平成23年6月27日(月曜日)14時30分~17時30分
文部科学省東館3階 3F2会議室
永井良三座長、市川副座長、井上副座長、生出委員、太田委員、北澤委員、小林委員、竹中委員、永井博弌委員、長野委員、橋田委員、平井委員、望月正隆委員
新木医学教育課長、小野医学教育課課長補佐、伊東薬学教育専門官、大林技術参与ほか関係官
厚生労働省 医薬食品局総務課 山本薬事企画官
【永井(良)座長】
それでは、時間になりましたので、薬学系人材養成の在り方に関する検討会を始めさせていただきます。本日は第9回目になります。
まず、事務局から委員の出欠状況と配付資料についての御確認をお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】
それでは、本日の出欠状況でございます。本日は、市川副座長と倉田委員が遅れるということで伺っております。御欠席は千葉大学の北田委員、東北薬科大学の高柳委員、千葉大学の正木委員、先端医療振興財団の村上委員、慶應義塾大学の望月委員ということとなってございます。
また、本日、厚生労働省の方からオブザーバーといたしまして、医薬食品局総務課の山本薬事企画官に御陪席を頂いてございます。
それでは、本日配付の資料を確認させていただきます。まず、議事次第に続きまして、資料1が前回、第8回会議での主な意見。資料2が4年制博士課程教育のフォローについて(案)、資料3がフォローアップワーキング・グループの設置について(案)。資料4が第7回での主な意見(入学に関する事項)、資料5が横となっておりまして、平成20~23年度の入学試験・6年制学科の進級状況(国公立)、資料6-1が各法科大学院の改善状況に係る調査結果、資料6-2がA3を折ったものとなっておりまして、法科大学院入学者選抜実施状況、資料7-1が平成21年1月歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議第1次報告を踏まえたフォローアップ状況(まとめ)、それから資料7-2が平成23年度歯学部歯学科入試結果という資料となっております。
落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。
以上でございます。
【永井(良)座長】
ありがとうございます。よろしいでしょうか。前回は、平成24年4月に開設予定であります4年制博士課程教育の基本的考え方についてまず御議論を頂きました。その結果、何らかの形でフォローすることが必要であるという御意見だったと思います。今日は、今後のフォローの必要性について御議論を更にお願いしたいということと、後半では、薬学教育の質の保証の在り方及びその改善方策のうち、今年度の入学者データがそろったところでございますので、質の高い入学者をいかに確保するかということについての御議論を頂きたいと思います。
では、議事に入りますが、前回に引き続きまして大学院博士課程についての御議論をお願いしたいと思います。事務局より御用意いただきました資料の御説明をお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】
それでは、御説明を申し上げます。資料1をごらんください。資料1につきましては、前回、第8回で薬学系大学院の4年制博士課程をどのように行ったらいいかということで御意見を頂いたものを取りまとめてございます。意見といたしましては、臨床教育を行うための病院や薬局のこと、医療スタッフのこと、またレギュラトリーサイエンスの話、また、人材交流の話ですとか6年制を基礎とする大学院で養成する人材の数でありますとか、その内容、それから大学院生の研究の在り方、また、教員の関係や博士論文についても御意見を頂いております。そのことについて最後の方で、大学院の現実を見据えながらフォローアップを行っていくことが必要なのではないか、ワーキング・グループを設置してこれらの問題の解決を図ってはどうかというような御意見を頂いたところでございます。
資料2といたしましては、前回お出しいただいたものを基に、4年制博士課程教育のフォローについて(案)ということで、事務局の方から御用意させていただいたものでございます。まず、1として現状を書いてございます。これは4年制博士課程の大学院が初めての設置であり、今後、大学院にふさわしい教育が行われるようフォローすることが必要であるということでございます。また、その方針といたしましては、大学院に国民の期待が高まっていること、またこの博士課程が社会のニーズを踏まえた質の高い大学院となるよう、教育及び研究環境等について適切な指標で今後フォローアップをしていくこととし、必要に応じて改善方策を取りまとめる。また、フォローに当たっては学部教育との接続についても留意する。
3といたしまして、今後の取り進め方といたしましては、御意見を頂いたように、検討会にフォローアップワーキング・グループを設置し、その基本的な考え方、内容、項目や観点、参考とすべき指標などを検討し、必要に応じてヒアリングなどを行いながらフォローをしていくというようなことでございます。
また、4といたしましては、フォローアップワーキング・グループの意見を踏まえ、文科省としては各大学に対し改善を促すとともに、薬学教育の改善・充実に努めることとするというような原案をつくって御用意させていただきました。
次に資料3でございますが、フォローアップワーキング・グループということで、仮にそのワーキング・グループをどのような形にするかということでの原案でございます。事務局といたしましては、新制度の薬学部及び大学院における研究・教育等の状況を継続的に実態把握し、その結果を検討会へ報告する。また、その委員につきましてはこの検討会の座長が委員の中から指名するほか、必要があると認める場合はそれ以外の先生も入れるということ。また、主査につきましては座長から指名し、委員につきましては必要に応じて交代ができるということとしてございます。また、設置期間としましては、検討会が廃止されるとき、またフォローアップ体制が別途整ったことがあれば、それはなくなるということで、実際、検討いただいた結果、ワーキングの審議状況については検討会へ御報告いただくというようなことで原案を作らせていただいたところでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
【永井(良)座長】
ありがとうございます。ただいまの御説明に御質問、御意見はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
【北澤委員】
質問してよろしいですか。
資料2の最後の方にワーキング・グループの意見を踏まえて文科省が各大学に対して改善を促すとあるんですけれども、これはどういうイメージなんでしょうか。つまり、文科省は各大学に対してこうこうしろと言うことができるんでしょうか。
【新木医学教育課長】
もちろん、法律に規定するような内容の欠格的なものがあれば法に基づいた指導になりますが、恐らくこの内容はそういう法律に基づいて何か不備があるとかいうよりも、質的な、もっとソフトといいますか、というようなことが多いんじゃないかなと思っております。その場合には、特に他の分野での情報が影響したりとか、それから改善を直接来ていただいて話したりとか、行って話すだとかいろいろありますが、そういう形で改善について、法律には基づかないけれども働きかけ、指導するというとちょっと強すぎるのかもしれませんが、そういうことを行っていきたいと思っております。
【竹中委員】
今後、4年制の博士課程に関して、既に何か基本的な素案、たたき台があって、それを検討していくのでしょうか。と申しますのは、博士課程ですので、大学によってそれぞれ独自の博士課程をつくろうとされている。そういう中で、文部科学省としては、こういうのは基本的に絶対逃してほしくない、こういうところはきちっとやってほしいとか、こういう最低限のリクワイアメントとか、そういうものを提示してからここでは議論するようになるんでしょうか。
【伊東薬学教育専門官】
今の竹中委員の御質問でございますが、まずは大学院設置基準に見合っているというミニマムスタンダードが守られているか。それに加えまして、一昨年おまとめいただきましたこちらの検討会の第1次報告に取りまとめた内容がきちんと履行されているかどうか。というのも、大枠で書いてあるところもございますので、その大枠が具体的に見ますとどのようなものであるのかということについては、恐らくワーキングの中でどういった指標をとればそういうことが測れるのかということについて御議論を頂くのではないかと考えております。
【竹中委員】
ありがとうございました。イメージができてきました。
【永井(良)座長】
ほかによろしいでしょうか。
そういたしますと、全体の進め方としてこのような形でフォローアップを行う、この枠組みについては御理解いただいたということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【永井(良)座長】
ありがとうございます。それでは、今後、ワーキング・グループにおいてフォローアップを行うに当たりまして、具体的な項目あるいは観点の設定、そして参考とすべき指標、こういうものについての御意見をいただければと思います。具体的項目、観点、参考とすべき指標でございますが。
【井上副座長】
議論を進める上で、口火をちょっと切らせていただきますが、思いつくままに言いますので、ほかにこんなのがあるだろうということをどんどん足していってほしいんですけれども、例えば、大学院設置の理念というところから多分スタートするんだろうと思いますが、それからスタートして、じゃあその理念に従ってどういう学生を入学させているのか。どういう形態の入学試験をやっているのかというようなことがスタートで、それから実際に入った定員に対して大学院生が何人いるのか。その学生に対してどういうカリキュラムで、講義としてはどういうものをやり、もし病院あるいは薬局等で研修をするとすれば、その研修の内容がどういうものか。その成果はどういうふうにはかっていくのかとか、そういうようなことが必要でしょうし、最終的には修了といいますか、最後の博士を出る段階の論文、研究の内容、研究テーマとしてドクター論文の内容でしょうか、それからそれが外国の雑誌に投稿されて受理されているとか、そういう状況、そういうようなことで、理念からスタートしてミッション、それからカリキュラムポリシー、最後はディプロマポリシーというようなところで、比較的フォローしやすいようなところをピックアップしてやっていくのかなというようには思いますけれども。
【永井(良)座長】
はい。いかがでしょうか、今、井上先生から幾つかの御提案を頂きましたが。かなり外形的なことをまずは求めていくということでしょうか。
【井上副座長】
ええ、そうですね。
【永井(良)座長】
それでも、理念が先にあって、それに応じた教育を行っているかということが非常に重要になるわけですね。
【井上副座長】
はい、やっぱり最初は理念があってこその、その後のことは全てそこからスタートするはずですので、その理念にどれだけ応えているかということを問えれば、問えればというのはなかなか難しいことがあるだろうと思いますけれども。
【太田委員】
今、井上先生の御提案は全くそのとおりだと思います。それで、外形的な話というのは、今回、大学院を設置する全ての大学が、その設置構想を設置届あるいは設置申請という形で文科省に提出している、そういう書類が、検討に入るときにはもう存在しているだろうと思いますので、それで外形的なものは見られるだろうと思うんです。特にポイントになるというか重要だと私が思うのは、出口のドクター論文をどのような質が担保されているかという観点がこの委員会あるいはワーキングなりなんなりで、そこをもうちょっと踏み込んだ形で担保できるような、そういうような仕組みがあればそれが一番だと思います。やはり大学院の一番の目的は学術をなすわけですから、それの担保としてのドクター論文というのがまずもって大事になるのかなと思います。
【永井(良)座長】
ほかにいかがでしょうか。
【望月(正)委員】
井上先生、太田先生のおっしゃるのは一番大切だと思いますけれども、タイムスケジュールとして、ドクター論文が出るのはまだ4年先です。けれども、すぐにドクターコースが始まります。ドクター論文を待っているよりも、1年ごとに、始まった段階、2年目という、その折々にフォローするような項目、又は考え方を示していかないと、4年間はお休みということにはなりかねない。それではいけないと思います。
【永井(良)座長】
それともう一つ、6年制の上の大学院であるという特殊性というのか、特長をいかに生かした大学院教育であるかということは求められると思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
【竹中委員】
今、先生がおっしゃったところで私もちょっと考えるところがあります。この大学院を出て、将来どういう人になるかということを考えますと、もちろん、研究者もいるかと思いますが、全く新しい薬学教育を始めたのですから、そこの中の次のリーダーになる、教育者の養成も大事ではないかと。したがって、論文のことは非常に大事でございますが、何も学位論文を簡単にしろと言っているわけじゃなくて、研究のみならず、教育という観点からも審査いただけるような形が、次のこの6年制のいい後継者を育てていく、あるいはリーダーを育てていく上に大事ではないかと思っています。
【永井(良)座長】
それはどういうことをチェックすればわかるんでしょうか。
