薬学系人材養成の在り方に関する検討会(第5回)・薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会(第6回)合同会議 議事録

1.日時

令和5年2月14日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

(薬学系人材育成の在り方に関する検討会)
永井良三座長、井上圭三副座長、石井伊都子委員、乾賢一委員、奥田真弘委員、北澤京子委員、小西靖彦委員、後藤直正委員、佐々木茂貴委員、田尻泰典委員、土屋浩一郎委員、西島正弘委員、本間浩委員、柳田俊彦委員、山口育子委員
(薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会)
井上圭三座長、本間浩副座長、石井伊都子委員、伊藤智夫委員、小澤孝一郎委員、角山香織委員、小佐野博史委員、小西靖彦委員、鈴木匡委員、高田早苗委員、高橋秀依委員、長津雅則委員、平井みどり委員、平田收正委員、矢野育子委員

5.議事録

【永井座長】  おはようございます。それでは,ただいまから薬学系人材養成の在り方に関する検討会(第5回),薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会(第6回)の合同会議を開催させていただきます。
 本日の有識者会議は,傍聴者にユーチューブにてライブ配信されております。
 では,事務局から,本日の出席状況,配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】  本日は,薬学系人材養成の在り方に関する検討会の手代木委員,狭間委員,それから,薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会の河野委員から欠席の連絡を受けております。また,小西委員,鈴木委員は,遅れて参加すると伺っております。
 薬学系人材養成の在り方に関する検討会については本日15名の委員,薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会の15名の委員が本日御出席となっております。また,厚生労働省からもオブザーバーとして出席をしていただいております。
 続きまして,配付資料の確認をさせていただきます。議事次第にございますとおり,資料1から4,参考資料1から8となってございます。事前に送付しておりますが,何か御不明な点等ございましたら,事務局に御連絡ください。なお,資料につきましては,文部科学省ホームページにおいても現在公表してございます。
 次に,オンラインでの会議の進行に当たってのお願いでございます。御発言される場合にはZoomの挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。その後,座長から順に御発言を御指名いただきますので,御発言いただく際は,マイクがミュートになっていないことを御確認の上,御発言をお願いいたします。そのほか,動作不良などございましたら,事前にお伝えしている事務局の連絡先までお願いいたします。
 本日の議題は,議事次第にございますとおり,薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について,その他となってございます。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 それではまず,議題(1)薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について,薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会副座長で,文部科学省委託事業を受託されていらっしゃいます薬学教育協議会代表理事でもあります本間先生から御説明をお願いいたします。
【本間委員】  おはようございます。本間でございます。
 では,早速でございますけれども,資料1でございます。この資料を使って御説明申し上げます。
 最初のスライド,次をお願いいたします。これは,既に何回か先生方にもお話を申し上げましたけれども,今回の「薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向けた基本方針」ということで,「再掲」と書いてありますけれども,改めてお示ししたものでございます。
 次をお願いいたします。このスライドは,これも既にお話ししているかと思いますけれども,今回のモデル・コア・カリキュラムの目次案です。案の項目を列記したものでございます。
 それでは次をお願いいたします。これはスケジュール案ということで,これも既に話をさせていただきましたけれども,11月に薬学系人材養成の在り方検討会及び薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会でモデル・コア・カリキュラム案について議論をいただいて,素案として確定させていただきました。それを昨年12月の一月をかけましてパブリックコメントに供したところでございます。年明け早々ですけれども,いただいたパブリックコメントに対して,ここにあります,私どもの協議会の薬学教育調査・研究・評価委員会,及び,その下に設定しております大項目のワーキンググループ,BからGまでございますけれども,そこでのやり取りによってパブリックコメントに対する回答案,対応案を御検討いただいたところでございます。それについてのまとめを,本日先生方に御説明申し上げて,御審議をいただくということでございます。
 次のスライドをお願いいたします。パブリックコメントに対する対応案というものを,一つ一つでございますけれども,概略を説明させていただきます。
 まず,前文の修正というところでございますが,最初のところ,薬剤師の使命についての部分を加筆というところですけれども,9ページ目の「薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂の概要」の冒頭部分につきまして,青地の部分,下線が引いてありますけれども,その部分を加筆したということでございます。薬剤師が適切に品質管理された医薬品を過不足なく効率的に国民に提供するということが非常に重要であるということで,改めてここに明記したということでございます。
 それから,次の○でございますが,学修目標,学修事項の説明を補足し,概念的理解についてより詳しく記載したということです。これにつきましては,11ページ,12ページに学修目標の説明文を既に記載しておりましたけれども,それについて少し説明を追加したほうがいいのではないかというコメントをいただきました。青線の部分でございますけれども,学修目標を説明するところに,「あるいはそのように判断・行動できるように,個別の知識や技能はどのように概念的に把握し一般化しておくべきなのかを目標としている。」という内容で,少し難しい表現ですけども,正確に表現してはどうかというコメントをいただきましたので,それを加筆したということでございます。少し難しくなったかなというふうに思いますので,私どもとしては,今後,この点を十分に理解していただくよう,周知に努めていこうというふうに思っているところでございます。
 次をお願いいたします。同じく学修目標,学修事項の説明のところでございますけれども,今のコメントは学修目標についてだったのですけども,学修事項についても少し説明を加えてはどうかというコメントをいただきました。学修事項がそこに青線で書かれておりますけれども,「技能」という言葉が足りないのではないかというコメントをいただきましたので,「技能」を追加させていただきました。また,学修事項の説明文の,「これらだけを履修すればよいということを意味するものではない。」という表現だったのですが,この「履修」という言葉を「修得」に変更してはどうかというコメントをいただきまして,それも修正させていただきました。
 次は,本文のほうに入ってまいりますけれども,まず,薬学の歴史に関する学修の追加ということでコメントをいただきました。主に2つでございます。薬学の歴史についての学修内容が少し足りないのではないかというコメントでございまして,それに対して,B-1-3の「薬剤師の社会的使命と法的責任」の学修事項(1)に,「薬学・薬剤師に関わる歴史的・社会的背景」ということを追加するという対応をさせていただいてはどうかということになりました。
 それから,同じく「B-4-2 医薬品等の品質,有効性,安全性の確保と薬害の防止」の小項目2,学修事項として,既に(1)に「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保に関する法律(薬機法)とその関連法令の規定と意義」というのが既に書かれてあったのですけれども,その中に括弧づけとして「(歴史的背景を含む)」という部分を追記したということでございます。
 それでは,次のページをお願いいたします。次の内容は,患者中心の医療等に関する追加・修正ということで,非常に重要なところでございますけども,コメントをいただきましたので,それに対する対応を御提案申し上げます。
 まず,「B-1-2 患者中心の医療」というところの小項目ですが,その学修事項に,情報共有と説明責任という学修事項を追加させていただきました。これはどういう目的かと申しますと,薬害の再発防止のため,患者さんとの十分な情報共有や被害を報告することの重要性を強調するというためでございます。実際の文章は,(5)と(6)のところに青の下線で引いた部分,「情報共有」と「説明責任」というのを加えたということでございます。
