するなど,単なる宿舎としてのみならず,国際交流ですとかOBのネットワークの拠点としての機能を果たしているような実態も見られる状況でございます。
 以上が留学生の在学中の支援です。
 次に,留学生の卒業後のフォローアップについての日本学生支援機構の取り組みを,27ページでございますけれども,外国人留学生のフォローアップとしまして,まず就職支援事業としまして,セミナーを開いたり就活ガイドを発行したりしておりますし,それから,帰国後,自国で活躍している留学生に対しまして,例えば学術の分野で活躍している留学生に対しては,小さな規模ではございますけれども我が国の大学で短期の研究を行う機会を提供する,それからメールマガジンを発行するですとか,そういったフォローアップの事業を実施しております。
 その他としまして,外国人留学生の調査・研究ですとか,大学の留学生交流担当の教職員のための研修を実施しております。
 最後に,留学生施策にかかわる省庁,機関が多数ございますので,参考として関係機関を図にしたものを入れております。
 以上が留学生支援事業の概要でございます。
 3本柱の最後ですけれども,学生生活支援事業についてでございます。
 まず,学生生活支援のための研修を行っておりまして,この研修につきましては先ほど少し事業仕分けの説明の中で申し上げましたけれども,研修は真に必要なものに厳選するとともに,有料化の検討といったことを指摘されております。これを踏まえまして,少しずつ精選しておりますし,平成24年度からは,試行的にではございますけれども,一部を有料化するものも入れて見直しを図っておるところでございます。
 次のページに参りまして,学生支援もいろいろな分野がございますけれども,現在力を入れているところを少し申し上げますと,障害のある学生の支援事業でございます。これは,現在,国連の「障害者の権利に関する条約」を,我が国は署名をして,締結に向けた法整備等の取り組みを行っているところですけれども,高等教育機関におきましても障害のある学生への支援の充実が必要でして,今後,積極的に支援を推進する必要がある分野でございます。
 このため,日本学生支援機構におきましては障害学生修学支援ネットワークというものを構築しております。これは,拠点校となる九つの大学と,協力機関としまして,筑波技術大学,国立特別支援教育総合研究所,国立障害者リハビリテーションセンターの協力を得てネットワークを構築し,各大学への情報提供等を行っております。
 また,障害学生の入学の状況,支援を受けている状態の調査を実施するなども行っております。
 以上が学生生活支援事業の概要でございます。
 最後に,その他の取り組みとしまして,一番最後のページですけれども,東日本大震災の際にも,例えば奨学金事業につきましては,緊急の採用ですとか返還の期限の猶予ですとかの手続を柔軟に行っております。留学生の支援につきましては,電話相談ですとか外国語のホームページによる情報提供などを実施しております。就職に関しましても,就職のガイダンスにおいても,震災対応のブースを設置するなど,震災の対応にもこのようなことをやっておりますという資料をつけております。少し細かくなりますので,ごらんいただければと思います。
 資料4の説明は以上でございます。

【谷口主査】
 ありがとうございました。
 大部な資料の説明でしたので,まずご質問を受けたいと思います。1つは,奨学金事業と留学生支援事業と学生生活支援事業,その他とあるんですが,この順番に,奨学金事業についてご質問がございましたら,お願いしたいと思います。
 よろしゅうございますか。
 それでは,その次,留学生支援事業につきまして,ご質問等がございましたら,よろしくお願いします。
 どうぞ。石原委員,お願いします。

【石原委員】
 留学生の今後の受け入れがどうなるかという見通しについて,日本学生支援機構のほうでも調査・研究とありますけれども,わかっている範囲で教えていただきたいなと思うんです。というのは,留学生に限らず,外国人の受け入れ全体が,今年の7月に在留管理が新しくなるということは,外国人登録がなくなるわけですから,外国人受け入れにとっては大変歴史的な転換になるわけですね。外国人にとっては非常に大きな問題。一言で言えば,きちっと管理をする,言葉をかえれば厳しく管理をするということになると思うんです。
 一方で,政府としては,新成長戦略の中で,外国人の活力をいかに成長戦略に生かすかという問題意識を持っていますから,優秀,有能な人材が欲しいということで,中小企業含めて外国人材が欲しいという需要がどんどんこれから増えてくるから,それに対して供給が追いつくのかなというのが,今,問題意識というんですか,外国人全体の問題として考えても見通しがつきにくい。なおかつ,留学生のほうもなかなか難しいだろうと。
 私自身は,日本語学校の人たちとつき合っていますと,日本語学校はちょっと先行的に随分,これから大学に行く人たちを集めていますから,いろいろ参考になると思うんですけれども,そこではかなり苦戦をしている。その理由は,単に,リーマンショック後,日本の経済がよくない,これはもうわかっているわけです。もう一つ,それに追い打ちをかけるような3.11の災害があったというんですけれども,別の理由があるんですね。つまり,主に日本で多いのは中国ですけれども,中国の人たちは日本を飛び越えてアメリカに行ってしまっている。韓国も日本に来ている人が多いんですけれども,高校では日本語教育がどんどん減って,その分,日本に対する関心がなくなっているという,非常に構造的な問題としてこれから日本に来る留学生がどうなるのかという危惧がある,というのは私の意見ですけれども,文科省あるいは日本学生支援機構の調査・研究等も含めて,そういう見通しについて,情報なり考えなり見通し,教えていただければと思うんですけれども。

