E 医療薬学教育

E1 薬の作用と体の変化

GIO

 疾病と薬物の作用に関する知識を修得し、医薬品の作用する過程を理解する。

(1)薬の作用

GIO

 作用部位に達した薬物の量と作用により薬効が決まることを理解するために、薬物の生体内における作用に関する知識、技能、態度を修得する。

【薬の作用】
  1. 薬の用量と作用の関係を説明できる。   
  2. アゴニストとアンタゴニストについて説明できる
  3. 薬物の作用するしくみについて、受容体、酵素、イオンチャネルおよびトランスポ ーターを例に挙げて説明できる。
  4. 代表的な受容体を列挙し、刺激あるいは遮断された場合の生理反応を説明できる。  
  5. 薬物の作用発現に関連する代表的な細胞内情報伝達系を列挙し、活性化された場合の生理反応を説明できる。   
  6. 薬物の体内動態(吸収、分布、代謝、排泄)と薬効発現の関わりについて説明できる。   
  7. 薬物の選択(禁忌を含む)、用法、用量の変更が必要となる要因(年齢、疾病、妊娠等)について具体例を挙げて説明できる。   
  8. 薬理作用に由来する代表的な薬物相互作用を列挙し、その機序を説明できる。(E4(1)【吸収】5)、【代謝】6)、【排泄】5)参照)  
  9. 薬物依存性について具体例を挙げて説明できる。
【動物実験】
  1. 動物実験における倫理について配慮する。(態度)
  2. 実験動物を適正に取り扱うことができる。(技能)
  3. 実験動物での代表的な投与方法が実施できる。(技能)
【日本薬局方】
  1. 日本薬局方収載の生物学的定量法の特徴を説明できる。

(2)身体の病的変化を知る

GIO

 身体の病的変化から疾患を推測できるようになるために、代表的な症候、病態・臨床検査に関する知識・技能を修得する。

【症候】
  1. 以下の症候・病態について、生じる原因とそれらを伴う代表的疾患を挙げ、患者情報をもとに疾患を推測できる。

 発熱、頭痛、発疹、黄疸、チアノーゼ、脱水、浮腫、悪心・嘔吐、嚥下困難・障害、腹痛、下痢、便秘、腹部膨隆、貧血、出血傾向、胸痛、心悸亢進・動悸、高血圧、低血圧、ショック、呼吸困難、咳、口渇、痰、血痰・喀血、月経異常、痛み、意識障害・失神、運動麻痺・筋力低下、知覚障害、関節痛、記憶障害、しびれ、けいれん、血尿、尿量・排尿の異常、視力障害、めまい、全身倦怠感、肥満・やせ、リンパ節腫脹、胸水、食欲不振、吐血・下血、たんぱく尿

【病態・臨床検査】
  1. 血液検査及び血液凝固機能検査の検査項目を列挙し、目的と異常所見を説明できる。
  2. 尿検査および糞便検査の検査項目を列挙し、目的と異常所見を説明できる。
  3. 血液生化学検査の検査項目を列挙し、目的と異常所見を説明できる。
  4. 免疫学的検査の検査項目を列挙し、目的と異常所見を説明できる。
  5. 動脈血ガス分析の検査項目を列挙し、目的と異常所見を説明できる。
  6. 脳脊髄液検査の検査項目を列挙し、目的と異常所見を説明できる。
  7. 呼吸機能検査の検査項目を列挙し、目的と異常所見を説明できる。
  8. 微生物検査の検査項目を列挙し、目的と異常所見を説明できる。

(3)薬物治療の位置づけ

GIO

 医療における薬物治療の位置づけを理解するために、代表的な疾患における治療と薬物療法に関する知識・技能を修得する。

  1. 代表的な疾患における薬物治療、食事療法、その他の非薬物治療(外科手術など)の位置づけを説明できる。
  2. 代表的な疾患における薬物治療の役割について、病態、薬効薬理、薬物動態に基づいて討議する。(知識・技能)

(4)医薬品の安全性

GIO

 医療における医薬品のリスクを回避できるようになるために、有害事象(副作用、相互作用)、薬害、薬物乱用に関する知識・態度を修得する。

  1. 薬物の主作用と副作用、毒性との関連について説明できる。
  2. 薬物の副作用と有害事象の違いについて説明できる。
  3. 代表的薬害について討議する(態度)。
  4. 薬物乱用に関する問題点について討議する(態度)。

E2 薬理・病態・薬物治療

GIO

 患者情報に応じた薬の選択、用法・用量の設定および医薬品情報・安全性や治療ガイドラインを考慮した適正な薬物治療に参画できるようになるために、疾病に伴う症状などの患者情報を解析し、最適な治療を実施するための薬理、病態・薬物治療に関する知識・技能・態度を修得する。

(1)神経系の疾患と薬

GIO

 最適な薬物治療の実現に貢献できるようになるために、神経系・筋に作用する医薬品の薬理および疾患の病態・薬物治療に関する知識を修得し、治療に必要な情報収集・解析および医薬品の適正使用に関する技能・態度を身につける。

