薬学系人材養成の在り方に関する検討会(令和3年度~)(第4回)議事録

1.日時

令和4年11月25日(金曜日)11時00分~12時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

永井良三座長、井上圭三副座長、石井伊都子委員、乾賢一委員、奥田真弘委員、北澤京子委員、小西靖彦委員、後藤直正委員、佐々木茂貴委員、田尻泰典委員、土屋浩一郎委員、狭間研至委員、本間浩委員、柳田俊彦委員、山口育子委員

5.議事録

【永井座長】  委員の皆様には,お忙しいところ,お集まりいただきまして,ありがとうございます。ただいまから薬学系人材養成の在り方に関する検討会(第4回)を開催いたします。
 本日の有識者会議は,傍聴者にユーチューブにてライブ配信をしております。
 まず,事務局から,本日の出席状況,事務局の異動の紹介,配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】  事務局です。本日は,手代木委員及び西島委員から欠席の連絡を受けております。また,田尻委員,石井委員からは,若干遅れて参加すると伺っており,現在,13名の先生方の御出席となっております。
 また,本日は,厚生労働省からもオブザーバーとして出席をしていただいております。
 次に,事務局に異動がございましたので紹介させていただきます。本年9月に,高等教育局長に着任いたしました池田です。
【池田局長】  池田でございます。9月に着任いたしました。よろしくお願いいたします。
【事務局】  続きまして,今年7月に高等教育局及び科学技術政策連携担当審議官に着任いたしました西條です。
【西條審議官】  今年度7月に着任いたしました高等教育を担当する審議官の西條です。どうかよろしくお願いいたします。
【事務局】  続きまして,配付資料の確認をさせていただきます。議事次第にございますとおり,資料1から3,参考資料1から6となっております。
 なお,参考資料5につきましては,薬学教育モデル・コア・カリキュラム(素案)(令和4年7月15日時点)と書いておりますけれども,こちらは前回の8月16日開催の検討会の資料2と同じものでございます。
 事前に送付しておりますが,何か御不明な点等ございましたら,事務局に御連絡ください。
 なお,資料につきましては,文部科学省ホームページにおいても現在,公表しております。
 次に,オンラインでの会議進行に当たってのお願いでございます。御発言される場合にはZoomの挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。その後,座長から順に発言者を御指名いたしますので,御発言いただく際にはマイクがミュートになっていないことを御確認の上,御発言をお願いいたします。
 そのほか動作不良等ございましたら,事務局まで御連絡をお願いいたします。
 本日の議題は,議事次第にありますとおり,(1)薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について,(2)その他となっております。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 それでは,議題1の薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について,薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会座長の井上先生から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【井上副座長】  井上でございます。それでは,薬学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂案について,概略を説明させていただきます。
 このたびの改訂案は,私ども,モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会が薬学教育協議会にあります薬学教育調査・研究・評価委員会と連携して作成したものであります。
 この調査・研究・評価委員会の下に,BからGの6つの大項目ワーキンググループがありまして,全ての薬系大学の教科担当教員が集う会議,教科担当教員会議からの意見,その他の情報などを収集しまして,様々な視点からの検討を行い,このグループで個々の大項目がまとめられたと伺っております。親会議であります調査・研究・評価委員会が全体の調整を行い,さらに私どもの専門委員会が最終的な調整をしたものをここに提示させていただきます。
 カリキュラムの改訂に向けたスケジュールです。
