薬学系人材養成の在り方に関する検討会(令和3年度~)(第2回)議事録

1.日時

令和3年12月24日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 薬学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂について
  2. 薬学部教育の質保証について
  3. 今後の進め方について
  4. その他

4.出席者

委員

永井良三座長、井上圭三副座長、石井伊都子委員、乾賢一委員、奥田真弘委員、北澤京子委員、小西靖彦委員、後藤直正委員、佐々木茂貴委員、田尻泰典委員、土屋浩一郎委員、手代木功委員、西島正弘委員、狭間研至委員、本間浩委員、柳田俊彦委員

5.議事要旨

【永井座長】  定刻になりましたので,ただいまから,薬学系人材養成の在り方に関する検討会(第2回)を開催いたします。本日の有識者会議は,傍聴者にユーチューブにてライブ配信をしております。
 まずは,事務局から本日の出席状況,事務局の異動の紹介と,配付資料の確認をお願いいたします。
【追川薬学教育係長】  事務局です。山口委員から,本日,欠席の連絡を受けており,委員16名の御出席となっております。
 次に,事務局の異動がございましたので,紹介をさせていただきます。今年度9月に高等教育局長に着任しました,増子です。
【増子局長】  皆さん,おはようございます。ただいま御紹介いただきました,高等教育局長を拝命しております,増子でございます。本日は,年末の大変お忙しい中,本検討会に御出席をいただきまして大変ありがとうございます。本日は,薬学教育のモデル・コア・カリキュラムの改訂と,あと薬学教育の質保証について御議論をいただくことになっております。いずれも大変重要なテーマでございますので,委員の先生方におかれましては,ぜひとも積極的な御意見を賜ればと存じます。何とぞよろしくお願いします。
 以上です。
【追川薬学教育係長】  同じく,9月に高等教育局担当審議官に着任しました里見です。
【里見審議官】  里見でございます。9月から医学教育課の担当の審議会を拝命しております。どうぞよろしくお願いいたします。
【追川薬学教育係長】  続きまして,配付資料の確認をさせていただきます。議事次第4,配付資料にございますとおり,資料1から8,参考資料1から8となっております。事前に送付しておりますが,何か御不明な点等ございましたら,事務局に御連絡ください。
 なお,資料につきましては,文部科学省のホームページでも公表しております。
 本日の議題は,議事次第にありますとおり,1,薬学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂について,2,薬学部教育の質保証について,3,今後の進め方について,4,その他となっております。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは,議事に入ります。議題の1,薬学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂について,事務局から説明をお願いします。
【大久保専門官】  ありがとうございます。事務局でございます。では,私のほうから御説明申し上げたいと思います。
 まず,資料1をお願いいたします。薬学教育モデル・コア・カリキュラムに関する恒常的な組織の設置についてということでございます。
 1の目的にございますが,薬学系人材養成の在り方に関する検討会の審議を踏まえ,薬学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する恒常的な組織ということで,平成23年より設置しておりまして,今回の改訂に向けてメンバーを改めることになりました。
 次のページに委員の名簿がございますが,薬学の各領域の先生方,薬学教育の関係団体,それから職能団体,医学,歯学,看護学の先生方にお入りいただくことといたしました。
 では,資料2に参りたいと思います。薬学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂の経緯等についてということで,2ページ目ですけれども,各領域のモデル・コア・カリキュラムの策定と改訂の変遷を示したものでございます。医学,歯学のコア・カリキュラムは平成13年に策定されまして,3回改訂をしております。近年は,6年ごとに改訂をしておりまして,今回は4回目の改訂となります。薬学は,平成14年と平成15年に策定しまして,6年制教育が始まった平成18年4月から開始し,今回,2回目の改訂となります。看護学は,平成29年10月に策定し,平成31年の入学生から開始したところです。
 3ページ目をお願いします。モデル・コア・カリキュラムの改訂のスケジュールですけれども,コア・カリキュラム改訂に向けた課題や盛り込むべき事項について,令和元年度から調査研究を,日本私立薬科大学協会に委託しております。本年度で3年目となりまして,本会議でコアカリの検討を開始するということになります。令和4年度にコア・カリキュラムの改訂が完了します。今回は,薬学,医学,歯学が同時改訂となります。令和5年度に,準備期間として周知を図り,令和6年度の入学生より,新しいコア・カリキュラムをスタートさせたいと考えております。
 4ページ目をお願いします。今日の在り方検討会でコア・カリキュラムに関する議論を開始しまして,1月頃から専門研究委員会を立ち上げます。以後,適時開催いたしまして,検討を行い,令和4年,秋頃にはコア・カリキュラムの素案が決定し,パブリックコメントを経て,令和5年3月頃には,新しいコア・カリキュラムを決定してまいりたいと考えております。
 7ページ目までお願いいたします。これまでの薬学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂の体制ということですけれども,右側が初版のコア・カリキュラム策定の体制となります。日本薬学会が薬学教育モデル・コア・カリキュラム,文部科学省で実務実習モデル・コア・カリキュラムをつくりまして,合本したものができ上がりました。
 左側は平成25年改訂の現行版でございますが,薬学モデル・コア・カリキュラムの改訂等を決定する組織として,薬学系人材養成の在り方に関する検討会,モデル・コア・カリキュラム改訂の原案を策定する組織として,専門研究委員会を文部科学省で主催し,今回の改訂も同じ会議で行うということになります。
 9ページ目をお願いします。前回の改訂スケジュールでございますが,3つ目の四角のところ,専門研究委員会を平成23年9月に立ち上げまして,その後,各団体からのヒアリング,各大学へのアンケート調査等を経まして,10ページ目になりますが,パブリックコメントを経て,平成25年12月25日に本検討会でモデル・コア・カリキュラムの策定をしたという流れになっております。
 11ページ目をお願いします。医学,歯学,看護学の現行コア・カリキュラムの構造を比較したものです。共通してAからGの7部構成になっています。
 12ページ目は,現行コア・カリキュラムの基本的資質・能力を並べたものです。医学,歯学は,平成28年度改訂の際に基本的資質・能力の共通化を図りました。
 13ページ目をお願いします。この共通化を図りました平成28年度版医学教育モデル・コア・カリキュラムで示されている留意事項でございますが,医師以外の各職種においても,チーム医療等の推進の観点から,歯学教育との間で求められる基本的な資質・能力において試みたように,医療人として共有すべき価値観を共通で盛り込むことが重要であるというふうに示されております。
 14ページ目には,歯学教育モデル・コア・カリキュラムにも同様の記載がされておりまして,本スライドでは医学教育と異なる部分だけ太字にしております。このようなことから,今回,医学,歯学,薬学,同時改訂に当たりまして,薬学においても共有すべき価値観を盛り込むこととしました。
 15ページ目,御参考ですけれども,現在,医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に向けた基本方針(案)をお示しいたします。例えば,1ポツですけれども,20年後以降の社会を想定した改訂をと。それから,3ポツ目に,共用試験の公的化と医学生の医療の法的位置づけを踏まえた対応というところが特徴的です。また,4ポツ目のコアカリのスリム化,7ポツ目の歯学・薬学コアカリとの一部共通化などを掲げております。
 16ページ目には,歯学教育のモデル・コア・カリキュラムの改訂に向けた基本方針を示しております。1ポツ,まる2の社会のニーズを踏まえた学修項目の見直し,4ポツ,医学,薬学教育のモデル・コア・カリキュラムとの一部共通化,5ポツ,総量の適正性の検証など,こういった基本方針の下,コア・カリキュラムの改訂の検討を始めております。
 資料3をお願いします。平成28年の医学・歯学のコア・カリキュラム改訂では,資質・能力の共通化を図るのに当たり,医学・歯学共通のキャッチフレーズを掲げました。今回の医学・歯学・薬学の同時改訂では,薬学部も含めた共通のキャッチフレーズを掲げたいと考えております。文部科学省で原案を作成し,医学・歯学・薬学のコア・カリキュラムについて調査研究を委託している先生方と相談して,調整を図りました。
 「未来の社会や地域を見据え,多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人の養成」と銘打っております。四角の囲みの中の文章でございますが,上のほうは近年の医療の動向や課題から求められる人材を示しておりまして,赤字の部分は,それをカリキュラムにどう反映させるかといったことを,薬学の調査研究を委託している先生方にアレンジをしていただいたものです。
 参考でございますが,2ページ目,3ページ目には,医学の調査研究チームのアレンジと,歯学の調査研究チームのアレンジによるものをお示しいたします。
 続きまして,資料4をお願いします。薬剤師として求められる基本的な資質・能力案をお示しいたします。左側の列は,平成25年に改訂された現行の薬学教育コア・カリキュラムに示す資質,中央の赤囲みの列は令和4年度改訂コア・カリキュラムの資質・能力(案),右側の列には,参考としまして医学・歯学の資質・能力(案)を示しております。資質・能力を共通化するのに当たりまして,医学,歯学,薬学の3領域の調査研究を委託している先生方にお集まりいただき,議論をお願いしながら,文部科学省で調整したものでございます。
 基本的な資質を申し上げますが,1,プロフェッショナリズム,2,総合的に患者・生活者を見る姿勢,3,生涯にわたって共に学ぶ姿勢,4,科学的探求,5,専門知識に基づいた問題解決能力,6,情報・科学技術を活かす能力,7,薬物治療の実践的能力,8,コミュニケーション能力,9,多職種連携能力,10,社会における医療の役割の理解としております。
 特に,7の薬物治療の実践的能力に相当する医学・歯学の資質・能力は,患者ケアのための診療技能となっております。これは,医療を提供する手段は職種によって異なるため,別々のものといたしましたが,そのほかは全て共通のものとなっております。
