独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会 第2ワーキンググループ(第1回) 議事録

1.日時

平成24年5月16日(水曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省 17F1特別会議室(17階)

3.議題

  1. 検討会の設置について
  2. 独立行政法人改革の経緯について
  3. 留学生支援事業及び学生生活支援事業の概要について
  4. 自由討議
  5. その他

4.出席者

委員

秋山委員、石原委員、大本委員、川島委員、齋藤委員、高橋委員、谷口委員、西澤委員、芳賀委員

文部科学省

奈良大臣官房審議官、松尾学生・留学生課長、保立学生・留学生課長補佐、森山学生・留学生課長補佐、水畑学生・留学生課長補佐

オブザーバー

髙塩理事長代理(日本学生支援機構)、山内理事(日本学生支援機構)、米川理事(日本学生支援機構)、鈴木留学生事業部長(日本学生支援機構)、関口学生生活部長(日本学生支援機構)

5.議事録

【水畑課長補佐】  
 それでは,定刻になりましたので始めさせていただきます。ただいまから,「独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会第2ワーキンググループ」を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては,御多忙中にもかかわらずお集まりいただきまして,まことにありがとうございます。配付資料につきましては,議事次第に記載してございますとおりとなっております。もし過不足等ございましたら,事務局まで,議事の途中でも結構でございますので,遠慮なくお知らせいただければと思います。
 まず,議事に先立ちまして,事務局より委員の皆様の御紹介をさせていただきます。資料1-1の別紙にございますのが皆様の名簿でございます。印刷では一番裏に,2枚つづりの裏になってございますけれども,すみません。2ページ目でございます。では,名簿の記載順に御紹介をさせていただきます。
 まず,筑波大学国際部部長秋山和男様でいらっしゃいます。

【秋山委員】  
 よろしくお願いします。

【水畑課長補佐】  
 次に,株式会社移民情報機構代表取締役石原進様でいらっしゃいます。

【石原委員】  
 よろしくお願いします。

【水畑課長補佐】  
 次に,全国大学生活協同組合連合会常務理事大本隆史様でいらっしゃいます。

【大本委員】  
 大本です。よろしくお願いいたします。

【水畑課長補佐】  
 次に,国立教育政策研究所高等教育研究部総括研究官の川島啓二様でいらっしゃいます。

【川島委員】  
 よろしくお願いします。

【水畑課長補佐】  
 次に,東京工業大学保健管理センター教授齋藤憲司様でございます。

【齋藤委員】  
 齋藤です。よろしくお願いいたします。

【水畑課長補佐】  
 特定非営利活動法人アイセック・ジャパン専務理事・事務局長高橋諒様でございます。

【高橋委員】  
 よろしくお願いします。

【水畑課長補佐】  
 学校法人平安女学院大学副学長・特任教授谷口吉弘様でございます。

【谷口委員】  
 谷口です。よろしくお願いします。

【水畑課長補佐】  
 次が,財団法人古賀政男音楽文化振興財団専務理事西澤良之様でございます。

【西澤委員】  
 西澤でございます。よろしくお願いします。

【水畑課長補佐】  
 次に,一般社団法人日本学生会議所副会長芳賀達也様でございます。

【芳賀委員】  
 よろしくお願いします。

【水畑課長補佐】  
 また,本日は御欠席でいらっしゃいますけれども,国際教育交流協議会(JAFSA)理事で立命館大学国際部副部長でいらっしゃいます堀江未来様も,本検討会に委員として御協力いただくことになっておりますので,ご承知おきくださいませ。
 また,文部科学省職員につきましては,机上に配付させていただいております座席表をもってかえさせていただきます。また本日,独立行政法人日本学生支援機構の関係者も陪席させていただいておりますので,ご承知おきくださいませ。
 それでは,本日は,まず資料1から5に基づきまして,文部科学省の事務局から御説明を差し上げた上で,御自由に御議論いただく予定で資料等を準備させていただいております。ただ,議事の進行及び議論の整理・取りまとめ等に当たりまして,委員の中からここの会議の主査をお願いしたいと存じます。事務局より,このワーキンググループの親会議の主査もしていただいています谷口吉弘先生を御提案させていただきたいと思いますけれども,いかがでございましょうか。
                          (「異議なし」と呼ぶ者あり)

【水畑課長補佐】  
 ありがとうございます。それでは,皆様の御了承のもと,谷口先生に主査をお願いしたいと思います。
 では,今後の議事につきましては,谷口主査の御指示に従い,進めさせていただきます。議事に入る前に恐縮でございますが,谷口主査,一言お願いできればと存じます。

【谷口主査】  
 ただいま主査を仰せつかりました谷口でございます。私は,実は文部科学省の仕事を,特に国費留学生の調査・研究の委員を随分長く務めてまいりました。それで数年前からその主査という形で務めさせていただきまして,その期間に,とりわけ国費留学生の改革といいますか,そういうものについて携わる機会がございました。国は30万人計画を挙げて,2020年までに留学生を増やそうという計画でございますが,昨今の東北大震災の影響でなかなか学生を集めるということが非常に苦しい状況になっていますが,今後は改革を実際に実行に移す段階で,一層その尽力をしたいと考えております。
 今回は,とりわけ留学生と学生支援に関するワーキンググループということでございますので,若輩ですが主査を務めさせていただきますので,皆様御協力よろしくお願い申し上げます。
 それでは審議に入りたいと思いますので,議事に入りますが,資料1「有識者検討ワーキンググループの開催について」ということと,資料2の「検討内容の公開について」を事務局から御説明いただきます。よろしくお願いします。

【松尾課長】  
 それでは,事務局の方から説明させていただきます。私は文部科学省で高等局の学生・留学生課長をしております松尾と申します。本日はどうもよろしくお願いいたします。
 それでは,座って説明をさせていただきますが,なるべく先生方の御議論の時間をとりたいと思っていますので,資料についてはごく簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 まず,お手元の資料1,それから資料2をごらんください。資料1に入る前に参考で資料1をもう1回めくっていただきますと,「独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会の開催」というものがございます。これは後ほど独立行政法人の見直しについての資料が資料3にございますので,ここで簡単に経緯は触れさせていただきますので,一部割愛をさせていただきますが,昨年来,独立行政法人の見直しの検討が政府等の中でございました。その中で,今100以上ある独立行政法人について一つ一つ見直しをするということになってございます。
 本日本学生支援機構,ここの事業につきましては,今回御議論いただきます留学生事業,それから学生支援事業,そして奨学金事業と,学生に関する3つの大きな事業をやっているわけでございますが,本法人の在り方についてもその検討をすべしということで,参考資料の趣旨に1にありますように,事業を見直しすると。その具体的な在り方については,これは後ほど説明いたしますが,この夏までに検討するということがうたわれてございます。
 そのために親委員会として有識者検討会の開催をさせていただきました。これが先月でございます。そのもとに,この3つある事業の中で,その3つの事業についてもそれぞれ精査をすべしということがございまして,第1ワーキンググループとして奨学金,そして本第2ワーキンググループとして留学生事業,それから学生支援事業について先生方に御議論を頂きたいということで,今回開かせていただいております。
 資料1の1ページをごらんいただければと思いますが,そういうことでございまして,親会議であります上部の会議の下のワーキンググループ,第2ワーキンググループとして学生支援事業,それから留学生事業をお願いするということで,ただいま御紹介させていただきました先生方に御議論を頂きたいということでございます。
 また,資料2をごらんいただければと思いますが,これは議事の公開の在り方でございます。議事の公開でございますが,これも親会議の方で決めさせていただいたものでございますが,ワーキンググループにおいても同じような取扱いをしたいというふうに思ってございます。
 「1.議事の公開」でございますが,本ワーキンググループの議事については会議の円滑な実施に影響が生じるものとして,ワーキンググループにおいて非公開とするということが適当であると認められること以外については,原則公開ということ。それから議事録についても作成をし,公開をすると。また1.にのっとって非公開となる部分,これについては非公開にさせていただくと。またいろいろなヒアリングも内部で検討してございますが,そういったものについて,もし万が一ということがございますので,議事要旨を議事録にかえることができるというようなことにさせていただきたいと思っています。会議資料についても同様に,公開を原則とするというようなことでやらせていただきたいと思っています。
 これまでの経緯については,資料3でまた改めて御説明させていただきますので,資料1及び資料2の会議についてはこのような形で取り進めさせていただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。

【谷口主査】  
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について,御意見・御質問がございませんでしょうか。また,資料2の公開の扱いについてはよろしゅうございますでしょうか。よろしくお願いいたします。
 特にございませんようでしたら,御承認いただいたということで,次に進めさせていただきたいと思います。
 では,次に文部科学省の方から資料3「独立行政法人改革の経緯について」を御説明願います。よろしくお願いいたします。

【松尾課長】  
 引き続きまして,資料3に基づきまして,経緯について御説明をさせていただきます。資料3の1ページ目と2ページ目で御説明させていただきたいと思います。先ほど申し上げましたように,今,100以上ある独立行政法人でございますが,これは昨年の9月から数か月にわたりまして議論をし,何を議論したかと言いますと,独立行政法人の制度,それから組織を見直すということでございます。ゼロベースで見直すということで,岡田副総理ヘッドのもとで種々見直しをさせていただきました。
 独立行政法人の定義は,この点線でかいてあるとおりでございますが,その見直しの在り方の基本的な考え方が1ページの①から④でございます。基本的に国,それから民間との関係を視野に入れてゼロベースで見直すべしということでございます。そして,事務・事業の特性に着目して,類型化をして,その類型ごとに最適なガバナンスを選ぶ,構築をするということでございます。そしてその政策実施機能の強化,効率性の観点から方針を再編すべしということでございました。
 1ページめくっていただきまして,こういった基本的な考え方のもとに,この2ページ目の参考1,参考2にあるように,それぞれ独立行政法人の見直しに関する分科会,その下のワーキンググループで種々議論をされたところでございます。全体の親委員会が参考1でございますが,私ども文部科学省全体の法人,特に大学連携法人と位置づけられています大学関係の法人につきましては,このワーキンググループの1で議論されたところでございます。
 中段にありますように大学関係の法人,これは研究法人はまた別途でございますが,大学を支える法人ということで5つの法人を列挙され,見直しを図られたところでございます。1つは財務・経営センター,大学評価・学位授与機構,大学入試センター,そしてファンディングをやっている日本学術振興会,そして学生を支援している日本学生支援機構,この5つが大学連携法人として1つまとめられて議論をされたところでございます。
 最終的には財経センター,学位授与機構,入試センター,これは統合ということになってございます。学術振興会と学生支援機構については,それぞれ,学生支援機構についてはこの夏までを目途に検討するということになっておりますが,その経緯でございますが,2番目の丸にありますように学生支援機構については事業の規模が奨学金が約1兆円でございます。これは日本人学生の奨学金でございます。留学生の関係が約150億円,そして学生支援については1億円未満ということで,多くの時間が奨学金に費やされたわけでございますが,金融事業という観点を着目して見直しをすべしということでございます。ただ,最終的には学生の支援を行う統合した3法人と,どう連携をしていくのか,あるいは統合するのか,それを含めて学生支援機構についてはこの夏までに検討すべしというのが,この1月20日の閣議決定ということになってございます。それを受けて今回,それから先月の親委員会を開いていただくということになってございます。
 したがいまして,先生方にはまことに恐縮でございますけれども,学生支援機構の全体の在り方とともに,留学生の関係,それから学生支援の関係について事業を精査いただきまして,外との関係も含めてどうあるべきなのかということを御議論いただきたいと思っております。
 1つだけ申し上げますと,この行政刷新会議の独立行政法人の在り方については,独法の在り方ということで独法の視点からのコストカットということで議論を頂きました。一方で,私どもは独法だけではなくて社会全体のコストカットをするということが大きな目標でございます。したがいまして,独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)のコスト削減をするという中で,やはりぐっと削減する部分と,社会的な観点から見て社会的コストを減らすためにはJASSOを強化するというようなところもあろうかと思いますので,そういう点も含めて社会的コストをいかに削減し,その中でJASSOのコストを削減するという観点で先生方には御議論いただきたいと思っておりますので,よろしくお願いしたいと思います。
 資料3の説明は以上でございます。