 これまでに委託事業として,調査・研究・評価委員会が月1回のペースで開催され,一方,私どもの専門研究委員会は,これまで5回開催し,研究評価委員会が作成したコア・カリキュラムの修正,あるいは注文などもしてまいりました。本日の人材養成の在り方検討会の承認が得られましたら,パブリックコメントということになります。パブリックコメントを受けて,さらに検討いたしまして,令和5年3月,来年の3月中にコア・カリ専門研究委員会,人材養成の在り方検討会を経て,最終案が公表されるということになります。
 これが目次です。1番,2番が前文,3番から9番がコア・カリの本体,それに参考資料がつくという構成になっております。
 本日は,1番から3番について概略を述べてみます。4番から9番のコア・カリの本体につきましては,2番のカリキュラム改訂の概要の中に含んでお話をさせていただきます。
 最初のカリキュラムの考え方につきましては,これはもう既に前回のこの会でもお話ししたことでございますけれども,まず,基本理念と背景,それから大学教育における位置づけなどでございます。これはいずれも文科省がおまとめいただいたものでございます。
 これがカリキュラムの概要の最初のところにあります改訂の基本方針ということでございます。これの2番のところにありますように,それから繰り返しお話ししておりますように,生涯にわたって目標とする薬剤師として求められる基本的な資質・能力を提示したモデル・コア・カリキュラムの展開であるということが,まず注目すべき点であります。
 3番,4番については,ちょっと詳しくお話しさせていただきます。
 まず,3番です。ここは,まず,各大学の責任あるカリキュラム運用のための自由度の向上という点であります。現行では,学修すべき事項がSBOとして細部にわたって記載されており,各大学はそれを網羅するのに時間を要して,大学独自の内容,カリキュラムに取り入れる余裕がなかった。これは各大学が繰り返し指摘されてきたことでございます。
 そういうことで,今回は詳細なSBOを排して,学修すべき内容をコア,概念化した上で,新たに直面する課題,問題点の解決に生かせる総合的な学力を身につけられるように改めたつもりでございます。各大学は,その学修目標に基づいてカリキュラムを作成するということになります。
 本モデル・コア・カリキュラムでは,医療薬学とは別途に,両立といいましょうか,臨床薬学という教育体制を構築することにしました。これらの内容として,実務が直ちに実施できるようになるということを目的とした研修,新人研修的な内容ではないという点が重要であります。患者あるいは生活者個々の薬物治療,疾病からの予防などを責任を持って実践できる薬剤師の養成を目標として,大学と医療現場が連携して,大学初年時から統合的に学ぶ領域としたということでございます。実務実習が重要な要素であることはもちろん言うまでもありません。
 モデル・コア・カリキュラムの構成です。大・中・小から成ります。そして,大項目と小項目に学修目標がございます。この「学修」という漢字ですけれども,これまで「修」という漢字と,「習」という漢字,この2つのガクシュウが原案では混在しておりました。この御指摘を繰り返し受けましたので,このことにつきましては,今回の「修」という「学修」に統一することにいたしました。
 大項目の学修目標は,修了(卒業)時の標準的な学修成果,アウトカムであります。各大項目の学修目標と,薬剤師として求められる基本的な資質・能力とのつながりを明記することにいたしました。
 この評価の指針ですけれども,この中で,これまでの「~できる」,あるいは「~する」というような両方の表現がございましたけれども,これを全項目にわたって「~する」に統一することにいたした点が新しい点でございます。
 次に,小項目なんですけれども,まずはねらい,他の項目との関連性を必ず明記する。「他領域・項目とのつながり」を記載するということです。
 それから,学修目標です。この部分がまさに今回のモデル・コア・カリキュラムの本体でございまして,繰り返しになりますけれども,個別の知識,技能を修得するだけではなく,これらを活用してどのように判断したり行動したりできるようになるべきかを目標となるように概念化したものでございます。
 学修事項でございますけれども,こちらは学修目標を達成するために必要な具体的な内容を,各大学のカリキュラム作成の際の参考として記載したということで,これは例示ということになります。
 ここは主として専門用語で,体言止めとしておりますけれども,学修目標に合致するように,場合によっては,「~する」というような文章となっている場合もございます。