【自律神経系に作用する薬】
  1. 交感神経系に作用し、その支配器官の機能を修飾する代表的な薬物を挙げ、薬理作用、機序、主な副作用を説明できる
  2. 副交感神経系に作用し、その支配器官の機能を修飾する代表的な薬物を挙げ、薬理作用、機序、主な副作用を説明できる。
  3. 神経節に作用する代表的な薬物を挙げ、薬理作用、機序、主な副作用を説明できる。
  4. 自律神経系に作用する代表的な薬物の効果を動物実験で測定できる。(技能)
【体性神経系に作用する薬・筋の疾患の薬、病態、治療】
  1. 知覚神経に作用する代表的な薬物(局所麻酔薬など)を挙げ、薬理作用、機序、主な副作用を説明できる。
  2. 運動神経系に作用する代表的な薬物を挙げ、薬理作用、機序、主な副作用を説明できる。
  3. 知覚神経、運動神経に作用する代表的な薬物の効果を動物実験で測定できる。(技能)
  4. 以下の疾患について説明できる。
    進行性筋ジストロフィー、Guillain-Barre(ギラン・バレー)症候群、重症筋無力症(重複)
【中枢神経系の疾患の薬、病態、治療】
  1. 全身麻酔薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。
  2. 麻薬性鎮痛薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。
  3. 中枢興奮薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。
  4. 統合失調症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  5. うつ病、躁うつ病について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  6. 神経症(不安障害)、心身症、不眠症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  7. てんかんについて、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  8. 脳血管疾患(脳内出血、脳梗塞(脳血栓、脳塞栓、一過性脳虚血)、くも膜下出血)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  9. Parkinson(パーキンソン)病について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  10. 認知症(Alzheimer(アルツハイマー)型認知症、脳血管性認知症等)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  11. 片頭痛について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)について説明できる。
  12. 中枢神経に作用する薬物の効果を動物実験で測定できる(技能)。
  13. 以下の疾患について説明できる。
    脳炎・髄膜炎(重複)、多発性硬化症(重複)、筋委縮性側索硬化症、Narcolepsy(ナルコレプシー)、薬物依存症、アルコール依存症

(2)免疫・炎症・アレルギーおよび骨・関節の疾患と薬

GIO

 最適な薬物治療の実現に貢献きるようになるために、免疫系および骨・関節に作用する医薬品の薬理および疾患の病態・薬物治療に関する基本的知識を修得し、治療に必要な情報収集・解析および医薬品の適正使用に関する基本的技能・態度を身につける。

【抗炎症薬】
  1. 抗炎症薬(ステロイド性および非ステロイド性)の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。
  2. 抗炎症薬の作用機序の関係から炎症について説明できる。
  3. 創傷治癒の過程について説明できる。
【免疫・炎症・アレルギーの薬、病態、治療】
  1. アレルギー治療薬(抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬等)の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。
  2. 免疫抑制薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。
  3. 以下のアレルギー疾患について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、接触性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、消化管アレルギー
  4. 以下の薬物アレルギーについて、原因薬物、病態(病態生理、症状等)および対処法を説明できる。
    Stevens-Johnson(スティーブンス-ジョンソン)症候群、中毒性表皮壊死症(重複)、薬疹
  5. アナフィラキシーショックについて、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  6. 以下の疾患について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    尋常性乾癬、水疱症、光線過敏症、ベーチェット病
  7. 以下の臓器特異的自己免疫疾患について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    バセドウ病(重複)、橋本病(重複)、悪性貧血(重複)、アジソン病、1型糖尿病(重複)、重症筋無力症、多発性硬化症、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血(重複)、シェーグレン症候群
  8. 以下の全身性自己免疫疾患について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、多発筋炎/皮膚筋炎
  9. 臓器移植(腎臓、肝臓、骨髄、臍帯血、輸血)について、拒絶反応の病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
【骨・関節・カルシウム代謝の疾患薬、病態、治療】
  1. 関節リウマチについて、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  2. 骨粗鬆症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  3. 変形性関節症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  4. カルシウム代謝の異常を伴う疾患(副甲状腺機能亢進(低下)症、骨軟化症(くる病を含む)、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。

(3)循環器系・泌尿器系・生殖器系の疾患と薬

GIO

 最適な薬物治療の実現に貢献できるようになるために、循環器系・泌尿器系・生殖器系に作用する医薬品の薬理および疾患の病態・薬物治療に関する基本的知識を修得し、治療に必要な情報収集・解析および医薬品の適正使用に関する基本的技能・態度を身につける。

