薬学系人材養成の在り方に関する検討会(令和3年度~)(第1回)議事録

1.日時

令和3年8月27日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館5F3会議室(Web会議)

3.議題

  1. 検討会の公開について
  2. 薬学部教育の質保証の現状について
  3. 今後の進め方について
  4. その他

4.出席者

委員

永井良三座長、井上圭三副座長、石井伊都子委員、乾賢一委員、北澤京子委員、小西靖彦委員、後藤直正委員、佐々木茂貴委員、田尻泰典委員、土屋浩一郎委員、手代木功委員、西島正弘委員、狭間研至委員、本間浩委員、柳田俊彦委員、山口育子委員

文部科学省

伯井高等教育局長、川中大臣官房審議官、伊藤医学教育課長、島田企画官、成相課長補佐、栗原技術参与ほか関係官

オブザーバー

厚生労働省医薬食品局総務課 安川薬事企画官

5.議事要旨

【成相課長補佐】 おはようございます。すみません。文部科学省医学教育課の成相と申します。
 それでは時間になりましたので、これから薬学系人材養成の在り方に関する検討会の第1回を開催したいと思います。
 まず、先生方におかれましては、御多忙の折、本検討会に御出席いただきまして、また、委員への御就任を御快諾いただきまして、誠にありがとうございます。
 後ほど座長を選任されるまで、進行を務めさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
 まず、会議の開催に当たりまして、高等教育局長の伯井より御挨拶を申し上げたいと思います。
【伯井局長】 皆さん、おはようございます。文部科学省高等教育局長の伯井でございます。薬学系人材養成の在り方に関する検討会(第1回)の開会に当たりまして、御挨拶を申し上げます。
 先生方には、大変御多忙の中、委員御就任いただきまして、また、本日はオンラインの形ではございますが、会議に出席をいただきまして、誠にありがとうございます。感謝を申し上げます。
 薬学教育の改善・充実につきましては、平成16年の薬学教育の改善に関する調査研究協力者会議の報告、あるいは中教審の答申を受けまして、6年制の薬学教育課程が整備されるとともに、各大学ではモデル・コアカリキュラムに基づく教育、さらにはそれぞれの個性・特色に応じたカリキュラム編成や、参加型実務実習等の取組を推進していただいているところであります。
 他方、今般のコロナ禍におきまして、各国と比してワクチン開発の出遅れが指摘されている中、その課題の1つとして、創薬分野の人材確保が議論になっているところでもございます。
 また、平成26年には、この会議におきまして、新制度の教育の質に関するフォローアップ調査を行いまして、入学者選抜の在り方等について、改善方策の御指摘をいただいたところでございましたが、本年6月、厚生労働省の薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会におきまして、将来的な薬剤師の供給過剰等が懸念される中、薬学部での教育の質の確保等について指摘を受けるなど、社会的要請を踏まえた薬学教育の内容や、その質の確保等につきましても、今後検討が必要というふうに認識をしているところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、文部科学省といたしましては、薬学教育、特に学部教育における入学定員の在り方や教育の質保証、薬学教育のモデル・コアカリキュラムなどにつきまして、現在の薬学教育改革の進捗状況の分析を行いながら、今後の薬学教育の改善・充実に資するべく、先生方に委員をお引き受けいただきまして、検討を開始することとした次第でございます。
 本検討会議の委員の先生方におかれましては、薬学部教育の質の保証の在り方に関する課題については来年春頃に、モデル・コアカリキュラムの改訂については、来年の暮れまで少し時間をかけて御検討をお願いし、薬学教育の改善・充実のための方策について、御報告をいただければなというふうに考えております。
 先生方には、今後の薬学教育の改善・充実のために、積極的かつ活発な御意見を賜りたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
【成相課長補佐】 ありがとうございました。
 続きまして、御出席いただいている委員の皆様を五十音順で御紹介したいと思います。
 まず、日本病院薬剤師会理事の石井先生でございます。
 それから、続きまして、日本薬学教育学会理事長の乾先生、帝京大学副学長の井上先生、一般社団法人日本医療薬学会会頭の奥田先生、京都薬科大学客員教授の北澤先生。
【北澤委員】 北澤です。よろしくお願いします。
【成相課長補佐】 それから、京都大学医学教育・国際化推進センター教授の小西先生、京都薬科大学長の後藤先生。
【後藤委員】 後藤です。よろしくお願いします。
【成相課長補佐】 日本薬学会会頭の佐々木先生。
【佐々木委員】 佐々木です。どうぞよろしくお願いします。
【成相課長補佐】 日本薬剤師会副会長の田尻先生。
【田尻委員】 田尻です。おはようございます。よろしくお願いいたします。
【成相課長補佐】 徳島大学薬学部長の土屋先生。
【土屋委員】 土屋です。よろしくお願いいたします。
【成相課長補佐】 それから、日本製薬工業協会副会長の手代木先生。
【手代木委員】 手代木です。よろしくお願いいたします。
【成相課長補佐】 自治医科大学長の永井先生。
【永井委員】 永井でございます。よろしくお願いいたします。
【成相課長補佐】 それから1人飛びまして、日本在宅医療薬学会理事長の狭間先生。
【狭間委員】 狭間でございます。よろしくお願いします。
【成相課長補佐】 それから薬学教育協議会代表理事の本間先生。
【本間委員】 本間でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【成相課長補佐】 宮崎大学医学部看護学科長の柳田先生。
【柳田委員】 柳田でございます。よろしくお願いいたします。
【成相課長補佐】 それから最後に、認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口先生。
【山口委員】 山口でございます。よろしくお願いいたします。
【成相課長補佐】 なお、薬学教育評価機構理事長の西島先生は、所用により御欠席と伺っております。
 また、本日出席の文部科学省関係者を御紹介申し上げます。
 先ほど御挨拶申し上げた、高等教育局長の伯井でございます。それから、医学教育課長の伊藤でございます。
【伊藤医学教育課長】 伊藤でございます。よろしくお願いします。
【成相課長補佐】 それから、医学教育課課長補佐の小松﨑です。
【小松﨑課長補佐】 お願いします。
【成相課長補佐】 薬学教育係長の追川です。医学教育課の技術参与の栗原でございます。
 それから、本日オブザーバーとして、厚生労働省の安川薬事企画官に御出席いただいております。
 出席者につきましては、以上でございます。
 続きまして、会議を始めるに当たりまして、議事運営について先にお諮りさせていただければと思っております。
 資料2として、薬学系人材養成の在り方に関する検討会の運営規則(案)というものをお配りしております。進め方としましては、この規則として、検討会の議事手続についてはこちらの規則で定めるということ。それから、検討会には座長及び副座長を置く。検討会は座長が招集して議長となる。検討会には必要に応じて小委員会を設置して、検討を行うことができるものとする。小委員会の委員は、検討会の座長が指名する者で構成する。その際、座長は小委員会の委員の中から主査を選任する。小委員会の会議は、小委員会の主査が招集し、議長となる。検討会及び小委員会には、必要に応じて関係者からの意見等を聴くことができるものとする。最後に、この規則に定めるもののほか、必要な手続については座長が検討会に諮って定めるというようなことで運営をしたいと考えておりますが、こちらについて御意見等ございますでしょうか。
 (「異議なし」の声あり)
【成相課長補佐】 御異議ないようでしたら、こちらで進めさせていただければと思っております。
 では、この規則にのっとりまして、まず最初に座長をお選びいただきたいというふうに考えております。
 本検討会自体は、平成20年から26年度まで、6年制学部ができたことによって整備された4年制博士課程の評価方法、それから今回の会議の目的である薬学部教育の質の保証の在り方ですとか、現行の薬学教育モデル・コアカリキュラムの策定等を御審議いただいたという経緯がございます。しかしながら、それから6年経過する中で、現行のモデル・コアカリキュラムの見直しの時期を迎えたことですとか、薬学部教育の質の低下についての意見ということも出ていることを踏まえまして、改めて御審議するという経緯がございます。
 前回から委員の先生も大幅に交代となったというところでございますが、過去の経緯等も踏まえた議論を進めていく上で、より適切な審議になるのではないかと考えておりまして、僣越ながら、そういった背景を踏まえまして、事務局から、前回も審議の取りまとめに御尽力いただいた自治医科大学の永井先生を御推薦したいと思いますが、皆様いかがでしょうか。
 (「異議なし」の声あり)
【成相課長補佐】 ありがとうございます。では、この会議の座長につきましては永井先生にお願いし、副座長については座長から御指名いただきたいと思っております。
 では、ここから議事の進行を永井座長にお願いしたいと思います。
【永井座長】 自治医科大学の永井でございます。一言御挨拶申し上げます。
 大変重い役割を仰せつかりまして、恐縮しております。薬学、臨床薬学含めて、医療、さらに生命科学も大きく変わりつつあり、コロナ禍で加速しているのではないかと思います。ぜひ皆様方のお力をいただいて、よい取りまとめができればと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、副座長につきましては、前回のこの会議で薬学教育モデル・コアカリキュラム作成委員会の委員をお務めになられ、また、現在日本私立薬科大学協会会長としてモデル・コアカリキュラムの調査研究を行っていらっしゃいます、井上委員にお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 (「異議なし」の声あり)
【永井座長】 よろしいでしょうか。ありがとうございます。では、そのように決めさせていただきます。
 では、井上委員からも一言御挨拶をお願いいたします。
【井上副座長】 私立薬科大学協会の井上でございます。御紹介いただきましたように、本協会では文科省の委託研究として、6年制薬学教育制度調査検討会を設立し、モデル・コアカリキュラム改訂に向けたもろもろの検討、さらには6年制課程に続く大学院の在り方などを検討しております。これらの検討結果を本会議に御報告し、検討の材料としていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【永井座長】 ありがとうございます。
 では、最初に配付資料の確認をお願いいたします。事務局から説明をお願いします。
