薬学系人材養成の在り方に関する検討会(第7回) 議事録

1.日時

平成23年5月10日(火曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省東館6階 6F1会議室

3.議題

  1. 薬学教育の現状について
  2. 薬学教育の質の保証の在り方とその改善方策について
  3. モデル・コアカリキュラム改訂について

4.出席者

委員

永井良三座長、市川副座長、井上副座長、生出委員、太田委員、北澤委員、北田委員、倉田委員、小林委員、高柳委員、竹中委員、永井博弌委員、橋田委員、平井委員、正木委員、望月正隆委員、望月眞弓委員

文部科学省

新木医学教育課長、小野医学教育課課長補佐、伊東薬学教育専門官、大林技術参与ほか関係官

オブザーバー

厚生労働省 医薬食品局総務課 中井課長補佐

5.議事録

【伊東薬学教育専門官】
 定刻となりましたので、これより薬学系人材養成の在り方に関する検討会第7回を始めさせていただきます。
 このたびは、委員として改めて御就任をお願いし、御快諾いただき、御多忙の中御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。
 私、医学教育課薬学教育専門官の伊東と申します。
 今回は、皆様、再任されてからの第1回目の委員会でございますので、座長が決まりますまでの間、司会を、務めさせていただきます。
 会議に先立ちまして、まず新木医学教育課長より御挨拶を申し上げます。
【新木医学教育課長】
 医学教育課長の新木でございます。昨年3月に第6回を行いまして以来、1年3か月ぶりの再開でございます。先生方には、御多忙のところ、このたびも委員に御就任いただきまして、誠にありがとうございます。
 また、先日の東日本大震災等、大変な状況がございまして、特に被災地から高柳先生にも来ていただいておりますが、被災地の方々にお見舞い申し上げるとともに、そのような状況の中で大変活発に様々な御支援を頂いておりますことに対しまして、改めましてお礼を申し上げます。
 さて、この薬学系人材養成の在り方に関する検討会でございますが、昨年3月に行いましたときに、実態を調べて、特に薬学卒業生が、入学定員が大変増えている中、今後、質の高い教育を行い、社会のニーズに応えられる人材を輩出していくために、実際にデータを把握すべきであるという御指摘を頂きまして、その後1年以上かかりましたが、今日その結果をまとめて御報告しまして、御検討いただければと思っております。
 我々といたしましては、激変する世の中のこのような中で、一方、国民が健康に対する大変高い期待を持っている中で、6年制の薬学教育が無事に完成して、有為な人材が出てくる、さすが6年制で育てた人材は違うと言われるような人材を、是非社会に輩出していただければというふうに思っております。
 幸い、これまで初めての実務実習も昨年、先生方の御協力、御指導いただきまして、無事、終了しております。また、今年第2回目が始まっておりますが、順調に進んでいるものというふうに聞いております。このような中で、一方で定員割れの問題等もございます。そういう中で、これから質の高い教育をしていくための、また質の高い教育を大学にしていただくための環境をどう考えていくか、大変重要な問題と考えておりますので、引き続き御協力をいただければと思っております。
 甚だ簡単ではございますが、今年中には、何とかこの結論を、御見解をおまとめいただければ大変有り難いというふうに思っておりますので、是非御協力をいただければと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
  【伊東薬学教育専門官】  
 それでは、会議に入ります前に、御報告の方させていただきます。これまでと同様、この会議は冒頭より公開とさせていただいております。このことにつきまして御了承いただきたいと思います。
 昨年度末で先生方皆様、任期満了となってはおりますが、今回改めて同じ委員の先生方に御就任を頂いております。そこで大変恐縮ですが、資料にございますとおり、名簿及びお配りさせていただいております座席表をもちまして、先生の御紹介に代えさせていただきたいと思います。
 形式的ではありますが、改めて御就任いただいた第1回目の会議ということでございまして、座長と副座長の方を改めてお願いしたいというふうに存じます。事務局から、大変恐縮ですが、前回まで座長をお務めいただきました東京大学の永井先生に引き続き座長を、副座長につきましても井上先生と市川先生の二人にお願いしたいと考えておりますが、先生方いかがでございましょうか。


      (「異議なし」の声あり)