 大項目の,これは前文に当たる部分ですけれども,作成方針,この部分は全面的に修正しました。そして,大項目間で統一したということであります。作成方針,現行のコア・カリキュラムとの相違点,その相違になった改訂の意図するところが何なのかということも記載しました。そして,先ほどから申し上げておりますような基本的な資質・能力とのつながりを書く。それから,評価の指針の作成方針などもここで述べております。
 以下,具体的にBからGの大項目について概要を述べてみます。
 まずはBです。ここにございますように,医療現場や地域社会における薬剤師の活動の基盤となる学修である。領域としては,医療,保険,介護,福祉という幅広い領域にわたっております。現行のコア・カリの中にあります「A 基本事項」,「B 薬学と社会」を今回は統合いたしました。
 そして,「プロフェッショナリズム」,「社会的使命」など,薬剤師としての社会性・人間性を育む学修を充実させました。
 新しい小項目としては,「保健医療統計」,「デジタル技術・データサイエンス」,「アウトカムの可視化」を取り上げております。
 実際の中項目,小項目が載っております。これまでに公表しておりましたのが,7月15日時点の真ん中のカラムですけれども,これとの相違点を示しております。表現の違い,あるいは項目の移動でありますとか,2つの項目あるいは複数の項目を統合したというようなこともございますけれども,全体的に大きな変更ではございません。
 次は,「C基礎薬学」です。ここにありますように,医療現場で研鑽し続けるための基盤形成に必須な内容であるというふうにしました。
 「物理化学系」,「化学系」,「生物・生化学系」,そして「解剖・生理学系」と4つのカテゴリーから構成されております。一番最後の「解剖・生理学系」は,今回のコア・カリに初めて登場する新規の科目ということになります。
 項目間の関連を明確化しております。
 それから,薬理学,薬物治療学,あるいは薬剤学などの後継科目へのつながりを明記する。大項目DからGの学修基盤となるように構成したということであります。
 これも中項目,小項目を示しておりますし,前回,公表されておりますものとの違いを書いているというものでございます。
 次が「D医療薬学」,これは薬理学と病態学を統合して,病態の発生メカニズム,病気の発生メカニズム,そして医薬品の作用メカニズム,副作用,これを関連づけて学修することにしました。
 それから,薬物治療という概念を,「疾患の薬物治療」と「患者個々の薬物治療」に分割しました。Dでは,疾患の薬物治療として,ガイドラインとか,そういった標準化した内容に焦点を当てて学修するということでございます。
 薬理学・病態学,医薬品情報学,薬剤学,この薬剤学の中には,薬物動態とか,製剤,調剤などが入るわけですけれども,これに関する一般論を学修し,「F臨床薬学」で学修する個々の患者に最適な薬物治療と,地域における予防,衛生を実践する「E衛生薬学」へつながることを目的とするようにしてございます。
 これの具体的な中項目,小項目が載ってございます。
 次がEです。衛生薬学・公衆衛生薬学,公衆衛生薬学という新しい概念といいますか,大項目名にしようとしたのですが,公衆衛生というのは,これまでの薬学のコア・カリの中では若干弱めであったので,このようなようなことを強調しようとしたんですけれども,教科担当教員会議等の御意見を受けまして,この大項目名からは削除いたしました。衛生薬学という中に公衆衛生というのは十分入っているというようなことでございます。
 このEでは,社会・集団における身体的,精神的な健康の維持・増進のサイエンスという視点を重要視してございます。
 そして,公衆衛生,食品衛生,環境衛生,3つのカテゴリーから成るというふうにいたしました。保健統計,疫学的な解析の学修,レギュラトリーサイエンスの視点による科学的根拠に基づいた考察などをより充実させたということでございます。
 「F臨床薬学」。個々の患者に最適化された薬物治療を実践する,さらに広く地域住民の健康維持・増進に貢献する能力の修得を目標とする。
 他の大項目の内容と深く関わり,医療現場の実践とともに,大学での学びを通してそれらを統合し,個々の患者への薬物治療を最適化する能力を養う。
 医療現場と大学が連携して教育する。
 最後のところに,「多職種連携」,「医療安全」,「感染制御」,「地域医療・介護福祉」,「公衆衛生」など,社会からのニーズに直接対応する領域というふうに捉えます。
 最後が,「G薬学研究」です。研究を通して,全ての大項目の学修を基盤として課題発見,問題解決能力の修得を図るということ。
 そして,「薬学的課題の探求と薬学研究に取り組む姿勢」,それからもう1つの部分が,その姿勢をもって「研究の実践」に取り組むという2つの項目にしました。
 その姿勢の部分についてですけれども,科学的根拠に基づく批判的な思考,俯瞰的な思考の修得,そして研究による社会貢献に向けた使命感,責任感,倫理観の涵養を目指すということです。