 2の総合的に患者・生活者を見る姿勢ですけれども,医・歯・薬,どの領域においても自身の専門にとどまらず,患者等を総合的に見る姿勢が重要であろうとして新設しました。6の情報・科学技術を活かす能力ですが,ICT技術の進展,AIの発展等に伴いまして,医療従事者がこれらを適切に活用して,社会への貢献する能力が求められるとして,今回の改訂版で特に追加したものです。
 それぞれの詳細は検討中ではございますが,参考といたしまして,現時点のものをコア・カリキュラムの改訂に向けた調査研究を取りまとめております,井上先生より御説明をお願いしたいと思います。
【永井座長】  ありがとうございます。では,井上先生,お願いいたします。薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向けた基本方針(案),委託事業として薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向けた調査研究を取りまとめていらっしゃいます。
 井上先生,よろしくお願いいたします。
【井上副座長】  では,最初に資質・能力について文科省から御説明がありましたけども,薬学としてはどう考えるかというのがまとめてあるので,簡単にここから御説明申し上げます。
 プロフェッショナリズムに関しましては,医,歯,さらに看護等ではプロフェッショナリズムというのは既に資質・能力として取り上げられておりますけれども,薬学はこれまでございませんでした。プロフェッショナリズムという考え方をしっかりと学生時代から根づかせるという意味でも,プロフェッショナリズムというのは当然取り上げるべきだということで,これは入れさせていただいております。
 2番につきましては,医学のほうでは,最初は患者だけだったのですけども,私どもとしては,生活者というのも入れていただきたいということで,生活者を入れていただいております。生涯にわたって共に学ぶ姿勢。薬学には,これまで教育力という項目があったのですけども,この教育力ということに関して,医学,歯学のほうからも,これはなかなかいいことだということで,そういうことを共に学ぶという言葉の中に含ませていただくことになりました。
 これは,まさに他の医療陣,多職種間でも学ぶこともありますし,また,教育の上で言えば,学生同士でも学ぶことがある,アクティブラーニングなどを通じて共に学ぶ姿勢というのが重要であると,ここに教育力みたいなものが入ってくるということでございます。
 科学的探求は,これは文字どおりであります。専門知識に基づいた問題解決能力。これは,まさに単なる知識,技能だけじゃなくて,そういうものを活用して問題解決能力を養うという姿勢であろうかと思いますので,大変結構なことだと捉えております。
 情報・科学技術を活かす能力。これは,まさに御説明があったとおりであります,医学,歯学の先生方と共にチームをつくって,今,この情報・科学技術を活かす能力をどういうふうに教育に反映するかというようなことを検討させていただいております。
 これは,先ほどの文科省の御説明のとおり,私どもとしては,薬物治療に関しては,まさに医学,歯学と患者ケアのための診療技術というのはなじまないということで,薬物治療の実践的とさせていただいたということです。
 コミュニケーション能力に関しては従来どおりでございますし,それから多職種連携能力,これも文字どおり。最後に,社会における医療の役割の理解,これは私どもが今まで衛生薬学ということで扱ってまいりましたけども,衛生学,公衆衛生を加えた形でしっかり勉強していこうということで,これも加えさせていただきました。
 それで,永井先生の御要望は次にあるのでしょうか。
【永井座長】  はい,資料6-1と6-2の説明を。
【井上副座長】  分かりました。では,6-1を御覧いただければと思います。これで,私どもは5つの項目を定めております。1番が,大きく変貌する社会で活躍できる薬剤師を想定した教育内容の検討。これは,文科省の最初のキャッチフレーズのところにある言葉をかなり取っているのですけれども,人口構成も変わりますし,ここにありますように,高齢化社会でありますとか,医療費が高騰する,さらには,AI等もさらに活発になる。そういうふうに社会が大きく変貌しようとしている。これに対応できる薬剤師でなければならないということで,そういうことを想定した教育内容にしたいということでございます。
 2番目の,生涯にわたって目標とする「薬剤師としての基本的資質・能力」,これは現行のコアカリでは,基本的な資質を卒業時に獲得すべき資質というふうにしたのですけれども,これは生涯にわたって研さんすべき資質・能力であるとしたほうがいいのではないかということで,生涯にわたって目標とする資質・能力,コンピテンシーとも英語では言うと思うのですけども,このコンピテンシーを表示した新しいモデル・コア・カリキュラムにしたいということでございます。
 現行のコアカリは,基本的には,Outcome-based education,成果基盤型の教育ということを標榜しているのですけれども,若干,従来のGIO・SBO,プロセス基盤型教育に使われるシステム,やり方ですけれども,そういうものとちょっと混在しておりまして,まだまだ成果基盤型教育に完璧になっていなかったという点で,その点をもう少し進化していったらどうかというのが2番目の点でございます。
 それから,3番目,各大学の責任あるカリキュラムの運用。これは,基本的には現行のコアカリの中のSBOが1,000項目以上ございまして,そのSBOをきちっとこなすというのに大変時間を要するということで,各大学が自由に展開するような部分が極めて乏しいというのが,今の薬学の先生方の一致する見解でございまして,この辺,何とか自由の向上ができないかということで,検討させていただいている点でございます。
 4番目,課題の発見と解決を科学的に探究する人材育成の視点。これは,現在,6年制の薬学の後にある大学院の学生がなかなか行ってもらえないという点もございますし,また,そういうことを延長して考えますと,教員不足ということもかなり深刻な問題としてあり得るというようなこともありまして,できることでしたら,しっかりと科学的に探究する人材育成ということも考えたいということが4番です。
 5番目は,まさに医学・歯学教育のモデル・コア・カリキュラムとの一部共通化ということで,医療人としての薬剤師,それを明確に意識した使命感,意識をしっかり植え付けるということもしっかり考えて,カリキュラムを組んだらどうかということでございます。これが薬学におけるモデル・コア・カリキュラム改訂に向けた基本方針としたいと考えておりますので,この点について御審議をいただければと思います。
 これで,引き続いて6-2にも行ってよろしいのでしょうか。
【永井座長】  お願いします。
【井上副座長】  6-2でございます。こういうような基本方針に基づいて,じゃ,コアカリの構成をどうするのかということでございます。医学のほうは,資質・能力に直接ひもづけた形でコアカリを構成するという,非常に新しいことをお考えのようでございます。
 私どももそれが理想であるというふうには思うのですけれども,今回は従来のやり方を踏襲して,しっかり資質・能力との連関も考えていこうというスタンスで行こうとしております。したがって,基本的には従来のやり方,すなわち大項目,中項目,小項目というので構築しようということでございます。AからGまでの大項目を考えてみました。
 次のほうが分かりやすいので,これで説明させていただきます。改訂案でございます。従来は基本事項であったものでございますけれども,これは,今回は薬剤師としての基本的資質・能力というふうに置き換えたいと思っております。これは,医学,歯学,さらに看護もそうなのですけれども,この資質・能力というのを,私どもはカリキュラムの外側に置いていたのですけれども,資質・能力とコアカリとの関連,連関ということを考えますと,コアカリの中に入れたほうがいいということでございますので,この資質・能力というのを大項目の最初に掲げることにいたしました。
 B,薬学と社会は,これは社会が前のほうが正しい姿勢だろうということで,社会と薬学とさせていただきました。Cは基礎薬学,同じです。ここで順番がひっくり返ります。臨床につながる医療薬学がD,そして衛生薬学・公衆衛生薬学をEといたしました。Fが臨床薬学,Gは薬学研究で変わりません。
 なぜここをひっくり返したのかと申しますと,基本的には今回のカリキュラムは,E,Fが行為につながるものであるというふうに位置づけてみることにしました。Dは,臨床につながる医療薬学で,E,Fを直接支えるものがDであると。さらにDを支えるものがC,基礎薬学がDを支えるというような位置づけにすることにいたしました。B,社会と薬学,これはCでも,E,F,いずれのところにも関わってきますので,これは別としまして,全体としては,全ての矢印がFに,一部Eに向かっているというような位置づけが明確になるように組み立てることにいたしました。
 次,行きます。そうしまして,コアカリの構築さらに一歩深く考えてみたのがこれでございます。まずは,薬剤師としての基本的な資質・能力がAということになります。ここには,先ほどの10個の項目が並びます。プロフェッショナリズムから始まり,10番目の社会における医療の役割の理解というものになります。
 したがいまして,Aの1がプロフェッショナリズム,Aの2が総合的に患者・生活者を見る姿勢ということになります。これに関しましては,中項目がございますけども,小項目はございません。なぜかと申しますと,この薬剤師としての資質・能力というのは,卒業時に求められる資質・能力ではなくて,生涯を通じて研さんすべき資質・能力ですので,具体的に,例えばプロフェッショナリズムというのを取り上げますと,これは卒業時までには22週間の実務実習しかございません。その間,プロフェッショナリズムを十分に理解させるというのは到底不可能でございます。
 したがいまして,この全体の項目は,ここに掲げますような説明文,さらには,このそれぞれの資質・能力がB以下のところのどの項目に関連するかというような記載をするにとどめて,小項目は,特にAに関しては置かないというようなスタンスでいったらどうかということでございます。
 次に,Bでございます。Bは社会と薬学で,ここは小項目がございます。B-1,集団に対する医療のB-1の1が保健医療統計というように並んでいきます。この中には,B-2の最後の5のところに,医療の経済性とか,B-3になりますと倫理等がここにも入ってまいりますし,B-4の中には,先ほどございましたデジタル技術,ビッグデータの利活用等々が入ってまいります。
 Cに行きます。Cはまさに基礎薬学でございまして,C-1と2が従来の物理化学,C-3から3つの中項目が,いわゆる化学でございます。そして,最後の2つが生物ということでございます。C-7が特徴的なことだと思いますけれども,人体というのをあえてBという中項目に取り上げることにいたしまして,ここにいろいろな臓器等が並んでおります。正常な状態での臓器等に関する記載ということになります。
