薬学系人材養成の在り方に関する検討会(第13回) 議事録

1.日時

平成25年2月19日(火曜日)17時30分~19時30分

2.場所

旧文部省5階 文化庁特別会議室

3.議題

  1. 今後の薬学教育モデル・コアカリキュラムの在り方について
  2. 医療人養成としての薬学教育の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

永井良三座長、市川副座長、井上副座長、生出委員、太田委員、北澤委員、倉田委員、高柳委員、永井博弌委員、橋田委員、村上委員、望月正隆委員、望月眞弓委員

文部科学省

山野大臣官房審議官、村田医学教育課長、渡辺企画官、伊東薬学教育専門官、日下部技術参与ほか関係官

オブザーバー

厚生労働省医薬食品局総務課 田宮課長補佐

5.議事録

【永井(良)座長】  定刻になりましたので、薬学系人材養成の在り方に関する検討会を始めさせていただきます。今日で13回目になります。
 最初に事務局から出欠状況の御報告、配付資料の確認をお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】  本日は、北田委員、竹中委員、長野委員、平井委員、正木委員の5名の先生が御欠席となっております。
 それでは、配付している資料について確認をさせていただきます。議事次第に続きまして、資料1-1が薬学教育モデル・コアカリキュラム大項目(変更案)、資料1-2が薬学教育モデル・コアカリキュラム及び実務実習モデル・コアカリキュラムの改訂新旧対照表でA3となってございます。資料1-3が、薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂案(2013年2月7日暫定版)で、ABのみ添付をしている薄いもの3枚となってございます。これは、薬学会から提出されました改訂原案の暫定版ということでございます。資料1-4が今後の想定ささる検討スケジュール(イメージ例)、それから、資料2が薬学系人材養成の在り方に関する検討会、前回での主な意見を取りまとめたものでございます。さらに、参考資料といたしまして、薬剤師として求められる基本的な資質(案)を御用意させていただいております。落丁等ございましたら、事務局までお申しつけください。以上です。
【永井(良)座長】  ありがとうございます。
 本日は、薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂につきまして、前回、11月の会議以降の進捗状況を御報告いただくということ、そして、前回御議論いただきました医療人としての薬学教育の在り方に関する御議論を引き続きお願いするということでございます。
 では、最初に議事に入りますが、薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂についての進捗状況を、専門研究委員会座長の市川先生からお願いいたします。
【市川副座長】  それでは、前回の本会議で御報告した以降の点について報告いたします。専門調査研究会は第8回会議を2月7日に開催しました。今年度3回目ということです。この2月7日に行われた第8回の会議では、日本薬学会において9月から開始しました具体的な改訂作業の進捗状況について説明を受けました。作業チームは9月以降、大変熱心に御議論を頂きまして、原案として本日の資料1-2の新旧対照表及び1-3の改訂案を提出いただきました。先ほど伊東専門官の話にもありましたが、この改訂案というのは暫定版でありまして、変更の余地は十分にあるということで議論を進めていったわけであります。
 まず資料の説明をさせていただきます。資料1-1を御覧ください。これまで大項目について、ここに示しますように七つとしておりました。これをもとに薬学会の作業を開始していただいたわけでありますけれども、このAが基本事項、Bが導入教育、Dのところに社会薬学教育というのが衛生薬学というのと一緒に入るということで進めていただいたわけですけれども、薬学会の方の御説明では、導入教育は必ずしも初年次だけで履修すべきことだけではなくて、6年間通して履修すべき項目はあるということで、導入教育という表現は余り適当ではないだろうということ。それから、その中に薬学と社会に関するものがあるということで、Aは基本事項、Bとして新しく薬学と社会という大項目を立てて、そのようにしたことで衛生薬学と一緒に検討しようと考えていた部分ですね。社会薬学についてはBのところに入れて新たな項目とするということについて、説明がありました。専門研究委員会としてはこれを了承いたしました。
 次に資料1-2を御覧ください。縦長のA3の大きいものであります。ここは御覧のように大項目、中項目、小項目と、それぞれのSBO数とが新旧対照表として示されております。左側が現行のもの、右側が改訂案となっており、それぞれの右側に数字がついていますけれども、この数字は左からそれぞれの小項目のSBOの数、それから、その隣が中項目のまとめた数、右端は大項目ごとにまとめたSBOの合計の数が書いてあります。
 左右を比較すると、右の改訂案と左の方の現行との比較ができるようになっております。例えばAでいうならば、そこにある右の方のAの部分というのは、左の方を見ますと、現行のAとBというものから構成されている。そのような形で、近くのものを見ていただければ比較はできるということになっております。
 それから、薬学会からは全体に重複を防いで、各SBOの項目を見直すという作業を各グループが行い、どの科目をどういう順番で教えるかということは余り意識せずに、学生の立場に立ってわかりやすく必要な項目ということを意識して、整理されたものに改訂したという説明でありました。
 AからD、それからGに関しましては、意識して数をそろえたわけではないのですが、おおむねSBOの数としては、現行のものに比べて大体7割くらいに減っているという説明でした。
 次に、ページごとに主な改訂のポイントを説明します。1ページ目は、先ほどの新たにできた大項目B、薬学と社会は、主に現行の、その横を見ていただくとわかるとおり、現行のC17の(1)と(4)と、それからCの18から構成されています。なお、現行のBにある早期体験学習は、改訂版ではFの臨床薬学教育に入れる予定ということであります。
 次に、2ページ目にかけて大項目のCの部分が、1ページ目のさっきの終わりから2ページ、3ページ、4ページにかけてありますけれども、その2ページ目のところで、大項目のCの薬学基礎教育の中項目でいうと、現行の基礎教育は物理系が3個、化学系が4個、生物系が3個、10項目に分かれていたのですけれども、そこを見ますと、それらが統合されて、先ほどの1ページ目の方ですけれども、C1が物質の物理的性質、2番目が今の2ページ目の化学物質の分析、それから下のC3、C4、C5、C6という形でいって、最後のC8が生体防御と微生物という8項目に整理されております。
 2ページ目に、基礎教育の中の左側の現行のC5というところを見ていただきますと、ターゲット分子の合成。これが、実際には右の方の新しいものには入っておりません。要するに改訂案には削除されていますけれども、これは完全になくすものではなくて、必要なところはほかのSBOに書き込んであるということであります。
 それから、C4の(3)の医薬品の化学構造と性質、作用というのが、この改訂案の2ページ目の下の方にありますけれども、ここはもともと現行のC6は化学を主体とするものでありましたけれども、物理系、生物系の内容を含むより幅広い視点から学習する項目となっています。
 現行のC7、改訂案のC5にある中項目、自然が生み出す薬物で、これは3ページ目の、左側にある(3)の現代医療の中の生薬・漢方薬、これはEの方に動いていて、実際には改訂の方にはここにはないと。Eというのは、医療薬学教育の方の項目に入っています。
 次は3ページ目の今のところですけれども、改訂案ではC6の生命現象の基礎――改訂案、右の方ですけれども、これとC7、その下にある生命体の成り立ち。この順序は、左側を見ていただきますと、現行のものはC8の方が生命体になる。という順序はずれております。反対になっておりまして、これは、この方がわかりやすくなるということで、履修を配慮して変更したものということです。
 それから、現行のC8の生命体の成り立ちの中で、ここにある小さな生き物たちというのが(4)でございます。そこの部分は、改訂後のC8の生体防御と微生物。めくっていただくとC8というのがございます。3ページ目のところ、そこの部分に移動しているということです。
 次は4ページをめくってください。2枚目の裏になりますけれども、ここは衛生薬学があります。衛生薬学はかなり内容の整理が行われて、特にD1の中項目を中心に整理されております。
 次が現行のC13、その下の方ですけれども、左の、現行の薬の効くプロセスと、その次のページにもかかっていますけれども、C14の薬物治療、ここにおいては両方とも同じような項目がここに含まれているという意見があったことから、改訂案では、Eの医療薬学教育のE1、薬の作用と体の変化。それから、E2、薬理・病態・薬物治療の構成としまして、E2は改訂案の方を次の5ページにかけて見ていただきますと、1番、2番が薬理関係です。3番からその下、そこは疾患別として統合的に薬とか、あるいは病態、治療が学習できるように整理されたということであります。そこに(10)のところに、医療の中の漢方薬として、先ほどの漢方の方の内容が移動してきているということであります。
 次に、5ページ目です。左の方の上にあります、現行のC13の中のすぐ下のところに、(4)薬物の臓器への到達と消失、それから(5)の薬物動態の解析というのがあります。それは改訂案では後ろの方の臨床薬学教育のE4のところ。今のページの生体内運命というところに、E4、生体内運命に移動しております。それから、もう一つは、E5の製剤化のサイエンス、この二つに先ほどの薬物動態の部分が移動してきているということです。
 それから、6ページは、現行の実務実習のパートであります。このD1、D2と入って、そこの部分です。ここは事前学習、病院実習、薬局実習とに現行は分かれていたものでありますけれども、これが右の方の改訂案では、薬学臨床教育ということで一本化されまして、項目の数は見かけ上減りましたけれども、内容はかなり密になっているということであります。病院実習と薬局実習で重複していたものを減らしまして、かなりすっきりしたというように思います。
 ここまでが冊子の説明です。