 こういった姿勢の下に研究を実施するんですけれども,その実践において,研究課題の設定,研究計画の立案,そして研究の実践,さらに成果の解析というようなことを経験するということでございます。
 各大学は,モデル・コア・カリキュラムを基にして,大学独自の教育方針,人的・物的資源,教育環境などを勘案して,3つのポリシー(ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,アドミッション・ポリシー)を作成することになります。各大学は,大項目ごとに,卒業時に期待されるアウトカムを設定するわけです。これを統合して,一方では,生涯にわたって目標とする薬剤師として求められる基本的な資質・能力を勘案して,各大学がディプロマ・ポリシーをつくっていくということになります。
 これを視的に,ポンチ絵風に表してみたものであります。BからGの大項目の間の位置づけ,関連を考えてみました。これが右のように表してみたものでございます。いずれも参考までに作ってみたというものでございます。
 薬剤師として求められる基本的な資質・能力,これはもうこれまでも何回もお話ししてまいりました。この中で,この4番の科学的探求の中で,「科学的探求を適切に」というような表現だったんですけれども,これが分かりにくいという御指摘がございましたので,「科学的思考を身に付けながら,学術・研究活動を適切に」と改めましたという点が前回と違う点でございます。
 『「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」を身に付けるための大学での学び』という項目をつけました。学生が大学での学びで心がけるべきことを,この資質・能力との関連でまとめたものでございます。
 生涯にわたって研鑽,獲得すべき資質・能力というのは,学生がそれをどう捉えるか。場合によっては戸惑いを覚えるかもしれないということで,加えてみたという部分でございます。
 これは最後でございますけれども,最後に,現行のコア・カリキュラムの課題,問題点,そして現状との乖離などをどう対応しようとしているかということで,今回のコア・カリを考えてみたというものでございます。これは参考までに付け加えてみました。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
【永井座長】  ありがとうございます。
 それでは,ただいまの御説明に御質問,御意見ございましたら,御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 狭間委員,どうぞ。
【狭間委員】  意見ですけれども,非常に興味深く拝見しました。
 特に,私学の薬学部もたくさん出てきている中で,3つのポリシーを決めると,恐らく各大学で何となくといいますか,場合によっては明文化されているんだと思いますけれども,そこを改めて,それぞれの大学が持つリソースを見て,また,どういうふうな人材育成をするのかということ,場合によっては建学の理念に立ち返ってつくられると思うので,学生さんにとっては,非常に選びやすいというか,進みやすい,モチベーション,方向性がしっかりした方が入学されて,6年間きっちり育つのではないのかなと,新しいカリキュラムがきっといい結果を出すのではないのかな,そういうことを非常に強く感じました。ありがとうございました。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 佐々木委員,どうぞ。
【佐々木委員】  非常にコンパクトにまとめられていて,非常によい案だなというふうに感心いたしました。
 1つだけ,各大学に教える内容の自由度があるということは今までになかったことで,各大学にとって非常によいことだというふうには思います。
 もう1つ気になるのは,そのことと,国家試験にどういう課題が出されるかということが,少しリンクが心配になったところなんですけれども,そこら辺はどういうふうにお考えなんでしょうか。
【井上副座長】  よろしいでしょうか。
【永井座長】  どうぞ。
【井上副座長】  私どもとしては,国家試験との直接的なリンクのようなものは考えないでまいりました。医学,歯学では,かなり明確なリンクを考えておられるんですけれども,薬学の場合には,国家試験とは少し別の,大学側の考え方として,国家試験とは直接には結びつけないということでやってまいりました。もちろん国家試験との関連というのは無視できないわけで,どこの大学も当然お考えになるとは思いますけれども,基本的には,今回のコア・カリキュラムが,国家試験の新しい方向性とか,そういうものと明確に違うということは全くございませんし,むしろ合っているのではないかなというふうに考えてはおります。