 次,お願いいたします。Dです。このDが臨床につながる医療薬学というふうになっておりまして,このD-2を見ていただきますと,これは先ほどの生物のところにありました人体の臓器の説明にちょうど対応するような,各臓器,組織が病気になったときにどういう状態になるか,そして,それを治療するにはどういう薬があり得るのかということを学んでいくという構成にしてみました。
 次,お願いします。そしてEが衛生薬学・公衆衛生薬学です。これに関しましては,E-1が公衆衛生学,そして特徴的なのはE-4,最後のところですけれども,感染症の予防と蔓延の防止。これが今はコロナですけれども,今後,様々な感染症が登場するということも考えられますので,医学と同様にこの点に関して,もう少し充実した教育を施すべきではないかということで,E-4という中項目が新たに出てきたということになります。
 次,お願いします。そしてF,これがほぼゴールに近いということになるのだと思いますが,行為です。医療の実践というようなものから,さらに公衆衛生の実践みたいなものをF-3の項目で挙げようといたしております。
 いずれにしましても,Fがある意味でのゴールでございまして,このゴールに向かって,A以下,B,C,D,Eがこれを支えているというような構図にしたらどうかという考え方でございます。
 次,お願いします。こういうふうにして層構造にしまして,大項目,中項目,小項目まで,ざっとお話をさせていただきました。さらに,その下に小項目の狙いがあり,その狙いをどういうふうにしていくかということで,学習目標というのを置いたらどうかと。さらに,学習目標を達成するためには学習事項というもあるんじゃないかと。
 こう考えますと,学習事項が,5項目,5段階目というふうに位置づけられることになるかと思います。例えば,もうちょっと具体的に言いますと,社会と薬学の中の中項目は医薬品等の規制,そして,小項目がその中の医薬品開発を取り巻く環境というふうに位置づけをしますと,学習目標が医薬品開発の過程を説明する,あるいは説明できるでもいいのだと思いますが,こういうような学習項目が並ぶと。
 そして,その目標達成するためにはどんな学習事項があるかということが,またここに並ぶという構成でございます。この青で書いたところをちょっと注目していただきたいのですけど,他の領域とつながり,ここがとても我々としては重要な点ではないかと考えておりまして,この小項目がほかの項目とどのようにつながっているのかということを明示していったらどうかというふうに考えた次第でございます。
 この学習目標,学習事項ということ,ここをどういうふうに捉えて,どういうふうにするかということが実はポイントでございまして,この辺のところで自由度というのを持たせるというふうに,私ども申し上げましたけれども,この意味するところは,ある程度,例えば例示というような形をすることによって,各大学の自由度,各大学が工夫してこれを達成するというような方向にするのが,かなり各大学が創意工夫する余地が出てくるのじゃないかというふうに考えてみた次第でございます。
 以上,大体私どもが考えてみなしたコアカリの新しい方向性について,簡単に説明させていただきました。御審議いただければ幸いでございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは,ただいまの事務局及び井上先生からの説明について,御質問をお受けしたいと思います。
【大久保専門官】  事務局です。資料5の説明を飛ばしてしまいまして,御説明したいと思うのですけれども。
【永井座長】  それでは,お願いします。
【大久保専門官】  それでは,資料5をお願いいたします。令和3年度薬学教育指導者のためのワークショップについて,御紹介したいと思います。
 2ページをお願いします。文部科学省では,毎年,全国の薬科大学長,薬学部長等を対象といたしましてワークショップを開催しておりまして,今年は9月に開催しました。今回のモデル・コア・カリキュラム改訂を見越しまして,現行の薬学教育モデル・コア・カリキュラムの成果と課題ということで,御議論いただきました。
 3ページ目,お願いします。事前にアンケートをとっておりまして,改訂コアカリ導入後の学部教育についてどうかということを聞いております。
 4ページ目に結果がございますが,この中で,特に3番目,大学独自の専門教育の配置,4番目の研究能力を伸ばす教育の実施,5番目のOBE,学習成果基盤型教育の考えに基づくカリキュラムができていないとする大学がほかより多くなっております。
 5ページ目,お願いいたします。薬剤師として求められる基本的な10の資質の到達はどうかということを聞いております。
 結果,6ページ目でございますけれども,8の研究能力,9の自己研さん,10の教育能力について,身についていないと回答する大学が,ほかより多くなっております。
 7ページ目,お願いいたします。そのほか,改訂版モデル・コア・カリキュラム全体について,自由記載で意見を伺っております。
 8ページ目をお願いします。改訂コアカリ導入によって新たに出てきた問題はありますかということで,一番多かったのが,SBOs,到達目標の過密ということです。知識に対する教育の要求が過剰であり,内容の絞り込みが必要というふうな意見がございました。
 9ページ目,お願いします。医療薬学,薬学臨床の部分については,疾患が多いという指摘がございまして,疾患等を絞り,深く学ぶ能力を身につけさせるべきという意見がございました。これらに関連しまして,大学の自由という点では,大学の独自性を出すことが難しいという指摘があります。
 10ページ目,お願いします。OBEの考え方やSBOs,GIOについて,マッチしていないとか,位置づけが問題であるとか,それから学習成果の評価が行いにくいなどという意見が続いておりました。
 11ページ目をお願いします。基礎科目への影響という点では,基礎系の講義や実習時間が削減されたことは残念であるとか,基礎的な科学力を軽視する学生が出てきているという意見があります。また,多職種連携というところもございますが,薬剤師の職務に,モノからヒト,多職種連携が求められていることに対応した内容に変更すべきであるなどという意見もございます。
 12ページ目をお願いします。その他,コアカリ全般に関して御意見がありましたらということですけれども,これも先ほどの設問と同様にSBOsが過密であるということ,それから13ページ目には,基礎薬学と医療系薬学のバランスについて言及しているものがありました。
 進路に多様性のある薬学部では,基礎科学を大切にという意見がある一方で,3つ目の丸ですけれども,従来からの基礎薬学の教育の内容を整理し切れていない印象がある。より明確に医療人教育を打ち出し,そのほかの部分をもう少し大学の独自教育に委ねる構成でもよいのではないかという両論がございました。
 14ページ目には,国家試験との関係に言及したものもありまして,また,コア・カリキュラムの範囲外の教育が不十分となる可能性があるのではないかとか,それから,学習成果基盤型教育,OBEに関する意見では,パフォーマンス力を醸成,発揮させるようなコアカリになっていないのではないかなど,ございました。その他,複数ございます。
 16ページ目に参りまして,ワークショップを行いましたので,そのプロダクトから抜粋したものを御紹介いたします。プロダクトの中での特徴的なことは,薬剤師の心構え,倫理教育が不足しているという議論が多く見られました。
 17ページ目ですけれども,SBOsの過密/大学の自由度という点についても議論いただいておりまして,上から5つ目の丸の部分ですけれども,このSBOsの数の削減と併せて,その表現方法を概念的なものにすることで,大学の裁量で内容を解釈できるようにすることが望ましいという意見がある一方で,この概念的なものにすると,教育の質の保証ができるのか懸念される。さらに議論が必要であるということを議論されております。
 以降,具体的な対応の提案を含めた意見が続いておりました。こういったことも含めて,コア・カリキュラムの改訂の参考になればと思いまして,御紹介いたしました。
 事務局からの説明は以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 それでは,御質問をお受けしたいと思います。御発声いただくか,あるいは手挙げボタンを御利用ください。いかがでしょうか。
【狭間委員】  狭間でございます。よろしいでしょうか。非常に詳細な御発表,ありがとうございました。私から,F,臨床薬学の4のところで,臨床現場で活動するためにという項目,非常に興味深く拝読しました。やっぱり薬機法でも定められたような服用後のフォローとか,その後,医師への情報提供とか,そういった部分をやっていく際に,コミュニケーション能力であるとか,あと,医師とか看護師が耳をそばだてるような内容になると,るる御説明があったような薬学的な基礎知識,専門知識があっての発言が,初めて臨床現場で処方内容に反映されていくものと理解しております。
 そのイメージを,やっぱり薬学実習の現場で体験すること,学生さんですから,実習の現場で,ああ,こういうことをやっているのだなということを見て,本格的には免許を得てから現場で学ぶと思うのですけども,そういった薬学実習の中での病院,もしくは薬局での教育内容等々について,今回モデル・コア・カリキュラムでどの程度指針を示されるのかとか,もしくは,当然ながら,実習を受ける実務実習の指導者のプログラムに要請されるのかというところが,具体的に行っていく上には重要なファクターになるのかなと思って,少しお聞きしたいなと思って御質問させていただきました。
 以上です。
【永井座長】  いかがでしょうか,事務局。
【井上副座長】  その点につきましては,これはあくまで現場の先生方とかなり詰めてディスカッションしていかなきゃいけない問題で,文科省が主催する連絡会議というのがございます。そういうことを通じて,実習でどういうようなことを具体的に行うかということを,コアカリが改訂に備えて,コアカリが改訂されるので,じゃ,実習はどういうふうに展開しましょうかということを,共に考えさせていただければいいかなと思っております。
 よろしくお願いします。
【狭間委員】  ありがとうございます。ぜひ薬学教育と実習の現場との温度差といいますか,これは普通ならあって当然だと思うのですけど,特にバイタルサインとか,フィジカルアセスメントというのは,薬剤師さんの専門性からすれば必須だと思いますけれども,その辺りもある程度歩調が合った形で進むのが,学生さんにとっては戸惑いがないのかなとちょっと思いましたので,発言させていただきました。
 ありがとうございました。
【井上副座長】  ありがとうございます。
【永井座長】  手代木委員,どうぞ。
【手代木委員】  ありがとうございます。それでは,ほとんど皆様,先生方でいらっしゃいますので,業界からということでお話をさせていただきたいと思います。今回,御説明をいただきました内容,私どもなりに拝見いたしますと,ますます薬学教育イコール薬剤師の育成ということで,薬学系人材の養成なのですけれども,薬剤師ということにすごくフォーカスが当たっております。
 例えば,私ども,今回のパンデミックで,日本から薬をつくれ,その辺りは海外と比べてどうなっているのか,というお叱りをいただくわけでございますが,そういった製薬業界,あるいは医療機器業界に薬学部の方々がお勤めいただくというようなキャリアパスが,あまりよく見えてないのではないかというのが,業界全体としての受け止め方でございます。
