資料4-1

獣医師に寄せられている期待と獣医学教育の改善・充実について

政岡(平成25年2月20日)


 現在社会が抱えている課題の一つに人獣共通感染症など、新興・再興感染症の制御が挙げられているが、この新興・再興感染症の約7割が動物(家畜、ペット、野生動物など)由来である。
 この感染症を動物の段階で制御(BSE、鳥インフルエンザ、新型(豚)インフルエンザなど)することは、食の安全・安心にもつながるものであり、この分野を担っている獣医師に期待が寄せられている。
 この社会からのニーズに応えるためにOIE(国際獣疫事務局)は、世界の獣医学教育の更なる充実について一昨年に提言を出している。
 我が国でも平成20年9月に鈴木恒夫文科大臣の諮問を受け、中教審の専門的人材養成の在り方に関するWGの下に、「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」を平成20年11月に設置し、平成23年3月に取りまとめを行い、
1)教育研究体制の整備
2)モデル・コア・カリキュラムの策定実施
3)分野別第三者評価の導入実施
4)共用試験の導入実施
4本柱からなる改善・充実策を提示した。
 この提示を受け獣医学部または獣医学科を擁する国立10大学、公立1大学、私立5大学の16大学は、平成24年度より教育の改善・充実に取り組み国立大学の一部では共同学部による教育も始まっている。
 また、獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議は、平成24年3月に第2期の協力者会議がスタートし、第1期の進捗状況のフォローアップを協議するとともに、産業動物獣医師や公務員獣医師の育成に向けた今後の獣医師の養成の在り方(入学定員の在り方を含む)及び獣医学分野における今後の研究者教育者養成の在り方などが議論されている。
 議論の過程で下記の4項目が論点となり、現在、協力者会議では論点整理と取り纏めに入ったところである。
1)獣医系学部・学科の抑制方針を継続するか否かについて
2)獣医師の分野間の偏在と獣医療の需給見通しについて
3)入学定員について
4)獣医系学部学科の地域偏在と地域の存在意義について
 私立獣医科大学協会(酪農学園大学獣医学群、北里大学獣医学部、日本獣医生命科学大学獣医学部、日本大学生物資源科学部、麻布大学獣医学部)の会長としては、4項目の論点については以下のように考えている。

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