 次に、資料1-3というのをごらんください。その資料はこのタイトルのところにありますように、この改訂案でありますけれども、そこに小項目に入るSBOがついたものが、GIOも全部入っているものであります。そこに、表にありますようにC、D、E、F、Gというところは添付せずとなっておりますけれども、これはそこのEとFの部分、医療薬学教育と薬学臨床教育というのが現在少し審議をする必要があるということで、これが未完成ということもありまして、その影響で専門の方のCからGまでがここに掲載していないということで、本日資料としてはAとBということで出させていただきました。
 これは、後で十分にごらんいただければということで、このようなGIO、SBOが案としてあるということで、ここで御議論いただければ、またそれをフィードバックするという格好に、薬学会の作業チームとの間にやり取りをするというようなことになるかと思います。
 それから、この資料にありませんけれども、ほかに当日議論しましたことは、薬剤師として求められる基本的な資質、案について議論をいたしました。日本薬学会から、現段階で改訂のプロセスの中では特に変更の必要はなかったという報告がありましたので、現段階では最後の調整の段階でもう一度この基本的な資質、案については、必要があれば訂正するということもあるということです。
 それから、次でありますけれども、検討スケジュール。これから先の検討スケジュールについて議論をしましたけれども、その点については、資料1-4について、事務局の方から御報告をお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】  それでは、資料1-4をごらんください。これまでの会議では、平成26年度、若しくは平成27年度入学生から新しいコアカリを適用するというようなことで、御議論をしていただいていたところでございます。先日の専門研究委員会の方では、平成27年度入学の学生から適用するということの原案が了承されておりますので、その原案につきまして御説明をさせていただきます。
 まず、改訂作業ということで、左側の欄でございますが、平成23年度にはコアカリを改訂することを決定し、専門研究委員会、それから改訂の具体的な作業チームを設置し、大学へのアンケートを行っております。24年度は具体的な改訂作業に着手し、25年度にかけて大学へのアンケートを行うこと。また、その大学へのアンケートを踏まえた修正作業を行い、最後、パブリックコメントをかけて新コアカリの方を決定するということを、平成25年度に行うということで取り進められればということでございます。
 また、コアカリが決定し次第、円滑や薬学実務実習に向けての検討を別途開始するということで進めるということで、了承されてございます。右側の欄をごらんいただきますと、実際の適用になった場合の大学側での作業ということでございますが、一番右の欄は旧コアカリ、現行のコアカリはどこまで続いていくかということが矢印で示してございます。25年度にコアカリが決定いたしまして、その後、大学側でシラバスやカリキュラムの準備を頂き、27年度の入学生から新コアカリがスタートするということとなっております。1、2、3、4、5、6というのは、学年ということで示しているところでございます。スケジュールについては以上でございます。
【市川副座長】  あと少し、当日行いました議論の追加を数点させていただきます。一つは、基本理念や利用上の留意点というのがありましたけれども、これの御議論を頂きました。議論のポイントは、大きく三つぐらいあったかと思います。一つは、アドバンストカリキュラムの在り方という問題で、アドバンストカリキュラムというものの設定ということを考えているということであります。
 これはSBOの内容や、あるいは薬学教育としては非常にいいものといいますか、適切なものなのですけれども、できれば全ての学生に取り組んでいただきたいけれども、大学の教育方針とか、あるいは学生の理解力に差異があるというようなことで、必ずしも一律に全大学の学生が履修するコアカリとしての教育ができるものと、できないものが当然あるわけですけれどもということです。
 そういうことで、アドバンスという、文字通り内容的にはアドバンスのものは別途アドバンストカリキュラムとして用意して、各大学が実施する独自教育の参考にしていただくという方向で、現在検討をしているということであります。
 2点目が準備教育ガイドラインというのがあります。この準備教育ガイドラインは、一応改めてこれを作成する、検討することは想定していないということであります。
 それから、薬学共用試験との関連でありますけれども、ある程度の内容が固まった段階で各SBOの移動の状況を明らかにした一覧表を作成した上で検討を頂くことになったということで、議論をいたしました。現在、基本理念や利用上の留意点についてはメール会議で整理をしている段階でありまして、次回の会議に提出できればと考えております。
 先ほどありましたように、もう一点、別件ですけれども、アンケート調査についてということも一応お話をしました。そのアンケートは、原案がそろった段階で、大学は無論ですが、事務局を除く6者懇談会の構成メンバーと、オブザーバーの団体、製薬協へまずアンケート調査を行うということ。その際には、今回の趣旨と、新旧対照表に備考の欄を設けて、移動の状況を簡単に書き加えたものを添えて行います。その結果を踏まえて原案の見直しをするということ。
 さらに、最終案については、一般に先ほどありましたパブリックコメントをかけて決定するということについて、全員の了承を受けたということであります。
 大体大筋はそれでありまして、あとは、先ほどもありましたけれども、検討スケジュールの中にありました円滑な薬学実務実習に向けての検討という内容のところは、かなりこれから重要なものになるのではないかという話が幾つか出ました。例えば実務実習のレベルを上げるために現在も施設間でのばらつきがあるとか、あるいは指導薬剤師の能力の差異とか、それからアドバンストカリキュラムの問題とか、そういういろいろな問題をこれからより検討して、より質の高い薬剤師を育成するためのカリキュラムとしてどうするかということについて、ここにありますような円滑な役割、実務実習に向けての検討というものを文部科学省の方で徹底していただいて、それとの間でうまくやりとりをしながら今後進めてくということで、六者懇の場などもそれは活用されるのではないかと思っています。以上で報告を終わりにします。
【永井(良)座長】  はい、ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見、ございますでしょうか。いかがでしょうか。よろしいですか。
 あるいは、次の項目で、医療人養成の問題もありますが、その前に何か御意見等おありでしたら、お聞きしておきますが。
 もしよろしければ、次の医療人養成としての薬学教育の在り方を含めて、総合的に御議論いただきたいと思います。この内容は、資料の2におまとめいただいておりますので、事務局から御説明をお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】  それでは、資料の2を御覧いただきたいと思います。前回の12回の会議では、医療人養成としての薬学教育の在り方について自由討議を行っていただきました。主な点といたしましては、現状及び問題点と、今後充実すべき点という2点について整理ができたかということで、私ども事務局の方で用意させていただいた資料でございます。
 まず、現状及び問題点といたしましては、薬の科学を追求し過ぎると、均質な物質としての薬を見ることになり、個人は偶然に左右され、数字で患者を語ることになってしまうのではないか、また、科学的薬学があって、その上に臨床薬学がある現状では教育にひずみが生じるのではないか。また、薬学部の教員の多くが臨床現場の体験をしていないのではないか。学生数と教員数のバランスを考えるべきではないか。人と接するようなフィールドがまだまだ少ないのではないか。薬剤師のみがチームの中で患者情報を有していない場合が多いのではないか。生命倫理や生と死等については既にカリキュラムとして取り組まれてはいるが、医療現場で生きた言葉になるような教育とはまだなっていないのではないか。コミュニケーション教育については、患者が語るところを聞くという点が不足しているのではないか。というような点につきまして、主な議論がなされていたかと存じます。
 また、今後充実すべき点ということで、具体的なものといたしまして、学部教育段階のものでは、医療の歴史や薬物療法の歴史を学び、専門性を深める教育が必要であること。専門知識を得る前に患者や人間という視点を早期から教育することが必要であること。EBMは臨床統計に基づいた医療と考えられがちであるが、患者の価値観、医療者の経験等を踏まえて、その人に最適な医療をするということであり、人間の見方や価値観の教育を強化することが必要。「チーム医療」という言葉の実態がカリキュラムに生かされるようにすべき。患者中心の医療チームという言葉において授業をシェアできるとよいのではないか。というような御意見もございました。コミュニケーション教育については、教育の場で、患者から情報を聞き出し判断できるような教育が必要という御意見があり、また、その中の例示といたしましては、医師が医療現場でどのように診察し、患者に問いかけているかを見るというような教育も有用であるというような御意見もございました。
 また、大学院教育の中では、教育学、マネジメント、リーダーシップ等の教育が必要であることや、リーダーとして育つためには薬物治療の歴史等について学ぶことが重要であるという御意見があったかと存じます。以上でございます。
【永井(良)座長】  ありがとうございます。ただいまの点は、最初の医療、薬学と社会ということにも関係してまいりますので、併せて御議論いただければと思います。どこからでも結構ですので、御発言いただければと思います。
【望月(正)委員】  今度、6年制になるときに「薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」の一番始めの方で話が出たのは、教養教育がなくなってしまったということです。それまでの薬学教育で教養教育がずっとおろそかにされているので、それを何とか改善しようということでした。結局これまでの6年間、7年間を見てみると、ますますおろそかになっているような現状です。