【松尾学生・留学生課長】
 今の石原先生の点に正確にお答えできるかどうか分かりませんけれども,まず,国の方針と制度面の話と,今後どうやっていくのかということについてかいつまんで申し上げます。
 全体の状況でございますけれども,石原先生ご案内のとおり,今回の3.11もあって,留学生については2.6%くらいの減になっています。これは,先ほど21ページの資料でございますけれども,高等教育機関でございます。
 ただ一方で,日本語学校についていうと,2割くらい落ちているという調査もございます。これは極めてゆゆしき事態だと思っていまして,日本語学校に来る方々が,次,大学に行くということでありますので,これは厳しい状況だと思います。これは3.11の影響だけではなくて,日本全体の魅力ということもあるんだと思います。
 一方で,ビザに関していいますと,入国管理局でもいろいろ手を尽くしていただいておりまして,先ほど石原先生からあった在留管理の問題,これはしっかりと見る,期限が5年に延びるということがございます。あとは,これまでは,一たん母国に戻って就労で入ってくるときには学卒でなければいけなかったのが,1年前でしょうか,専門士の方,要するに,専門学校を出て一たん戻ると戻ってこれなかったんですけれども,専門士の方も就労で日本に戻ってこれるというようなビザ緩和になってございます。あとは,ポイント制であるとか,より高度な人材をしっかりととるという制度の改善もやってございます。
 では,それで高度な人材をとれるかというと,今,先生言われたように,中国,韓国というのはどんどん違うところに行っているという現状もございますので,やはり日本の魅力全体を高めていくということも重要だと思います。そのために,多分,大学での教育の改革であるとかいろいろな制度面での隘路を除くべきところがあるのかどうか,検証していかなければいけないのだと思います。
 あとは,観光含めてぐっと落ちた人材をどう戻してくるかということで,今,私ども,外務省と観光庁と文科省の三者で,いかにうまく日本をPRし,呼び戻してくるかというような会議体もつくってございまして,うまく国全体として盛り上げていくということをしていきたいと思ってございますが,さはさりとて,コンテンツがしっかりしなければならないということで,グローバル人材の政府での取り組みもすすめているところでございます。
 私ども,政府の中では,新成長戦略ということで,2020年までに30万人の留学生を受け入れ,これは世界全体の留学生人口の約5%を日本でしっかりと獲得するということで,30万人の計画をつくっているわけですけれども,それに向けていろいろな連携をしながらやっていくことになろうかと思います。
 では,見通しはどうかということでありますけれども,それに向けて頑張るということなんだと思います。私どもはそれに向けてあらゆる手段を使って進めていくということだと思います。これは多分,国だけでもできないし,民間含めて連携をしながらやっていくことになるのではないかと思います。
 一方で,受け入れだけではなくて,グローバル人材,外に出るということも極めて大事で,それは先ほど申し上げました表にありますように,6万人まで落ちてきていますので,これをいかに外に出てグローバルな人材を育成していくかという両面をうまく兼ね備えて再生していくということなのではないかと思います。

【奈良大臣官房審議官】
 ちょっと補足ですけれども。中国につきましては実は増えているんですね。実は震災の影響だと思っているんですけれども,大体減っています。これは全国,別に被災地だけじゃなくて,ですが中国は増えているということと,微妙に学費問題がありまして,米国のアイビーリーグその他私立では,230万といった極めて高い学費があるので,今後の動向としては,あるご意見ですけれども,中国,韓国,アメリカに向いていますが,そういう学費問題。
 もう一つは英語教育で,中国人がよく言っているのは,やっぱり日本の大学院とかに行こうと思うと日本語でなかなか難しいので,英語教育をもっと増やしてほしい,そういうご意見もある。したがって,学部を含めて英語教育を常設しているコースが大分増えていますので,何名ということは言いませんけれども,そういった総合的な双方向の派遣,これは学費免除にするとかということで協定を組みまして,そうすると来やすくなるということ。
 あとは,英語のコースをもっと充実させるとかそういったような手段で,今,いろいろな大学にグローバルな対応をお願いしていますので,そういった流れの中で少しでも増やしていくということを考えています。

【谷口主査】
 よろしいですか。

【石原委員】
 ちょっといいですか。一言だけですけれども,量の問題が出たので質の問題ですね。中国の問題でいえば,最近は内陸からどんどん来る人が増えて,ある種,エージェントに対するコミッションが非常に高くなっている。ということは,金で引っ張ってくるという話になりつつあって,当然,そうなってくると,いろいろな形の,わかりやすく言えば文書の偽造が増えたり,ちょっと昔に戻っちゃうじゃないかということを現場からいろいろ耳にするようになっているということで,いろいろ大変かなというふうに私は見ています。
 もう一つは,つまり,これからそういう状況の変化を踏まえた形で,踏まえたというか見通しをしながら,日本学生支援機構のいろいろな機能だとか将来の扱いについて考えていかないと,おそらく日本学生支援機構の今後というのは,考え方を含めて,留学生を受け入れる大きな柱になるわけです。ですから,そこを誤っちゃうとまた非常に方向違いの留学生受け入れの在り方が出てきて,それで結果的によければいいんですけれども,果たしてうまくいくのか。どこが目標で,どこまでいけば成功,失敗というのはなかなか判断しにくいんですけれども,大もとの方向を間違っちゃうと,また後戻りしてもう一度やり直すというのはなかなか難しい問題かなと思っています。
 同時に,さっき言いましたように,今,非常に先行きが見通しがつかない時代になってしまって,ここ1年ぐらい見ると少しわかるかなと思うんですけれども,いろいろな人のお話を聞いていると,いろいろな考え方,見方があって,なかなかよくわからないというのは私個人の意見です。
 以上です。