【循環器系疾患の薬、病態、治療】
  1. 以下の不整脈および関連疾患について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    心房細動(AF)、発作性上室性頻拍症(PSVT)、心室頻拍(VT)、心室細動(VF)、房室ブロック、WPW症候群
  2. 急性および慢性心不全について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  3. 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  4. 以下の高血圧症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    本態性高血圧症、腎血管性高血圧症、腎性高血圧症
  5. 以下の疾患について概説できる。
    閉塞性動脈硬化症(ASO)、心原性ショック、弁膜症、先天性心疾患
  6. 循環器系に作用する薬物の効果を動物実験で測定できる(技能)。
【血液・造血器系疾患の薬、病態、治療】
  1. 止血薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。
  2. 抗血栓薬、抗凝固薬および血栓溶解薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。
  3. 以下の貧血について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血(悪性貧血等)、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、腎性貧血、鉄芽球性貧血
  4. 播種性血管内凝固症候群(DIC)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  5. 以下の疾患について概説できる。
    血友病、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、白血球減少症、血栓・塞栓・白血病
    (E2 (7)【悪性腫瘍の薬、病態、治療】参照) 
【泌尿器、生殖器の疾患の薬、病態、薬物治療】
  1. 利尿薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。
  2. 急性および慢性腎不全について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  3. ネフローゼ症候群について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  4. 過活動膀胱および低活動膀胱について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  5. 以下の泌尿器系疾患について説明できる。
    慢性腎臓病(CKD)、糸球体腎炎(重複)、糖尿病性腎症(重複)、薬剤性腎症(重複)、腎盂腎炎(重複)、膀胱炎(重複)、尿路感染症(重複)、尿路結石
  6. 前立腺肥大症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  7. 以下の生殖器系疾患について説明できる。
    異常妊娠、異常分娩、不妊症、子宮内膜症、子宮筋腫

(4)呼吸器系・消化器系の疾患と薬

GIO

 最適な薬物治療の実現に貢献きるようになるために、呼吸器系・消化器系に作用する医薬品の薬理および疾患の病態・薬物治療に関する基本的知識を修得し、治療に必要な情報収集・解析および医薬品の適正使用に関する基本的技能・態度を身につける。

【呼吸器系疾患の薬、病態、治療】
  1. 気管支喘息について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  2. 慢性閉塞性肺疾患について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  3. 間質性肺炎について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  4. ニコチン依存症の治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
【消化器系疾患の薬、病態、治療】
  1. 以下の上部消化器疾患について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    胃食道逆流症(逆流性食道炎を含む)、消化性潰瘍、胃炎
  2. 腸炎(潰瘍性大腸炎、クローン病等)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  3. 肝炎・肝硬変(ウイルス性を含む)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  4. 膵炎について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  5. 胆石症・胆道炎について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  6. 薬剤性肝障害について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  7. 過敏性腸症候群について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  8. 便秘・下痢について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  9. 悪心・嘔吐について、治療薬および関連薬物(催吐薬)の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  10. 痔について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。

(5)代謝系・内分泌系の疾患と薬

GIO

 最適な薬物治療の実現に貢献できるようになるために、代謝系・内分泌系に作用する医薬品の薬理および疾患の病態・薬物治療に関する基本的知識を修得し、治療に必要な情報収集・解析および医薬品の適正使用に関する基本的技能・態度を身につける。

【代謝系疾患の薬、病態、治療】
  1. 糖尿病とその合併症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  2. 脂質異常症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  3. 高尿酸血症・痛風について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
【内分泌系疾患の薬、病態、治療】
  1. 性ホルモン関連薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。
  2. Basedow(バセドウ)病について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  3. 甲状腺炎(慢性(橋本病)、亜急性)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  4. 尿崩症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  5. 以下の疾患について説明できる。
    先端巨大症、高プロラクチン血症、下垂体機能低下症、ADH不適合分泌症候群(SIADH)、副甲状腺機能亢進症・低下症、Cushing(クッシング)症候群、アルドステロン症、褐色細胞腫、副腎不全(急性、慢性)

(6)感覚器・皮膚の疾患と薬の疾患と薬

GIO

 適切な薬物治療に貢献できるようになるために、感覚器・皮膚の疾患と薬の薬理作用・機序および副作用に関する基本的知識を修得し、その作用を検出するための基本的技能を身につける。併せて、薬物治療実施に必要な情報を自ら収集するための基本的技能を身につける。

【眼疾患の薬、病態、治療】
  1. 緑内障について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  2. 白内障について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  3. 加齢性黄斑変性について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  4. 以下の疾患を概説できる。
    結膜炎、網膜症、ぶどう膜炎
【耳鼻咽喉の疾患の薬、病態、治療】
  1. めまい(動揺病、Meniere(メニエール)病等)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  2. 以下の疾患を概説できる。
    アレルギー性鼻炎(重複)、花粉症(重複)、副鼻腔炎(重複)、中耳炎(重複)、咽頭炎・扁桃腺炎(重複)
【皮膚疾患の薬、病態、治療】
  1. アトピー性皮膚炎について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる(E2 (2)【免疫・炎症・アレルギーの薬、病態、治療】参照)。
  2. 皮膚真菌症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる
    (E2 (7)【真菌感染症の薬、病態、治療】参照)。
  3. 褥瘡について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  4. 以下の疾患を概説できる。
    蕁麻疹(重複)、薬疹(重複)、水疱症(重複)、乾癬(重複)、接触性皮膚炎(重複)、光線過敏症(重複)