【成相課長補佐】 はい。資料ですが、まず、資料1としまして、この会議の設置要綱、資料2は先ほど御覧いただきました運営規則の案でございます。資料3として、本検討会の公開についての案でございます。資料4としましては、薬学部教育の質の保証に関する論点メモ、それから、資料5としましては、薬学部教育の質保証専門小委員会について、資料6として今後のスケジュール案、それから、参考資料としまして、1つ目が平成26年度の本会議の質の高い入学者の確保と教育の質の向上に向けてのフォローアップ状況、参考資料2として、薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会の報告書、厚生労働省の取りまとめのもの、それから、参考資料3として、令和2年度の薬学系の各種データ、それから、参考資料4として、モデル・コアカリキュラムの検討スケジュールの資料となっております。
よろしいでしょうか。はい、すみません。以上でございます。
【永井座長】 ありがとうございます。
 では、最初の議事に入ります。この会議の公開について、事務局から説明をお願いいたします。
【成相課長補佐】 資料3を御覧ください。
 この会議の公開についての取扱いです。まず、会議の公開としましては、会議は次に掲げる場合を除き、公開して行うということで、1つが座長の選任及び人事に関する事項を決する場合、それから、報告案その他の案を審議する場合、それから、先ほど挙げたもののほかに、特別の事情によって座長が必要と認めるとした場合以外は公開して行うということでございます。
 それから、会議の傍聴としましては、会議を傍聴しようとする者は、あらかじめ文部科学省高等教育局医学教育課の登録を受ける。
3としまして、登録を受けた者は、座長が許可した場合を除いて、会議の開始後に入場、または会議を撮影するものとして、会議を撮影し、録画もしくは録音をしてはならない。
 それから、4としまして、登録傍聴人は、先ほどの規定するもののほか、会議の進行を妨げる行為をしてはならない。
 5としまして、会議資料の公開ですが、非公開の場合を除いて、会議において配付した資料の全部または一部を公開することができるとしております。
 それから、6番として、議事録等の公表についても、会議の議事録もしくは議事要旨を作成して公表しなければならないとしております。
 7番、検討会の下に置かれる小委員会等の公開についても、原則として検討会と同様の扱いとする。
 8番として、この決定については検討会の決定の日から施行するという形で、案を作成しております。
 会議資料については以上でございます。
【永井座長】 ありがとうございます。
 もし御異議なければ、この会議については公開の形で対応したいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 (「異議なし」の声あり)
【永井座長】 それでは、その方針で進めることにいたします。
 では、議事に入ります。
 この会議では、冒頭事務局から話のありましたように、主に薬学部教育の質の保証と、令和6年度開始の薬学教育モデル・コアカリキュラムを議論したいと思います。差し当たり、その中で薬学教育の質の保証に関して検討を進めたいと思います。
 本日は第1回ということもございまして、各委員から本会議の検討事項に関して、自由な御意見を頂戴することといたしますが、早急に取りまとめを行う必要があります、薬学部教育の質保証の在り方を中心に御意見をいただきたいと思います。
 それでは、意見交換に入ります前に、資料4の論点メモについて、事務局から御説明をお願いいたします。
【成相課長補佐】 では、こちらの説明をしたいと思いますが、まず資料4の前に、背景情報として参考資料3のほうからお話をしたいと思います。
 薬学教育関連資料ということで、まず薬学教育制度でございますが、こちら皆様方御案内のとおり、18年の4月から6年制の薬学部教育というのが始まっておりまして、こちらについて現在進められているというところでございます。
 5ページにおおむねその形が書かれておりまして、薬学実務実習を20単位以上、原則として病院、薬局、それぞれ各11週ずつ実施するといったことですとか、実務実習開始前の共用試験を導入するといったところ、それから分野別第三者評価、薬学教育のモデル・コアカリキュラム、薬学実務実習に関するガイドラインといったものを整理していくということが進められてきたというところでございます。
 次に薬学部の設置状況ですとか、定員についてということで、7ページにございますように、過去の推移がございますけれども、先ほど申し上げたような平成18年度を境として、ある程度大学、学部数が増加したというところでございますが、平成20年度以降については、全体の定員としては平行、横ばいのような形で進んでいるというところでございます。
 それから、8ページに薬学系の大学の分布図ということで、現在77大学79学部が全国にありますが、その中でも幾つかの県では配置されていないというところでございます。
 ちなみに9ページには4年制の博士課程が置かれている大学ということで、66大学がございます。
 続きまして11ページになりますが、薬科大学の学科別一覧ということで、各大学の入学定員が示されております。
 その後、12ページには各都道府県別の薬学部・薬科大学の入学定員の数ということでございまして、赤い字で書かれた県については学部等がないというところでございますが、令和2年度の時点でございまして、令和3年度には和歌山県のほうに公立大学が1校つくられたというところでございます。
 一方で13ページになりますが、都道府県別の人口10万人対薬剤師数と薬学部設置の有無というデータをつけさせていただいておりますけれども、基本的にオレンジのところが設置されていない都道府県ということですが、青色の線のところと比べて、極端に少ないというところについては、沖縄以外はそこまでではないかなというふうな状況になっているというところでございます。
 それから、14ページが入学定員関係データということで、そこから各大学の定員と、その入学者選抜の状況が書かれております。14、15、16ページという形で、国公私立大学の各大学の状況がありますが、そのうち15、16ページに主に私立大学がございますけれども、かなり競争倍率等についてはばらつきがあるというところがございます。
 17ページには定員の取扱いという資料をつけさせていただいておりますが、この定員については大学設置基準において定められておりまして、大幅な定員の超過ですとか、不足に対しては、学部・学科等の設置や基盤的経費の配分等においてのペナルティーが用意されているというところでございまして、左側の箱にございますように、設置上のペナルティーということで定員を大幅に超過する、例えば収容定員が4,000人以上の大学であれば、1.05倍でペナルティーがかかるというような形で、この場合、新たな他の学部等の設置について認可されないというような仕組みになっております。一方で、その左側の下の箱にありますように、入学定員充足率が一定の基準を超えた場合には、私学助成を全額不交付とするというような措置も設けられております。一方でこちらの経常費補助につきましては、入学定員が大幅に下回る場合という場合も減額措置というのがございまして、特に50%以下の場合は不交付になっているというところでございます。
 続きまして、薬剤師国家試験の話が、18ページ以降ございます。
 19ページに薬剤師国家試験の概要がつけておりますけれども、国家試験自体は345問出題されて、科目別の出題数については表のとおりとなっております。
で、20ページには、薬剤師国家試験の受験者数、合格者数、合格率の推移をつけさせていただいております。近年、赤い線、折れ線グラフがございますけれども、一定の数で推移しているというところでございます。
 22ページに、6年制の新卒と6年制の既卒のそれぞれの内訳というところがございますが、この新卒というのは、試験実施年の3月に卒業した学生というような形で、数としてカウントされているというところでございます。
23ページが、新卒の薬剤師国家試験の出願者の状況というところでございまして、青い線が出願のうちの合格者になるというところでございます。
 それから、24ページが新卒出願者の状況、これは割合として見た場合のグラフとなっておりまして、この場合、未受験者という部分が黒色になっておりますけれども、一部の大学ではこの未受験者というのが極端に多いケースが散見されるというところでございます。
 25ページは、その未受験者の割合の高い順に並べた図になっております。
 それから、26ページが合格率でございます。私立大学に特化した合格率の資料でございます。
 これが27ページなりますと、6年間で合格したストレート合格率、修業年限内で合格した学生の高い順に並べ替えたものが、こちらの図になっているというところでございます。
 それから28、29は、「薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針」の概要をつけさせていただいております。28年のこの2月の改訂によって、合格基準の相対基準の導入ですとか、禁忌肢の導入といったことが見直しとしてなされたというところでございます。
 次に、卒業生の就職状況ということで、31ページになりますが、まず、6年制学科の卒業生の就職動向、こちらにつきましては、御覧いただくと分かるように、主に薬局が3割強を占めている、4割ぐらいを占めているというところでございます。その次に病院、診療所といったところです。
 32ページが、一方の4年制の学科の卒業生の就職動向でして、こちらは大半が進学するというような状況になっております。
 33、34は大学院の修士と博士の進路動向の資料ですので、御参考までにつけております。
 35ページが、先ほどの6年制の卒業生の就職状況の一覧としたものになっておりまして、先ほどのグラフの詳細版でございます。
 37ページに飛びまして、就職先別の初任給というのも、参考としてつけさせていただいております。
 38もそうですね。
 それから、39ページからはこの会議の過去の審議内容ということで、まず40ページに、この会議の位置づけの資料をつけておりますけれども、薬剤師の養成という観点でいきますと、薬学教育という段階においては、文部科学省のほうで中央教育審議会等での議論ですとか、新薬剤師養成問題懇 談会、これは関係団体と厚労省、文科省等で議論する会というのがございますが、それに類する形で、文部科学省のほうで薬学系のリーダー養成の在り方に関する検討会というのを置いております。一方で、国家試験の免許等に関しては厚生労働省のほうで、医道審議会等から、後ほど紹介ございます薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会というような場で議論されているというところでございます。
 41ページは、前回の検討会のメンバー表でございます。
 42、43はこの検討会についての開催状況、44ページに、前回の検討会の中で示された、新制度の薬学部及び大学院における研究・教育等の状況に関するフォローアップワーキングの概要をつけさせていただいております。