【谷口主査】
 ありがとうございました。
 ご意見もいただいているんですけれども。
 どうぞ。

【前原委員】
 済みません,途中退席しますので,2つ意見を言わせていただきます。
 一つは,就職の問題ですが,これは日本人学生,留学生ともミスマッチが非常に大きいですよね。それで,私どもでは,財界と学校が一緒になってそのミスマッチを解消するような動きをしたほうが良いのではないかという意見を持っておりますが,既にお隣の富沢先生のいらっしゃる静岡県は,静岡の財界と学校,大学と一緒になって,日本人学生及び留学生の就職問題についてマッチングを一生懸命やっておられて,成果を上げていらっしゃいます。こういう例については,ぜひ全国に文科省のほうで広げていただきたい。同友会としても一緒になってやる気持ちがございます。ぜひお願いいたします。海外に行って日本に留学した学生に会うと,日本で就職したかったけれども就職できなかったという方がたくさんいます。この問題をぜひ解消していただきたい。
 二点目は,奨学金の件です。私も学生時代に奨学金をいただいて助かりました。10年ほどで返済できました。貸与については,今,非常に増えていますね。お金を貸して回収するのは大変難しい事業です。ですから,返済が非常に滞っています。普通の金融機関だとつぶれてしまうレベルだと思います。同友会で提言を出しておりますけれども,これは国の機関がやるのがいいかどうか一度よく検討いただいたら良いと思います。大森委員のようなプロもいらっしゃいますので,むしろ,貸与は民間に移していくのが良いのではないかと私は思っております。
 そのときやっぱり問題になるのは,保証人をどうするかとか,利子についてこれをどう保障するか,だれが金利差額を出していくかという検討課題だと思います。これは大学その他で考えられることではないかと思います。逆に,給付の金額は少な過ぎると思います。今のような経済情勢であれば,もっとこの分を何倍にもして困った学生を支援していくことが正しい政策の在り方です。財務省ともよく交渉していただいて,これをぜひ充実していただきたい。学校の経営をしておりますと,各大学とも,今,一生懸命それぞれのところでこういう奨学金を充実していますけれども,十分ではありません。もっともっと大きくしていただくことを期待しております。よろしくお願いします。

【谷口主査】
 ありがとうございました。
 もう自由討論に入っておりますので,質問も含めて,さまざまなご意見もいただければと思っていますので,よろしくお願いします。
 どうぞ。

【小林(雅)委員】
 私は,奨学金のことについて主にお話ししたいと思いますけれども,今の前原先生のことにも関連していますので,それで三点ほど申し上げたいと思います。ちょっと長くなるかもしれませんが,いろいろ言いたいことがありますので,ご勘弁願いたいと思います。
 一つは,今まで,返還促進の有識者会議,それから日本学生支援機構の検証委員会というのが2010年にありまして,中央教育審議会でもこの問題についてはずっと議論してきたところです。ここに2年前の検証委員会の報告書は参考資料として出ていますが,問題点はここにほとんど出尽くしているのではないかと私は思っています。ですから,これをベースにして考えていくのが基本的で,今問題になっているような回収のスキームでありますとか,そういったことについても,もうほとんどここで論点として出ていますので,まずこれがベースになるべきではないかということが1つです。
 第二点目は,今のご意見に対してなんですけれども,これは諸外国,私は大体7カ国の調査をやってきたんですが,完全に奨学金事業を民営化している国というのはこの事業についてはありません。これはやはり,給付型奨学金というのが非常に重要な問題でありまして,日本はこれが学部学生の段階でないというのは非常に大きな問題であると思っています。国が責任を持って行わなければいけないということで,例えば,一番民営化に近かったのはアメリカですけれども,政府保証型の民間金融機関ローンというのがあったのですが,オバマ政権になってそれを廃止したということがありまして,現在では,主要国で完全な民営化でやっているという国はないのです。ただ,おっしゃるように,どこまで国が責任を持つかということは考えていく必要があると思います。
 この問題は,例えば,補助金を出していかないと民間金融機関だとかなり難しい,貸与奨学金は非常に小口のローンになりますので,なかなか採算が合わないという問題がありますので,ほんとうに民間がやるのがいいか,それとも日本学生支援機構がやるのがいいかということは,十分これから議論していく必要があるかと思っています。
 第三番目は,留学生の問題にもかかわるのですけれども,これもずっと申し上げてきたことですが,日本学生支援機構について,調査とか分析をするということをも少しきちんと行っていく必要があるかと思います。これは文科省と両方で協同していくことかもしれませんが,独法としては,やはりきちんとした調査分析機能を持つことは当然のことであると思います。例えば,留学生の調査とかさまざまな調査をやっておられますけれども,まだまだ全体像がよくわからない。留学生について言えば,交流協定にあるところの留学生数はわかるんですけれども,それ以外のところがよくわからない。学生がどういうふうに流動化しているというのは,実はよくわからないですね。
 それから,これも前から申し上げていますが,奨学金について言えば,返せる人と返さない人の区別がつかないということが一番大きな問題で,これは国がマイナンバーみたいなものを入れてくればまた変わってくるとは思いますけれども,そういった情報をきちんと整理して分析して,それを世間に示していくという機能が非常に弱いということが日本学生支援機構の大きな問題点だと私は思っています。そういったことを少しこれから検討していただければと思います。
 以上です。