【佐々木委員】  どうもありがとうございました。
【永井座長】  山口委員,どうぞ。
【山口委員】  私も今まで細部にわたって決められていたところが,自由度を持たすことができたということに,とても関心を持ちました。自由度があるということは,かなり大学によってばらつきというか個別性が出てくるということだと思うんですけれども,そういったことがどのように展開されているかというような,各大学が,この項目を具体化したときに,こんな教育をしていることをどこかできちんと確認するようなこと,あるいはまた,そこからこんないい成果が現れたというようなところはやっぱりシェアしていく必要があると思うんですけれども,そのことについては,文科省のほうで把握していかれるということになるんでしょうか。そこを教えていただきたいと思いました。
【井上副座長】  最後は文科省からお答えいただくことになると思うのですが,私のから申し上げることは,まず,おっしゃられるように,ちょっと懸念されることは各大学でもって自由度が増したということで,どのように展開していくかというのが,少し見えないところが確かにあります。そのことに関しましては,この周知徹底する1年間の間にかなり決めないと,どういうふうに具体的に展開すればいいのかというようなことを何回にも分けてやはりきちんと示していく。例えば,シンポジウムとか,何かのワークショップみたいなもので周知徹底をするということが多分必要ではないかと思っております。
 その結果として,各大学が,どれだけきちんとしたカリキュラムをして,それで学生さんを育てていくかというのが,大学にお任せするということになるのですが,その結果がどうなったのかというのは,これは評価機構であるとか,あるいは,その結果として,これから先,私どもは薬剤師の機能といいますか,非常に多岐にわたるけれども,極めてある面では難しい局面もあるだろうというようなことから考えますと,下手な教育をすると,全く役に立たない卒業生を出してしまうというようなことにもつながっていくのではないかなと思いますので,各大学,本当にしっかりと考えてカリキュラムを構築していただきたいと思っている次第です。
 あとは文科省にお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。
【事務局】  文科省でございます。まさに今,井上委員長もおっしゃったように,ワークショップ等を通して確認をしていくということと,それから,評価については,評価機構のほうで学修の評価を見ていくというふうに伺っております。
 また,具体的な教育の内容について,薬学教育協議会において勉強していくなどというふうなことも少し伺っております。もしこの点,本間先生のほうから御説明いただけたらありがたいと思います。
 以上でございます。
【本間委員】  本間でございます。では,ちょっとお答えします。
 大学の自由度が上がるということを,私どももずっと説明をさせていただいておりますけれども,モデル・コア・カリキュラムでございますので,この前文にも書かれている内容でございますが,この内容は,少なくとも7割程度は遵守してくださいということが明記されておりますので,完全に自由ということではございませんので,その点,確認をさせていただきたいと思います。
 あとは,評価は我々薬学関係者で行うピアレビューといいますか,いわゆる評価機構が行う評価が行われておりますので,これまでとは様変わりする評価になるかと思いますけれども,しっかり我々の仲間で見ていくということが引き続き行われるものというふうに思っております。
 評価機構の関係の方々にも,このモデル・コア・カリキュラムの改訂作業にも御参加いただいて,趣旨は御理解いただいているかなというふうに思っておりますので,引き続き,もちろん連携を深めて,趣旨を御理解いただく活動を続けてまいりますけれども,御理解いただいて,また評価をしていただけるものと思っております。
 我々協議会としても,今回,モデル・コア・カリキュラムの改訂をお受けしたわけですけれども,この後も引き続きこの趣旨をお伝えできるように活動を続けていこうというふうに思っております。
 以上でございます。よろしいでしょうか。
【山口委員】  御説明いただいて,どうもありがとうございました。よく分かりました。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。
 では,私から1つ感想ですが,井上先生,ありがとうございました。