【谷口主査】  
 どうもありがとうございました。
 では,ただいまの御説明につきまして,御意見・御質問がございますでしょうか。どこからでも結構でございますので,御発言いただければと思います。よろしゅうございますか。
 この会は留学生と学生支援を扱うワーキンググループですので,続きまして資料4「留学生支援事業及び学生生活支援事業の概要」の説明をお願いいたします。

【松尾課長】  
 では,引き続きまして資料4に基づきまして,日本学生JASSOの事業のうち,特に留学生と学生支援の事業についての御説明をさせていただきたいと思います。
 資料はページを打ってございますが,資料の構成でございますが,まず1ページ目にJASSOの設立の概要,それから2ページ目から19ページ目までが留学生の関係の資料,それからそれ以降が学生生活支援の事業の概要ということになってございます。特に留学生の事業につきましても,3ページ目,4ページ目,5,6までが留学生の全体の大きなスキームでございます。あと,7ページ目以降が留学生の受入れと日本人学生の派遣というのが,それぞれの事業になってございますが,資料の構成だけ,まず御説明をさせていただきます。
 受入れにつきましては,8ページ目に,これはJASSOの事業を説明するに当たって世の中の受入れがどうなっているか,体制を説明する必要があると思いましたので,8ページ目には全体像と,各省庁がやっていることを左側に,真ん中にはそのうちJASSOを含めた文科省がやっていること,それを記載してございます。その上で一枚一枚主要な事項についてはJASSOの事業を後ろに添付をさせていただいていると。そのときにJASSOの事業を説明するに当たって外の事業との関連性などを説明した方がいいような事業については,それも入れて資料のつくりをしているというようなことで,御理解賜れば有り難いと思います。
 まず,資料4の1ページをごらんいただければと思います。JASSOでございますが,これは平成16年,今から7年前に設立してございます。もともとは文部科学省,国立大学がやっておりました事業,それから日本育英会がやっておりました奨学金事業,それから多くは留学生に関しましては4公益法人がやっていました事業,それをもとにしてJASSOが設立をされてございます。一部奨学金につきましては都道府県に,そしてまた一部留学生の関係につきましては財団法人,今は公益財団法人になっておりますが日本国際教育支援協会の方で引き続き事業をしているというのが,組織の大まかな概要でございます。
 それでは,留学生交流についてでございますが,3ページをごらんいただけますでしょうか。留学生事業部の全体像でございます。人員と概要を記載してございます。また4ページ目,5ページ目というのが今の日本における留学生の現状でございます。これを踏まえて留学生交流についての事業を国としてJASSOとしていかにすべきかということを御議論いただきたいというふうに思ってございます。
 4ページ目が全体像でございますが,現在,外国人留学生の受入れは30万人計画,それから新成長戦略ということで2020年までに30万人を受け入れるというようなことでやってございますが,昨年震災もございまして14.2万人まで行っていた留学生が,今は13.8万人に一部減少をしているというのが現状でございます。これは昨年の5月1日現在でございます。派遣といいますか,日本人学生の留学でございますが,これにつきましてもピーク時の2004年からずっと減っておりまして,今は6万人を切るというような現状になってございます。こういった背景があるわけでございます。
 ページをめくっていただきまして6ページ目が,文部科学省がいろいろ支出をしている留学生関係の予算でございます。ここは国が直轄でやっている予算と,JASSOにお願いしている予算というのが一緒くたになってございますが,全体で342億円で行っておりまして,そのうちの国費については文部科学省が,あとはJASSOの方で多くの事業をやっていただいているというのが現状でございます。
 それでは,留学生の受入れと派遣についてのそれぞれの細かい説明をさせていただきますが,8ページから資料を見ていただけますでしょうか。これは国全体の留学生の施策を記載してございます。まず概要にございますように,平成20年,30万人計画を打ち出したとき,そしてまた一昨年新成長戦略を打ち出してございまして,2020年までに留学生受入れ30万人を目指すということで,6省庁が連携して施策を講じているということでございます。外務省から法務省までということで,その施策につきましても,8ページの左のカラムにありますように,留学生の誘いから,まずは卒業後までということで,各省庁パッチワークのようにして施策を行っております。その中で文科省関係の取り組みを抜き出したのが,この青色の真ん中でございます。入学前・海外現地ということで情報の発信あるいは等々,それから入国・入国時,入国した後ということでございます。JASSOでやっていただいている事業については赤で記載してございますが,これは後ほど説明させていただきますが,こういった形で入れ子でやっているというのが現状でございます。
 課題が一番右にありますが,これは我々が今想定しております課題でございますが,これも一番後ろに記載してございますので,ここは全体像を見るという意味でごらんいただければ有り難いというふうに思います。
 それでは,一つ一つJASSOの事業について御説明をします。9ページを見ていただけますでしょうか。まず,受入れにつきまして,留学の誘いから入試・入学・入国の入り口のところまででございますが,JASSOにおきまして外国人学生,これは日本人学生も入れ子になっていますけれども,情報の発信をさせていただいています。留学フェアから様々な発信,出版物の提供,それから右にありますように日本留学試験ということでございます。そして下には外国人留学生への日本語教育ということで,これは大阪と東京に日本語教育センターを持って運営をしているということでございます。ここの学生でございますが,国費留学生,外国政府からの派遣留学生を中心に今受け入れておりまして,1年半コースと1年コースとに分けて行っているというのが現状でございます。
 10ページでございますが,ここは国際交流拠点ということで宿舎でございます。ここにつきましては,外部要因が様々ありますので,宿舎ティピカルな説明というよりは拠点の必要性から入らせていただきますと,昨日,実は雇用戦略対話ということで日本人の就職関係についての会議もあったわけですけれども,日本人と留学生が混じりながらいろいろな活動をしていく,その必要性,グローバル人材を育成するという観点からの必要性。それから人的なネットワークをつくる。国際的な視野を持った日本人学生の育成。そしてその上での大学の国際化を図るというような観点から,やはり国際交流の場,拠点をつくることが必要ではないかという要請が1つございます。
 もちろん,大学の中では勉学という観点では大学で国際交流を図らねばならないのですけれども,地域,あるいは生活という面では,そういった住んだり,生活をしたりする場での国際交流の必要性がうたわれているところでございます。そして私どもは,これは宿舎抜きにして考えますと,国際交流拠点の再構築ということで,そういった混じり合う場をつくっていくということ,それから生活上のサポートをし,帰国後のフォローをしていくと,そういった一貫性を持った国際交流をしていくということが,一方で必要になろうかと思ってございます。そして横を見たときにJASSOの国際交流会館というのが,実はこれまで13館宿舎があって,JASSOにその所有・運営をお願いしてきたところでございます。
 一方で,その宿舎につきましては一昨年の事業仕分け,これは10ページの右側の上にございますが,仕分けで宿舎についてはJASSOでもう廃止をしたらどうかというような見直しがありました。そして昨年来,このJASSOの方で大学等への売却を進めてきたところでございますが,13館のうち7館は売却をし,東京から大分まで残り6館がまだ売れていないというのが現状でございます。ここにつきましても,1月20日の独立行政法人の見直しの中で,あと2年間しっかり考えるべしと,そして廃止に向けた,あるいはどういったふうな形での活用をすべきか考えるべしということがうたわれておりますので,併せてここで御議論いただきたいというふうに思ってございます。
 私どもとしては,いろいろな合築であるとか,土地が地元のものだとか,いろいろあるわけでございますけれども,この在り方についても併せて先生方の御議論・検討いただきたいというふうに思ってございます。11ページにその宿舎の概要,全体を載せてございますが,札幌から大分まで13館でございます。売却済みのもの,それから売却できていないものがございますが,これまで1例としてお台場にあります東京国際交流館についての概要だけここに載せております。
 続きまして12ページでございますが,これは留学生受入れのための奨学金の制度でございます。これも国の事業といろいろ連携をしてやってございますので,全体を説明しながらJASSOの奨学金について説明をしたいと思います。まず,留学生の予算でございますが,大きく3つございます。国費,国がお金を,基本的に生活費も全部出して受け入れるという国費制度,それから私費,これは私費で来られた方に生活費を一部補てんをする制度,そしてあとは交流協定に基づいてきていただく制度,3つでございます。右2つにつきましてはJASSOの方での事業でございまして,国費留学制度については国直轄で行っている制度でございます。
 今回,私ども谷口先生に先ほど主査をお願いしたと言われておりましたけれども,この国費制度について種々議論をさせていただいて,運用上の改善を図らせていただきました。それが実は資料の参考資料で添付をさせていただいております,この平成24年3月7日の国費外国人留学生制度改革検討委員会の資料でございます。これで決定させていただきましたのは,簡単に申し上げますと,この資料の13ページ,横のパワーポイントの13ページにあるのが概要でございますけれども,大きくこれまで国費留学制度,それから私費外国人留学制度,それから様々な外部のプロジェクト,これは基本的にそれぞれ独立して,時々連携をしながらやっていたわけですけれども,それ全体を再構築しようと。例えば国費留学制度についても大使館推薦とか,いろいろあるわけですが,その連携をし,私費との連携もし,そしてフォローアップをきちんとやっていくと。そして他の制度との連携も深めていくというようなことで,運用上の改革,それから見直しをしてございます。
 そこの大きなポイントでございますけれども,それは他との連携を深めることと,一括して留学生のフォローアップをしていくというようなことでございます。これは国費も私費も日本のお金を使ってきていただいている制度でございますので,そのフォローアップをどこか一体となるところがやれないだろうかという体制も含めた見直しでございましたので,併せてここで御議論いただければというふうに思っている次第でございます。
 戻って12ページでございますが,今赤でくくったところは,私費と留学生の部分についてはJASSOで行っていただいているところでございますが,国費については国でございます。ここの連携をどうやっていくのかということを体制含めて御議論していただきたいというふうに思っている次第でございます。
 それと,あと14ページ以降が,そのフォローでございますが,JASSOの方でのフォローアップ事業でございます。就職の支援,それからいろいろな制度で帰国された学生をもう1回呼び戻しをするというようなフォローアップ事業をしていただいているというのが,これが外国人留学生の受入れについての事業の全体でございます。それ以降,派遣でございますが,16ページをごらんいただけますでしょうか。16ページは予算になってございますけれども,これも若干受入れと派遣とちゃんぽんの予算になってございますが,大きくは青,これが大学での派遣の体制整備。これは今年度から新たにやろうということでつけた予算でございます。あとはこの下の学生の双方向交流ということで,今回,日本人学生の海外留学を相当大幅に伸ばさせていただいておりまして,100人から200人,短期については700人から2,200人ということで3倍,こういった事業をJASSOの方で行っていただいているというものでございます。17ページがそのための制度でございますので,ごらんいただければと思います。
 こういったことをあわせて,19ページに論点というのを掲げさせていただいております。ざっと説明していますので,なかなかすぐの御理解は難しいかもしれないので,8ページと19ページを併せて見ていただければと思います。8ページを見ていただければと思いますが,入国する前から入国時,それから在学時,それから卒後という観点で,今説明させていただきました。その中でやはり気になっている点というのは,海外にいる留学生にどう情報を発信していくかということで,これを一元的にすべきではないかということ。それから入った後の大学のグローバル化というのは,大学に任せねばならないのですけれども,受入れの環境づくりについては,例えば宿舎の活用,交流拠点の在り方であるとか,日本語教育の在り方,それから先ほど申し上げました国費と私費の連結の仕方であるとか,その体制の件,これについては少し御議論を頂きたいということ,それから卒後についてのフォローアップの点と,そこら辺を少し御議論いただきたいというのが8ページにございまして,それを少し言葉でブレークダウンしたのが19ページになってございます。これは私どもやっております側(かわ)からの論点でございますので,実際,先生方,それからもっと外をごらんになっている先生方の方から見て,いろいろな論点があれば,少し論点出しをしていただいて,今回あるいは次回と御議論いただいて,そして事業の整理,体制の在り方について御検討いただきたいというふうに思う次第でございます。
 20ページ目以降が,今度はがらっと変わりまして学生生活支援についての事業の概要でございます。21ページがJASSOの学生生活部の概要でございます。組織体制と業務概要でございます。多くの事業でございますが,これは大きく3つに分かれておりまして,研修事業,それからまだ大学の学生の在籍率は0.3%でございますが,障害のある学生への支援,それからその他調査・分析というようなことでございます。
 まず研修でございますが,研修につきましても,独立行政法人の合理化計画ということで数年前からいろいろな合理化をしてございます。22ページにありますように,公共的な見地から必要なものに厳選をする,以降ノウハウの蓄積まで,ここに掲げているような観点から見直しをし,現在,右にありますような研修事業に特化をして学生相談,メンタルケア,それから就職,それから障害学生への支援という,これに特化をしてございます。これまでの特化の仕方についての在り方については23ページをごらんいただければと思いますが,それまでの間は文部科学省からの要請もあり,様々な研修事業をやってきました。そして23年度に一部厳選をし,そして今年度事業仕分けでの議論もあって研修の有料化を一部試行的に行う。そして学生相談,メンタルケア,就職,障害学生への支援,この3つに,しかも研修の規模も圧縮をしながら,24年度,今事業を展開しているということでございます。これについても,どういった観点で更に引き続き厳選をするのか等々について御議論を賜れば有り難いと思っております。
 また,一方で障害学生への支援,これはなかなか1つの大学ではできない支援でございますので,JASSOが取りまとめをしながら拠点化をし,やっているところでございます。これにつきましては,今,0.3%くらいしか,障害のある学生の大学在籍はないわけでございますが,その方々への支援について,これから少し文部科学省の中でもあり方について検討したいというふうに思ってございますが,JASSOの方でも今ネットワークづくり等々しながら大学と連携をしてやっているというのが,24・25でございます。
 そのほか,26ページには調査・分析,情報収集・提供ということで,全国の就職ガイダンス,それから調査・分析等々の事業を厳選しながらやっているというのがポイントでございます。こういった中で,28ページに私どもの想定する議論の課題,検討課題というものを列挙させていただいております。どういった視点で学生生活支援事業を成り立たしめるのかということでございますが,そもそも「やるべき・やらざるべき」というのはあるのではないかと思いますが,そうではなくて,やはりこういった観点で私どもとして学生生活支援というものをやっていきたいというようなことを論点として挙げてございます。
 すべての学生を対象とする取り組みと,やはり個別のニーズのある学生を対象とするもの,それから調査・分析機能でございます。すべての学生を対象とするものについては,政策課題上重要なもの,それで大学においてなかなか個別では自主的な取り組みをもっと促すべきであるとか,1つの大学でできなければ連携してやること,それの仲介をするであるとか,等々でございます。あとは障害のある方のケア等を含めた個別ニーズのある学生の対象,これはまさに1つの大学ではなかなかできないので,結節点となってどこかがやると。それをJASSOが担うべきではないかというような論点でございます。これは幾つか挙げてございますが,これだけではなく,いろいろな視点からと思ってございます。
 ただ,御議論いただくときに1つお願いがございますのは,私どもはやはり大学に入ってこられる学生というのが,今やもう56%の進学率でございます。そうすると多様な学生が入ってこられます。そして留学生につきましてもこれから増えていくし,増やすというのが私どもの政策でございますので,それにマッチをした支援の在り方,支援といいますか,一緒に学ぶ在り方,そういった視点を持って事業の在り方について御議論いただきたいというふうに思ってございます。
 また,資料4は以上でございますが,恐らく次第によりますと多分資料5は後で説明ということになると思いますが,併せて先生方に御議論いただくに当たって,資料5の方も併せて説明をさせていただければと思います。
 実は先月,4月18日に親委員会が開かれました。親委員会の中では,事業それぞれを説明させていただいて,そして少しフランクに全体像を御議論いただいたわけですけれども,資料5にその論点を少しまとめさせていただいております。大きく3つ,奨学金,それから留学生ありますけれども,奨学金のところは見ていただければと思いますが,留学生のところと学生支援のところだけおさらいをと思っております。
 留学生の支援の関係ではやはり宿舎の問題,それから留学生と日本人が混じり合うような在り方,それから留学生の今後の受入れの見通し等々踏まえた在り方,それからプロフェッショナルを育成するという観点からはハードからソフトと,そういった様々な観点を入れながらJASSOの事業を見直してほしい,検討してほしいというようなこと。学生生活支援については就職,発達障害の学生の支援,メンタルケア,ここはなかなか対応できない部分があるので,公的な部分でやってほしいというような御議論が出たかと思います。また,議論の進め方については,今やっています3つの事業をどう一体性を持たせるのか,あるいはワーキンググループで言っていた議論をまとめた形で何度かやり取りをして親委員会に持っていきたいというような議論,そういった議論が親委員会の方では出たところと記憶してございますので,こういったものも参考にしながら事業の在り方について御議論賜れば有り難いと思います。
 簡単ではございますが,以上でございます。