【谷口主査】
 ありがとうございました。
 ほかにご意見ございませんか。
 どうぞ。

【大本委員】
 大学生協連の大本と言います。私も奨学金のことについて発言させていただきます。
 今,ご説明がありました資料の14ページの「貸与規模の拡大」というところにありますように,今,大学生の3人に1人が貸与の奨学金を受けているという数字が出ています。私どもも独自に学生生活実態調査をしていますが,その数字もほぼ同じで,35%が日本学生支援機構からの貸与の奨学金でそれ以外の団体からの奨学金を加えますと,平均40%の学生が,奨学金を受けており,年々その数字も上がっています。これは平均値なので,自宅外生というふうに見ますと,実際には,学生支援機構とその他の奨学金を合わせますと45%が奨学金を受けており,学生寮に入っている学生に関しては,7割が奨学金を受けているということですから,奨学金なしにはなかなか学生生活は進められない状況になっているということです。
 ですから,皆さんおっしゃるように,給付型の奨学金をさらに拡大していただきたいというのは当然のことですが,ただ,給付型は,予算枠との関係で現状では無理があると思います。その関係では,貸与の奨学金の枠を現状ないしはもっと広げていただきたい。しかも,アンケート調査の中でも,奨学金をもらいたいがもらえなかった,申請したけれどももらえなかったという数字で5%,それから,もらいたいけれども申請しなかったというのが13%もあることから,もっとたくさんの需要があると考えられます。
 そうすると,今提言されています金融事業としての側面について,返還はもちろんきちんとしなくてはいけないと思いますが,もう一方で,返還のときに,民間の金融機関ということになりますと,利息がどうしても今よりも上がってしまうのではないかという懸念があります。あるいは,現行,在学中であれば利息は免除されるという仕組みがありますが,それも今後どうなるか厳しい見通しと思われます。よって,返還に当たっての利息がもう一つの問題点となります。
 それから,卒業してからの就職もなかなか厳しく,卒業後,就職しても3年以内に離職してしまうという学生がたくさんいるという状況があり,もう一方でこれは就職対策試験で何とかしなくてはいけないことですが,奨学金の枠が狭まってしまい,あるいはその利息が上がるということになると,さらに,大学への進学を断念せざるを得ないですとか,非常に厳しい自宅外生,あるいは寮に入っている学生からすると,生活にも支障が出るような状況が生じるといった心配がありますので,奨学金の今後の見通しと対策等,教えていただければと思います。

【谷口主査】
 これはいかがでしょうか。

【松尾学生・留学生課長】
 なかなか難しい課題ではありますが,事実だけ申し上げますと,給付の奨学金は,今はございません。あるのは,多分,大学で独自でやっているもの,財団でやっているもの,それから,それに似たようなものは,大学での授業料免除というのはいわゆる給付に相当するものだと思います。
 そういう意味で,平成24年度予算要求では,私ども,給付型の奨学金を要求したわけでございますけれども,今,大本先生が言われたように枠の問題があって,給付だと渡し切りになりますから,おそらく範囲が相当狭まると思います。それでも一部でも入れたい,そしてしっかりと渡したいということで要求をしました。最終的に,先ほど申し上げましたように,所得連動ということで,家計の厳しいお子さんが大学に行く,その方々を対象に,その方々が卒後300万円を超える収入を得ない場合には猶予の期間を延長する,所得を得るまで延ばすということで,実質的に,返済という意味での一部給付的な要素を入れさせていただきました。
 したがいまして,先ほど小林(雅)先生からもありましたけれども,ほんとうに返せる人と返せない人というのをしっかりと分けて,返せる人からはほぼ100%の回収をしつつ,返せない人には返済猶予をするとかいったことをしなければならないと思っております。入り口と出口とでしっかりと見て,そして猶予していくという所得連動返済型の制度をやっと今年導入させていただきましたので,それをしっかりと充実させていく。そして,将来的な給付といったものに持っていくということなんだと思います。これもひとえに財源の問題もございますので。
 また一方で,数字の面から言いますと,就職というのは相当厳しい状況でございます。日本学生支援機構のデータによりますと,今,奨学金を借りておられる方々の家計,300万円以下の方というのは約3割ちょっといるわけでございます。実際,高等教育機関を出てずっと卒後300万円に行かない方というのも3割ぐらいいらっしゃいます。そうすると,30%掛ける30%で,約1割の方は返済しない方々というのはデータとしてございます。それを多いと見るかどうか。さらに就職支援を我々はやっていくということで,一体となって少し施策を展開していく,ただ単に奨学金,奨学金,就職,就職ということではゃなくて,一体となってやっていくということで,今後,展開していきたいと考えているところでございます。