(7)病原微生物・悪性新生物と薬

GIO

 最適な薬物治療の実現に貢献きるようになるために、細菌、ウイルス、真菌、原虫など、および悪性新生物に作用する医薬品の薬理および疾患の病態・薬物治療に関する基本的知識を修得し、治療に必要な情報収集・解析および医薬品の適正使用に関する基本的技能・態度を身につける。

【抗菌薬】
  1. 以下の抗菌薬の薬理(薬理作用、機序、抗菌スペクトル、主な副作用、相互作用、組織移行性)および臨床適用を説明できる。
    β-ラクタム系、テトラサイクリン系、マクロライド系、アミノ配糖体系、新キノロン系、グリコペプチド系、抗結核薬、サルファ剤(ST合剤を含む)、その他の抗菌薬
  2. 細菌感染症に関係する代表的な生物学的製剤(ワクチン等)を挙げ、その作用機序を説明できる。
【抗菌薬の耐性】
  1. 主要な抗菌薬の耐性獲得機構を説明できる。
【細菌感染症の薬、病態、治療】
  1. 以下の呼吸器感染症について、病態(病態生理、症状等)、感染経路と予防方法および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    上気道炎(かぜ症候群)、気管支炎、扁桃腺炎、細菌性肺炎、肺結核、レジオネラ感染症、百日咳、マイコプラズマ肺炎
  2. 以下の消化器感染症について、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    急性虫垂炎、胆のう炎、胆管炎、病原性大腸菌感染症、食中毒、ヘリコバクター・ピロリ感染症、赤痢、コレラ、腸チフス、パラチフス
  3. 以下の感覚器感染症について、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    副鼻腔炎、中耳炎、結膜炎、咽頭結膜熱
  4. 以下の尿路感染症について、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎
  5. 以下の性行為感染症について、病態(病態生理、症状等)、予防方法および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    梅毒、淋病、クラミジア等
  6. 脳炎、髄膜炎について、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  7. 以下の皮膚細菌感染症について、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    伝染性膿痂疹、丹毒、癰、毛嚢炎、ハンセン病
  8. 感染性心内膜炎、胸膜炎について、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  9. 以下の細菌による院内感染について、感染経路と予防方法、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    MRSA、セラチア、緑膿菌
  10. 以下の細菌感染症について、病態(病態生理、症状等)、感染経路と予防方法および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    ジフテリア、劇症型A群β溶血性連鎖球菌感染症、新生児B群連鎖球菌感染症、破傷風、ペスト、炭疽
【ウイルス感染症およびプリオン病の薬、病態、治療】
  1. ヘルペスウイルス感染症(単純ヘルペス、水痘・帯状疱疹)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、予防方法および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  2. 伝染性単核球症、突発性発疹について、病態(病態生理、症状等)、予防方法および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  3. サイトメガロウイルス感染症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  4. インフルエンザについて、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、感染経路と予防方法および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  5. 麻疹、風疹、流行性耳下腺炎について、病態(病態生理、症状等)、感染経路と予防方法および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  6. ウイルス性肝炎(HAV、HBV、HCV、HEV)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、感染経路と予防方法および病態(病態生理(急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん)、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。(重複)
  7. 後天性免疫不全症候群(AIDS)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  8. 以下のウイルス感染症について、感染経路と予防方法および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    伝染性紅斑(リンゴ病)、手足口病
  9. プリオン(Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト-ヤコブ)病、牛海綿状脳炎、狂牛病)を概説できる。
【真菌感染症の薬、病態、治療】
  1. 抗真菌薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。
  2. 以下の真菌感染症について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    皮膚真菌症、カンジダ症、ニューモシスチス肺炎、肺アスペルギルス症、クリプトコッカス症
【原虫・寄生虫感染症の薬、病態、治療】
  1. 以下の原虫感染症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    マラリア、トキソプラズマ、クリプトスポリジウム症、トリコモナス症、アメーバ赤痢
  2. 以下の寄生虫感染症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    回虫症、蟯虫症、アニサキス症、エキノコッカス症
【悪性腫瘍】
  1. 腫瘍の定義(良性腫瘍と悪性腫瘍の違い)を説明できる。
  2. 悪性腫瘍について、以下の項目を概説できる。
    組織型分類および病期分類、悪性腫瘍の検査(細胞診、組織診、画像診断、腫瘍マーカー)、悪性腫瘍の疫学(がん罹患の現状およびがん死亡の現状)、悪性腫瘍のリスクおよび予防要因
  3. 悪性腫瘍の治療における薬物治療の位置づけを概説できる。
【悪性腫瘍の薬、病態、治療】
  1. 以下の抗悪性腫瘍薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用、相互作用、組織移行性)および臨床適用を説明できる。
    アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、抗腫瘍植物アルカロイド、抗腫瘍ホルモン関連薬、白金製剤、分子標的治療薬、その他の抗悪性腫瘍薬
  2. 抗悪性腫瘍薬に対する耐性獲得機構を説明できる。
  3. 抗悪性腫瘍薬の主な副作用(下痢、悪心・嘔吐、白血球減少、皮膚障害(手足症候群を含む)、血小板減少等)の軽減のための対処法を説明できる。
  4. 代表的ながん化学療法のレジメン(FOLFOX、XELOX、FEC等)について、構成薬物およびその役割、副作用、対象疾患を概説できる。
  5. 以下の白血病について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    急性(慢性)骨髄性白血病、急性(慢性)リンパ性白血病、成人T細胞白血病(ATL)
  6. 悪性リンパ腫および多発性骨髄腫について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  7. 骨肉腫およびEuing(ユーイング)肉腫について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  8. 以下の消化器系の悪性腫瘍について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    胃癌、食道癌、肝癌、大腸癌、胆嚢・胆管癌、膵癌
  9. 肺癌について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  10. 以下の頭頸部および感覚器の悪性腫瘍について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    脳腫瘍、網膜芽細胞腫、喉頭、咽頭、鼻腔・副鼻腔、口腔の悪性腫瘍
  11. 以下の生殖器の悪性腫瘍について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
    前立腺癌、子宮癌、卵巣癌
  12. 腎・尿路系の悪性腫瘍(腎癌、膀胱癌)について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
  13. 乳癌について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。