 45ページは薬学系人材養成の在り方に関する検討会の第一次報告ということで、このときは主な話としては、今後の薬学系大学院の教育の在り方や、具体的な方策などを取りまとめたというところでございます。
 それを踏まえた自己点検・評価の提言というのが、46と47ページにつけさせていただいているというところでございます。
 48ページ、質の高い入学者の確保に向けてのフォローアップ状況ということで、今回の会議にも関連するんですが、前回この質に関しての課題のある大学というものが話題、議題になった際の詳細を検討するという中で、ヒアリング調査等を行ったときの概要でございます。そのとき書面調査によって、過去3年の入学定員充足率の平均ですとか、入学者選抜の競争倍率、実務実習修了率といったところから大学を抽出していきまして、その上で平成23年の卒業率が6割以下の大学に対してヒアリング調査を行ったというところでございます。この対象校については、48ページの下に書いているところでございます。
 それから49ページに、その書面調査とヒアリング調査を踏まえた所見ということで、いろいろ御指摘いただいておりまして、1つは留年者の多い大学等においては基礎学力不足であるとか、基礎学力不足の学生は国試対策だけでは厳しいといったところ、それから実務実習前に身につけておくべき学力の不足は、薬学を学ぼうとするモチベーション、意欲、学習を継続できる能力なども要因になっているといったところが指摘され、その後、50ページにございますように、2年後に改めてフォローアップを行ったということで、そのとき提言をおまとめいただいております。
 この中で入学者選抜の見直しですとか、入学定員の減少、教育方法、評価、教育体制強化、それから卒業生の評価ですとか、薬学教育評価をしっかりやるといったことですとか、情報の公表をしっかりやるというようなことを御提言いただいたというのが、これまでの経過でございます。
 51ページ以降に薬学教育の質保証に関する取組ということで、52ページに我が国の大学の質保証のイメージ図というものをつけさせていただいております。左側にありますように、大学については設置申請、設置認可の審査を通して新設されるわけなんですが、その後、4年制大学の場合、4年間について設置計画の履行状況の調査というのがなされているというところでございます。一方で認証評価や情報公開等によっての恒常的な質保証という枠組みを設けておりまして、それが右側に書いているところでございます。こういったことが、設置基準上に示されているところでございます。
 53ページには、その公的な認証評価とは別に、薬学教育においての分野別の第三者評価というのが検討されて、進められてきた経緯が書いてございます。
 54ページに、その実施主体である薬学教育評価機構の概要が書いてございます。
 この薬学教育の評価においては、55ページにあるような評価基準にのっとって、これまで評価が進められていて、56ページにその評価の実施結果等について書いてございます。現在、全大学に対して第1サイクルでの評価というのが終わっておりまして、これから第2サイクルに入っていくという状況にございます。
 それで58ページには、評価とは別に入学状況調査結果の公表というものを文部科学省のほうで進めておりまして、その中で各大学でばらばらなフォーマットだと見づらいということもございますので、公表用のフォーマットの統一化を図っているというところでございます。公表の内容につきましては、真ん中に赤字で書いておりますように、各年次の進級者数とか、標準修業年限内の卒業者、国家試験の合格者数の割合ですとか、6年次の卒業留年の割合といったものを公表するように進めております。
 59ページはその調査票で、60ページには文部科学省のホームページにおける掲載方法をつけております。
 61ページ以降、今日議論にはならないんですけれども、モデル・コアカリキュラムの資料をつけておりまして、次に、68ページからは薬学実務実習についての関連資料をつけております。
 その他、74ページ以降関係法規と、80ページには薬剤師数を参考でつけております。
 データとしましては以上でございますが、先ほどの情報等を踏まえまして、今回の議論の論点ということで、資料4のほうをたたき台として作成したところでございます。
 まず薬学教育の全体像をどうしていくかということで、今回、厚生労働省のほうで需給推計が示されましたが、将来的に薬剤師が供給過多となるといった状況、それから、18歳人口そのものが減少期にあるといった課題を踏まえて、薬学教育の質を保証する上で、薬学部が達成すべき水準についてどう考えるかといったところ、それから、社会的ニーズに対応した薬学教育の在り方ということで、薬剤師養成を目的とした6年制課程と、薬学に関連した多様な分野に進む人材の養成を目的とした4年制課程の導入の効果の検証といったところ、それから果たすべき役割の違い、個性や特色に応じた教育目的の明確化といったことについて、どういうふうに考えるかといったのが1つございます。
 それから2つ目として、薬学部教育における質保証の枠組みとそれをめぐる課題ということで、課題としては、先ほどの過去の調査でもございましたように、入学定員を充足していない大学ですとか、退学率や留年率が著しく高い大学、国家試験の合格率が著しく低い大学ですとか、国家試験対策に偏った授業を行う大学が存在するという状況の中で、薬学教育の質保証が課題となっているという観点から、以下3つの論点ということで、質の確保に係る考え方の整理ということで、医療を取り巻く環境の変化ですとか、国家試験と学部教育の関係などを踏まえて、薬学部教育において必要となる教育内容をどのように考えるべきかですとか、教育の質を保証する場合の一定の水準を何を基準として判断するかというところ、2つ目の教育研究体制や方法の整理ということで、質の高い教育を実施するための内容・方法や、実習施設等の在り方についてどう考えるか。教育研究指導に必要となる質の高い教員を確保するために、どういった方策を講ずるべきかと。薬学教育全般の評価の在り方についてどう考えるかというところがございます。
 それから、3つ目として、学生の適切な受入れや修学支援に関する整理ということで、一部の薬学部においては定員割れしているという状況の中で、適切な入学定員の在り方についてどう考えるかと。それから、質の高い入学者を確保するための改善方策をどう考えるか。適正な成績評価ですとか、進級判定、修了認定を徹底した上で、受け入れた学生が標準修業年限内に大学を卒業できるようにするために、学生への適切な教育支援など、いかなる方策を講じたらよいかといったところが論点になろうかというふうに考えております。
 ちょっと説明が長くなりましたが、以上でございます。
【永井座長】 ありがとうございます。
 続いて、昨年度より厚生労働省で行われています薬剤師の養成や資質向上等に関しての検討会で、薬学教育について提言がなされたところでございます。この点について、厚生労働省から御説明をお願いいたします。
【安川薬事企画官】 厚生労働省でございます。それでは、参考資料2を御覧ください。
 厚労省のほうで、昨年度来検討会をやっていましたので、その背景と概要を御説明したいと思います。薬学教育6年制が始まって十数年経過する中で、薬剤師の取り巻く環境、様々な変化がございましたので、こういった養成とか、今後のあるべき姿、そういったところを検討する場ということで、検討会を昨年の7月に設置して、議論を行ったところでございます。
 検討項目ということで、左側のほうに書いておりますけれども、薬剤師の需給調査から、養成、資質向上に関する事項、今後の薬剤師の在り方ということで、幅広な議論をさせていただきました。
 薬剤師の需給については、今後の人口減少社会の中で、どういった形で養成していくかというところ、考え方をまとめる際に薬剤師の需給というのは様々な場面で指摘されているところなので、厚労省としても、こういった形で検討したというところでございます。需給推計とか、あとは定員の話につきましては、国会など、いろいろな場面で指摘をされているところでございまして、文科省さんのほうでも、薬学部における入学定員の在り方については、この厚労省の検討の動向を踏まえながら適切に対応するというような話もありましたし、厚労省としても、文科省と協力しながらこういったことを進めていくというようなことで、方向性を示していたところでございます。そういったことの中で、検討会の中で議論させていただきました。
 1枚めくってもらって、ちょっと飛んでもう1枚先に、需給推計から先に御紹介しますけども、全体として需要と供給、今後どうなるかということで、令和2年から27年ということで25年間の推計をさせていただきました。需要についてはこの青の矢印で書いている範囲でございますけれども、この辺りは薬剤師がこれからどういった業務に取り組むかによって様々変化する内容でございますので、かなり機械的な推計にはなってしまっておりますが、今と変わらない現状で推計した場合の黒三角の推移、あるいはその業務、例えば在宅医療への取組とか、病院であれば病棟業務とか、そういったところにどんどん取り組むことによってニーズが高まった場合の推計というのが、白三角ということでの推計の幅ということで出しております。また、供給に関しては、先ほど国家試験の御紹介がございましたけれども、毎年1万人弱の合格者が出てきている状況でございます。それが現状と変わらない前提で増えたというところを仮定した場合の黒丸の推移、あるいは、今後の人口減少で、18歳人口が今後2040年ぐらいまでに2割程度減るというような推計もございますので、そういった機械的に推計したときの供給というのが白丸ということで、その範囲と。いずれにしても、当面、今後10年間は同程度で推移するんですけれども、今後は供給のほうが上回る、過剰になるというようなことで推計を出させていただきました。
 1枚戻っていただいて、そういった中で、いろいろな形で様々な提言をまとめているところでございます。薬剤師の今回のテーマに関するところを中心に御紹介しますけれども、先ほど養成に関して、入学定員に関しては一番上にございますが、薬剤師が過剰になると予想される状況下では、入学定員数の抑制を含め、教育の質の向上に資する適正な定員規模の在り方や仕組みなどを早急に検討し、対策を実行すべきということで、検討会の中でも、こういった入学定員の数の話、あるいは先ほど国家試験の合格、なかなか6年間で合格できない学生もかなりいるという状況も含めて、教育の質ということで、そういった数と質の両面の御意見が、この厚労省の検討会でも様々な議論がされたというところでございます。その中で、早急にこういったところは検討して、対応策を実行してほしいというようなことで、まとめております。
一方で、過剰と言われている中で、ただ現状も含めて、病院薬剤師を中心として、なかなか薬剤師の確保が難しいというようなところもございましたので、偏在解消というのも併せて取り組んでいかなければいけないということで、そういったところの提言もまとめているものでございます。いずれにしても、こういう養成の話、確保の話、両方の側面で議論する、検討していくというようなところでまとめているものでございます。