 【伊東薬学教育専門官】  
 それでは、今後の御進行を永井先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いをいたします。
【永井(良)座長】  
 それでは、よろしくお願いいたします。
 では、事務局の方から、今日の委員の出欠状況の報告、配付資料についての御確認をお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】  
 それでは、本日の出欠状況でございますが、本日は東京大学の長野委員と財団法人先端医療振興財団の村上委員の2名が御欠席ということで伺ってございます。
 それでは、本日、御用意させていただいております資料について確認をさせていただきます。
 まず、資料1、こちらは薬学系人材養成の在り方に関する検討会の要綱と、裏面が名簿となってございます。
 資料2は、薬学系人材養成の在り方に関する今回の検討会の今後の検討課題についてということで、1枚ものを御用意しております。
 それから、資料3-1から3-5、枝番がついておりますが、先ほど説明させていただきました基礎データ関係の資料となっておりまして、3-1が「基礎データ調査の概要」、3-2が「基礎データ集計結果の概要(大学分)」、3-3が6年制の報告書、4年制が3-4でございます。3-5が企業分の集計結果の報告書となっております。
 また、資料4-1は、「薬学教育モデル・コアカリキュラムについて」という1枚もの。それから、資料4-2は、横となっておりまして、昨年度、新薬剤師養成問題懇談会で使用いたしました「薬学教育モデル・コアカリキュラムの見直しに関する意向調査結果について」という資料を御用意しております。
 また、資料5といたしまして、「今後のスケジュールについて」を1枚もので御用意させていただきました。
 さらに、参考資料といたしまして、5種類の方を用意させていただいております。
 まず参考資料1、こちらは「学部教育に関する基礎資料」という資料でございます。
 また、参考資料2-1が「薬学教育モデル・コアカリキュラム合本」、参考資料2-2が「医学教育モデル・コア・カリキュラム」、参考資料2-3が「歯学教育モデル・コアカリキュラム」。
 それから、参考資料の3といたしまして、オレンジの冊子、「高校生のための6年制薬学ガイド2012」、こちらは私立薬科大協会の方でおつくりになったものでございまして、井上委員の方より提出がありました資料でございます。
 それから、参考資料の4といたしまして、「日本の展望一学術会議からの提言2010」薬学分野の展望ということで、前回会議で橋田先生より経緯の御説明がありました資料のセット版でございます。
 それから、参考資料5-1といたしまして、「チーム医療の推進に関する検討会の報告書」、それから5-2といたしまして、その医療の推進についてという厚労省の通知でございます。こちらは永井座長が座長をされている検討会の報告書と、その関連の通知となっております。
 また、机上資料といたしまして、先生方のお机の上に、今までの資料をファイリングにしたもの、それから4月5日に発出いたしました医療関係職種の受験資格などに関する通知、それから、もう1点、雑誌の記事の写しで、北澤委員の方から提供のありました『日経DI』の記事の写しをお配りさせていただいております。
 過不足や落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。
 以上でございます。
【永井(良)座長】  
 ありがとうございます。
 それから、文部科学省と厚生労働省関係者で異動があったということを伺っていますので、御紹介をお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】  
 それでは、御紹介させていただきます。
 まず、こちらから医学教育課の課長補佐の小野でございます。
【小野課長補佐】  
 よろしくお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】  
 それから、医学教育課の技術参与をしております大林でございます。
【大林技術参与】  
 よろしくお願いします。
【伊東薬学教育専門官】  
 それから、厚生労働省の方から中井課長補佐においでいただいております。
【中井厚生労働省課長補佐】  
 よろしくお願いします。
【伊東薬学教育専門官】  
 以上でございます。
【永井(良)座長】  
 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入りますが、前回までの会議におきます皆様方の御意見を踏まえまして、今後の検討課題について整理を頂いております。事務局から資料の説明をお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】  
 それでは、資料2をごらんください。前回まで行って参りました6回の検討会でブラッシュアップしてきた論点メモでございます。御議論いただきたいテーマといたしましては、「大学(学部)教育の在り方等について」ということで、その論点の柱等は変わっておりません。
 2に具体的な論点を記述しておりますが、一つ目は「薬学教育の全体像について」ということで、社会的ニーズに対応した薬学教育の在り方について、それから18歳人口減少期において教育の質を保証するための薬学教育の将来像をどう考えるかについて。
 2番目といたしまして、「薬学教育の質の保証の在り方とその改善方策について」ということで、3点挙げております。「質の高い入学者の確保」、「教育内容と教育体制の改善充実」、「卒業者の質の保証及び質を重視した評価システムについて」、この点につきまして、本日より御議論をお願いする内容となってございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
【永井(良)座長】  
 ありがとうございます。
 それでは、まず薬学教育の現状について御議論をお願いしたいと思います。前回の会議で、皆様方から御意見がございまして、議論のための基礎データの収集が必要であるということでございました。そのデータについて、また、その他薬学教育の現状に関する資料、事務局から御用意いただきましたので、それについて御説明お願いいたします。
                                                                                                                                                                                                                                          【伊東薬学教育専門官】  
 それでは説明させていただきます。
 本日は、薬学教育の現状について御議論いただくに当たりまして、あらかじめ先生方にお届けした資料3-1から3-5、そして参考資料1につきまして、事務局の方から資料を御用意させていただいております。
 まず、資料3関係でございますが、そのデータにつきましての集計結果でございます。
 まず、資料3-1が調査の概要となっておりまして、この調査につきましては、平成22年4月1日現在で行っております。昨年の6月から7月にかけまして、電子メールで調査を行いまして、73大学74学部全てから御回答を頂き、6年制、4年制別に5点の調査をお願いしております。
 1、2、3、4、5、5となっておりますが、1が入試選抜、2が教育体制について、3が教育内容等、4が学費、5、6年制学部については実務実習について、4年制学部につきましては進路状況についてお伺いをする内容となっております。
 それでは、資料3-2、こちらが大学分調査の全体の概要を9ページにまとめておりますので、一般的な例も多くなってはおりますが、前回、委員の先生方から御意見を頂戴した内容などを中心に、御説明を申し上げたいと思います。 まず、1ページ、こちら6年制、それから同じ内容で5ページから4年制の概要が書かれてございます。
 入学者選抜でございますが、まず合格者の最低点などについて調査をいたしております。
 また、入学者の受入れ方針、アドミッション・ポリシーについては、大部分の大学で公表されております。
 それから、3番目といたしまして、転入者の受入れ状況等を行っているかについて伺っておりますが、そういう状況は多いということと、転入者受入れ実績が、6年制の方が多くなっておりまして、この数は年々増加しているという傾向が見てとれるということになっております。
 また、教育体制につきましてですが、実務実習における教員と学生の比率はどうなっているかとの御意見を踏まえまして、その結果につきましては、実務家教員以外について3人から5人という数が多くなっており、1ページの下の方に書いております。実務家教員については、10人以上という数が多くなっているという結果となっております。
 また、6番に参りまして、6年制は教育のウエートが大きいわけでございますが、教員の昇任のための評価において研究のウエートはどのようになっていますかということを聞いていただきたいというような御意見がありました。こちらにつきましては、実務家教員を採用する場合の最重要項目としまして、通常の教員と同じように、教員及び研究能力を重視するという回答が一番多くなってございます。
 また、実務家教員の実務能力・知識を維持するための取組をどのようにしているかということにつきまして、何人程度で行っているかなどについて知りたいという御意見につきましては9番で伺っておりまして、「継続的な実務経験の機会を確保」というのが一番多くなってございます。
 こちらにつきまして、詳細につきましては資料3-3の13ページ以降に詳しくそれぞれの大学の内容が書かれておりますので、後ほどごらんいただければと思います。特に附属病院がある大学では、大学病院への派遣ですとか、病院薬剤部の常駐などという回答が多くなってございます。
 引き続きまして、教育内容について御説明を申し上げます。特に御意見を頂いた点といたしましては、長期課題研究、いわゆる卒業研究について、どのように行っているか、従来の実験ではない文献調査に基づくセミナー形式の長期課題研究が私学で行われると聞いているので、その現状を知りたいというような御意見を頂いておりまして、これにつきましては、6年制については問いの6で、3-3の別紙8、4年制につきましては、問いの4の別紙4に回答をとりまとめております。各大学、特色のあるものが書かれておりますので、ごらんいただければと思います。
 また、5・6年次における卒検、実務実習以外の取組についても、3-3の別紙9の方に取りまとめております。自由回答となっておりますので、こちらで御紹介するのは省かせていただきます。
 また、コアカリキュラム以外の特徴ある教育について知りたいという人の御意見を踏まえまして、こちらにつきましては、6年制については問い9、それから、問い9の資料3-3の別紙10に回答をまとめております。こちらも後でごらんください。
 また、医薬品企業はグローバルなビジネス展開を行っているということで、それに対応した教育が行われているかどうかにつきましてお伺いしております。これにつきましては、6年制については資料3-3の問い10の別紙11に、それから4年制については資料3-4の中の別紙5に回答をまとめておりますが、全体としては英会話などの語学教育や英語によるセミナー、TOEICやプレゼンテーションスキルなどをアップさせるという取組などが記載されてございます。
 5番にいきまして、実務実習につきましては、コアカリキュラム以外の特徴ある実務実習の取組ということで、これにつきましても自由記述で、資料3-3の別紙16に記載しておりますので、ごらんいただければと思います。
 大学関係につきましては、非常に細かいデータとなっておりますので、後ほどごらんいただければと思います。