 医学教育でも同じですけれども,こうして各項目が明確になって,それぞれの役割が見えてくると,今度,タコつぼ化の心配があります。専門分化していくと,これらを全体としてどう統合するかが課題となります。「ヘルスリサーチ」という言葉が最近ありまして,患者さんの立場に立って,患者さんが最高の医療を受けられるための仕組み,専門分化を超えて横断的な視点を医療者に備えさせる,そういうことを一方でしていきませんと,ひたすら狭い領域で専門を深めていくという弊害が起こるわけですね。この辺りの仕掛けというか,問題提起でもよろしいのですが,何か指摘されていらっしゃるのでしょうか。
【井上副座長】  基本的に,今,先生がおっしゃったことは意識したつもりなんですけれども,基本的には,最初の資質・能力です,この資質・能力に関しては,これは医学も歯学も薬学もほとんど共通につくったわけです。そういう資質・能力から考えて,最終的には,患者,生活者の利益になるようなことを目指して,これから先,20年,30年,多分なかなか厳しい世の中になるのではないかと予想されます。そういう世の中に対して何とか貢献するように何とか持っていこうということで考えた次第で,決して専門領域だけにこだわっていくということを考えてはいないんですけれども,6年という時間の制約の中でやりますので,例えば一般教養とか,そういうようなものが若干欠けてしまっているとか,いろいろな指摘は当然あるかと思います。その辺のところは,各大学,いかに効率よく,今,永井先生がおっしゃったようなことも最後の目標として考えながらカリキュラムを構築していけるかと,そこにかかるのではないかなというふうに思っています。
【永井座長】  ありがとうございます。
 最近,「プラネタリーヘルス」などという言葉も聞くようになって,地球環境の問題と健康問題が表裏一体にしていかないといけない,そういう時代ですので,ぜひよろしくお願いしたいと思います。
【井上副座長】  はい。
【永井座長】  土屋委員,どうぞ。
【土屋委員】  土屋でございます。先ほど御説明いただいた内容を拝聴いたしましたけれども,今回の資料で一番感銘を受けたのが,大項目の関連図をきれいにまとめていただいたというところです。特にGの薬学研究の位置が,大項目のB,C,D,E,Fを外から覆うような形で薬学研究を置いたことで,先ほど永井先生がおっしゃったようなヘルスリサーチとか,横断的な研究というようなことが,この関連図によって各項目と関連しながら発展できるようになるのではと思った次第です。非常にいい関連図を作っていただきまして,どうもありがとうございました。
 以上になります。
【永井座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【乾委員】  乾でございますが。
【永井座長】  乾委員,はい,どうぞ。
【乾委員】  前回にも触れられていたかと思うんですけれども,私,今回のところで,やっぱりこの臨床薬学という教育体制の構築をしっかりと明記していただいて,それで,その中身のところをまた大学と医療現場とが連携を強くするんだということをしっかりとうたっていただいたこと,これは非常に大きいと思います。私は医療現場にずっといて,それから大学の教育にも関わったりということをしてきたんですけれども,ややもすると,お互いにちょっと遠慮をするというか,そういう部分もあったと思うんですよね。それから,対外的に,特に医学に対して,臨床薬学ということを堂々としっかりと明記して,このような教育体制を構築したんだということ,これはやっぱり非常に大きいことだと思います。今まで意識はしていたんですけれども,なかなかはっきりこういうことをうたうことができなかったというところ。それで,ずっと6年制の教育もやってまいりましたけれども,どう見てもここのところが曖昧で,それで,いろいろ努力しているけれども,もうひとつ社会に訴えるところが少ないとか,対外的な面で医療の中での位置づけというところ,それを今回はっきりと明記していただいたということ,これは非常に高く評価できるのではないかなと私は考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
【永井座長】  よろしいでしょうか。まだ時間はございますが,御意見ございませんでしょうか。
 佐々木委員,どうぞ。
【佐々木委員】  先ほどの薬学研究という話題が出ましたので,ちょっと意見を述べさせていただきたいと思います。
 これは薬学教育の学部のモデル・コア・カリキュラムであるということは理解していますが,このモデル・カリキュラムを学部でちゃんと収束しているというか,そこだけを念頭に置かれているような印象はあるんです。その薬学教育を永続的に行うには,薬学を卒業した人が大学院へ行って,薬剤師をしながら研究者をする,教育者をするというコースが必ず設計されていなければいけないというふうに考えているんですが,6年制の学部教育の中で,そちらの方向を見据えるところを書くのは難しいかと思うんですけれども,薬剤師として貢献するというだけではなくて,医療の中に薬剤師がいて,その医療全体の貢献に関わるというような,その意識づけが,やはり研究はするんだけれども,体験をするというぐらいの書き方であって,それを医療の進歩につなげるための学部での準備だみたいな書きぶりがあっていただきたかったなというのが,ちょっと希望になっています。