 特に,大変申し上げにくいのですが,これは業界のせいでもあるのですが,今回のジェネリック等の品質問題につきましても,厚生労働省様からは総責,総括製造販売責任者をもっと充実させなさいと,これは薬剤師の役目だというふうに言われているのです。大変失礼ですが,薬剤師を外でやっていらっしゃる方が,企業に来られてすぐに総責をおやりになれるわけではなく,企業の中で10年,20年,お仕事を続けてきた薬剤師の方が,業務をなされるというものです。あるいは,創薬活動には,最近は特に工学部,医学部,農学部の方々が物すごく積極的にアプライをしてくださるので,このままだと,企業サイドとしても,薬学系人材の方がますます企業に入って来にくくなるような危惧を少し感じているところでございます。
 我々とすると,キャリアコースとして,就職先,あるいは人生をかけたやりがいのある仕事として,企業における創薬,あるいは医療機器でもいいですけれども,そういった開発に関わる基礎研究を継続いく,そういった道もやっぱりあるのだというふうに,何らかの形でコース設定をしていただきたいと思います。さもなければ,もともと製薬業界における薬学部出身者の割合がずっと減少を続けている中,このままですと,さらにこういった傾向が進んでしまうのではないかと,こういうことを業界としては,種々いろいろな方にお伺いしても,非常に大きな懸念を持っているということで,ここらあたりの御配慮を賜ればと考えているところでございます。
 意見でございますが,大変失礼いたしました。
【永井座長】  ありがとうございます。では,田尻委員,お願いいたします。
【田尻委員】  丁寧な御説明,ありがとうございました。今回,2回目のコアカリの改訂を迎えるということで,非常に期待もしつつ,医学部,歯学部と横並びでということがはっきりしましたので,それについては大変喜ばしいことだと思っております。
 今,思い起こせば,現コアカリのときに, OBEの考え方に,必死に現場としてなじもうと努力してきたのですけれども,結果,やはりGIO,SBOsの概念を取り払うことがなかなか難しかった。教育する側もありましょう,現場のほうもそういうことが確かにあったのかもしれませんけども,今回はきちんと,なるほど,OBEってこういうことなのだということをみんなが理解できるような準備がされることが大事ではないかなと思います。
 それと,また別の話になりますけども,臨床薬学について,薬剤師の能力の基本体系を実現するために,やはりB,Eの領域の設定について見直すことが重要だと思っていますので,やはりBからEがあって,最終的に薬剤師としての能力,Fでどういう行動変化に結びつくのか,これが大変重要な,これから求められることだと思います。
 ですから,大学教育の中でも,単に知識を修得させるということではなく,やはり,薬剤師に,今の世間がどういうニーズがあり,それに応えるためには,どのような知識の取得が必要なのか,そして,様々な知識を活用することというのが薬剤師の現場の業務に直接関係してくると思いますので,そこら辺のことをきちんと理解をしていくことが必要だと思います。
 先ほど,御意見があったのですが,確かに臨床ということは大事なことですけれども,薬剤師が活躍するいろいろな職域がありますので,それについて薬剤師業務以外の職域でどのような薬剤師が活躍できるかということも大事なことであり,これは,やはり大学独自のカリキュラムの中でそういう特色を出していくことが必要なのかなと思います。
 そして,大学の教員になれる薬剤師というのを,これからどれだけ増やしていけるのか。そのことで,やはり臨床というのが身近に感じられる学内での教育ということにも結びつくと思いますので,やはり大学の特徴がきちんと出せるような独自のカリキュラムを実施する,そのハンドルの遊びの部分をもう少し大きくする。そのためには,先ほどの話に戻りますけども,GIO,それからSBOsによって,喉元まで来ているという現状をどうにか解決する必要があろうかと思いますので,ぜひそこら辺のこともお願いしたいと思います。
 それと,OBEというのは,最終的に何ができるようにいま学んでいるのかということに,本人の自覚がないとなかなか難しい部分もありましょうから,1年生から6年生まで6年間かけて,薬剤師としての基本的資質・能力,プロフェッショナリズムでしょうけれども,そこのところが大根底であるということを,やはりきっちり押さえていただきたいと思います。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは,土屋委員,お願いします。
【土屋委員】  土屋です。よろしくお願いいたします。本日,資料の6-1,井上先生から御説明いただきました,この4項目,課題の発見と解決を科学的に探求する人材育成の視点ということで,そこで大学院とか,教員不足に対する対応策というふうなことを基本方針ということを盛り込んだというふうなことを御発言いただきまして,非常にありがたい内容だなと思いました。
 その後で,今,手代木委員のほうから御発言がありましたように,やはり薬学部というのは,薬剤師の育成も当然なのですけども,多様性ということが先ほど出ましたが,いろいろな職種に就職している。製薬メーカーもございますし,公衆衛生及び地方公共団体とか,いろいろなところに就職しているというのを,このコアカリの中に含められないのかなと。
 それと,もう一つは,特に今回のパンデミックで医薬品の創薬というふうなところで,薬剤師というのは,いわゆる臨床現場で患者さんと対峙するというのが1つなのですけども,患者さんと対峙して医薬品を説明する。その医薬品をつくる人,種をつくる人がいなくなってしまえば,説明するものがないというふうなことも非常に危惧しております。
 その点で,もう一つは,薬剤師であっても研究をしたいということで,最近,大学院に戻ってこられる人がじわじわ増えてきております。そういうふうな人を受け入れられるというか,臨床の疑問を研究に発展できるような人材,これを育てられるようなコアカリということを仕込んでいただければなということを強くお願いしたいなと思います。
 1点としましては,例えば,このAからF,今日,御説明いただきましたけども,それぞれの中に,1つずつ研究というようなところを入れていただければなということをお願いできればなと,僣越ですけども,考えている次第です。といいますのは,書かれていないと,やっていただけないというようなことが多々ございますので,ぜひ紙の上で研究という言葉を1つ,入れていただくことができればなと思います。それが進めば生涯教育にもつながっていくんじゃないのかなというふうに思っております。
 以上です。どうもありがとうございます。
【永井座長】  ありがとうございます。北澤委員,お願いします。
【北澤委員】  北澤です。御説明,どうもありがとうございました。私は,薬剤師ではないんですけれども,医療を受ける立場からコメントをさせていただきたいと思っております。まず,今回,医学や歯学のモデル・コア・カリキュラムに倣って,今度,プロフェッショナリズムというキーワードが入るということで,それは大変すばらしいことだと思いました。
 やはり,薬剤師の先生方は,医師や歯科医師の先生方もそうなんですけれども,やっぱりプロとして仕事をしてもらいたいので,ぜひここのところに力を入れてもらいたいと思っております。
 それから,そこにも関係するのですけれども,今日説明いただいた,ワークショップの感想で,倫理教育が不足しているとコメントしておられた方がいらっしゃったようです。そこのところもとても大事だと思っていまして,薬剤師の先生方には,患者に対する倫理感,それももちろん大事なんですけれども,それと同様に,やっぱり自分たちが行う研究に対する倫理というところも必要になってくると思うので,ぜひ,研究倫理についても何らかの形で学生教育の中に入れていただければと思っております。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。続いて,柳田委員,お願いいたします。
【柳田委員】  宮崎大学の柳田でございます。よろしくお願いいたします。私自身は医師なんですが,看護系大学において教育の機会をいただいておりまして,看護学教育モデル・コア・カリキュラムと看護学教育モデル・コア・コンピテンシーの策定の機会をいただいておりました。そのときに,様々なこのモデル・コア・カリキュラムを熟読させていただいたのですが,今回の感想を,看護,あるいは医学から見たときに,非常にバランスがよく,しかも共通性を持つということで,すばらしい構成になっているのではないかと感じました。
 薬剤師として求められる基本的な資質・能力のところで,7番で薬剤師の職能の違いを挙げると。そして,これは恐らく将来的に看護学教育モデル・コア・カリキュラムも整えたときに,この職能の違いをここに盛り込むことで,全ての医療系の職種が同じ形で記載できるようになるであろうということ。そして,さらにこのAからFの構成につきましても,ほかの職種から見たときに非常に分かりやすいものになっているのではないかと思いました。
 このモデル・コア・カリキュラムというのは,もちろん薬学の先生方のためにもあるのですが,私たちのように多職種で教育に携わる人にとっても重要なものでありますし,その人から見たときに分かりやすい。さらに言えば,やはり国民への説明義務,協力をお願いするということから見ても,分かりやすいものでなければいけないと思いますので,そういう観点から見たときに,全ての医療職で形が整う,そして薬剤師としての違いが見えやすくなるという点では,非常によい形に整ってきているのではないかと感じました。すばらしい案だと感じております。
 その一方で,どうしてもコアカリの内容を盛り込みたいというのは,減らさないといけないという一方で,看護のモデル・コア・カリキュラムのときに感じたのですが,それぞれの領域の先生たちの立場で言うと,スリム化して減らすということは,自分たちの領域の重みづけが小さくなるというような感覚を抱いて,私はコア取り合戦と言っていたのですけど,たくさん盛り込むほうがすばらしいんだ,みたいなイメージになる。
 ところが,看護の場合ですと,例えば医学系のところにお願いする領域があるんです。そこは,看護に所属しない人たちに教育をお願いしないといけないので,6割ではなくて,7割,8割,9割を書かないといけない。ところが成熟した教育領域であればあるほど,本当は6割ではなくて,5割でも,4割でもいいはずなんです。全体として見たときに,6割,7割が達成できればいい。でも,領域によってはたくさん書かざるを得ないところ、少なくてもいいところがあるはずなのですが,たくさん書くことが自分たちの領域の影響力の大きさを示すんだというような錯覚が起こりがちなので,それをどう防ぐかということをぜひ御検討いただきながら,スリム化できているところほど成熟した教育ができて,自由度が高いんだという価値化を共有できるということがすごく大事ではないかなと感じております。
 それから,もう一点は,医学や歯学というのは6年制教育で,皆さん,全部資格を取る。そして,看護の場合は,教育システムは非常に多様なんだけれども,最終的に看護師になる。一方,薬剤師さんは,先ほどのお話もありましたが,6年制教育と4年制教育という形があって,やはり外部から見たときに,6年制教育は非常に分かりやすいのですが,4年制教育の方がちょっと見えにくい。