 それでは、引き続きまして資料3-5の企業分の回答結果につきまして、ざっと御説明させていただきます。
 こちらにつきましては、昨年7月に日本製薬工業協会会員68社に調査をお願いいたしまして、31社から御回答いただいた結果でございます。製薬企業について、製造技術、研究部門ごとに調査を頂きたいということがございましたので、今回、創薬研究、開発、品質保証、技術・製造、営業・学術、管理部門等ということで六つに分けて調査をいたしました。
 まず、表紙をおめくりいただきますと、最初に在職している社員の学位について伺っております。ごらんいただきますとおり、白い部分が薬学以外となっておりまして、薬学系出身者の割合は、全体で見ますと23%ぐらいになっているということでございます。学位については、修士と学士の割合が多くなっているということが見てとれるかと思います。
 また、次のページ、3ページ目になりますが、今後、各職種で望ましいと考えられる薬学系出身者の学位について問うておる結果でございますが、これは複数回答ですけれども、4年制と6年制を比較すると、4年制の方が多い、学位で見ますと、6年制、若しくは4年制の修士修了を求めているということが見てとれます。
 3番目に、その次には、今後各職種の薬剤師資格の必要性ということで伺っております。品質保証や営業、学術分野以外では資格にはこだわっていないということが分かります。
 最後に、自由記述として、薬学系大学、大学院に期待する具体的な内容について、部門ごとにお伺いした結果を取りまとめておりますので、ごらんおきいただければと思います。
 データの関係については以上でございまして、引き続きまして、参考資料1について御説明させていただきます。これにつきましては、現状を示す資料ということで事務局の方で御用意させていただきました。
 まず、1枚目ですが、学部教育に関する基礎資料で、平成23年度の国公私立の設置者ごとに大学別の入学定員を記載した資料でございます。資料の右下に入学定員の総定員の記載をしておりまして、6年制では77学科、11,680名、4年制が32学科、1,509名ということになっております。
 それを1枚おめくりいただきますと、裏面には、薬学部入学定員の推移という資料を御用意しております。平成16年度から平成20年度まで薬学部の新増設が行われまして、平成20年度をピークに、若干ではございますが、入学定員が減ってきているということがグラフから見てとれると思います。
 また、次のページでございますが、こちらは薬学教育協議会で行われている就職動向調査を基に、課程ごとに、平成16年度以降の薬科大卒業生・大学院修了生の就職動向を示した表でございます。
 それから、最後に、4枚目にA3用紙を折り込んでいる資料を用意させていただいております。こちらは入学試験・6年制学科の進級状況ということで1枚に取りまとめて表にしたものでございます。
 まず、これは1番から国立大学、公立大学、私立大学の順番に並んでおりまして、左側には平成22年度の入学定員と志願者数、受験者数、合格者数、入学者数などが記載しております。これは6年制と4年制の学科の合計の数を一応入れてございます。
 また、志願者倍率、実質倍率、入学定員の充足率につきましては、過去3か年間のデータを入れて、記載をしております。
 実質倍率では、1倍台の大学が増えておりまして、1.0倍という大学も複数ございます。
 また、入学定員の充足率につきましては、3年連続で100%を割っているような大学が16大学あるということも見てとれます。
 また、一番右側の欄でございますが、6年制の第1期生が5年次にどのくらい進級できたかという進級率を示してございます。平均では、右下にありますよう、78.7%となっておりまして、大学によってかなり進級率に差があることが見てとれます。
 また、平成18年度に11,950人が入学しているということですが、5年生に進級した者は、この表でいきますと9,408名となっておりますので、2,542名が何らかの形で進級できていないということになっております。
 なお、補足ですが、実務実習の対象になった方が9,408人中9,322人ということで伺っておりまして、この3月末までに病院と薬局で実習が終わったということを聞いているのが7,246名ということで、今、数字を承っておるところでございます。
 そのほかに、北澤先生の方から御提供いただきました雑誌の記事を机上に御用意させていただいております。薬学教育の現状について、御用意させていただきました資料の説明は以上でございます。
【永井(良)座長】  
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明及び基礎データの結果を踏まえまして、薬学教育の現状における問題点と課題につきまして、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。
 調査項目がいろいろございますので、それに関係する事項を満遍なくいただければ有り難いと思います。資料が非常にたくさんございますので、全体像を把握するのはなかなか難しいですが、いかがでしょうか。ちょっと全体を見るお時間を差し上げますので、資料を頭の中で整理いただければと思います。
【生出委員】  
 基礎データの集計結果の3-3の6年制ですが、3ページを開けていただきますと、実務家教員、みなし教員とありますが、病院出身の教員に比べまして、薬局出身が極端に少ないなというデータが出ているのですが、今後、大学等々では薬局の実務家教員というのをどのように考えていかれるのかなと思って聞いてみました。
【伊東薬学教育専門官】  
 全体の数でいきますと、8割が病院の出身ということで、残りの2割のほとんどが薬局出身という結果となっております。
【井上副座長】  
 全くの私見ですけれども、私たちも、病院に勤めている病院の薬剤師さんに比べて薬局の薬剤師さんが非常に大学に少ないというのは、よくよく認識しております。その理由としては、恐らく大学の教員としては、ある部分サイエンティスト的な、そういう要素がどうしても必要で、そういう意味からすると、薬局の薬剤師が、今まではそういう部分がちょっと少ないといいますか、そういう方がなかなか見当たらないとか、そういうことだったのだろうと思うのです。我々としては、薬局の薬剤師と連携して、例えば学位が取れるような研究を一緒にするとか、そういうようなことで素養を高めていただくとか、そういう対策で対応するのかなとは思っておりますけれども。
【永井(良)座長】  
 やはり大学ですと、科研費の取得率だとか、大学院生を何人アトラクトできるとか、そういうことが重要になってきてしまうのでしょうね。それはそれとして、実務的な教育はしないといけないということだと思うのですが。
【望月(正)委員】  
 薬局の薬剤師さんは、むしろみなし教員となって大学教育に参加されている方は結構おられると思うのです。やっぱり実務家教員として大学に、要するに所属を完全に移すことができるかどうかというのは結構難しい問題なのです。病院に勤務されている方はできても、薬局を御自分で経営されている方が、その主体を大学に移すというのは非常に難しく、結局はみなし教員という形で来ていただくというのが非常にやりやすいのではないかと私は思いますが。
【永井(良)座長】  
 その場合には、例えば非常勤講師であるとか、何か連携教員のような形になるのでしょうか。
【望月(正)委員】  
 いいえ、みなし教員は、文部科学省の最初の規定かどうか分かりませんけど、きちんとした教員で、教授会にも出ていただきますし、人事権もあります。
【永井(博)委員】  
 私、狭い範囲の経験ですけど、私が以前おりましたところでは、8名のうち8名とも病院出身ですが、ただ、そのうち3名の方は薬局での経験もおありになる。ですから、最終的に病院出身というふうに書かれてありますけど、この中には、恐らく薬局での御勤務の経験もあって、病院に移られた方もおありになるのではないかというふうに思いますけど。
【生出委員】  
 そうですかね。はい、ありがとうございます。
【高柳委員】  
 先ほどの井上先生と考え方は同じですけれども、地方にいますと、実務家教員を採用するときに、学位を持った方が非常に少ないのです。これは病院でもそうなんですけれども。それで非常に苦労しました。病院の薬剤部で学位を持っている人に声をかけても、ちょっと大学には戻りたくないというふうなことがありまして、そういうことで、まず大学教員ということですから、先ほど出ましたけれども、ある程度学位を持っていることが、まず必要だろうなということでいろいろ考えていくと、どうしても病院の方に偏ってしまっていると、こういうふうに思います。
【永井(良)座長】  
 あと、一番驚いた数字は、留年者ですね。2,500名ですか。その人たちは、どういうふうになっているのですか。1年遅れているのか、2年遅れているのか、あるいは場合によっては退学されているのか、その辺の状況はお分かりでしょうか。
【伊東薬学教育専門官】  
 当方では、把握しておりません。
【井上副座長】  
 多分1年遅れている人も、2年遅れている人も、辞めてしまう人もいるということだと思いますけど、その中で大学によっても違いますよね。だから、先ほどの3のデータで言えば、実質倍率が低くて、かなり無理して入学させていると、なかなかついていけないとか、そういうことは当然あると思いますし、ですから留年を問題にするよりも、アドミッションをどうするかということが多分一番大きな問題なんじゃないかと私は思います。
【竹中委員】  
 ちょっとお尋ねしてよろしいですか。これは4年生から5年生になるときの留年を意味しているのですか。
【井上副座長】  
 1年からです。入ったときから、ちゃんと順調に5年まで来たかという。
【竹中委員】  
 入学されてから4年間、ただずっと上げておいて、そこでばっと切るわけではないのですね。
【井上副座長】  
 そういう大学はあるかもしれませんけども、恐らく、それは少ないだろうと思います。
【永井(博)委員】  
 これは大学によって事情が違うと先ほどおっしゃいましたけど、私ども公立大学の例でいきますと、退学者が多いことが非常に大きな原因で進学率が落ちているのだと思います。受験のもともとの日程が、C日程という形で行われておりまして、非常に退学者が多いのが公立大学の場合は原因で進学率が悪いということになっていると思います。
【永井(良)座長】  
 それは年度によって違うのですか。
【永井(博)委員】  
 特に1年、2年で、もう退学する者が非常に多い。進路変更が非常に多いということで。
【井上副座長】  
 多くは医学部、お医者さん志望でしょうか。
【永井(博)委員】  
 そうですね。医学部志望で転学科する者が非常に多いですね。
【竹中委員】  
 東大の薬学では、去年から今年にかけて医学部に変わろうとしているのか4、5名、2桁にはいっておりませんけど、そのぐらい見られまして、実際に研究室に配属されても、どうも落ち着いて研究をやってくれないという者が、中には散見されました。これも学校によって違うのではないでしょうか。
 私の個人的な意見ですが、進路を変えて別の道に進むのは、別にそんなに問題はないと思います。一番ここで議論していただきたいのは、薬学を目指してこられて、そして結局全うできないという方に、どうしてあげるのか。救済法と言うと、ポジティブではありませんが、考えてあげるべきじゃないかと、思っております。
【永井(良)座長】  
 途中で退学した場合には、最終学歴は高卒ということで、4年制に変わることはできないのでしたか。4年で卒業ということはないんですね。すると、大学の方も、なるべく上げてあげようとして、進路変更の適性の見極めが遅れてしまうということもあるかもしれないですね。
【望月(正)委員】  
 関連したデータはまだそろってないのですけど、多分この次の代は11,000人ぐらいの学生が実習に出ると思うのです。要するに初年度は2,000人ぐらい落ちました。1年待っていたというのが多くて、その一つの原因は、共用試験の様子見というか、共用試験が非常に難しいのではないかというような考えで、最初はある程度落としていた可能性はあるかと思うのです。だから、今年の共用試験の受験者数と成績も今、集計中だと思いますが、それが分かると大体の3か年の様子がつかめてくるのではないですか。