【竹中委員】
そうですね、それが一番。
【永井(良)座長】
例えば、大学院であれば教育は当然行われるわけですから、それを、どういう教育が行われているかということは見せていただくということは可能ですね。
【竹中委員】
それから、こういうことが可能かどうか、私は定かじゃないんですが、4年間の大学院の間に、学部の学生にその人たちが講義に行くとか、こういうような形で、いわゆる教育の、トレーニングをすることは可能ではないか。この辺が法律とかそういうところでどうなっているか、私にはちょっと分かりかねるんですが、しかしながら、早くいい人を育てないといけない、こう思っておりますので。
【永井(良)座長】
これは今、医学系ではティーチングアシスタントというような制度がありまして、大学院生にそういう仕事をしてもらう代わりにある謝礼を出すということが行われていますので、そういう指導を組み込んでいくということは可能ですね。
【小林委員】
大阪大学では、もともと4年制の上に成り立っていた各分野が、20ほどあるんですけれども、6年制の学生がそれらのどの研究室に入っても、6年制の上の4年制の博士課程に進学できる形になっているんです。私自身が考えるのは、博士論文は特に6年制の上の4年制大学院だからテーマも特殊な、医療薬学的なものや、臨床研究に関わるようなもの、ということにしなくても、例えば有機系の研究室に入っても、私たちはいいというように考えています。じゃあどこが4年制の上の修士課程の上の博士課程と違うかというと、研究的には多分同じようなことをされてもいいんですけれども、やはり6年制の上の博士課程に入られた学生さんは、いわゆる薬剤師としての高度な医療に関われるようなこともいろいろと経験させるというのが加味され、付加されている、そういう形で基本的にいいんじゃないかなと思います。特に博士論文の中にそういう内容を組み込まないといけないという感覚ですと、かなり指導するのも大変ですし、まとめるのも大変だと考えますけれども、いかがでしょう。
【永井(良)座長】
私が申し上げたのは、論文はもう自由でいいと思うんですが、それ以外の教育のところで6年制の特徴を担保しておく必要があるのではないか、そういうことだと思うんですけれども。
【小林委員】
はい。
【井上副座長】
小林先生がおっしゃっているのは、まさにそのとおりでいいと思うんです。基本的には、やはり最初の理念というのは、やはり4年制のときの理念と6年制の理念というのが明確にあって、その上に、それを承知した上で学生が有機化学的な仕事をされて、それで最終的にまとめる、それはいいと思うんです。ただ、その理念にどこが合っているのか、そういう研究をしたことがその理念とどこに整合性がとれているのかということは明確に意識させないと、そこはいけないんじゃないかなとは思います。
【橋田委員】
私も先生方の御意見と基本的に同じことを考えています。要するに設置の理念と、それに基づくミッションから全てが始まるということで。もちろん、その後、入学試験、更にそれを経てどういう人材が入学してくるかというプロセスはずっとあるのですけれども、やはりそれが終始一貫しているということを確認することが大事だと思います。これまで、理念とミッションについては、恐らく、各大学がそれぞれの個性化を目指す中で、ある程度幅があっていいんだという議論をしてきたと思います。しかし、それに対して、全体としてつぎはぎでいろいろなものを持ってきて作ったというのではなくて、統一性のとれた、つまり理念とミッションからスタートした構想が教育システムとして統一性がとれているということを、やはりフォローといいますか、確認をすることが非常に重要だと思います。
それからもう1点は、どういう人材を養成するかという議論が当然その中で最初に立てられているわけですから、そうした人材を育てるための、単に教育課程だけではなしに、大学の大きな方向性もやはりそういうものを意識した体制へだんだん改善していく必要があると思います。また、それを受け入れる、例えば産業界とか医療界とかに対しても、積極的に大学として社会に供給する人材に対して、受入れ体制づくりを働きかけていくとか、何か総合的なトータルの活動を大学は進めるべきだと思いますし、それを第三者としてアドバイスしていく、何かそういうシステムがオーソライズされた形で構築できればいいと思っています。
【永井(良)座長】
ほかに御意見いかがでしょうか。
【北澤委員】
この検討会の第1次報告がおととしの3月に出ているんですけれども、そこで6年制の学部を基礎とする大学院が、どういう大学院であるべきかということを、この検討会で話し合ってまとめました。それによると、6年制学部を基礎とする大学院において行われる教育内容は、臨床的な課題を対象とし、フィールドも必要だから医療機関や薬局等関連施設との積極的な連携が必要であると書いてあり、かつ、具体的な研究のテーマの具体例としては、薬剤疫学とか前回も出たトランスレーショナルリサーチとか、そういった具体的なことも書かれています。その当時、6年の上の4年の博士課程を出た人にはこのような分野の専門家が多く養成されていくだろうと、日本ではこのような分野が足りないと一般に言われていますので、私としては、そういうような人材が薬学部あるいは薬学系の大学院から出てくるものと期待しています。なので、この第1次報告に書かれていることを各大学の方にも十分かみ砕いていただいて、そういうような専門家が養成されるように、それでその結果として臨床現場にもそういう方が輩出されるように、考えていただきたいと思います。
【伊東薬学教育専門官】
机上に置いていますファイルの5回目の資料の4ページのあたりに書いてある点でございます。
【永井(良)座長】
このときの議論に私も少し発言した記憶がございます。臨床的な課題というところが結構幅が広くて、それは有機化学でも、課題としての問題意識が臨床的なところに置いてあれば、それは必ずしも人を対象とした研究がそのまま臨床的課題でもないと言ったことを記憶はしています。しかし、それはそれとして、みんなが有機化学だけでも困るだろうということだったと思いますが。
【平井委員】
一つ質問なんですけれども、現在、大学院の設置の申請をみんなされていると思うんですが、そちらの方でこれからまた議論が始まると思うんですけれども、そういうときに、おととしの報告の内容というのは、そういうものも加味して検討されるというようになるんですか。
【伊東薬学教育専門官】
設置審の方では基本的には大学設置基準に見合っている、あと、その審査の観点に合っているところで審査をするということでございますが、今回認可申請はたしか10大学ほどだったかと思います。ですので、そのほかについては全くその場では触れられない、取り上げられないというようなことになっております。
【永井(博)委員】
先生方の御意見に私は賛成なんですけれども、一つは、学部教育からの連続性ということをどういうところで確かめていくのか。学部教育自身が、もう医療薬学あるいは臨床薬学の方に特化した6年制ということになっていますので、当然、大学院はそれをベースに置いたもの、もちろんテーマは自由でいいと思うんですが、一応、学部教育とのリンクということはどこかでチェックしないと、大学院として少し何か整合性がとれないような気がするんですが。
【永井(良)座長】
いかがでしょうか。
【井上副座長】
だからこそ、理念が最初にきちっとあってミッションがきちっとしている。そのミッションなり理念にどこかで明確に適合していないとまずいということではないかなと思うんですけれども。まあ、今、文科省には既に各大学からそれなりの資料が集まっていると思うんですけれども、大体どこの大学も、理念とか何かをちゃんと6年制の後の大学院であるということを意識した理念なりなんなりをお書きになられているんでしょうか。
【伊東薬学教育専門官】
一応、まだ全部見終わってはいないんですが、事務的には見るようにしたいとは思っております。全部読むことにしております。
【永井(良)座長】
6年制を希望する方は、実践の修練をどうされるのですか。学部の6年が終わった後ですね。少し修練を1年ないし2年されてから大学に来られるのか、あるいは国家試験を通って、そしてそのまま4年の大学院に来られるか。このあたりの見通しはいかがでしょうか。医学系の場合には、最低2年間は臨床実習をしますし、その後、多くの科は更に3年とか2年臨床実習してから大学院に来ることが多いんですけれども。その辺で指導の仕方、教育の理念も随分変わって参りますね。
【井上副座長】
それは多分、大学によって随分違うんだろうと思うんですけれども、多くの大学が恐らく社会人コースみたいなものを設置しますので、その社会人にはある程度臨床現場で経験を積んだ人が来るということに多分なるだろうとは思います。ただ、今、先生がおっしゃったみたいに、薬学の場合には2年間の卒後臨床研修が義務づけられておりませんし、そういう意味では、6年の卒業生がいきなりそのままの形で大学院に入ってくるという学生も相当出てくるんだろうと思うんですね。だからその場合に、大学によっては、恐らく例えば1年間はアドバンスの研修を臨床現場で経験させて、あとの3年間で研究をきちっとまとめるとか、そういうふうに設定されている大学とか、様々ではあるだろうとは思います。学部の6年間の間の病院とか薬局での実習というのは、やはり非常に限られた時間でしかないし、それからかなりたくさんの学生が行きますので、そういう意味では現場での経験というのは、まだまだ足らないということは確かだと思いますので、そこを担う形での研修というものをやらせる大学も当然あるだろうと思います。
【生出委員】
座長のおっしゃったとおりに、やはり実務をきっちりと経験していただいて博士課程に行った方がいいと思います。それはどういうことかというと、薬剤師の場合ですと、今もそうなのですが、将来的には、患者のみならず、医師、看護師に対して薬物療法のカウンセリングとかコンサルティングが行えるような存在になって、大学院の博士課程を出た人は、専門家が専門家に対して質の高い情報だとか分析の結果などを提案して適切な医療に結びつくということにつながって、その役割を果たしてほしいなと思っていますので、やはり2年なり3年なりの実務経験を積んだ上で博士課程に入って、地域で能力を発揮してほしい人材をつくっていただけるような大学院だといいなと思っています。
【永井(博)委員】
それも一つあると思うんですが、大学院の、特に6年制の上の4年間の大学院の中で、今のお話ですと、必ず薬剤師を取らなきゃいけないわけですね。必須条件として薬剤師が要るわけですね。ところが、例えば先ほど先生がおっしゃった医学部の基礎の学問の中には、医師の免許なしで基礎の方に飛び込んでいかれる方があるわけですね。例えば病理学ですとか薬理学ですとか法医学ですとか、そういう場合のことも考えなきゃいけないとなると、その薬剤師を必ず取らなきゃいけない、それから大学院でのアドバンスした臨床実習を義務づけなきゃいけないということではないととってもよろしいんでしょうか。
【永井(良)座長】
これは強制させることはできませんね。
【生出委員】
薬局の薬剤師で薬学博士という場合に限っていうと、という意味です。
【永井(博)委員】
そうですね。
【望月(正)委員】
そういう意味ですと、むしろ大学院の4年間のうちの一部を薬局での研修とし、その研修を大学院の課程の一つとして入れた方が現実的かと思います。来年の4月から大学院学生が入るわけですけれども、その学生に、これから2年間卒後研修して、それから大学院へ行こうというのは、薬学では非常に難しいと思います。
【生出委員】
12年間かかりますものね。
【長野委員】
ちょっと違う観点なのかも分からないのですが、今たくさん意見が出されて、いずれも私はもっともだと思うんですけれども、今は、ワーキング・グループをやる上において具体的な項目あるいは観点、それはどういうものがあるかということを議論しようとしているわけですね。私は井上先生の御意見と一緒であり、理念というのはやはり非常に重要だと思うんですね、理念に基づいてやると。しかし、そういうことを考えた場合に、4年間の大学院に行く学生を、今各大学がつくっているわけですが、どういうところが設置の書類を出しているか私は全部把握しているわけじゃないんですが、もともと6年制だけしかない大学がある。今、東大のことから離れて全国一般のことを話しているんですが、4年制と6年制が並立している場合、それぞれの学部の上の大学院に行く傾向は非常に多いと思うんですね。6年制だけしかない大学においては当然基礎薬学的なものもやっているわけで、そこで理念がどうなっているか分からないんですが、ただ、仮に臨床というふうにかなり絞ったときには、そうするとそこの大学院にはなかなか行きたくても行けないということもあり得るのかなと。理念も見なきゃいけないんですが、その大学の形によって随分、そういう何かそういった具体的な問題が出てくるのかと思うんですが、それはどんなふうに。分かりますか、何か余りうまく言えなかったんですけれども。
つまり、4年制と6年制があるのであれば、いわゆる基礎学問は6年制より、4年制の上に立つ2プラス3という、多分そちらの方に行く人が多いでしょう。6年制の内容をもともとやっている人は、そういった臨床に特化とは言えなくとも、かなりそれに近いような仕事を実際に研究をするという人が非常に多いと思うんですね。しかし従来、薬学においては6年制の上に立つ4年というのはなかったわけですから、それは臨床的なものでドクターを取れということに対しては、皆さん何となくイメージはできていても、実際にどうなるかな、とちょっと難しいかもしれないという気持ちも持っているということであれば、実際にそれに適合するような人はそうたくさんの人数はいないんじゃないか、ある程度基礎のところにも入ってくると。特にまた6年制しかない大学の上に立つ大学院ということになると、臨床だけに特化するとなると、その基準から外れるから行けない、という人が出てくるかもしれない、そういうおそれもあるような気もするんですが、その辺はどんなふうに。