【谷口主査】  
 どうもありがとうございました。
 内容が大部にわたりますので,学生支援事業と学生生活支援事業の2つについて説明を頂いたわけですが,自由な討論は後ほどしていただくことにいたしまして,まず御質問がございましたら,御質問を先にお受けしたいと思いますが,いかがでございましょうか。
 何でも結構でございますので,議論を始めるについてこの点だけは押さえておきたいというような点がございましたら,御質問を。はい,どうぞ。

【芳賀委員】  
 すみません。芳賀と申します。よろしくお願いします。
 JASSOの国際交流会館についての質問なのですけれども,こちらは国内における交流活動の活性化のためにいろいろ使われていると思うのです。特に日本の大学生のいろいろな国際交流のサークルとか,たくさんあると思うのですが,その中でこの各地にある国際交流会館,東京のは遠いところにあると思うのですけれども,場所が大分いいところにほとんどあると思いますが,その地域の学生の国際交流のサークルなどというのはかなりその国際交流会館を拠点とした交流活動をやられているというような現状になるのでしょうか。お願いします。

【谷口主査】  
 学生サークルですね。

【松尾課長】  
 実態を全部詳細に見ているわけではないのですけれども,ここに資料11ページにありますように,札幌から大分までございます。その中で恐らくほとんどは宿舎機能しかないと思います。その中で私も幾つか実際に見てきましたけれども,恐らくその国際交流の場としていろいろ活用できるのは,全部一応活用できるのですけれども,兵庫と東京の国際交流館というのは結構規模も大きいし,あと大阪などはもう売却されてしまいましたので,それは除いていますと,あとはそんなに大規模な国際交流の場としてというよりは宿舎機能として活用が多いのではないかというふうな感じではございます。

【髙塩理事長代理】  
 学生というよりは,地域の国際交流関係団体の活動の場として提供するという形で,余りJASSOとその団体が交わるというよりは,場所を提供するというケースが多かったわけですけれども,特に学生の団体ということになると,幾つかあると思いますけれども,必ずしもそのすべてでやっていると,そういう状況ではなかったということです。

【谷口主査】  
 ほかにございますか。はい,どうぞ。西澤先生。

【西澤委員】  
 直接このワーキンググループの仕事に関係するのかどうか,よくわからないところもありますけれども,先ほど御紹介があった国費留学生制度の見直しでいろいろな活動の間の連携を強化するという方向でというお話があったのだけれども,その横表の資料で言うと13ページ,それから参考資料で配られているものは,きのうインターネットで送っていただきましてざっと見たのですけれども,どういう方向でどういう改善をしようとしているのかが必ずしも十分理解できない感じでございまして,若干補足して御説明いただければと思います。

【松尾課長】  
 今回は国費についての議論ではないので,余り深くは扱いませんけれども,実はこの13ページの左側を見ていただけると有り難いのですが,現在,国費の留学制度については大使館から推薦いただくものと,大学が推薦するものとがございます。これは必ずしも一体となってやっておりませんでした。
 したがいまして,例えば大使館から推薦されるときも,うまく大学が中に入り込んできちんと大学が受け入れやすいような形での大使館推薦の在り方,そういったものがうまく運用できないかということ。それと,あとは例えば高等局,あるいはほかの文科省ないしはほかの省庁のプログラムがございます。例えばいろいろなプログラムがございますが,それの一体となったような形で,例えばこういったプログラムが認められれば,そこに留学生が何人というような形の一体となったような運用ができないだろうかということ。そういった形で外のプログラムと留学生制度をうまく結びつけるようなこと,それから国費留学制度の中でも推薦枠によってばらばらではなくてきちんと連携をさせるようなこと,そういった運用の改善ができないだろうかと。
 それから,あとは国費留学生制度の意義をしっかり明確化し,そして私費外国人奨励費についても国のお金が出ていますので,そこをきちんと明確化し,そして最後は全体としてうまくフォローアップをするような強化ができないか御議論いただいて,それで改善試案というのが13ページにあるということでございます。
 その中で,私ども国費については大学生の配置などということは国でやっておりますけれども,そういったものは国で残しながら事務体制をどうしていくのかと,これは私費の在り方とともに考えていけないだろうかというのが,今回の論点だと思っております。
 余りにも簡単過ぎて,国費留学制度は複雑な制度になっているのを簡単に言うのはなかなか難しいところがあるわけですけれども,そういったものが予定でございます。