 それから次,「D-1-3 医薬品の安全性」の小項目の「ねらい」と学修事項も,表現を少し変えまして分かりやすくしたということでございます。「ねらい」の部分につきましては,青線になっているところですけれども,「原因,問題点や課題」という表現に変えて分かりやすくしたということ,それから,学修事項も,(2)のところですけれども,「薬害の原因と被害の実態」という言葉遣いに変えて,より伝わりやすくなったのではないかというふうに思っております。
 では,次をお願いいたします。次はスポーツに関するコメントをいただきました。それについても対応案として御提案申し上げます。
 最初は「B-3-1 地域の保健・医療」のところですけれども,その中の学修事項として,「医薬品適正使用における薬剤師の役割」という学修事項がございましたけれども,その括弧の中に「アンチ・ドーピング」という言葉を付け加えるということでございます。それから,その同じ小項目の中の(10)のところに「セルフケア,セルフメディケーションにおける薬剤師の役割」ということを,「セルフケア,セルフメディケーション」だけだったのですけれども,そこにおける「薬剤師の役割」ということで,はっきりと言葉を加えたということでございます。
 それから「D-2-20 セルフケア,セルフメディケーション」の小項目では,学修事項として,「(4)食事,運動等の影響」という新しい学修事項を追加させていただきました。これもスポーツに関わるコメントの一つでございまして,それに対する対応ということでございます。
 次をお願いできますでしょうか。そのほかの修正点をまとめたものでございます。一つ一つ簡単ですが説明させていただきます。
 まず最初は,薬剤師の記録に関する記載の追加ということで,「D-3-5 患者情報」の小項目の学修事項に,「(3)患者情報の媒体」というところに括弧をつけて,「(調剤録,お薬手帳など)」の媒体についての具体的な名前を追記いたしました。
 それから次,生涯研さんの重要性に鑑み,医学コアカリと同様に成人学習理論の記載を追加いたしました。成人学習理論というのは,少しなじみのない言葉でございますけれども,小・中・高校生までは生徒と呼ばれるかと思いますけれども,どうしてもカリキュラム上では,学校が与えたものや,その範囲を学修するといったような受動的なものであるということでございますが,大学生以上,あるいは社会人となりますと,その知識や経験が増えたり,その判断力はより備わってくるわけでございます。そういういわゆる成人に対する教育としては,主体的で能動的な学修を行うことが有効であるという考え方が,この成人学習理論というふうに伺っております。そういう理論を活用することが非常に有効であるという考え方です。なぜかと申しますと,既に薬学部の6年制教育においては,いわゆるPBL,アクティブ・ラーニング等の主体的に取り組む教育プログラムというものが既に用意されておりますけれども,その意義,その価値みたいなものを,教育学的に勉強しているとは必ずしも言えないということでございます。そういう意義あるいは方法論をしっかりと学べば,より成果が上がるのではないかというふうに考えられるわけでございます。また,薬剤師として求められる基本的な資質・能力として掲げておりますけれども,それらを卒業した後も生涯研さんに努めて獲得してほしいというふうにうたっております。となりますと,生涯にわたる学修においても,そういった成人学習理論というものを勉強することにおいて,より有効な学修につなげられるのではないかというお考えからのコメントだと思います。これは,医学のコアカリにもこの名前が取り入れられているということもございまして,薬学でも加えようという結論になりました。ただ,薬学の教員の方々にはまだ少しなじみのない言葉かなと思いますので,今後,シンポジウム等の機会を通して,この内容について周知するよう努めていかなければならないかというふうに考えているところでございます。
 ちょっと長くなりましたが,次へ参ります。動物実験についてでございます。これも動物実験の「代替法」という言葉をはっきりと加えさせていただきました。動物愛護の視点に立ちますと,この代替法という言葉が大事だという結論でございます。
 次は,疾病予防,セルフケアの観点から食品と薬品の区別に関する学修が重要ということで,E-2-1のところの学修事項に「食薬区分」,食品と薬品の区分ということを明記したということでございます。
 それから次は,筋弛緩薬と筋系疾患等の治療薬を区別したということですけども,素案では,筋弛緩薬という言葉が不明瞭なので,はっきりさせてくださいというコメントでございましたので,筋弛緩薬と筋系疾患というものをきちっと区別し,それの治療薬ということで明確にしたということでございます。
 では,次のスライドをお願いいたします。その他でございますが,最初,Fの臨床薬学の大項目の学修目標というところに,キーワードである「薬学的管理」という言葉がないという御指摘を受けました。御指摘の通りでございますので,この言葉を加えることにいたしました。
 それから次は,薬力学の学修事項が足りないのではないかという御指摘も受けました。これもDグループで改めて御検討いただいて,以下のような下線部の部分を加えたということでございます。
 それから全体として,他の項目とのつながりをより分かりすくなるように追記したり修正をいたしました。それから,文章として分かりやすくなるように,助詞,接続詞,動詞,こういうものも一部修正をさせていただいたところでございます。
 次のスライドをお願いいたします。少し細かいことでございますけれども,御紹介させていただきます。項目名の変更ということでございまして,B-4-2,これは「及び」という言葉を付け加えたとか,あるいはD-2-5,これは「神経系の疾患と治療薬」という小項目名だったのですけども,これだと少し分かりにくいという御指摘をいただいて,「中枢神経系,精神系の疾患と治療薬」ということで表記をさせていただきました。
 それから,D-2-16もそうなのですが,この「悪性新生物」という言葉と「悪性腫瘍」,それから「がん」という言葉が混在しておりましたけれども,その御指摘をいただきました。そこで,「悪性腫瘍(がん)」ということで統一することになりました。
 それからD-2-18で,「遺伝子組換え医薬品」という語句がないという御指摘をいただきました。遺伝子治療と遺伝子組換え医薬品とはもちろん違うわけでございますので,明確に遺伝子組換え医薬品という語句を加えたらどうかという御指摘で,それに対応させていただきました。
 それから用語の整理,これも一部重なっておりますけれども,先ほど申し上げました悪性新生物を「悪性腫瘍(がん)」ということで統一をさせていただきました。それから調剤薬の「鑑査」という言葉も,「かねへん」があるものとないものが混在しておりましたが,「かねへん」を取って「監査」ということで統一をさせていただきました。それから「臨床実習」という言葉も,「臨床実習」と「実務実習」が混在しておりましたが,「実務実習」という言葉で統一するということでまとめさせていただきました。それから,「臨床心理」は「臨床心理学」が正しいということで,これも修正をいたしました。
 次をお願いできますか。次のスライドも同じく用語の説明でございますが,「記述的統計」という言葉遣いをしていたのですけれども,これは正しくは「記述統計」だという御指摘をいただいたので,それも修正をいたしました。それから,「推論的統計」という言葉も,「推測統計」が正しい言葉遣いだという御指摘をいただきました。これも修正をさせていただきました。それから次,「製薬企業」という言葉遣いがあったのですけども,これは「製造販売業・製造業」ということに修正をさせていただきました。それから,次の2つはいわゆる分析系の言葉なのですけれども,略語表の表記と本文の表記がずれておりましたので,これは略語表のほうに統一をさせていただいたということでございます。それから最後,「天然素材を利用した機能性食品」ですけれども,これもCの領域,いわゆる基礎薬学の領域の学修事項だったのですけれども,「天然物を利用した機能性を示す食品」ということで,基礎の薬学の領域にふさわしい表現に変えさせていただいたところでございます。
 次,お願いできますでしょうか。今までは修正について御説明申し上げましたけれども,ここにつきましては,いろいろな御意見をいただいたのですけれども,ここに書きましたように,改訂方針にそぐわないということで,対応を今回は見送ったという内容のものでございます。
 学修事項の追加等を求める意見ということに対する我々の考え方でございますけれども,学修事項が足りない,こんなことも加えなきゃ駄目だということでいろいろ御意見いただきました。基本的には,詳細な内容をもうちょっと書いたほうがいいとか,例示を多くしろとか,あるいは基本的には網羅的に書いたほうがいいという御意見が主でございました。ですけれども,今回のモデル・コア・カリキュラムの改訂の基本的な方針が,学修目標を概念化して,その例示として学修事項を示すという立ち位置でございます。ですので,学修事項を網羅的に増やしていくということは,今回は基本的には避けたということでございます。これは御理解いただければ幸いでございます。特に以下の例を示しておりますけども,こういったところでは,学修事項の追記については網羅的には記載しない方針ということにさせていただきました。御了解いただきたいと存じます。