 例えば、先ほど準備教育ガイドラインは改めないということですが、Aの部分に人間性を高めるとあります。患者さんから見て、人間として信頼できるという、そういう薬剤師をつくるためには、例えばこの薬学準備教育ガイドラインの中の「人と文化」にある文化、習慣、言語、歴史、宗教、日本の文化など、そういう内容を少しAの中に入れ込むのがよいのではないかと思います。
 専門家としてだけの力を持って、教養がないと、患者さんから人間として信頼されるような雰囲気の薬剤師ができないような気がします。実際には教養教育を入れ込んだAの部分を基本事項の中のカリキュラムとして入れたい。もちろん、各大学の独自のものでよいですが、そういう枠をとる雰囲気を入れていただきたいと感じました。
【市川副座長】  難しいことだと、大変大切なことだと思うのですけれども。実際にSBOとか何かで組んでいくときには、ちょっと難しい問題もあるのかなという気はしますけれども。確かに、何かこういうところに入れておいて、皆さんがそれを意識しながらカリキュラム運営をしていくということは大切かと思うのですね。ですから、そういう意味では、多分今おっしゃった人間性とか、患者の方から見ての薬剤師は何とかという、非常に精神的なものというか、そういうところのものというのはどこかに入れるといいのではないかなと思います。
 これ、担当の人が今日はいらっしゃっていないので、すみません、私しかいなくて。そういうことがありましたということは、すぐに薬学会の方にフィードバックさせていただきたいと私は思っています。
【望月(正)委員】  1年、2年の段階で生と死や、最新医療などのテーマでスモールグループディスカッションを行っておりますが、もう一段階、人間とその考え方、例えば夏目漱石や芥川龍之介などを読んで、この人間は、この生き方はどうだったんだということを互いにディスカッションするのも無駄ではないような気がします。
【永井(良)座長】  医学教育でも、医療人間論など行っていますね。歴史も大事で、特に薬害の歴史は非常に重要だと思います。
【井上副座長】  議論のためにあえて言うことですけれども、例えばこの基本事項のAの1のGIO、例えば薬学の歴史を学ぶとともにとなっているのですけれども、薬学の歴史というのはある意味ではちょっと狭くて、例えば医療の歴史であったり、そういうものの中での薬の歴史というのはいいと思いですが、もうちょっと広い視野での歴史ではないかなという気がちょっとするのですけれども、その辺はどうでしょうか。
【市川副座長】  そうですね、項目としては(3)の、多分薬学の歴史と未来というところの内容の充実ということかもしれませんね。1番の歴史的な流れと医療において薬学が果たしてきた役割と。先生のお話で私自身が今感じたことは、薬というか、要するに薬学という捉え方がいつも来ているのは果たしていかがかという感じを受けましたけれども。先ほど言った人間論というか、人間性というようなこととのつながりでいうと、薬というのは一番最初からずっとあったわけですから、それに対応していっても薬学というのは生まれてきたと思うのだけれども。
 その辺を含めて、今先生がおっしゃったような本質的なところですね、文化が生まれてくる中において薬があって云々(うんぬん)でと。そこにおいて、何か薬剤師の存在がはっきりしてきたというような歴史。だから、ケミストリーがぽんと入ってきて薬剤師というのは、名称はそうかもしれないけれども、そうではないんだというところの、意図はちょっと違うところはもちろんあるわけだけれども、何かそこの感覚ですね。薬の何とかというのがあってもいいかなと思いますけれども、この辺の方略みたいなところがちょっと絡むかもしれませんけれども。
【永井(良)座長】  科学とか医学の歴史をベースに押さえた薬学の歴史は必要と思いますね。科学と薬学、あるいは錬金術と科学、薬学は関係があります。
 臨床医学ですと、基礎医学と臨床医学やはり違います。基礎医学は臨床医学の大きな柱ですけれども、それ以外の柱があります。価値観の軸は、患者に接する人たちと物質だけ見ている人とは違いますね。臨床薬学でも、異なる価値観をどう考えるかという話で、相当な総合力が必要と思いますけれども。
【井上副座長】  そうではあったとしても、医学のコアカリというのはきちんとあって、その中では、どちらかというと臨床の立場の医師としての価値観といいますか、そういうものがまずはきちんと教育されてあって、その上で基礎と、もっと臨床を深めるというような感じになっているような気が、私はいたしますけれども。そういう観点からすると、薬学の場合には、医学のコアカリとか、あるいは歯科医師のコアカリなどに比べると、何となく、例えば倫理とか、そういうのが医学や何かの場合は物すごく、まずはそういうところから入っていて、医師の役割とか、あるいは歯科医師の役割というのは大分後ろの方に出てくるのですね。
 要は医の倫理とか、生命倫理とか、そういう方がまずは最初にそこがきちんと出てきてというところは、もしあえて言うならば、前回の資料の2にありますような、幾つかの項目が並んでいますけれども、そういうことに対応しようとすると、この基本事項や何かも少し、場合によっては手直しも必要なのではないかなという気がちょっとするのですけれども。
【永井(良)座長】  外国では、その辺はどういう教育がされているのでしょうか。外国の臨床薬学教育ですね。
【井上副座長】  例えばアメリカの例が多分、我々としては一番つかみやすいので、アメリカの例でいえば、臨床教育の実務実習の時間は圧倒的に長いです。それから、逆に基礎的な部分が若干弱いのではないかなと。余りそこまで、アメリカ的なところまでやってしまうと、基礎が大丈夫かなという気はちょっとはするのですけれども、結局その辺のバランスが非常に難しい。
 ただ、世の中一般、医学もそうですけれども、グローバライゼーション的なことをしていくと、もし日本のコアカリというのはアメリカのとは随分違う、あるいはヨーロッパとも違うとしたら、日本のものが本当に理論的に、決して彼らに劣るものではないという主張ができるような理論武装というのが必要だろうと感じます。大分違うと思います。
【永井(良)座長】  例えば日本の6年制を卒業した後に、アメリカで仕事をしたいといったときに、ギャップがないようにしないといけないですね。向こうで何か試験を受けないといけないと思いますが、そのときに受験資格もないというようなことを言われると、非常に問題になるわけで。
 実は、臨床医学で最近そういうことが起こりました。アメリカのECFMGという試験がありますが、その受験資格が引き上げられまして、それに合わせて日本の臨床医学教育も変革を迫られました。そういう意味でも、できたら、ここはちゃんと外国でも活躍できる教育をしないといけないと思いますけれども。
【井上副座長】  そういうふうに言われますと、なかなかつらいところがあります。やっぱり日本の薬学の発達の度合いと、ヨーロッパ、アメリカでの、要するに医薬分業が完璧にスタートのときから行われたという点から考えると、日本はやっぱり薬の品質保証とか、薬の創り方、創るという方の物質的な側面が非常に強く、歴史的に来たわけですので、いきなりそこのところをすっ飛ばしてというのが現実にはなかなか難しいのではないかなという気は、ちょっとします。
 ただ、最終的にグローバリゼーションというのは必ず要求されるだろうとは思っていますので、その辺のところをどう折り合いをつけるかというのは難しいところだと思いますけれども。
【高柳委員】  いいですか。アメリカと日本において薬学を勉強するときのいわゆる教養教育の知識、基礎がどの程度違うのかというのがあると思いますね。最近、先ほどもありましたけれども、大学に入ってくる学生さんがスタートするときに、本当にこういう医の倫理とか、そういう基礎的なことを話して、どの程度理解できているのか。基礎教養ですね、その辺のところの厚みがどうなのかなと。アメリカの学生さんと、日本の学生さんでは。
 日本の場合は高校もどんどんいろいろなものがカットされて、受験の科目だけ残っているという状況になっていますので、それがそのまま大学に入ってきて、教養教育が余りない状態でスタートすると、急に医の倫理とか言っても、果たしてどの程度理解できているのかなというようなこともあると思います。
 あと、グローバルの方は、ここ10年ぐらい見ていますと、学生の意識が変わってきて、グローバルの時代に入ってきているのではないかと。というのは、うちの大学でも外国に留学したいという学生さんが非常に増えてきている、卒業生の英文の卒業証明書のサインが来るというのが非常に、毎年毎年多くなってきているので、ここ10年ぐらいの間に、非常に薬剤師さんも外国に目が向いていると、そういう気がしますね。
【井上副座長】  多分医療体系そのものが、例えばアメリカと日本とではかなり違うわけですね。例えば保険なんていうのは、日本は健康保険ですけれども、アメリカなんかだったら、全部保険会社が全てやっているわけですね。そうすると、薬剤師に求められていることといったら、例えばどういう薬を使えば安くなるとか、保険会社との交渉とか、そういうようなのがものすごくたくさん入っているわけですね。だから、そういうことからすると、今日本はそんなことは全くないわけだし、要求される内容がちょっと今違うと思うんです。
 ただ、今の医療体系というのが破綻を来さないとは言えない厳しい状況にあって、国民皆保険というのがどこかで破綻を来すとか、そうなったときには保険会社がもっともっと力を持つわけですから、そうなると、それこそできるだけ安い薬を使わなきゃいけないとか、そういうことになってくると、薬剤師の役割というのはまたちょっと違ってきてしまう。
 今現実にアメリカの薬剤師というのは、その辺のところに関しては、患者さんとの相談とか、そういうのがものすごく活発に行われていて、そういうようないろいろな種類の薬があるときには、その薬のどれが一番安いけれども信頼できるとか、そういうことで薬学の総合的な知識、薬効もあり、構造との関連もあり、かつ経済性も考えなければいけない。そういうようなところは、日本ではちょっとまだそこまでは行っていないだろうと思うんですね。
【高柳委員】  いいですか。
【永井(良)座長】  はい。
【高柳委員】  医療経済ということになるのかもしれませんけれども、今言った薬剤師が医療経済を考えるというのはまだまだあるだろうと思いますけれども、現実にはかなりジェネリック採用ということで、医療現場の薬剤師さんも教育を受けて、指導を受けて、実際にいろいろやっていると思います。