【井上副座長】
だから、長野先生がおっしゃったようなことが割と狭く捉えられているからそうなので、その理念というのをもう少し広く捉え、その理念と全く外れていなければかなりのことが許容されると考えれば。
【長野委員】
そうしますと、今ここで議論していることに関して、具体的な項目、観点ということに関してかなり大きく捉えていかないと、余り狭く臨床という言葉だけで絞ってくるというのは、ちょっと問題があるかもしれないという気はちょっとしているんですけれども。
【永井(良)座長】
ここは私、先ほどの報告書の4ページにちょっと筆を入れておりまして、この4ページの上の項に、研究の内容としては、薬剤疫学、薬物のトランスレーショナルリサーチ、レギュラトリーサイエンス、医療安全、医療経済、薬物療法などの臨床に密接な課題だけでなく、様々な疾患における薬物動態、薬物の有効性、有害事象の発現機序、個々の患者に最適な薬物療法なども課題として考えられると。要するにこれは全てということなのですね。ですから、課題は無限にありますということを言っておりますので、教育体制、指導体制がしっかりできていれば、私は幾らでも希望者はいるはずだと思いますけれども。そう限定された課題ではないということだと思いますが。いかがでしょうか。
【長野委員】
そうですね、そうだと思うんです。そうすると、今ちょっといろいろ議論が出てきた、井上先生は病院研修がうんぬんとちょっとおっしゃいましたが……。
【井上副座長】
そういうのもありと言っているだけですよ。
【長野委員】
あり。その一つかもしれないという、ただそれだけではない、もっと基礎的なところもかなり入ってくるのではないかなと。もしこれを問えということであればですね。
【永井(良)座長】
ただ、理念はやはり臨床ということがありますから。
【長野委員】
もちろん、だから、一番大もとになるのは、その大学における憲法みたいな理念がどうか、それに合っているかどうか、どういう学生を育てるか、それに合っているかどうかという観点からの評価だろうと思うんですね。
【永井(良)座長】
いかがでしょうか。
【市川副座長】
今の問題で、6年制薬学の理念の重要なポイントとして臨床系の領域を一番上に置くかどうかという議論が一つの鍵ではないかと思います。フォローアップするときの評価として臨床系の課題でなければいけないかどうかです。臨床系の課題というのは幅がものすごくあるというのが今の表現でよく分かりますから、もちろん、基礎的な臨床というのは言い方がおかしいけれども、その臨床の基になるいろいろな原理原則的な解明をやっている研究というのも臨床範囲というならば、それは幅はずっとある。けれども、余り臨床というキーワードを前にもってくるのはどうかと思います。本来、博士課程というのは、やはり一つの自然科学の中のある未知の現象を解明していって、それに対して学位が付与される部分は大きいと思うのです。そういう意味での問題解決能力あるいは課題をいかにして明らかにしていくかという観点での評価の仕方というものが、臨床的なというワードだけでカバーできるかどうか疑問を持ちます。だから私は、もしフォローアップするならば、先ほど論文内容の重要性が太田先生から指摘されましたけれども、論文としてその業績は出されていって、臨床系領域における評価がなされていく。すると、その評価に、私たち薬学の中での臨床系といっているものがそこにあるのかないのか、というフォローアップですね、そういう仕方というのは何かあるのでしょうか。例えば医学部の場合ですと、そういうときの評価というのは何か特別なものがあるんでしょうか。
【永井(良)座長】
医学でもいろいろ議論になっていますけれども、また、皆さんのコンセンサスがあるわけではないんですが、先ほどの科学と医学の関係というのは意外と難しいと思います。これはまさに臨床薬学も同じ議論になると思うのですけれども、特に、臨床医学が全部科学に基づいているか議論があります。科学というのはメカニスティックな科学という意味ですね。これはとても大事で大きな基盤にはなりますけれども、臨床医学の全ては必ずしもそうではないというのが私の意見です。例えば疫学的な研究ですね、これはメカニスティックな研究ではないですけれども、非常に重要です。それから患者さんとのコミュニケーションや倫理の問題、これも伝統的な科学では必ずしもない部分ですね。そういうものが実は臨床と名がつくとどっと入ってくるわけです。これらをバランス良く教えるのが、私は臨床医学だと思うのですが、臨床薬学についてもそういうことがこれから大きな問題になってくるだろうと思います。もちろん、大学院としての学術は大事ですけれども、その学術というもの、あるいは近代科学というものをどういうふうに捉えるか、全てがメカニスティックなものの上に臨床医学をつくるとおかしなことが起こってきます。その辺を踏まえた大学院教育が私は必要になるだろうと思います。これは医学についてですが、恐らく臨床薬学についても同じことではないのでしょうか。
【竹中委員】
実際の現場を知らないものですから、お教えいただきたいことが一つあります。新薬学教育の重要課題として、レギュラトリーサイエンスが今回出ています。その一部レギュラトリーサイエンスには今まで薬学は相当加わっている。例えばCMC、あるいは物理化学的性質などは、分析化学の強い薬学がやってきたことであり、さらには製剤設計も薬学がリードしてきました。今後はこうした学問を、4プラス2で中心にやられるのか、6年制でやられるのか。そうすると大学院ではどんなふうになるか、これを知りたかったものです。今後、こうした科学技術を基にしたレギュラトリーサイエンスの研究教育を大学の現場ではされようとしているか教えていただきたい。
【永井(良)座長】
いかがでしょうか。
【井上副座長】
多分、その部分は私は4年制でも6年制でも共通なんじゃないかなと思いますけれども。それは大学によって多少違うとは思いますけれども、多くの大学は今の先生がおっしゃったような部分に関しては、4年制も6年制も基本的には共通であろうとは思っています。
【竹中委員】
以前この会議に厚生労働省の方が出席されたときに、私は今後、厚生労働省に採用される薬系技官には薬剤師の資格が必要ですか、必要でないですかという点をちょっとお尋ねしました。今後、厚労省でレギュラトリーサイエンス業務を行う技官にとって、薬剤師の資格が必要かどうかは、非常に大事なところだと思うんです。それらを明確にさせないと、教育の方もできないのではないか、こんなふうに思いまして。問い詰めるようでごめんなさい。
【永井(良)座長】
いかがでしょうか。
【山本厚生労働省薬事企画官】
先生が今御質問になったのは、厚生労働省職員としてというお話ですか。
【竹中委員】
そうです。
【山本厚生労働省薬事企画官】
国家公務員の採用も随分形態がいろいろ変わってきておりますが、技術系の職員として採用する、理工系の採用をまさに今やっておるところでございます。薬剤師の資格を必ず求めるというところはいかないと思いますが、やはり薬学の6年制を修了するというスタッフをこれからも強く求めていきたいとは思っております。
【竹中委員】
私たちの市民感情でいいますと、厚生労働省の中で薬系技官として活躍してきたのは、薬剤師と市民は思っておりますので、そこで余りにも変わってくるとどうかなと思いましたので。
【山本厚生労働省薬事企画官】
変えるというよりは、これまでやってきたことをベースにしながら、薬学教育をしっかり履修して修了した者、そして当然、薬剤師の資格を持った者になってくると思いますが、そういう豊かな人材を求めていきたいと思いますし、大学側にもそういった人材を輩出していただきたいと強くお願いをしたいと思っております。
【竹中委員】
分かりました。
【永井(良)座長】
いかがでしょうか。
先ほど井上先生もおっしゃったいろいろな項目が挙げられておりますけれども、これを今度確認するときにどういう手順をしていったらよろしいのでしょうか。何か大学院の側では記録を残しておいて、それを誰がどういう形でチェックするかという問題ですけれども。なかなか薬学教育評価機構というわけにもいかない、学部の方だけでも大変と伺っておりますが。
【井上副座長】
例えば一つには、自己点検を明確にし、それをホームページ上にそれぞれが自主的に出す、それが自主的に出すというと、出さないところも出てきちゃうかもしれませんから、文科省がそういうことを要求する。それから、多分エビデンスというのが要求されるだろうと思うんですけれども、そのエビデンスは、文科省なりなんなりが場合によってはチェックして自己点検の内容を検証する、全て100%検証することができるかどうかは分かりませんけれども、問題点がありそうなときには検証するというようなことが現実的かなという感じはいたします。
そのワーキング・グループをどう設定するかにもよりますけれども、ワーキング・グループが部分的には関わることになるのかもしれないとは思います。なかなかそこまでは大変ですよね。
【市川副座長】
各大学が大学院の博士課程の学位授与者を決めていく場合の評価の仕方として、それぞれの大学は内規等において、学位の授与のためのルールというか規則、基準をつくっていらっしゃると思うんですね。それは今まで余り公表されてはいないというように私は理解している、いわゆるディプロマポリシーの中の博士課程の部分ですね。今の段階において4年制の課程の博士に対しての基準がつくられていないと思うけれども、それを少し早めにつくっておくようにする。例えばうちの博士課程は例えば臨床に非常に特化した、あるいは現場においての何々に特化して何々をつくるといって、それに対してしっかりした学位認定の基準がつくられているかというような見方をすれば、第三者が客観的に評価ができる。それを誰がやるかというのは次の問題ですけれども、少なくとも博士授与基準の公表を少し早めにするということにすれば、それぞれの博士課程に対してのしっかりした目標と、それに対しての成果というのがその大学院にとってはわかるし、薬学全体としては、ほかの大学がどういうようになっているかというのが現状はよくわかる。薬学全体として、臨床系、医療系において特化した博士薬剤師は何名、それでそれぞれの領域の博士教育研究者が何名かが予測することが薬学全体としての博士人材養成の評価になる。今問題なのは、それぞれの大学の博士の質量評価というより薬学全体としてどうなのかについて理解すべきだと思う。
【長野委員】
コメントというか、うちの東大の現状なんですが、新しい4年制の大学院の院生としてもいいかなと思う学生を実際もう今養成はしています、例えば社会薬学的なものですね。で、そこに入っている大学院生がどうなっているかといいますと、英文の、国際的な学術2報を出すことというのが条件なんですね。そうしますと、今4年制学科の上の方にしかありませんので、4プラス2プラス3なんですが、ほとんど9割以上は博士課程3年間ではほとんど卒業できません。いわゆる日本語の論文は書けるのですけれども、英文の論文という縛りを入れているんですね。それは実際に質というものが従来のものと比べるとどうしても、ちょっとシビアなサイエンスとして評価したときに、これは一般的な原理をいっているのか、ただ単に学生実習で統計をとってデータを集めてそれを表にしただけではないかとか、いやそうではないという議論が非常にあるわけで、最終的にじゃあちゃんとした論文にとっているのかというような議論になってくるわけです。それで一応、社会薬学的なといいますか、いわゆる4年制の大学院に当たるようなものに関しては2報の学術論文集を出すことというのが条件なんですが、ほとんど出せない状態で、やはり延びてしまうんですね。
【永井(良)座長】
医学でも同じですけれども、そういう統計的な仕事というのは必ずしも学術的には評価されない、でもやるのはえらく大変でして……。
【長野委員】
おっしゃるとおり。
【永井(良)座長】
データベースとかフィールドがないとできないわけです。この辺をどうやって育てていくかというのは、ライフサイエンス系全体の大きな問題になると思いますね。でも、そこをやらないと、日本が遅れていってしまうし、まさに6年制の課題ですね。
【長野委員】
具体的な例ですと、例えばあるジェネリックの医薬品を導入しただけで国民医療費としてどれだけ削減できたか、みたいなデータをとってくるわけですね。結論からいうと、それはべつにやらなくたって予想がつく、こういうのは大体数値は明確には出ないから分からないけれども、まあ大体わかるよねというような議論になってしまうんですね。まあ、それを実際解析したという話なんですけれどもね。それがどこまで国際的に通用することなのか、日本だけの話じゃないかとか、そういう議論に必ずなってくるんですね。
【永井(良)座長】
それは医学系も同じで、まさにそこをちゃんと日本がやってこなかったツケが回ってきています。先ほどちょっとお話しした、臨床とつくと、必ずしもメカニスティックな科学に基づくだけではない部分が非常に大きくなってくること、実はそういうことから案外大きなイノベーションは生まれるのですね。新しいメカニズムに基づかなくてもそうした知識をうまくつくるということが実はとても大事です。ところが、必ずしも伝統的なアカデミズムにはなじまない世界ですね。