 それから次ですけども,心理学領域の内容を充実すべきという意見,これも幾つかいただきました。確かに,今回のモデル・コア・カリキュラムにおいては,心理学の内容については,御指摘のようにあまり取り入れていないかと思います。これは非常に重要な点だと十分に認識しておりますけれども,これは今回ではなくて,今後の検討,次回のモデル・コア・カリキュラムの改訂につなげるということで,非常に貴重な御意見として承って,今後へつなげていきたいというふうに思ってございます。
 ありがとうございました。次のスライド,これが最後かと思いますけれども,今後の活動について少し,簡単ですけども申し上げます。薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂の周知ということで,シンポジウム等を開催する予定にしております。これは,新年度に入ってから開催を予定しておりまして,準備を進めているところでございますけれども,内容が決まり次第,広くお知らせ申し上げるつもりでおります。
 それからもう一つ大事な点がございまして,薬学教育モデル・コア・カリキュラムを英訳する必要があるということでございまして,医学,歯学のほうではもう既に英訳を完了されていらっしゃいますけれども,私どもも同様に英訳をしたいというふうに思っております。これも来年度以降,速やかに進めていこうと考えているところでございます。
 雑駁でございましたが,以上,改訂モデル・コア・カリキュラムに対するパブコメに対する対応案をお話させていただきました。
 永井先生,以上でございます。よろしくお願いいたします。
【永井座長】  ありがとうございました。それでは,ただいまの本間先生の御説明につきまして,御質問をお受けしたいと思います。少し区分して,まずは前文からCの辺りを30分,DからGを30分,その他を20分,そんな区分で御議論いただきたいと思いますが,まず,前文からCの辺りまででいかがでしょうか。
 区分が難しければ,どこからでもよいように思いますが。
 いかがでしょうか。時間は十分にございますので,お目通しいただいて御発言いただければと思います。
 いかがでしょうか。それでは,佐々木委員,どうぞ。
【佐々木委員】  学修目標の11ページから12ページのところで追加された文章があり,これを読んでいて,本間先生もちょっと分かりにくいとおっしゃったのですが,聞いていましても,何がどう目標なのかが少し分かりにくい文章なのかなというふうに思いましたので,ここのところ,5ページのところですかね,ブラッシュアップしていただければいいかなと感じました。
【永井座長】  具体的にはどの辺りでしょうか。
【佐々木委員】  学修目標で,5ページのところ,「前文の修正」というところでですね。
【本間委員】  そうですね,スライドでいくと5ページ目かなと思いますが。
【佐々木委員】  はい。
【本間委員】  ありがとうございます。私,お答え申し上げます。おっしゃるとおりで,最初の文章,最初の案のところは,ちょっと読ませていただきますけれども,「個別の知識や技能を修得するだけではなく,これらを活用してどのように判断したり行動したりできるようになるべきか」というところで止まっておりました。ですが,恐らく,教育学的な表現からすると,後ろの文章を加えたほうが正しいかなというふうに思っております。私どもも,そちらのほうが正しいというふうに理解をいたしております。ただ,いきなりこういう文章を広く教員の方々にお示ししても,なかなか分かってもらえないかなというふうな危惧は確かにございます。ただ,この文章は教育的には正しい文章でございまして,そういう意味で,このまま追記をさせていただいたんですけれども,先ほどちょっと申し上げましたけれども,この部分につきましては,非常に大事な点というふうに思っております。今回のモデル・コア・カリキュラムは,学修目標を本体として据えましたので,いかにこの学修目標が本体として成り立つのかということ,それから学修事項というものがあくまでも例示であって,学修目標の達成が主体であるという,そういうことはずっとこれまでも説明させていただきましたけれども,まだまだなかなか伝わっていないというところもございまして,この表現もさることながら,学修目標を中心とするモデル・コア・カリキュラムの意義といいますか,我々の意図といったものを,機会を設けて御説明申し上げなければならないなというふうに考えております。佐々木先生のおっしゃることはよく承知いたしておりますので。
【佐々木委員】  私は,ここに書かれている内容はすごくいいなと思って賛同しているところなのですが,文章がちょっと分かりにくいなと思いまして,ちょっと文章を工夫していただけないかなということを御要望で申し上げました。
【本間委員】  分かりました。こちらで教育学的にも正しい文章になるように,少し,こちらで考えさせていただきます。
【佐々木委員】  よろしくお願いします。
【本間委員】  ありがとうございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 山口委員,どうぞ。
【山口委員】  ありがとうございます。私も,今のところがちょっと日本語として分かりにくいと思いましたので,ここはやはり整理していただく必要があるかと思います。
 今,前文からCまでとおっしゃったんですが,それ以外でもよろしいんでしょうか。
【永井座長】  はい,どうぞ。
【山口委員】  11ページのところで用語の整理をされた中で,臨床実習を実務実習に統一したと御説明があったんですけれども,私の印象では,臨床実習というのが一般化していて,まさしく臨床実習というと,患者と向き合うというイメージがあると思います。ところが,実務実習になると,何か対物みたいな感じの印象が強くなってしまい,今,薬剤師さんが対物業務から対人業務へとシフトしている中で,ちょっとこれはイメージが逆行していないかなと少し気になったんですが,臨床実習ではなく実務実習ということになった理由について教えていただければと思います。
【本間委員】  山口先生,どうもありがとうございます。我々としては,実は,このモデル・コア・カリキュラムを作成する過程において,臨床実習という言葉を使いたいと考えておりました。山口先生のおっしゃるとおりでございました。これまでの実務実習という言葉から受ける印象ではなくて,まさに対人としての臨床実習という言葉遣いを使いたいという気持ちで進めてまいったのですけれども,薬学部の設置基準の中に,実務実習という言葉が既に規定をされていまして,そこを変えるのは,少し難しい問題であるというふうに伺っています。そのために実務実習という言葉で統一していくというふうになったところでございます。これにつきましては,恐れ入ります,文科省の方がいらっしゃいますので,コメントいただければありがたいなと思いますが,いかがでしょうか。
【山口委員】  じゃ,その前にちょっと一言よろしいですか。
【本間委員】  はい。
【山口委員】  以前から規定されていた言葉ということですが,やはり今,薬剤師さんに求められるものが大きく変わってきているということからしますと,設置指針のほうのそちらも改訂していく必要があるんじゃないかと思いますけれども,それも含めてコメントいただければと思います。
【本間委員】  恐れ入ります,文科省のどなたか,御対応いただけますでしょうか。
【事務局】  事務局からお答えいたします。
【本間委員】  はい,お願いいたします。
【事務局】  今御指摘いただいた実務実習という表現ですけれども,御指摘もありましたが結構長く使われてきております。平成8年の協力者会議においても実務実習という言葉が使われてきておりまして,平成18年度からの6年制薬学教育においても,薬学実務実習という言葉が使われてきているという状況ではございます。
 また,その臨床という言葉自体にも,病床に臨むという意味があって,現場でも一部使用されている状況だというふうには承知をしております。
 また,今回のコアカリ改訂においても,一方でその病床に臨むこと以外についても,セルフケア,セルフメディケーションといったようなこともございますし,現在使っている表現と混在するということで,現場に無用な混乱を生じさせかねないかなというところも今考えているところでございますので,慎重にここは検討していく必要があると思いますが,現時点においては,実務実習というこれまでの表現を使うということとしたいと考えております。
 すみません,以上です。
【本間委員】  今,コメントいただいたとおりなんですが,山口先生,いかがでしょうか。
【山口委員】  医科でも,今,参加型をつけて参加型臨床実習というような言い方をしているところでもありますので,病床に臨むというよりは,やはり患者に臨むという印象のほうが強いのかなというふうに私自身は思っています。ほかの委員の方,どのように思われるかお御意見お聞きできればと思います。
【永井座長】  いかがでしょうか,この件に関して御発言。では,補足して……。
【鈴木委員】  「F 臨床薬学」担当鈴木でございます。
【永井座長】  はい,どうぞ。
【鈴木委員】  よろしいでしょうか。山口先生,大変貴重な御意見,私もその意見を待っておりまして,本当にありがとうございます。「F 臨床薬学」のほうも,今山口さんから御説明いただきましたように,人に対応するということを非常に重視した学修目標をつくってまいりました。その中で,やはり検討の中でも,臨床実習という言葉を,医学部や歯学部等と一緒に,医療系だということを強調するために使っていこうという方針で行ってまいったのですが,今回,コアカリはやはり文部科学省が出す正式な文書ですので,文章の中で使う言葉はやはりきちっと,ある意味法律的に定義されたものを使うということでは致し方ないなということになりましたが,今,山口先生からいただきましたエールのように,中身も含めまして,実務実習から臨床実習にこれから変えていくということで,まずはここの文章につきましては現行の法律に従うということで,私どものワーキングのほうでは一応結果を見ております。ただ,これから先,先ほど申し上げたとおり,現実的な問題も含めまして,きちっと臨床実習に向かっていくという方向でやるということはこれからも進めてまいりたいと思いますので,よろしくお願いいたします。そういうことでいかがでしょうか。