【永井座長】  いかがでしょうか。井上先生。
【井上副座長】  そういうことを意図はしているつもりなんですけれども,コア・カリになると,あくまで6年間のアウトカムということに絞られてしまいますと,今,先生がおっしゃったような部分をうまく書き込んでいくということがなかなか難しかったというのは,意図するところは,先生がおっしゃるとおり,そういうふうな気持ちなり何なりは明確に各大学が持たなければいけませんし,ぜひそういうことを気持ちの上で持って事に臨んでほしいなというふうには思っております。
【佐々木委員】  大学での自由度を少しいただいたというところで,各大学が工夫してそれを実践すればいいという理解もできますね。
【井上副座長】  はい。
【佐々木委員】  ありがとうございます。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
 柳田委員,どうぞ。
【柳田委員】  もう多くの皆様が御発言されていますが,今回の改訂で自由度が増したというところは本当にすばらしいなと思います。
 それから,解剖・生理が加わったこととか,いろいろな,今回,こういう改訂をしたいということの目標がしっかり達成できている改訂になっているのではないかなと感じます。
 また,医学あるいは看護とか保健学系から見たときに,以前のものと比べると,大変分かりやすくなっているなと,イメージしやすいなと感じています。先ほどあった3ポリシーとの関連図とか,そういったものを見ましても,大変すっきりして分かりやすいという印象を持っております。委員の皆様の御苦労を本当に感じながら,すばらしいものができているなと,そういう感想でございます。ありがとうございます。
【井上副座長】  ありがとうございます。
【永井座長】  奥田委員,どうぞ。
【奥田委員】  奥田でございます。今回,改訂の方針,各項目,大項目ごとの位置づけ等も明確にしていただいて,非常に分かりやすくなったなというのが正直な印象です。
 特に,臨床教育のところで言うと,臨床薬学,Fの位置づけについても,より個別の患者さんへの最適な薬物情報を届けるといった教育方針が明確にされた一方で,薬物治療の一般的な考え方については臨床薬学以前の段階で十分学修を図るなど,それぞれの位置づけが明確化され,よくなったなというふうに感じております。
 一方で,やっぱり臨床薬学をしっかり教員として教えられる教員の育成ということも非常に大事だというふうに考えております。コア・カリの直接の議論ではないと思いますけれども,医学部とか歯学部等で,やっぱり臨床系の教員のキャリアパスがしっかりと構築され,育成が図られているように感じておりますが,薬学はその辺りが少し弱いのではないかなというふうに考えております。
 つきましては,コア・カリの問題ではないかもしれませんが,今後,文科省さんで臨床系薬学教員の育成に関しての議論もしっかり進めていただけるとありがたいかなというふうに思います。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございました。
 狭間委員,どうぞ。
【狭間委員】  狭間です。2回目です。
 今回,非常に大きな変化で,基には,やっぱり現在の薬剤師さんの在り方であるとか,薬剤師の働き方に対する,1つそこを何とか変えていきたいという意向を感じられて,私自身,薬剤師さんの生涯教育のところでいろいろ活動もしているんですけれども,やっぱり今回の新しいモデル・コア・カリキュラムで学ばれた方と,それまでの方では,当然ながら少しギャップがあるわけで,そこは生涯教育の部分で埋めていくというふうな方向性があるというふうに考えないといけないのかなと思ったんですけれども,そういうことでよろしいでしょうか。
【井上副座長】  今,先生がおっしゃったように,生涯教育へのつながりというものは,それなりに意識して我々も考えたつもりではおります。
【狭間委員】  そのときに先ほどもお話があったように,やっぱり教える側といいますか,臨床教育をもって,いわゆる医療の中で専門性を発揮してチーム医療を実践するようなメンバーが教える側に回っていくような風潮づくりといいますか,そういったものもつくっていかないといけないなと思って聞いておりました。ありがとうございます。
【永井座長】  田尻委員,どうぞ。