【谷口主査】  
 ちょっと補足させていただきますと,私費外国人留学生学習奨励費というのがあったのですけれども,どうもこれも国費,国のお金でやらせていただいているのですが,名前が「私費外国人留学生」という形になっていまして,何かどうも国費とは別の,何かランクの下のような感じを受けられて,評価が余りよろしくないのでといううわさを聞いておりましたので,これを今回は「文部科学省の学習奨励費」と明確に,国のお金でやっていますよという中に枠組みとして位置づけさせていただいたということも大きいことだと思います。これはJASSOの方でやっていただいたものですけれども,これをちゃんと国費として位置づけるという,そういうこともございます。
 それから,それぞれ左を見ていただきますと,様々なプログラムが様々な時期にそれぞれ相互に関連しなくてどんどん進んできたというところがございますので,今回はその中身を精査していただいて,きちんとした意義づけのもとに国としてやっていくということをつけさせていただいた。もう少し,外から見て,留学生から見て明確に目に見えるような形でブランド力を上げていくというような形で改革をさせていただいたという内容でございます。
 ほかに御質問等ございませんでしょうか。はい,どうぞ,大本先生。

【大本委員】  
 大本です。
 このワーキングでは検討の対象が学生支援・留学生支援ですが,JASSOだけがこれらの事業をやっているわけではありません。支援を受ける側(がわ)の学生や留学生からの要望や,あるいはその現状からすると,様々な支援が必要となっています。この後の自由討論では,これまで御説明いただいた内容について,こういう要望があり,こういう対応を国としてもしてほしい,あるいは関係機関で考えてほしいということを,論議させていただいてよろしいのでしょうか。
 具体的には,一番初めに御説明いただいたように,もともとJASSOが平成16年に設立した際は,以前からありました日本育英会や留学生関係の公益法人が分かれて,日本国際教育支援協会とこのJASSOというような形になりました。ある意味JASSOと役割を分けて日本国際教育支援協会も留学生のこと,それから学生支援のことを今でもやられているわけなので,JASSOの今後の在り方を考える場合には,当然この日本国際教育支援協会もかかわってくると思います。そういったことについてもこのワーキングの検討対象ではないですが,意見として出させていただいてもかまわないと理解してよろしいのでしょうか。

【松尾課長】  
 ただ,一方で国際教育支援協会の方は,もう財団法人で公益財団法人に,独自の事業になっていますので,どの程度というのはございますけれども,全体の在り方として御議論いただくのは,それは私どもとしても有り難いと思います。
 ただ一方で,では国際教育支援協会,これをやれとかいうのはなかなか言えないので,それはここだけではなくて,もっと外的な要因がどう変わって,どういうのが民間にあるから,ここはもう事業として要らないとか,そういったものはよく議論いただいて,在り方を検討していただければ有り難いと思います。

【谷口主査】  
 ほかにございますか。はい,どうぞ,高橋委員。

【高橋委員】  
 高橋と申します。少し理解が薄いので質問させていただく点もあるのですけれども,そもそも留学生の受入れに311億円で,一方日本人の海外留学の派遣に31億円で,かなり開きがあるというふうに思っているので,なぜそんなに開きがあるのかだとか,資源配分が異なるのかという背景みたいなものを御教授いただければと思います。

【松尾課長】  
 若干正確でなかったところもあるかもしれませんけれども,まず海外の留学生の受入れ,それから派遣がございます。これで340でございますが,実は日本人の学生につきましては日本人の学生の海外派遣,これはやはり圧倒的に手薄であると我々は思っております。予算で言うと1対10くらいなのです。そこは派遣についてはもっと強化をしなければいけない。それで実は今年の予算でも短期の派遣については760人から2,280人ということで3倍増にして強化をしているところなのです。
 ただ一方で日本人の学生は,多分どこの国も自分の国の人を派遣するということとともに,先進国は受入れのお金とかは多分強化をしていく感じではないかと思います。それと,日本人の学生の支援については奨学金を含めると,もう少し規模が違ってきますので。圧倒的に高橋委員が言われたように少ないというのは,先生からも御指摘を受けて,これはグローバル人材の育成のために強化をしていく方向であることは間違いないと思います。

【高橋委員】  
 一応国のお金を使うということで,かなり限られた資源の中で効果と効率の両方とも上げなければならないと思うのですけれども,その海外の学生に対してお金を支給する際に,どういうふうに戦略的に資源を提供するのか。それは国という観点なのか,先方の経済的な資金力なのか,その辺を教えていただけますか。

【松尾課長】  
 これはJASSOの行っている事業というよりは,むしろ先ほど言った340億円のうちの大部分は国費の留学生です。これはJASSOのお金での事業というよりは,資料で言いますと12ページを見ていただければと思いますが,12ページの中で国費留学制度と私費外国人留学生の学習奨励費と交流があるのですが,国費の予算が多分190億円くらいですので,これが大部分なのです。ここをどう戦略を持たせるかなのですが,ここについては大きく2種類推薦の仕方があって,大使館推薦,要するに外務省が外交的な観点から国を選んで指定して呼ぶということ,それと大学推薦,これは大学の戦略に基づいて行うというもの,この2種類があります。大体今半分半分なのですけれども,大使館からの推薦というのは,外交的な観点から地域を選んで,例えば資源ということであれば,そういった外交的な配慮をもって地域に数を割り当てて行うというようなことです。
 したがって,今,留学生は14万人いますけれども,約6割以上は中国の方なのですが,そこよりも地域バランスを選んで,例えばアフリカであるとか,そういったところに大使館推薦は少し重点化をするとか,そういった地域バランスも考えながらやっていくというのが,現状でございます。
 あと大学からの推薦というのは,大学の国際化のための戦略を大学がそれぞれ持っています。それを我々は後押しをしていくと。それをいかに今度はマッチングをさせていくかというのが,今回のいろいろな改革の見直しの方向だと思っていただければ有り難いです。

【谷口主査】  
 ほかに御質問はございますか。学生生活支援事業についても御質問がございましたら,頂きたいと思います。はい,どうぞ。石原委員,お願いします。

【石原委員】  
 わかっていればでいいのですけれども,この国費と私費と大きく分けて支援があるのですけれども,これはやはりグローバルスタンダードから言ったら,非常にスタンダードなのかどうかと,そういうことです。つまり,実は3月に外務省の国際ワークショップで留学生の問題を取り上げて,そのとき,オーストラリアから専門家が来て話をしたのです。私はちょっと正確には覚えていないのだけれども,あそこはかなりもう1つのビジネスとして留学生受入れをきちんとやっていて,恐らく日本よりも随分何倍か留学生も多いし,そのことにより外貨が相当獲得もできているという路線になっているわけです。英語圏と日本語圏は大分違うし,もちろん日本型の受入れがあってもいいと思うのですけれども,そういう1つの発想が全然違う留学生の受入れがあって,それはそれでそこそこうまくいっているかなと,外から見るとそう思えるし,それに対して日本のやり方が,余り固定観念を持ってそこだけ突っ走っていいものかどうかという,私は余り細かいことはわからないのですけれども,今の話を聞いて,前回のワークショップの話を聞いて,ちょっと聞きたいと思って。

【松尾課長】  
 まず,スタンダードかどうかというと,金額とシステムとあると思うのですけれども,金額について言うと,恐らく一人一人の金額についてははっきり言って千差万別です。あと,どれくらいの規模の人数,要するに14万人のうち,今日本は国費については6.3%くらいです。これはある意味OECD各国の留学生の出しているお金・人数から比べると若干多いくらいなのです。あとはその単価について言うと,これは各国千差万別で,しかも各国も各制度によって千差万別で,めちゃくちゃ高いところもあります。そういったのは日本で言えば国費の中でもYLPといって,若干それなりのリーダーを養成する経費であって,あとはこの中間層の国費については,これは多分ノーマルだと思います。あと少ない部分があると,そんな感じでやっていっています。
 ただ,日本の場合もこれだけが留学生のお金ではなくて,恐らくいろいろな分野での受入れもやっていますから,それを入れるといろいろなものがあるという意味では各国と大差はないのかもしれませんけれども,若干,人数から言えば,純粋に言えば少し上になっているかもしれません。ただ単価はまた別です。すぐにドラスティックに変えられるかというと,これでもって日本を希望する留学生というのがもう何年か前から登録をしますから,ここはもう既にそれで学生はもう動いているというのが現状です。

【谷口主査】  
 ほかにございますでしょうか。はい,川島委員。

【川島委員】  
 川島と申します。質問というよりは要望なのですけれども,このワーキングに与えられている課題というのが,行政刷新会議の方から言われたJASSOの機能を整理した上で統合のうんぬんというところで,特にその機能の整理というところがこのワーキングの課題になるというふうに思うのですけれども,それを考えていく上で,高等教育政策全体の情報というものが,ワーキングで余り与えられていないというところがすごく気になります。
 例えば,奨学金問題はこのワーキングの課題ではないにせよ,例えば今,高等教育政策の方では学生の学習時間ということが言われていて,そのことと奨学金の問題というのは当然切り離せないし,先ほどグローバル人材の問題というのも出ましたので,機能を整理するという観点から考えるときに高等教育政策の基本的な問題と,それに関連するそれぞれのイシューというものをその都度アナウンスしていただかないと,やはり議論がそもそも進まないというふうに思うので,その点を今後よろしくお願いしたいというふうに思います。
 以上です。

【谷口主査】  
 非常に重要な観点だと思います。ほかに御質問はございませんでしょうか。
 それでは,自由討論に入っていきたいと思いますが,この資料4の19ページ,これが留学生支援事業にかかわる論点ということでございますし,それから学生生活支援事業については一番後の28ページというところを中心に議論を,自由な御意見を頂きたいと思っています。
 留学生支援事業にかかわるこの大きな3点ですか。受入れ段階の一元的な窓口機能の強化という問題。それから2点目は,滞在中の受入れ環境の整備という中で,先ほど国際交流会館の在り方というのがございましたし,それから学生交流の活性化とか,日本語教育の実施体制,それから3点目が卒業・修了後,帰国後のフォローということでございますが,どこからでも結構でございますので,自由に御発言をいただければと思います。いかがでございましょうか。
 何か余り発言がないので,このまま終わってしまうかもしれません。少し私の方から御発言させていただきたいと思います。
 12ページを見ていただければ,留学生受入れのための奨学金制度ということで,現在はJASSOの方で私費外国人留学生学習奨励費と留学生交流支援事業ということでやっていただいているのですが,それから国費外国人留学生制度というのは文部科学省の方でということでございます。私も国費外国人留学生制度については長年携わってきましたが,事務局等々を見ていますと,一律の事務処理的なところが大変多いような気がしまして,委員会でも余り政策的な議論ができていないというようなことも感じていましたので,少しその,どういう部分がこの要するに一元化できる部分,具体的に申しますと事務的に処理ができる部分。国費の留学生制度の中で,例えばどういう部分が事務的に処理ができてJASSOにお任せしていい部分なのかどうか。あるいはJASSOだけで,もう少し民間団体にも例えばこれは回せるのではないかというようなことの仕分けが何か必要ではないかなと考えています。
 これは国費の担当事務の方でいかがお考えでしょうか。若しくはJASSOの方でそういうことにいろいろ御意見がございましたら,お話しいただければと。よろしくお願いします。

【水畑課長補佐】  
 谷口主査からも御指摘いただきましたように,国費留学生制度は非常に大事でありつつも,もともとは昭和29年に非常に小さいところから始まりましたので,国が直接事務を実施してまいりましたけれども,そういう大事でありつつも,実施事務等は非常に膨大になってきておりまして,なかなか国だけでは抱え切れない時代になってきておりますので,そのJASSOに担っていただくべき部分,それは今まで私費学習奨励費ですとか,留学生交流支援制度といいます交換留学を支援する奨学金の実施事務もしてきていただいておりますので,そういう意味でそのノウハウを活用して一体的に効率的にやっていただける部分もあるかと思いますし,また主査がおっしゃいましたとおり,もしかするとほかの民間団体にお任せさせていただくべき部分もあるかもしれませんので,それはこの委員会で御議論いただければと思っております。