 医師も、これまた、我々のころは全然そういうことは考えなかったのだけれども、DPCというのが採用されて、すごく医療経済を考えるようになってきているということで、急速にいろいろな面で変わりつつあるということだろうと思います。そういうのも、後の方で、いわゆるB2ですか、薬学と社会というところで医療の経済性というのが出てきていますので、そういうところで十分に教育していただくということが重要かと思いますけれどもね。
【望月(眞)委員】  アメリカの学生さんが薬学部に入る前に、あるいは薬学の初期教育の中でどのくらいリベラルアーツというか、きっちり身につけているのかというところはよくわからないですけれども、実はアメリカのPharm.D.コースに入る学生さんたちはもう既に一回4年制の大学を修了して、その上でPharm.D.コースに入って薬剤師の資格を取るという人がかなり多いと思うんですね。ですから、学生さん自体に目的意識というのがかなり明確化されているというところが、日本の今の薬学生と少し違うかなと思います。
 それで、両方にいいところ、悪いところがあるような気がしまして、確かに臨床の実習を含めた実習教育、スキルの面での教育というのはアメリカの方が進んでいます。
 しかし、今アメリカの教育でよく向こうの先生方がおっしゃるのは、昔は卒業研究論文というのを書かせていたのだと。それを今は論文を書かせなくなってしまった。それでも、Pharm.D.コースを修了できるという形にしてきたが故に、そこが足りないということを、逆に向こうの先生はおっしゃっています。日本は卒業研究をして論文を書かせる。その研究のやり方はウエットなもの、ドライなもの、いろいろあるとは思うのですが、その点は、もしかしたら日本の方が残していて、いい教育の部分もあるのかなと感じています。
 先ほどグローバルに日本の6年制の修了者が海外に行って、すぐに国家試験の受験資格のための導入の試験を受けられるかどうかのところに関しては、もしかしたら私の記憶違いだったらいけないのですが、薬学の国際的な団体でFIPという団体があります。これは、多分、橋田先生がひょっとしたら詳しいのではないかと思うのですけれども、そちらのFIPの中にたしか薬学教育の平準化というか、グローバルにどういうふうにできるだろうかということを何回か議論しているということを、私はお聞きしたことがあるのですが、いかがでしょうか。
【橋田委員】  今望月委員から話題を出していただきました。的確なお答えにならないかもしれませんが、薬学では国際薬学連合、FIPという組織がありまして、そこでは薬剤師の職能と薬学の研究、それから教育、これを三本柱として世界規模で薬学の社会貢献の発展を目指した活動をしております。そのうちの教育に関しましては、薬学・薬剤師教育を担う各国の大学が集まったAIM(Academic Institution Membership)という組織がありまして、教育に関する様々な問題が議論されています。
 それから、アクレディテーションという言葉になりますが、アメリカなどでは、各大学の教育内容に対する認証制度がありますのでそういったものをほかの国がどういうふうに例えば導入していくか、共有していくかということもFIP内で議論しております。
 ただ、なかなかその先でシステムを共有するとか、制度を整理して共通の資格につなげるとかという議論には、まだなっていなくて、各国の事情をお互いに情報として共有しながらそれぞれの教育の改革に努めるという議論が中心だと思います。一方で、ヨーロッパはボローニャ・プロセスなどの形で、高等教育の共通化を目指していますので、そういうものとのバランスをとりながら進められています。
 それ以外にも、先進国と開発途上国の間の問題として医療人の偏在あるいは国の間を移動するというような問題もあり、そういうことをトータルで議論しているところですので、統一した教育制度を形にする作業、あるいは受験資格を共通化するというのは、もう少し時間のかかる事業だと思っております。
【井上副座長】  アクレディテーション、アメリカの薬学教育の評価機構、ACPEは何を言っているかというと、アメリカにおけるPharm.D.コースの評価及びインターナショナルな教育の評価を目指すと、そういうふうに明言しています。ACPEのあれを読みますと、ともかくアメリカではこうやっていますと。これを参考にして国際的にいろいろな国が使ってくださいと。その評価をやっていくことによって何か助けが必要なら、我々は大いに力を貸しますと。こう言って、結局アメリカのシステムを、ある意味では各国に広めたいという意思は露骨に示しているようには思います。
 それを日本が取り入れるかといったら、現状の薬学教育ではとてもじゃないけれども、すぐにはいかないなというのが実感です。私たち日本の6年制薬学の評価をやる立場としては、ACPEのその考えに今すぐには乗るつもりもないし、将来的にその辺についてはまだ、そちらの方へ持っていこうかということも、今のところ全く考えてはおりません。そういう意味では、グローバライゼーションというのにはそんなに簡単には乗れないかなと思っているのですけれども。
【市川副座長】  グローバリゼーションとの関連で考えると、一つ、私が思うのは、薬剤師そのものが国によって違うわけですね、職責が違うというか。その問題がこの薬学教育を考える場合に、どこまでをどう踏み込んでいいのかと。例えばアドバンスという言い方で10年後を見据えますという言い方をしたときに、その10年後の像というのは、例えばアメリカの薬剤師、Pharm.D.というのは多分七、八年前とか10年前までは多分日本とよく似た現状であって、今はPharm.D.という評価される仕事になっている。それは、業務としてはケアを中心とする、ある意味ではプライマリーケアにまで踏み込んでいったりすることで、日本の場合はまだ調剤とか、そういうところが主体になって動いているという現状ですね。それから、あるいは病院においての活動という範囲も、多分アメリカのそれとは違うところがまだあると。
 結局、だから、そのプロセスというような、薬剤師としての職責の変化というのも片一方の運動としてやっていって、それに伴って薬学教育というものがロードマップとして、このぐらいのところまで教育し、ここからその先はこのぐらい教育してということをしないと、今ぽんと入れたときには、アドバンスとしては入るけれども、その大学はすごい先端のことをやって評価されるけれども、じゃ、それで学んだ人が日本の薬剤師としての世界へ入ったときにどれだけ評価されるか、あるいは活動できるかというところが、まだちょっと不十分なところがある。
 それが結局、それをずっと拡大していくと、今高校生が薬剤師ということに対して抱いている夢というのは、日本の今ある薬剤師の像であって、10年先の像に対してなかなかまだ抱けないというところが一つあるのかなと。そういう社会的背景みたいなもの、言ってもしようがない話だけれども。だから、一番は医と薬と、そういう一つの医療チームというか、医療としての何か活動というものにいろいろなところが協力して、一つの像をつくり上げていくことが大事なのかなと。その中で薬剤師の像というのが固まってくるという感じを持つのですが。
【井上副座長】  ただ、聞いていると、例えば厚労省が診療報酬の改定みたいなのをどんどん進めて、病院の薬剤師にしても、あるいはコミュニティー薬剤師、地域薬剤師に期待するとしても、かなりアドバンスなものを次から次に要求しているという状況があるわけですね。じゃ、そういうものに我々の教育が本当に追いついていけるのかなということすら、ちょっと心配するのですけれども。
 だから、そうだとすると、今の現状の薬剤師像を見て、それに耐えるような教育をすればいいというものでは多分ないだろうなと、ちょっと感じるのですけれども。
【永井(良)座長】  はい。
【生出委員】  薬剤師の役割でいえば、3年ほど前に、厚生労働省の医政局から薬剤師に望まれる行為ということで9項目がうたわれていて、その中にはフィジカルアセスメントやバイタルサインのチェックなどがやられて、その医師ができないところを薬剤師が埋めるというような形のことをやっています。
 ただ、一方で、1月31日の、固有名詞を出していいのかわからないのですが、朝日新聞の経済気象台という欄に提琴という名前で、「調剤薬局は花盛り」という記事が載りまして、一番許せなかったのは、薬剤師は調剤室で薬を袋に詰めるだけの作業をしているのに、これだけの報酬があっていいのかというようなことが書いてありました。これは何とか薬剤師の姿を世の中に見せていかないと、こんなことにしか見えていない薬剤師というのは情けないと思って、反論も一応出してはおりますが、そういう教育が望まれるなと思っております。
【永井(良)座長】  はい。
【望月(眞)委員】  今の井上先生と生出先生の意見に出てきた、今医療現場がすごく変わっていっている。ほんのちょっと前までは、確かに調剤中心、その中で服薬指導中心の薬剤師の役割だったものが、この二、三年の間に非常に大きく変わっていると思うんですね。それで先ほどの前回の主な意見のまとめの中で、三つ目と四つ目のことが現在の課題ではないかと思っています。今現在非常に変化している臨床現場に対して、本当に役立つ薬剤師の卵たちをちゃんと提供していく大学の役割として、それを担うためには、臨床現場の実情に沿った教育をできる教員が必要だと思います。その室と数をどう確保するかが課題です。
 薬学の教員には臨床現場を経験、体験していない人がかなりいます。体験していた実務家と言われる人たち、今臨床系教員と呼ぶのかもしれませんが、そういう方々もなかなか継続した臨床経験を積んでいけていない。
 それから、学生の数と教員の数のバランス。どうしても、技能的な教育をするときには、それなりの教員の数も必要で、このあたりを将来の薬剤師養成を考えるときにはいつも意識しておかないと、よい教育にはなっていかないかなという気がいたします。
【永井(良)座長】  はい、倉田委員。
【倉田委員】  薬学と社会というところに関係するのかもしれないですが、チーム医療も言われておりますが、医師とか看護師というのは普通にチーム医療との連携で考えられますけれども、福祉の面でもかなり重要だと思っています。これからどんどん高齢者が増えていく日本ですから、高齢者と薬というのもやはり大切なことではないかと思います。
 介護の場面、特に要介護の方たちというのは、そこの家族の人に聞いてみると、薬がどんどん増えていく状況というのがあるそうです。処方してもらった薬がなぜか、飲んでいるはずなのにどんどん増えていく。私も家族でやはりそういう状況がありました。母のところに行ったら、飲んでいたはずなのに、こんなにいっぱいというくらい薬が余っていました。