(8)バイオ・細胞医薬品とゲノム情報

GIO

 医薬品としてのタンパク質、遺伝子、細胞を適正に利用するために、それらを用いる治療に関する基本的知識を修得し、倫理的態度を身につける。併せて、ゲノム情報の利用に関する基本的知識を修得する。

【組換え体医薬品】
  1. 組換え体医薬品の特色と有用性を説明できる。
  2. 代表的な組換え体医薬品を列挙できる。
  3. 組換え体医薬品の安全性について概説できる。
【遺伝子治療】
  1. 遺伝子治療の原理、方法と手順、現状、および倫理的問題点を概説できる。(知識・態度)
【細胞、組織を利用した移植医療】
  1. 移植医療の原理、方法と手順、現状およびゲノム情報の取り扱いに関する倫理的問題点を概説できる。(知識・態度)
  2. 摘出および培養組織を用いた移植医療について説明できる。
  3. 臍帯血、末梢血および骨髄に由来する血液幹細胞を用いた移植医療について説明できる。
  4. 胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた細胞移植医療について説明できる。

(9)OTC薬・セルフメディケーション

GIO

 適切な薬物治療および地域の保健・医療に貢献できるようになるために、一般用医薬品(OTC薬、1類、2類、3類)およびセルフメディケーションに関する基本的知識を修得する。併せて、薬物治療実施に必要な情報を自ら収集するための基本的技能を身につける。

  1. 地域における疾病予防、健康維持増進、セルフメディケーションのために薬剤師が果たす役割を概説できる。
  2. 一般用医薬品のリスクの程度に応じた分類(1類、2類、3類)について説明し、各分類に含まれる代表的な製剤を列挙できる。
  3. 代表的な症候について、関連する頻度の高い疾患、見逃してはいけない疾患を列挙できる。
  4. 一般用医薬品の選択、受診勧奨の要否を判断するために必要な患者情報を収集できる。(技能)
  5. 以下の疾患・症候に対するセルフメディケーションに用いる一般用医薬品等に含まれる成分・作用・副作用を列挙できる。
    発熱、痛み、かゆみ、消化器症状、呼吸器症状、アレルギー、真菌感染症、生活習慣病 等
  6. 主な養生法(運動・食事療法、サプリメント、保健機能食品を含む)とその効果を説明できる。
  7. 一般用医薬品と医療用医薬品、サプリメント、保健機能食品等との代表的な相互作用を説明できる。
  8. 一般用医薬品等による治療効果と副作用を判定するための情報を収集し評価できる。(技能)

(10)医療の中の漢方薬

GIO

 漢方を用いた薬物治療に貢献できるようになるために、漢方医学の考え方、漢方医学的な疾患概念、使用目標、代表的な漢方の適応、副作用や注意事項などに関する基本的事項を修得する。

【漢方薬の基礎】
  1. 漢方医学の特徴について概説できる。
  2. 漢方薬と西洋薬(現代薬)、民間薬などとの相違について説明できる。
  3. 配合生薬により漢方処方の系統的な分類が説明できる。
  4. 「証」や「陰陽」、「気血水」などの漢方医学の基本用語を説明できる。
【漢方薬の応用】
  1. 漢方医学における診断法、体質や病態の捉え方、治療法について概説できる。
  2. 日本薬局法に収載される漢方処方の適応と成る証、症状や疾患について例示して説明できる。
【漢方薬の注意点】
  1. 漢方薬の使用上の注意点、相互作用、副作用とその兆候を例示して説明できる。

(11)化学構造、総合演習

GIO

 最適な薬物治療の実現に貢献できるようになるために、薬物治療に用いられる医薬品の化学構造に関する知識を修得し、治療に必要な情報収集・解析および医薬品の適正使用に関する技能・態度を身につける。

【化学構造】
  1. 代表的な医薬品の基本構造と薬効(薬理・薬物動態)の関係を概説できる。
【総合演習】
  1. 代表的な疾患の症例について、患者情報および医薬品情報などの情報に基づいて薬物治療の最適化を討議する(知識、態度)。