【谷口主査】  
 JASSOの方で何かこの点に関して御発言はございますか。

【鈴木留学生事業部長】  
 学習奨励費の方でございますけれども,日本に来る前に予約ができるという制度は実施しておりますけれども,日本の大学に在籍している方の場合には,基本的には在籍人数に基づいた数の配分というような形をしておりますので,いわゆる国費留学生で非常に重要なところの選考の部分,それから大学の配置の部分ということは,私どもではやっておりません。給与の支給,毎月の給与の支給ということで一部かかわらせていただいております。
 学習奨励費は,先ほども申し上げましたように大学に配分するという形ですので,システム上で申請書を登録して,資格で満たない方がおられない場合には,それが送金のデータにつながるというようなことで,かなり合理化はしております。数の点では1万人強ですので,簡単な事務作業の部分ということでは共通することがあるかと思いますが,一番重要な募集・選考,それから大学配置というような国費留学生の入り口のところで重要な部分については,今のところJASSOとしてはノウハウを持っていないという状況でございます。

【谷口主査】  
 ほかにございますでしょうか。はい。

【髙塩理事長代理】  
 具体的な話は別にして,もう1点,文部科学省がやっている国費留学生の事務の一部についても移管するにしろ,私どもJASSOは親委員会でもお話ししましたように発足時から人員で2割,運営費交付金で3割以上減らされていると。人員は極めてもうかつかつの中で,今,増える奨学金事業及び留学生事業をやっておりますので,移管する場合にはそれなりの人的な資源と予算が伴わなければ物理的に難しいということだけは御確認の上,御議論を進めていただければと思っております。

【谷口主査】  
 今の御発言をお受けすると,場合によってはJASSOでこれはもうちょっと民間にできるのではないかというような部分もあれば,そこを出して,またこの文部科学省の事務を引き受けていただくというしか手がないのではないかと。
 もう少し事務の効率化とか,何かうまい方法や知恵を出してやるということが必要ではないかと思います。現状の維持では,それは多分どこも,大学も人がないし,どこもないということですから,ないものねだりにはならないようにしたいと思っています。

【西澤委員】  
 よろしいでしょうか。

【谷口主査】  
 どうぞ。

【西澤委員】  
 主査のおっしゃるその本省の学生・留学生課の,特に留学生担当のところは国費留学生の事務で追われているという,その事務の追われている中身というのは結局プレースメントのところの問題なのではないですか。そうでもないのですか。奨学金の支給は,今はもう既にJASSOにお願いしているということであるとすると,実際にだれを採用し,かつそれをどこの大学に配置するかという,特に大使館推薦で推薦されてきた学生の大学への受け入れのつなぎの事務が非常にやはり煩雑だし,必ずしも留学希望者と受け入れようとする大学とのマッチングがスムーズに行かないというようなことに起因しているような印象を,私自身は持っているのですけれども,どんな感じで。

【谷口主査】  
 松尾課長。

【松尾課長】  
 そこは我々もよく精査をしています。多分資料をもらうところから,いろいろ事務が発生していますので,よく我々も一個一個見ていってみないとわからないところがありますので,そこはよく精査をして。
 その我々のやっている事務についても,相当ぐっと圧縮できる部分もあると思うので,その上でいろいろ考えるということなのではないかなというふうに思っています。余りミクロに入ってしまうと,あれですけれども。

【谷口主査】  
 いずれそういう,ある程度大枠な精査をしていただいた上で,これはやはりJASSOでできるのではないかとか,あるいはこれは別のところでできるのではないかという提案をしていただいた上で,最終的にここでどうするかということを決めていただければと思っています。
 ほかに先生方。私ばかり話をしていると時間があれなのですけれども。はい,どうぞ。

【大本委員】  
 留学生の関係で,この論点の中に入っていないのですが,日本人学生の海外留学の推進について,16ページにも人数・予算も増やしてきているという御報告があります。そのほかに比べますとここは非常に社会的な関心も高いので予算措置もされていると思います。一方での日本人の学生が留学への関心や留学することで本人の将来社会的な貢献,あるいは就職に有利かどうかなどを含めると,なかなかそうでもないというところがあり,予算措置を取り,各大学でも推進をしていますが,なかなか進んでいないようです。
 留学についての,情報提供等もされていると思いますが,更に今後進める上での方策について今お考えになっていたり,効果が出ているということがあればお聞きしたいというのが1つと,それからもう1つは,留学生の受入れについてです。国内での留学生との交流,双方向交流とここに出ておりますが,なかなかそれが進んでいない,いわゆる大学・学生の国際化という点から,入試制度を変えようとか,入学時期を秋にしようといった話も,こうした背景から出ていると思います。大学がそのような措置をとったとしても,その受皿になる奨学金や日本人が海外に行くということの動機づけ,あるいはそのことをもっと推進するところがないと,社会の要請との関係では不公平になってしまうと思います。この点について今までの御論議ですとか,実際にやられていることがあれば,教えていただきたいと思います。

【松尾課長】  
 まず,日本人学生の海外派遣なのですけれども,これはいろいろな要因があって,余り正確なデータではないのですが,多分言われているのは経済的な問題と,やはり語学力と,体制の問題と,それから今大本委員の言われたように就職です。経済的な問題とか,体制というのは,今いろいろとやろうとしていますけれども,あとは社会とのかかわりで就職ですかね。就職の時期がちょうど3年生になって大学に入って1年,2年で,2年から3年になって留学しようとしたときに,それがキャリアとして就職の時期と重なるとか,経済界の方でそれをちゃんとプラスに見てくれないとか,いろいろあって,なかなか促進されていないという部分はあろうかと思います。
 一方で,今回,したがって今企業との間でのグローバル人材育成の円卓会議というものを開いておりまして,そこでいろいろなメッセージを出すと。それで企業と大学の約束ということで近々出すというようなこともございます。
 そしてまた,経団連の倫理憲章の中にもそれをうたって,きちんと留学をプラスに見るというようなことをしてほしいというのをメッセージとして出しているというのはあるのですけれども,これを人口に膾炙(かいしゃ)できるような形でもっとPRをして,企業の方できちんとそれを評価してもらうということをこれからやっていかないといけないのだと思います。
 あともう1つ,これはまだ全然あれですけれども,例えばインターンシップとうまく組み合わせた派遣をするとか,そういったこともこれからやっていかないといけないかもしれません。したがって,経済的なものといろいろなシステムとを組み合わせるような形にしていくというのは,重要だと思います。
 あともう1点,受入れについても,ただ単に派遣・受入れについて大学が頑張っても社会のあれがというのは,これは全くおっしゃるとおりでありまして,日本全体がグローバル化していかないと,多分一部だけグローバル化しても,やはりそこはガラパゴス状況になってしまいますから,そういうことだと思います。したがって,今も政府全体でグローバル人材ということをうたい,企業でもということなのだと思います。それで地域の中でも今地域交流会議とか,いろいろやってもらって,そこに我々も出たりしておりますけれども,それも国民運動みたいな感じでムーブメントを起こさなければいけないというのはあろうかと思います。
 それで,今回も私どもは微々たる予算といいますか,若干の予算ではございますけれどもまちづくりというか,留学生とのまちづくりのための事業を24年度に新規でとらせていただいて,そういったものを少しずつ根づかせていくような形にしたいと思っております。ただ,予算だけではなくて意識の変革が必要ですので,これは国だけではなくて地域とか,皆様方に発信していただいて,やはり受けると,外国の方と異文化を受けるというようなことをやって,活動していかないと,これは引き続きやっていかなければいけないというふうに思っております。

【水畑課長補佐】  
 すみません。よろしいでしょうか。

【谷口主査】  
 どうぞ。

【水畑課長補佐】  
 1点だけ補足させていただきます。
 今課長がまさに申しましたように,今,経済界と大学の方で留学された方,若しくは留学してこられる留学生の方への就職ですとか,それを社会がどう評価するということは議論していただいていますし,文科省も側面的にそのお手伝いをさせていただいて,いろいろと議論しておりますが,この19ページの論点の例にも1つ掲げさせていただきましたが,この一番冒頭に一元的な窓口機能の強化という論点を挙げさせていただいておりますけれども,これまで大学間交流と申しましょうか,留学生交流は1つの大学と1つの大学の関係で各大学が頑張ってこられたわけでございますけれども,やはりなかなか限界があると申しましょうか,ある大学が外国の大学と留学交流したいときに,では,どこをとっかかりにすればいいのかとか,どの辺を目指せばいいのかとかいうところがなかなか見つけづらいというところがあるかと思います。
 私どもが海外に留学生関係の会議に行ったときに,ある外国の大学から「日本の大学と交流したいのだけれども,どことすればいいだろうか,どこに話をすればいいだろうか」というようなことをよくお問合せを伺います。私どももできる限りでお手伝いしているのですが,国で一つ一つ大学同士をつなげるのはなかなか難しいと思いますので,これからはやはり大学のグループとグループ,若しくはマスとマスとのおつき合いというのも深めていかなければいけないというところで,そういうナショナルセンター機能と申しましょうか,外国の大学のかたまり,若しくは団体とか,地域の大学のかたまりが日本と交流されたいという場合には,どこか1つ窓口的にお受けをして,日本の大学のグループとつなぐというような機能も,これからは必要になってきているのかなということも含めまして,この一元的な窓口機能の強化という論点を挙げさせていただいております。

