獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(平成23年度~)(第6回) 議事要旨

1.日時

平成24年11月30日(月曜日)10時~12時

2.場所

金融庁(中央合同庁舎第7号館西館)14階 1414会議室

3.出席者

委員

出席者:
石黒委員、伊藤委員、尾崎委員、廉林委員、金子委員、酒井委員、佐藤委員、菅沼委員、中山委員、政岡委員、三角委員、山根委員、横尾委員、吉澤委員

報告者:
群馬県農政部畜産課家畜衛生係 林様、愛媛県農業振興局畜産課 大澤主幹、三重県健康福祉部 永田次長、北海道保健福祉部健康安全局食品衛生課食品安全グループ 斉藤主幹

文部科学省

山野大臣官房審議官、内藤専門教育課長、児玉専門教育課長補佐

4.議事要旨

議事の概要:
事務局から配布資料についての確認があった後、以下のとおり議事が進行した(○:委員、●:事務局)。

 

(議題1について)

(1)獣医師確保の全国的な状況について

※ 資料1について金子委員から、資料2について廉林委員から説明。

 

(産業動物分野について、全国的な状況)

○ 初任給については都道府県でまちまち。採用時の級号数の設定や金額については、若干の違いがあるところ。
○ 家畜保健衛生所では、女性職員の数が役3分の1。県によってはもっと多いところもあると思われる。また、新規の獣医師採用については、約半数が女性。
○ 平成23年度では、募集352人のところ、応募が760人、採用は245人。複数の県を応募している者もいると思われる。
○ 採用条件としての年齢の上限については、以前と変わってきている。一番低いところで採用時29歳以下が1県、30から35歳が14県、35から40歳が11府県、40から50歳が8道県。50歳以上が3県、無制限とする県も1県あった。おおむね、年齢条件を緩和して採用に入っているのでは、と推測される。
○ 平成23年度では、20の道府県が1回ないし2回の追加募集をしている。また、8の道県で、欠員に対する追加募集を行っている。
○ 行政職・医療職両方での採用があるが、ほとんどは医療職での採用。

 

(公衆衛生分野について、全国的な状況)

 

○ 採用は徐々に増えてきている。平成17、18年度はおそらく採用人数としては一番少なく、150人くらいだったところ、24年度では倍近い280人となっている。
○ 新卒者のうち、公務員に就職する者の比率が上がってきている。公務員のほうに意志が向いてきているのでは。
○ 24年度の新規採用でいえば、男性43%、女性57%で、女性のほうが若干多い。
○ 採用条件としての年齢を緩和している。一般的には28、29歳というところ、60歳程度にしているところもある。
○ 待遇の関係でも、10年、15年、あるいは20年といった期間で、数万円の手当を支給するなど、充実させた自治体もある。現在の厳しい経済状況のなか、各自治体の努力も効果を上げたものと思う。
○ 全体の採用数がだいぶ回復してきたとはいえ、トータルとしては不足しているという状況はあろうかと思う。
○ 獣医師のところだけ見ると、例えば狂犬病対策だとか、資格がないと従事できないところに集約されていく。職域が狭くなるということで、人材育成への影響は少なからずあると思われ、また、公衆衛生分野のいろいろなところで働けるというやりがいのひとつが薄れてしまうことは、新たに獣医師としてきていただくための魅力の減にもつながるのでは、と感じている。