【永井座長】  田尻委員からどうぞ。
【田尻委員】  この文言,用語については,私たちも常々,実務という表現が実際どうなのかというのは,日本薬剤師会内でも色々な意見があります。今,山口先生がおっしゃって下さったように,実務実習といったら全く夢をなくしてしまうイメージがあります。だから,今までどういう経緯があったか,私はあまり分かりませんけれども,気持ち的には臨床実習なんですね,既にやっていることが。OTC云々,物販の部分もあるんでしょうけども,セルフメディケーションのことを考えたときに,やはりそれは臨床に近いことだと思うのです。今回は無理にしても,将来的には、この用語というのはそういう方向で整理していただいたほうがありがたいと思いますし,もし可能であれば,臨床実務実習でもかなりイメージが変わってくると思うんですけれども,そのようなことも含めて,今回もしくは次回に検討できるのであれば,それを反映させていただければありがたいと思います。
 以上です。
【永井座長】  それでは,乾委員,どうぞ。
【乾委員】  乾でございます。今,非常に貴重な御発言を皆さんからいただいて,私も本当にそのとおりだと思います。私,当初の6年制が議論された頃から関わっていて,かなり今の点は気にしていたんです。ただ,スタートしたあの頃に,薬学で臨床というのは抵抗があって使いづらかったんですよね。それで,前回のこの検討会でも発言したと思いますけど,今度,臨床薬学という言葉も堂々と体系づけて書いていただいていますから,やはりこの際は,そういう時代の流れで変わってきているということを社会に向けてアピールするということ,それは非常に大事だと思います。
 それで,特に私は,前回も話したと思いますが,医学に対して薬学の変化の度合いが本当にここに来て大きく変わってきているわけですから,もう大体社会的な合意も得られているんじゃないかなと思いますので,いつまでも実務ということにこだわるんじゃなしに,今,本当に貴重な発言を皆さんしていただいていますので,この際,文科省のほうも,そこは時代の流れで変わっているということをしっかりと社会に向けてアピールしていただきたいというのが私の強い願いでございます。
 以上でございます。
【永井座長】  小西委員,どうぞ。
【小西委員】  恐れ入ります。遅れまして,大変失礼いたしました。
 今,私は病院の院長をしております。個人的立場でございますが,その立場から考えましても,薬剤師さんというのは,昔のように調剤で薬局に閉じ籠もっているということは,もうほぼありません。病棟に出るのみならず,手術室,もしくは血管造影などいろんなところに出てきてくださっています。内視鏡室にも薬剤師さんが常駐しているようなことが私の病院でも起こっています。それを考えますときに,実務実習というよりは,私は臨床実習というようなことのほうが,やはりそぐうのではないかと思います。私の理解が違っておりましたら御訂正ください,卒後でも恐らく私の覚えでは実地研修という言葉がまだ使われていたのではないかと思いますが,こういうところも含めて,文科・厚労でも,この名称についてはまた,法律のことは私は申せませんので,お考えいただければと思います。
 以上です。
【永井座長】  山口委員,いかがでしょうか。
【山口委員】  どうもありがとうございます。何度もすみません。
 今,皆さんのお話を伺っていて,やはりこのコアカリは,これからの薬剤師になっていく若い人たちに向けてつくられているものですので,実態に合わすというようなことで,やはりコアカリは臨床実習のほうが私もいいんじゃないかなと思います。
 その設置指針の中にある実務実習という言葉がいつから出てきたのかということをいま一度検証していただいて,時代の変化ということを考えて,そちらを見直すという方向で進めたほうが,より現実的で,薬剤師さんに求められるものが本当に変わってきたんだというようなことの実証にもなるんじゃないかなというふうに思います。
 以上です。
【永井座長】  柳田委員,どうぞ。
【柳田委員】  多くの先生がおっしゃっているように,やはり臨床という言葉のほうがふさわしいのではないかと思います。先ほど,病床に臨むということで臨床という言葉を定義されていたと思うんですが,実際には,患者さんに向き合うという使い方が普通でしょうし,医学においても外来あるいは在宅とかも含めて全部臨床実習という言い方になると思います。また,私自身は臨床薬理ですが,臨床薬理の定義は,病床に臨むではなくて,人を対象にする薬理を臨床薬理と言っておりますので,決して病床にとどまるものではないと思いますので,ぜひ,言葉の定義も含めてもう一度再検討していただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
【堀岡企画官】  先生,よろしいですか。すみません,文科省なんですけど。
【永井座長】  はい,事務局どうぞ。
【堀岡企画官】  すみません,いろいろ御指摘いただいて本当にありがとうございます。私どもも官僚的にこだわっているわけではなくて,実は,医学とか歯学というのは,省令とか法律とかそういうもので臨床実習という言葉を決めているわけじゃないんですね。なので,言葉の語感としては,意味としては正しいと思いますけれども,実は薬学だけ省令で,薬学の実務の実習という言葉がはっきりと法律というか省令で出てきてしまっているんですね。薬学に関する臨床に関わる実践的な能力を行うことを目的とする薬学実務実習と入っちゃっているので,この言葉の語感があれなのは先生方の御意見も聞いていて分かりますので,今後も省令とか法律を変えるというのは,そんなに簡単なことでもないので,今後の検討課題として,それも一緒に変えるとか,そういうことも検討していきたいと思います。
【永井座長】  いかがでしょうか。井上委員,どうぞ。
【井上委員】  皆さん方のおっしゃるとおりですし,我々自身も,何としてもここは臨床実習と変えたいというふうにずっと言ってきたんですね。今,文科省の御発言にもありますように,そう簡単には変えられないんだということで,しかも,このコアカリの作成というのは時間が限られていますので,その中で臨床実習と変えるのは難しいというのは,私も最終的には理解しました。でも,実際の現場では,例えば大学で,実務実習という代わりに臨床実習という言葉を使う分には,それは文科省としても構わないというふうにおっしゃっていただいていますので,我々は,このコアカリの上では,実務実習という言葉を使わないわけにはいかないということは理解して,その他の機会では,これは臨床実習というふうに我々は呼ぶことにしましょうと言っても,それはそれでよろしいんじゃないですかという感じの文科省からの御意見もいただいていますので,そういうことを我々がいろんな機会に臨床実習というようなニュアンスを伝えていけばいいんじゃないかなと思います。よろしくお願いいたします。
【永井座長】  いかがでしょうか。「臨床現場における」とか,何かそういう前提の言葉をつけつつ使うということでしょうか。そうすると,次第にこれは臨床実習だという意図が一般化されていくように思います。すぐに法律で変えるのが難しければ,修飾語でそのニュアンスを出していくというのが一つの考え方のように思いますが,いかがでしょうか。臨床現場における実習だということですね。
 よろしいでしょうか。法律のことは今後さらに御検討いただければと思います。
 その他の点について,いかがでしょうか。どの範囲でも結構でございますので。
 よろしいでしょうか。もし御意見なければ,議題の(1)はここまでとして,井上先生から何か補足等さらにございませんでしょうか。
【井上委員】  いや,今の臨床実習というようなことも含めて,そのほかいろいろと御指摘いただいていることは我々も承知はいたしております。まだまだベストという状況では到底ない,今後も再検討を重ねて,次の改訂が6年後にという割と近い間に改訂もあるわけですので,それに向かって,さらに少しでも前進していきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは,先ほどの御意見を含めて,本日の御意見については座長預かりとさせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは,その他に参ります。資料3と資料4の説明を事務局からお願いいたします。
【事務局】  事務局でございます。資料3を御覧いただければと思います。
 6年制薬学部の定員抑制につきまして,制度化を図るための告示案について御説明させていただきます。
 昨年8月の薬学系人材養成の在り方に関する検討会におきましてお取りまとめいただきました内容のうち,定員抑制の部分について制度化を図る案でございます。
 資料3の1ページ目,「概要」を御覧いただければと思います。白丸で3点ございますけれども,この3点について御説明いたします。
 まず1点目,薬剤師の養成に係る大学等の設置及び収容定員の増加につきましては,この大学等の認可の基準の中に,その増加でないことということを新たに追加をいたしまして,今後,薬剤師の養成に係る大学等の設置,また,収容定員の増加は認めることができなくなるということでございます。これを原則といたしまして,その例外が白丸の後段3行に書いてございます。「地域における薬剤師の数その他の事情を勘案して薬剤師の確保を特に図るべき区域として文部科学大臣が別に定める基準に該当する区域において,都道府県が定める計画に基づき行おうとするものについては,その例外とする。」ということでございます。