 私以外の、ほかの方の経験によりますと、その飲んでいなかった薬を見ても、大して患者さんの状況は悪くなっていないというような話も聞いて、じゃ、この薬って本当に必要だったのかしらという疑問が一般人では浮かぶのですね。そういうときに、やはり処方するのは医師にしかできないことですが、患者さんの様子を見ながら、何か薬が余ってそうだなと薬剤師さんが気がついてくれたりして、間に入ってくれるのは薬剤師さんしかできないことなのです。
 そういうようなことから始まって、本当に老人がこれだけの薬が必要なのだろうか。本当はもっともっと少なくてもいいのではないか。それは患者の権利とか、尊厳とか、そういうことにもかかわってくるのではないかと思っています。老人に関して、これからどんどん増えますから、是非考えて対応していただきたい、学んでいただきたいと思います。
【永井(良)座長】  その点、全く同感で、医療と社会だけではなくて、「薬学と人間と社会」ということだと思います。それから、薬学と科学というのも非常に考え直す必要があって、今の医学はよかれと思うことは全てしようとします。確率的に低くても、高くても。その結果妙なことが起こってきます。科学的とは何かというところまで含めた薬学であってほしいと思います。
 はい、生出委員、どうぞ。
【生出委員】  倉田委員がおっしゃっているとおりでありまして、実は薬剤師の役割の一つが残薬の確認だろうということが新たに認識されて、昨年の4月から調剤報酬の面でも、薬学的管理という薬歴の中で残薬の確認というものもきちんと評価されるようになっております。特に在宅に行った場合には、きちんと確認をして、これが余っている、そしてカレンダーに入れてくるとかいうこともやっておりますので、多分今後の薬剤師業務としてはそれが認められていくものと思います。
【永井(良)座長】  そうした問題を今度社会に発信したり、場合によっては研究費を取って研究するとか、科研費を書くとか、機構改革をするとか、あるいは研究費申請のためにも、読み書き、問題提起をする力が必要になります。このコアカリキュラムにはそうした基礎的な教養教育は入っていないのですか。
【市川副座長】  はい、別に。
【永井(良)座長】  それはよろしいのですね。これは生涯学習として考えないといけないと思います。余りにも実践的な人と、研究的な人と分かれてしまうのも問題で、それをつなぐ表現力、提案する力が必要だろうと思います。これは医学でも全く同じです。実験はするけれども、論文は書けない、研究費を取れないということがあるわけですね。
【北澤委員】  今までの先生方が言われたこととかなり重複していると思うんですけれども、薬剤師の役割も、今どんどん変わってきつつあると思います。この新しいコアカリで教育された方が社会に出てくるのはかなり先なので、その時点でどういう薬剤師が求められるのかという観点でプログラムをつくっていってほしいなと、私としては思います。
 やはり10年後の薬剤師というのは、今の薬剤師の業務とはかなり変わっていくでしょうし、また、そうしなければもたないと感じています。
【永井(良)座長】  はい、ほかにいかがでしょうか。
【村上委員】  よろしいですか。二つあるのですが、非常に素朴な質問をさせてもらいます。これからの医療を考えると、個の医療(個別化医療)というコンパニオン診断とセットで薬を投与するといった方向へどんどん進んでいますが、診断キット、これは医療機器ですよね。これが薬とのコンビネーションでどんどんと使われることを考えると、医療機器のキーワードが全くないカリキュラムで、本当によろしいのでしょうか。薬事法下では当然医薬品と医療機器、一緒に併せて管理をしているわけなので、そういう部分をどんなふうに考えられてのカリキュラムなのか、少し教えていただければと思います。それが1点目です。
 それから、2点目ですが、前の現行のカリキュラムの中では、治験における薬剤師の役割というのは明確に項目として載っているのですけれども、新しいところにはそういったものが見受けられない。治験、あるいはトランスレーショナルリサーチにおける薬剤師の活躍する場というのは非常にあって、大いに活躍していただきたいと思っている立場ですので、その点についても、お願いいたします。
【市川副座長】  関係していませんけれども、薬学と社会の中で多分これはつくられた薬学会としては、5ページの、そこの薬事法の目的及び医薬品等の中の医療機器というところで説明ができるという程度の内容を入れていると。これは、これだけで十分かというと、そうではなくて、やっぱり医薬品、医療機器、それを使って、しかもそこにいろいろな被害が出るということも含めてやっていく必要があるし、それから認可の問題を含めて考えなければいけないとか、いろいろなことがあると思います。だから、深みの問題というのは確かにあると思います。今ざっと見たところでは、ここに入っているということです。
 あと、治験に関しては、前はちゃんと一つの医薬品の創製というところで入ったのですね。それが見た目には消えた格好にはなっています。私もちょっと完全にそれを調べてはいないのですけれども、これ、太田先生、わかりますか。
【太田委員】  今ちょっとここに資料がないので、わからないですけれども。
【市川副座長】  ちょっと後ろの方に、C16だったか17か、そこに治験があって、前の現行のものが今回移動されている。
【井上副座長】  薬学と社会の(2)番の3番、医薬品の治験について概説するとあるけれども、これは概説だから、ここではないのですか。ここでないところに別にあるのですか。もっと詳しいのが別にあるのですか。
【市川副座長】  ない。今までは、前はちょうどこの大きい方の6ページのところの、現行のC17というところに医薬品の開発と生産というのがありまして、そこの中にずっとバイオ医薬品云々(うんぬん)があって、(4)に治験という云々(うんぬん)ということがあって、ここのところは大きく捉えていたのだけれども、6年制カリキュラムになったときにこれがどこに行ったか、私もよく知らなくて。臨床?
【太田委員】  少なくなっていると思うのです。臨床のところには入っていないですね。
【市川副座長】  これは望月眞弓先生。
【望月(眞)委員】  治験における薬剤師の役割等々のところは、薬学と社会のところの範疇(はんちゅう)なので、今配られたこちらのモデル・コアカリキュラム改訂案という資料の1-3をざくっと見ても、ちょっとそれらしきことは見受けられない状況ですが、本日は全ての領域のSBOが配布されていないのでよく見えていないのかもしれません。例えば、この中の医薬品の承認等にかかわる臨床試験の計画法とかデザインの仕方というのは、E3の(1)の中の5の生物統計と6の臨床研究デザインと解析というところに入っているかと思います。臨床研究は、治験にかかわらず関係してくることなので、治験という言葉は表面には出てきませんが、現行のコアカリに入っていたものはかなりここに移っている形になっています。
 ただ、治験での薬剤師の役割とか、治験の意義とか、そういうことは薬学と社会の範疇(はんちゅう)なので、ちょっと私にはよく分かっていないところです。
【井上副座長】  この5ページのところのB1の(2)に医薬品の有効性、安全性の確保に係る法規範の3番は医薬品の治験なのですね。ただ、これは飽くまで法規範ということに限定されてしまっているので、ここではカバーし切れない。そうすると、治験というのはあっち行ったり、こっち行ったり、いろいろなところに行っている可能性もありますね。
【太田委員】  法制度だけですね、ここは。
【望月(正)委員】  この部分はいわゆるレギュラトリーサイエンスと言われたC17です。今の厚労省を始め、多くの組織が非常に力を入れている内容です。
【田宮厚生労働省課長補佐】  それにつきましては、当然今も、大学と、PMDAと、あるいは国立衛研との人材交流事業とか、そういったことも含めて、予算の方も今回も獲得させていただいていますし、引き続きレギュラトリーサイエンスは医薬品開発等における重要な要として推進していくという方向でございます。
【望月(正)委員】  そのようなときに、レギュラトリーサイエンスが大幅に切られてしまったのは非常に残念です。今の薬学教育界にレギュラトリーサイエンスを教えられる人がほとんどいないので、削ってしまおうとしたのではないかとさえ思っております。
【市川副座長】  それはないと思いますけれども。レギュラトリーサイエンスはPMDAとか、いろいろな大学で今連携して、薬学部の中でも大分やられているので。
 眞弓先生、どうぞ。
【望月(眞)委員】  とりわけ治験だけを大きく取り上げてはいないのですが、これは、薬剤師の養成のためのコアカリキュラムということですので、薬剤師を養成したときどういうフィールドで、どういうところでの活躍が中心になるのかということも考えつつの、私は御提案なのかなと思います。確実に治験の意味ですとか、治験の中でどういうことを行わなければいけないというSBOはそこここに立っておりまして、いろいろな方略のことを考えてしまうと、確かに見えないというふうなお話にもなるかもしれませんが、現実にはきちんと、それぞれ押さえるべきところは最低限コアカリとしては押さえられているのではないかなと思います。
【田宮厚生労働省課長補佐】  すみません、厚生労働省で「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」とかいう新しいのを文科省と共同で策定させていただいておりますけれども、その中で出てくる話として、恐らくこのコアカリの中で今ちょっと見えない形になっているのは、特に例えば臨床研究コーディネーターとして薬剤師、もちろん看護師もいるわけですけれども、そういった活躍する、そういった人材を育てていかなければいけないというのが入ってございます。
 ですので、確かに治験の法規制、あるいは臨床研究のデザインとか、そういったところのパーツ、パーツとしてはあるようには感じますけれども、そういったところの中身が入ると、そういった活性化計画とも整合がとれていいのかなという感じはいたします。
【橋田委員】  すみません、よろしいでしょうか。私もここのところはやはり何か落ちているような気がしています。今の治験の話も当然そうですが、もともとC17は開発と生産、生産と品質管理等々もありまして、これらも実際に医療現場に提供されている医薬品がどういうシステムのもとに有効かつ安全性が担保されて、供給されているかということを十分理解して説明できるのは、やはり薬剤師だと思います。そういった意味で、薬剤師の役割を明確に位置づける必要はあると思います。