それから、学術的に低いから楽かというと、必ずしもそうではなくて、大変な時間と労力がかかる。その辺を上手に育てるにはどうしたらいいかというのが、まさに6プラス4の課題でもあると思いますけれども。
【長野委員】
だから、一歩ちょっと緩めますと、幾らでもドクターが、例えば今のジェネリックでいえば、スタチン系でそれをやったら、今度はH2ブロッカーでやった、次は何でやったというので一人一人ドクターが出てきちゃうわけですね。それはいかがなものかと。原理であれば1個ですが、今の例には原理が特にあるわけじゃないですから、そうなるとそういう議論になってくるんですね。
【永井(良)座長】
でも、原理は間違えることがありますし、それを検証するのは実はフィールドワークのわけです。そういう意味では両方がないと、アカデミアにならないという面があると思いますね。
【長野委員】
現状をお話ししました。だからどうこうしようということじゃないです。
【永井(良)座長】
それは医学系でもいつも議論するところで、安直な学位を大量に産生する気かという非難は出てくるわけですね。しかし、まさに科学のモードが変わってきたという話と非常に密接な関係があることだと思いますね。竹中委員、いかがですか、そういうのは今度、製薬業界から見てどういう位置づけられるか。
【竹中委員】
おっしゃるとおりで、疫学データベースにコマーシャルのデータを一緒に合わせたデータベースは産業界に必要です。永井先生が委員長をやられた健康研究推進会議でも、疫学データベースを集めましょうということを提案させていただきましたね。そのときに、その活用はどういうふうにするんだということで、何となく我々もメーカーの方は遠慮して、余り商業ベースに使わずに研究の初めに使いますといったら、いや、そんなことおっしゃらずに、やはり商業にも使ったらいいんじゃないかというような御理解も出ています。
【永井(良)座長】
確かに、そこから出発して日本オリジナルの疫学的な大発見というのをつくっていかないといけないのですが、一朝一夕にはいかないですね。
しかし、それをこつこつやっていませんと、突然、いわゆる国際標準というものが外国から来てしまって、もう日本では手も足も出せない。この間のいろいろなガイドラインであるとか倫理規定というのは、実はそういうことで、恐らく日本は10年から20年遅れてしまったということではないかと思います。行政だけでなく大学、特に医学系のアカデミアが無関心であったということが一つの原因と思いますけれども。
【竹中委員】
つけ加えさせていただきますと、医療の中の政策をつくることはグローバルの中で、コンペティティブになってくるところです。言い換えれば、医療政策をサイエンスで示さないとリーダーシップをとれないと思います。
【永井(良)座長】
いわゆる自然科学、伝統的な自然科学というよりも社会科学的な側面、あるいは場合によっては人文科学かもしれませんけれども、そういう幅が臨床薬学の中でも求められるだろうと思います。
いかがでしょうか。いろいろ御意見もあろうかと思いますが、一つは、今後ワーキング・グループをどういうふうに構成するかということかと思います。もしよろしければワーキング・グループの主査をワーキング・グループの検討の御提案を頂きました井上副座長にお願いしたいということでございますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永井(良)座長】
よろしくお願いしたいと思います。また、メンバーにつきましては、主査及び事務局と相談の上、決定したいと考えておりますが、座長に御一任いただければと思います。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
では、議題に戻りますが、質の高い入学者の確保につきまして、御意見を頂きたいと思います。大学院についての議論はここまでということですが、薬学教育の質の保証の在り方、及びその改善方策のうち、質の高い入学者の確保、これは前回から御議論を頂いておりますけれども、事務局で資料を用意いただいておりますので、それについて、まず御説明をお願いしたいと思います。
【伊東薬学教育専門官】
それでは、資料4と資料5をごらんいただきたいと思います。
まず、前々回の5月10日の検討会での「質の高い入学者の確保について」に係る先生方の御意見を資料4に取りまとめをさせていただきました。委員のほとんどが、規制緩和によって増えた定員数についての危機感を持っているというような話ですとか、1期生の留年生が2,500名程度いるということについて、留年を問題にするよりもアドミッションをどうするかということが一番大きな問題ではないかというような御意見。また、大学も学生をなるべく進級させようとしていて、進路変更の適正の見極めが遅れてしまうということもあるのではないかというような御意見。どの大学も大幅に定員削減をしないといけないとか、思い切って定員を下げて授業料を上げて経営は何とか成り立つようにするなど、そのぐらいの問題を考えないといけないというような御意見。学生の学力低下は明らかで、それに対して低学年の導入教育をいかに充実させていくかということが各大学の大きな課題。また、大学数の増加や質の低下の問題について、大学人が強いリーダーシップで引っ張っていくべきだというような御意見が前々回の意見で出されたところでございます。
また、第7回の資料にA3判で、今日お配りしている資料と同じような資料を出しておりますが、前々回出させていただいたものは平成20年から22年度まで3か年間の志願者倍率、実質倍率、入定の充足率のデータでございました。それで6年制学科の5年次進級率というのは、前々回出したものについては1期生、本日出させていただいたものは2期生のもののデータとなってございます。
資料5をごらんいただきますと、1枚目が国公立大学、2枚目、3枚目が私立大学となっておりまして、特に前回も御議論を頂いたところではございますが、国公立については定員割れは基本的にないということでございますが、私立大学につきましては、かなり入学定員充足率が割れてしまっているところが多い、7割以下という大学も10以上の大学ございます。また、実質倍率の真ん中の欄をごらんいただきますと、実質倍率が1.0倍ですとか1.1倍というような倍率の大学もかなりあるということでございます。また、6年制学科の5年次進級率といたしましては、19年度入学時の学生さんの数と23年度の5年次の学生数をこちらに記載しているところでございますが、ここの5年次は留年とか休学に該当のない数ということでお伺いしている数字でございます。それで割ってみますと、相変わらずの5年次進級率は前回お出ししたものと余り変わっていないというのが現実だということでございます。
事務局から出させていただいた資料は以上でございます。
【永井(良)座長】
ありがとうございます。まず、第7回で入学者のデータが示されまして、資料4にまとめがございますが、問題点がいろいろあるという御指摘を頂いているわけです。今年度の状況が資料5でございますね。これを拝見すると、定員の未充足がいまだに改善されていないという状況だということと、質の高い入学者が本当に確保されているか。また、現場でどういう問題が起こっているかということにつきまして、委員の先生方から御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
北澤委員はその後何か新しい情報はお持ちではないですか。(なし)
いかがでしょうか。
【井上副座長】
これは極めて深刻であるという以外になかなかコメントしようがないところがあるんですが、結局、入学者の質の確保というところが極めて重要だとすると、例えば国によっては、恐らく入学するに当たっての資格試験みたいなものがまずあって、その資格試験に合格していないと、大体それぞれの大学の受験ができないとか、例えば極端に言えばそういうことでもしないとなかなかこの状況で質を確保しろと言われてもなかなか難しいだろうなと思うんですけれども。まあそんなことが現実にできるとはとても思えませんけれども、一つの方策としては、共通の試験を何か設定するとか、そういうようなとはあるかなとは思いますけれども。誰がやるか分かりませんけれども。
【長野委員】
大学の入学試験とは別にということですか。
【井上副座長】
そう。あるいは、大学の共通のセンター試験ですか、そのセンター試験で最低点を設定するとかというようなことがもしできれば、ある程度質の最低の保障はできるのかもしれませんけれども。そういうようなことは可能なのかというのは、文科省としてはいかがでしょう。あり得ないですか。
【新木医学教育課長】
なかなか、入試でどういう学生を入れるかというそのポリシーといいますか、内容について、今おっしゃったようなセンター試験何点以下は薬学部はとっちゃ駄目だとか、なかなかそれは言いにくいのかなと。後で、ちょっと資料を用意しましたので、御説明させていただけると思いますが、ほかの分野でも同様に定員割れで大変苦しんでいるというか苦労しているところがございますが、そういうところは、要は、定員割れだけに関していえば、志願者を増やすか定員を減らすかどっちかしかないわけですから、比較的後者の方の対応でほかの分野は議論が行われているというような状況です。
【長野委員】
薬学、医療系は全てそうだと思うんですが、結局、国家試験等がありますので、その合格率というのは、どうしても経営者とか先生方は皆さん気になるわけで、そうしますと、勉強の質を落とすというわけには当然いかないわけで、かなり厳しい勉強をやっているわけですね。それがあるがために、本来は入れなかった人が入ってきた場合に、先生方も不幸ですけれども学生も多分不幸なのではないかなと思うんですね。こう言ってはあれですが、基本的にちょっとここまでの勉強には、私が聞いている範囲で話しているんですが、とてもついていけないぐらいの学力の人が入ってきていると。ですから、ある程度もともとの縛りがあるというのは、まあこれは国家試験との関係もあってなんですけれども、お互いを不幸にさせないためにも、何らかのシステムが導入されないと、このままいくと不幸な人がどんどん出てきて、結局進学させられずに留年あるいは退学という格好になるんでしょうか、下手をすると高卒になるわけですか、そういう人は。それはそんなふうに思って入ってきていないだろうと思いますので、恐らくは父兄としては、大学の方は入学させた以上は卒業させる義務があるはずだとか何か、多分言い出すんじゃないかなと思うんですけれども。非常にお互いが不幸になっているような話をよく聞くので、井上先生の御意見はかなりドラスティックで、そんなことができるのかどうか分からない。でも、何らかしない限りは、これはどんどん不幸な人が増えていくんじゃないかなという気がするんですけれども。
【小林委員】
前回欠席したので、この辺の議論は全然聞いていなかったんですけれども、要するに、結構地方の私立薬科大学で定員が足らないところが幾つもあるという現状は見てすぐに分かりますね。それ以外にも、かなりの私立の薬科大学で、とにかく定員を充足するために、無理やり、かなり入学試験の点数が低いのまで入れているんじゃないかというふうにデータ的には見えるんですけれども、先生方がそういう認識を持たれたのかどうかというのをお聞きしたいんですけれども。
【永井(良)座長】
それはまさに北澤委員から報告がありまして、入学者の偏差値が相当下がってきているというところに大きな問題があるわけですね。
情報化時代というのは恐ろしいもので、例えば6年制の入学者の偏差値が幾つだということになると、受験生がそこにそろって来てしまう。悪循環に入っていくということですね。それと、長期的に薬学系の人材育成にも大きな影響が出てくるだろうという、そういう二つの点は少なくとも挙げられると思いますが。
【井上副座長】
充足率だけじゃなくて実質倍率というのがあって、見ると、相当な大学が問題を抱えているんですね。ですから、何らかの、定員を削減するのが一番簡単といえば簡単なんですけれども、現実にはなかなか、経営という問題もありますので、そこも難しい。で、最低の試験の導入とかというのも難しいとなると、打つ手がなくなっちゃうので、やはり何かを考えないといけないんだろうと思うんですけれども。
今日は来ておられない高柳委員がおっしゃっていましたが、医学部や何かと違って薬学部の場合には大学ごとに定員が相当違う。300人のところもあるし百何十人のところもあると。そうすると、単なるパーセントで一斉に削減するというようなわけにもなかなかいかないという、そういう事情もあるんですね。だから、本当になかなか難しいんですけれども、でも、何らかの手を打たないと本当に悪循環して、これでますます高校の進路の先生は薬学部に行ってもしようがないというようなことを言いかねないという状況にはあるので、本当に何か、かなりドラスティックな手は打たないといけないんだろうなとは感じております。
【市川副座長】
