資料2 「議論のまとめ」概要(素案)

  獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議「議論のまとめ」概要(素案)

1.教育改革の進捗状況のフォローアップと今後の推進方策について

○各獣医系大学は、モデル・コア・カリキュラムの着実な実施に向けて努力を重ねており、一定の進捗が見られるところであるが、特に国立大学の共同教育課程については、完成年度に先立って、その教育効果・学習効果について積極的に検証することが必要

○その一方で、臨床教育の更なる充実や、教育体制の強化は引き続き重要な課題。また、獣医学教育の国際通用性の確保に取り組むことも求められる

2.今後の獣医系大学の入学定員の在り方について(需給の増減要因は別紙のとおり整理)

○獣医師の養成規模にかかる検討を行うに際しても、国際水準を目指した獣医学教育の改善・充実が最優先の課題。特に学部段階の獣医学教育が獣医師免許の取得を主たる目的とするものであることに鑑み、獣医系大学の定員管理の仕組みは継続したうえ、各大学に対して定員管理の厳格化を求めることが必要

○今後の定員の在り方については、従来の診療獣医師だけでなく、ライフサイエンスなどの新たに対応すべき分野も含め、種々の増減要因等を総合的に勘案して決定することが望ましい
 →その際、各地域において獣医系大学の果たしうる機能を踏まえ、かつ、産業構造や人口比を考慮するなど、全国的な配置の必要性にも留意

3.獣医学分野における大学院教育の在り方について

○学部段階の教育体制の整備を効果的に進めるため、大学院の充実は極めて重要。その際、特に臨床分野の教員の確保を念頭に置くことが求められる。また、大学院生がTAやRAとして教育に関与することは、学部学生の教育の充実のみならず、将来的な教員の確保を図る上でも大きく寄与するものであると考えられる

○大学院教育の充実は、臨床獣医療の専門性の向上という視点からも強力に推進すべき。ただし、大学院という仕組みは、博士論文の作成を求められる等の点で、すでに社会で活躍している臨床獣医師にとってハードルになりうる。このことも踏まえ、大学として、現場の獣医療ニーズに応えうる卒後教育の在り方について構想することも必要

○獣医学を修めた者は、複雑な生命現象を総体的に把握する力を身につけていることから、獣医系大学院には、動物の健康の維持に役立つ研究にとどまらず、基礎研究の成果を実際の人間の疾病の治療に適用する局面など、ライフサイエンス研究への貢献が期待される。その際、ライフサイエンスの担い手の育成という観点からは、隣接分野との協働に留意するとともに、修士課程の活用も視野に入れることが求められる。

○進学者の確保を図るため、学部段階からライフサイエンスに関する学生の興味をこれまで以上に喚起できるような教育を行うなどの積極的な取組が必要
<整理>獣医系大学の定員については、以下の2つの観点から検討した
 1.獣医師免許を必要とする診療獣医師の需給
 2.獣医師免許が必須でない研究職(大学教員を含む)の需給

 

1.獣医師免許を必要とする診療獣医師の需給
<主要な需要の増減要因>

 需要を増加させる要因

 需要を減少させる要因

 ・伴侶動物診療の高度化・専門分化

  →伴侶動物の高齢化、飼主の意識変化

・産業動物獣医師や公務員獣医師の職域における人手不足
  →若手獣医師の高い離職率/待遇面での魅力の薄さ/退職者の補充が困難

・食の安全安心へのニーズの増大
  →農畜水産品の輸出入量の増加

 ・伴侶動物の飼育頭数の減少
  →飼主の高齢化、住宅事情の変化

・診療現場におけるチーム獣医療の推進による診療効率の向上
  →動物看護師資格の高位平準化など

・産業動物獣医師の診療効率の向上
  →畜産農家戸数の減少と1戸あたりの飼育家畜頭数の増加

※新たな通商枠組が畜産業界に与える影響についても考慮が必要

 

<主要な供給の増減要因>

 供給を増加させる要因

 供給を減少させる要因

 ・獣医師免許を持ちながら獣医療から離れている者(免許保有者の約12%と推計)の活用の促進
 →主として子育てを終えた女性免許保持者(約750名)の現場復帰策の推進

 ・各獣医系大学の定員管理の厳格化
 →930人の定員に対して約1,050人が在籍する状況の改善
  ※単位人口あたりの獣医師数は、すでに米国よりも多い状況にある

 

2.獣医師免許が必須でない研究職(大学教員を含む)の需給

 需要を増加させる要因

 需要を減少させる要因

 ・教育改善・研究機能強化のための大学教員(研究後継者/教育者)養成の拡充

・ライフサイエンス分野における獣医学の知見の有用性に対する理解の広がり※具体的な需要数の予測は極めて困難

 ・他の学問領域(生物学、農学、畜産学、薬学等)出身者のライフサイエンス分野への進出

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