 2点目が,2つ目の白丸ですけれども,例外の場合の認可申請の審査につきましては,2つのことに照らして行うとしてございます。1点目が,不足する地域における薬剤師確保のための教育内容,2点目が,学生が将来薬剤師の不足する地域の医療機関や薬局等に勤務することを要件として,都道府県等による奨学金の貸与などの支援が内容として含まれているかどうか,この2点に照らして審査をするという内容としてございます。
 3点目が,2ポツの1つ目の白丸ですけれども,これまで,大学の学部の収容定員の全体の総数の増加を伴わない場合にあっては,文部科学大臣の定める分野,これは抑制分野ですけれども,抑制分野を除いて届出で行うことができることとされておりました。具体的には,他の学部や学科の定員を減らして6年制の薬学部の定員を増やすということが届出で可能だったわけでありますけれども,今後は,抑制分野に薬剤師の養成に係る分野を追加いたしますので,今後そういった内容につきましても,全て学則変更の認可事項となるという改正でございます。
 以上の内容につきまして,「施行期日等」のところを御覧いただければと思います。令和7年4月の開設分から適用することといたしまして,その申請が行われる令和5年10月1日以降になされるものから適用するとしてございます。一方で,令和5年10月1日において,大学において申請の意思決定等がなされている場合には除くとする経過措置を置いてございます。
 また,この2ポツの1つ目の白丸である学則変更の届出事項の施行期日につきましては,それが行われる令和6年3月1日としております。
 以上の内容につきまして,告示の施行後5年を目途として,収容定員の状況等を勘案し,必要があると認めるときには検討するという検討条項を入れてございます。
 内容は以上でございます。g現在,パブリックコメントを実施してでございますので、寄せられた意見も踏まえて,制度化に向けて検討してまいりたいと思います。
 説明は以上でございます。
【事務局】  引き続き,資料4について御説明申し上げます。資料4を御覧ください。「薬学系人材養成の在り方に関する検討会今後のスケジュール(案)」でございます。
 本日,薬学教育モデル・コア・カリキュラム案に関する御議論をいただきました。モデル・コア・カリキュラムにつきましては今年度中に決定・公表の予定でございます。
 また,大学,短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可基準の一部を改正する告示案に関するパブリックコメント(意見公募手続)の締切りについては,2月24日でございます。
 令和5年度には薬学教育モデル・コア・カリキュラムの周知を行い,令和6年度入学生から改訂版の薬学教育モデル・コア・カリキュラムを適用する予定でございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは,ただいまの説明につきまして,御質問等ありますでしょうか。
 奥田委員,どうぞ。
【奥田委員】  奥田でございます。御説明ありがとうございました。今の告示案の改正について,関連した要望を申し上げたいと思います。
 この定員抑制に関しては,これまでの経緯で,必要なこととして今回措置されたということは,大いに賛成するところでございます。一方で,昨年8月の「6年制課程における薬学部教育の質保証に関するとりまとめ」の中でも述べられていますように,6年制課程の今後の教育を支える質の高い教員の確保ということが必要とうたわれています。今回の定員抑制の方針が,直接質の高い教員の養成に反することは必ずしもないと信じてはおりますが,今後,令和4年度改訂版の薬学教育モデル・コア・カリキュラムに基づいた教育を適切に実行する上で,6年制課程の薬学教育をきちんと担える薬剤師教員の養成は喫緊の課題と考えております。つきましては,6年制課程の定員抑制が大学院進学率のさらなる低下,ひいては質の高い臨床教育と研究を担える教員の育成を抑制することに繋がらないよう,運用上の配慮をぜひお願いしたいと思います。これは非常に大事なことと考えております。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。北澤委員,どうぞ。
【北澤委員】  北澤です。説明ありがとうございます。
 資料3について少し教えてほしいんですけれども,ここで,文部科学大臣が別に定める基準に該当する区域というところでは例外とするという説明だったんですけれども,この文部科学大臣が別に定める基準というのはいつ決まるものなんでしょうか。質問です。
【永井座長】  事務局,いかがでしょうか。
【事務局】  事務局でございます。御質問ありがとうございます。
 区域に関する基準でございますけれども,薬剤師の偏在指標について,今,厚生労働省さんのほうにおいて,薬剤師の業務の需要等を勘案した指標の検討を進めていると伺っております。その検討の内容は,今年度中を目途に具体化してくると伺っておりますので,その内容を踏まえて速やかに定めてまいりたいと考えております。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
【北澤委員】  ありがとうございました。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。石井委員,どうぞ。
【石井委員】  すみません,今の回答ですと,例えば,この地域に薬剤師が少ないから,積極的に文部科学大臣が薬学を設置するというふうにはならないんですよね。ここが足りないのでというふうになると,ちょっと何か話が変なような気がしたんですが,いかがでしょうか。
【事務局】  事務局でございます。
 原則抑制でございますので,今後,新規の大学の設置や収容定員の増加はできなくなるということですけれども,その例外として,薬剤師の確保を特に図るべき区域として定める基準に該当する区域においては,大学が都道府県と連携して,卒後の人材が薬剤師の不足する地域に配置される等々の内容を備えていることを踏まえた上で認めることができ得るという内容でございます。
【石井委員】  分かりました。ありがとうございます。
 もう1点教えていただきたいのが,今,6年制の抑制と,かつ,6年制の教員あるいはアカデミック・ポジション,6年制の上の研究ということは人材育成として必要であるという奥田先生の話もございましたが,実際には,その辺りに少し矛盾が生じているように思います。大学院の課程の養成というのはここから進めていくというふうにあり,なおかつ,何かそれ以上のいろんなアイデアというか,何と申し上げたらいいのかちょっと分かりづらいんですけれども,実際には,アカデミックに進学する人がうまく育成できない,その場合に何か工夫した場合には,6年制の,今割り振りですよね,4プラス2の割り振りもうまくいかないということなので,その辺りの議論をどのように進めていくか,少しお考えをお聞かせください。
【事務局】  事務局でございます。御意見ありがとうございます。
 奥田委員からも御意見いただきました,まさに臨床系教員の育成をどのように行っていくのかという課題であると認識してございます。この指摘につきましては,昨年8月の取りまとめにおいても指摘をされているところでありまして,非常に重要な課題と認識してございます。令和3年度におきまして,6年制課程卒後の4年生博士課程への進学者は,卒業生のうちの1.4%にとどまっているといった現状でございますので,量に加えて質,双方の観点からも,今後臨床系教員の育成,担い手をどう育んでいくのかというところは,引き続きの課題と認識しております。
【石井委員】  ありがとうございます。
【永井座長】  土屋委員,どうぞ。
【土屋委員】  徳島大学の土屋でございます。
 1つ前の質問に関係するところなんですが,先ほど,新しい設置に関しては都道府県と連携してというお話がございました。この連携というのは,都道府県のほうと文部科学大臣,これはどちらが先に声を発するのかというふうな観点からはいかがでしょうか。都道府県の意見が先に出てくるのか,もしくは文部科学大臣のほうから,“ここ”というふうな指摘があってから事が始まるのか,その辺について教えていただければと思います。
【事務局】  事務局でございます。
 この薬剤師の確保を特に図るべき区域として文部科学大臣が別に定める基準,これは,国のほうで定めてまいる基準でございますけれども,当該基準に該当する区域においては,学科等の設置あるいは収容定員の増加が認められるということでございます。各大学や都道府県におきまして,当該区域に該当するということで申請をするかどうかというところにつきましては,各都道府県のほうから大学に対する働きかけがある場合もあるかもしれませんし,また,大学のほうで必要だということで,都道府県と相談をするということも出てこようかと思います。いずれにしましても,大学が認可の申請をするときの必要書類に,都道府県の医療計画や,医療介護総合確保法に基づく都道府県の計画等において,薬剤師の需要見通しを踏まえた不足する人数等を記載いただいて,連携して申請をいただくということを想定してございます。
【土屋委員】  分かりました。ありがとうございました。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。乾委員,どうぞ。