 あと教育に関しても、今後のこの検討会の検討課題になりますカリキュラムの見直しに関しても、見直しに当たってということで、検討会では今後の薬剤師が目指す姿ということで、薬局や病院、製薬企業も含めて様々な、薬剤師進路先がございまして、今後どういった在り方を目指すべきかということも検討会の提言ではまとめておりますので、そういったことを含めて、カリキュラムをつくってほしいということでまとめております。
 このほか、研究能力の育成も重要という視点もありますし、あとはその教育に対応できる教員の養成と質の向上というところも、併せて指摘がございました。
 また、先ほどいろいろな修学状況の話がございましたけれども、一部の大学では都合のいい数字だけを出してしまっているという現状がございますが、やっぱりきちんと正しい情報を公表するということで、そういったものをしっかり徹底することとか、第三者評価の結果の効果的な活用とか、分かりやすい公表、なども検討会では議論させていただいたところでございます。
 さらに、今日の検討に関しては、この検討会の本体の取りまとめの14ページ目のところで、先ほど文科省さんのほうでも御紹介ございましたが、平成26年の頃にいろいろ検討させていただいていた質の向上のフォローアップの形につきまして、当時指摘されたことが、現状においてもまだ改善されていないということで、この厚労省の検討会でも、繰り返し繰り返し指摘をされたところでございます。そういったところをどういうふうに改善するかというのはやはり課題ということで、こういったことでまとめさせてもらっております。
 また、こういう薬剤師の養成に関することにつきましては、18ページ目の一番最後に書かせていただいていますが、卒前・卒後の対応を一体的に考えながら議論すべきということでまとめさせてもらっております。そういった意味で、今日の、これからの議論の中にもつながるんですけれども、行政の観点、厚労省マターにはなるんですが、例えば国家試験の関係であれば、薬学共用試験との関係もございます。また、薬剤師が免許を取得した後の卒後研修も、厚労省の検討会ではいろいろ指摘をされておりますけれども、その関係につきましては、薬学教育の中の実務実習との関係、そういったところを連動させていく中で、どういうふうにこれから議論するかということを厚労省でも検討していきたいと思っております。
 そういったことも含めて、この文科省さんの検討会の議論を踏まえて、我々も薬剤師の資質向上に向けた取組をしっかりと進めていきたいと考えておりますけれども、こういったことが、まず厚労省の検討会で6月末に取りまとめられました。検討会自体は、まだ引き続き検討することにしております。 ただ、この検討につきましては、薬剤師の業務、調剤業務を中心とした検討を引き続き議論するという形でまとめております。そういった意味で、教育面につきましては、この検討を基に御議論いただければと思っております。
 以上でございます。
【永井座長】 ありがとうございます。
 ただいま報告いただいた内容、あるいは先ほどの論点メモ等を踏まえて、ここからは自由に意見交換を行っていただきたいと思います。
 それでは、適宜御発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
【田尻委員】 日本薬剤師会、田尻でございますが、発言よろしいでしょうか。
【永井座長】 はい、どうぞ。
【田尻委員】 まず、会議が始まる前に少し整理しておきたい部分があります。今日の資料の4、論点メモで、まず厚労省から説明のあった薬剤師養成検討会の報告書の中で、定員ですとか、薬学生の質であるとかの問題が、言及されているんですが、今日のこの文科省提出の論点メモで網羅されているか。当然教育について、厚労省は文科省に薬学教育を委ね、その評価を国家試験で行うという流れだと認識しています。そういう意味で、厚労省の報告書の中でも、ここに書いてある論点というのは議論され、それについて、それぞれの結果はある程度表に出ています。その論点に対し今後、文科省と厚労省がどういう連携をされるかということをお聞かせ願えればと思います。まずこの論点メモで、薬剤師養成の報告書の内容が網羅されているかということ、それから、今後両省がどのような連携を取って薬学生を育てていくのかというところについて御質問いたします。
【永井座長】 厚労省からいかがでしょう。あるいは文科省からいかがですか。まず……。
【成相課長補佐】 文部科学省でございます。質の確保という観点でどういったことが考えられるかということで、今回、この資料4という形で取り上げてきたというところでございまして、基本的にいただいている御指摘についていろいろ整理したという考えでございます。その上で、これまでもいろいろな会議については、厚生労働省さんの会議についても文科省もオブザーバーで参加するといったことで、様々な情報等の交換という形は取ってきたところでございますが、引き続き連絡を密にして、具体策については考えていきたいというところでございます。当然文科省でやるべきところは文科省で考えないといけないので、その辺については、引き続き考えていきたいなというふうに考えております。
 以上です。
【永井座長】 厚労省から何かありますか。
【安川薬事企画官】 厚労省の検討会での様々、幅広な指摘もございました。今回文科省さんのほうの論点で示されているところに大筋含まれているんだろうとは思うんですけれども、例えば定員に関しても、定員そのものの関係は、恐らく論点の入学定員の在り方で含まれるんだろうと思います。そういったところの中で御議論いただくべきものなのかなと思っておりますし、あとは文科省さんの参考資料もございましたけれども、大学の中では大学の適切な情報提供とか、あと第三者評価の活用とか、そういったところをどう考えるかというところもテーマかなと思っておりますが、この辺りも教育全般の評価の在り方の論点の中に含まれるのかなと思っています。いずれにしても、そういったところも含めて、質のところも非常に大事ですけれども、全体として御議論いただけるものと思っておりますし、あとはカリキュラムの見直しとか、そういった中でも、医療現場でこれからどういったことが薬剤師に求められるかというところが反映できるような教育というのをぜひやってもらいたいと思いますし、それに見合った試験、そして薬剤師の出口をしっかり我々としては検討していきたいので、引き続き連携を取りながら、この検討会の議論も含めて見ていきたいと思っております。
【田尻委員】 ありがとうございます。今までも連携を十分取れていたという認識もあろうかと思いますけれども、私らからすれば、これらの問題について文科省にお願いしていいのか、厚労省にお願いしていいのか、どちらにこの意見をぶつければいいのかというのがなかなか見えづらい部分もあります。先ほど少し申し上げたように、私のイメージとすれば、薬学教育について厚生労働省は、その教育の部分は文科省に委ねているという感覚が強いものですから、そういう意味で、どうしても文科省のほうに、申し訳ないのですが、強く当たりたい気分、気持ちがあるのですけれども、その辺りのところを踏まえて、両省で連携を今まで以上にさらに密に取りながら、私たち薬学教育に携わる人間からして納得いけるような結果を少しずつでも出せるような努力を、ぜひお願いしたいと思います。
【永井座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 山口委員、どうぞ。
【山口委員】 ありがとうございます。今の田尻委員の御意見についてなんですけれども、私も今、厚労省からの御説明があった薬剤師の教育及び資質向上検討会で構成員として関わってまいりました。その中で、かなり教育については議論をしてきていまして、また同じことを多分発言するんだろうなと思って、今日も臨んでおります。
資料で、今回の論点メモを出していただいたんですけれども、例えばちょっと資料を工夫していただいて、文科省が出してくださっている論点と、それに対して厚労省の検討会で出てきた意見というもの、これは厚労省に出てきた意見で、文科省で話し合うとしたら、教育だったらここの部分は重点的に話し合わないといけないとか、あるいはここは厚労も文科も委員の意見が同じだったというようなことが分かるような資料作りというのをしていただくと、連携していますということだけではなくて、委員の中でも整理ができるんじゃないかなと思いましたので、ぜひその辺りを少し工夫していただきたいということが1つです。
 今日は全体的にということですので、私は患者、市民の立場で関わっておりますので、患者から見た視点で薬剤師の教育ということについて、感じていることをお伝えしたいと思います。
 薬剤師というと、企業もございますけれども、薬局と医療機関が大半を占めて、今薬局では対物業務から対人業務、それから、今回薬機法の改正で服用期間のフォローアップをすることが盛り込まれました。それから医療機関との連携についても、必要性が問われるようになってきています。一方医療機関でも、やはりチーム医療の重要性や、病棟配置が進む、そして病棟業務以外にも、例えば手術室とか、治験に関係することとか、そういったことを考えると、結構患者と、あるいは他職種とのきめ細やかなコミュニケーションが、薬剤師にはますます求められるんじゃないかなと思っています。
 私たちの目から見たときに、確かに医療機関の薬剤師さんはチーム医療の一員として姿が見えるようになってきているんですけれども、この2006年に6年制が導入されて15年もたつわけですが、患者から見たときに目に見えたコミュニケーションを含めた成果という、6年制の成果というのが、なかなか患者には実感できていないという現状がございます。そういうことからすると、せっかく6年制にしたにもかかわらず、なぜそれが成果として見えてこないのか、特に薬局薬剤師さんに関して、そういうこともあって、服用期間のフォローアップとか、いろいろ改善が行われているところだと思いますけれども、やはり教育自体の見直しをしていく必要はあるんじゃないかと思います。
 私も複数の大学の薬学部で講義をさせていただく機会をいただいているんですが、私立大学の中には、1学年300人から350人という、本当に数多い学生さんがいらして、これだけの人数できめ細やかな教育が実際にどこまでできるんだろうと本当に疑問を感じることがあります。まず、一人一人の学生の顔の見える規模ではない。そういったことも含めて、やはり適正な人数ということを考えないといけないんじゃないか。ましてや18歳人口が減っていく中で、薬学部の大学は増える、定員はそのまま維持するということは、やはり限界というのが来るんじゃないかなと思いますので、やはりその辺りの早急な見直しが必要ではないかと思っています。
 さらに、6年間の教育を受けたにもかかわらず、私立の大学では、国家試験の合格率が6割に満たないところがある。これ受験する高校生や保護者にすれば、やっぱり薬学部に入るということは、薬剤師になれるんだという期待をして入るんだと思います。ところが入ってみると、実際に6割しか薬剤師になれない。今回先ほどの厚労省の検討会の取りまとめの14ページに、きちんと受験生や高等学校の進路指導者、担当者等に適切に数字を示すべきだということが書かれているわけですけれども、薬剤師になれるだけの学力の学生、例えば競争倍率が低いとか、受験科目が少ないとか、入学定員充足していないとか、留年とか退学率が高い、そういったところを重点的に見て、ある程度見直していく必要があるのではないかと思います。大学教育の中で学生が伸びるということも確かにあると思うんですけれども、やはり入学時点の学力というんでしょうか、それが大きくその後に影響しているという面は多々あると思いますので、薬学部に入るときの基準を一定レベルにしないことには、今の傾向は変わらないのではないかと思います。そういったことも含めての見直しが必要ではないかと思っております。すみません。長くなりました。