 それから、生産、品質管理に関しては、総括製造販売責任者として薬事法上、薬剤師にしか認められていない義務ですし、そういったことを考えると、何かもうちょっと言葉が見える必要があるのではないかという気はしております。
【市川副座長】  私も少し感じますので、今の御意見を伝えるようにいたします。ありがとうございました。
【永井(良)座長】  ほかにいかがでしょうか。
【永井(博)委員】  薬剤師の職能でいろいろおっしゃっている医療現場そのものもありますけれども、もう一つ、環境の関係があると思うんです。薬剤師としては、化学物質と生体と、両方を知らなければいけない立場で、特に化学物質を非常に詳しく知っておかないと、環境の問題とか扱うことができないということで、新しいカリキュラムを見ますと、非常にバランスがよくなったというふうに私は感じています。
 ただ、例えば医療の問題について、例えば病態の説明とかあるのですが、これ一番大きな問題は、恐らく教育する人材、教員が、先ほどもお話がありましたように、臨床経験がないまま教育をしなければいけない人たちがかなりおみえになっていて、例えば病態の説明をするにしても、病態を見たことがないまま病態の説明をしなければいけないということでやっているのが現状だと思います。
 しかし、今こういう形で育ってきた新しい薬剤師の立場は、今度臨床現場に出て、いろいろなものを見てきて、新しい教員となっていくと思いますので、時間がかかる部分がかなりあると思います。先ほどの例えば倫理観とか、生命倫理とか、あるいは医療倫理にしても、薬剤師ではあるけれども、臨床現場に出ないまま薬剤師の倫理を語っても、これは意味が違ってくると思いますので、恐らく教員の養成の期間がもう少しかかる。そのために、これは新しく、前の現行のものよりは、この改訂案の方が次の実際臨床薬剤師、医療人薬剤師としてのカリキュラムとしてはアドバンスしていると。
 けれども、もちろんこれはファイナルゴールではなくて、もう少し進めないと、先ほども議論になりましたようなグローバリゼーションにマッチできるまでは行かないと思うんです。まだ時間がかかるのではないかと思います。
 ただ、これ、例えばある程度この教科、この科目に対して、教員の資格としてそういう経験があるかないかということを、もちろん問う必要はないけれども、例えばガイドラインとか、こういう方が望ましいとか、そういうことはこのカリキュラムの中に入れることはできるんでしょうか。
【市川副座長】  これはちょっと、私は答えられませんけれども。
【高柳委員】  今の、最初は、基礎系の人が、あるいは実際に医療現場を知らない人が臨床系の科目を教えていたり何かしていることもあったかと思いますけれども、今は各大学、臨床を経験した人がいろいろ教えているのではないかなと。例えば、各大学、ドクターなんかがかなりいると思います。そういう人を採用して、教えていると。そういう意味では、この6年間に各大学、それなりにいろいろと対応してきているのではないかなと思いますけれども。
【井上副座長】  ある程度はね。とは思います。やっぱり、でも、例えばレギュラトリーサイエンス、医療統計とか、そういうのになると薬学一般には非常に弱くて、なかなか教えにくいのも確かですし、倫理なんていうのは本当に何を教えたらいいのかというのがあるわけですね。
 でも、そういうのがコアカリにあれば、そういうことを教えなければいけないんだという、そういうあれにはなるわけだから、最初はなくて、そのうち、近い将来にできるだけ入れていくというのではちょっと遅いかなとも思いますけれども。教える人がいないというのは確かに問題だと思います。本当に問題なのですけれども、そこは何とか高柳先生がおっしゃるように、その専門家をできるだけお呼びするなり何なりしても、何らかのことで前向きにそれを教育する努力はする必要があるというふうには思いますけれども。
【高柳委員】  ただ、患者さんというか、医療現場を全然知らない人が医療現場にかかわるようなものを教えるといっても、幾ら勉強してもなかなか難しいのではないかなと思うんですね。ですから、やはり医療現場を知っている人が、臨床系の人がいろいろ実際には教えるようになってきているのではないかなと思うのですけれども、違いますかね。
【井上副座長】  それは先生、医者を雇えと。確かにそうだとは思いますけれどもね。
【高柳委員】  今、各大学、ほとんどいるのではないですか。
【井上副座長】  それなりに、もちろんいますよ。だけれども、MDを雇いさえすればいいかというと、必ずしもそうではなくて、MDでも、臨床が余り好きじゃない人が来られるというケースも意外に多くて、余り役に立たんなとかいうこともある。
【高柳委員】  むしろ、先ほど先生が言ったような医療統計とか、ああいう分野がなかなか教員がいないというか、そういうふうに感じますけれども。
【市川副座長】  少し。実務家教員という表現というか、臨床教員という表現になっているかもしれないけれども、そこの問題にちょっと近いことがあると思いますね。例えば基礎薬学教育というものを現場体験がある人が教える、これは間違いなく非常にいいことだと思います。例えば医学の場合には、基礎もお医者さんが担当されていて、片方では医師の活動をされてやっていらっしゃるというのは多いですね。多いというか、ほとんどそうだと思います。
 それに対して、薬学の場合では基礎の担当者は薬剤師経験がほとんどないというのは明らかですね。ただ、私が言いたいのは、今両方を兼ねられる人材がいるかというと、やはりなかなか難しいところがある。例えばそれにふさわしい人という言い方はあれだけれども、今募集をしたときにどれだけの人が来られるかというと、ほとんどないと私は思うんです。そうすると、経験のない人が今やっていると。先ほどから、10年後になったらどうかというと、そこでは多分6年制を卒業して、現場経験も何年かされていて、その上に新しい薬学にかかわる関連のサイエンスも身につけているが、人が大学でも教えていいと、あるいは教えたいという気持ちになってくれたら、初めて教育の人材ができ上がっていくという感じがあるのですね。
 大学の中でそういう人を育てるということは、多くの大学では附属病院、薬局がないから無理なのです。附属の薬局なり、附属病院がそばにあるところは可能性が高いけれども、私大の場合ほとんどが実際ないですね、国立はありますけれども。そういうところで、じゃ、どうやって育てるのだろうと。さっきから出てくる問題だけれども、私は一つ、6年制がしばらく経過して、卒業生がどんどん出ていって、そして、その方々が次の世代を教育してあげようと、次世代の人をやってあげたいという気になったとき、初めて今の日本の達成ができるのかなと思うのですが。
【永井(良)座長】  そのときにポストは用意されているのですか。みんな実験畑で、そういうことを。
【市川副座長】  ポストは結局入れかえということしかないのですね。ですから、今は大分そういうところはかなり入れかえは可能だとは思うのですけれども、その時期にちょうどそういう方が出てきてくれると有り難い。自分の大学でもそういう議論はちょっと始めています。基礎教育、例えば生物学、物理学にしても、臨床経験のある人を採ったらどうだと。本当の基礎というか、生物、物理、科学の専門家の数は減らして、専門家としてはやっていない方ですが、非常に秀でたこの領域のサイエンティストで、臨床経験のある人を教育者としては採用できるのではないかと考えています。
 特に大学の6年制の基礎教育という見方をすれば絶対できるであろうという議論があるのだけれども、繰り返すけれども、なかなかそれにふさわしい人がいないということは今の現状のような気がするのですけれども。ほかの大学のケースはちょっとわからない。私どもはそういう議論になって、しばらくは待ちましょうと。
 ただ、非常に難しいのは、本当に大学に来てくれるかというと、月給の問題も含めて非常に難しく、環境はなかなか整っていないのです。だから、そこを思い切って現場をやめて、こちらへ来てくれる人がどれだけいるかというのは、ちょっと私にもよくわからないのです。
【望月(眞)委員】  先ほど言ったことと繰り返しになりますが、今も現場をやめて大学に来てくれるかという話が出ていましたけれども、確かに臨床での実際の経験がおありになる方でも、やめて大学にどっぷり入ってしまった方の臨床系の教育、やめて基礎系の教育をされていく分にはどっぷり入っていただいていいのですけれども、臨床系の教育をしていくときには、その臨床の知識と経験とか、技能とかをある程度維持するためのフィールドというのを教員が持てるという環境を、医学部はそうなっていますね。
 薬学はまだなかなかそれができない状況で、それをしていかないことには、臨床系の教育の質は高まっていかないだろうと思います。今実は、先ほどお話が出ていた、臨床系の教員を募集したときに、なかなか見つからないという状況。これは、やっぱり大学の臨床系の教員になったときに魅力を感じられない何かがそこに存在するのではないかなと、私は感じるんです。やはり、そこによい人材に教育者として入ってほしい場合には、そこの環境もきちんと整えていくということも大切なことなのかなと思います。
【永井(良)座長】  なかなか重い話。教育専念というのがなかなか皆さん、難しいですね。何らかの研究ができるということで魅力を引き出すということだと思うんですが、そうすると、基礎研究をするか、あるいは、いわゆる臨床研究、治験とか、コーディネーションに参加していくとか、レギュラトリーサイエンスに参加するとか。確かにそこまで幅が広くなると、まだなかなかいないでしょうね。
 いかがでしょうか。事務局から何か、この辺をもう少し議論を頂きたいというところはありますでしょうか。
【伊東薬学教育専門官】  現在御議論いただいているところでは、医療機器についてでありますとか、治験、トランスレーショナルリサーチ、レギュラトリーサイエンスといった点について、御意見としては出ているかと認識しておりますが、それをどのような形で落とし込むのか、コアカリの部分で変更が必要なのかという具体的な御指示なり、サジェスチョンなどをいただければと思っております。
【永井(良)座長】  いかがでしょうか。何もかも入るとコアにならなくなりますよね。選択での教育というか、いろいろなカリキュラムを用意するというのは一般に行われますね。
【北澤委員】  この会議でも最初のころ、大学院でどういうことをやったらいいのかという議論のときに、先ほど言われていたようなトランスレーショナルリサーチとか、レギュラトリーサイエンスとか、あるいは生物統計だとか、医療経済だとか、そういう領域の学問を大学院で積極的につくっていきましょうと言ったのだと思います、もう4年ぐらい前ですけれども。