【乾委員】  先ほど奥田委員あるいは石井委員がおっしゃっていることも,私も間接的に伝わってくるところもあるわけです。要するに,人材養成というところ,6年制のところを全部一律抑制方針ということに対して,非常に微妙な意見を言われる方があるわけです。具体的に言えば,例えば国立大学だろうと私は思っているんですけれども。そこで,やはりぜひ考えていただきたいのは,ずっと学部6年,それから大学院4年と,一貫して同じところに行く必要は全然ないわけですよ。それで,人材育成,指導者の養成とおっしゃっているのは,やはり博士の学位を取る,6年制卒で大学院まで行く人という意味,よくトレーニングした人材養成が必要だということをおっしゃりたいんだろうと思うんです。だから,とにかく国立大学の博士課程はゆとりがあるわけですから,だから私立大学出身のすごく優秀な人もいるわけだから,そういう人たちをうまく誘導するとか,そういうことは十分可能だと思います。したがって,一番大事なのは,国立大学薬学部の,あまり私も,出身がそうですから言えないんですけれども,だけどやはり全体的な意識ですよね,医学に対して薬学ということを考えて,そして指導者の育成ということもお考えいただくと,ひとりでに答えは出てくると思います。
 今回,一応評価したいと思うのは,この年限も5年をめどにしてまた見直すという可能性も十分あるわけです。だから,それまでにいろんなことを私はやっていただきたいなと思うわけで,本当にオール薬学で,国・公・私立一丸となって,それで大学,薬剤師会,病院薬剤師が一緒になって,この際しっかりやっていきましょうということが大事なところだろうと思います。私も質保証の主査を担当して,1年間余り,いろんなことをヒアリングをしながら勉強させていただいたんですけれども,本当に,ある意味でラストチャンスじゃないかなというふうに思いますから,このコアカリもいいものをつくっていただいたし,それを受けて,将来をしっかり担っていける薬剤師の養成,それからさらにまた教育者の養成ということも十分体制が整いつつあると思うので,ぜひ皆さん一丸となって意識を変えていただきたいなというふうに強く思うところでございます。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。高橋委員,どうぞ。
【高橋委員】  すみません,先ほど文科省の方が,臨床系教員が不足するのが問題だというふうにおっしゃったんですけれども,基礎系のベーシックなサイエンスというのも,薬学にはとても重要ではないかと私は思いまして,博士課程に進学する学生さん,6年制の上の4年間というのは,本当にベーシックなサイエンスをやってくださる方が本当に少なくて,基礎系のほうも,もちろん臨床系に対するシンパシーを持った人が必要ではありますけれども,もうちょっとベーシックなほうについても目を向けていただければなと,ちょっとお願いに近いんですけれども,お願いします。
【永井座長】  平井委員,どうぞ。
【平井委員】  ありがとうございます。今,高橋先生がおっしゃっていたことを,医学部も多分同じことを思っていて,基礎系のほうの教員の養成というのがすごく問題になっていて,医師,MDじゃない教員がすごく増えているという悩みがあると思うんですね。だからこの辺りは,医学なんかの情報なんかもいろいろと聞きながら,工夫していかなきゃいけないことがあると思います。
 すみません,私が聞きたかったのは,今,文科省が御説明いただいて,定員抑制ということで,ようやくここに来たのかなという感じを持って,御説明ありがたかったんですけれども,その定員を抑制して,新規を抑制するという一方で,いろんな報道等では質の確保ということがすごく問題になって,教員の質ももちろんなんですけれども,薬剤師の質の確保,そして,それを養成する大学の質の問題というのがすごく議論され始めているんですね。もっと前からそういう話はあったと思うんですけれども,そういたしますと,その新規の抑制というのはすごく重要であるとは思うんですが,既存の大学の質の担保,これも第三者評価とかでやっているからということもあるんですけど,でも,それは何も縛りがないわけですよ,結局。だから,入学者の2割ぐらいしか卒業できていないようなところをどうするんだという問題,この問題は,それは文科省の言えることじゃないとおっしゃるのかもしれないんですけれども,そういう大学がいろいろ考えていく上で,お先真っ暗じゃなくて,希望を持ってそういうことを検討できるような,そういうサポートを文科省はどういうふうにお考えなのかということ,その辺を聞かせていただかないと,定員新規抑制抑制だけ言われても,私自身からすると,将来が見えないなと思うんですね。ですので,すごい個人的な意見かもしれないんですけど,ぜひその辺り,文科省の御意見を伺いたいと思います。
【永井座長】  事務局いかがでしょうか。
【伊藤課長】  ありがとうございます。医学教育課長の伊藤でございます。
 今,先生方御指摘いただきました既存の薬学部を含めた薬学教育の質の確保についてということにつきましては,先ほど来御指摘いただいております検討会の8月の報告書でも,質の保証の取りまとめというところで方針をいただいているところであります。具体的には,薬学教育の実態を分かりやすく見える化するような形の情報の発信というところ,また,既存の薬学部について,入学定員,充足率等厳しいような場合に関しては,めり張りある財政支援により一層の入学定員の適正化を求めていくということ。こういった形とともに,こういった厳しい対応のみならず,こういったしっかり改善していく方向性を大学に御検討いただくように,我々も一緒になって考えていかなければいけないというところで,実際に頑張っている大学には取組のグッドプラクティスの発信とか,財政支援も考えていきたいと思っています。
 また,薬学教育評価機構で,しっかり内部質保証と薬学教育の第三者評価への対応でしっかりと取り組まれている大学に関しては,どういった改善案のグッドプラクティスが取り組まれているかも,評価の中で分かりやすく発信していただくというところで,薬学教育業界全体でいい取組を共有していく,そういった流れにしていくべきということを昨年8月の報告でもいただいておりますので,この取組もしっかり進めていきたいと思っておるところでございます。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
【平井委員】  すみません,平井ですが,ちょっといいですか。
 グッドプラクティスとかいうのは非常にいいことだと思うんです。それで,もう実際に始まってはいるんですか。まだですよね。
【伊藤課長】  はい,これからです。
【平井委員】  今後ぜひそういうのをやるとともに,そういうふうに自主的に検討を重ねているようなところには,文科省が,厳しい指導をするだけじゃなくて,お褒め,何か御褒美も絶対必要だと思うんですよね。だから,そういうことも併せて検討していただかないと進まないんじゃないかなというふうに思いました。
 以上です。
【永井座長】  田尻委員,どうぞ。
【田尻委員】  度々すみません。
 今のお話の中にあった,質保証でもそうでしたし,評価機構もそうなのでしょうけれども,受験生,受験生の親,進学指導の先生、それから在校生に向けて,ストレートの卒業率ですとか,ストレートの国家試験の合格率ですとか,それをきちんとホームページ等で公表しなさいということはお示ししているのですけど,特に既存の私立の大学の中には,実際とは異なった数字をうたっている薬学部がいまだにあるということ,それについては厚労省のホームページではきちんとした数字が出ているんでしょうけれども,当該大学のホームページでは,数字のトリックで結局,卒業できなかったのでしょうけれども,受験者の数を減らして、80%,90%と実際とはかけ離れた国家試験合格率等を示している大学があるようですし,オープンキャンパスのときにもそういうことを参加者に対して説明されている大学があると聞いております。
 そういう事から始めなくちゃいけないと思います。やはり非常に表現は失礼,的確じゃないと思いますけど,悪い素材に幾ら手をかけていても,やはりそれはそれなりのものしか生まれないと考えたときに,やはり入学時の選考の仕方も含めて考える必要がある。最近では書類審査と面接だけという大学もある。それで質の確保ができるのかどうか分かりません。そういう実態がある上で,今,平井先生が言われたように幾ら優秀な教員が教育しても,やはり手が届かない場合って当然あると思います。文科省,厚労省、評価機構等々含めてそこら辺のことを考えていかなくては,問題解決はなかなか難しいんじゃないかなと思っております。発言の後半部は日薬というよりは田尻個人の意見ということで聞いていただければありがたいと思います。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 伊藤委員,どうぞ。
【伊藤委員】  伊藤ですけども,私,前にどこかの会でもお話ししたことがあったと思いますが,6年制になってから,3年生,4年生になって退学するという学生が出てきたりするわけです。私がいた大学はそんなに数は多くなかったんですが。そういう学生さんは,奨学金の返済を抱えて退学していく学生さんもいますし,なかなか次の職が見つからないという学生さんもいて,物すごい負債を抱えてしまうんですね。最近,少子化の話題になったときに,若い人が奨学金の負債を抱えて,とても結婚どころじゃない,子供を育てるどころじゃないという話もあるんですが,これは,若い人たちの将来ということを考えたときに,途中で退学して,もう大学に入り直せないような状況になると,彼らの将来は非常に大変なことになるわけです。これは薬学だけの問題じゃないと思うんですが,薬学部がどうかというよりも,やはり若い人たちを将来どう育てるかという観点からもこの問題を解決すべきだと私は常々考えておりますので,文科省にはよろしくお願いいたします。