 そして,4年制教育も,私自身は薬理学会に所属しておりますので,薬学の先生ともよくお話しする機会をいただいているんですが,やはり4年制教育も,私の伺った範囲ですと,二極化していて,要は学士の資格が欲しくて来る人,それから,やはりその先を目指して,修士,博士まで行って当たり前という考え方で来られる人と,大きく二極化しているという話を伺ったことがございます。
 それについては,私自身は真偽を確かめることはできておりませんが,そういったところを考えると,6年制,4年制という特殊性を持った薬学教育というところに対して,やはり一定の配慮が必要なのではないかなと,ちょっと危惧するところがございます。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 では,西島委員,どうぞ。
【西島委員】  ありがとうございます。西島です。先ほど,手代木委員からお話があった点の延長になるかと思うのですけれども,私は厚労省の薬剤師養成に関する検討会の座長を務めておりまして,その中で1つ,今後の薬剤師の需給問題,これにつきまして,今の状況でいくと,将来的に薬剤師が余ってしまうということが懸念されていて,特にこれからAI等が進んでいったときに,調剤だけでは薬剤師の仕事として非常に貧弱になってしまうというふうに思われるわけです。
 それで,そういう中で,薬剤師としての職域をやっぱり広げなくてはいけないということを強く思っています。そういう中にあって,現実では,6年制の薬学を出た人がほとんど薬剤師として調剤薬局とか病院薬剤師に行って,そのほかの職域,例えば,将来,研究者となって,大学の先生になる,あるいは製薬会社に勤める,そういった職域に進む人が非常に少なくなってしまっていることを非常に懸念しています。これは,やっぱり職域を広めるという観点からも,何とかしてほしいということを強く思っています。
 それで,薬剤師の仕事として,企業では総括責任者,そういった人がぜひ必要なわけですけれども,それだけではなくて,本当に創薬のできる人を,6年制の薬学からも供給しなくてはいけないというふうに思っています。その辺について,ほかの理学部,農学部の人たちに比べると,6年制の薬学の人たちの研究力,勉強する中での研究実績が非常に弱いということで,なかなか6年制の薬学の人を製薬企業は採っていただけないということが耳に入ってきています。
 その辺も,ぜひ解決しなくてはいけないと思っています。その薬学,6年制の研究の中にも,そういったことをもうちょっとはっきり,明確にしていただければということを思っています。
 あと,もう一点伺いたいのですけども,今回,SBOs等が変わったわけですけれども,井上先生にお聞きしたいのは,総体としてコアカリはどのくらい,今までと比べて軽量化されたかということを,非常に漠然としたことなんですけれども,その辺についても伺えればというふうに思います。
 意見としては,最初の私の意見で,2点目,総量としてどのくらい軽くなるのかということが質問です。よろしくお願いいたします。
【永井座長】  井上先生,いかがでしょうか。
【井上副座長】  スリム化という点を申し上げますと,これ医学もそうだと思うのですけども,現実の問題として,教えるべき,あるいは学ぶべき事項というのは,当然増えちゃうんです。いろいろな点で増えてしまいます。こういうような状況下において,一体どうすればスリム化ができるのかというのは,私どもも非常に悩むところです。
 今,小項目が100ぐらいあります。その小項目の下に,学習目標というのを幾つ出すかにもよりますけれども,もし平均して5個あるとすれば,それだけで500以上になってしまいます。あるいは,もっと多くなるかもしれません。したがって,その辺のところがポイントになるのですけども,結局スリム化というよりも,各大学が,何を選んで,どこを集中的に教えるかというようなやり方をすることによって,とにかくその自由度を増す。各大学の独自性といいますか,そういうものを何とか発揮できるように,できるだけ持っていくというふうにするしかないのかなというのが,今のところ,私どもでは考えてございます。
 したがって,スリム化というような言い方はあえてしないことにして,自由度をできるだけ増すような方向を考えたいというようにしたいと思っております。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
 それでは,佐々木委員,どうぞ,よろしくお願いします。
【佐々木委員】  佐々木です。既に今までもたくさん出てきているところなんですけど,今回は階層状にしていただいて,非常に分かりやすくなったかなというふうに思います。大学の自由度に任せていただくというところが多いというのが非常によいかなというふうに感じています。
 キャッチフレーズのところで,変化し続ける未来の社会や地域を見据えて,多様な場や人をつなぐと。社会への変化に対応する人材をつくるということを考えると,やはり現状の知識偏重の薬学教育というのは,やはりどうしても現在の知識を伝えるということで,社会への対応する人材を育てるというところには,どうにも矛盾があるように感じます。
 研究というと,臨床とか何かとは関係ないように思うかもしれませんけど,大学の中での研究活動というのは,やはり未知のものに対して,いろいろ臨機応変するというところを学ぶ非常に大事な場であるというふうにも捉えることができます。それで,新しいことを体験して喜びを感じると,さらに進めていこうか,大学院にも行こうかということを考えると思うのですよね。
 今,知識偏重の教育だと,どうしても未来に対する希望が見えなくなってしまっていて,広いキャリアパスも見えなくなってしまっているというふうに感じています。今回のコア・カリキュラムの中で,新しいところで,いろいろ研究の重要性というのを入れていただいているので,それはすごく大事なことだと思いますし,先ほども委員の先生がおっしゃったのですけど,全ての項目の中に何かの形で研究という項目を入れていただくと,すごくいいかなというふうに感じています。これ,感想です。
 もう一つは,先ほど局在化というか,大学を学生さんの学力と,それから薬剤師の取りあえず合格率というふうにして分類していくと,大学は明らかに4つに分類できるんです。一番学力の高い学生さんも,一番低い学生さんが行く大学も,同じようなコア・カリキュラムで活動しているということになると,学力が高い学校は余裕しゃくしゃくのはずなんです。
 そこに大学独自で,高度な,次の医療に結びつくような,創薬でもいいでしょうし,臨床薬学でもいいと思うのですけど,そのプログラムを入れられるようなふうにしないと,画一的になってしまうと。だから,もう一つ,このコアカリの中に1つ加えていただきたいのは,自由度があって,さらに高度なところにはどういうモデルがあるかというのを提示していただけるようになると,もっと能力の高い学生さん,学力の高い学生さんをエンカレッジするようなカリキュラムになるんじゃないかなと思います。
 その中から,次世代の研究者とか,次世代の教育者が出てくるんじゃないかなというふうに考えているところです。これは私の意見です。失礼しました。
【永井座長】  ありがとうございます。
 後藤委員,お願いいたします。
【後藤委員】  ありがとうございます。今回のコアカリの案ですけども,私は,一番は,大学独自のカリキュラムがつくれるということだと思うのです。今の佐々木委員がおっしゃったこともそのとおりで,もう4つに分類できるかどうかは,私はちょっと4つか,5つかどうかは分かりませんけども,ここで高度なものとか,いろいろなものを示すことをやってしまいますと,また,いつもどおりコアカリは巨大化してしまうと思うのです。
 ですから,コアカリはあくまでもコアなカリキュラムであって,それが基本的だと。それ以外のところは大学の独自性で,何を目指す,人材を育成するのかということで,私は,各大学でカリキュラムを設定すればいいというふうに思います。ですから,先ほど柳田委員もおっしゃったように,一番は自分の担当する科目が減れば,自分の価値が減るというような変なことを考えてしまうわけで,そうではなしに,一番は,コアカリというのはコアなカリキュラムでいいと。あとは,大学がそれぞれのポリシーに従って設定すればいいというふうに,私は考えております。
 もう一つ,そうしたら,コアなカリキュラムって一体何だということなのですが,やはり6年制薬学教育の根本に戻りますと,医療人の育成というのは非常に大きな目標として,これ,6年制になったわけです。ですから,それを基本的なものとして,あとのところは,各大学のオリジナルで企業人を目指す学生,研究者を目指す学生,こういったものを大学のレベルで決めていけばいいというふうに,私は考えます。
 今のように巨大なものにすると,結局今佐々木委員が言われたように,いろいろなタイプの,いろいろなレベルの大学がある中に,あれだけ膨大なものが提示されますと,それをこなすのだけで精いっぱいになっていると。それさえも難しいというような状況が現実にあるというふうに思います。
 ですから,今度のコアカリはぜひともスリム化というよりも,コアなカリキュラムであってほしいというふうに,私は考えております。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょう。
 実は今日,御確認いただきたいのが,資料の3と4でありまして,薬学教育モデル・コア・カリキュラムのキャッチフレーズ案が資料3にございます。また,資料4に薬剤師として求められる基本的な資質・能力の案が書かれています。これについては,いかがでしょうか。
【狭間委員】  狭間です。特に私としては異議があるわけではありません。やっぱり,医歯薬共通でやると。患者さんチームで見るわけですから,そこの部分をこういった形で,コア・カリキュラムのキャッチフレーズとしてされるというのは,いいことだなと思いました。
 また,先ほど手代木委員からもお話がございましたけれども,サイエンスの観点を持った上で,臨床をやった後,研究に行くというのは,何でもかんでもその意思のやつを見るわけではないのですけども,やっぱり臨床をやって,また企業に入る,もしくは研究に進んで,大学で基礎を学んでまたいくという流れがあると思いますので,この研究のモチベーションとか,そういったものは一体何かというと,この医療というか,そこに根差されているということが大事だと思いますので,私としては特に異論なく拝見しました。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 石井委員,どうぞ。
【石井委員】  ありがとうございます。石井です。まず,こちらのキャッチフレーズに関しては賛成でございます。基本的に,医療人というスタンスを学部,ボーダーレスで持っていかなきゃいけないということは重要だと思いますので,案に賛成いたします。