 私が考えるのは、退学した人もいるのですけど、問題なのは、たまっている人をこれからどういうふうに教育するかというのが、ちょっと考えなければいけないことだと思うのです。ですから、逆に言うと、今年度の共用試験を心配しているのは、昨年度までと比較して、少しずつ弱いところが出てくるかなという気がします。2年目までうまくいったんです。3年目もうまくいってほしいというのが願望ですけれども。
【井上副座長】  
 データを見ないと分かりませんけども、望月先生がおっしゃるように、4年から5年のところでの留年が、もし突出していれば、多分そういうことだと思うんですけども、必ずしも共用試験のところでそれぞれの大学が抑え気味にするというだけではなくて、もうちょっと一般的に、1年から2年の段階、2年から3年の段階でも、積み重なってこういう結果になっている部分がかなりあるような印象を持っているんですけども、その辺はどうでしょう。
【市川副座長】  
 私もほぼ同じような意見ですが、いろんな理由があるかと思います。それぞれの大学によって、進級のときにどれだけの単位を落としたら駄目かというのを設定しているところと、設定しないところがあって、それによってもちょっと違うと思いますが、一般的に薬学部の場合には、大方設定していると思うんです。1年から2年、2年から3年のときに、例えば七つ残していれば駄目とか、五つは駄目というような、それによって留年が起きてくる、今、井上先生がおっしゃったような年次に増えてくるという留年学生ですね。
 それから、もう一つが、これは非常に私的な見方だけれども、私立薬科大学の場合には、国家試験がまだ一度も開催されていないというところが一つのネックになっていると思いますが、プレッシャーになっているという言い方をしていいのかもしれない。どういう国家試験になるかというのが分かっていないので、第1回の試験に対して、できるだけ高い合格率を得ようという努力をしています。それは、良い薬剤師を育成するという見方からするならば、良い人をたくさん出したいということで絞っているということがあるかと思いますね。ですから、その両方が重なった状態で、今11,000幾つかある数が9,000幾つかになったということで、共用試験の受験者数から見れば、1年目、2年目は同じ数でした。多分3年目ぐらいにたまってくる数が増えてくると思うので、これから後がちょっと大変になってくる。ちょっとどころか、教育のカリキュラムの上では、その人たちのためのカリキュラムがまた設定されてきますから、全体の正規の薬学教育の中で、もう一つ重い負担が入ってくるというところが、今後のために少し憂う状況じゃないかなと思います。でも、どうなるかというのは、これからの問題だと思いますけど。
【永井(良)座長】  
 アドミッションの問題が先ほど井上先生からお話出ましたけど、北澤委員がおまとめになられている資料がありますけど、ちょっとこれについて御説明いただけますか。
【北澤委員】  
 今日、『日経DI』の正月号で特集しました6年制薬学部の特集記事を先生方に見ていただきたいと思いまして、持ってきました。
 ここに出ているデータは、私どもで行ったアンケート調査と、それから、ほかはいろいろなところから既に出ているものをまとめただけです。
 私の言いたいのは、大体記事に書いてしまったので、読んでいただけたらうれしいなと思うんですけれども、加えるとすれば、私どもの読者の、主に薬局の薬剤師の先生方に、6年制薬学部についてどう思うかとお尋ねしたところ、「良いことだと思う」と「4年制のままでよかったと思う」という人が大体半々ぐらいで、薬局の薬剤師の先生の多くが、6年制薬学部について、まだ「いいものだ」と確信できてないという点と、それから子供を6年制薬学部に進学させたいですかという問いに対して、「進学させたくない」という人の方が随分多かったという点ですね。
 私どもの雑誌は、読者の方々全員が薬学部出身者で、薬剤師として働いている人ですけれども、そういう方にとって、今の6年制薬学部とか、6年制薬学部でやられている教育、あるいは学費の高さ、それから2年余計にかかるとか、いろいろな理由はあると思いますけれども、それが必ずしも魅力的に映ってない。誰も卒業生が出てないので、確定的なことは、まだ何も言えないのですけれども、少なくとも今のところでは、6年制薬学部って、これで本当にいいのというふうに思っている薬剤師の人が、私が当初思っていた以上にたくさんおられたなというふうに思いました。
 ここで自由意見も多少紹介しているんですけれども、ほかにもたくさん自由意見をちょうだいしまして、もともと4年にしておけばよかったのにとか、何で6年なのかいまだに分からないとか、そういう声がたくさんあったんですね。そのことも今6年制の薬学部におられる先生方には、ちょっと考えてほしいなと思っています。
【永井(良)座長】  
 判断するのは、まだ早いような気もするのですけどね。ですから、あとはいかに良い教育をするか、良い卒業生を出すかということで、やはり、教育の仕方ですね。非常に理念の高い、レベルの高いことを教育していますから、かなり教員の方々も分かりやすく、本当によく理解して教えないと通じないのではないかという気もするのです。その辺で教育の工夫とか、いろいろなことを試行錯誤してやっていかないと、社会に存在が見えないということが起こり得るとは思うのですが。ただ、まだちょっと判断するのも早いかなという気もしますけど、いかがでしょうか。
【正木委員】  
 この基礎データの6年制の方の自由記載を見させていただきまして、ちょっと感想を述べさせていただきます。
 教育内容に関して現状の薬学教育の問題点と今後の薬学教育のあるべき姿について調査されております。これは実際に教育を担当していらっしゃる方々が、現在の6年制の教育をやってみて、問題点をどのように捉えており、今後のあるべき姿をどういうふうに考えているかということが、率直に記載されているのかなと思いました。
 これを読ませていただいたときに、4年制から6年制に変更になった際に、どこに教育内容が追加されるのか、重点が置かれるのか、それについて様々な意見が書かれていまして、多少やっぱり教育側もどこに重点を置くのかということを迷っている段階なのかなと思いました。
 ある自由意見では、6年制になったことによって、修士相当の研究をさせているというように書かれているところもあれば、6年制になったから、もっと臨床の教育、臨床薬学の教育を充実させるべきだということが書かれているところもあるというように、重点の置き所が分かれているというか、どこに重点を置くかということが、まだコンセンサスを得られていないのかなと思いました。
 その中でも、とても参考になった意見としまして、薬学教育は、基礎薬学、応用薬学を経て、最終的に臨床薬学に至り完結されると。そのため臨床薬学を結実させるためには、基礎、応用の両薬学教育が着実に実施され、十分に下支えできるものでなければならないという意見がありまして、まさにこれが6年制のカリキュラムの根幹になるのではないかなという印象を持ちました。
 そういう意味で、今まで4年制のときは、恐らく最初の基礎薬学、応用薬学までが中心で、臨床薬学は就職した後にいろんな研修等を通して自己研鑚(けんさん)されていたのかと思います。それが6年制になって、臨床薬学までを通して6年間で薬学教育をされるということになったので、この基礎・応用薬学が下支えとなって臨床薬学があるという教育体系を充実させていくような方向が必要なのかなと思いました。
 以上です。
【永井(良)座長】  
 基礎学力というのはどうでしょうか。基本となる国語、数学、英語がしっかりしてないと難しいことを教えてもなかなかついていけないですね。これはいろいろなところで見聞きしていますけれども、その辺の教育体制というのはできているのでしょうか。
【井上副座長】  
 それこそ大学によって、国公立大学が多分それなりのレベルで基礎的な力も、ともかく受験科目も多いですし、それなりのあれにはなっているのだと思うのですけど、私学の場合ですと、本当にこれだけのたくさんの大学がありますから、様々なレベルの学生が、非常に多様な層の学生を受け入れているということになりますので、そういう人たちの下の方に合わせれば、リ・メディアル教育にどんどんエネルギーを割いてしまうということにもなりかねない。そうすると、一部の上の方にいる学生にとっては極めて不満な、大学教育がこんなことでいいのかという思いもするとか、非常にレベルの幅が広い学生層になっているというところも、教育しにくいところではないかなと思います。
【高柳委員】  
 全体で見て、いろんな大学で見て、非常に多様性がある学生の質ということもあると思いますけれども、私どもの大学、同じ大学で比較しても、恐らく各大学、ここ数年、学力低下があるというふうに皆さん感じているのではないかと、こういうふうに思います。
 私の大学では、入学してから学力試験をやっているのです。同じ問題で、平成18年頃からずっとやっているのですが、同じ問題ですから、すぐ分かるのですが、年々着実に点数が下がっているわけです。これは学生の質が実際、本学の場合は6年制になってかなりレベルが低下してしまったということもありますし、それと、やはりゆとり教育の高校で学んでくるレベル、これも変わってきてしまっていると。それに対する対応も大学としていろいろ考えなければいけないのだろうというふうに、低学年の学力低下はもう明らかですけれども、それに対して低学年の導入教育、これをいかに充実させていくかというのが各大学の大きな課題かなと思っていますけども。
【永井(良)座長】  
 入試の選抜方法とか定員の問題というのはどうでしょうか。今のままでいいのかどうか。
【高柳委員】  
 私のところは、単科の薬科としては非常に大規模大学で、東京薬科は420人ですから東京薬科ほどではないですけど、明治薬科、本学、京都薬科が360人で、その大学は、当時はほとんど1.1倍で400人入れていたのです。6年制が始まる前は、定員の1.1倍というと400人ぐらいになり、入れていたわけですが、それでも質の問題とか、そういうのは余り出なかったのです。今度6年制になって、本学の場合は、今現在、定員300人です。定員300人で、ほぼ300人に近づけようという努力をしていますので、実質的な入学者数では100人減っているのです。前は400人入っていて、今は300人。ですから、入学者数の削減率は25%、そのぐらい定員削減していると、本学の場合は考えています。それでも、なおかつ質の問題がどうしても大きな課題になっていると。それほど急激にいろいろな変化が出てきているのではないかと思います。
【永井(良)座長】  
 単位認定については、大体同じ基準をずっと貫いているわけですか。
【高柳委員】  
 そうです。
【永井(博)委員】  
 ただいまの点について、いかがでしょうか。
【井上副座長】  
 いずれにしても、薬学にとって大変危機的な状況であることは、もう間違いないと思うのです。現状分析だけしていたのでは、じり貧になってしまうことも間違いないわけで、何とかしなければいけないということだと思います。
 だから、悪循環してしまって、偏差値35でも6年制薬学に入れるということが世の中であれしてしまうと、これはますますそうなっていくということになりますし、その辺をいかにして回復させるかということが一番重要で、そのためには我々も6年制薬学はどんな教育をするのか、あるいはどんなふうな薬剤師を養成しようとしているのかというようなことで、このパンフレットも出させていただいたわけですけども、それでどれだけの効果があるかというのは、なかなか難しいだろうと思うのです。実質的なことをどうすればいいのかということを、本当に真剣に考えなければいけないだろうと思います。