 以上です。ありがとうございました。
【永井座長】  西島委員,どうぞ。
【西島委員】  評価機構の理事長の西島でございます。
 ただいま,評価機構という言葉が幾つか出てきたんですけれども,実は,昨日も評価機構の運営委員会というのがございまして,それで,今話題になっております大学の評価,それをどのように公表するか。分かりやすく公表するということが今言われているんですけれども,具体的にどういうふうにしたらいいかということについては,なかなか難しいところがありまして,例えば,大学ごとに簡単な円グラフでいろんな評価を表現して,その割合がどうかとか,その全体像がどの程度にあるかというようなことを,一目で分かって一般の人に理解してもらえるようなことにしたらどうかというような意見も昨日出まして,ただ,そういう情報を出すことが本当に許されるのかどうかということもまた1つ問題かという,そういう意見もございました。
 最近の週刊誌で,3つの大学について非常に厳しい情報が流れたということも昨日見聞したんですけれども,そういう情報がまた先走ってもいけないということもあるかと思っています。
 評価機構としては,これから大学の評価をしっかりして,それをいかに正しく,大学の教員だけではなくて一般の人たちにも分かりやすくどういうふうにしていくかということを今一生懸命考えているところですので,皆様方からもその過程につきまして御意見等がありましたら,忌憚ない意見を今後どしどしいただければというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
 平田委員から,評価につきまして何か追加の御意見があったらお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【平田委員】  ありがとうございます。評価機構で評価委員長を務めております和歌山県立医科大学の平田です。よろしくお願いいたします。
 先ほどありましたように,評価結果をどう示すかということは非常に重要かと思いますが,評価項目について基準への適合状況を段階的な評価として示すことは行っていますし,個々の大学に対してはそれが分かるように示し,その内容についても具体的にコメントしています。ただ,それを大学間で横並びにして示す意味があるかというと,例えば,3段階か4段階の評価をレーダーチャート等で示して意味があるかというと,第三者評価としてはあまり意味はないように思います。評価の中に,例えば先ほど出ました入試については学生の受入れという項目で,評価基準に沿った大学の自己点検・評価について,機構でも基準に沿って評価しているということになります。この基準には,数値的なものは示されていません。したがって,第三者評価では週刊誌等で扱われているような数値だけで個々の大学における教育の質や内部質保証の在り方を評価することはしていません。その中で重要なのは,大学における内部質保証,特に先ほどありました情報の公表です,公開でなくて公表なので,まさに大学は正直に自己点検・評価を行い,全部公表しなければならないということになっています。大学がこの辺りを教学マネジメント指針に則って真摯に行うことが教育プログラム,薬学の学位プログラムの質を担保する上で求められているのですが,そういった視点,あり方がまだ十分でないと思います。
 したがって,個々の大学だけではなく薬学全体でこういった内部質保証を高めていく必要があると思いますし,その際に,去年の8月に,文部科学省から出されたとりまとめというのは,非常に重要な方向性,指針となると思います。やはりそれを大学でどう理解し,実行するかが重要であり,内部質保証に関しましては,12月14日にシンポジウムを行いましたし,あるいは,教育プログラムの根幹になるカリキュラムの組み方や,どうあるべきかということについては,これからワークショップなどもやっていきます。ですから,今まで評価機構というのはいわゆる評価事業だけでしたが,やはりこれと並行して教育プログラムの質を担保するためにどのような取組を行えばよいかを,大学全体で考えてもらうための働きかけを行わなければならないと思います。その中で,個々の大学がしっかり評価基準に沿った自己点検・評価,それに基づく内部質保証を行うかを考え,教育プログラムの改善に向けて取組む姿勢が根付けばと考えています。
 評価機構の大学に対する働きかけの一環として,第2期,昨年度から始まりましたが,受審大学には,評価結果が出た後にヒアリングを受けていただいて,評価基準に基づいた評価結果の記載だけではなかなか伝わらないところである,実際にどこに課題があり,どういう改善が必要かといったことを具体的に説明させていただいて,内部質保証をしっかり高めていただくような,そういった取組を始めています。このように,大学が課題・問題点に対してどのように取組むべきかをお考えいただくことを評価機構が促すことが重要と考えており,入試については,今の基準の中で入試の科目数とか区分とか,内容までに踏み込んでいけるかというと,非常に難しいと考えています。ですから,その辺りを大学が自己点検・評価を
基にして改善の方向性が出るというのであれば,それを大学に示すことができると思います。入試をどうするかという,8月の文部科学省のとりまとめの中で最大のポイントだと思いますけが,これを大学がどのように改善するかについては,先ほどのように評価事業での個々の大学に対する評価で具体的に示すことは難しいかもしれませんが,大学全体に対して教育プログラムの質を担保するための重要な取組として訴えていかないといけないと考えています。
 評価機構での評価事業のスタンスというのは,やはり第三者評価として,ピアレビューとして,外部質保証の役割をしっかり果たすということだと思いますので,その辺り,大学と連携して,一緒にやっていかないといけないという機運が必要であり,先ほど西島先生がおっしゃったように,これから努めていかないといけないと考えているところです。
 以上です。
【永井座長】  田尻委員,どうぞ。
【長津委員】  失礼いたします。日薬の長津と申します。
【永井座長】  長津委員,お願いします。
【長津委員】  先ほど伊藤委員からもお話が出たとおり,途中で退学する学生等が数は多いわけなのですが,非常に問題だと思うのは,今,収容定員に関しては,入学選抜の方法ですとか,入学定員に関しての議論が整理されているわけでありますが,例えば,8年かかって4年生に進級できなかったという学生が退学ということになあり,その子たちが,さらに同じ大学に再入学をするとか,あるいはどこか他大学に転入するとかというケースもあります。文部科学省としては,やはりここは実態を詳細に把握しておかなくてはならないと思います。どの大学がそういう学生を受け入れているのか,そして,その学生たちがその後本当にちゃんと進級して,卒業して,国家試験を通る,そういう環境を提供しているのか。でないと,何となく駄目だった子を引き受けて,またその何年間か,言葉は悪いけど飼い殺しにしてというビジネスに取られかねない。これは薬学教育として非常に好ましくない評価になってくると思います。ですから,その辺りもしっかり情報を整理して,文部科学省はそのような情報をしっかり整理すべきと思いますが,いかがでしょうか。
【永井座長】  事務局,いかがでしょうか。
【事務局】  御指摘ありがとうございます。昨年8月に取りまとまったわけですけれども,御指摘いただいたところにつきましては,またこれから,文部科学省のほうでも毎年調査をしておりますので,現状の把握に努めていきたいと思っております。
 以上です。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
 山口委員,どうぞ。
【山口委員】  ありがとうございます。ようやく定員が抑制の方向になったということで,数ばかりが増えて,先ほどから出ている国試を受験させることもできないような学生さんがたくさん出ていることを憂慮していましたので,この方向性については少しほっとしているところです。
 先ほどから公表の話がございますけれども,評価機構の評価をどう公表するか,国民にも理解してもらえるようにというお話があったんですけれども,私は,評価機構は入試の情報は出せないというお話があったんですけれども,一番重要なのは,高校生と,保護者と,そして高校の受験指導の教員の方たちへの正しい情報提供ではないかと思います。やはり薬学部に入学するということは,本人も保護者も,当然薬剤師になれるだろうと期待して入るんだと思うんです。ところが,3年たって,4年たって,どうやら自分は無理じゃないかということで,先ほどから出てきている退学する学生が出てきているのではないかと思います。だとすれば,それぞれの大学が出すホームページというのは,自分たちにとってやはり都合のいいような情報提供をしますので,そうではない,きちんとした情報を文科省で出して,出しておられるかもしれませんけど,それを受験担当の高校の教員とか保護者に,こういったところを見ると正確な情報が得られるんだということをしっかり周知していくということも大事なのではないか思います。そういった方向も考えていただくことが大事ではないかと思います。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 小澤委員,どうぞ。
【小澤委員】  ありがとうございます。