 次に,コアカリについてですが,スリム化,非常にこれは重要なことだと思います。一方,サイエンスは発達していきますので,どうしてもこれは,医療現場にいる者にとっては,同時にそのサイエンスについていく能力というのをつけなければいけませんので,やはり,スリム化した上で,各大学が非常に責任を持って,それは教育を行わなければいけないかなというふうに,改めて感じました。
 そこで,やっぱり非常に重要なのは,今ある知識を丸暗記するようなカリキュラムにしてはいけないということ。それは,大学が非常に工夫をしなければいけないのですが,基礎の学力というのは非常に重要で,そこを身につけた上で,それを使って発展的に未来の医療に貢献できる。これは臨床現場もそうですし,研究に対してもそうですけど,まず,大学はそこの基礎を身につけるということをしっかりと自覚を持ってやるような提示ができれば,非常にいいかなというふうに思います。
 私は,医療現場,かつ学生を両方見る立場におります。また,医学部に所属していますので,お医者さんと非常によく話をするんですけど,やはり医学部の学生を見ていても,薬学部の学生を見ていても,今問題なのは,それぞれ皆さん優秀なので,コアカリみたいなものを与えられると,全部丸暗記をするんです。全て丸暗記でこなしてしまうので,発展的展開が望めない。ここは非常につらいところです。
 やはり,医療,研究か,臨床かって,実は切り離せるものではなくて,臨床をやっていても,研究の要素がないと,課題解決ができないことはたくさんあります。一方,研究も,実は臨床のことを知らないと,ニーズに即した臨床開発というのは全くできないと思います。薬学部は何を学ぶところなのかなといいますと,やはりその両方です。両方をしっかりと目をつけるというところでございますので,今回のカリキュラムでそれが体現できれば非常にいいかなと考えている次第でございます。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 小西委員,どうぞ。
【小西委員】  恐れ入ります。私は,医学のほうのコアカリを担当しておりますので,コメントベースということを含めて申し上げたいと思います。まず,先ほど委員長からの御質問に答えますと,私は薬学の井上先生がお話しになられた案はすばらしいと思います。特に,今回の特徴は,コアカリの作成のプロセスから,医歯薬がそれぞれ乗り入れるというと言葉はちょっと違うかもしれませんが,それぞれ参加しつつ,参考にしております。
 このプロセスのところから共有しているというところが大変重要なところかと思います。私どもも,医学のコアカリの中で,先ほどのチーム医療の部分,IPE,interprofessional educationの部分を含めて,薬学の先生から大変強い示唆と影響を受けており,勉強になっております。
 今週のコアカリの会議でも,薬学の本間先生から示された資料を早速医学のほうでもちょっと共有させていただいて,我々に,インタープロフェッショナルで足らなかった部分は何かということを,今検証しているところでございます。もう一回申し上げますと,このプロセスを共有して,3領域でコアカリをつくり上げていくということがすばらしいと思いますし,内容にも非常に納得しております。
 その上で,少し,1点だけ質問とコメントさせていただいてもよろしいでしょうか。
【永井座長】  はい。
【小西委員】  先ほど御質問のありましたスリム化について,同様に医学でも苦しんでおります。スリム化のチームをつくって動かしたりもしているのですが,石井先生からもありましたように,医学が今進歩している以上,項目が増えていくのは誰も止めようがないというところがございます。
 ですから,1つには,抽象化すれば冊子のページは少なくなるということがありますが,それが本質かどうかということを今ちょっと考えております。大学の自由度ということは大変重要だと思いますし,OBE,アウトカムベースになりますので,それぞれ大学の中で,自分たちの卒業生の保証をするということは大事だと言いながら,私の質問は,どうしてもその先に,恐らく薬剤師の――私たちの文脈で言うと,医師国家試験がございますので,ここに,先ほど宮崎の先生がおっしゃったようにコア取り合戦が起こってくると,どうしてもコアカリが肥大してしまうという,この構造を薬学のほうではどうやってお止めになるのかということ。こんな質問していいのかどうか分かりませんが,もし参考にできればと思います。
 私は実は今,今年は医科の国家試験の委員長をしておりますので,出題基準のところで今考えなきゃいけないところになっておりますので,少し外れた質問をして申し訳ないですが,ここがしまらないと,コアカリはどうしても大きくなってしまうというふうに考えているからの質問でございました。大変失礼いたしました。
【永井座長】  井上先生,いまの点はいかがでしょうか。
【井上副座長】  そこが,今,まさに小西先生がおっしゃったとおりのことなんです。なので,我々としては,各大学の自由度を増すと。それによって,各大学がどこをどう重点的にやるかとか,そういうようなやり方をすることによって自由度は増す。ただし,スリム化には,各大学が結果としてならなかったなと思うのかもしれません。
 でも,自由度を増して,自分の大学が創意工夫できたということで,納得していただけることになるのかなというふうに,今のところは思っております。現実の問題として,スリム化というのは至難のわざでございます。恐らく薬学全体がむちゃくちゃ大きな嵐になってしまって,まとまりがつかなくなってしまうということも恐れますので,その辺は大学ごとでしっかり考えていくというふうにさせていただければなと思っております。
 答えにはなっていないと思いますけども,以上でございます。
【永井座長】  では,柳田委員,ちょっと手短にお願いいたします。
【柳田委員】  ありがとうございます。先ほども,私,述べさせていただきましたが,もしこれを,キャッチフレーズが将来看護にも適用されたときにどうなるのかという観点で見させていただくと,非常にバランスがとれていいのではないかと。決して看護を代表できる立場ではございませんが,将来を見据えたときにバランスがよいものであると感じておりますので,賛成でございます。
 それから,後藤先生,あるいは小西先生から,コアのスリム化ということで,先ほどの話題を取り上げていただきましたが,コアの定義がどうなっているのかというのが実はすごく問題で,看護でも290の大学がある中で,どこに基準を置いてこのコアカリをつくるのか,低いところなのか,高いところなのか。
 当然,教育のレベルを担保するために低いところに置くべきだという結論に基づいてのコアでしたので,やはりコアの定義をしないと,スリム化は図れないということなのかなと思いますので,ぜひそこを御議論いただいたらと思います。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。これまで議論をお聞きしまして,今日,取りあえず資料3と資料4,資料3が薬学教育モデル・コア・カリキュラムキャッチフレーズ(案)でございますが,資料4が薬剤師として求められる基本的な資質・能力(案)でございます。この2点につきましては,資料のとおり進めるということでよろしいでしょうか。
 まだ薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向けた基本方針(案),あるいは大項目,中項目,小項目するリスト,これについてはさらに検討,御議論いただくことにいたしますが,今日のところは,キャッチフレーズ(案)と基本的な資質・能力(案)については,このまま進めるということで御了解いただければと思います。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは,そのように進めさせていただきます。もし追加で御意見等がおありでしたら,事務局まで御連絡をいただきたいと思います。
 なお,新たに設置します,薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会が,本委員会の意見を踏まえて議論を開始いたします。ただいまいただいた御意見を踏まえて調査研究を進め,コアカリ素案をまとめていただいて,この検討会で議論をしたいと思います。
 それでは,議題の2に参ります。薬学部教育の質保証について,事務局から説明をお願いいたします。
【境課長補佐】  それでは,資料7,薬学部教育の質保証に係る調査に関する中間取りまとめ(案)について御説明いたします。
 まず,本年8月に開催されました第1回の薬学系人材養成の在り方に関する検討会において,薬学部教育の質保証専門小委員会を設置するということとされております。また,本委員会の主査は,座長が検討会の委員の中から指名するということとされておりまして,乾委員が選任されておりますので,御報告いたします。
 前回の検討会において,薬学部教育の質保証専門小委員会のスケジュールとしまして,12月に開催予定の本検討会において報告をするとし,来年の夏に意見を取りまとめる予定としておりました。これまで,小委員会において書面調査,ヒアリング調査を実施しまして,課題の整理等を行いましたので,今回,その途中経過ということで御報告させていただきたいと思います。
 まず,薬学部教育の質保証専門小委員会についてですけれども,この詳細につきましては,各大学の個別事情の実態把握を行うというもので,小委員会を公開した場合,委員の自由な意見交換や,各大学の実態把握が制約され,円滑な委員会の運営が妨げられるおそれもあるということで,公正,円滑に実態把握を行う上で支障が生ずることから,非公開にしております。
 それでは,まず資料の冒頭から御説明させていただきたいと思います。「はじめに」の部分になります。平成18年度から薬学教育6年制が開始されておりまして,各大学において薬学教育モデル・コア・カリキュラムに準拠した教育が,これまで行われてきているというところです。
 薬学教育の充実・改善に向けて,平成26年には入学者選抜の在り方等について,改善方策等について取りまとめてきました。最近では,令和元年までに第三者評価,薬学教育評価の第1サイクルが終了しまして,各大学において薬学教育の充実・改善がより一層推進されているところでございます。
 さらに,今年6月には,厚生労働省の検討会の取りまとめにおいても,薬学教育の質の確保等についても指摘があったところです。こういった状況を踏まえまして,薬学部教育における入学定員の在り方,教育の質保証等について,今後の薬学教育全体の改善・充実に資するべく検討を行ってまいりました。
 それで,2番目の部分になります。薬学部教育の質保証に係る調査というところでございます。本小委員会では,これまで文部科学省において実施されました,平成30年度から令和2年度までの3か年の入学状況等の調査ですとか,退学状況等の調査結果に基づいて,書面調査において13薬学部を選定し,ヒアリングを行ってまいりました。
 (1)についてです。書面調査についてということで,ヒアリング対象校を絞り込むため,次のいずれかに該当する場合に,対象校の選定とすることといたしました。1,入学者の選抜の実質競争倍率,それから,次のページに参りまして,入学定員充足率,標準修業年限内での薬剤師国家試験の合格率,標準修業年限内での卒業率,それから標準修業年限から4年以内の退学率ということで,こういった指標を基に選んで,ヒアリング調査を行いました。