【谷口主査】  
 ほかに。秋山委員,お願いします。

【秋山委員】  
 今のお話の関連で,大学の,私は事務の方で留学生含めて国際交流を預かっている立場として発言させていただければ,私は現職が筑波大学で,それまでは九州大学で同じような国際部長の職にありましたので,両方とも留学生の受入れに関しては日本でもかなりトップの方の大学ですので,それなりに実績はあるのですが,事務の方の立場から言えば,やはり両大学とも留学生交流に携わる事務の体制は非常に薄いのです。人が少ないのと,あと,やはりノウハウが限られているということ,それからあと,大学全体の中で見たときに,やはり特定の人だけがそういう留学生交流の事業にかかわっている状況にあって,今,大学全体で国際化を進めなければいけないときに,なかなかそういうニーズにこたえられないというジレンマがあります。
 今,筑波大学では国際性の日常化ということで,これは教員,学生,それから事務も含めてすべての大学構成員が要するに国際化に対応できるようにしようということでやっていますけれども,これは一定年齢以上の職員になると,なかなかそれも難しいというのが状況です。
 そういった中で,やはり留学生のことをやっていく上で,JASSOの方で今までいろいろやってこられた事業というのは,非常に大学にとって助けになる部分というのは大きいと思うのです。これは前任の九州大学の話になりますけれども,JASSOの方に大学の国際交流の諮問委員会みたいな形で加わっていただいたり,あるいはスタッフデベロップメントみたいなところでお話しいただいたりして,そのように特定の大学の中にいただけではわからないようなノウハウを頂戴したりしていましたので,そういう意味では非常に大学の,特に事務の側(がわ)からすれば有り難い存在だとは思っているのですが,ただ,なかなかそういう活用の仕方をしている大学がまだ少ないのではないかなという印象はあります。
 それから,今の話とまた違うところになるかもしれませんけれども,JASSOの方でやっているような,今みたいな留学に関する情報の提供,それからあと,宿舎・奨学金の話が今回の話題になるようですが,いずれもかなり事業仕分けの関係で厳しい評価で,見直し,あるいは廃止というようなものは,大学の立場からすれば非常に残念な方向かなとは思っています。留学情報センターの廃止も,決まってしまった話なのですけれども,もう少し大学と連携すれば,もう少しうまい形で見せられたのかなというところもありますし,それから宿舎に関しても,ある意味からすると留学生に対しても宿舎なんか特定の人の利益にしかならないから,廃止した方がいいのではないかという議論がかなり目立っていますけれども,今日頂いた資料の中でも事業仕分けのワーキングの評価メンバーの意見などを見ていますと,留学生が宿舎に関して直面している問題というのは結構ちゃんと出ているのです。要するに留学生が,例えば民間の宿舎を借りるときに,保証人の問題でまず引っかかりますし,その難しさというのが非常に指摘はされているのですが,何か宿舎もJASSOがやるような宿舎は要らないのではないかという結論だけが先に出て,その留学生が宿舎を借りるときのいろいろな面での難しさの話がなおざりにされているところ,そこは非常に残念に思います。これはセットで解決してもらわないと,ただ単に宿舎を廃止すればいいという話では,民間に任せればいいという話ではないと思います。
 あと奨学金にしても,留学生の募集など,今は私のいる大学でもグローバル30の一員で採択されていますから,かなり海外でやっていますけれども,これは奨学金の話を同時に持って行かないと,日本へ学生は来ませんね。最初に質問があるのが,やはり奨学金です。しかも,日本へ行くときにはもう既にその奨学金というのがもらえるという状況にしてほしい,いわゆる予約型の奨学金のニーズが非常に多いです。これについては民間の奨学金も幾つか予約型に踏み出してくれているところはありますけれども,圧倒的にやはり来てからというのが多いですので,そういった意味でも,なかなか民間の方で踏み出してくれないような仕組みのところに手当てしてもらえるような形で,是非宿舎にせよ,奨学金にせよ,継続していただきたいというのが,私の事務の立場からの意見でございます。

【谷口主査】  
 ありがとうございました。事業仕分けについては,私どもも大変困っていることで,あれなのですけれども,ここでそれをお話しする場ではないようですので,ほかに御意見がございましたら,はい,どうぞ,高橋委員。

【高橋委員】  
 海外から学生を連れてくるという観点になるのですけれども,大きく海外の見せ方というのと,日本の教育のコンテンツの問題が大きく2つあるかなというふうに思っておりまして,この資料5においては比較的海外の見せ方というよりも教育の内容,例えば授業もほとんど日本語を使っているだとか,交流が少ないだとか,そういった問題提起がなされていて,比較的いわゆるJASSOが絡むというよりも文部科学省と大学でいかに大学の機能を充実させていくかという論点が主に列挙されているとなると,少しJASSOとは異なるかなというふうに思ったので,少し「外にどうやって日本の大学をよく見せていく」だとか,「日本をよく見せていくか」というよりも,そもそもコンテンツの方に,今の留学生が来づらいだとか,優秀な人材が集まりづらいという方があるのではないかなと1つ思いました。
 その上で,見せ方に関する御質問なのですけれども,かなり日本や日本留学のPRということで様々な者による取り組みというふうに書かれているのですけれども,私も海外に様々な面で行くことがあります。ひとえに観光庁がプロモーションをされていたりとか,国際交流基金がいろいろな海外の国に支部を持つ日本の文化だとか,言語に関する発信をしていたりとか,文部科学省とか,各大学とか,それに加えてJASSOもやっているということで,かなり非効率な面があるだとか,もっと一元化をいい意味でできるのではないかと思っているので,その辺で何かお考えなどをお持ちでしょうか。

【松尾課長】  
 まずは1点目のコンテンツの話について,耳の痛いところではありますけれども,今,大学改革を含めて,とにかく大学がグローバル化するということでいろいろなプログラムを打っています。したがってコンテンツを磨くというのはどこの大学も必死で多分やっていると思いますので,ここはそういう状況ではあります。
 あと,その上で見せ方なのですけれども,確かに今委員の言われたようにいろいろなところでやっているというのは確かです。例えば国際交流基金,大使館,それから大学でもG30の大学が今8つ海外にG30絡みでつくって,1つの国にいろいろな大学が行ってPRしています。多分大学は学生をとるという観点から独自でオフィスを出してやっていますので,これはもう,自分たちの特徴を持ってやってもらえれば,それはもうどこの大学も日本国で統一してやる必要は全くなくて,その大学の独自性でやってもらえればいいと思います。
 では,国としてやるPRについてはしっかりとその一元化を,例えば観光庁のコンテンツ,文科省のコンテンツが,いろいろもしあれば,それは一元化すべきだと思います。そういう意味で,これは受入れも派遣もそうなのですけれども,今,3省庁,外務省,観光庁,それから文科省の政務官が集まる場がありまして,そこで留学生の受入れと,派遣も含めてなのですけれども,それをどうやっていくかというようなことでうまく連携をしていくと。コンテンツを全部一緒にするというのは,なかなかもうあれかもしれないですけれども,どう連携をさせていって統一的なPRをしていくかとか,そういったことは今,動き始めております。
 先ほど言いましたように,大学が独自でやる獲得競争については大学が生き残りをかけて留学生をとりに行くので,これは統一化するのはむしろそうすべきではないというふうには個人的には思う次第です。

【高橋委員】  
 加えてよろしいですか。

【谷口主査】  
 はい,どうぞ。

【高橋委員】  
 今,省庁などでなさっているということだったのですけれども,例えば民間だとか,学生をいかに効率的に活用していくかという観点もすごく大事かなというふうに思っていまして,いろいろな本当に学生の集まりだとか,民間の集まりで,かなり海外の日本に興味がある学生と密に交流するという,かなり行っていると思うのですけれども,そういったところも巻き込んで行うというのは,より効率を高めるために1つ重要なのかなというふうには感じました。

【松尾課長】  
 それは本当に参考にさせていただきます。国だけでやる必要は全くなくて,うまく連携してやるべきだと思います。

【谷口主査】  
 この点で,JASSOは何かご発言はございますか。今の高橋委員のお話で。

【鈴木留学生事業部長】  
 広報といいますか,留学情報の発信については,特にJASSOだけでということではなくて,例えば先ほど一元的な窓口の中で大学のお見合い機能の中で何か果たせるかというようなお話もございましたけれども,これについてはアメリカとヨーロッパの国際会議の場に,日本の大学のグループとして出展して,そこに世界各国の大学関係者がまいりますので,大学間のお話をしていただくということもしております。G30の主催の説明会も含め,JASSOのウェブサイトに載っているものや印刷物なども提供しております。また,Visit Japan Promotionの関係の観光博覧会にも,やはり若い方で日本に興味のある方がたくさんおられますので,そういったところにもブースを出すということで,いろいろなところに顔を出して日本の留学をアピールしているという状況でございます。

【谷口主査】  
 ほかにございますでしょうか。はい,芳賀委員。

【芳賀委員】  
 質問になるのですけれども,この3つの制度の中で,どれも日本語をきちんとできないと日本に連れて来られないものなのでしょうか。英語しかできないとかいう人を,この中で結構な数連れて来られるというシステムというのは存在するのかということを聞きたいです。

【松尾課長】  
 この3つというのは12ページのことでしょうか。

【芳賀委員】  
 はい。12ページです。

【松尾課長】  
 これは今はもう大学がどういう学生を受け入れるかでもって決めていますので,大学が例えば英語のプログラムのみでオーケーということであれば,基本的には大丈夫でございます。

【谷口主査】  
 国費の留学生の枠の中で,特別な配置のプログラムがあるのですが,それはほとんど英語でやられているというケースもありますし,大学そのものが英語で授業をしておられるという,例えば秋田の教養大学であるとか,別府にある立命館アジア太平洋大学とか,そういう大学もできておりますので。
 それからG30のプログラムに入っている大学については,学部段階でも英語でやるという,そういう英語で直接受け入れるというプログラムは,今現在たくさん進んでおりますし,今後も増えてくるとは思っています。
 ほかにございますでしょうか。はい,どうぞ,石原委員。

【石原委員】  
 親委員会のときにも触れたのですけれども,最近留学生が減っているという話ですね。日本語教育振興協会かな,これのデータだと,2010年から2011年にかけて1万人くらい減っていると。

【松尾課長】  
 それは日本語教育機関。

【石原委員】  
 日本語教育機関,早い話が日本語学校ですね。
 それが2011年から12年も,恐らくまだ数字は出ていないけれども,それに近いくらい減っている可能性があると。さらに,日本語学校はもう既に7月期生,10月期生の募集に動いていると,それでまた減るというような話を一応聞いているのですけれども,そうなってくると,もう大変なかなりの数が,4万3,000人あったのが2万人台になる可能性があって,それが今度は大学の方にまた響いてくるということですね。
 正確な数字はまだわかりませんけれども,そういう流れの中で,それを食いとめるにはどうしたらいいかという大きな構えがどこかにないと困るかなと。それは何よりも日本留学の魅力をきちんと具体的に発信して,それから発信するだけではなくて,それをどういうふうに活用して募集に結びつけるかという,そういう問題だと思うのです。
 私は余り現場のことはわからないのですけれども,例えば留学生フェアなどでもいろいろ頑張ってやっていると言うのですが,例えばアメリカの大学などでは非常に人事権と言うのですか,権威のある人が来て,サービスを提供したら,その場でもう決めてしまっていると。今,奨学金の話でもありましたけれども,「君だったら,もう,大丈夫だよ」というところまで言ってしまって,「それじゃあ,そっちへ行きましょうか」と。日本の場合はそうではなくて「ちょっと待ってください」と。「国に帰って学校に聞いて,会議を開いて,決めてからまたお話しします」と,これではとても勝てないのだという話を聞いたことがありまして,そういう状況においては幾ら何をやっても駄目なのです。「やっています」では。どうやっていて,どういうふうに成果があるということをきっちり検証して,そういうものを出してもらわないと。
 だから,JASSOは多分そういうことの一番の見本になってほしいというか,そこがやればほかの大学もやるし,日本語学校が減れば困ってしまうから,多分大学は頑張りますよね。自分のところがつぶれてしまうから,とにかく頑張ってやるだろうし,それをやらなければ困ってしまうから,ただ,できるところとできないところが必ずあって,筑波大学とか,ある程度のところはできるかもしれないけれども,留学生の数が小さいところはそこだけ資本投下もできないだろうから,それでお手上げの状態に,恐らく2年後くらいには大変な状況になるのではないかというふうに思います。悲観的な予測ですが。
 ただ,それはなぜそうなるかという原因をまずきっちりつかまえないことには対策の打ちようがないと。例えばはっきりしているのは韓国で,韓国はもう数年前の3分の1になってしまったというのがありますから,この3分の1をもとに戻すというのができるのか,できないのか。できなければほかからとるのかとか,そういう戦略的に留学生の受入れをどこかコントロールタワーをある程度決めて,そこの中できちんとした戦略に結びつく戦術をちゃんと持って,それを横の連携をしながら,松尾課長がおっしゃったように観光庁から外務省から,みんなそこにのっとった動きをしていく,これしかないかなと思います。その中で,JASSOの改革というのは,これがはっきりきちんとできなければ,そんなことができるわけがないのであって,そういう意味で非常により突っ込んだ,きちんと戦略をまずJASSOに持ってもらいたいというか,そう思います。