【谷口主査】
 ご発言いただいていない先生方いらっしゃいますが。
 どうぞ。

【小林(光)委員】
 今日は,ざっくばらんに話しますが,留学生対応ということを含めて支援について申し上げると,要するに,成長戦略の中のグローバル人材の育成ということ,それから留学生30万人計画達成は一つの目標になっているということでありますけれども,私は民間外交推進協会のメンバーになっておりまして,いろいろな国の,例えば,この間もベトナム大使とか,昨日はドイツの大使など,あるいはASEANの諸国それぞれの大使の皆さんといろいろな話を聞かせていただくのです。ここで特に,ASEAN諸国では,支援ということでいえば,今までですとハード支援がかなり重要視されてきたわけですが,むしろ今はソフト支援が求められています。いわば人材育成が国作りのすべての基本だとのことであります。例えば産業の振興でも,あるいはインフラ整備でも,基本は人材育成が必要とされています。したがって,人材育成を日本に見習いたい,あるいは日本から教育支援をしていただきたいという声をそれぞれの国から聞くことが多いです。
 そんなことを考えますと,この間インドの大使からもベトナム大使からもお聞きしたのですが,そこに対して,日本として,いわば成長戦略の中でアジアの成長を取り込むということであれば,政策的に国としての「国際人材養成」ということを文科省を含めて打ち出していく必要があるんだと思います。特に,職業教育等を含めて,アジアにおける人材教育を中心としたいわばハブ機能を日本が果たしていくという考え方をきちっと持った戦略を立てていくべきではないか,このように私は思っております。
 その意味では,先ほど小林(雅)先生もおっしゃいましたが,日本学生支援機構がそういった意味の調査機能をきちっと発揮し,そして政策提言をもしていけるようなことをしていただければ大変ありがたいと思っております。
 もう一つは,ここにいらっしゃる委員は,大学の先生が多いわけですが,私は職業教育ということで,専門学校の代表として参加させていただいているのんですが,今日は,アカデミズム教育ももちろん大切でありますが,もう一方プロフェッショナルな面,いわば職業教育の面もアジア諸国から大変強く求められているという背景があるわけです。そういう意味においては,我が国のアカデミズム教育とプロフェッショナル教育を国際的に評価できる制度に考えていく必要があると思うわけです。
 一つの例としては,欧州のポリテクニクスのようにアカデミズムに対してプロフェッショナルのディグリー制度までできているのがヨーロッパの職業教育の現状です。欧州単位互換制度(ECTS)に基づき,バチェラーとかマスターまでプロフェッショナルディグリーとして出しているヨーロッパを見習い,職業教育の国際通用生を確保することなどと留学生確保対策も含め,日本がアジアの教育のハブ機能を果たすということは,そういうことまで含めて考えていかないと,国際社会への若者の就職とかほんとうの意味のグローバル人材育成ということにはならないのではないか,そういうことも含めた研究あるいは学生支援や職業教育の制度設計の提言をぜひ考えていただきたいと思っております。

【谷口主査】
 ありがとうございました。
 その他,まだご発言いただいていない先生方いらっしゃいますか。

【木谷委員】
 私,国立高等専門学校機構の理事ということで,高等専門学校の立場を踏まえながら,これらの点について少しお話し申し上げたいと思います。
 まず一つは,奨学金の関係でございますけれども,これは,日本学生支援機構の調査などを見ても,実は高専の学生というのは家計がかなり低所得者層が多いんですね。例えば500万円以下の所得者層が平均よりも10%くらい多いということなんですが,それで,実際,多くがもちろん日本学生支援機構の奨学金などを受けているわけですけれども,意外に有利子の奨学金というのはなかなか借りられないんですね。その辺の様子を聞きますと,やっぱり借りたくても返還について不安を持っているということがあるようなんです。そういう意味では,一つはもちろん給付型というのがある。もう一つは,今般導入された所得連動型の奨学金,こうしたものについて,文科省からもさらに今後きめ細かくしていくことが考えられるというお話もありましたけれども,諸外国では,その辺をきめ細かく,所得に応じてということをかなり導入しているということがあります。ぜひそういった点について,借りるとしてももう少し安心して借りられるようなことを充実していく必要があるのかなと思っております。
 次に,留学生交流の関係について申しますと,これは先ほど小林さんからもありましたけれども,我々は技術者教育を担っているということで,これから日本人学生もグローバルな技術者に育てていかなければならないと考えています。
 留学生の受け入れについては,特に東南アジアは日本の高専のような技術者教育について非常に関心が高いという現状がございます。これまで,国費中心ということもありますけれども,私ども高専の留学生の特徴というと,中国人留学生が少ない。むしろ,ベトナム,ラオス,カンボジア,モンゴル等々,そういった国が多いんですね。最近,国立高専においても私費留学生を増やしていこうということで,統一試験などを導入したりしたんですけれども,それでもやはりベトナムなどが非常に多い。ただ,そういう国ですと,やはり奨学金がないとなかなか厳しい。しかも高専は地方にありますので,アルバイトもなかなかできない。寮はあるんですけれどもやはり経済的には厳しい。
 そういう中で,やはりある程度,なかなか難しいとは思うんですけれども,国全体としてどういう留学生を受け入れていくかというターゲットを考えながらやっていく必要があるんではないか。それから,長期だけでなくて短期的な交流というものについても,とりわけ海外,例えばシンガポールでも香港でもヨーロッパでも,ポリテクというところは非常に高専に対する関心も高いし,日本の技術者教育に対する魅力というのは非常に大きく感じています。そういう意味では,産業界と連携した形での,短期も含めた留学生交流を推進していきたい。
 また一方,派遣の方ですけれども,先ほど言いましたように,高専は所得層が低い学生が多い,実は高専で,海外インターンシップであるとかいろいろ海外派遣のプログラムをやっておりますけれども,非常にたくさん応募はあります。ただ一方で応募しない理由というのは,やはり家計的な事情があると聞きます。そういう点についても配慮が必要ではないかと思います。
 最後,今まで全然出ていない話ですけれども,学生支援のところでは,やはりメンタルヘルスの問題ですね。これも日本学生支援機構の資料調査によると,高専は発達障害の学生が多いというデータも出ておりまして,そうした点にいろいろ苦労しているわけでございますけれども,そういった点での支援体制について,やはりなかなかこれを民間でということは難しいところがあります。どこの団体がいいのかというのはありますけれども,国としてのそういったメンタルヘルス等の問題への対応の体制というのはやはり重要なことではないかと思っております。