 法科大学院なんかですと、ある面では、これは文部科学省が指導されているのか分かりませんけども、定員を強制的に減らさせるとか、様々な方策をやっておられる。そういうようなことにならないうちに、薬学全体でもって、どうすればいいかをちゃんと考えていかなければいけないのだろうというふうには思うんですけども、じゃ、良い策があるかと言われると、なかなかないという。
【平井委員】  
 高柳先生に御質問なんですけど、学生さんが100人実質に減ったということで、教員数は以前と変わらないとすれば、教育の負担というのは若干でも軽くなったのでしょうか。
【高柳委員】  
 いや、そういうことはありません。実際には教員の負担は同じです。1学年3回ぐらいに分けてやっていますので。
【平井委員】  
 私は、学生の数が減れば、少しでも教員の負担が軽くなって、教育に実質的に十分な教育ができるようになるのではないかなと思ったんですけれども、数が減っても負担が変わらないのであれば、単に学生の数を減らすというだけでは駄目で、施設と人員を増やすということを考慮しないといけないのではないかなと思いました。
【高柳委員】  
 教員も前よりは増やしております。ただ、このアンケートでもいろいろ出てきていますけれども、6年制になって、従来の教育以上にものすごく教員の負担が増えているのです。ですから、いわゆる講義の回数は、正直言って前と同じですけれども、それ以外の実務実習、いろんなものが増えていますので、むしろ教員はとにかく忙しい、忙しいと、こういうふうに言うと、そういう傾向ですね。
【平井委員】  
 そしたら、やはり教員が疲弊してしまうと、いい教育はできないので、教員の教育に対して熱意を持って与えられるような環境をどうしたらいいのかというので、一つ実務家教員の話で、教育と研究というふうに重視するとかありましたけれども、実際、教育、研究というのをどういう比率でやっておられるのか、それと研究に関しては、例えば論文というので分かりやすいですけども、教育に関する評価をどういうふうにやっていくのか。これは医学部でも同じことですけれども、なかなか難しいので、そのあたりをきちんと評価できるようにして、意欲を持って教育する。教育に一生懸命やった人は報われるというような制度は、どうしても必要になってくるのではないかなと。各大学、工夫されているとは思うんですけれども、なかなか決定打がないような感じがします。
【高柳委員】  
 それはどこの大学でも、いわゆる教員評価問題というのが非常に大きな課題ですので、教育研究、あるいは社会貢献、管理運営といったような幾つかの分野に分けて、そして今はむしろ、みんな点数化していますよね。講義をどのぐらい持っているとか、研究でどういうふうになっているかという、そういうものの教員評価をしていますけれども、問題は出た評価をどういうふうに教員に反映させるか。ある私大では、評価でよかった人に対して、給与の面でいろいろ反映させるというような大学も聞いていますけども、まだ私のところは、給与で差をつけるというところまではいってないところなんですけども、だんだんそういうふうになりつつあるのかなという感じがしていますけれども。
【竹中委員】  
 ちょうど薬学の6年教育をしようとする頃に、薬学部がたくさん増設された。私の理解がちょっと足りないところがあるのですが、両方を意図的に行ったのか、たまたまそれが重なったのか。それはいいとしましても、それによって今、質の低下とか、あるいは数が増えてしまった問題が出ております。製薬業界でも、製薬協に属する研究開発型会社は年々減少し、今では70社以下になった。コンペティションの中でとう汰されて、減少しています。私立大学では教育の質を良くするためには経済的な、いわゆる経営的な基盤をしっかりしなければいけない。高柳先生がおっしゃったように、例えば、ここで一気に質を落としたら入学者が減少し、経営が恐らくうまくいかなくなるだろうから、定員を減らしてでも、学生・教育の質を保とうなどと、いろんなやり方をされている、私立大学は、今競争の真っただ中にいます。企業なら、競争勝ち負けで済みますが、教育では学生がいるのですから、単に勝ち負けでは済みません。この大学数増加・質の低下の問題について正解を出そうと、強いリーダーシップで引っ張っていく大学人が出てこなければなりません。
 このまま放っておこうと。あと、卒業生が出て、3年ぐらいたってみたら、やっぱり駄目だ、あそこが潰れたかと、こういう話で終わってしまっては、教育ではいけないのではないかと思ったものですから、あえて言わせていただきました。
【永井(良)座長】  
 恐らく国家試験の合格率で社会は判断するのだと思うのです。それが出てきたときに悪循環が始まってしまうと、本当に入学者が集まらないということもあり得るのではないかと思うのですが、何かこの点について御意見ございますか。
【高柳委員】  
 先ほどの6年制と新設の問題ですよね。経緯としては、もう6年制が始まる前からというか、平成15年あたりは、むしろ薬学は偏差値で見るとかなり難しくて、なかなか入れない学部の方に入っていたわけです。競争倍率も非常に人気があったと。そういうところで、ほかの他大学がどうしても薬学部だったら大丈夫だろうというところで、新規参入してきたわけです。そのときに、もう6年制の議論も少しずつ出ていましたので、私立薬科大学協会とかいろんなところから、文部科学省にも、今、新設だけは認めないでくれと、これから実習の問題もあるしということで、要望書は何回か出しているのです。ところが、それが前にも言ったかと思いますけれども、全く効果が……。一つできてしまえば、あとはどんどんできてしまうと。
【竹中委員】  
 失礼ですけど、その結果が今ここに出ているものですから過去のことは止めて、今後どうされるのか御議論された方がいいのではないかと思います。
【望月(正)委員】  
 そもそも、それがこの検討会をつくった一つの目的だったのではないですか。大学の教育はいかにあるべきか、大学とはいかにあるべきか、その基準に届いてないのはどうしたらよいか。難しいですけど、評価機構で作るものかどうか分かりませんが、要するに薬系大学の基準というのは何だろうというのをここで考えるべきです。北澤さんが出されたデータを見て、BF(ボーダーフリー)である大学をそのまま放っておいていいのかということになります。相当厳しいことを、この検討会の名前で言わざるを得ないところにきているのではないでしょうか。さもないと薬学教育全体が終わってしまう。終わってしまうというのは大げさですけど、全ての薬系大学の教育が同じ目で見られるという点だと思います。
【井上副座長】  
 放っておけば、自然とう汰になってしまいますから、だから自然とう汰というのは避けなければいけないとしたら、何ができるかということだと思うのです。基本的には、どの大学も文科省がやってくれないのであれば、自主的にかなり大幅に定員削減をしないと、どういうふうにすればいいのかよく分かりませんけども、経営が成り立たないのであれば、思い切って定員を下げて、授業料は上げて、経営は何とか成り立つようにするとか、そのぐらいの問題を考えないと、なかなか抜本的な、ネガティブな循環みたいなものを断ち切ることはできないのではないかとすら私は思うのです。
【望月(正)委員】  
 ただ、救いなのは、少なくとも、そういう大学に入った学生は半分以下になったかもしれませんけども、共用試験をちゃんと合格しました。実務実習も行って、それなりに薬局、あるいは病院から評価を受けてきたと思うのです。それが今の6年生なのです。その6年生の1年間をどういう教育するかというのは大学の責任だと思うのです。その中で、今日の資料の中の薬学部における5・6年次における卒業研究・実務実習以外の取組というところにありますように、各大学がそれぞれの特徴を持って一生懸命教育をしています。この大学はこういう薬剤師を育てようということで、必死にやっている大学と、どうやっていいか分からない大学と二つあると思うのです。そのあたりの指針もここで出せたらと思います。そのとき絡んでくるのは、新しいアドバンスト教育と、そのほかに卒業研究と国家試験の勉強というのがあるのです。国家試験の勉強、先ほどありましたように、とにかく100%合格にしたいというのが各大学の希望です。国家試験の問題はどうあるべきかと、これは厚生労働省の方の管轄だと思います。今まで単に詰め込んだものを出すのではなくて、6年間教育を受けて、それまでに受けた判断力、理解力などを総合的に出せば解ける、そういう問題をつくらないと、やっぱり薬学教育はおかしくなります。そのあたりを文科省と厚労省、それから一番に大学関係者全体が努力して、とにかく今6年生にいる学生を、世の中から良い評価が受けられるように出そうというので一致するべきだと思うんです。
【井上副座長】  
 理論的には大変いいお話だと思うんですけども、実際には国家試験の問題とか、そういうものに多少関わった者としては、いかに難しいか。考えて解かせる問題を出そうとすると、そういう問題が何題できるのかとか、様々な本当に難しい問題があって、望月先生がおっしゃったことは、ものすごく正論で、是非そうありたいというのはよくよく分かるんですけど、実際の現実を見ると、なかなかそう簡単ではないのではないかなと。特に国家試験というのは、うっかりすると法科のケースで、国家試験の成績が悪い大学には助成金カットとか、そういうふうなことまで言われているような時代に、薬学にもこれが適用されてしまうということも心配するとすれば、本当に国家試験に向けて、恐らく卒業研究なんてどこかへ吹っ飛んでしまって、国家試験の対策にということにもなりかねない状況だと思うのです。なので、いろんな点で直さなければいけないといいますか、考えていかなければいけない課題は実に多いなというふうに感じていますけど。
【永井(良)座長】  
 今の時代は、情報が行き渡りますから、あの大学の合格ラインは何点だというと、受験生がそこの層が来るという。それを戻すのに何年もかかります。これを相当努力して手当てをしていかないと、元のレベルに戻っていかないのではないかなと思います。
【望月(眞)委員】  
 薬学に入ってくる学生さんの質の部分、それから定員割れの部分にどう影響しているかについて、先ほど新設が増えたせいもあるのかもしれないという議論がありましたけれど、もう一つは、薬剤師の需給の問題等を含めた、社会的に薬剤師という資格を持った人をどう受け入れていけるだろうかというところに対する不安もあるのかなと思うのです。
 北澤さんがまとめた、この『日経DI』のアンケート調査でも、薬剤師として現に働いている方に対して、そのお子さまを進学させる気があるかどうか等々の調査結果を見ても、余り前向きでないという結果も出ているというところは、やっぱり出口のところに対する不安というのが、入ってくる側にも影響している部分というのは大きいのかなというふうに思うのです。医学部、歯学部というのは、定員の見直しですとか新設ですとかをかなり慎重にコントロールされているというところがあると思いますけれども、薬学は、実は薬剤師の資格そのものを直接使う職種でないところにも職域を持っておりましたので、その辺はすごく特殊な形で、新設、あるいは定員の増加というのが、これまで行われてきてしまっていたというところにも、私は一つの原因があるのではないかなというふうに思いますが。
【北澤委員】  
 今、望月先生が薬剤師の需給問題について言われたのですけども、私も今、薬剤師の取材をしていまして、非常にそのことには同感です。今日は1月号の薬学部の特集記事を先生方に見ていただいたのですけれども、今年の4月号で、薬剤師の年収調査というのをやったのです。そうすると、常勤薬剤師さんの年収は、この10年で大体100万円ぐらい増えています。なので、薬剤師としての満足度は上がったのです。しかしながら、もう一回生まれ変わったとしたら薬剤師になりますかという質問に対する答えは、「なります」というふうに答えた人の割合が、10年前より今の方がわずかに少ないのです。だから、結局100万円年収も増えたし、今の満足度は上がっているのだけど、将来どうなのかなというのを不安に思われているんだなというふうに、そのとき感じました。