【谷口主査】  
 ありがとうございました。
 JASSOの方から何かこの点で。明解な戦略はあると言われて。

【髙塩理事長代理】  
 留学生が減った原因はやはり福島原発が最大の問題でございまして,そういった根本的な国の基本に関する問題がありますので,私どもにその戦略と言われても,にわかにはなかなか難しいと思っております。

【石原委員】  
 これは違うのであって,必ずしも原発で減ったわけではなくて,原発前から減っているのです。原発があったから韓国が3分の1になるわけはなくて,その影響は間違いなくあるのですよ。だけれども,もっと根本的な問題というのは別のところにあると,私はそう思います。簡単に言って,それでもう済んでしまって,じゃあ,原発のリスクを完全に取り除くまでは何もできないという話になるだろうし。

【髙塩理事長代理】  
 総数が減ったということですけれども,それはもう先ほどお話が出ているように,日本の大学への魅力とか,日本経済とか,日本国に対する外国の魅力が落ちているというのが背景,一番の大もとにあるということは間違いないというふうに私どもは思っておりますけれども。

【高橋委員】  
 よろしいですか。

【谷口主査】  
 高橋委員,どうぞ。

【高橋委員】  
 こういうことを言っても仕方ないかもしれないのですけれども,多分かなりJASSOというのは海外留学生の受入れだとか,一方で日本の学生を海外へ送り出すという点でかなり資金だとか,知名度とかもあるというふうに思っておりますので,その辺はしっかりと国策にかかわる体制だとか,姿勢というのはしっかり持っていただきたいというのが,1学生でもあり,委員として思うことであります。
 少しJASSOにもそういった観点でいろいろ取り組めることがあるかなというふうに考えてみた際に,まずこちらの論点でも挙がっているのですが,実際に海外から日本に学生が来てくださって,かなり交流が少ないというのは歴然たる事実かなというふうに思っておりまして,私の所属する慶應大学でもほとんど交流する機会がないだとか,海外の留学生が本当に孤立しているという状態で,機会があったとしても,ほとんど学生が知らないという状態は明らかに問題であって,ただ本当に来てもらって勉強してもらったり,一般の生活をして魅力を感じてもらうというだけだと,明らかに効率も効果も悪いかなというふうに思っております。
 その際に,具体的に今後文部科学省だとか,JASSOの方で,どうやってその効果を最大限にするために,日本の学生と海外から来た学生を交流させようかという現段階でのアイデアだとか,解決策みたいなものをお持ちでしょうか。

【谷口主査】  
 文部科学省の方から,どうぞ。

【水畑課長補佐】  
 まさに今,高橋委員がおっしゃったことは非常に重要な課題で,14万人も海外から留学生が来ていただいているのですけれども,大分頑張っている大学もありますが,大学によっては留学生は1年来て違うプログラムに入って,日本人の顔も余り知らないまま帰ってしまうということは確かにあるようです。
 そういう意味では,私どもが今注目しておりますのは,箱をつくるという意味ではなくて拠点……。どこか場がないとやはり人というのは交流しづらいので,そういう何らかの場を設けて,それこそ学生だけではなくて若手の社会人の方なども一緒に交流をしていくと。もちろん理想的には同じ授業を,例えば英語なら英語,日本語なら日本語で学内で受けるというのが望ましいですし,G30の大学を中心に英語で,日本人学生と外国人学生が一緒に学ぶという環境も徐々につくられてきてはいるのですけれども,他方,キャンパスの外,若しくは土・日,夜の交流というのも多分大事だと思いますので,そういう意味で1つあり得るのは,JASSOも今は仕分けで廃止されようとしていますが,JASSO以外でも大学でいろいろ学生寮がありまして,今は共に住んで,交流をしていくというのが各大学で活動が広まってきております。そういうものも,そういう留学生寮というか,学生寮みたいなものも活用して,若手の外国人の学生や日本人の社会人・学生が交流を深めるというような機能を高めていくお手伝いも文部科学省,JASSOもしていけないかということは,今考えております。

【齋藤委員】  
 いいですか。

【谷口主査】  
 はい,どうぞ,齋藤委員。

【齋藤委員】  
 高橋委員のおっしゃることは,本当によくわかります。私は東京工業大学ですが,留学生が10%以上,1,000人を大きく超す人数いるのだけれども,本当に日本人学生の9,000人と交わる機会が少ないですね。また留学生会ごとに特定の国だけで固まったりする傾向もあるので,何とかもうシャッフルして「お前ら,同じ大学にいるのだから仲よくせい」と言うのですが,なかなかそうなってくれないですね。
 そういう意味では,大学の教職員が働きかける必要があって,学生支援GP事業で頂いたもので,例えば一緒になってスポーツ大会をやろうとか,何かイベントをやろうとか,少しおせっかいでもそういう企画を大学でいっぱいつくろうと,あちらこちらで動き始めてはいるかと思うのです。
 それと,各留学生会で,せっかくだから日本人学生と仲よくなりたいとか,ほかの国の学生と交流したいというふうにまとめ役になってくれる留学生の方がおられるから,そういう方と日本人学生を引き合わせて一緒のプログラムをつくったり,積極的に交流しようとしているのですが,ただ,まだまだ遠いですね。これはもう,是非日本人学生が変わらないと,駄目ですよね。

【高橋委員】  
 よろしいですか。
 2点ほどあって,国内学生に関して,本当にどんどん外に出ていく留学生も減っているという状態で,一方で国際化しなければいけないというところで,海外の学生と交わることでグローバル化だとか,海外への関心というものが高まるところと,あとはかなりここを見させていただくと,フォローのところで困っているということなのですが,それは1つの原因として,日本に来たときに日本人の学生だとか,直接人と人との交流が少ないから,明らかにその後のフォローだとか,関係性が薄いというところにつながっているのかなというふうに思いますので,クラスとか,寮とか,先ほど齋藤委員のおっしゃるようなこととか,自主的に少し本格的に取り組みをすぐ進めるべきだろうと思いますし,本当に私が所属する慶應大学でも海外の学生と日本人の学生が英語の授業を一緒に受けたりとか,例えば南山大学ですと,私のインド人の留学生は寮に住んで,本当に毎日とか,土曜日・日曜日に関しても外国籍の学生だけでなくて日本人の学生と交流を持っているので,そういったところを本当に推進していっていただければと思いますし,そうしたらより効果が出るのかなと思っております。

【谷口主査】  
 日本人学生と留学生の交流は様々なレベルでしないと,寮だけとか,そういうことではなくて,もう日本に来ておりますので生活そのものが一体化していかないと,なかなかそれは難しいと思いますから,これは,そういう意味で一元化を何かした形でJASSOも文科省も取り組んでいくということでしょうけれども,余り時間がなくなってきました。
 私の方からもう1つ提起をさせていただきたいと思うのですが,JASSOの取り組みの中で外国人学生・日本人学生の情報提供と,日本留学試験と,それから外国人留学生の日本語教育という3つが大きな柱としてあるのでしょうけれども,この日本語教育ということについて,私はいろいろなところで日本語教育……,日本語学校も先ほどお話があったように日本語教育をしていますし,交流基金等々も日本語教育をしています。それから文科省のレベルでは東外大,それから今は大阪大学になったのですが前の阪外大というところで日本語教育をしているといったときの,JASSOでの日本語教育の在り方といいますか,この点について何かJASSOの方で御発言いただけませんでしょうか。

【山田日本語教育センター長】  
 私どもは,先ほど松尾課長から御説明がありましたとおり,国費留学生と外国政府の派遣の留学生を中心に1年コース・1年半コースを東京・大阪で設けまして,教育をしているということでございます。
 その中では,特に最近は大学院への進学希望者に対するモデル教育でございますとか,あるいは最近は東南アジアとか,中東とか,そういった非漢字圏の学生,これは入られた時点では本当に日本語がたどたどしくて,あと理科などの基礎教科,そういったものがアラビアの学生などは非常に厳しい状態でございますので,そういった学生なども中心にして相当少人数できめ細やかに教育をしているというところでございます。

【谷口主査】  
 この日本語教育がJASSOで是非やらなければならない理由というのは,何かあるのでしょうか。

【山田日本語教育センター長】  
 先ほど申しましたとおり,国費留学生につきましては高専に入られる学生ですね,非漢字圏の学生が増えておりまして,それからあと外国政府派遣留学生につきましても,先ほど申しましたように非常に日本語の能力とか,あるいは基礎教科の能力など非常に厳しい学生を少人数できめ細かく受け入れて教育しているという中で,日本語の検定試験でございますとか,あるいは進学の関係とか,相当高い実績を上げているということでございます。
 民間の学校との比較というのは,なかなか難しいのでございますけれども,私どもの特長としましてはそういったきめ細かい教育ということと,あと丁寧な指導によって進学や日本語能力をつけるという点で成果を上げてきているということは言えると思います。

【谷口主査】  
 この議論を進めると,また少し時間がかかりますので,私からの発言と,そういうJASSOからのお答えがあったということで,残りの課題として,どうしても留学生ばかりに偏ってしまうのはよろしくないので,学生生活の支援事業というのが一番後のページをあけていただいて,この点について御議論を残りの時間でお願いしたいと思っています。
 議論を進めやすくするために,固有のニーズのある学生を対象とするという中で,障害とか,メンタルというのは,やはり国として支援をしていく必要があるのではないかという御意見はございましたが,ほかに例えばこの点について御発言をいただければ,まずそこから御発言をいただければと思います。よろしくお願いします。

【大本委員】  
 大本です。今,出されました学生支援の中の特に障害,それからメンタルについての相談が多くなっているということが,この23ページ,24ページのところにも出ています。しかし,予算の関係もあり研修事業を見てもかなり絞り込みをせざるを得ないというのが,実態かと思います。
 ただ,一方では,24ページにありますように多様な障害特性を持つ学生が増えているという点で,体と心ということでは,体の障害ももちろんありますが,病気かどうかわからない,本人自身がどうしていいかわからないという学生が私どもの独自の調査でもどんどん増えています。それがひいては大学に来なくなったり,ひきこもり,あるいは授業も受けない,そのまま退学してしまうといった数字も増えてきていると聞いています。
 これは各大学だけではなかなか解決できませんし,保護者の方も含めて非常に大きな問題です。さらに,大学を退学してしまった後,社会に出て,きちんと就職して働けるかというと,なかなかそうはならないようです。こうした問題にやはり何らかの対策を打っていかなくてはいけないと思いますが,それをJASSOだけでやるのは無理ですし,大学自身もそのことに非常に頭を抱えていて,特に齋藤先生は実際にやられているので実例を御存じかと思います。これらの問題に大学だけではなくて全国的な連携ですとか,事例の調査,あるいは解決策に向けた具体的な取り組みを,どこかがきちんとまとめていかない限りは,今後も解決に結びつかず更に悪くなってきてしまうと思います。
 各大学に学生相談センターがありますが,そこに行ける学生はまだ解決の糸口が見えている学生で,むしろそこに行けない学生の方が圧倒的に多くいます。私どもも電話で24時間健康相談,心の病も含めて相談を行っていますが,その数が急増しています。相談時間を24時間にしたところ,夜中の相談が,しかも心の病の相談がどんどん増えています。こうしたことへの手だてを,これはJASSOだけではなく,文科省含めて打つ必要があると思いますが,今お考えになっていること等があれば,教えていただきたいと思います。