【谷口主査】
 ありがとうございました。
 それでは,加藤先生にご発言いただけますか。

【加藤委員】
 埼玉大学の加藤です。
 どういう検討をすればいいのか考えていたのですが,石原委員が冒頭でおっしゃった議論が大事だと思います。今後の見通しはどうかという話。しっかりとした見通しなしにこういうことを進めていくことについてのご懸念だと思います。
 それについては,私は大学の側から考えてみたのですが,今,我々は相当な危機意識を持っています。大学がこの状態のまま,世の中がいろいろ変わってきたということに振り回されてもだめで,大学自身が相当変わっていく必要がある。ある意味では,大学がほんとうに魅力的になることです。留学生が,例えば震災の問題があったとしても,あるいは経済的問題や入国管理の問題があっても,ぜひとも日本の大学に来たいという大学にしないといけない。それは留学生だけではなくて,日本の若い人たちも同じ,大学にきて,ほんとうの意味で次世代を背負っていく人材に育ってもらう必要がある。そういう大学を今つくり直さなければいけないという認識を持っています。今までやっていなかったわけではないのですが,いろいろな条件が厳しい中では,今までのようなペースでやっていってはいけない。
 もちろんその辺のリードは文部科学省がしっかりおやりになることですが,それだけではなくて,大学自身も頑張らないと大学自身が意味がなくなるかもしれない,そのくらいの危機意識を持っています。
 今,前振りのようなお話しをさせていただいたのですが,私も大学の理事の立場でいろいろ考えて,何が問題かというと,やっぱり部分的なところにどうしても施策がいってしまうことです。トータルなパッケージというか,どこを目指して相互にどのように連関をつけてやっていくかという見通しに,実は今まで大学は若干欠けていたような気がします。従来のそれぞれのところで,いってみれば,これまで確立している部分をしっかりやっていくというところがある。そこのところをどう変えていくのかというのが,我々大学人としては課題だと思っていまです。
 ですから,実は留学生の問題というのは留学生の問題だけではない。あるいは,奨学金の問題もそうです。奨学金の問題と留学生の問題は,別な話なのかということは考えたほうがいいだろうと思いますし,さっき木谷委員が初めて学生支援の話を触れられましたが,実は関連する問題です。学生生活の支援というのは,あまり知られていないのですが,そしてその規模からいくと小さいようですが,結構大きな問題を抱えている。もう少しトータルに大学を見直していくことを我々は考えていきたいということなのですが,学生支援機構も実はそういう観点からおそらく設定されていますよね。つまり,三つの事業がそれぞれ独立してあるのではなくて,大きな部分は奨学金なのかもしれませんが,トータルに,先ほど説明のところでは一体とか有機的というふうにおっしゃっているのですが,全くそのとおりです。ただし,私も今言っているように,大学でも一体的なあるいは有機的という点が重要ですが,実際には連関性というのはなかなか絵をかけない難しい部分があります。
 ですから,今回の検討では,日本学生支援機構としては一体化とか有機的な連関というのをどういうふうに見ていくのか,これが一番ポイントかなと思っています。それはある意味では大学とも共有する問題であって,ばらばらではなくてトータルに何をやっていくのかということを検討していくことが必要なのではないかという気がいたします。ちょっと漠然とした議論でしたけれども,お話をさせていただきました。

【谷口主査】
 ありがとうございました。
 何か,この点について,お答えございますでしょうか。今,加藤先生がお話しになった点について,何か,事務局のほうから。

【松尾学生・留学生課長】
 まさにおっしゃるとおりで,我々もいろいろな施策を考えるときに,パーツ,パーツで考えてしまうところがあるので,このような場でほんとうにトータルパッケージでどうしていくかというのは考えていくということなんだと思います。
 あと一つ,資料5だけ紹介をさせていただきますと,今回の目的は,このフリートーキング含めてでございますが,全体で日本学生支援機構の個別の事業についてよく整理をしていただいて,そしてその事業の在り方を全体で考えてもらいながら,日本学生支援機構としての3事業の一体化をすべきかすべきであらざるべきか。それと,例えば留学生であれば留学生,国としての全体のパッケージがあって,その中での日本学生支援機構の位置づけについてご検討いただきたいと思います。日本学生支援機構としてやるべき業務なのかどうなのかというのを見ていただきながら,それを今度,3事業合わせて行うべきかどうかというのをこの親会議で見てもらうということで,我々はその論点を今回,フリーディスカッションをするための材料としてまとめさせていただきました。これにうまく論点を追加しながら,この親会議で次回,ないしはワーキンググループでご議論いただいて,少しおまとめをさせていただくということでさせていただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。

【谷口主査】
 今,資料5のご説明をいただきましたが,今後の進め方も含めまして,加藤先生お話しになったことについては,この親会議で全体としてのことをまとめさせていただくということになろうかと思います。
 それから,それぞれの事業につきましては,それぞれのワーキンググループで今後お願いをしたいと思いますが,今日は全体の会でございますので,さまざまなご意見が出されました。奨学金事業につきましては,先ほどからもお話しになっています給付と貸与,そこについての問題がかなり出てきたなと思います。また、留学生に支援については,さまざまなグローバル人材のお話が出てきたなと思いますし,学生支援については,とりわけメンタルの問題がご指摘されたかと思います。
 それで,まだご発言いただいていない先生がいらっしゃいますので,奨学金事業とのかかわりが深くあろうかと思いますが,大森先生にご発言いただければと思います。よろしくお願いします。