 それで1点だけ、すみません、質問があるんですけれども、参考資料3の13ページのところで、人口10万人単位の薬剤師数が出されていました。これ10万人単位ということで、医療機関、薬局、全部まとめた薬剤師さんの数になっているんですけれども、医療機関や薬局など就業場所ですね。その偏りというのが全然見えないんですが、見えるような資料があるのでしょうか。もしあれば出していただきたいと思いましたので、そのことだけちょっと質問させていただきたいと思います。
 以上です。
【永井座長】 今の点いかがでしょうか。
 じゃあ厚労省から。
【安川薬事企画官】 この資料に関しては厚労省の検討会でも出した資料でございますので、こちらから御説明いたします。
 取り上げた資料自体は薬局と医療施設とをまとめた資料ですけれども、たしか厚労省の検討会のほうでも、この資料と別で薬局と医療施設、それぞれの数字もグラフで出していた記憶があります。それで、結果的には同じような形で、何か明示的に相関性があるような形ではなかったんですけれども、それぞれ数値はございますので、データとしては示せる状況です。
【山口委員】 もしあれば出していただきたいと思います。やはり医療機関の薬剤師さんが不足している地域が結構あるというふうに聞いていますので、その辺り資料が出てきたらありがたいです。ありがとうございました。
【安川薬事企画官】 あと1点、補足ですけれども、これ統計的に薬剤師の数と人口というところでの表を出しているんですが、検討会でもいろいろな議論がある中で、結局何をもって不足しているかというときに、例えば医療機関の数については、それぞれの医療機関の、どういう業務をやっているかによって不足感が異なってくるので、そういったところを本当は比較しないと、単純に人口当たりということだと、明示的に差が出ないのかなというふうに感じました。ですから、実際にこれから偏在解消を考えていく際には、人口10万人とか、そういった比率だけではなくて、そこのある医療機関はどうかとか、それぞれのニーズがどうかとか、そこを踏まえて考えていくことが課題であり、これから我々としても整理が必要なのかなと思っております。
【永井座長】 よろしいでしょうか。
 では手代木委員、お願いします。
【手代木委員】 手代木でございます。よろしくお願いいたします。
 製薬会社に対する就労状況等、データが出ておりますが、最初に伯井局長のほうから、例えば今回のパンデミックに対して、日本発のワクチンが遅れていることでありますとか、これは業界全体が悪いのですが、昨年ジェネリック等で起こった品質問題でございますとか、本来は研究開発、生産、販売、あらゆるところにもっと薬剤師の方々、薬の背景を持った方々が入ってきていただいた上で、我が国全体として総合的に底上げをするというのが重要だと思っております。少し厳しいことを申し上げるようですが、実は6年制になって以来、私どもが就職のインタビューをさせていただくと、基本的に大学の先生からは、医療機関ないしは薬局で働くのが事実上ゴールだというふうにずっと言われているので、初めて製薬業界の人と会って、自分たちにも活躍の場があることをお知りになる方が相当おられます。日本全体として、そういったナレッジを持った方々をどう総合的に配置をするのかということに対して、非常に大きなマイナスが出てしまっているのではないのかというのが、率直に製薬業界からの受け止め方です。
 一方で厚生労働省からは、品質問題も含めて総括製造販売責任者は原則薬剤師が就くよう言われているわけですが、いわゆる製薬協に所属する新薬型の企業でいいますと、研究開発、販売領域は圧倒的に薬学部でない学部の学生さんが増えておられて、薬学部の比率はどんどん減っているという中で、教育にはやっぱりそういった就労の多様性が必要だと思います。国全体として見ると、実は山口先生がおっしゃったように、特に薬局の薬剤師さんに一般の方々が何を期待されるかというと、新しく出た薬がどういう状況だとか、これはどういうふうに開発をされたのかとか、もっとその薬について教えてほしいというニーズがあるにもかかわらず、企業でどんなことをやっているのかということを全く御存じでいないとなると、なかなか説明がしづらいだろうと思います。今回のカリキュラムの中で、内容的なことについては、私どもも創薬、あるいは国際的な競争力という点から、どういった教育をお願い申し上げたいのかお話させていただきたいと思いますが、全体的に過剰になる予定という薬剤師の数を見ると、製薬業界はみんなびっくりするような状況であり、我々のところに一切入ってこないし、多分入ってこない予定なのですけれども、どこで過剰になっているのだろうかというようなことを含めて、教育の抜本からその辺を、日本全体のバランスを取りながらお考えいただく、そういったことを今回の検討会で、少し方向性の中に含めていただきたく強く要望したいと思っております。
 以上でございます。
【永井座長】 ありがとうございます。
 それでは狭間委員、どうぞ。
【狭間委員】 ありがとうございます。狭間でございます。私自身は医師として臨床の現場で薬剤師さんと一緒にやっている立場と、それからこの学会自体は在宅での薬剤師さんの生涯研修のところで、あと自分でも薬局やっておりますので、薬剤師さんの現場での働き方の部分、あと幾つかの大学では、単発ですけれども講義もさせていただいていますので、薬学生さんから薬剤師さんまで、ちょっとこう教育とか、臨床部分で見せていただいているところで感じることを、永井先生のほうから自由にということでありますので、少しそこだけ踏まえて、多少振りかぶった形でお話ししたいと思います。
 医学部と歯学部との比較のスライドが先ほどもありましたけれども、やっぱり医と歯の医療における役割というのはかなりフィックスしていまして、やっぱり診断と治療をするんだというところに向けて、そのゴールに向かってどうやって学生さんをリクルートして、教育をして、国家試験にというところが決まっていると思うんですが、やはり薬学部は6年制になったということもありますし、それの基として地域医療のニーズが変化する中で、薬物治療の在り方もどんどん変わっていくと。そこにおいて、薬機法の改正もあるということにも代表されますけれども、やっぱり薬剤師さんの仕事の在り方、すなわち臨床、特に臨床の薬剤師さんのゴール地点というのが、少しずれているというか、動いているんだと思います。その動いているところに向けて、場合によっては10年に余る期間で、高校生を専門家へ育てて、現場で活躍するところにしていくというところで、少なからず、移行期特有の混乱とは言いませんけれども、少し課題があるのかなというふうに見てまいりました。
 それとともに、僕自身は95年に大学を卒業していますので、ちょうど89年から90年代に医学教育を受けましたけれども、やっぱり現場でやってくれている人が、特に臨床に行ったとき、臨床の実習が始まったときに、現場でやっておられる先生が来て話してくださるというのは、非常に自分の将来像を考えたり、もしくは自分の在り方を見直したりする上では役に立ったというか、そこは皆ふわっとしていても、やっぱりそこでぴしっと何かそろう感じが自分自身としてもありました。今、薬学部の中で、いわゆる臨床系の教員の先生方が、当然ながらたくさん大学ができる中で、たくさんいらっしゃるわけですけれども、やっぱりその先生方がある意味、何というんですか、青春を送った時代の薬剤師さんの在り方と、今、厚生労働省の中で議論されているような薬剤師さんの在り方が、少しやっぱりずれがあるので、そうなってくると、何かこう、少し学生さんとしては戸惑ってしまうところがあるんです。一例を申しますと、僕ら血圧を測ったり、脈拍を取ったりというのをこの学会のほうで伝えてきたんですけれども、今年、我々の薬局に就職するといって面接した子に、これ関西の新設ではない大学の子ですが、その子に「こういう血圧とか習ったでしょう」と言ったら、「習いました」と。でも、教えてくれる先生が、「これ将来使わんと思うけどなと言って教えてくれました」と言うんです。やはりそれは、教えられた本人としては、非常に自分の将来像がぶれるというか、やっぱりそういうところが大きいと思います。やっぱりそういう教育の将来像がどうなっているか、今、厚生労働省のほうでもそうやって検討会で議論されている、法律も変わっている。また、報酬制度も変わりながら、薬局の在り方も変わろうとしていると、ゴールがちょっとこう、かなり大きくぶれている中で、そこへ向けてモンキーハンティングのようですけれども、どのように一気通貫型のベクトルを合わせた卒前、それから臨床研修的な教育、そして将来教育へつなげていくのかというところは議論する、それがいいのじゃないのかなと思います。
 1点だけ、先ほど手代木先生のお話ありましたけれども、やはりどうなんですか、その4年、薬学部以外の子が多いというお話は本当にそうだろうなといったらあれですが、思ってまいりました。医学、お医者さんがということはないんですけれども、やっぱり医師免許を取って臨床した上で研究の道に進むと。私の同期にも何人もおりますけれども、それはやっぱりクリニカルクエスチョンといいますか、臨床におけるいかんともし難い課題があって、その課題に向かってどうやって取り組むんだと。iPSとまでは言いませんけれども、やっぱりそのことについて非常に大きな研究者としてのモチベーションがあって、そこで学際的に取り組んでいくと。でも、原点はやっぱり患者さんと1対1で接して、先生にありがとうと言ってもらったとか、先生ありがとうと言ってもらったとか、そこがやっぱりキーになって頑張るというふうなところが、医学研究の中にはあるように思います。恐らく薬学生、薬学部の、薬剤師さんの研究というところも、多分そういうふうな形にまたなっていくと変わっていくんじゃないかなと、そんな印象を持ちました。
 以上です。
【永井座長】 どうもありがとうございます。
 では田尻委員、どうぞ。
【田尻委員】 ありがとうございます。二、三点ちょっと御質問と、意見を少し述べさせていただきたいと思います。
 まずは今回大きなテーマになる定員問題についてですけれども、文科省としてどういう具体的対策を、お考えがあるのかないのか、実際私が知る限りでは、もう設置基準を満たせば、大学の意向で全体の定員が決まると。薬剤師の需給に定員数をコントロールする仕組みが示されておりませんので、どのようにお考えなのか。ですから先ほど地域偏在という話もありました。現在関東圏、それから九州も含めて関西もそうですが、既に多くの薬科大、薬学部がある。その周辺にまた新設されるということ、これが1つの問題でもあろうと思いますし、そういう密集したところにまた新設校が出ますと、現に最近新設された薬学部でも、開校当初から定員をなかなか満たすのが難しいという状況があると聞いております。その点に関して今すぐなにかできるのか、もしくはもう少し中期的に見てどう考えるかということもお教え願いたいと思います。