(2)各道県の獣医師確保の状況について

※ 資料3、資料4、資料5、資料6について、それぞれから説明。
○ 採用状況としては、従来大きく欠員していた状況から若干改善したものの、なお不足のある状況。
○ ここ数年で、採用時の年齢条件を緩和している。
○ 一般職と同様の採用試験をおこなっていたところ、選考採用に変更。募集も年複数回にし、それぞれの都道府県以外に東京等に試験会場を設けている場合もある。また、欠員が出る際には追加募集も行っている。
○ 獣医系大学については、合同の就職説明会に参加するなどのリクルートを実施。近隣のみならず、全国の獣医系大学を訪問しているところ。
○ 待遇改善として、獣医師としての初任給調整手当等を実施。
○ 平成22年度から実施されている中央畜産会のインターンシップ制度を経由するなどして、学生のインターンの受け入れも行っている。基本は夏休み等の長期休暇に、3日間~1週間程度でカリキュラムを組み、家畜保健衛生所、畜産試験場などで、現場の業務体験を中心に実施している。
○ 奨学資金制度も実施。国の獣医師修学資金制度も活用している。
○ 女性獣医師の採用は年々増えており、年齢層が下がるにしたがって、女性の割合が多くなっている。
○ 地方ではなかなか確保できない状況。一方で、獣医系大学の多く設置されている都市部等は、募集人員に比べ応募者が多い状況にある。
○ 各県で、獣医療の計画を策定。獣医師の確保目標についても設定している。
○ 獣医師の業務は増えている。家畜伝染病予防法改正に伴う監視業務の強化、家畜防疫員の確保、食品衛生関係の業務、食品の安全・安心に対するニーズ、動物愛護管理法の改正など。
○ 獣医学部の卒業生の半数が女性だが、学生からは出産・育児に対するフォローについてよく相談を受ける。例えば短期の雇用で対応すると、今度は短期で雇用された方の採用の問題も出てくる。実態を伺いたい。
○ 若年層になるほど女性のほうが増えている状況。結婚、育児ということが事前にわかっていればその分も含めて採用をする、再雇用あるいはOBで対応をする、既存の職員で補う、フルタイムが無理でもパートタイムでお願いをするなど、対応はさまざま。
○ 産休補充の臨時職員を募集してもそうそう集まるわけではない。
○ 群馬県に。平成22年度から奨学資金の制度を設け、受験者もかなり増えているが、この人数には奨学資金の受給者も入っているのか、また、受給者は採用するという形なのか、受験してもらって不採用という方もいるのか。
○ (群馬県)制度自体はまだ3年目。基本的には産業動物獣医師になってもらう。県の公務員への採用も認めているが、この制度と採用試験とは別。試験はしっかり受けていただいて、不合格の場合は不合格。
○ 今、4年教育を受けた獣医師と、6年教育を受けた獣医師が半分半分くらい、あるいは6年教育を受けた方が若干多いくらいだと思う。最近採用される獣医師の方について、「こういう現場も獣医師の仕事ですか」というような反応はあるか。例えば食肉の現場などで、4年教育を受けた方と6年教育を受けた方で認識に違いがあるのではと懸念している。
○ 獣医師は採用後、農政分野、公衆衛生分野、もう一つ環境分野として、野生動物の対応に従事する方もいる。特に公衆衛生分野については、いろいろな学域の人がいるので、ギャップが起きているのではないかと思うが、どうか。
○ 例えば、保健所の勤務だと、栄養士、保健師、薬剤師、検査技師など、いろいろな職種がいる。動物の管理業務というのは割ときつく、その中で待遇の差があるなど、職種による違いはあるが、あまり意識されることはなく、業務上はそれほど違和感はないように思う。
○ 公務員試験を受験するにあたって、インターネット等で下調べをしているように思う。公務員として採用された場合、どのような業務に従事するとか、どんなセクションがあるとか、例えば食肉検査だったらこんな仕事をやるとか、いろいろな情報が取れるので、ある程度知識としては知っている。
○ ただ、現場を知っている、というところまでは言っていないのが現状。在学中の学生は、食品衛生については、監視業務をやるということはわかっていても、許可を取らせるといったことまで獣医師がやっているなど、そのような認識はない様子。
○ 選考採用を実施することで募集が多くなる、ということは歴然としている。
○ 一般の採用試験と時期をずらすことで、多く採用できるという認識もある。6~7月の共通で試験をやる時期は大体どこの都道府県でも試験を実施しており、地方の都道府県には応募をしてくれない、という現状がある。都道府県の人事担当でも、獣医師は定期の試験を外したほうが採用できるという認識を持っている。
○ 獣医師の地域偏在を解消するための一つの方法として、待遇改善がある。これまででだいぶ改善されているが、これ以上、獣医師だけの待遇改善をするのは厳しい。
○ 都道府県の財政がひっ迫している状況で、医師は医師確保対策で別枠ながら、それ以外の技術系職種については、なかなか厳しい現状。
○ 獣医師以外の技術職にとっても、職員を確保したいのは同じ。採用できないのは獣医師だけではない、とも言われる。
○ いずれの道県においても、獣医師の確保のため、待遇の改善、公務員試験の回数、場所も含めて工夫するなど、いろいろな苦労をされている。大学のほうとしては、学生に対する獣医師の業務内容の説明等々、具体化していきたいということもある。

 

※ 資料10について事務局より説明があった後、議事は終了した。

 

(以上)

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