 私は評価機構にも関わっておりまして,先ほど西島理事長,それから平田委員長もおっしゃっておりましたけれども,薬学教育評価機構では,それぞれの大学の教育というふうなもの,プログラムを1年間にわたってきちんと調べて,そして,どこがよくて,どこが改善が必要かということを評価し,あまりにも細か過ぎるので読まれないという御批判も一部ではある,評価報告書を作成しております。また,薬学に限らず,現在,評価をやるというのは,大学の認証評価も含めてかなりの評価結果が出ていて,実は,私の記憶では,5年くらい前だったと思うんですけれども,文部科学省の方が,これからは高校生がこういう評価書を読んで,そして偏差値等ではなく,どういう教育がやられているかをきちんと判断した上で進学する大学を選ぶように,我々は高校を指導していきますというふうにはっきりおっしゃっていたことがあって,僕は何の会だったか忘れたんですけれども。その後,全然そういう話を聞いていないんですけど,そういうふうな動きがあれば,やはり高校というか,受験生が変われば大学ももちろんそれで変わってまいりますので,それについてどうでしょうか。事務局で教えていただければありがたいんですけど。そういう地道な動きって大切だと思うんですよね。
 以上です。
【永井座長】  いかがでしょうか。事務局から何か御意見ありますでしょうか。
【伊藤課長】  事務局,課長の伊藤でございます。
 まず,情報公開の積極的な推進というところにつきましては,共有をさせていただきますけれども,昨年8月の協力者会議報告書でも,高校生そして進路指導,保護者等にも分かりやすい情報発信を積極的に推進していくといった観点から,文部科学省が定期的に実施しております各大学の入学状況であるとか,また,3か年の競争倍率,入学時点での競争倍率,そして,修業年限,ストレートでの国家試験合格率,3か年平均の状況,退学等の状況についても,今年1月の末にホームページでも公表させていただいておりまして,また,こういった情報を基に報道もされているということは,先ほど委員のほうからも御指摘,共有があったかと思います。
 こういった分かりやすい情報の発信ということとともに,また,薬学教育評価機構のほうでも,今,先ほど来お話ございましたけれども,評価結果が高校生,また,進路指導の担当の方に分かりやすく伝わるようにということで,これまで以上に評価書の発信の仕方が工夫をされていくということを御検討いただいているところでございますので,こういった取組をしっかり進めていきたいと思っております。
 以上です。
【永井座長】  後藤委員,どうぞ。
【後藤委員】  ありがとうございます。
 今までの議論を聞かせていただきまして,今回の定員抑制とかいう言葉が本当に当たるのかどうかというのが非常に気になるところです。新設は認めないとして,厚労省の調査によって,薬剤師が非常に求められているところについては設置を認める可能性があるということですよね。そういうふうなところで,今の私立大学の薬学部の調査の中で,かなりそういう薬剤師が足らない地域というのは,もう各大学御存知だと思うのです。そういうところから特待生等で現在入学を勧めているというようなところがあるところに,新しく薬学部がどういう形でできるとしても,これは非常にまた大きな問題を全国的に生んでくる可能性があると思います。
 それともう一つは,私考えますのは,地方のところで薬剤師が足らない,そうしたところに定着できるように制度を進めるということですが,このことに対して本当に多数の入学者が全員そこに行くのでしょうか。実態を考えてみますと,非常にごく少ない数で,定員は100名近くであっても,年間,その地域で10名も薬剤師が残ればいいという考えの大学もあるようです。こういうところで,安易な調査によって足りないところに文科大臣の判断によって認めるということさえも,私はどうなのかなという気がいたします。
 もう一つは,卒業まで6年かかる中にも関わらず,5年で見直すというのがいかに短いものか,何も結果が出ないうちに判断をするというのは非常に難しいなというのが,この定員のことに関して感じているところです。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。平井委員,どうぞ。
【平井委員】  平井です。度々すみません。
 先ほど,高校にも働きかけるという御意見があったと思うんですけど,それはすごく大事で,私の娘が,とある私立の歯科大学に勤めているんですけど,やはりそういうところでは,卒業できないというか,もう進級できないような学生さんをどう説得するかというのが教員の非常な負担だそうです。それで,入り口のところで入れなければいいということなんですけれども,やはり親御さんは,とにかく資格を取らせたらいいと思って入れてくる。それから高校は,どこどこの医療系の大学に何人入れたら,それが成績になるみたいなのがあって,それで,ひどいのは,指定校推薦とか,そういうのがありますと,できる子とできない子をセットで入れてきたりするらしいんですよ。そういうようなことがあったりして,本当に大学教育に耐えられない人を大学に入れてしまっているというところが基本的な問題になっているのかなと。そうすると,大学だけの問題じゃなくて,入試制度ももちろんそうなんですけれども,高校からきちんとそういうことを考えて進路指導をやっていただくということを文科省がぜひ御指導いただきたいなというふうに思います。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
【事務局】  事務局でございます。
【永井座長】  どうぞ。
【事務局】  ありがとうございます。
 先ほど後藤委員から御意見いただいた点でございますけれども,お答えさせていただきたいと思います。例外区域の定め方によっては抑制にならないのではないかという御指摘かと思いますけれども,地域における薬剤師の偏在を踏まえ,具体的に都道府県ごとの偏在指数等について厚生労働省ともよくよく連携して,また,日本全体における薬剤師の需給見通しについてもよく踏まえた上で,区域の基準を定めてまいりたいと考えてございます。
 併せて,例外として認められる場合につきましては,2点あると申し上げましたけれども,まず,大学における教育において,薬剤師の偏在問題があるというところを捉えて,医療をめぐる課題や,卒後に薬剤師が不足する地域に就職し地域の医療等を担っていく,そういった使命や課題等も大学教育の中でしっかりと学修していただくということ、さらに、それに加えまして,都道府県や薬剤師会等の様々な団体と連携して,卒後の薬剤師不足地域に従事するための奨学金のひもづけを行うことで当該地域での人材の確保の確実性を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは,文部科学省におかれましては,ただいまいただいた御意見を十分踏まえて進めていただければと思います。
 それでは,以上でございますが,本日は文部科学省高等教育局,池田局長に御出席いただいております。ここで一言お言葉をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【池田局長】  高等教育局長の池田でございます。
 永井座長,井上座長をはじめ,2つの会議の委員の皆様方には,薬学教育モデル・コア・カリキュラムの取りまとめに大変御尽力をいただき,誠にありがとうございました。私自身は,昨年9月に着任いたしましたので,議論がかなり深まっているときから拝聴しておりましたけれども,毎回大変密度の濃い議論をいただきまして,改めて感謝を申し上げます。
 今回の改訂は,医療人としての共通の価値観を共有するという観点から,未来の社会や地域を見据え,多様な場や人をつなぎ,活躍できる医療人の養成という,医・歯・薬共通の理念の下に取りまとめをいただいておりまして,大変重要な課題に対応するものであると考えております。
 また,後半,平井先生をはじめ皆様からいただいた質の保証に関する議論,これも非常に大事な問題だと思っております。これは医学や歯学,薬学だけでなく,同じ課題は実は法科大学院の養成や,教師を養成する教員養成系の学部にも共通して見られる非常に難しい課題であると思っております。特に医・歯・薬に関しては抑制方針ということがありますので,余計難しい対応が必要になってくると思いますが,基本的には,先ほど伊藤課長をはじめ医学教育課からお答え申し上げたように,適切な形で情報を公表していくことを進めて,保護者や学生,高校生以下の方々や保護者,社会の目にさらしていくということも必要ですし,それから,意欲的に取り組んでいる大学にきちんとした支援をしていくということも必要であると思っています。
 一方で,昔のようなGPと言われる非常に意欲的な教育上の取組をしている大学に支援する手段が現在予算的にはないものですから,そういう中でどう支援をしていくかということが,これは薬学に限らず,各大学,各分野に共通した課題だと思っておりますので,今日いただいた御意見も踏まえ,今後,中教審などで検討していく際にも,こういった観点からいろいろ議論を深めていく必要があると思っております。
 今日,モデル・コア・カリキュラムをおまとめいただきましたけれども,今後ともいろいろ先生方には大所高所から御意見をお伺いしたり,アドバイスをいただいたりすることもあろうかと思いますので,引き続きよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
【永井座長】  ありがとうございました。
 それでは,本日の会議はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。
 
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