本当に深刻な問題だと思います。私も今、私立大学におりますけれども、経営の問題を含めて定員問題は議論されている。薬学全体として、入学定員が多いことはもう明らかであろうかと思います。だから、入学希望者のパイが限られているところに、入学定員数が多いので、入学者の質がどんどん下がってくる。でも定員は確保しないと経営が成り立たないという悪循環が生じているわけです。その中で私が非常に心配していることは、薬学部に入るときの動機が高校生の中で非常に曖昧になってきているのではないかということです。かなりの割合の高校生が、薬学の研究あるいは薬剤師の役割というのをほとんど知らないで入ってくる。高校の先生が進路指導をするときに、薬学についての説明をほとんどしていないのではないかと感じることもあります。薬学では、いろいろなサイエンスの領域を始め臨床薬学系や医療薬学系も入っていて、全部4年間ないしは6年間でかなりたくさんのことを幅広く学ばなければならないということを教えていない。実際にハウツーものとしては教えていない。それからもちろん理念的に薬剤師、医療人としての薬剤師ということを教えていない。あるいは創薬研究をするための薬学のコントリビューションというのはどういうふうになっているかということも余り教えていない。だから、適当なところ、定員に余裕があるから、そこへどんどん推薦しているようなところが見えないところもない。だから、もう少し高校生に対してより積極的に薬学というものの現実というか、授業を含めて、それから将来像を含めてしっかりと伝える必要がある。それらをしっかり伝えた上でも、入学定員が少なくなるのはしようがないと思うのです。薬学研究、薬剤師等へのモチベーションが高い人たちだけをとっていけば、仮に倍率が低くても質のいいものが教育されていく。薬学教育の中で困っている問題は、モチベーションといいますか、最初の入学動機の時点で薬学が余りよく分かっていないことです。動機不足の方に対して幾らどんどん言っても、パニック状態になっていって離れてしまう人がいる。
だから、ただ薬学の入学試験の競争倍率が低いから問題があるというのはもちろんあるけれども、入るときの動機段階での教育内容と周知も大事なことです。
【太田委員】
今、市川先生のお話を聞いて、我々は要するに薬剤師養成というものを主たる目的とするがために、新薬学教育という6年制のものを構築したはずですよね。それで、より明確になったと我々は思いたいじゃないですか。そういう新しい設計をしているにもかかわらず、逆に明確でなくなっている学生が多くなっている。要するにモチベーションが低くなっているというのは、私も何となくは学生の質を見ていてそういう気はするんですけれども、それを恐らく、なぜだ、というのは、何か答えはありますか。それがまず一つ。
それからあと、モチベーションが下がるがために留年生が増えるというのは、恐らく、ただ学力が低いから留年生が増えている、休学者が増えているということだけではなくて、恐らくそれがリンクしているんじゃないかと思うんですね。それで、この表の見方ですけれども、6年制学科の5年次進級率というのが、前々回と今回出していただいたんですが、これは23年度で5年次生の進級率を見ているんですが、このときの6年次生の進級率というのはそれほど変わらないんでしょうか。
【伊東薬学教育専門官】
すみません、ちょっと今データがございません。
【太田委員】
それともう一つ、以前の、18年度の入学者の5年次進級率とこれを見ますと、若干ですけれども、今回の方が改善されているような気がするんですね。これは恐らく第1期目の5年次の進級のときに、CBT、OSCEに対する要するに各大学のヘジテートというか、ちょっとこれは合格率を低くするとまずいのではないかというので留年させたのが、ここに出てきて少しは緩くなったのかなという気もしたので、要するに私が言いたいのは、進級率というのがかなり大きな問題になってきているのは、やはり先ほど市川先生がおっしゃったモチベーションの低下というのはその要因になっているのではないだろうか。そうすると、入試だけを考えても、もちろん重要だと思うんですけれども、入り口だけじゃなくて、学力だけじゃなくて、その質というのも、ほかの質、要するにモチベーションの高い学生をいかに集めるかということも併せて重要なファクターになってくるという気がしたので、ちょっとその点、いかがでしょうか。
【井上副座長】
ただ、そこも含めて質だと思うんですよ、モチベーションというのはね。それも含めた意味での質であって。
【太田委員】
だから、学力の偏差値だけでそれを考えてはいけない。あるいは実質倍率が仮に今までより下がっても、モチベーションの高い受験生が入ってくる方が、薬学教育にとってはそれは好ましいことなのかなという。
【永井(良)座長】
いかがでしょうか。
【橋田委員】
入学してからの中の薬学の学部教育の話はもちろんありますし、それから入学者の質とかモチベーションという議論もあるとは思うんですが、私はとりあえず、もう一度入学定員の話に戻って少し考えさせていただきたいと思います、定員が多いか少ないかという点につきましては、むしろ薬学にはいろいろな事情があるからという言い方はこれまでもありましたし、ありますので、ちょっと整理させていただきます。とにかく薬学は、医療人として薬剤師になるだけじゃなくて、いろいろな職種の人材を供給しているので、なかなか数の議論というのは難しいという言い方を我々もしてきました。卒業生がいろいろな領域に参ります。それから、医療全般で考えたときに、こういう高齢化社会を迎えて医療の重要性というのはますます増すのですから、薬剤師も更に多く必要なのではないかという言い方もあろうかと思います。それから、当面の問題としては、やはりこの2年間、薬剤師の供給がかなり途絶えましたので、この期間をスムースに移行させるために、教育制度変更後しばらく、ある数の薬剤師供給を絶対に担保しないといけないということも我々は今までは強く意識してきました。だけど、結局もう出口がほぼ見えてきたこの段階では、一方では1学年の学生人口も随分、子供の数も減っているわけですし、その中で薬剤師という職業が占める割合とか、社会における薬剤師のニーズとか、そういうことを考えたときに、あるいは薬学部卒業生のニーズというところを考えたときに、やはり入学定員が過剰じゃないかという議論はもう前々回もされましたし前回もされて、そのとおりじゃないかと思います。そうしますと、結局は、それをどういうふうにコントロールするかという議論だと恐らく思うのですけれども、もう今も出ましたけれども、何か強制ということではありませんが、薬学教育界全般で自主的な努力の中で取り組むということと、それから自由競争ではありませんが、各大学の努力の中で、やはりいい教育をするところは当然伸びていくわけですし、そうでないところは落ちていくという、この両方のアプローチは当然あっていいと思います。
感じからしますと、やはり今、社会から見て、薬学というものが少し魅力を失いつつあるとか、薬剤師が社会との関わりにおいて注意を要する段階にあると。それから教育の現場の方もやはり数に対してはかなり懸念を持っているということですから、やはりこの時点で両方のシステムをうまくきかせるといいますか、全体として何か定員をコントロールする道を考えるということを考えるべきだと思います。それと並行して各大学の努力が外部の評価や受験生の認知度につながるような方策を考える、何かこの辺のシステムをうまく動かすしかないと感じます。で、それをして、今薬学が当事者として社会とか入学生とかに対してポジティブなメッセージを出すということが、やはり我々の将来にもつながるんじゃないかと思っております。
【永井(良)座長】
いかがでしょうか。まだ臨床系の薬学教育あるいは薬剤師さんにしても、イメージが高校生までには伝わっていない面があるでしょうね。でも、今回の大震災のときも薬剤師さんが非常に活躍されたとか、ああいう報道が出てくると少し分かりやすいかと思いますが。
ちなみに、この入学定員、6年制と4年制の合計ですけれども、4年制についても定員割れが進んでいるということでしょうか。そこはデータがあるのでしょうか。
【伊東薬学教育専門官】
すみません、ちょっとそこまでは整理し切れておりません。
【永井(良)座長】
もしそちらにまで影響が出ているということであれば、非常にゆゆしい事態ですね。
いかがでしょうか。
【竹中委員】
よろしいですか。この資料を見ると、もう皆さんが理解していることなんですけれども、同じ地域、県などにたくさん薬学部ができて、特定の県の偏在があります。こういうようなことで実質倍率あるいは充足率が低いところが見当たるわけですね。私は私立だけに限って申し上げますが、私立の場合の経営者に対して、経営者の持っているビジョンに基づき、将来的にこれで薬科大学経営をやっていけるかどうかという調査を文科省ではやらないんですか。
【新木医学教育課長】
まだ我々そういう会話を、コミュニケーションを大学側とは図っておりませんで、ここでの御議論を踏まえて、これからまさにやっていかなきゃいけないかなと思っているところであります。
【竹中委員】
そのコミュニケーションを少ししていただき、経営者の意向を知らないと、これ以上私には議論できない。前にも申し上げたんですけれども、是非経営側とコミュニケーションをとってください。ですから、この薬学生の数の議論は経営の方を呼んでやった方がいいんじゃないかと、私は思います。
【永井(良)座長】
よろしいでしょうか。
【小林委員】
いつも私は、唐突な意見を言うんですけれども、もともと規制緩和ということがあって、薬学は薬剤師の免許を取れるから就職も多分困らずにいいよということで、子供たちみんなの親御さんが、薬剤師にならないかということで薬科大学に行かすという世の中の風潮があって、それを見ていた大学サイドはいろいろな文系の大学までが、あ、薬学部は今人気があるから薬学部をつくればいいということでどんどんつくっていった。その後結局、12,000人の学生さんを抱える大きな領域になってしまった。だけれども、いざそうなってきたときに、厚労省から、将来、薬剤師が過剰になりますとの情報が流れた。また、6年もかけて教育を受けて薬剤師になった人たちがそんなに簡単にやめないですよ、結婚しても女性の方も引き続き薬剤師として仕事をするようになりますよというような話が出てくると、あ、今後は薬剤師の免許を取っても、高い授業料を6年間も払ったのに結局仕事にありつけないのかもしれない。親御さんもそんなんじゃ高い授業料払って大学の薬学部に行かせてもしようがないなというふうな世の中の風評といいますか、そういう感覚が流れているのが現実だと思うんですね。
でも、それぞれの薬科大学では、今、6年制教育をすごく一生懸命やっておられると私は思うんですけれども、中に入ってきた学生を一生懸命教育してやろうとしても、この資料のように、もう今や学生自身がなかなか入ってこない状況で、実質倍率が1.0、受けに来た人を全員入れてしまう、本当にやっていけるかどうかも関係なしにとにかく入れてしまう、授業料を取る、入学金を取る、ついていけなかったらどこかに移してしまう、そんなことをやっている。多分これはこのままいくと、どの先生方もわかるように、幾つもの薬科大学がつぶれていくことになる。だけど、もうそれって初めから見えていたことですよね。文科省も多分、表向きは何もおっしゃらないけれども、困難じゃないのと。そのうちとう汰されていって、結局は、つぶれた大学の学生さんは非常にかわいそうですから、どこかの私立の薬科大学に統合する形で受け入れられて、ちゃんとした大学だけが、もう少しスリムな形になって安定化する。多分5年か10年かかるかもしれませんけれども、結局それを待っているしかないのかなと私は思うんですけれども。
井上先生のおっしゃるように、その共通の試験である点数を取る者しか入れないといったって、現実問題、1.0の大学がごろごろしている状況だと、そういう中には、本当に学生が入るかどうか、10人や20人しか入らない大学がでるかもしれませんね。そうなってきたら、結局どうしようもないかな。すごく冷たい言い方かもしれませんけれども、やはり様子を見るしかないかなと。私は初め、大学の受入れ側として、こんな人たちを入れてとにかく授業料や入学金を取って入れたはいいが、全然上に上がれる見込みもない人を入れるのは、これは詐欺じゃないかと思ったんだけれども。でも、大学としては、今とにかく頑張って維持していかなきゃいけないというのがあるから、そうせざるを得ないんだなということも理解できるので。
【永井(良)座長】
ただ、様子を見ていると、どういうことが起こるかということを、ほかの事例でちょっと御紹介いただこうということで、法科大学院あるいは歯学部の定員割れの問題について、フォローアップ状況について、事務局から少しお話を伺いたいと思いますので、よろしいでしょうか。
【伊東薬学教育専門官】
まず資料6-1と6-2、こちらが法科大学院の改善状況に係る調査結果でございます。法科大学院につきましては平成16年にスタートいたしまして、現在7年目ということでございます。これは専門職大学院で、法学を学んでいる既修者と未修者というような言い方で、未修者については3年間、既修者については2年間学ぶというようなシステムでございます。
この経緯でございますが、平成21年4月に中教審の法科大学院部会の中で報告書が取りまとめられております。その報告書では、入学者の質と多様性の確保だとか、修了生の質の保証、教育体制の充実、質を重視した評価システムの構築などという、まさに今御議論いただいているようなものが示されまして、その報告に基づいた改善計画でありますとか履行状況のフォローアップを行いましょうということになり、始まったということでございます。文部科学省としても所管の官庁であります法務省や日弁連などと連携しながら状況を把握して必要な改善を推進するというような目的でフォローアップが行われております。
これまでに3回のフォローアップが行われておりまして、まず1回目については、全ての法科大学院に対して、現状の分析や特別委員会の報告を踏まえた改善の取り組みについて調査を実施して、平成22年1月に取りまとめているということでございます。