 だから、そういう方向で、各大学が大学院教育を充実させることになっていたはずです。モデル・コアカリキュラムの中にいろいろなものを詰め込むと、かえって何のためのコアなのかということになってしまうので、もうちょっとスリム化しなければならないというのが大前提で、そこは守ってほしいと個人的には考えます。
 その上で、アドバンス教育というのはコア以外にあることになっているのだから、そこのところで今言われてきたような、足りないと言われているところをプラスしていければいいのではないか。そのときに、教員がいないという議論もありましたけれども、それは、いわゆる常勤の教員ばかりにしようとするからであって、時と場合に応じて入れていくようにすれば、特に大きな問題にはならないのではないか。各大学が、うちは生物統計に強い大学にするとか、臨床研究をデザインできる薬学研究者を養成するというふうに、各大学がやっていければそれでいいと思います。
【村上委員】  よろしいですか。治験の話を切り出したので、私が考えるところをコメントさせていただきます。今、このモデル・コアカリキュラムの改訂案のこちらの詳しい版の方には、しっかりと創薬における薬剤師の役割というのが書かれておりますので、その中で、どのような薬剤師がどういう仕事をするのかということをしっかりと教えていただければ、そこでクリアできる話かなとは思っております。
 ただ、一つ、追加のコメントをしたいのは、やはり患者様が好きというか、人とのコミュニケーションが好きだ、患者さんに寄り添って、患者さんのいろいろな悩み等を聞いて、一緒に病気に向き合いたいといった薬剤師の方は結構多いのです。ところが、そういう方々がどこで仕事を求められたかというと、私の知るところでは治験コーディネーターなのです。
 病院で調剤業務をやっていました、あるいは院外薬局で仕事をしておりました。ただ、やはり患者さんの病気の話を聞きたい、寄り添っていろいろなお世話をしたい。そういうときに薬剤師として患者さんとしっかりと時間をかけて話合いができるというのは、どうも日本の中では、治験の説明をする場であったようでした。ですので、役割の中でしっかりと、そういう仕事もありますよ、ということを教育していただければと思います。
 それから、医療機器の件に関しましては、できたら、このコアカリキュラムの中のE2の(8)の中に「バイオ・細胞医薬品とゲノム情報」といった項目がございますので、薬と医療機器との関係といいますか、関連といいますか、そういったこともお話というか、教育していただければと思います。せっかくバイオ医薬品、あるいは細胞の項目が入っていますので、また細胞というものも医療機器として取り扱うこともありますので、その中で話をしていただければいいのではないでしょうか。以上です。
【井上副座長】  治験で、CRCで薬剤師が患者さんと非常に密にというのはよくわかるのですが、今時代としては、ベッドサイドに、各病棟に必ず薬剤師を置いて、その薬剤師が患者さんと向き合ってということは要求されている時代に、もう既になっていると思うのです。ですから、私は決して治験に関係する薬剤師だけではなくて、薬剤師には今全ての分野で患者さんと向き合うということが私は要求されていると、決して治験だけではないとは思っていますけれども、それは間違いないですね。
【村上委員】  いや、そのことを否定的に言いたかったわけではありません。治験という世界でも患者さんといろいろ接する場があるということを教えていただければと思っています。
【永井(良)座長】  やはり、でも、一番生々しいというのか、それは治験であったり、臨床研究なのでしょうね。いろいろな方針が病棟では既に決まっていることが多いですね。それを確認するということは必要かと思うのですが、治験に参加するかどうか、状態はどうか、継続するか、あるいはデータがどうなっているかというのは、治験、臨床研究、臨床試験、かなりまた自主性が任されている部分でもありますね。
 望月委員、どうぞ。
【望月(眞)委員】  村上委員が先ほど医療機器とおっしゃっていたことが、今のお話ですと、いわゆるコンパニオン診断などのことを指しているということでよろしかったんでしょうか。私は、アメリカなどの状況を見たりしますと、薬学のPharm.D.コースの教育の中に血糖値の測定器とか、コレステロールの測定器とか、向こうは割と自己測定をなさるので、薬局で結構そういう機器を取り扱われるんですね。それを、きちんと使い方を正しく説明したりとか、そういう教育はしっかり行われています。
 私、実は医療機器と言われたときに、そのことを指されているのかなと思って、どうなのかなと、ちょっと御質問。
【村上委員】  あえてそのことを言わなかったのは、基本事項のこのA1の(1)の4番目のところにある「健康管理、疾病予防、セルフメディケーションにおける薬剤師の役割」といったことを教えられる中で、きっとそういう話は出てくるのかなと思ったからです。この中で、そういう医療機器に関しての知識をしっかりと教えていただければ、と思っております。
【北澤委員】  まさにそのとおりだと思うのですが、結局こういう教育プログラムを考えたところで、実際の医療現場に出たときに、診療報酬や法的規制で、いろいろなことができたり、できなかったりする状況があります。だから、教育のところだけを変えても、医療現場は変わらない。医療制度そのものについて、薬学の先生方が、こういう薬剤師が養成されてくるのだから、医療現場でもこういうことができるようにしたいとか、あるいは、こういうふうにすべきだということを働きかけて、教育の現場と診療の現場がリンクしていかないと、物事は変わらないと思います。
【市川副座長】  ちょっと違うお話です。座長先生、Bのところ、薬学と社会というところに人間という言葉が入るようなものがいいのではないかという、先ほどお話がありました。確かに前の検討会の中でも、一番コミュニケーション教育の中でも患者が語るところを聞くという姿勢というような言葉、それから、先ほどもちょっとありました、患者さんとのコミュニケーション、患者さんとの接点というものの重要性、そういう指摘がずっとあったわけですけれども。
 この構築でいくと、薬学会の方では、このAの方に入っている中では、患者さんという言葉、キーワードで考えると、3ページのところに患者の権利というのがあって、それから、A3の方で、患者・生活者と薬剤師という捉え方があって。これがあって、次に、例えばBのところで、仮に薬学と人間と社会というところで、私も何となくそういうことは非常に大事だなという、何かこの頭に入るというか、何か法律がばっと入ってくるので変な感じがちょっとするのですね、正直。
 ですから、私もそこに頭に入るものは何かなということを、実はこれを最初に見たときに思いました。そういう意味で、今先生が御指摘の部分というのは私もすごく頭に残っているので、例えばという形で、何かもう少し患者が語るところを聞くというような言葉に該当するような形で、それで法規という役割ですか、それも間に入ったような形で構築されると、この項目は生きてくるのかなという気がするのだけれども、その辺、先生、何かご提案をいただければ。
【永井(良)座長】  私が人間とお話ししたのは、人の営みとか心理、行動とか、思いがけないことがいろいろ起こるわけですね。そういう思いがけなさまで含めた人間論ということですね。先ほどの、内服していたか、いないかとか、あるいは医療者にしてもいろいろ思いがけない行動をとりますね。そういうことまで含めた人間理解ということがあって、社会の仕組みということではないかなと。余りにも理数的に行かない方がいいかなという感じがいたします。まさにこれは文系的な価値観であったり。
 特にEBMというのが、いろいろな情報をもとにして個々の患者の価値観、医療者の価値観、経験を含めて最終的にその人にいいようにですから、相当人によっても違いますね。薬を飲んでいただく、あるいは特に臨床試験なんかもそうですけれども。その辺の非常に幅広い、また深い人間の理解ということが求められると思うのですね。特に、一方で、薬学というのは企業との連携というのは非常に深いですから、倫理教育ということにもなるかもしれませんが。そうした薬を介して人間をよく見るという教育ではないかと思うのですが。
 医学もそういうことを言い出したのは最近。最近というか、やっといろいろな大学でそういう教育が広く行われるようになりましたですね。それは本当に最近の話で、そういうことが大事だと言われたのはもう何十年も前からで、やはり時間がかかると思います。しかし、目標は高く掲げて、少しずつ進めていくしかないのではないかと思いますが。
 ほかに何か、御意見ございますでしょうか。
【井上副座長】  もう少し具体的に高柳先生から御指摘いたたいた方がいいのです。例えばコミュニケーションとか、そういうようなところで、言語的及び非言語的コミュニケーションについて説明できるって。言語的なのと非言語的コミュニケーションは何なのかというのを説明されたって、これがコミュニケーション教育かねと、ちょっと思ってしまうのですけれども。一瞬で終わってしまうことだから、いいですかね、これは。こういうところにこんな大きな項目として上がるようなものかなと、ちょっと私は思ったのですけれども。
【永井(良)座長】  なかなか難しいですね、これ。
【井上副座長】  難しい。
【永井(良)座長】  難しいですね、これ。
【市川副座長】  あんまり入ると、コミュニケーション論みたいなことになるかもしれないので。これ、何か前のときにもこういう言葉が入っていたような気がするけれども。要するにボディー何とかとか、こういうことであらわす。
【高柳委員】  ボディーランゲージですか。
【市川副座長】  ええ、ボディーランゲージ。
【永井(良)座長】  実習の中でやっているのですか、こういう。
【高柳委員】  ちょっとよくわかりません。
【市川副座長】  たしか前にそんな議論をした覚えがあるという。
【高柳委員】  ああ、そうですか。
【市川副座長】  はい。
【永井(良)座長】  全部をこれ、1時間ずつとる必要はないと思うのです。
【望月(眞)委員】  すみません、先生。今、医学教育の方のモデル・コアカリキュラムの13ページに、コミュニケーションというのが下の方にありまして、これをちょっと見ていましたら、医学教育の方が言語的と非言語的の記述のところは、それを説明し、更にその上にコミュニケーションが態度、あるいは行動に及ぼす影響を概説できるとなっているので、ちょっともう一歩、何か踏み込んだ感じになっているかなというふうに思いました。
