資料3 「国民からの意見募集」に寄せられた主な意見

 「国民からの意見募集」に寄せられた主な意見


※募集期間:平成25年4月15日~平成25年5月12日
※意見総数:132件

 


<教育内容の充実・改善に関する意見>
○大学における獣医学教育に関連し、実施科目・施設・教育担当者数などについて統一的な基準を策定するとともに、この基準を守っているかをしっかりと監視することが必要。

○モデル・コア・カリキュラムに掲載されているが、国家試験においては課されていない新興的な科目の教育の充実を急ぐべき。また、モデル・コア・カリキュラムと連動する共用試験システムの開発に対し、国が積極的に支援すべき。

○「モデル・コア・カリキュラム」の外側にある「アドバンス」部分については、大学による科目のばらつきを積極的に評価すべき。

○一次診療の現場においては、高度な設備に頼るより先に、五感を用いた検査を行うことが重要。こうしたことを理解させるためにも、獣医学生が現場に出る機会を増やし、卒後速やかに戦力となる人材を育てることに注力すべき。

○国内全ての獣医系大学に疫学の専門家の配置を行うとともに、その研究の発展に必要な予算枠の確保に取り組むべき。

○傷病野生動物の救護に当たっては、生物多様性の保全や感染症にかかるリスクについても考慮する必要があることから、これからの獣医師には、生命倫理に加えて環境倫理に関する知見が必要。

○動物愛護の気運の高まりを受け、動物福祉に関する教育を充実すべき。また、職務上必要となる法令や獣医療に関連の深い法令についてもしっかりと学ぶ機会を確保すべき。

○臨床教育を動物実験の代替として積極的に活用するとともに、モデルやシミュレータ、死体の利用により実験動物の犠牲を減らすべき。

○小動物の歯科治療のレベルが欧米に比べて低いことは問題なので、大学における獣医師科学の教育システムの改善が必要。

○医学部教育と同様に、卒後の研修医制度の確立を急ぐべき。

○現在の獣医系大学においては生命科学系の教育・研究が十分ではないため、様々なバックグラウンドを持つ教員が教育に携わる「生命科学全般に係る研究拠点」を形成して人材育成を行うことが必要。

<教育体制の充実に関する意見>
○主に学部を担当する者、主に大学院を担当する者、主に臨床教育を担当する者など、教員の役割分担を明確化することが必要。また、研修医やTA/RAについても何らかの形で専任教員としてカウントできるようにすべき。

○学生に費用負担を求めてまで共用試験を受験させた上、斉一科目として参加型臨床実習を行うなら、動物病院の診療件数を確保することが必須。そのためにも、病院で恒常的に診療を行う獣医師のほか、動物看護師、事務職員などの確保が必要。

○獣医学部卒業者の博士課程への進学率が極めて低いほか、博士課程における指導体制が脆弱で、修了しても学位を得られないケースもある。

○モデル・コア・カリキュラムに対応した教育を行うには、教員の数と質の充足だけでなく、教員が教育・研究に携わるための施設の充足も必須。新興国に追い抜かれないためには,速効性のある組織体制についての整備が本腰で検討・実施される必要がある。

○獣医系大学に対する国の支援が国立大学に偏っていて不公平。私立大学においてもさらなる獣医学教育の充実を果たすには、教員体制のさらなる充実が必須であることから、私立大学経常費補助金等の増額が不可欠。

○共同獣医学課程については、学生の移動の負担、遠隔教育への不安、相互補完人事に伴う不都合などの懸念があることから、その着地点を速やかに示すことが必要。

○教育における獣医師と医師の連携、獣医師会と医師会の共同活動を推進することが必要。


<職域偏在の解消に関する意見>
○畜産関連では、同じ地域・同じ農家を長期間にわたって担当でき、人間関係を作っていける獣医師が必要であるから、産業動物獣医師を育成する枠を設定する、家畜を飼養している家庭の子女や農業高校出身者に優先枠を作る等の取組も考えられる。