第2回目につきましては、入試の結果を踏まえた調査といったことでございましたが、一応それについては、入定の見直しなどの抜本的な改善の必要性が指摘されているところです。
この今出しているものについては3回目の報告書ということでございますが、第1回目の調査結果で指摘した課題などを中心に進捗状況について確認を行うこととしたということで、2枚目以降にその調査の概要などが書いてあります。2枚目をおめくりいただきますと、裏側に、全てのロースクールを対象に書面調査を実施した、ヒアリングについては8校に対してヒアリング、28校について実地調査をしたということでございます。
この調査の結果につきましては3ページ以降に書いておりますけれども、1番目として、入学者選抜における入学者の質の確保に係る取組ということで、入試において競争倍率2倍以上の確保に努めるということで、2倍を下回っているところについては入定の見直しなどのことを事項としてつけているということでございます。
それから2番目といたしまして、教育内容・方法の改善や成績評価の厳格化等に係る取組ということでは、FDを通じた内容、それから成績評価、修了認定の一層の厳格化に取り組むことで到達目標を明確に意識して学修し、十分な学力を身につけたという自信を持って修了できるようにする必要があるということで、いろいろなGPAですとかFDの実施状況などを聞いているようなところでございます。
というようなことで、ロースクールにつきましては、3回の調査を行っておりまして、大きくA3で出している表は、こちらは今年の春、この調査の結果が出た後の入学者選抜実施状況ということになっております。これは入学定員、募集人員、志願者数、受験者数、合格者数、入学者数ということで、これは司法試験の合格率が右側に書いてあります。また、一番端には平成19年度修了者における新司法試験合格率ということになっていまして、19年度に修了した方の合格率ということで書かれているところでございます。
先ほど井上委員の方からお話がございましたけれども、法科大学院につきましては、受験する前、適性試験というものがございまして、それを受けた上で、入試のときにその成績表を提出しているということもあるので、こちらについてもフォローアップの中ではそういった入学者の質と競争性の確保などの審査項目としてその点数をどう扱っているかというようなことについても見ているというような状況となってございます。
ロースクールにつきましては、入学者選抜は春にはこういった表で、資料6-1の後ろの方には全体的なものを見ているところですが、入学者、修了者、それから調査結果でどのような留意事項がついているかということが細かく記載されておりますので、ごらんいただければと思います。
以上が簡単ではございますが、ロースクールの改善状況と入試の状況の御説明でございます。
また、引き続きまして資料7-1と7-2をごらんください。こちらにつきましては、歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議のものでございまして、いわゆる歯学部の入試の状況などいろいろなフォローアップの状況でございます。これにつきましては、第1次報告という調査研究協力者会議の報告が21年1月30日に出されておりまして、資料7-1の「はじめに」というところにございますとおり、1から4の提言が出されております。これにつきましてもフォローアップを行うということで、終わった結果が7-1ということとなっておるところです。
フォローアップの実施については、平成22年10月に全ての歯科大学、歯学部に対して第1次報告を踏まえた現状の取り組み状況の調査を行ったということでございまして、その結果、29大学中24の大学・学部からヒアリングを実施したというようなこととなっております。
おめくりいただきますと、ヒアリング実施に関する観点といたしまして、入学定員の削減率が低いということがございます。これにつきましては、歯学部につきましては昭和61年に、まず20%以上削減すべきという閣議決定があり、さらに、平成10年にそれを更に10%削減するというようなものが出ているということもあり、その入定の削減率がどうかということを見ている。それから2につきましては、国家試験の合格率が低いということで、最低修業年限6年間での国試の合格率が低いなどということの問題点、3につきましては、入学定員の超過と未充足、4につきましては試験競争倍率が低いなど、今後すぐれた入学者の確保が更に困難となることが懸念されるということ。それから5といたしまして、臨床実習の評価の未実施や参加型臨床実習の未実施など、歯科医師として必要な臨床能力の確保に問題があるというような5点を挙げてフォローを行っているということでございます。
スケジュールにつきましては、8か月間ぐらいかけて行っているというようなことでございます。
フォローアップの結果につきましては3ページ以降に書いてございますが、特に、診療参加型臨床実習の改善・充実などにつきましては、大学の取組姿勢によっては臨床実習中の学生が十分な経験を積むことができず、十分な臨床能力を身につけることができていない事例も見られたというような御意見などが出ておりますし、留年者等に対するサポートの実効性というところにつきましては、授業内容や個別指導などの工夫は見られるものの、留年者や国試の状況の改善に結びついていない例が見られたという点。3番目といたしまして、すぐれた入学者の確保ということで、競争倍率が限りなく1倍に近づくなど、入学者選抜が機能していないと思われる例が見られたという点。4番目としまして、定期試験の問題や答案など、学生に考えさせる問題となっていないケースがあるというような点。5番目といたしまして、学部教育における研究マインドの養成については、研究室配属などを行っていても、それが必修でないというような例が見られるというような課題が浮き彫りにされたということとなっております。
これについて今後ですが、今後もフォローアップを実施していくというようなこととなっております。
また、そのフォローアップの具体的な資料、個別の大学の状況につきましては、その次のページから表となっておりますけれども、先ほど御説明させていただきましたAからFに該当するところに「●」がついておりまして、その「●」がついた大学について調査が行われておりまして、その意見がついたものについては、一番右側の欄に意見が書かれておるということでございます。今ちょうどお話に出た内容なども書かれておりますので、ごらんいただければと思います。
また、7-2につきましては、この7-1の報告書の後、今年の入試結果というものが出されておりますが、先ほど薬学でお示ししたような入試結果の表となっております。
また1枚おめくりいただきますと、入試競争倍率の推移、3枚目にはその入定の削減状況などが書かれているものとなってございます。
説明は以上でございます。
【永井(良)座長】
ありがとうございます。ということで、この資料につきましての御質問、いかがでしょうか。あるいはこれを踏まえて、薬学教育についてこれから改善すべき点等について御意見いただければと思います。
【井上副座長】
これは完全に公表されているわけですね。
【伊東薬学教育専門官】
はい、これは全て文部科学省のホームページなどで公表されている資料でございます。
【井上副座長】
ということは、例えば受験生が見ようと思えば見られると。
【伊東薬学教育専門官】
はい。
【井上副座長】
実際に、例えば予備校とかそういうところがこれを見て活用している節はあるんですか。それとも余り気がついていない、どっちですか。
【新木医学教育課長】
歯学部の方だけですが、いろいろなそういう受験関係者も見ているというふうなことを聞いたことがございます。
【井上副座長】
それで、いろいろとこういう点が問題であると、指摘事項が個々の大学についてあるわけですね。それについて、それぞれの指摘された大学がそれに対して改善するような努力をしていることも見えてはいるのでしょうか、結果的に。
【新木医学教育課長】
ここに書いてありますように、指摘してもまだ改善が不十分な大学というのもまた再度指摘しておりますので、そういうことを含めた、大学関係者はもちろんですが、広く知れわたっていることだと思います。今はそれを含めて、また、そういう状況を踏まえて、更に大学側がどういうふうな検討状況なのか、改善をどうしようとしているのかをフォローしている状況です。
【市川副座長】
ちょっと質問でよろしいですか。先ほどのお話の中で、歯学部の場合の入学定員の削減率というのを閣議決定で、20と10ですか、お話があったわけですけれども、もし教えていただければ、閣議決定まで至る手順はどうであったかということです。例えば、こういう理由で定員削減をすべきであることをどこか、例えば学会なり領域なりの人たちがうんぬんを言っていって閣議決定まで上げていったとか、何か分かれば。まあ難しければ結構ですけれども。
【新木医学教育課長】
もともと医学、歯学両方ともなんですが、昭和57年に臨時行政調査会、臨調で、特に当時の財政状況を含めて医療費の問題で、この歯学部の定員についてきちんと計画的につくっていくべきだという指摘がなされまして、それを受けて、これにありますように、まず最初は当時の厚生省で将来需給の見通しをつくって、それに基づいて文部省で減らしたというのが1回目。2回目も同様に、平成10年に、先立つ閣議決定、それから厚労省の需給見通しによって減らしたというのが歯学部の状況です。一方、医学部の方は、2回やったんですが、その後、医師不足等々の話があって、逆に今増やしているところでありますが、歯学部の方はそうやって2回にわたって減らしてきて、結果としては、ここに書いてありますように、全体で今、20足す8割の10%、8%なので28というのが目標になっていたんですが、若干まだそこに到達していないという状況になっています。
【市川副座長】
ありがとうございます。
【北澤委員】
閣議決定したら各大学は定員を減らさないといけないということはあるんですか。
【新木医学教育課長】
ないです。
【北澤委員】
つまり、閣議決定というのはかなり強い行政指導という、そういうイメージでよろしいんですか。
【新木医学教育課長】
おっしゃるとおりです。
【永井(良)座長】
先のことは分かりませんけれども、今の状態、薬学教育でも続くと十分そういう話が出てくる可能性があることは念頭に置いておいた方がよい、そういう理解でよろしいんでしょうか。
【新木医学教育課長】
薬学の方で、将来、医療費との関係で減らすという話が出るかどうかというのは、一義的にはこの厚生労働省の話ですし、またそちらの方で将来需給が検討されているということもあって、ここでそうなるかどうかというのはなかなか言いにくいところ、それは先ほど御議論、何人もの先生から指摘を受けましたように、薬学の場合は別に必ずしも今まで薬剤師になって臨床で働くというだけでやっていたわけでないという、医学や歯学と若干状況が違うということもあるんだと思いますが、これまでのところ、これは厚生労働省から山本さんが来ていただいていますので、お話しいただいた方がいいのかもしれませんが、厳密なそういう話にはなっていないと。まだ引き続き検討がされている状況ということだと思います。したがって、文部科学省の立場といたしましては、あくまでも教育の質といいますか、そういう観点から議論を今の段階ではしていただくのが適切ではないかと思っております。
【竹中委員】
この問題に関しまして、法科大学院は非常にスピード感を持って何か対応されたようにうかがえます。そうしますと、薬学においても、スピード感を持って対応しないと、後ろに行けば行くほどいろんな問題が増えますので、これは法科大学院の動きを少し学んでやった方がいいんじゃないかと私はこの資料を見て感じました。
【太田委員】
法科大学院もそうですし、それから歯学教育に関してもそうなんですけれども、外圧というか、要するに世間がどう見ているかということがベースになって、それでスキルアップがされるという状況は当然あるだろうと思うんですが、薬学の場合、例えばこれから入学定員を是正する、減らすというような形になる場合、例えば歯学でいう協力者会議でフォローアップをして、それでその結果、削減をすることが望ましいということになったら、それをもって要するに削減、というのは、まだステップとしては幾つかのステップを越えなきゃいけないというところがあるように思うんですね。今までの閣議決定というようなことがなされて初めて動くという、それは各大学にとってはかなり死活問題というか、かなりの問題になるというので、かなり強烈な抵抗があるんだろうということがこの資料から推察されるんですけれども、まず、例えば協力者会議でフォローアップをして、そこでかなりのことが、要するに今の状況だったら、調べたらかなりのことが出てくるだろうと思うような状況にまでなっていると思うんですが、それをもって入定の是正などということが現実、いけるでしょうか。というか、可能性としてはかなりあるんでしょうか。
【新木医学教育課長】