【大森委員】
 唯一民間の金融機関から代表で出させてもらっていますけれども,奨学金事業が今どうなっているかということについて,私もお恥ずかしながらあまり知識がなかったものですから,今日は非常に勉強になりました。
 具体的には,先ほどの資料4の12ページに非常にわかりやすく,12ページ以降に論点と言いますか,まとまっておりまして,これを見ながらいろいろ考えたんですけれども,やはり,我々民間の金融機関としては,どうしてもこの教育的なものがビジネスとして収益性を求めてしまうものですから,例えば12ページの表を見ていますと,特にこういうローンの場合,非常に大事なのは,まず入り口をしっかり見るという部分があるわけです。例えば,今の奨学金事業であると,入り口の審査が全くないといった部分であったりとか,あと途上管理的なものが非常に大事になってくるわけですけれども,実際に延滞して回収ができなくなってから動いているという部分が主体になっていますので,民間の経験知としては,一たん延滞が始まって回収から入っていくとなかなかこれは難しいんですよね。しっかりした回収をしていくためには,入り口と途上管理をしっかりやっていくという部分がある意味では金融の基本でございまして,その辺の考え方をどこまで入れていけるかというのが,一つ,今の奨学金事業における課題の解決策になるのかなとは思っています。
 ただ,それをあまりやり過ぎますと,ここに書いてあるように,もともとの目的とか理念が違いますので,やはり教育支援という観点から考えると,あまり金融的な手法を入れ過ぎると,先ほど先生方がお話しされているように,大学進学を断念したり,いろいろな意味での今の制度のよさが失われてしまいますので,その辺をいかに維持しながら,いろいろな今の金融の手法をうまく入れていって,うまく共存して,この事業を存続できないかということを,我々民間としても,この検討会とかワーキングの場で一緒に考えていきたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いします。
 以上です。

【谷口主査】
 これでご出席の委員の先生方からは全員のご意見をいただきました。それぞれの立場でご意見をいただいたわけですが,先ほどもお話しいたしましたように,資料5の論点,これをお見通しをいただければと思いますが,一番上は,機構の組織の在り方についてということで,二点ほど挙げております。その次が,機構の行う各事業における課題と方向性ということで,それぞれの事業について論点が上がっておりますので,これをお見通しいただいて,この点が欠けているのではないかという点がございましたら,ご指摘あるいはご発言をいただければと思っています。よろしくお願いいたします。
 どうぞ。

【富沢委員】
 欠けているというよりも,先ほど加藤委員がおっしゃったことに関連することですが,今後,3つの事業の全体をトータルに考えていくときに,ワーキンググループについては日程表がありますが,これは第1,第2が交互に開催されていくような形になっています。これはメンバーがそれぞれ全く重ならないようになっていますよね。当然と言えば当然かもしれませんが,例えば,事業をトータルにというときに一番重要なことは,人材育成の問題だと思います。先ほど小林委員もおっしゃいましたけれども,留学生も日本人学生も含めてどういう人材を育成していくか,グローバル人材という言葉もたびたび出てきておりますけれども,また,そういう人材育成をしていくために,どういうストラテジーを持っていくべきかというときに,個別にワーキンググループごとの枠で議論していくにしても,それを相互に結びつけながら,どういう人材を育成していくのかというところを常に念頭におきながらこのワーキンググループを進めていかないと,個別の話で終わってしまい,非常に技術的な話になってしまう可能性が若干危惧されます。その辺について今後の見通しをお願いしたいと思います。

【松尾学生・留学生課長】
 確かに,その視点は重要だと思っております。機能別に見ていって,それで後でまとめようと思っておりますけれども,今,富沢先生が言われましたように,ワーキンググループは入れ子になっていますので,例えば片方のワーキンググループでの議論を次回もう片方に報告するとか,そういった形で少し連関づけながら,お互いのワーキンググループでの議論を紹介し合う形でやらせていただければと思っております。それで,最後にここでまとめるような形でいかがでございましょうか。

【谷口主査】
 今,進め方の話が出たんですが,全体をどのように,個別のものをどのように積み上げていってまとめるかということだろうと思いますが,この進め方について,何かご意見ございますでしょうか。
 それぞれの事業のワーキンググループは交互にありますので,お互いに紹介をしながらという進め方でいきたいという事務局の考えなのですが,ほかに良い案がございましたらご指摘いただいて,今後,そのようなご意見をお聞きしながら進めていきたいと思います。
 加藤先生,何かございますか。全体をまとめるという話も…。

【加藤委員】
 どうしても,こういうことをやっていくときに,ここの事業を見直し,見直しとやっていくと,見直しだけが進んでしまって,全体に何が目的だったのかというのが見えなくなってしまう,それは,あんまり批判は言いたくないのですが,事業仕分けの問題点ということだと思っています。
 そうやって合理性だけを追求してしまうけれども目的は何なのか。人材をどうやって育成していくのか。人材を育成することがほんとうに喫緊の課題であると言われているが,実際にはすごく難しいということを認識しているわけですよね。だから,富沢委員がおっしゃったことは大事で,僕は自分でそういう言葉を使わなかったが,そもそもこれをやる目的は何なのか,ほんとうに将来の人材を育成していくために何をすべきか。それはそれぞれのところで人材の育成をやるけれども,どこかがしっかりと支援していかなきゃいけない,その支援はやっぱりすごく重要なんだという認識を持つことが僕は大事だと思う。だから,のめり込むだけではなくて,もう少しほんとうにトータルのところを見ていくというのがすごく重要だと思います。