 具体的には,(2)にございます。次の項目について,大学に事前に送付し,詳細について質疑等を行いました。マル1からマル5までございます。具体的には,入学者の質確保に当たり講じている対応策,入学定員充足率を向上させる取組,標準修業年限内での薬剤師国家試験合格率を向上させる取組,それから,標準修業年限以内で卒業率を向上させる取組,退学率を低下させるような取組。
 それから最後に,これまでの第三者評価等において改善すべき点とされた事項への対応状況というものについて確認をしました。
 次のマル3になります。書面及びヒアリング調査の結果概要等についてということで,薬学教育の現状を取り巻く状況を基に,多くの大学に共通した課題を整理するという観点から検討を行い,以下のとおりまとめたということでございます。
 (1)においては,全国の薬学部における傾向等についてということでまとめてございます。平成15年から20年にかけて薬学部が増加をしたという状況でございます。平成30年には,公立大学がさらに1学部,それから,令和2年度に私立大学が2学部,令和3年度に公立,私立大学,それぞれ1学部の新設が行われております。
 入学定員に注目いたしますと,平成20年度に1万2,170人ということで,最大になったということですけれども,その後,全体の定員としては若干減少している状況でございます。国立大学の定員としては,6年制課程が増えておりますので増加をしております。公立大学においては,新設がございましたので増加をしている。私立大学の定員につきましては,定員の見直しもございまして,減少しているという状況でございます。
 「なお」のところでございますけれども,平成20年の私立大学の入学定員の57学部の状況でございますが,令和2年には1万466人ということで,約1,000人の定員の削減が行われているという状況でございます。その後の部分につきましては,大学全体の全学部の入学志願者数の減少率,それから私立大学全体の定員が増加しているということとは対象的であるということで,薬学部で特有の状況になってきているのではないかということを記載しております。
 また,次のマルですけれども,日本私立学校振興・共済事業団の調査結果によりますと,入学定員の充足率,志願倍率,入学志願者数というのは,ここ数年,減少傾向が続いているという状況が分かりました。
 さらに,その次の部分ですけれども,最近の新設された薬学部について,公立大学は一定の競争倍率があり,入学定員も充足している状況ではございますけれども,一部の私立大学においては実質競争倍率が低く,入学定員も充足をしていないという状況になってきているということでございます。
 それから,次の部分でございます。18歳人口の減少等により,実質競争倍率は総じて減少傾向にあるということで,実質競争倍率が低いところにつきましては,標準修業年限内の卒業率,国家試験も低い状況にあったということ。それから,標準修業年限内での国家試験合格率が高い大学は,標準修業年限の卒業率も高い傾向にあるということ,それから,標準修業年限内の国家試験合格率と新卒の合格率に大きく開きがあるような大学もあったといったことなどを,事実関係として分かったことを記載しております。
 それから,(2)になります。ヒアリング調査により得られた取組事例と課題等について,それぞれ項目ごとに,ヒアリングによって得られた取組事例と,できるだけその対応する課題ということで,整理して記載をしております。
 まず,マル1として,入学者選抜の見直し,それから,入学定員に関する取組ということで,まず取組事例,ア,入学者選抜の見直しというところで,様々な入試方法を採用している大学,それから,学費の免除等を行う特待生を設けているような薬学部があった。それから,海外から留学生を受け入れる,リメディアル教育が実施されて,個別指導等も行っている大学もあったことなどが分かったところでございます。
 また,イの入学定員に関する取組として,教員の数を維持しつつ,定員の削減を行っているというような大学がありましたし,定員を維持したものの,入学定員充足率が低い状態が続いている大学もございました。
 また,次の5ページ目に行きまして,全体として定員を充足していない薬学部も増えてきているということで,既に大幅な定員削減を行い,今後,さらなる削減を検討している薬学部も複数存在したということ。
 それから,薬剤師の地域偏在に対応する取組ということで,地域の自治体ですとか,地域の薬剤師会等の連携によって,薬剤師が不足する地域の学校等を訪問して,薬剤師の魅力などを伝える取組を行っているというようなところもございました。
 それから,次の課題のところになりますけれども,それぞれアとイに分けて記載をしております。1つ目のマルのところで,下から4行目のところから確認させていただきますと,入学試験を単に簡素化・多元化させることのみで実質競争倍率,定員充足率を上昇させるのでなく,明確なアドミッションポリシーの下で,薬学を学ぶために必要な一定の知識レベルを確認する試験,面接等の組合せにより,将来の医療人としての意欲や適性などをきちんと確認するべきでないのかといった御意見ですとか,また,特待生制度に関するもの,留学生に関するもの,リメディアル教育に関する御意見などを,課題としてここにまとめてございます。
 また,次のページに参りまして,入学定員に関する取組等ということで,幾つか記載をしております。例えば,1つ目の丸でございますけれども,アドミッションポリシーに基づく入学者の受入れ,適切な入学定員の規模・入試倍率の維持の方策などを検討する必要があるのではないかということ。それから,18歳人口の減少なども鑑みますと,各大学の自主的な取組でも,対応困難な場合もございますので,国としても適切な入学定員規模・入試倍率を維持しやすくする方策を検討する必要があるのではないのかという点。
 それから,併せまして,自治体等との連携した取組により,薬剤師の地域偏在に対応することも重要と考えられますので,国としても,大学と自治体が連携する取組など,こういった方策についても検討すべきではないのかといった点などを,課題として挙げてございます。
 それから,教育方法,評価,教員体制の強化というところについても,まず,取組事例として整理をしております。特に,教学IRの分析をきちんと行っているというようなところもございましたし,そこの分析能力のところは大学間で大きな差があるようだということが分かってきたところです。
 また,それぞれ大学の進級に関する現状ですとか,それから,一部の大学において薬学共用試験と,薬剤師国家試験の対策に重点を置くような教育がなされているのではないかというようなこともございましたし,先ほどモデル・コア・カリキュラムの話もございましたけれども,学習すべき到達目標を網羅するのに時間が費やされていると考えられたような事例もございました。
 また,次のイの教学マネジメントのところでございます。積極的なファカルティ・ディベロップメントに取り組んでいるところもございましたし,それぞれ入学前の教育ですとか,国家試験対策,共用試験対策として,一般企業と協力している事例など見られたというような現状。
 それから,進路指導のところにつきましても,休学中の取扱いですとか,薬剤師よりも,他の分野に適性があると考えられる学生に対する指導など,そういったことについても,把握ができたところでございます。それに対応する課題として,次に内部質保証システムというところで整理をしております。
 8ページに参りまして,例えば内部質保証に基づくPDCAが十分に機能していないということで,その原因としては,その要因がきちんと明確になっていないということで,特定すべきではないかといった御意見がございました。また,教学IRに関する,その充実が必要ではないかといったものですとか,それぞれの進級などに対する御意見,それから,モデル・コア・カリキュラムの課題などを記載しております。
 その次に,教学マネジメント,FD/SDのところにつきましても,それぞれ課題として,教員配置の在り方の再検討と講習会の十分な機会の提供が必要でないかといったことなど,クオーター制の導入などもございましたので,それぞれに対する課題というところも記載をしております。
 さらに,履修状況の把握,進路指導の部分でございます。具体的に,2つ目のマルですけれども,下の後段でございますが,医療従事者として人の命や健康に携わる薬剤師にふさわしくないと考えられる学生,薬剤師よりも別の分野の適性があると見込まれる学生に対しては,本人の希望も丁寧に聴取した上で,適切な指導など,可能な限り早期に行うべきではないのかといった御意見もございました。
 それから,次のページに参りまして,第三者評価等における指摘事項への対応ということで,おおむね指摘事項に対して何らかの対応が行われたということでございますけれども,先ほど御説明しましたように,十分PDCAが機能していないという場合には,その要因をきちんと明確に特定すべきではないかということで,ここに再掲させていただいております。
 これらの課題といいますのは,今回ヒアリングの対象となった大学に限らないということもございますので,その他の大学においても,共通の課題として受け止める部分もあるのではないのかということを記載しております。
 最後に,情報公開の対応の部分です。新設の国家試験合格率のみの特定のホームページに掲載している事例などがあったということで,そのほか,標準修業年限での国家試験合格率や,卒業率,留年率,第三者評価の結果等について,受験生等にとって分かりづらい場所に掲載しているといった事例もあったということです。その課題として,10ページ目の下のところでございますけれども,受験生や,それから在学生等にとっても分かりやすく掲載する必要があるのではないのかといった課題を記載しております。
 最後の11ページ目でございます。今後の予定ということで,他の医療関係職種の現状,新設大学の現状,薬学部に在籍する学生,卒業生の意見等を聴取しまして,最終的な取りまとめに向けて,引き続き検討していきたいと考えております。また,その際,可能な範囲で大学の特性,地理的事情等を踏まえた課題についても整理されることが望まれるということで,小委員会で議論のあった内容を取りまとめさせていただいております。
 内容については以上になります。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは,薬学部教育の質保証専門小委員会,主査であります,乾先生から補足等があれば,お願いいたします。
【乾委員】  乾でございます。今,事務局,境補佐から今回の調査について報告いただきました。それで,特に申し上げることはあまりないですけれども,今回,ヒアリングは,3日間で行って,また,その日に委員会を設けて,そして最終的にこのような中間報告ということにしたわけでございますけれども,今回のヒアリングの出席者は,理事長,学長,あるいは教務担当の責任者,あるいは事務の責任者という方でありました。