それから当然地域偏在の部分を考えれば、地域医療計画の中で、自治体ですとか、その周辺の自治体も含めて、薬剤師養成、それから確保というのを連携していく、そういう枠で考えていく必要があろうかと思います。やはり僻地、それから離島も含めてあるわけですから、そこに医薬品提供をする薬剤師をどう配置していくかということも、考えていく必要があろうかと思います。
 それから教育の部分で、実際学生にはコアカリがありますけれども、教員に対してコアカリ的なものはあるのかな。ちょっと皮肉って申しますけれども、そういう意味では最近の薬学教育というか、現場も含めて、臨床の部分がかなり多く求められています。学校の先生たちが、10年前の臨床のイメージで教育されても、先ほど狭間先生おっしゃられたみたいに、現場に即していない部分があろうかと思いますので、新設すること以前に、今いる教員、先生方をどう今風にバージョンアップしていくかということも視野に入れる必要があろうかと思います。
 それから、先ほど文科省からの説明でありましたように、学校の部分でいえば、実際のあるべき姿、実際の姿を父兄含めて大学を選ぶ場合の基準にするものとして公表しなければならない項目で公表されていますけれども、その大学を評価する薬学教育評価機構、今評価が2巡目に入っていますが、その評価が全く先ほど述べた父兄等必要な人たちに公開されていない、知らない部分があろうかと思います。その評価機構自体の評価自体が、やはり、例えばスコア化して見る側から分かりやすく示されていません。そういう大学の評価の公開のことも今後考えていく必要があろうかと思います。そういう意味では、アドミッション・ポリシー含め考える必要があると思います。アドミッション・ポリシーでいえば、今、私学の薬学部が2科目の入試科目で、それで事足りるわけがないと思います。生物と英語だけでどうするんだろうって。化学はどこに行っちゃったの、物事を考えるには物理が必要だね、創薬も含めれば、当然それは必要なことであるのに。ですから私学の1年生は高校の化学とか物理の再教育をしている実態がある。その現場の大学の先生たちも非常に苦労なさっていると思います。こんなつもりで大学の教授やっているんじゃないのにという声も私聞いたことがありますので、そういう現状があるということをぜひ文科省、それから厚労省も含めて、そのような事情も踏まえて今後どうするかということを考えていただきたい、今回の検討会である程度道筋を示していただければと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。長くなって申し訳ございません。
【永井座長】 ありがとうございます。
 それでは佐々木委員、どうぞ。その後土屋委員。
【佐々木委員】 ありがとうございます。私、日本薬学会の立場から、意見を申し上げたいと思います。
 日本薬学会は薬に関係する学術研究、それから教育、人材育成と、いろいろなところで貢献しているというふうに考えているのですけれども、この観点から見ると、今の教育制度に危機感を持っています。その1つが、先ほどテーブルに出ました、6年制学科を出た人の進学率が非常に低い。1万人ぐらい学生さんがいるのに、アカデミアに行く母集団になる進学者が極めて少ないという状況です。先ほどの今回の検討会の論点例に、研究、教育指導に必要となる質の高い教員を確保という言葉が出ていましたけれども、確保というのは、母集団があった中から高いレベルの人を選ぶという意味だと思うのですが、実際にこの薬学領域が直面している問題点は、母集団がいないということです。だから、確保ではなくて、やはり質の高い教員の養成ということを中心に置かなくてはいけないのではないかと思います。
 手代木先生もおっしゃったように、創薬というのも薬剤師が担う役割の1つだとの考え方だと、6年制を出てから創薬の基礎研究にも行っていいと思うのですけれども、文科省では、6年制と4年制の特徴づけという形で、2つの学科が互いにいいコミュニケーションを取らないような状況で、分化してしまっているような状況が見えると思います。これは薬学部では、両学科は薬を通して医療を支える学部であるというコンセプトでいけば、ちょっとおかしいに私に見えます。今回の検討会では、質の高い教員の養成というところも、ぜひ論点に入れていただきたいと考えています。
薬学会としては、そういうような意見お持ちの方が多いと思いますので、一応代表として、ここで自由討論させていただきました。よろしくお願いします。
【永井座長】 ありがとうございます。
 それでは土屋委員、お願いします。
【土屋委員】 土屋でございます。私今年度、国公立大学の薬学部長会議の幹事校を務めておりまして、その関係でこの会議に出させていただいております。
 早速ですが、6月にその会議を行いまして、今回大きな論点メモで1と2が出ておりましたけども、実はその2点とも、薬学部長会議で協議事項に上りました。まず、1点目の供給過剰につきましては、薬学部長の先生方より、今後新設校がまた増えることによって、質が下がるのではないかと。それと、一方でその質の向上ということと、それと相反する行動じゃないのかなというふうな疑問点が出ております。それともう一つのほうが大事と思うのですが、先ほど日本薬学会の佐々木先生からの御指摘がありましたが、6年制を卒業した後の大学院の進学、特に国公立大学の役割としましては、当然臨床薬剤師、質のいい薬剤師の養成も大切ですが、創薬、新しい薬を作る、それと新しいレギュレーションを考える、いわゆる国の製薬というか、薬に関するリーダーシップを務めるような人材をつくらないといけない。しかしながら、現在の博士課程の進学率というのが極端に下がってきている。これは日本の将来を、日本の製薬というか、薬の将来を考えると非常に憂い得るべき事態であるというふうなことも強く話題となりまして、これは文部科学大臣に対する要望書という中でも、記載させていただきました。
 それに関しまして、今手代木委員、製薬協会のほうからもお話ありましたように、今の薬学教育というのが、厚生労働省の方が医療現場に役立つ教育というふうなところをおっしゃっていただいていたので、それは非常に大事なことですが、その役立つ教育というのが一体何なのかと。先ほど狭間先生も少しおっしゃっていただきましたけれども、昔の教育を受けた者の、その経験に基づく役立つ教育というのと、今現在の現場で役立つ教育というのは少しずれが出てきているのではないのかなと。それにおいて、その役立つ教育というふうな定義の捉え方が、それを広く捉えるのか、狭く捉えるのか。狭く捉えてしまったら、本当に薬局で働く薬剤師、病院で働く薬剤師、それがもうゴールになってしまっているのではないかというふうなところを強く思っております。
 それで狭間先生がクリニカルクエスチョンを研究に持ってくるというふうなことをおっしゃっていただきましたけれども、まさにそれがこの博士課程への進学のモチベーションになるのではと思いますので、ぜひそのような方向性が出せるような提言をつくれればということを期待しております。
 それとあと1点追加として、この全国国公立大学薬学部長会議で大学院進学率が低い原因は何かというと、やはり、この場所で申し上げるのは非常に難しいのですが、大学院生への経済的なサポートです。6年間大学に行った後、あと4年間大学に行かないといけない。そうなると、その間、当然文部科学省様のほうからいろいろな奨学金とかは出ておりますけれども、やはりそういうふうなPRも含めまして拡充が必要かと。それと、特に国公立大学、非常に今財政的に厳しい状態もあるというふうなことも、この会議の中で出ておりましたので、その辺り全体的なサポートも含めまして、議論できればなと思っております。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【永井座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
【狭間委員】 せっかくですので、よろしいでしょうか。
 先ほど経済的なお話あって、これ深刻な、深刻というより重大な課題だと思います。で、変な話ですけれども、やっぱり免許を取って働き出した後、院生生活ということであれば、実験とか研究の段取りによっては、幾ばくかの収入を得ながら、学習活動、研究活動を続けることも可能というか、僕は自分で院生になったときには、何かそんなふうに過ごしておりましたが、ただ、やっぱり何かこう、サポートがあってより進みやすいというところがあると思います。
 もう一つ、やっぱり僕、これ以前も議論になっているんだと思いますけれども、やっぱり奨学金の問題が結構大きいんじゃないのかなと思います。薬学部に、特に私学の薬学部に行かれるときに、いろいろな奨学金を当然工夫されている方というのが、ちょっと僕今正確な数字思い出せませんけれども、少なからずいらっしゃって、例えば我々の薬局でも、1年働いた後転職したいと。どうしてと言ったら、これが返せないと。それは我々の払える部分が薬局としても限られているので、例えば先ほども表がありましたけれども、ドラッグストアさんだったらこれぐらいはもらえるので、そこでやっていく。結婚もしないといけないし、本当は働きたいけれども行きますというふうな子もいますので、やっぱりその、何というか、奨学金の話をここでするかどうかは別として、ただ学生さんの今後進学率のことであるとか、就職先、やっぱり病院に行く、行かないというところも、そういったところは少なからず関係しているんじゃないかなと思いますので、全然答えは持ち合わせていないんですけれども、多分そういったこと、経済的なこと、今御指摘あった経済的なことが、大学院であったりとか、いわゆるアカデミアでの活動をちゅうちょするような一因になっているんじゃないかなと思って、ちょっと発言させていただきました。
 すみません、以上です。
【永井座長】 ありがとうございます。
 乾委員、どうぞ。
【乾委員】 乾でございます。委員の先生方の非常に活発な御発言をいただいています。私はこの平成14年に始まった薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議のメンバーであったこともあって、それ以来、医療現場でずっといたわけでありますけれども、国立大学の薬剤部長として関わってきて、この6年制には積極的に手を挙げて、旗振りをしたのは事実であります。当初から新設の大学等については、いろいろ問題がありました。それで、あんまり過去のことを言っても仕方ないんですけれども、私、とにかく座長の永井先生がいらっしゃるし、それから小西先生もいらっしゃるし、医学と比べながら話をさせていただきます。私は薬学部出身ではありますが、医学部にとっぷりつかって、病院薬剤部最前線にいたということ、その後また薬科大学の学長をやったということもあって、いろいろな思いが込み上げてきます。残念ながら設置基準をつくるのにも関わって、そしてまた大学設置審の委員としてもずっとやってきたわけです。最初の頃、そこですごく矛盾を感じながらやってきたことは事実です。医師の場合には、閣議決定があるからもうこれ以上医学部はつくらないということを言われたんですけれども、とにかく私も薬学設置審の代表として、上の会に報告に行くと、これはもう設置基準を通っているからということで、薬学部設置の拒否はできないということなんですが、やっぱりその辺り、行政的なところですよね。そこのところは、やっぱり根本的にも問題があるということはもう間違いないんじゃないかなと思います。