【谷口主査】  
 齋藤先生,どうぞ。

【齋藤委員】  
 カウンセリング,学生相談をやっている立場から言うと,本当にもう大本委員がおっしゃったとおりで,朝から晩まで相談を受け付けても本当に切りがないくらいの状況で,特に昨今,全国的に見ても自殺問題がまた増えてきていますし,ひきこもりの学生も相変わらずですし,そのほか事件・事故に学生が巻き込まれる,場合によっては加害側,当事者になる事案も本当に増えていますので,それに対してどうしたらいいのかなと,本当に悩ましいですね。
 何とか来談,相談に来られるような敷居の低さなり,広報なりを充実させていきますけれども,今は学生が自分で来るよりは親御さんに引っぱり出されて,あるいは教職員が少し個別にケアして,そこで関係ができた上で,初めてカウンセリングなどにつなげてくれて,そこから本格的な回復のプロセスが始まるという事例の方がむしろ多いような感じです。そういう大学全体のサポートシステムをどうつくっていくか,さらには少しおせっかいでもクラス担任に近いような形で教職員が日常的にかかわる,単位履修等が滞っている学生に対しては個別に声をかけるくらいのことをしないと,ケアが追いつかないというのが正直なところかと思います。
 うちの大学でも,退職教員の名誉教授の先生に少しコミュニケーションの研修をしていただいて,電話相談デスクというのを立ち上げたのですが,それは時間制限でやっていますけれども,昨年はもう,そこだけで900件です。我々のカウンセリングのところはもう5,000件ですから,それでもまだまだケアが行き届いているのは全学生の六,七%ですかね。恐らく問題を抱えてる学生は十数%入ると思いますので,そのどこまでできるのだろう,やれるのだろうというのは,正直思います。
 そういう意味で,ナショナルセンターとしての文部科学省なり,JASSOなりから,望ましい方針やら,システムやらということは,是非積極的に御提示いただければ有り難いと常々思っております。

【谷口主査】  
 はい,どうぞ。

【松尾課長】  
 我々も統一的にメンタル含めてこうしてというのが,なかなかできていないというところはあると思います。それで各大学の方にお願いしている。
 一方で,ここの24ページにありますように,障害を持たれた学生についても,もう1つまたやらなければいけないということがございまして,ここについては恐らく1つの大学ではすべてやることは不可能だと思います。うまくネットワークを組んでやるしかなくて,今,JASSOを中心にやっていただいた,この25ページにありますように9大学を拠点化して,いろいろな相談を大学間でやってもらうと。それで外の大学が相談したら,こういうケアをというようなことを,今やっていただいているところなのですけれども,それだけでは多分追いつかなくて,それで我々障害の関係の人権の法案が今度,昨年8月にできたところで,そういったものをきっかけにして,大学には0.3%くらいの在籍しか障害を持たれた方はいらっしゃらないわけですが,これからもっと多くのニーズが出てくると思いますので,私たちの中で研究協力者会議みたいなものを開いて,ここで少し揉(も)もうかと。
 ただ,予算措置などが要ると,すぐなかなかできないということになると,大学でどういった形で合理的配慮をするのがいいのか,完全にバリアフリーにするわけには多分いかなくて,そうするとどういった形で合理的配慮をするのがいいのかという,そういういろいろな事例を各大学が持っているものを共有化するとか,そういったネットワーク化であるとか,あるいは学生がそのように来ると,大学の学内だけでは多分何も,人的にも難しいと思うと,地域コミュニティとうまくネットワークを組んでそういった学生をケアするとか,そういったことをしないと無理だと思うのです。先ほど言われたように,大本委員の生協のところでうまくネットワークを組んで一緒にやらせていただくとか,そういった日本国が持っているすべての資源をもって学生をケアするというようなことをしないと,恐らく縦割りで学内に入ったら学校とか,そういったことになってしまうと,それはもう,ほぼ無理だし,学生も五十何%進学している中では無理なので,そういったうまいコミュニケートできるような形で進めていくということなのではないかと思います。
 そういった形で,我々はどういったシステムがいいのか,どういった仕組みがいいのか,そこは工夫をする勉強会といいますか,それを立ち上げて,次につなげていくと。多分一足飛びにすべてはできないので,それは一歩一歩ストラテジーを組んでいくということなのではないかと思います。

【谷口主査】  
 それで,学生生活支援事業の中には障害学生の支援とか,メンタルの領域の支援とかいうのはあるのですが,もう1つ大きな中に就職・キャリア支援領域というものがございます。これについてはいかがですか。御意見・御発言をいただければと思います。
 よろしゅうございますでしょうか。

【大本委員】  
 今後検討いただきたい点で,就職関係で言いますと,今年卒業した大学生の就職率が上がったという報道があり,これは非常に喜ばしいことだと思います。もう一方で,昨年から,12月からの解禁になったということでの変化が学生に対してどのように影響しているのかという点を把握し,今年2年目を迎えますので,文科省様としての対処,あるいは学生に対する働きかけ等も必要ではないかと思っています。
 それから,もう1つ,ここの論点に出てきていないのですが,学生支援でもう1つの問題点と言いますか,必要だと思っているのが,学生が入学後,様々な危険にさらされる中で,消費者被害例えば,インターネットでの被害ですとか,あるいは宗教やカルトの勧誘など,いろいろな問題が発生しています。これはJASSOの直接の事業ではないのですが,学生支援の1つの方策としては必要だと思っています。私どもも消費者庁様や文科省様の男女共同参画様とも連携してやらせていただいておりますが,これも今後は情報提供を強め学生をそういった危険から未然に防ぐという点が,検討課題になるのではないかと思っておりました。

【谷口主査】  
 ありがとうございました。
 高橋委員,この点について,キャリア支援ということについてはどうなのですか。御意見はございますか。

【高橋委員】  
 僕自身,少し就職活動というものを4年生ながらしていないので,何とも言えないところはすごくあるのですけれども,2つありましたね。先ほど大木委員がおっしゃっていたように,どう対処するかだけではなくて,どんどん数が増えているということでの予防という観点も,本当に学生を交えつつ,いかに効率的にやるかというのは,1つ論点になるかなと思ったとともに,少しキャリア支援というところに関しましては,周りの友人を見ていると2つ大きなギャップがあるのかなというふうに思います。そもそも大きな企業を多くの学生は目指すと思うのですけれども,そこがそもそも大きな企業に行けるのは本当に少しだというところで,かなりマッチングミスが起こるが故にどんどん精神的に病んでいってしまって,本当にメンタルな面でやられてしまう学生というのがすごく多いというのがあります。
 一方で,その大学にどれだけ学生が情報を求めるかというと,ほとんど求めていなくて,いわゆるリクナビですとか,マイナビですとか,インターネット情報に求めるということで,彼らはビジネスで行っているので,企業と学生をプラットフォームに依存させて複雑にしていくことで利益上げていくシステムなので,そういった経路とはまた違った形で,学生に対して,大学や省庁だとかが適切な情報提供やメンタルケアというのを行っていく体制というのは整えていく必要があるかなというふうには思っております。

【谷口主査】  
 ありがとうございました。

【齋藤委員】  
 1ついいですか。

【谷口主査】  
 はい,どうぞ。

【齋藤委員】  
 就職キャリア支援については,各大学が個別性,あるいはセールスポイントをつくり出すというところもあるので,かなりそれぞれの大学が工夫を凝らしていると思うのですが,一方で目先の就職活動に,今おっしゃったように右往左往して,何か人間として学生を育てるというところが少しおろそかになりがちなので,中教審の学生支援ワーキンググループの方では,キャリア教育ということで1年生からしっかり総体的に人間として育った上でのキャリア支援,就職支援なんだという道筋を明らかにしようという方向で動いておりますので,その方向でいい流れが出れば,今後の見通しも見えてくるかなというふうには思っております。

【谷口主査】  
 JASSOの事業としての観点からは,先生,いかがですか。

【齋藤委員】  
 そうですね。民間でいろいろな研修会や資格講座があるのは確かですが,1つモデルとしてこんなことを学んでほしいということを提示していただける意義はあるのかなと思います。それは詳細を検討させていただく必要が,これからの作業として出てくるのだろうと思います。

【谷口主査】  
 はい,では川島委員,お願いします。

【川島委員】  
 議論の仕方として,私はこの研修事業の改革に関わった立場なのですけれども,JASSOがやっている事業というのは職員に対する研修事業なのであって,大学におけるキャリア教育・就職支援に対する直接支援ということでは,とりあえずはないということです。ですから,そこまでやれというふうな議論をするのかどうかということを,そこを仕分けしながら議論しないと,混乱するのではないかと思います。

【谷口主査】  
 議論を最後に整理していただきましたが,私の時計ではちょうど予定の時間になりましたので,最後にまとめをさせていただきたいと思います。
 いろいろ仕分けであちらこちらで問題が生じているかと思いますが,それはそれとして,こういう複雑な社会でいろいろな課題が,むしろ減るのではなくて増える方向にどんどん行っております。それを例えば文科省で全部受けるとか,あるいはJASSOで全部受けるとかいうことはなかなか難しいと思っています。当然ここには大学も絡んでいますので,大学,文科省,それからJASSOという関係の中で,役割分担を明確にしていかなければいけない。何をどの部分で担っていただくのかということが1点。
 それからもう1つは,様々な事業がありますが,やはり様々な事業をまんべんなくやるということは不可能でしょうと。人を増やせということは,増やせればいいのですけれども,増やせないという現状の中では,やはりそこは精査しなければいけないと。この委員会の中では,どこが重点で,この部分についてはどうしてもJASSOに強化していただこうと,ただ,この部分は,例えばほかの部門ではできますよというところの,仕分けは嫌いだと言っている者がある程度仕分けをしなければいけないというか,そういう事業の切り分けみたいなものをやって,できるだけ日本で学ぶ学生,若しくは留学生が居心地のいい学習環境をつくるというのが私どものねらいですので,厳しい議論になるかと思いますが,是非御協力いただければと思っています。
 いろいろな点で,きょう議論になった点は,今後詰めていって,どうするのかということで,最後には結論を出したいと考えていますので,よろしくお願いしたいと思います。
 では,きょうはこれで一応議論は終了したいと思いますので,事務局の方にお返しいたします。

【松尾課長】  
 それでは最後になりますけれども,資料6を御覧いただけますでしょうか。
 次回以降の今後の日程でございますが,冒頭申し上げましたように,親委員会と第1及び本第2ワーキンググループがございます。第2ワーキンググループにつきましては,この資料6にありますように,本日全体の導入をさせていただきましたけれども,次回,それから第2ワーキンググループについては都合5回程度開かせていただきたいと思っておりまして,次回は留学生の事業をメインに6月11日午前中に行いたいと思っております。
 それ以降,学生生活支援,また留学生,そして全体統括ということで,上部の委員会に上げていくと。その間に1回,それぞれの今の議論について親委員会の方で御議論を頂いた上で,最後9月にまとめたいと思っておりますので,引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは,座長から受けさせていただきましたので,本日はどうも本当にありがとうございました。また引き続き,どうぞよろしくお願いいたします。

―― 了 ――

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