 その後、5月号の東日本大震災の特集では、被災地で薬剤師さんが大活躍しているのです。医師の方々からも、非常に薬剤師が頼りにされて、医療チームの中に薬剤師がいると、こんなに仕事がうまくいくのかみたいに。例えば、患者さんの薬を、これは何の薬とか探してあげたり、チームの中に薬剤師がいて、医師やほかの職種と一緒に仕事をすることが、チーム全体にとって非常に限られた状況の中でどれだけ良いのかというのを、薬剤師もびっくりするぐらい評価されたのです。
 それを考えると、望月先生がさっき言われた出口の部分、薬剤師というのがどういう仕事ができる人かということを、今いる薬剤師と、それから来年以降出てくる6年制を出てきたニュー薬剤師の人々が、こんなにできることが増えているんだということをもっと見せないと、先生方が懸念されているように、じり貧になっていくのではないかと個人的にはそう考えていますし、5月号の特集でも書いたのですけども、今は薬剤師にとっては、言い方は悪いかもしれませんが、ある意味チャンスだと思います。今まで医療職種の中でも、どちらかといえば医師や看護師に比べて、あんまり出てこないというか、目立たない人だったのですけれども、テレビにはあんまり出てこなかったのかもしれないのですけども、現場に行ってみると、本当にすごかったというのが、取材に行った実感なのです。なので、やっぱり薬剤師のできること、卒業後にできるキャリアというのを一緒に考えないと、学部教育だけ考えていても駄目なのではないかなと思います。
【永井(良)座長】  
 確かに6年制になったというのは聞いているけども、どう教育が変わったか、キャリアパスを踏まえてどういう教育が行われて、前よりも活性化したというような話は余り伝わってこないですね。今の震災の話は、私も、病院長の方々から聞いています。
【望月(眞)委員】  
 それで、私は、実は永井先生が座長でおまとめになられた報告書、チーム医療の推進についてという報告書、この中には薬剤師というのがどういうことをすべきであるということが、かなり踏み込んだ形でまとめてくださってあると私は思っていまして、この参考資料5-1ですけれども、まさに、ここを今後はきちんと実践できる資質を保証していくような、基本的な薬剤師の資質としての教育を行っていけるように薬学が関わっていかなければいけないだろうと思うのです。ただ、私は今の薬学の定員の人数全てがこういった教育の対象になるかどうかというのは、ちょっと教員、あるいは実習先の教育者の人たちの負担を考えると、適切な人数というのは、もう一度考えなければいけない時期なのかもしれないなというふうに思います。実際、私どもの大学でも、6年制に籍は置いているけれども、卒業した後では医療現場での薬剤師として働いていくつもりがあるという学生は結構少なかったりするのです。その辺のバランスというのが、とても今考える時期なのかもしれないと思います。
 薬学は、薬学科とともに研究者養成を目的に薬科学科というのを持っていますが、今まで余りにも6年制の薬学科の教育を中心に議論をしてきたので、薬科学科の議論というのが置いてきぼりになっていて、薬科学科が薬学部に存在するような教育ができているかという方の議論も余りできていないところもあります。薬学にそういう学科があることも考えつつ、本当に良い資質を持った薬剤師養成を6年制の学科でやろうとしたときに、適正な教員の配置と適正な定員というのを、社会のニーズも含めて、もう一回考えなければいけない。すぐに結論は出ないと思うのですが、今はそれに着手を開始するその時期なのかなというふうに思います。
【竹中委員】  
 今、望月先生がおっしゃったことは、私は実は薬科学と薬学、二つの制度があられるというのをいつも不思議に思っている一人でございます。ところで最近、医学部の方を勉強させていただきましたら、医学部では、MDで研究者になりたい方には、最近、研究指向型コースというのを大学において設け、10人ぐらいの特別枠を持っています。みんな医師は目指しているのですが、早くから研究型コースに行ってMD-PhDコースを行くコースをつくられているのです。
 ここで、薬学の場合は完全に二つのコースで、ただ、4プラス2の方は薬剤師になれない。ここが医学部と違う。最近、医学部のシステムを勉強させていただいて、なかなか考えたな、これはいいシステムだなと思ったものですから、今後、薬学の方々にも、そういうのは何か参考にされたらよろしいのではないかと思いました。永井先生が、この辺は一番御存じだと思いますが。
【永井(良)座長】  
 そこもいろいろ事情がありまして、基礎医学へ行く人が少なくなったので、本音のところは、そのまま基礎医学をやってほしいということがあるのでしょうが、ただ、アメリカで医学研究者を見ていますと、ある程度臨床をきちんと経験して志を立てて研究をした人が一番伸びているのです。そういう意味では、私は6年制の薬剤師さんは、少し臨床経験を積んで、もう一度研究へ戻った方、そういう方の場合、特に臨床の課題を踏まえた研究に進みたいというモチベーションの強い方は、意思さえ強ければ、非常に良い研究者になるのではないかと期待しています。いろいろなコースを用意しておく必要があるのです。早くから研究へ行きたい、臨床をずっとやりたい、臨床をやってから研究をやりたい、いろいろなコースの用意は必要だろうと思います。この辺も、次回以降、キャリアのつくり方ということで議論をしたいと思います。
 それから、先ほどのチーム医療のことも、まだ先がなかなか見えないのですが、やはり外国ではどうなのかということを、よく念頭に置いて、今から準備をしておいた方がよろしいだろうと思います。外国の場合は、かなり薬剤師さんの権限はあるわけで、今の日本の枠の中で考える必要は必ずしもないだろうと思います。積極的に実績を積む、そのためには何をやっていくべきかという議論をした方がよろしいのではないかと思います。
【平井委員】  
 先ほど、北澤委員がおっしゃっていたお話で、現地で薬剤師が活躍しているという、我々のところも病院からも出していますし、また生出先生もお帰りになりましたけど、薬剤師会の方からボランティアということで当薬剤部から薬剤師が行ったりしているのですけど、現地で兵庫県の医師会と協働して、兵庫県の薬剤師会で活躍してくれたのですが、結局、結論を言わせていただくと、権限がどうのとか言っていられるのは平和な証拠で、現地に行ったら、そこにいる人が、医師だとか、看護師だとか、薬剤師だとか、職責とか権限とか、そういうようなことを抜きにして、とにかく患者さんのために動かなければいけないという体験を薬剤師がやってきたわけです。そういうことを体験すると、チーム医療というのは何も言わなくても、そこでやっているということなわけです。
 だから、そういう平和なときと非常時と一緒になりませんけども、そういうことをどこかで体験する、それを体験するのは臨床の現場だと思うんですけど、そういうところで現場の緊迫感とか、そういうのを体験した人が、永井先生が先ほどおっしゃったように、また基礎研究にその問題を持ち込むというのが一番強い形だと思うのです。薬科大学の学生のときに問題を見つけて、それをどうやって解決するかという研究のやり方、それの基礎的なことをトレーニングしていただくのがとても大事かなと思います。というのも、我々の薬剤師で、大学院を経験している子と、経験していない子だと、その辺の考え方が、効率的に研究を進めていくという上では、やっぱり大学院の経験のある薬剤師の方が一歩先んじるところがあるのです。だから、そういうのを6年制になって、臨床の教育ももちろんですけれども、それに基づく研究の考え方、そういうメソッドを体験できるようにしていただくのが、現場からもお願いしたいことではあります。
【井上副座長】  
 フォーカスがブロードになってしまって、一番初めの原点の話から大分ずれてきていると思うのですけど、ちょっと今感じたのは、今回の地震や何かのときに薬剤師がそれだけ大活躍したのであれば、テレビとか新聞がもっともっと薬剤師を、とかく医師とか看護師は出てくるんだけど、薬剤師は、私もかなり注意して見ていてもなかなか出てこないのです。何が原因なのかよく分かりませんけども、そういう宣伝とか、一般の社会の人、あるいは、これから進路を決めようとしている若い人たちが薬剤師になりたいともっともっと思うように持っていかないと、このじり貧を脱することはなかなかできないのではないかと思うのです。
【平井委員】  
 それは、恐らくドクターがどれぐらい薬剤師を意識されるかじゃないかなと思います。だから、今、永井先生がおっしゃったように、病院長の会議等で(災害派遣チームには)必ず薬剤師を入れるということが広まると、そういう認識度は高まると思いますし、兵庫県の医師会の会報にも、薬剤師会からボランティア参加した薬剤師の名前を出して、こういう人たちの協力を得られましたというようなことを書いていただいていますので、そのあたり認知度が上がってくると、今、井上先生がおっしゃったような状態が解決されるのではないかなと思っています。
【永井(良)座長】  
 いろいろ論点はあると思うのですが、一つだけ、これから世の中が変わっていくときに、やはり発言力ですね。やっぱり基本になる学力、頑張っているというのはよいのだけれども、それをどうやってアピールするか、文書にするか、いろいろな媒体を使って自己表現をしていく。そういう意味では、基礎学力が非常に重要で、是非その辺の状況、実態についても、リ・メディアル教育という言葉もありますけども、そこもきちんとやりながら先端的な、あるいは専門的な教育もしていかないといけないだろうと思います。その辺の状況についても、もしよろしければ次回、ヒアリングの中に入れさせていただければと思います。
 人材像とかキャリアパスの問題、それから教育、評価の問題、こういうところを少し次回以降、ヒアリングの中で情報を聞かせていただければと思います。
 それから、そのほか委員の先生方から、これは少し集中的に議論した方がいい、あるいはヒアリングで参考人においでいただいた方がよい課題がございましたら、また事務局なり、私の方にお申し出いただければと思います。
 それでは、時間の関係がありまして、次の「モデル・コアカリキュラムの改訂について」でございますが、これはアンケートがございますので、事務局から御説明をお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】  
 それでは、御説明させていただきます。
 資料4-1、4-2をごらんください。現在の薬学モデルカリキュラムは、参考資料2-1の方で配付させていただいている水色の冊子でございます。
 資料4-1は、現在のコアカリキュラムの概要を1枚ものにまとめたものでございますが、現在は、薬学教育モデル・コアカリキュラムと実務実習のモデル・コアカリキュラムの二段構えになっているところでございます。これらの見直しに関わる意向調査につきましては、新薬剤師養成問題懇談会での資料を踏まえまして、昨年4月末から調査を行いまして、10団体から頂いた回答結果が資料4-2でございます。
 これをごらんいただきますと、まずコアカリキュラムの見直しの必要性についてということにつきましては、ほとんどが必要ありというようなことでお答えを頂いております。その内容、検討時期につきましては、22年度中とか可及的速やかにとか、いろいろあるわけでございますが、幅があります。
 また、あるべき改訂後のモデル・コアカリキュラムの実施時期につきましても、意見は分かれているところでございます。
 また、あるべき見直しの検討の実施主体につきましても、文部科学省の調査研究協力者会議というような御意見や、文部科学省、それから協議会とか、いろいろな御意見を頂いておるところでございます。
 その他についても、今後のカリキュラムの見直しについての御意見を頂いているようなところでございます。
 また、本日、参考資料といたしまして、医学と歯学の新しいモデル・コアカリキュラムの方を配らせていただいております。資料番号といたしましては、参考資料2-2、2-3でございます。こちらにつきましては、この3月に改訂をされまして公表されたものでございます。