【高柳委員】  ちょっと難しくて、私も理解できないですね。非言語的コミュニケーションというのは、もう少し具体的に、何か、どうなのでしょうか、永井先生、この辺は。
【永井(良)座長】  多分、態度とか、いろいろなスキンシップであったりとか、そういうことを教えているのではないかと思いますけれどもね。私も実際そういうところにタッチしたことがないですが。
 ただ、これ、医学教育コアカリキュラムを見ても、この人間の営みの部分に非常に時間を割いていますね。僕ら、昔はそういうことはなくて、本当に科学という、物質、物理と化学に基づく医学というようなのが長い間でしたけれども。この今のコアカリキュラムを見ますと、まさに人の営みなのですね。そこに間違いも起こるし、もっとすばらしいコミュニケーションがとれたり、効率的になったりということだと思うのですね。
【井上副座長】  永井先生としては、医療人教育なのだから、もう少しそういう要素を入れろとおっしゃっているのですね。多分ね。
【永井(良)座長】  そうですね。
【高柳委員】  医師の場合、前も言いましたけれども、医師として、医療人としてふさわしくない医師というのがどんどんつくられて、現場に出てきていると。そういう反省点からこういうのが特に強調されているのだろうと思いますけれども、薬剤師の方も、これから医療人としてふさわしくない薬剤師が医療現場に出てくるのではないかと。まだ余り大きく問題になっていないですけれども、そういう人たちが出てくるのではないかと。
 医師の場合は、よく聞くのは、大学から病院に行ったときに、全然患者さんに興味も持たない、役に立たない医師が非常に多いというのを、あちこちの院長から聞きますけれども、そういうようなのが薬剤師にも起きてくるのではないかなというふうな気がするのです。
【永井(良)座長】  それは、やっぱり長い間、医学でも科学というものにも全部、生命科学は全部物理学と化学に基づくものになったのですね。特に分子生物学以来、それは非常に強くなったわけですけれども。トータルとしての生命だとか、命とか、あるいは医療というのはやっぱり違うわけで、何千年かの歴史はむしろ物理学とか化学とは距離を置いてきたわけです。たかだか150年です、物理学と化学に基づく生物学だったり、医学というのは。
 そういう中で、特に戦後、アメリカの功利主義的、かつ実証主義的なものが入ってきましたから、更にそれで加速していってしまったと。いろいろな間違いがあったわけですね。単に患者さんの評判とかいうことではなくて、やはり医療事故もそうですけれども、薬害もそうですね。いろいろなミステークがあった。原発でもそうだと思うのです。あれも、やっぱり原発をする人でもコミュニケーション能力が求められるわけですね、社会との接点というのは。そういう教育が、そもそも工学系でもされていなかったんではないかと。いわんや、人に何か薬を投与したり、手術をする人たちというのは、相当気をつけないと、よかれと思うことをみんなやると危ないということですね。それから、よかれと思うことをしてあげても、そのとおり患者さんは行動しているかどうかもわかりませんし。
 もう一つは、資源に限りが出てきたということです。医療資源です。だから、社会との接点の中で、科学的でよかれと思うことをやればいいんだということではないということなのですけれども。
【井上副座長】  薬学がそう言わると一番弱いところかもしれないですね。やっぱり物質というか、薬というものの持っているもともとの本質的なところで、医学とちょっと違うところではないかなとは思うのですけれども。先生がおっしゃっているようなそういう要素を十分入れてやっていかなければいけないということはよくわかりますので。でも、これはなかなか薬学人でやろうとしても難しいので、先生がたたき台をつくってもらえると。
【永井(良)座長】  でも、スタンスとして科学だけではないという軸を設けるべきだと思います。科学というのは、やはりメカニズム論と生命科学です。やっぱり超越的なものに対してメカニズム論で来たわけですね。ですが、医療というのはメカニズムというのも一つの参考ですけれども、ほとんど間違っているのですね。後で理屈はつくのですけれども、メカニズム論に基づいた医療でそのとおり行ったためしはなくて、必ず軌道修正して、後で別のメカニズムが出てくる。
 ですから、医療というのは恩恵とリスクだと思うのです。リスクとベネフィットがやっぱり一番の軸で、科学というのはメカニズム、メカニスティックか、もうちょっと超越的なものかというような。それから、もう一つ、統計学というのがあるわけです。これは、ある意味では、今度、偶然でき過ぎた話なのか、偶然なのか、必然なのかという軸になりますし。それを、更に統合して、今度、患者さんの価値観という話になってくるわけで、いろいろな軸が混ざっているのですね、医療というのは。
 それを一番シンプルにするので、科学的なということを言ってきたわけで、それがどうもうまくいかない。例えば治療薬でも、理屈に基づいて治療したら、かえって予後が悪かったなんていう例がいっぱいあります。それで、現実を見ないといけないということで統計学になったのですが。じゃ、理屈と統計学がわかればそれでいいかというと、どうもそうではないわけですね。やっぱりリスクということが非常に重要になりますし、価値観が重要になるしと。
 多分、今全体にそういう方へ動いているのではないかと思いますけれども。それをもとにして、これからの医学、薬学、看護学をどうしようかみたいな話ですね。他分野の人と話をするときには、そこがまずベースになると思うのです。科学ではこうだというのは、多分ほとんど相手にされないと思うのです。恐らく薬の歴史を顧みると、それがわかるのではないかと思うのですね。理屈どおりいった薬というのはほとんどないのではないですか。最近はあるかもしれませんけれども、違う、後からつくった理屈ですね、ほとんど今使われている薬は。
【望月(眞)委員】  先ほど、ちょっとコミュニケーションのところが議論になっていたので、今じっくり見てみたんですけれども、ここのタイトルが信頼関係の構築という中項目タイトルになっています。これは、すごく今先生方が御議論していたところを大きくあらわしていて、薬剤師がこういうことを目指さなければいけないというのはGIOとしてかなりきちんと立っているのかなというふうに思いました。
 コミュニケーションの中も、じっくり一つ一つのSBOを見ていきますと、かなり患者さんの心理状態に配慮したりとか、お互いの考え方を情報交換しながらいろいろなことをやりとりするということが結構書かれています。先ほどの2.の言語的及び非言語的のところだけを見てしまうと、かなりそれだけ説明できてコミュニケーションにはならないでしょうみたいなふうには思ったのですけれども。それなりに私は、よくSBOは練られて書かれているのかなとも、ちょっと思いました。
【永井(良)座長】  この辺の信頼関係の構築を軸にして、いろいろな人間の行動とか人間理解というようなことを少し集約するというのはどうなのでしょうね。何か多分、点在していると思うのです、人間論のところが。それを少し集めて、何となく体系化すると、相当立派な大きな柱に見えると思うのですが。
 いかがでしょうか、そろそろ時間ではありますが。今後の進め方というのは、どういうスケジュールでしょうか。今日の議論をもとにして、もうそろそろ取りまとめに入るということでしょうか。
【伊東薬学教育専門官】  はい。今頂いているものとしては、A1の薬剤師の使命のところで、薬剤師が果たすべき役割のところについて、例えば最初の薬剤師の活動分野について、役割について説明できるというところが、役割だけではなく、プラスアルファが必要だという御議論が一つあったのではないかというようなところや、A2の部分では、生命倫理が先ではなくて、医療倫理的なところが先になるのではないかというような御議論もあったかと思っております。あと、コミュニケーションの部分で、医学のコアカリを参考にしたような形、多少の修正が必要なのではないかというような御意見も出ていたかと思うのです。そういった点について整理をして、また、原案をつくるというような作業が必要になるかとは思っております。
 それについて、今日の御議論を頂いたものの修正案を作成して、次回の会議で御議論を頂くようなことということでよろしいでしょうか。座長と副座長と御相談をさせていただきながら、原案をつくるというようなことでよろしいでしょうか。
【永井(良)座長】  よろしいでしょうか。先生、どうぞ。
【橋田委員】  すみません、ちょっと追加で、これも御確認いただきたいと思うのですけれども、Bの先ほどから話題になっていました薬学と社会というところです。私も、例えば(2)の3に医薬品の治験について概説できるとある。これはそのとおりだと思いまして、実際には内容がほぼ網羅されているというのはそのとおりだと感じます。
 結局、先ほど市川先生もおっしゃいましたように、法規範という言葉のニュアンス、これが奥の深い言葉で、法規だけではなくて、制度とか、中身とかを全部含めた言葉なのだという理解のもとに、こういう言葉になっているのでしょうか。その辺を御確認いただいて。ただ、それがコアカリキュラムとしてちゃんとメッセージが伝わる形になっているかどうかということも含めて、確認は必要だと思っております。
 そういう意味であれば、法規範という言葉で、どの業務であれ適正に遂行するために必要な制度と、対応する法規を含めて法規範と呼んでいるということであれば、それは意図としては理解できると思います。
【井上副座長】  では、ちょっと狭く捉えられてしまって、こういう表現が余り適切じゃないかもしれないですね。もうちょっと別の言い方で言った方が。
【橋田委員】  初めに、見た瞬間に、何となく法規のイメージで思ってしまいましたので。
【井上副座長】  ですね。
【永井(良)座長】  そうしましたら、また次回までに副座長の先生と相談して、次回、訂正したものを提示するということで、次に更に議論をしていただきたいと思います。
 予定は以上でございます。次回は3月11日月曜日、午前10時半から、この部屋で開催するということでございます。何か先生方から御意見等ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の委員会はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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