閣議決定は、全体として医学や歯学といった全体の養成数を規定しているものであって、必ずしも個別の大学を幾つかというのは違いますので、そこのところは違いが一つあるのかなと思っております。今の段階で薬学の方は別に12,000人を上限としようというような決まりがあるわけでないので、あくまでも定員割れだとか競争倍率だとか、どういう指標がいいのかというのは、また御議論いただければと思うんですが、そういう面から見て、教育の質に問題がある、若しくは問題を生じるおそれがあるところに、先ほど竹中委員から御指摘あったように、あんまり問題が大きくなる前から予防的に対応して働きかけていくべきなんじゃないか。それがどこまで効果があるかというのは、これからちょっとやってみないと、なかなかこれで十分効果があるとは言い切れないところではありますが、今の法制度上の体系でいうと、これはやはり我々としては大学に働きかけていくというのが、まさにそういう言葉でしか言えないような、定員を減らせとかいう権限もありませんし、こういう基準になったら何%減らさなきゃいけないという、そういう仕組みになっておりませんので、そういう観点からやっていく。ただそれは、大学のお話を聞きますと、必ずしもそんなに無効というわけじゃなくて、一定の大学側の再検討を促すきっかけにはなり得るんじゃないかなとは思っておりますし、期待しているところであります。
【望月(正)委員】
もう1点お尋ねします。同じような考えですが、フォローアップをして、その結果を公開することで、ある程度の効果はあると思います。調査研究協力者会議というのが薬学教育ではないので、フォローアップするとしたら、この検討会だと思います。この検討会の下にフォローアップ小委員会をつくって、それなりの調査をして公表する。まずそれが第一歩目だと思います。その効果はどうなるか、やはり大学経営者も見るでしょうし、それよりも受験生が見る。ということでお互いの良識を期待するということからスタートするので、相当な効果を上げると思います。
【井上副座長】
いや、それはまさにそのとおりだと思うんですけれども、ただ、ここに書いているこれが既に公表されているということと比べると、一般的な今までの評価、各大学に対する評価機構がいろいろなことをやっているときに、大学からかなり抵抗があって、それは誤解であるとか様々なあれがあって、こんなに厳しいことをなかなかそれぞれの評価機構が言えていないという現状だと思うんですけれども、そういう意味でいうと、これは、こういう結論を出すためには相当な調査と相当な根拠のある評価をしなきゃいけない、しかも平等に、というようなところで。あんまり問題にならない理由は、やはり文科省が強制的にばっとやっているから文句も言えないということなのかなというのをちょっと感じたんですけれども。普通だと、僕らが今、評価機構でいろいろなことを検討しようとしているときに必ず経験者から言われることは、相当慎重にやらないと、まず公平を欠くとか、事実に違うとか、やり方によってはプラットフォームの端っこを歩くなとか、そういうようなことすら言われるような状況の中で、これはかなり短期間の間にそれぞれの大学についてかなり大胆に厳しく突っ込んでいると思うんですね。だから、それは確かに重要だと思うんですけれども、よくそれぞれの大学は文句も言わないで黙っているなということすらちょっと感じちゃうんですけれども。
【望月(正)委員】
はい。でも、ただ多くは客観的な数字に基づいて言っているから、各大学は何か文句を言おうとしてもどうしようもない。こうなっているけれどもこれに対してどうするかということを聞いているので、井上先生の評価機構とは方針が全く違うと思います。評価機構の場合は、いかに全ての大学を良い方向に上げるかが目的ですが、このフォローアップは違う目的かと思います。
【井上副座長】
でも、中には、組織として教育の在り方の抜本的な見直しが必要だとか、かなり抽象的な言い方の部分も、要するに数値的なことだけで言っているわけじゃなくて、見ているとかなり、極めて根本的なところを言われちゃっているところもあるんですね。だから、これは是非言いたいんですけれども、これを言おうとしたら、相当エビデンスとかそういうのがないと言い切れないようなところも、ばーんと言っちゃっているという、そこがとてもインパクトがあって、これは改善のためには間違いなくなるだろうと思うんですけれども、かなり大胆だなというのが印象としてはあるんですよね。
【新木医学教育課長】
まさに今、歯学の方をごらんいただいているんだと思いますが、歯学の方の、私立大学ももちろん含めて、評価される側の大学の代表の先生方にも入っていただいて、歯学界の大学人に自分たちでつくっていただいた、自分たちでやっていただいたものですので、そういう意味ではリーズナブルな評価指標、着眼点でその中で言えるところはどういう点なのかということで、比較的、反発がどうのというような、直接全部知っているわけじゃないんですが、受け入れていただいているというところだと思いますが。
【永井(良)座長】
ほかにいかがでしょうか。
【北澤委員】
この法科大学院の資料を拝見したんですけれども、先ほど井上先生からもかなり大胆なことが書いてあるという御指摘がありましたが、やはり法科大学院と6年制薬学部で似ている面もあるけれども違う面もあると思います。一つは、法科大学院というのはまさに法曹家になるための学校であって、結局、司法試験に受かれるかというところが非常に大きくて、かつ、司法試験の合格者数というのは、もう要するにパイが決まっているわけですよね。だけれども、薬学部の場合は国家試験で、別に数を限っているわけじゃなくて、一定の点が取れたら合格させるということで、合格者数に限りがないということがまず一つ違う点と、それからもう一つは、先ほどからも議論が出ていましたけれども、薬学部に行かれる方は、薬剤師養成とはいうものの、必ずしも薬剤師として働くことにはならない方も結果的にかなりの数を養成しているという点も異なるとは思います。だから、全く同じには語れないんじゃないかと私は思っています。
私が昨年薬学部のことについて取材したときに、自分なりの記事の結論としては三つありました。一つは、今の薬剤師の業務範囲のことについて、要するに薬剤師の就職後の職場をもっと良くしないと、薬学に人気が出ないんじゃないか。二つ目は、全員分にそのようないい職場が提供できないというのであれば、やはり定員を減らすということを考えないといけない。3番目が、先ほどもちょっと言いましたけれども、6年制の薬学部で薬剤師として働かない人も結果的には養成しているんだから、その人たちのことも考えて、もちろん企業に就職される方もいらっしゃいますでしょうし、少数ですけれども、私どものような報道とか出版とか、そういったところに薬剤師の方も働いていらっしゃいますので、薬剤師にならない人のことも考えてほしい、その3点を自分の記事としては結論として考えました。
今日の資料は非常に拝見するところが多いんですけれども、薬学でも是非この歯学のような枠組みで、私学の学部の先生の中からこういうような取組をしていっていただきたいと私は思います。
【永井(良)座長】
いかでしょうか。
この6年制が発足する当時はどのくらいのニーズがあると見込まれていたのか御存じですか。
【北澤委員】
もちろん、私より先生方の方がよくお分かりだと思うんですけれども、いろいろな状況が重なっていたとは思います。一つは、やはり文科省が大学の自由化というか、結局入り口で縛るんじゃなくて出口で評価して決めていくというふうに大きく高等教育の方針を変換したということが大きかったのではないかと、私は外から見ていて思います。
それからもう一つは、ほかの文系の学部が就職難なのに、医療系は結構就職がいいということで、要するに職場に困らないということから人気が出てきて、それも先ほども言われたとおり、文系の大学なんかでも、じゃあ薬学部つくるかということで随分増えていった。そういう経緯があって、この検討会でも何度も御発言があったと思いますけれども、いわゆる既存の薬学部の間からは、そんなふうにすぐにいっぱい増やしていいものかという御意見がかなりあったかと思いますけれども、文科省としては、それを入り口段階で規制することはしないと言ったので今に至っていると理解しています。
【永井(良)座長】
この評価機構でも、かなりこのあたりについては指導される予定になっているのでしょうか。
【井上副座長】
そうですね、カリキュラムだけじゃなくて、入学の段階でどういうふうに選抜しているか、それから卒業のときの認定をどうしているかということですので、一応、アドミッションのところも十分見ていくことにはなっていますけれども。ただ、時間が、1年間に10校ずつくらいしかできませんので、最後まで終わるのには7年ぐらいでしょうか、かかっちゃうわけですね。ですので、間に合わない、これはかなり緊急の問題ですので、何か別の手を打たなきゃいけないだろうと思っています。
【永井(良)座長】
いかがでしょうか。何か名案があるといいんですけれども。
大学も質が低下してきたときには、あるところでは自主的に判断する可能性はあるということでしょうか。それがないままに経営として学生をたくさん抱えればいいと思うとは、ちょっと考え難(にく)いですけれども。
【井上副座長】
まあ、大学の経営者がどう考えるかということにかかるわけですので、ほとんどの大学はもうちょっときちっと考えるだろうと思いますけれども、全てそういくかどうかはちょっと分からないですね。
【平井委員】
ずっとずっと前に6年制の議論が出てきたときには、6年制になるので、だから全体の定員は3分の2にして、それで年限を1.5倍に延ばしてやればいいんだという、そういう話があったんですね。そのときの薬剤師の業務の内容に比べて今はもっとやるべきことが増えているので、そう単純に3分の2に減らせばいいということではないとは思うんですけれども、だからといって無制限に増やすというのはおかしいと思いますし、現在、6年制になられたところが、教員の数をそれほど増やしてはいないのに学生の数は6年なので1.5倍になっているはずということで、それを考えると、経営面でいろいろお金のかかることは多いと思いますけれども、決して悪くないんじゃないかと素人目からしては思うんですね。そうすると、例えば閣議決定されたから、それを受けて学生の定員を減らすとか、そうじゃなくて、やはり自分たちで、薬学の中で、お互いにこういう状況にあるんだから、これはやはり危機的な状態だから学生の数をもう一度見直そうとか、あるいは教育の内容を見直そうとか、そういうのを中から言っていかないといけないと思うんですけれども、そういうのはそういう検討会というのを実際やるべきだと思うんですけれども、そういうのができても、なかなかそういう本質的な議論にはなりそうもなさそうなので、そういう状況を見ていると、非常に、卒業した薬剤師を受ける側としてはものすごく心配になりますし、また先ほど北澤委員がおっしゃったように、卒後の働く状況が余り良くないからみんな余りなりたくないというような状況があるというのは、確かに病院薬剤師としてそういう事実があるのは否めないところがあって、今努力をしているところではあります。だけどなかなか一朝一夕にはそうはならない。なので、何か今、解決策ってすぐ出てこないんじゃないかとは思いますけれども、だけど、やはりそういう危機感をみんな持っているのに共有が十分できていないというのが一番の問題なんじゃないかなと私は思っています。だから、何らかの、何でもいいから、小さいことでもいいから、行動を起こせば、そこから変わってくるんじゃないかなといつも思っています。
【永井(良)座長】
今、薬学教育学会というのはないのですか。
【平井委員】
教育学会はありません。で、そういう教育に関しては医学教育学会の方に参加したり、あるいは薬学会の中にそういう薬学教育委員会というのはありますが、学会として別のものはございません。
【永井(良)座長】
やはりいずれそういうものは必要になってきますね。そういうところでいろいろ状況を確認したり自分たちの位置づけを見ていくという。
【平井委員】
そうです。だから、薬学会の薬学教育委員会の方でそういうことをお話しされて議論しているんですけれども、独立した学会にするというのは、まだそこまでは行っていないと思います。
【井上副座長】
まあ、学会がやるか、全国学長・学部長会議とか、あるいは国公立学部長会議、私立薬科大学協会ですか、そういうようなそれぞれの団体があって、教育のこと、あるいは協議会というのももちろんあるわけですから、ちょっといろいろな団体がある意味ではあり過ぎて、もっとどこかきちっと一つのところに絞ってやるべきなんだと思うんですけれども、なかなかその辺は、ちょっとそれぞれが別々にやっている部分があるわけですね。私立薬科大学協会なんかでも定員の問題は繰り返し、要するに自主的に何とかならないかということを提言はするんですけれども、なかなか、やはり経営の立場の先生方も結構多く来られて、なかなか現実には話題としてそれ以上になっていかないというのが、残念ながら現実ではあります。
【永井(良)座長】
私は以前にアメリカの医学教育を調べたことがあるのですけれども、教育担当者が年に1回全米で集まって方針を決めています。かなりその方針というのは強制力があるということをお聞きしましたけれどもね。
【井上副座長】
だから、やはり強制力のある何かの形をとらないと、現実に自主的に、自主的に、といってもなかなか難しいですね。だからそうすると、放っておけば、小林先生が言うみたいに、静かにだんだん大学がなくなっていくというようなことに、でもそれを待っていたら、やはり薬学全体の地盤は明らかに低下していくわけなので。やはりそれ以前に打つ手があれば打っていかないといけないだろうとは思いますけれども。
【市川副座長】