E3 薬物治療に役立つ情報

GIO

 薬物治療に必要な情報を医療チームおよび患者に提供するために、医薬品情報ならびに患者情報の収集・評価・加工などに関する基本的知識を修得し、それらを活用するための基本的技能と態度を身につける。

(1)医薬品情報

GIO

 医薬品の適正使用に必要な医薬品情報を正しく取り扱うことができるようになるために、医薬品情報の収集・評価・加工・提供・管理、EBMの実践、生物統計ならびに臨床研究デザイン・解析に関する基本的知識、技能を修得する。

【情報】
  1. 医薬品として必須の情報を列挙できる。
  2. 医薬品情報に関わっている職種を列挙し、その役割について概説できる。
  3. 医薬品(ジェネリック医薬品等を含む)の開発過程で行われる試験と得られる医薬品情報について概説できる。
  4. 医薬品の市販後に行われる調査・試験と得られる医薬品情報について概説できる。
  5. 医薬品情報に関係する代表的な法律と制度(薬事法、GCP、GVP、GPSP、RMPなど)について概説できる。
【情報源】
  1. 医薬品情報源の一次資料、二次資料、三次資料の分類について概説できる。
  2. 医薬品情報源として代表的な二次資料、三次資料を列挙し、それらの特徴について説明できる。
  3. 厚生労働省、医薬品医療機器総合機構、製薬企業などの発行する資料を列挙し、概説できる。
  4. 医薬品添付文書(医療用、一般用)の法的位置づけについて説明できる。
  5. 医薬品添付文書(医療用、一般用)に記載される項目を列挙し、それらの必要性について説明できる。
  6. 医薬品添付文書(医療用、一般用)に記載される項目を列挙し、それらの必要性について説明できる。
【収集・評価・加工・提供・管理】
  1. 目的(効能効果、副作用、相互作用、薬剤鑑別、妊婦への投与、中毒など)に合った適切な情報源を選択し、必要な情報を検索、収集できる。(技能)
  2. MEDLINEなどの医学・薬学文献データベース検索におけるキーワード、シソーラスの重要性を理解し、検索できる。(知識・技能)
  3. 医薬品情報を評価する際に必要な基本的項目(信頼性、科学的妥当性など)を列挙できる。
  4. 代表的な臨床試験論文および三次資料について医薬品情報の質を評価できる。(技能)
  5. 医薬品情報をニーズに合わせて加工・提供し管理する際の方法と注意点(知的所有権、守秘義務など)について説明できる。
【EBM(Evidence-based Medicine)】
  1. EBMの基本概念と実践のプロセスについて説明できる。
  2. 臨床研究法のエビデンスレベルについて概説できる。
  3. 臨床研究論文の批判的吟味に必要な基本的項目を列挙し、内的妥当性と外的妥当性について概説できる。(E3(1)【収集・評価・加工・提供・管理】参照)
  4. メタアナリシスの概念を理解し、結果を評価できる。(知識・技能)
【生物統計】
  1. 基本的な統計量(平均値、中央値、標準偏差、信頼区間など)を説明できる。
  2. 検定と推定の違いを説明できる。
  3. 帰無仮説の概念を説明できる。
  4. 主なパラメトリック検定とノンパラメトリック検定を列挙し、それらの使い分けを説明できる。
  5. 二群間の差の検定(t検定、χ2検定など)を実施できる。(技能)
  6. 主な回帰分析(直線回帰、ロジスティック回帰など)と相関係数の検定について概説できる。
  7. 基本的な生存時間解析法(Kaplan-Meier曲線など)について概説できる。
【臨床研究デザインと解析】
  1. 介入研究と観察研究の違いについて説明できる。
  2. 臨床研究におけるバイアス・交絡について概説できる。
  3. 観察研究での主な疫学研究デザイン(症例報告、症例集積、コホート研究、ケースコントロール研究、ネステッドケースコントロール研究、ケースコホート研究など)の長所と短所について説明できる。
  4. 副作用の因果関係を評価するための方法(副作用判定アルゴリズムなど)について概説できる。
  5. 優越性試験と非劣性試験の違いについて説明できる。
  6. 介入研究の計画上の技法(症例数設定、ランダム化、盲検化など)について概説できる。
  7. 統計解析時の注意点(統計的多重性など)について概説できる。
  8. 介入研究での効果指標(真のエンドポイントと代用のエンドポイント、主要エンドポイントと副次的エンドポイント)の違いを例を挙げて説明できる。
  9. 臨床研究の結果(有効性、安全性)の主なパラメータ(相対リスク、相対リスク減少、絶対リスク減少、治療必要数、オッズ比、発生率、発生割合)を説明し、計算できる。(知識・技能)
【総合演習】
  1. 病院や薬局において医薬品を採用・選択する際に検討すべき項目を列挙し、その意義を説明できる。
  2. 医薬品情報にもとづいて、代表的な同種同効薬の有効性や安全性について比較・評価を試みる。(技能)
  3. 医薬品情報にもとづいて、先発医薬品とジェネリック医薬品、ジェネリック医薬品間の比較・評価を試みる。(技能)