 もう一つは,やはりこの質保証ということになってくると,学生自身の意見というのも大事じゃないかなということで,最後に事務方からのコメントがありましたけど,今後の予定等にあります。だから,もう少し調査をする必要があるとは思うのですけれども,先ほどのコアカリとは対照的に,この6年制薬学の問題点がこういうところにあるのだということで,今,大学の新設も話題になっているし,それから,こういう卒業をできない人,あるいは国家試験の合格率がよくないという大学のことなども話題になっていますけれども,もう少し調査,整理をして,最終報告に持っていきたいというところでございます。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございました。それでは,ただいまの説明について,御質問等お願いいたします。いかがでしょうか。
【狭間委員】  では,狭間でございます。何遍もすみません。質問というか,意見といいますか,このFDの項目がやはり触れられておりましたけども,臨床系といいますか,今の臨床現場での薬剤師さんの在り方とか,薬物治療の在り方が,医師の働き方改革もあって様々変わっている中で,この知識とか,この技能は将来こういったところで生かされるというところについて,大学で教鞭をとられている先生にそれが伝わるような取組ということが,やはりこの薬学教育の質という部分においては重要だと思います。
 そういったものが,薬剤師さん,薬学生さんの退学といいますか,勉学への意欲を維持する非常に大きなファクターになるのじゃないのかなというふうに思いますので,ぜひ,こういう質の保証といいますか,入った学生さんが落胆しないような,そういったフィードバックというのは,臨床現場からも積極的にさせていただくことが必要なんじゃないかなというふうに感じました。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。田尻委員,どうぞ。
【田尻委員】  ありがとうございます。今回の現地調査も含めて大変だったろうなと想像するのですが,モデコアについてお話を皆さんと一緒にしていて,どのようにきちんととした薬学を学んだ医療人に育てようかという話をしている。片や,今の質保証の部分に入っていったとき,やはり入り口と出口で,大学の教育というのが,3つがきちっとうまく連携し合って,ちゃんとした薬剤師が生まれていくのだろうなと思います。やはりこの報告書の中にもあるように,いかに入学者,入学志願者を稼ごうかというために,例えば,4ページ目のヒアリングの(2)の最初の丸ですけど,1科目の入試とありますが、一体何のために1科目入試とするのか。
 これは,入試の間口を広げるだけの話であったり,海外からの留学生,それは構わないことなんですけども,それはきちんとした考えがあっての行動であればいいですけども,ただの入学者,もしくは受験生を稼ぐだけのことに走っているようにしか見えない,非常に厳しい状況であるということ。
 それから,将来の医療人として意欲がない学生を入学させることは,大学の責任だと思います。ですから,入学させた以上は,6年間できちんとした教育で,社会に出られるようにする。それについては,やはり入り口の問題を考える必要があろうかと思います。
 皆様の思いは同じと思いますので,これはかなり根深い,もしくは思い切ったメスを入れる以外,解決の方法がないのかなと思います。ただし,地域偏在の部分については,別によく考える必要があると思います。一応意見として述べさせていただきました。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。佐々木委員,どうぞ。
【佐々木委員】  私も同じような意見なのですけど,私の質問は,この質保証にする調査を行っていって,こういう問題点があぶり出される大学があるのですけど,それをどういう方向に持っていこうとしているのかなというのが,非常に質問したいところです。
 今の田尻先生の御指摘と同じなのですけど,この調査は何のためにやっているんですかというところだと思いますが,そこら辺はどうなのでしょう。この活動,調査の最終的な目標というのを教えていただきたいなというふうに思います。
【永井座長】  事務局,あるいは乾委員,いかがでしょう。
【境課長補佐】  では,まず事務局から御説明させていただきたいと思います。初めのところにも少し記載をさせていただいていますけど,今後の薬学教育全体の質の保証といいますか,そういった充実・改善の観点に資するべく,検討を行ったということで,今回ヒアリングを行った結果,課題がいろいろ出てきたということでございます。
 また,その課題としても,多様なものがございますので,それぞれどういったふうにこれを解決していくべきなのか,いろいろ関係者の先生方とも御協力しながら進めていくものもあるかと思いますので,それをまた今後の最終的な取りまとめに向けて検討していきたいというふうに考えております。
 すみません,以上です。
【乾委員】  乾ですが,私も主査として,今,佐々木委員がおっしゃったことを本当に大変な問題だと思っています。その主査を担当するということで,非常に責任を感じているんですけれども。ここは,こういうところを含めてしっかりと報告書にまとめるということで,提言をするということにせざるを得ないんじゃないかなと思うのです。
 その前に,例えば医師の地域偏在に関しても,すごく努力をなさっているわけですよね。だから,我々,薬学,薬剤師のほうも,そういうことを関係団体全部含めてやらないと,できないところも多分にあるように,思います。
 それから,今でも,まだ大学をつくるというか,設置するというか,そういうのはマスコミ等で出ていったりしているわけですよね。だから,そういうところも,私,この検討会の第1回のときに申し上げたと思うのですけれども,やはり行政のほうである程度しっかりとコントロールしなきゃいけないんじゃないかなというふうにも考えています。
 その辺り,これから皆さんの御意見を伺いながら,しかるべき対応をとりたいなと考えているところでございます。
 以上でございます。
【佐々木委員】  乾先生には,非常に大変かと思いますけど,非常に難しい問題ですが,どうぞよろしくお願いいたします。
【永井座長】  奥田委員,どうぞ。
【奥田委員】  奥田でございます。ここで御質問するのがいいのかどうか,ちょっとよく分からない質問なのですけども,この取りまとめをありがとうございました。先ほど,資料の5のところで,学部に対してのアンケートというのがありまして,その中で,事前アンケートの中で,現状のコアカリ導入後の学部教育についての達成状況という項目がございました。
 その中で,大学独自の教育が十分できていない,研究能力の教育ができていないというのが比較的達成できていない項目になっていたわけです。その一方で,薬剤師にふさわしい資質・能力というところは,非常に達成度というのが割合として高くて,5番と4番,一番高いところと合わせると,7割以上が十分達成できているというような,そんなアンケートになっていました。
 アンケートはあくまでもアンケートなので,そういう見方でいいのかもしれないのですけども,一方で,例えば薬剤師の国家試験というのは,物すごく合格率がよくないというか,他職種と比べて,それは卒業者も含めてというデータではかなり低いというのが現状だと思います。
 何を言っているかというと,薬学部で考えている薬剤師にふさわしい資質と能力に関する教育の達成度の認識と,実際世の中に出てくる薬剤師の国家試験の合格率に,1つの大事な指標になると思うので,ギャップを感じています。今回,指導の取りまとめの調査の中では,特に修業年限内での国家試験の合格率の低い大学に対する重点的な調査をされているのかなと思ったのですが,この国家試験合格率がそもそも全体的に低いということに対しての薬剤師の資質・能力の教育の充足度との関連性について,何か議論をされたかどうかということについて,教えていただきたいと思います。
【乾委員】  それでは,乾から発言させていただきます。今,奥田委員がおっしゃったことは,大学の充足率と,それから国家試験の合格率,その辺りの議論ですよね。それは大体皆さん,想定されているところじゃないかなと思うのですけれども,端々でそういうことも含めて議論はしているんですけれども,そういう個々のところまではしていないというのが現状です。
 とにかくはっきり分かったのは,入学のところと,それから出るところ,さっきも御発言ありましたけれども,そこの乖離があるということです。それで,教育の成果でよくなりつつあるという大学もあれば,あまり変わらないところもあるということで,いかに質を保証するかというところ,それが非常に社会的にも問われていることは事実だと思います。
 だから,それをどうするかということなんですけど,入り口のコントロールも大事だし,それから入ってからいかに教育するかということ,そうするといい結果が生まれてくると。そういうことがトータルとして,充足率,大学の評価と,要するに大学のブランディング,そういうところの努力ができつつあるところと,そうでないところがあるようにも,私は感じました。
 だから,もう少し調査をして,取りまとめをするという,それぐらいしか,今のところお答えはできないかなと思います。
 以上です。
【永井座長】  時間が迫ってきましたので,取りあえず御意見はここまでにしまして,さらに御意見のおありの方は事務局にお寄せいただければと思います。また,ただいまの御意見を踏まえまして,さらに検討いただいて,最終取りまとめに向けての検討を,この検討会で議論を行いたいと思います。
 続きまして,議題の3,今後の進め方について,事務局から説明をお願いいたします。
【追川薬学教育係長】  事務局です。資料8に基づき,今後のスケジュール案を御説明いたします。本日の検討会の後,質保証専門小委員会において,本日の指摘等を踏まえた対応策案を検討いたします。また,本日設置されたコアカリ専門研究委員会において,薬学教育モデル・コア・カリキュラムの詳細の検討を実施いたします。
 令和4年春頃には,本検討会を開催し,質保証委員会とコアカリ専門委員会の両委員会から報告を受けるとともに,それに基づく意見交換を予定しております。質保証については,令和4年夏頃に取りまとめ(案)を決定し,コアカリについては,本日御説明しましたとおり,秋頃にモデル・コア・カリキュラムの改訂版(素案)を決定いたします。
 その後,改訂案をパブリックコメントにかけまして,令和5年春頃にはモデル・コア・カリキュラムの改訂版が確定するというスケジュールでおります。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。今の御説明に質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,予定の時間になりましたので,意見交換を終えて,本日の会議を終了したいと思います。
 最後に事務局より連絡事項をお願いいたします。
【追川薬学教育係長】  事務局です。追加の御意見等がございましたら,1月5日,水曜日までに事務局まで御連絡ください。事務局からは以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございました。
 それでは,本日の会議はこれで終了いたします。長時間ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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