【谷口主査】
 今,先生がおっしゃったのは基本的な考え方ですよね。

【加藤委員】
 そうですね。

【谷口主査】
 そこのところを全委員が共通認識をどういう形で持っていくか,そういうことだろうと思います。そのための具体的な手法としては,会議を具体的にどういう組み合わせてやっていったら良いかということになろうかと思いますが,部分と全体を考えながら,主査としても事務局と相談しながらやらせていただくということで,よろしいでしょうか。特にこの点について,ご意見ございましたら,ご発言いただければと思います。
 どうぞ。

【石原委員】
 質問なんですけれども,機構の組織の在り方が,1のところで「3つの事業を併せて行う意義について」とあるんですけれども,3つの事業をあわせて行う異議がないという結論がもし,あっていいものかどうかという,つまり,もともとは行革の中でできたことですから,無駄を省けというのでこういうのができた。しかし,実際考えてみたらもっと無駄になっちゃったよという話がもしあったら,その無駄をなくすんだったら,またばらばらにしたほうがいい,理屈の上ではそうですよね。
 とは言っても,一つの政治的な判断の中で,この枠だけはきっちりやってくれよ,多分そういうのもあるのかなと思うし,全くそういうのを取っ払って自由にやっちゃったほうがいいのか,そのあたり,どうですか。

【松尾学生・留学生課長】
 なかなか難しいところではあるんですけれども,基本的に行政改革の流れだけ申し上げますと,これは独立行政法人の行政改革の流れ,今回のことは,過去,平成16年に合わさったときを超えて,今,去年の暮れの行政改革の流れでいいますと,独立行政法人というものについてのコストダウンでございます。したがって,先ほど言われました,いろいろなパーツがありますけれども,独立行政法人のコストダウンということなんだと思います。
 一方で,ではその機能を,そうすると,それを全部ゼロにすれば一番コストダウンなんですね。そうすると政策が遂行できないということなので,先ほど申し上げましたように,多分,スレッショルドというかバウンダリーコンディションで言えば,これだけ経済的に厳しい状況になって,日本人であれ留学生であれ,その人たちがしっかりと日本で勉学をし,そして,海外でグローバル化に対応できる学生をしっかり国として支えるということがあって,これは多分強いメッセージで,それはしっかりとやる,その上で,社会的コストをいかに減らして政策を実現するか。その中で,一つのキープレイヤーである日本学生支援機構の担うべき位置づけを明確にし,そこのコストダウンを図る,そういった何次元かの事象で局所化,極小化を図るということなんだと思います。
 したがいまして,バウンダリーコンディションとしては,しっかりと国家として学生を支えるということはメッセージとして出しながら,その中でのコストダウンをいかに図るか,それは社会的コストと日本学生支援機構という法人としてのコストダウンということなのではないかと思います。
 したがいまして,その中で,例えば事業を3つばらばらにしたほうが,より社会的コストが減り,正しい政策が実現されるということであれば,もちろんそういう答えもあると。我々はその答えありきで議論するということはないというふうに思っております。

【谷口主査】
 少し共通認識になりましたでしょうか。
 背後には国の財政事情が非常に厳しい状況の中で,今,有効な学生支援の在り方というのをどこに重点を置き,スリム化できるところはスリム化していく。ただ,そのお金を,例えば厳しいからといってそれぞれの事業をやめるというのではなく,そこに何が最も大事なことなのかということを議論していただいて,全体としての学生の支援というのがそれで前進するという議論に結びつけていただければと思っています。
 いろいろなご要望もあろうかと思いますが,この社会は,石原委員がご発言されたようにどんどん変わってきています。それに見合うような学生支援の在り方というのは考えていくということも大事かなと思っています。
 先ほど私がお話ししたことがまとめになっているかどうかわからないですが,松尾課長と私がお話ししたようなことがまとめで,今後,ワーキンググループでそれぞれ進めさせていただく。それは相互に連関をしながら有機的にやっていくということが非常に大事かと思っていますので,このワーキンググループあるいは全体の会議の進め方は,そういうことも含めて,いろいろ考えさせていただいた上で運営させていただきたく思っていますので,よろしく今後ともご協力をお願いしたいと思います。
 最後に,今後のスケジュールをご説明いただけませんでしょうか。資料6でございます。

【松尾学生・留学生課長】
 では,資料の6でございますが,ワーキンググループ,それからこの親会議の進め方につきましては,本日いただいたご議論も踏まえながら,よく連関できるような形で,座長ともご相談しながら進めさせていただきたいと思います。本日,有識者検討会を終わらせていただきまして,資料6にありますように,その後はワーキンググループ,ここで予定は仮置きをこういった形でさせていただいて,それで,あとは連関をいかにつけるかというのは検討させていただきたいと思っておりますので,皆様よろしくお願いいたします。
 よろしくお願いします。

【谷口主査】
 ありがとうございました。
 それでは,検討会の第1回をこれで終了させていただきたいと思います。
 次回の検討会は,8月上旬ということになっているんですけれども,ご相談させていただいた上で,またお集まりいただくことになるかもしれませんので,その節はよろしくお願いしたいと思います。
 今日はどうもありがとうございました。

 

 ―― 了 ――

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