(2)患者情報

GIO

 個々の患者への適正な薬物治療に貢献できるようになるために、患者からの情報の収集、評価に必要な基本的な事項を修得する。

【情報と情報源】
  1. 薬物治療に必要な患者基本情報を列挙できる。
  2. 患者情報源の種類を列挙し、それぞれの違いを説明できる。
【収集・評価・管理】
  1. 問題志向型システム(POS)を説明できる。
  2. SOAP形式などの患者情報の記録方法について説明できる。
  3. 得られた患者情報から医薬品の効果および副作用などを評価し、対処法を説明できる
  4. 患者情報の取扱いにおいて守秘義務と管理の重要性を説明できる。
    (A(2)【患者の権利】参照)

(3)個別化医療

GIO

 個々の患者に応じた薬物治療を提案できるようになるために、薬物治療の個別化に関する基本的知識と技能を修得する。

【遺伝的素因】
  1. 薬物の主作用および副作用に影響する代表的な遺伝的素因について、例を挙げて説明できる。
  2. 薬物動態に影響する代表的な遺伝的素因について、例を挙げて説明できる。
  3. 遺伝的素因を考慮した薬物治療について、例を挙げて説明できる。
  4. コンパニオン診断にもとづく薬物治療について、例を挙げて説明できる。
【年齢的要因】
  1. 低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児に対する薬物治療で注意すべき点を説明できる。
  2. 高齢者に対する薬物治療で注意すべき点を説明できる。
【臓器機能低下】
  1. 腎疾患・腎機能低下時の薬物治療・投与設計において注意すべき点を説明できる。
  2. 肝疾患・肝機能低下時の薬物治療・投与設計において注意すべき点を説明できる。
  3. 心臓疾患を伴った患者における薬物治療・投与設計において注意すべき点を説明できる。
【その他の要因】
  1. 薬物の効果に影響する生理的要因(性差、閉経前後、日内変動など)を列挙できる。
  2. 生殖、妊娠時、授乳期における薬物治療で注意すべき点を説明できる。
  3. 栄養状態の異なる患者(肥満、低アルブミン血症、腹水など)に対する薬物治療で注意すべき点を説明できる。
【総合演習】
  1. 個別の患者情報(遺伝的素因、年齢的要因など)と医薬品情報をもとに、薬物治療を計画・立案できる。(技能)

E4 薬の生体内運命

GIO

 薬物の生体内運命を理解し、個々の患者の投与設計ができようになるために、薬物の体内動態およびその解析に関する基本的知識を修得し、それらを応用する基本的技能を身につける。

(1)薬物の体内動態

GIO

 薬物の生体内運命を理解するために、吸収、分布、代謝、排泄の諸過程および薬物動態学的相互作用に関する基本的な事項を修得する

【吸収】
  1. 薬物の生体膜透過における単純拡散、促進拡散および能動輸送の例を挙げ、その特徴を説明できる。
  2. 経口投与された薬物の吸収について説明できる。
  3. 非経口的に投与された薬物の吸収について説明できる。
  4. 薬物の吸収に影響する因子(薬物の物性、生理学的要因など)を列挙し、説明できる。
  5. 薬物の吸収過程における相互作用とその回避法について例を挙げ、説明できる。
  6. 初回通過効果について説明できる。
【分布】
  1. 薬物が結合する代表的な血漿タンパク質を挙げ、タンパク結合の強い薬物を列挙できる。
  2. 薬物の組織移行性(分布容積)とタンパク結合との関係を、定量的に説明できる。
  3. 薬物のタンパク結合能の測定・解析方法を説明できる。
  4. 血液-組織関門の構造とその特徴について説明できる。
  5. 薬物の乳汁中への移行について説明できる。
【代謝】
  1. 代表的な薬物代謝酵素を列挙し、その代謝反応が起こる組織ならびに細胞内小器官、反応様式などについて説明できる。
  2. 薬物の酸化・還元・加水分解、抱合について、例を挙げて説明できる。
  3. シトクロムP-450の構造、性質、反応様式について説明できる。
  4. プロドラッグと活性代謝物について、例を挙げて説明できる。
  5. 薬物代謝酵素の阻害と誘導のメカニズムについて説明できる。
  6. 薬物代謝過程における相互作用について、例を挙げて説明できる。
  7. 薬物代謝酵素の遺伝子多型について、例を挙げて説明できる。
【排泄】
  1. 薬物の尿中排泄機構について説明できる。
  2. 腎クリアランスと、糸球体ろ過、分泌、再吸収の関係を定量的に説明できる。
  3. 代表的な腎排泄型薬物を列挙できる。
  4. 薬物の胆汁中排泄と腸肝循環について説明できる。
  5. 薬物の排泄過程における相互作用について、例を挙げて説明できる。