それからもう一つ、田尻委員がおっしゃったことですけれども、最近でも新設の薬科大学ができている、それで設置審を通ったらそれでオーケーということになっちゃっているとおっしゃるんですが、最近の書類を、私、私立薬科大協会の参与としても関わっておりますので、出てきた書類を見たら、その中には、やっぱりその地域の薬剤師会がつくってくれと言っていると。それは両方の薬剤師会が言っているから、だからぜひ認めてほしいとか、そんな言葉が出てきているような書類があるわけです。だから、日薬としてやっぱりきちっと、日本医師会のような形で意見を出すということ、それは本当に必要なことではないかなと思います。だから文科省として、この閣議決定、薬学部に関しても、この大学設置ということに関して、何か医学部の閣議決定に相当するような形でこれからやっていただけるのかどうかということ、そのことについては本当に強く、今までから思ってきたことであります。
 それから、私、今日本薬学教育学会の理事長を拝命しています。先日永井先生は、自治医科大学で医学教育学会を主催されて、そこに、ここに委員でいらっしゃる小西先生が理事長として出席されていました。医学教育の場合には、それは私現役のときも感じましたけれども、本当に大学が一丸となって、やっぱりこの医学教育をしっかり取り組まなければいけないという、それが本当にありありと感じるわけです。私が薬剤師であっても、やっぱり医学教育はすごいなとずっと思ってきたんです。薬学部も今一生懸命やってます。一生懸命やって、それで成果は私は出ていると思います。決してそんなネガティブなことばっかりじゃなしに、さっきから随分ネガティブなことを言われていますけれども、いいところもあるので、そのいいところをもっと強調してほしいと思います。強いて言えば、医学教育学会では、具体例でちょっと申しますけれども、大学の機関会員、これは全ての大学が入っておられます。だけれども残念ながら、私たちの薬学教育学会はまだ全てになっていないんです。だから何としてでも、そういう医学系大学の意識を薬学の皆さんに持っていただきたいと思います。それから薬学教育学会に参加している人は非常にアクティビティー高いです。だけれども、参加していない人がやっぱりなかなか問題で、それで先ほども何人かの方がおっしゃったけれども、大学の教員が今の医療現場の実情をあまり知らないということ、それでついていけていないという発言もありました。だけれども、少なくとも薬学教育学会は、そんなことも含めて一生懸命努力しているということ。だから、やっぱりオール薬学でやっていく、その姿勢が今一番私は必要だろうと思います。長くなりますので、取りあえずこれぐらいで失礼します。ありがとうございました。
【永井座長】 石井委員、どうぞ。
【石井委員】 ありがとうございます。活発な御意見の下に、現場になかなか来てもらえない病院薬剤師会の立場として今日は参加してございます。
 まず少し、私自身は病院薬剤師の立場と、薬学部のある大学の教員もしておりますので、そこの辺りから少し御意見を申し上げたいと思います。
 まず、6年制に舵を切ってもう大分たっているにもかかわらず、薬学教員の現場への理解不足というのが非常に大きいと感じております。また、6年制の出口が臨床だけではないと思います。狭間先生もおっしゃったように、どんどん薬剤師業務が幅広く展開しておりまして、薬剤師はなくてはならない存在であるということと、私たちの薬剤師というのは、医師の指示の下に動いてはいけない職種であるということが理解されていません。ある意味、薬物治療に関しては監査業務をするので、有能な人材、しっかりと考えられる有能な人材をつくっていかなくてはいけないということを、やはり教員自体ももっと自覚していかなきゃいけないと思います。
 あと、やはり臨床現場と創薬をどうも教育側が切り離して考えてい過ぎると思います。創薬する人だからとか、臨床に行く人だからということで、その2つを切り離して考え過ぎています。私たち自身は、薬あってからこそ現場が成り立ちますし、また、その薬に対してのいろいろな御提言も、現場から申し上げることもございます。そこから研究の道に行くケースもございますので、やはり大学というのは、創薬する人を作る部分と、また、薬剤師というのは薬を現場でよりよく育てる存在でもありますので、そういった薬を育てる存在として考える能力を持った人材を育成するというのが大学であることをもう一遍考え直す必要があるように思います。今の議論ですと、創薬する人を育てる場、臨床現場を育てる場と切り離し、どうも職業を先行させてものを考えがちです。しかし、学生がしっかりと学問を習って、その上で職能に展開するというのが大学の立場のように思いますので、その辺りをもう一遍戻して考えていかないといけないように改めて思いました。
また、6年制が入って大分たちます。実はアカデミックにも若い芽は育っておりますので、そういう人がしっかりと伸びていくような場というのを展開しなきゃいけないようと思っております。
 以上でございます。
【永井座長】 ありがとうございます。
 それでは小西委員、医学教育の立場からお願いします。
【小西委員】 ありがとうございます。
 今、乾先生からもありましたように、私はこの会で何をしゃべろうかと思っていたんです。正直に言いますと、何も言わずに帰るわけにもいかんなと思って手を挙げたわけですけれども、1つは医学教育学会の理事長として、それともう1点は、立場的に今医学のコアカリの改訂が進んでおりまして、永井先生の下で調査研究の座長をしておりますこと、3つ目は、たまたま今年医師の国家試験の委員長をしているという、この3つのことがありまして、少しメタな立場からお話しするのが私の仕事かなと思いました。その面で、大学の意義という1点目、もう一つは学習者の評価、3つ目はプログラムの評価という3つの軸から、ちょっと本当にメタな話をさせていただきます。ですから、雑駁な意見だと捉えてください。
 今日の論点メモにも社会的ニーズという言葉がありますが、これが出てくるのが医療系の特徴だなと思います。一般の教育の、医学と関係ない教育の学会へ行きますと、社会のニーズと大学は何で合わせなきゃいけないんだというような話から出ますから、これが出るのが医学の特徴であると思います。しかし、どうも今の、今日の皆さん方の話を聞いていると、特に6年、4年というところを含めて、教育のニーズと現場のニーズ、現場というのも幾つかどうもあるようですが、少し整合されてない部分もあるのかなというふうに聞いておりました。社会のニーズだけに合わせてまいりますと、例えば医学部でも、大学とは専門学校なんだろうかというところがやっぱり論議されます。こういうところを含めて考えるべきだなと思います。コメントだけにとどめます。
 もう一つ、学習者の評価、学生の評価ということになりますと、やはり出口に何を置くのかという、評価の軸がどうなのかということ、僕もちょっと勉強していませんので、薬学のことがよく分からないのですが、例えばその1つが医師国家試験、ごめんなさい、薬剤師国家試験なんだろうと思います。これがどんな試験をされているのかによって、学生の勉強の仕方は当然ながら変わりますので、ただ、今お聞きしておりますと、6年は二十何単位でしたか、実務実習をされるということになっているようです。この実務実習での評価がどうされるのか、評価イコール試験ではありませんので、評価がどういうことになっているのかということをやはり考えるといいかなと思います。実習の評価で薬剤師になれるんでしたら、実習はやはり力が入って、学生は当然ながら力が入っています。評価は学習をドライブすると言いますので、ペーパーテストで薬剤師を選ぶとすると、学生はペーパーテストの勉強に走ると思います。これは自分が学生だったらそうします。
 3点目はプログラム評価ですけれども、今、医学教育でもJACMEという評価組織があるんですが、プログラム評価の組織がどんなものなのか、ちょっとすみません、私の不勉強で存じ上げません。先ほどスコアという話も出ましたが、スコアでやりますと、ホームページに出てきたスコアでみんなそこを見に行って、医学でも予備校がそこを見に行って、ここの大学は良い・悪いみたいなことが言われちゃったりしています。恐らく本質は改善のサイクルをどう回すかだろうと思います。ここに大きな評価機構の力点が置かれるといいなと思いました。これでサイクルの改善が回らないんだったら、この大学は退場していただくという一番のよりどころになるのではないかなと思います。すみません。私はちょっとメタな立場からコメントをいたしました。失礼します。
【永井座長】 ありがとうございます。
 田尻委員、どうぞ。
【田尻委員】 ありがとうございます。先ほど乾先生のほうから、日薬として新設校も含めての意見をはっきり発信していないじゃないかというように聞こえたのですけれども、日本薬剤師会としても、需給の問題と地域偏在は別の問題と捉えた場合に、当然新設については否定的で、これについては文科大臣にもその要望をさせて頂いたこともございます。ただし、例えば先ほど乾先生がおっしゃられたみたいに、地元の薬剤師会がというお言葉がありましたけれども、薬剤師会云々ではなしに、地域として地域の住民の声として、やはり薬剤師さんが地元に少ないから困っているんだと。そういう声があるのであれば、それは全く別のステージで考える必要があろうかと思います。ですから、定員数を増やすのか、数を増やしたら受験生の能力が下がるのか、そういうジレンマも抱えつつ、その中で冷静に第三者的に見たときに、真っ当に思えるのは、やっぱり需給の状態も踏まえて今後どうするかということを1つ、第一に考えるのが順番かと思います。
 それからもう一つ偏在の部分で、先ほど奨学金のお話もちょっと出ていましたけれども、実際現場に近い人間として言わせていただいたら、やはりその在学時代、例えば留年しちゃったからその学費が続かないので、公的な奨学金ではなしにあるところから奨学金をいただいたと。それで本当は自分は地元に帰って、地域に根差したあの薬局で仕事がしたいんだと仮に思っても、返済するために、奨学金をお借りした企業に勤めざるを得ない。当然これについては、病院に薬剤師がなかなかまだ数が足りないという1つの原因かと思いますので、このこともある意味考える必要があろうかと思います。
 それともう一つ、大学の評価について、見ていましたら毎年その判断基準が変わるわけではないけれども、割と柔らかい言葉で、改善が認められるから様子を見ようとか、もしくはここまで改善したからいいでしょうという、その判断の軸がはたから見たら見えづらい部分があるのではないかと思います。そして評価機構の評価自体、法的な拘束力も何もないわけですから、例えば評価機構の言うことを聞かずとも、来年の入学者の募集をすることができないとか、当然そんなことあり得ないわけです。ですから、先ほど自助努力の結果というお話もありましたけれども、そこまで待てないと。きちっと評価機構の評価を聞いてくださるところと、そうでもないような大学も幾らかあるような気がしますので、このような問題をどうするかということも同時に考える必要があろうかと思います。