御承知のように、薬学は全体の多分85%ぐらいは私学で育成している。だから、ほかの医療系領域の場合とはちょっと違うところがあるように思います。私学の場合、経営サイドと、教育サイドとがあって両者の意見が合わない。私立薬科大学協会の会議でも、両方の代表がいて、いろいろな検討をしているが一致する意見は難しい。今、井上会長からの発言にあったとおりだと、私もそう感じます。一方で、薬学の経営サイドにいらっしゃる方々が、薬学教育にかかる費用は非常に高くて、経営的に大変に苦しいことが認識されてきている。しかし、定員不足が続いた場合に、思い切った改善の方策を打ち立てられない。そのきっかけと、どの時点で実施するかと暗中模索している現況だと思います。だから、教育サイドが今の学生の現状や将来を考えた場合、もう少し定員を削減して絞って質を高めていくことが非常に必要だと、経営サイドを説得することも肝要だと思います。必要なことは、経営者サイドに学生の質の厳しい状況を、何らかの方法で伝えることです。先ほど文部科学省と経営サイドとの間でのコミュニケーションはとられていないという御返事だったけれども、薬学、薬剤師の将来像等についての可能性とか、客観的な事実関係について、経営者側に理解してもらう方策はないでしょうか。
それからもう1点は、定員削減をされている大学はかなりある。また、定員削減を希望するけれども、できたら薬系大学全体でやってほしいという発言も多々あることを聞いています。だから、薬学の今の現状から本当にこのままの定員数でいいのかどうかというのを一度真剣に議論すべきだと思います。最初の6年制ができてどんどん増えていった時点の背景は、地域によって薬剤師が偏重しているから、新規な薬系大学の設置が絶対必要だというのが論拠だったと思うのです。数的には、今、シミュレーションして計算すると地域での薬剤師偏重は別として、薬剤師供給過剰が予測されていることから、ここらで定員数の見直しを検討する会を設けたらいいのではないかと思います。
【永井(良)座長】
それは定員の。
【市川副座長】
定員の問題に関してやっていかないと、質の高度化というのは、次の問題で、定員数削減及び入学者の教育充実等での先生の努力と何かで変わってくる。
【竹中委員】
この資料で法科大学院と歯科の方を拝見すると、経営側と教育者側、その間に弁護士会あるいは歯科医師会が意見を述べられてこういう方になっていったんじゃないかと私は推定しております。
ところで、日本薬剤師会がそういうところに入っていただいて、やはりこれからの薬剤師の数という点もお考えいただけないか。また今もう当然考えていらっしゃるかと思いますので、現状を、差し支えない範囲でお話しいただければ。
【生出委員】
望月先生が座長でレギュラトリーサイエンスという中で、需給問題を予測する手法を探ろうという厚生科学研究をやっているのですが、その中で、やはり我々薬局サイドから見ますと、今後在宅にシフトしていかないと、薬剤師の需要は余り増えないだろう。そうすると、薬局の方ではきちんと在宅医療に関わるようなことを増やしていかないといけないというふうな認識があります。ただ、非常に難しいのは、薬学教育がスタートしたときに6年制と4年制と二つに分かれたということが、結果として今の状況を招いていることもあるのではないかなと感じてはおります。
【永井(良)座長】
あともう一つ、学生がいけないという感じになりがちなんですが、教師は大丈夫なんでしょうか。時代が変わっているときに昔ながらの教え方をしていて魅力がないから志望者も減っているということはないのでしょうか。医学でも十四、五年前からファカルティー・ディベロップメントということで、自分たちで発表したり、どうしたら教育を改善できるかという活動をしていました。今でももちろんありますけれども、あれで随分意識が変わったような気がしますね。しかも薬学教育の研究会も学会もないわけですね。そうすると、むしろここは場合によっては文科省が音頭をとって薬学教育フォーラムでも開いて、それぞれの改善した事例などを少し紹介するだけでも意識が変わって、教育に目を向ける教員も増えてくるということはないでしょうか。そうすると、またそれが高校生にもアピールしてという。
【井上副座長】
薬学もFDに関してはほとんど全教員が何らかの形でFDのワークショップみたいなものに参加しているんですね。なので、教授錯覚とかそういう類いのことに関してはかなり改善はされただろうと思うんですね。
【永井(良)座長】
6年制向けにもそういう教育をされているかどうかですね。
【井上副座長】
そうですね、薬剤師さんたちに対しても、一緒に日本病院薬剤師会と日本薬剤師会の方々も大学の教員と一緒になってワークショップをやって、教育はいかにあるべきかとか、そういう類いのことは随分努力はしてきましたので、それなりにはあると思うんですねただ問題は、なんと言っても大学の教員は実際の薬剤師の経験はほとんどない人が圧倒的に多いわけですね。そういう点での臨床感覚とか現場感覚とか、そういうものにはまだまだ足らない部分があって、どういう薬剤師を理想像として描いてというところに個々の教員が必ずしも戸惑いを持っているとか、そういうのは駄目なんじゃないかなとは思うんですけれども。
【望月(正)委員】
一つ、今、教育の問題で出ているのは、先ほどの入試の倍率の低い大学の先生に伺ったことです。そこでは薬学教育以前の問題、要するに中学教育、高校教育のレベルのことをもう一度やらないと、薬学教育に届かない。そこでは先生方は必死に教育しているから今回の50%、60%、あるいは70%の進級率を維持しているとおっしゃいます。私もそう見えます。ですから、そういう学生が来て、その指導に力を割かなければいけないということと、その大学の先生方に薬学研究もしてほしいと言っているのが今の状態だと思います。ですから、多くの大学、特に問題になっている大学の教員というのはすごく苦労して一所懸命教育しています。
【井上副座長】
だからこそ、そういう大学に入ってくる、入学する学生の質の担保、確保というのはやはりどうしても必要だと思いますけれども。
【望月(正)委員】
そう思います。ただ、実質的には難しい学生が入っているというのは現実だと思います。
【小林委員】
この資料5なんですけれども、市川先生おっしゃるように、本当に私学の経営者サイドでじっくり検討していただいて、今後の方針を決めていただくことはすごく重要だと思うんですけれども、これは一般にもう既に公開されて、誰でもこれが見られる形になるんですか。僕はあんまりこの資料は公開してほしくないなと正直思うんですけれども。
【新木医学教育課長】
この資料はこの検討会で公開ですので、全て公開されています。
それから、個別の学長さんたちとは話しておりませんが、例えば私立薬科大学協会、これは学長さんだとか経営者サイドが入っているところでは、先日も私、講演で、将来すごく大きな問題になるから、早く各大学においても検討してくださいというようなお話は始めたところであります。これからここでの御議論を踏まえて、より強く具体的にいろいろお話をしていかなきゃならないかなとは思っております。
それからあと、永井先生御指摘の、大学でのこういう文科省主催のワークショップ等も、先ほど井上先生からお話しいただきましたように、毎年、特に6年制が始まってからやってはおりますので、大分それは先生方に浸透しつつあるところかなとは思いますが、ただ、質の確保という観点では、入学者うんぬんはもちろんですけれども、やはり先生おっしゃるように、FDの問題は大変大きいので、ここでも御議論いただいて、これから質の保証の一番大きな柱の一つだと思っておりますので、FDには更に取り組んでいく必要があると思っております。
【永井(良)座長】
まだ議論は尽きないと思いますが、またお気づきの点はメール等で御連絡いただくということで、とりあえず今のようなことを参考にして、これから改善の在り方について進めていきたいと思いますが、まずは具体的に入学者定員についてのフォローアップの問題でございますが、さきに入学者選抜についてもいろいろ御議論を頂いているわけですので、先ほどのフォローアップのワーキング・グループ、井上先生のワーキング・グループでこれまた御議論いただくということでお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。いろいろ宿題が出て恐縮でございますが。では、よろしいでしょうか、先生、いろいろなメンバー等についてはお知恵をまたそういう方々からお借りするということで、是非よろしくお願いしたいと思います。
【井上副座長】
フォローアップで最初のところは6年制の後のドクターコースのフォローアップということを言ってあったはずなんですが、まあそれは大分拡大解釈といいますか、拡大されたとなると、フォローアップのタイトルといいますか、それはちょっといじくっていただかないといけないと思うんですけれども。それはよろしいんですか。そういえば、何かタイトルがちょっと。
【永井(良)座長】
正式名称はどういうワーキングということになっていますでしょうか。
【伊東薬学教育専門官】
資料3では、一応フォローアップワーキング・グループという名前にはしてある……。
【井上副座長】
何のフォローアップなのかこれじゃあ分からない。
【新木医学教育課長】
そうですね、最初から両方できるような名称になっておりますので、御心配は。
【井上副座長】
そうですね。何かこのフォローアップの前に何かちょっとつけるように考えてもらえればと思いますので。
【永井(良)座長】
確かに資料3には、フォローアップワーキング・グループですが、所轄事務の中に新制度の薬学部及び大学における研究教育等の状況を継続的に実態把握しという、目的にはかなり広く対象になるということが書かれておりますね。そうすると、新制度の薬学部及び大学院の研究教育等の状況に関するフォローアップワーキング・グループということでしょうか。
しかし、非常に重要なミッションを与えられたワーキング・グループだと思いますが。何か委員の先生方からワーキングへの御注文、御意見等ございますでしょうか。
そうしますと、定員まで少し踏み込んで御議論を頂くということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。では、そのように井上先生にまた一肌脱いでいただくということで、よろしくお願いしたいと思います。
事務局から今後のスケジュールについて御説明をお願いしたいと思います。
【伊東薬学教育専門官】
資料は特に用意はしておりませんけれども、第7回のときに、今後のスケジュールということでお示しはしたところではございます。今回、博士課程の考え方について2回ほど入れておりますので、後ろ倒しに多少なってございます。あとは、本日、質の高い入学者の確保について御議論いただいております。残っているものとして、卒業者の質の保証及び質を重視した評価システムや教育内容と教育体制の改善・充実などの御議論がまだ残っておるところでございますので、今後、これについては適宜御議論いただきたいと思っております。ただ、今議論に出ましたワーキング・グループでいろいろな項目などの御議論をその合間にしていただき、検討会に上げていただくということも考えておりますので、第10回、次回については、恐らく秋口に開催するようなことになるかと考えております。恐らく先生方の中でもお願いする先生がいらっしゃると思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
【永井(良)座長】
よろしいでしょうか。大分時間が余ってしまいましたけれども、例えばただいまの件について、もしお時間を少し使って御意見、御発言されたい方がいらっしゃったら、お願いしたいと思いますが。
【竹中委員】
ワーキング・グループのメンバーの御選定に、少し私立大学の方を多く入れられてはいかがかと。今日の議論を聞いていて問題点がその辺にあると。余り現場の人を入れたら言いにくいという御意見もあったんですけれども、やはりその現場から声があった方がより反映できるのではないかと思います。
【井上副座長】
ただ、私立薬科大学協会の常務理事会とか理事会とか、この定員問題も含めて繰り返し取り上げるんですけれども、実際にはなかなか、御自分の大学は大丈夫と思われるような節もございまして、なかなか議論が深まらないというのが現実なんですね。その辺のところが非常に悩みの種でして。
【竹中委員】
数字のいいところを選ばれ過ぎていると思うんです。数字の悪いところの大学の方をお呼びされたら現実感が出てきてよろしいと。数字といってお分かりになっていると思いますが。
【井上副座長】
ああ、もちろん。そういう大学に評価に伺ったこともあるんですけれども、本当に努力されているんですね。個々のことに関しては、学生のことは本当によく思っているし、様々な機械も本当にいいものを入れたり、様々な努力はされている。にもかかわらず、明らかにこういう定員割れをしちゃっている。そうすると、どういう努力をすればいいのかということを申し上げても、なかなかその大学としての努力はもう限度に来ている。まあそういう大学ばかりじゃないと思います、もちろんもっと改善すべきところが多い大学もあるかとは思いますけれども、一方では、もう大学としてはぎりぎりでやっているんだなと思われる大学もあるんですね。その辺のところはなかなか難しい問題だと思います。
【永井(良)座長】
よろしいでしょうか。そうしましたら、少し時間が余りましたけれども、本日はここまでということで、終了させていただきたいと思います。
事務局から連絡事項はございますでしょうか。
【伊東薬学教育専門官】
次回につきましては、秋口を予定したいと思っております。また日程調整等させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【永井(良)座長】
それでは、委員の先生方、本日は長時間ありがとうございました。これで終了させていただきます。
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