(2)薬物動態の解析

GIO

 患者個々の薬物投与設計ができるようになるために、薬物動態の理論的解析ならびに投与設計に関する基本的知識と技能を修得する。

【薬物速度論】
  1. 線形コンパートメントモデルと関連するパラメーターについて説明できる。
  2. 薬物の生物学的利用能の意味とその計算法を説明できる。
  3. 非線形性の薬物動態について、例を挙げて説明できる。
  4. モーメント解析について説明できる。
  5. 全身クリアランス、組織クリアランス(肝、腎)、固有クリアランスについて、数式を使って説明できる。
  6. 薬物速度論-薬力学解析(PK-PD解析)について、例を挙げて説明できる。
【TDM (Therapeutic Drug Monitoring)と投与設計】
  1. 治療的薬物モニタリング(TDM)の意義を説明し、代表的な薬物を列挙できる。
  2. TDMを行う際の薬物濃度の測定法と試料の取り扱いについて説明できる。
  3. 薬物動態パラメーターを用いて患者ごとの薬物投与設計ができる。(知識、技能)
  4. ポピュレーションファーマコキネティクスの概念と応用について概説できる。

E5 製剤化のサイエンス

GIO

 製剤化の意義と製剤の性質を理解するために、薬物と製剤材料の物性、製剤設計、および薬物送達システムに関する基本的知識と技能を修得する。

(1)製剤の性質

GIO

 製剤の性質を理解するために、薬物と製剤材料の物性に関する基本的な項目を修得する。

【固形材料】
  1. 粉体の性質について説明できる。

  2. 結晶(安定晶、準安定晶、非晶質)の性質について説明できる。
  3. 固形材料の溶解現象(溶解度、溶解平衡など)や溶解した物質の拡散と溶解速度について説明できる。(C2-(2)-【酸・塩基平衡】1)及び【各種の化学平衡】2)参照)
  4. 固形材料の溶解に影響を及ぼす因子(pHや温度など)について説明できる。
  5. 固形材料の溶解度や溶解速度を高める代表的な製剤的手法を列挙し、説明できる。
【半固形・液状材料】
  1. 流動と変形(レオロジー)について説明できる。
  2. 高分子の構造と高分子溶液の性質(粘度など)について説明できる。
【分散系材料】
  1. 界面の性質(界面張力、分配平衡など)や代表的な界面活性剤の種類と性質について説明できる。(C2-(2)-【各種の化学平衡】4)参照)
  2. 代表的な分散系(分子集合体、コロイド、乳剤、懸濁剤など)を列挙し、その性質について説明できる。
  3. 分散した粒子の沈降現象について説明できる。
  4. 分散安定性を高める代表的な製剤的手法を列挙し、説明できる。
【薬物及び製剤材料の物性】
  1. 製剤分野で汎用される高分子の構造を理解し、その物性について説明できる。
  2. 薬物の安定性(反応速度、複合反応など)や安定性に影響を及ぼす因子(pH、温度など)について説明できる。(C1-(4)-【反応速度】1)~7)参照)
  3. 薬物の安定性を高める代表的な製剤的手法を列挙し、説明できる。

(2)製剤設計

GIO

 薬物の物性や用途に応じた製剤設計について理解するために、製剤の種類、製造、品質などに関する基本的な項目を修得する。

【代表的な製剤】
  1. 製剤化の概要と意義について説明できる。
  2. 経口投与する製剤の種類とその特性について説明できる。
  3. 粘膜に適用する製剤(点眼剤、吸入剤など)の種類とその特性について説明できる。
  4. 注射により投与する製剤の種類とその特性について説明できる。
  5. 皮膚に適用する製剤の種類とその特性について説明できる。
  6. その他の製剤(生薬関連製剤、透析に用いる製剤など)の種類と特性について説明できる。
【製剤化】
  1. 代表的な製剤添加物の種類と性質について説明できる。
  2. 製剤化の単位操作、および汎用される製剤機械について説明できる。
  3. 汎用される容器、包装の種類や特徴について説明できる。
  4. 製剤に関連する試験法を列挙し、説明できる。
【生物学的同等性】
  1. 製剤の特性を理解した上で、生物学的同等性について説明できる。

(3)DDS(Drug Delivery System: 薬物送達システム)

GIO

 薬物治療の有効性、安全性、信頼性を高めるために、薬物の投与形態や薬物体内動態の制御法などを工夫したDDSに関する基本的知識を修得する。

【DDSの必要性】
  1. DDSの概念と有用性について説明できる。
【コントロールドリリース】
  1. コントロールドリリースの概要と意義について説明できる。
  2. 投与部位ごとに、代表的なコントロールドリリース技術を列挙し、その特性について説明できる。
  3. コントロールドリリース技術を適用した代表的な医薬品を列挙できる。
【ターゲティング】
  1. ターゲティングの概要と意義について説明できる
  2. 投与部位ごとに、代表的なターゲティング技術を列挙し、その特性について説明できる。
  3. ターゲティング技術を適用した代表的な医薬品を列挙できる。
【膜透過促進】
  1. 膜透過促進の概要と意義について説明できる。
  2. 投与部位ごとに、代表的な膜透過促進技術を列挙し、その特性について説明できる。
  3. 膜透過促進技術を適用した代表的な医薬品を列挙できる。

お問合せ先

高等教育局医学教育課