 作業といたしましては、平成21年5月の検討会におきまして、改訂について検討するよう提言を受け、平成22年6月にモデル・コアカリキュラム改訂に関する調整委員会及びモデル・コアカリキュラム改訂に関する専門研究委員会というものを立ち上げて検討を開始し、この3月に公表されたという経緯になっておるところでございます。
 調査の回答内容等につきまして、説明は以上でございます。
【永井(良)座長】  
 ありがとうございます。
 アンケート結果を踏まえての薬学教育のモデル・コアカリキュラム改訂の必要性、検討時期等について、先生方から御意見をいただければと思います。
【井上副座長】  
 これ、基本的には、今お話のようにモデル・コアカリキュラムの改訂の必要があるということに関しては、このアンケートを見ても、ほとんど異論がないところだと思うのです。ですから、当然その検討には入るべきだろうと思いますし、時期として6年制が間もなく一巡するわけです。検討に入るということに関しては、できるだけ早く入って全然問題ないし、医学、歯学に関しては、しかもコアカリキュラムの改訂の検討というのは、恒常的にやるというふうにもおっしゃっているわけで、私もコアカリというのは全然変わらないものではなくて、時期に応じて、時代とともに当然変わっていくべきですし、恒常的な検討会のようなものがあって、そこであるべき姿なり何なりを検討しながら、徐々に変えていくというようなことが必要だろうと思うのです。なので、是非医学、歯学にあるような、そういう検討会のようなものを文部科学省の中に是非つくっていただきたいと思います。
 実際には、医学、歯学は、実際の作業は、その下におろして、文科省の委員会そのものがやったわけではないと伺っていますけれども、いずれにしても、最初にコアカリをどうするかということに関する基本的なことに関しては、文科省の委員会でやっておられるわけですので、薬学に関しても、そういう委員会を是非立ち上げていただきたいと思います。
【橋田委員】  
 私も、コアカリキュラム改訂の議論は、ちょうど良いタイミングですので、是非今始めるべきだと思っております。その際、ここの場でも随分議論されていますが、結局、薬学というものが何を目指すか、薬学教育がどういうものであるべきか、あるいは制度全体としての薬学というコア、まさにコアですけど、共通な部分と、それから、例えば各大学が個性としてそのミッションの中で追い求める部分と、その内容とか割合とか、是非その辺の議論をもう一度していただきまして、それを踏まえた形でコアカリキュラムを考える、そこの手順をうまくつくれば、6年間の経験というものが十分うまく生かせるのではないかと思っております。
【永井(良)座長】  
  そのときに外国の状況というのは、どのくらい参考になるのですか。日本は日本の路線でいくのか、ある程度、国際的なスタンダードを目指すのか、それは幅と深さと両方あると思うのですけど。
【橋田委員】  
 各国の事情がございますし、それから制度も、できるだけグローバル・ハーモナイゼーションを目指して6年制に移行したわけですが、それでも違う部分はあると思います。ですから、最終的には日本の制度を考えるには、結局、日本の医療制度全体の中での位置づけを考えるという議論が中心になるかと思います。しかし、是非先生、今おっしゃいましたように、議論の一つのステップとしては、外国の情報を集めるということは非常に重要だと思います。特に、ヨーロッパでは、ボローニャ・デクラレーションの下に、非常に共通性の高い教育をしようとしています。言語も英語で統一するとか、そういう動きもありますので、そういうことも含めて、情報は集めるべきだと思います。
 あと、私は国際薬学連合(FIP)の運営に関わっていますけれども、ここでも今、薬剤師実務、プラクティスとサイエンス、それからエデュケーションと、この三つを三本柱として活動しております。そういう意味で、十分な情報を持ってこられるかどうか分かりませんけれども、関連する情報は重要だと思っております。
【井上副座長】  
 ただ、日本は特有な、日本独特の歩みをしてきたことがあるから、それがあるから6年制、4年制というのができたという経緯もあるわけですので、外国とグローバリゼーションというのは確かに必要なことではあるとしても、日本独特のそれも特徴なので、そこをよく考えながらやっていくべきだろうとは思います。
【市川副座長】  
 今あった6年制と4年制の問題を、どうモデル・コアカリキュラムの中に取り入れていくかということを、かなり真剣に議論しないと、また原点に戻ってしまう可能性が――原点というのは、要するに前の4年制のときに、4年の中で薬剤師教育をやり、研究教育者も育てると、そういうことを進めてきたわけです。でも、やっぱり薬剤師の方の職能がどんどん上がってきて、本当に4年で十分であるかということになって変わってきたということがステップだったですよね。
 言いたいことは、要するに、変えることは非常に大事なことだし、これからも定期的に変えるべきだと思います。そのときには、ターゲットをはっきりさせた方が、日本の場合はいいのではないか。日本は独特の薬学教育をやってきたわけだから、あたらしく作成する場合、例えば6年制のための薬学教育モデル・コアカリキュラムというものにする方が良い。その方が明瞭な6年制の薬学教育のメッセージが出せる。今回のアンケートを読んでいますと、6年制一本でやられている大学の人にとっては、先生方の方が、薬剤師教育というものと、自分の研究者を育てるという2面性の教育をすることに、すごいジレンマを感じていらっしゃるのです。それに基づく御意見がものすごく多いような気がするので、今回改正する場合には、6年制の薬学教育モデル・コアカリキュラムということを、主に薬剤師を養成するということでまとめることが良いと思います。無論、薬剤師の多様性というのは、あっていいわけだけれども、6年制というところをポイントにしないと、結局6年間の教育がしっかりした構築にならなくなってしまう。
 これにより、4年制の方に対しては、理系の学部としてつくったわけですから、それの位置づけもかえって明瞭になる。改訂には、私は非常に賛成なので、すべきだと思う。するときには、6年制と4年制の目的を明瞭にしてほしいと思います。
【竹中委員】  
 6年制の薬学のことについてのお願いです。今回、製薬協で調査をした結果を見ますと、やはり開発部門が非常に6年制に期待しているところが多いのです。ここの数字以上に、臨床開発、治験に関する部門は、6年制に対して期待をしております。そうすると、それに応えられるような6年制の方のところには、カリキュラムに統計学も含めて、臨床薬学・レギュラトリーサイエンス・治験などのカリキュラムをもっと入れてほしい。そういうことが市川先生がおっしゃったようないろんな特徴づけ、新しい6年制の特徴づけ、今まで日本の薬学になかったものをつくられるわけですから、6年制だけのプログラムをつくっていただけたらと私は思っています。
【井上副座長】 
 とても頭の痛いところを言われたような気がするのです。薬学には、統計学とか、そういうのは比較的従来はない。しかしながら、社会から非常に期待されている。薬剤師はそういうことをしっかりやってほしいということを、このアンケートでも盛んに、随分たくさん出てきていますね。ですので、そういうような人を育てていくということは絶対必要だと思いますし、教員をいかに確保するかという問題も非常に重要な問題で、薬学出身者じゃない人も積極的に採用してやっていかないと、なかなかそれに応えられないのではないかなと私は思っています。
【橋田委員】   
 今ちょうど話題になりましたので、少し追加させていただきます。前回、日本の展望ということで、学術会議の文書の紹介をさせていただきました。あれは、薬学の中期的な展望と課題、グローバル化、情報化への対応、社会のニーズへの対応、それから、これからの人材育成という構成になっていたわけでございますけれども、これは実は生命科学全般で共通のフォーマットで議論しようということで組みましたので、これは臨床医学とか農学とか全部同じ項目立てで議論をいたしました。
 そのために、この前の報告というのは、ある意味、非常にそういう構造で議論しておりますけれども、一部はどうしても総花的であったり、網羅的であったりというような嫌いもあったわけでございます。
 それで、学術会議の薬学委員会でも、総論に対して各論といいますか、中身をもう少し議論したいということで、今ちょうど、また薬学委員会からの提言を用意しているのですけれども、今日資料としては持ってきておりませんが、タイトルが「国民の健康増進を支える薬学研究、レギュラトリーサイエンスを基盤とした医薬品、医療機器の探索、開発、市販後研究の高度化を目指して」ということで、薬学委員会でございますけれども、例えば長野委員とか、あるいは関係の行政機関の方にも入っていただいて議論しておりまして、もちろん薬学研究が目指す方向を提言しているわけでございますが、同時に、そのときに、いわゆるレギュラトリーサイエンスを基盤として据えて、これは学術としても展開を図るということがありまして、それから人材育成、それから教育の在り方の中でも、これを一つの共通の基盤といいますか、そういった形で位置づけていったらいいのではないかという提案を、今まさにしようとしているところでございます。
 そういうことも含めまして、是非コアカリキュラムなり、次の段階の教育の在り方のときには、ほかにもいろんなアイデアがあると思いますので、そういうものを入れていって、新しい教育をつくるということを考えていただけたらと思っております。
【望月(正)委員】  
 それに関連してですけど、例えばモデル・コアカリキュラムの合本の51ページのC17に「医薬品の開発と生産」というのがありまして、この中に今、先生がおっしゃったようなレギュラトリーサイエンスに関わることが入っております。非臨床から医薬品の承認、その後も(2)でリードの創製と最適化、(3)でバイオ医薬品とゲノム情報、(4)に治験という項目がありまして、ここにこのような項目が入っております。(5)はバイオスタティスティクスで、(5)の最初に出てくるのは「生物統計の基礎」なんですけど、1から7まであって、全部三角がついているのです。三角がついているというのは何かといったら、共用試験には出しませんということなのです。出しませんけど、モデル・コアだから、みんな学ぼうということです。これを原則として、それができるのは5年か6年の教育なのです。私が先ほど申し上げましたが、6年生の教育でこういうのをきちんとモデル・コアに沿って教育するというのが、まず第一に果たすことです。それを今、教育している大学は、どのくらいあるか知りません。学生の意識も高くないから、講義としては開いているんですけど、余り真面目に聞いてないというのが現実だと思うので、このあたりからきちんとやることが、今の6年生、5年生の資質を上げる一つの手段かと思うのです。
【望月(眞)委員】  
 まだ1回目の卒業生が出ておりませんので、何とも言えないとこもあるのだとは思いますが、本当に薬剤師として必要な資質というのは、国家試験でやっぱり確認をしていくことになると思うのです。今のような部分が、共用試験では確かに必要ではないかもしれないけれども、薬剤師の資質として必要だとすれば、やっぱり薬剤師国家試験でその問題を問うていただくことによって、今後の薬学の底辺の部分の教育に関しては、絶対変わっていくと思います。厚労省の方も今日来ていますので、今のお話を聞いておいていただくといいのかなというふうに思います。
【井上副座長】  
 国家試験を考えるときに、出題範囲や何かを考えるときには、このコアカリというのを、どうしてもそこにある程度縛られるといいますか、コアカリを見て試験範囲を決めるみたいなところも現実にはあるわけです。なので、コアカリを考える上で、医学もそうですけども、国家試験ということもある程度イメージしながら、コアカリを考えるということは多分必要だろうというふうに思います。
【平井委員】  
 病院実習で学生さんをお受けしていますけれども、治験に対して非常に興味を示す学生さん、結構多いです。治験というのは、薬剤師業務の総合的な部分がありますので、そこに対して真新しい薬をつくるということの興味もありますし、それから薬剤師業務としての興味もあるということで、学生さんにとっては結構魅力的に映るもののようです。