【田尻委員】  今日は参加するのが少し遅くなり申し訳ありません。今,高松空港のパブリックスペースから参加させていただいております。今回のコア・カリキュラム,非常にいいものができたなと感じておりますけれども,先ほど奥田先生がちょっとおっしゃられましたけれども,これをどういう格好で学生に教育していくのか,その教育者をどうこれから確保していくか,先ほどちょっとお話がありましたように,薬剤師をしながら研究マインドを持ってという話と重なるところでもありましょうけれども,昨年度の卒業生の大学院の進学率が,この間,ちらっと出ていたと思いますけれども,非常に少ない。ですから,薬剤師が教員の成り手がすごく狭まれている状況というのは,やはり6年間薬学部で学び,その後大学院というのは大変な部分があるんでしょうけれども,やはり学生さんたちに,その道があるんだよという魅力も含めて,そういう教育をするというのも,これから求められる必要なことかなと思いますので,ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
【井上副座長】  よろしいでしょうか。
【永井座長】  はい。
【井上副座長】  大学と医療現場との連携というのは,もっともっと深めていくことが必要になるのではないか,そういうことを通じて,今,先生がおっしゃったようなことが少しでも達成できればというふうに思っております。グループ系の大学側からの呼びかけも,まだまだ少ない。もっともっと頑張って大学側もやっていかなければいけないかなというふうに感じております。よろしくお願いいたします。
【田尻委員】  ありがとうございます。
【永井座長】  石井委員,どうぞ。
【石井委員】  石井でございます。今回,作成側に回っていたものですから,最初,皆さんの意見をお伺いいたしまして,おおむね大分よくなったということを聞いて,ほっと胸をなで下ろしている状況でございます。
 一方では,やはりコア・カリですので,実は近未来を見据えたものでいかなければならないと思います。
 狭間先生のほうから生涯教育という話がありましたが,今回は,卒前,卒後,シームレスということを非常に意識しながら,ただ,まだ薬剤師の卒後教育というのは義務化もされておりませんし,じっくり皆さんと議論した後でもありません。厚労省の報告によると,卒後研修は非常に重要であるという報告書が出ておりますので,実践に当たっては,コア・カリが確定して,来年の周知期間はあると思いますけれども,その中で話し合っていきながら,さらなる展開させる必要を改めて感じた次第でございます。
 つくった側の者のコメントと,併せて感想等になりましたけれども,これが私の意見でございます。ありがとうございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。御発言いただいていない委員の方がもしいらっしゃいましたら。よろしいでしょうか。
 そういたしましたら,大体時間になりましたので,この議題はここまでとしたいと思いますが,本日いただきました意見は座長預かりとさせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは,その他について,事務局から説明をお願いいたします。
【事務局】  事務局でございます。それでは,資料3,今後のスケジュールを御覧ください。
 本日の第4回の在り方検討会の後,薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)のパブリックコメントを実施する予定でございます。その後,令和5年冬頃に,パブリックコメントの御意見を踏まえまして,薬学教育モデル・コア・カリキュラムを決定する予定でございます。令和5年度に薬学教育モデル・コア・カリキュラムの周知期間を取りまして,令和6年度の入学生から改訂版薬学教育モデル・コア・カリキュラムを適用するという予定でございます。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 何かただいまの説明に御質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 御質問がなければ,この件も御了解いただいたということにいたします。
 本日の議題は以上でございます。全体を通じて何か御発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,これで終了いたします。先生方には長時間ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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高等教育局医学教育課

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