 以上です。
【永井座長】 ありがとうございます。ちょっと時間押してきましたので、手短にお願いします。
 続いて、奥田委員、後藤委員、北澤委員の順にお願いします。
【奥田委員】 奥田でございます。私、国公立大学病院でずっと、30年ぐらい身を置いてきております。3か所、今3か所目なんですが、そのうちの2つは都市部にある、薬学部が併設されている大学です。もう1か所は、地方にある薬学部のない大学病院に勤務して、薬剤部長をしておりました。その実感から申しましても、先ほどから議論にありましたけれども、病院薬剤師が特に地方では集まりにくいということは、身をもって感じております。その要因については、様々な先生がおっしゃっていることが絡み合っていると思います。ですので、先ほど人口10万人当たりの配置ということについて、資料、意見もございましたけれども、やはりそういった観点から、もう少し突っ込んだ議論をしていく必要があるんじゃないかなと思っています。
 加えまして、病院薬剤師の面からしますと、昨今はタスク・シフトという議論が医師の働き方改革の流れから来まして、薬に関する役割をより、これまで以上に医療機関の中で求められる、そのための体制、人材育成という面も求められているかなと思います。そういったときに、やはり手代木委員からも御提案あったように、職域別にどういった薬剤師をどのぐらい育成していくべきだというような観点から、そういう観点から病院薬剤師の確保を今後どういうふうに進めていくか、育成を進めていくかといった観点での議論が必要なんじゃないかなと思います。
 一方でそういった人を育成するために、やっぱり卒前の教育というのは必要に、特に臨床薬学教育という面からの充実が必要だと思いますし、それを指導できる教育体制が、なかなか教員の質、経験の面からかなっていないというのが現状じゃないかなと思います。したがいまして、臨床薬学教育の推進のために、そういった質の改善は必要だと思うんですが、一方で大学の設置基準のところに至りますと、附属病院という、あるいは附属薬局、そういった医療機関の設置が薬学部には義務づけられていないということがございます。一方で実務実習を実施するための施設というのは確保する必要があるというふうに書かれているわけですけれども、実務実習の施設イコール臨床薬学教育施設ではない、その臨床薬学教育の一部が実務実習ではあると思うわけですが、そういった面からすると、今後の薬学教育の中で医療機関と大学との密接な連携というのは、低学年から高学年に至るまで、学生の教育の面でも必要だと思いますし、教員の育成のためにも必要で、そういったことをちょっと制度的にもう少し充実させていくことが必要なのではないかというふうに考えております。
 以上、私の意見です。
【永井座長】 ありがとうございます。
 後藤委員、どうぞ。
【後藤委員】 どうもありがとうございます。私立薬科大学に勤めて学長をしているんですけれども、私立薬科大学を1つで表現するのは、もうこれなかなかできないことですので、本学のことを中心に私の意見を述べさせていただきたいんですが、まず、先日も申し上げたんですけれども、資料4のところの論点メモ、それの1番目の2のところで、6年制と4年制の役割を分けておられるということが、私、大体が、先ほど石井委員からありました、創薬と臨床現場を切り離して考え過ぎるということの、私はここに原点があるんだと思います。なぜ6年制が薬剤師養成でというようなことでいえば、ここでいっている薬剤師というのは、薬局と病院の薬剤師の育成をやるのが6年制である。それで4年制のほうは企業とか大学、こういったところだということ、こんなことを平気で文科省の資料に書かれるということは、私非常に不満を感じているんですが、本学の場合には、前任の乾学長のときから、6年制の中で、現場の薬剤師も、企業も、行政も、全ての人材を出していくと。少なくとも全員薬剤師として出ていって、いろいろなところに散っていくという教育を展開してきたということですし、現在もそれを考えています。
 それで、これは大学として入学者のレベル、先ほどから何度か議論が出ました。非常に大きな問題だと思います。私立大学の状況を見てみますと、やはりこの入学者のレベルというのは非常に大きい問題だと思います。一方で、見事に本学のことが当たっているんですけれども、入学定員が多い大学できめ細かな教育ができるのかという疑問も出されましたが、多かったらきめ細かな教育ができないという論理は、僕はないというふうに考えております。
 それで一番は、大学でやるべきことというのは、確かに薬学部で臨床教育ということに関して、医学部と比べて少ない面はあると思うんですけれども、やはり職能教育をやるところではない。やっぱり大学としての教育をやるところが当然大学だと。それと、学生は今の薬剤師になるのではない。10年先、20年先の薬剤師として社会で活躍する人材を出していくというのが、私たち大学の使命だというふうに考えています。現在の薬剤師の活動というのを別に無視したり、必要でないということは言いませんけれども、それにあまりにもとらわれ過ぎているのではないかなと思います。10年、20年、社会が変革する中でも対応できるような人材を出していくのが、大学は本来の教育の目的だと思っております。
 それでもう一つ、最後に質保証の点なんですが、実は私はもう薬学部評価が質保証のものだというふうにして、1回目のときの大学の取りまとめでかなり力を使ったんですけれども、結局何も役に立っていないというのが正直なところでして、なぜあれがありながら、ここでまた質保証の議論をしなければならないのか。私はこの間も文科省の担当者の方にお尋ねしたんですが、その薬学評価と今回の質保証との関係というのは、一体どういうふうに整合性をつけるんですかということをお尋ねしたところで、2つも大きな労力をなぜかける必要があるのかというところも非常に疑問に思っているところです。
 どうもありがとうございます。以上です。
【永井座長】 ありがとうございます。
 それでは、最後に北澤委員、お願いします。
【北澤委員】 北澤です。私は薬学部が6年制になるときの議論に参加させていただいたのがきっかけで、今日もこの検討会に参加させていただいているんだと思います。私は薬剤師ではなく、医療や薬学について外から取材してきた立場です。なので、専門的なことについては理解が乏しいところもあると思うんですけれども、今日の議論を伺っていて感じたことを二、三述べたいと思います。
 まず、いろいろな問題が先生方から指摘された問題、学校の問題、それからお金の問題、それから進学の問題など、いろいろあったんですが、言ってみれば、これらはほとんど全て前から指摘されていた問題で、かつ、こういうふうになるんじゃないかというふうに予測もされていたことではなかったかと思っています。問題はいろいろあると分かっているんだけれども、これまでできていなかったということなのかなというふうに理解しています。
 一番今求められているのは、医療の現場もすごく変化しているし、薬の開発も変化しているし、それから、いわゆるオンライン化も含めて、ICT化というんですか、そういったものもすごく世の中進んで変化しているのに、それに薬学教育が追いついていないというところが問題で、ですから、この検討会でもその辺りを議論してほしいなと思います。
 そして、私のような外部の者から見れば、今先生方から指摘された問題は、それぞれ複雑に絡み合っているので、できれば問題を整理して議論していきたいなと考えております。
 それで最後に、ちょっと言いにくいんですけれども、この議論にもいろいろな立場を代表する先生方が参加しておられて、ある意味、自分の所属する団体を代表する意見というんでしょうか、言ってみればポジショントーク的になりがちなので、できれば、そういった立場を超えた議論を期待したいし、私自身もそういうふうに発言していきたいと思います。ありがとうございます。
【永井座長】 ありがとうございます。まだ御意見おありと思いますが、メール等で事務局にお寄せください。
 もう一つ議題がございます。今の論点に関する意見交換を踏まえまして、今後大学の状況等について、ヒアリングなどにより詳細を調査してもらうということを考えております。
 この点について事務局より説明をお願いいたします。
【成相課長補佐】 資料5を御覧ください。
 過去の調査においてもヒアリング調査を行ったという経緯もございまして、今回も薬学教育の質の確保に向けたヒアリング調査を実施したいというふうに考えておりまして、併せて課題の詳細の深掘りといったこともお願いしようというふうに考えております。そのためには幾つかのメンバーを選んで行っていければというふうに考えております。
 体制としては、質保証専門小委員会の座長については検討会の委員の中から指名するという形で、質保証委員については、座長が検討会の委員の中から指名する者のほか、必要がある場合は、外部の方で大学の薬学教育について知見のある者を委員とすることができるというような形にしております。
 調査とヒアリングについては、3ポツで書いておりますように、書面によって、先ほど各種データの中でも拾い上げていたデータを基に絞り込みをかけて、ヒアリング調査を実施するという形で進めたいというふうに考えております。
 以上でございます。
【永井座長】 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 特に御異議なければ、本会議は資料のとおり、議題に応じて小委員会を設けるという取扱いにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 (「異議なし」の声あり)
【永井座長】 よろしいでしょうか。よろしければ、この方針で進めたいと思います。
 なお、小委員会のメンバーにつきましては、事務局及び副座長とも相談の上、整理させていただきたいと思いますので、座長に御一任いただきたいと思います。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、本日の議事はここまでといたします。
最後に、事務局より連絡事項等をお願いいたします。
【成相課長補佐】 ありがとうございます。
 次回につきましては、先ほど座長からもございましたように、今後小委員会でのヒアリング等の調査結果も踏まえて、議論を行いたいというふうに考えております。資料6につけております当面のスケジュールという形で、おおむね12月頃を目途に考えたいと思っております。
 それから、詳細については、また別途御案内したいと思っておりますので、お願いしたいと思いますが、もし、本日の会議の中で言い残した点等ございましたら、9月3日の金曜日までに、事務局まで御連絡いただければと思っております。
 事務局からは以上でございます。
【永井座長】 ありがとうございます。
 それでは、本日はこれで終了といたします。先生方、お忙しい中ありがとうございました。

―― 了 ――

 

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