【倉田委員】  
 今のことに関連してですけれども、臨床研究コーディネーターとか治験コーディネーターとか、やはりそういうところにも薬剤師さんに入っていただいて、基礎学力はもちろんですが、対私たちのような一般の人に向けて、アウトカムのやり方というのをよく勉強していただいて、知識はすごくたくさん持っていらっしゃるのは分かるのです。でも、私たちに説明してくれるときに、もう一人通訳が要るくらい分からなくなってしまうので、そういうところも、是非勉強していただきたいところです。
【平井委員】  
 申し訳ございません。
【太田委員】  
 今のモデル・コアカリキュラムを見直すというのは、私も大賛成で、特に6年制の教育に対するモデル・コアというのを規定するべきだというふうにずっと思っていたのですが、今の議論を聞いていますと、これも入れる必要がある、あれも入れる必要があるという形で、どんどんアドオンされていくという格好になっていくと、このアンケートであったように、教員の負担感がものすごく多いという。この負担感というのも、考えようによって、ちょっと誤解に基づくところもあるだろうとは思うんですけれども、やはり実態として負担感に思っておられる教員がかなり多いということは事実だろうと思うので、そういう理想的な教育はもちろん分かるのですが、その中でコアは何なのかということの議論が、やっぱり必要だなというふうに思いますし、これ以上モデル・コアカリが厚くなってしまうということを求めるのではないというのは、確認がとれたらいいなと思っているのです。そぎ落としても、コアの部分というのが確実に残ってくる。それは薬学の6年制教育のために必須であるというところは確認しておく必要があるだろうと思ったので、ちょっと発言させていただきました。
【永井(良)座長】  
 医学教育でも全く同じですね。日本のコアカリキュラムとアメリカのコアカリキュラムは全く違うのです。アメリカは、そんなに授業はないのです。せいぜい50分の4コマぐらいで、あとは自習です。眼科の専門医になりたい人のコースと、内科でちょっと外来だけ見ておきたい人のコースと、やらなくもいいとか、まさに選択と必修のバランスがそこに入ってくるのです。日本では、まだ医学教育はそれができてないと思います。とにかく広く浅くという感じになってしまっています。そのあたりのバランスを薬学でどうするかということを考えませんと、先生がおっしゃるように、どんどんアドオンで積み上がっていって、結局それは浅くなってしまう。あるいは、もう無気力状態を生むだけだと思いますね。そこの議論も是非していただければと思います。
 それから、もう一つお聞きしたいのは、6年制の場合、卒業認定はどうするのですか。実は、医学教育の問題は、最後の6か月というのが卒業試験と国家試験に充てられていて、ほとんど授業をされていないのです。そうすると6年いても、実は5年半で、少し無駄があるのではないかと思うのです。アメリカの場合は、5月30日卒業ですけど、その直前まで実習をしています。国家試験も、その間に自分たちで行って受けてくるということで、半年の違いは結構大きいのですけど、薬学では卒業認定はどういうふうにするのですか。
【井上副座長】  
 それは、結局、国家試験がどれほど難しいかにかかるのだろうと思うのです。そこを易しくすれば、国家試験にそんなに気を遣わなくてもいいということになるわけだろうと思いますし、先生がおっしゃるように、まだ始まっていませんから分かりませんけども、いよいよ6年制が出てきて、国公立は別として、これから半年は国家試験の勉強に充てるような大学が圧倒的に多くなるのではないかなというふうには懸念していますけど。
【永井(良)座長】  
 卒業試験は……。
【井上副座長】  
 やります。多くの大学は卒業試験……。
【永井(良)座長】  
 ある期間を決めて。
【井上副座長】  
 というか、ある意味で言えば国家試験の、それに似たような問題を、特に私立の場合は、それで一定以上の成績であれば卒業はさせて、国家試験に臨ませるというようなパターンが多いのではないかなと思いますね。
【永井(良)座長】  
 それは実習の合間にどんどん小さな形で卒業試験をやっていくと、できるだけ実習期間はたくさんとれるのですね。
【井上副座長】  
 そうですね。
【永井(良)座長】  
 そこをどうするかというのも、いろいろな方法があるだろうとは思いますけれども。
【望月(正)委員】  
 モデル・コア全体については、先生おっしゃったように、モデル・コアはどうあるべきかというところから話を始める必要があると思います。ただし、実務実習モデル・コアカリキュラムについては、既に初年度1期生が終わったのです。関係者の皆さんから出る意見では、少なくとも成功裏に終わったと思うのです。その理由の一つは、実務実習モデル・コアがあったからという声が非常に大きいのです。ですから、そのあたりから考えて、どの点が良くて、もし改訂する、あるいは減らす点はどこかということを考えるのだったら、これは今年度から開始するのがよいと思います。実は薬学教育協議会は、資料にありますように、昨年度からその委員会を立ち上げて動いています。実習が終わった段階から、各団体、各実習施設、各大学、各学生の意見を集めて、実務実習についてどうするべきかというのを、この1年進めてきました。平成25年からはそれまでの3年間の経験に基づき、4年目になって実習費の検討も始まるときに、一緒に実務実習モデル・コアについては、どういう点を改めるべきか、どういう点を強くするかというのは、是非検討していただきたい。というか、是非私どもで検討したいということが本音ですけど、その方向で進めておりますので、その点はどうぞよろしく御理解ください。
【永井(良)座長】  
 コアカリを改訂しようということは、皆さんよろしいわけですね。ただ、望月先生がおっしゃるように、どういうふうにそれを進めるかですけど、何か先生、御意見ございますか。
【望月(正)委員】  
 薬学教育モデル・コアカリキュラム全体については、やはり文部科学省の下に、以前のような調査研究協力者会議というのをつくるしかないと思うのです。そこで方向性を決めて、必要な検討、細かい検討は別の機関に任せるというのが可能だと思います。ただ、実務実習については、そこまで待てないような気がするのです。毎年、実習していく上で問題点が出る。その問題点に対する対応というのは、やはり1年終わったら、そのときに考えて、2年先ぐらいには、問題点を直して新たにできるようにしていきたい。モデル・コア全体については3年ぐらいの間隔では無理だと思うので、やっぱり5年ぐらいかけてやる必要があるかと思うので、実務実習モデル・コアカリキュラムは分けた方がいいかなという気がします。ただ、文部科学省は前々から、全体を一緒に検討した方がいいというお考えでしたので、そのあたりで多少の違いがあるかなという気がします。
【井上副座長】  
 協力者会議なるものは1本でやって、その先に実務実習を考える下の委員会とか、そういうふうにすればいいのかなというふうには思いますけど。
【永井(良)座長】  
 何か今の体制について、御意見おありでしょうか。
【井上副座長】  
 結局、文部科学省が全てをやるということは、もうほとんど不可能に近い。人力もそうですし、事務的なことも含めて、そういうことに関しては薬学教育協議会なり、薬学会なり何なりに下ろして、そこで検討していただいたものを、もう一回吸い上げてというやり方しかないのだろうとは思いますけどね。
【市川副座長】  
 私が言うあれではないけど、実務実習のモデル・コアカリキュラムという、前にちょっと携わった印象からすると、この問題というのは、実際に実務実習はもう2年目を終わったわけですね。そういうときに、一番思うのは、要は現場においての病院と薬局それぞれにおいて、共通のコアカリキュラムがどれだけできるのかという問題点をよく煮詰めておかないと、以前も大体そういうスタイルでやってきたわけですよね。でも、実際にできたのは必ずしもそうではなくて、実際に現場で使おうと思ったら、それは使えないというところに全ての問題点があったような気がするのです。
 ですから、もしつくるとするならば、現場で教えたいこと、私たちが一緒になって現場の教育に携わる範囲のコアカリキュラムという、そういうものをあらかじめかなり議論しておかないと、今までどおりのような、ある委員が集まってつくっていくというやり方をして、現場でこれ使ってくださいよと言ったら、多分使われないのではないかなというのが私の印象なのです。
 かなりいろんな施設に訪問して行っても、私のところはこれですよ、私が薬剤師会、私は何々会の何々ですと、自分のところでやりますというような形になりますので、それが一番使いやすい自分の施設、あるいはそこにいらっしゃるスタッフとの関係、そういうようなことがありますので、本当のコアになる、先ほどの6年制の実際にスリムされた一番根本的なコアという考え方でのモデル・コアというものを、やっぱりつくらなければいけない。ここでつくられたのは、飽くまで単位計算の問題がちょっとあったので、方略までいって20単位分がつくられたので、ものすごく使いにくいことになっていることは事実ですよね。ですから、これをこのまま延長することは絶対あり得ないわけなので、実際やってみたところの経験に基づいてというときに、できるだけ現場の方々の御意見で、こういうのができますよというならば、それを取り入れたらいいのではないかと思う。実際に使われないものを並べても、今と同じではないかというような気がするので、その辺も是非お願いをしたいということです。
【永井(良)座長】  
 何か、そのほか御意見ございますでしょうか。
【井上副座長】  
 多分すごく大がかりな、非常に根本的なことを考える改訂と、比較的容易な、ここは直さなければというようなところの緊急性のある改訂と両面をうまく組み合わせてやっていく必要があるのではないかなという気がしますね。根本的な改訂というのは、それなりの議論とあれが必要だと思いますし、でも、是非それは必要だろうと思います。
【永井(良)座長】  
 スケジュール的にはどのくらいの期間で仕上げることになるのでしょうか。
【井上副座長】  
 例えば、医学はどれぐらいのスパンといいますか、5年間ぐらいの間に改訂したのでしたか。
【伊東薬学教育専門官】  
 1年間です。
【井上副座長】  
 スタートからという意味ではですね。でも、比較的これはマイナーな改革であるというふうに前書きにも書いてありますので、ある意味では、根本的な改訂も必要だけど、とりあえずはマイナーなという意味で今回はつくられたと伺っていますけど。
【永井(良)座長】  
 よろしいでしょうか。そうしましたら、事務局から今後のスケジュールについて御説明ください。
【伊東薬学教育専門官】  
 資料5でございます。本日は自由討議ということで論点について御議論を頂きました。
 次回につきましては、関係者からのヒアリングができればというふうに思っております。また、今回の論点を深める御議論をお願いしたいと考えております。その御議論を、できれば2、3回ほど行いまして、10回目には論点整理、11回目には報告書案というものを出させていただいて、最終的に年内めどで第2次報告というものを取りまとめたいというようなことで考えておりますので、是非御議論を深めていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
【永井(良)座長】  
 そのほか何か御質問、御意見ございますでしょうか。もし、ございませんでしたら、本日はこれで終了させていただきます。どうもお忙しいところ、ありがとうございました。

 

お問合せ先

高等教育局医学教育課

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線3326)
ファクシミリ番号:03-6734-3390
メールアドレス:igaku@mext.go.jp