○大学において、伴侶動物獣医師以外の進路に係る情報が十分に提供されていない。各職域で活躍する現役獣医師を教員として採用したり、低学年の間に様々な職域で働く先輩獣医師の話を聞く機会を設定したりして学生に仕事の面白さを伝えることが必要。

○入学後に、いかに学生が動物に接する機会を増やすかが肝心。そのため、進路決定に十分に先行した時期に産業動物に関する講義・実習を行うほか、学部教育の拠点としての動物医療センターの飛躍的拡充を図ることが必要。

○産業動物獣医師や公務員獣医師として働く者の待遇改善や、獣医師を巡る職場の古い体質の改善が不可欠。学生には「社会はこうした分野に進む獣医師を求めている」と言いつつ、「給与は今ひとつ」という現状では説得力に欠ける。

○各都道府県組織で身分保障しつつ、不足を生じている地域に産業動物獣医師を派遣する制度を入れてはどうか。他地域の獣医師との技術面で交流し、他地域の文化を体験できる機会を設けることは、産業動物獣医師という職域の魅力向上にもつながる。

<獣医系大学の定員の在り方に関する意見
  :定員増に積極的な意見17件/定員増に消極的な意見10件>
○わが国の獣医師の数は先進国に比べて少なくはなく、人口比、動物数比においても大きな差はない中で、獣医師の数の増は行うべきではない。それよりも、生涯教育を強化するなど、現役の獣医師の質を高める政策が必要である。

○動物看護師を公的資格化してその教育の充実を図れば、獣医療の分業化が進むので、獣医師数の増加は必要なくなる。獣医師養成の定員枠を拡大しても公務員獣医師の不足は解決しないし、むしろ、臨床獣医師の共倒れを招くだけである。

○大学の数や学生数を絞れば質が確保されるというのは安直な考え。定員抑制を廃して大学の新設も認めた上で、国家試験の合格率の低い大学を淘汰することで国費の支出を削減するのが、自由競争におけるあるべき姿である。

○首都圏の大学では、地方出身者の減少が顕著であることから、臨時定員増を図ってでも、地方で公務員として就職する獣医師を確保することが必要。

○新規産業の担い手としてバイオ科学が注目されているが、当該分野を支える獣医学研究者の層の薄さは問題。定員抑制を解除し、研究者の供給に努めるべき。

○教員の確保を定員増や新設に対する壁と捉える見解もあるが、充実した研究環境を求めて海外に出ている日本人獣医師や外国人獣医師を採用すればこの問題は解消できる。

○無限定な規制緩和のために混乱を来した法科大学院の先例に学び、定員増は限定的にすべき。具体的には、自助努力で教員増を達成し、ライフサイエンスを支える研究者や国際的調和を図れる公衆衛生獣医師の養成といった目的を達成できると認められる場合に限って、教育の質を担保できる範囲で定員増を許容すべき。

○獣医師免許を「伴侶動物医療」「大動物医療」「魚類医療」の3種に分け、後二者については引き続き農林水産省が、「伴侶動物医療」免許については公衆衛生の観点から厚生労働省がそれぞれ管轄することとし、大学数/定員数を必要に応じて増減させるべき。

<獣医系大学の設置に関する意見:設置に積極的な意見73件/設置に消極的な意見8件>
○獣医系大学の新設は、教育の質の確保に負の影響を及ぼす。むしろ、職域偏在や地域偏在の解消に向けて、公務員獣医師/産業動物獣医師の魅力について厳しく関係者が点検し、改善を図っていくことが重要。

○獣医系大学が設置されていない地域があることは、教育機会の均等の観点からも問題。獣医学に興味・関心を持つ高校生も多いが、定員の小ささからその道を諦める者も多い。また、金銭的な理由から遠方に進学できない者のためにも、地元で獣医師の資格を取れる環境を整えることが必要。

○獣医師不足のため、動物病院はいつも混雑している。首都圏だけでなく、地方の私立大学でも獣医学を学べる環境を整えるべき。

○獣医系大学がない地域において感染症事案が発生した場合の危機管理が心配。また、地域の動物愛護の推進・地産地消活動や地場産業の発展を図る観点からも、地方への獣医系大学の設置を進めるべき。

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