C 薬学基礎教育

C1 物質の物理的性質

GIO

 化学物質の基本的性質を理解するために、原子・分子の構造、熱力学、反応速度論などの基本的知識を修得し、それらを応用する技能を身につける。

(1)物質の構造

GIO

 物質を構成する基本単位である原子および分子の性質を理解するために、原子構造、分子構造および化学結合に関する基本的知識を修得する。

【化学結合】
  1. 化学結合の様式について説明できる。
  2. 分子軌道の基本概念および軌道の混成について説明できる。
  3. 共役や共鳴の概念を説明できる。
【分子間相互作用】
  1. 静電相互作用について例を挙げて説明できる。
  2. ファンデルワールス力について例を挙げて説明できる。
  3. 双極子間相互作用について例を挙げて説明できる。
  4. 分散力について例を挙げて説明できる。
  5. 水素結合について例を挙げて説明できる。
  6. 電荷移動相互作用について例を挙げて説明できる。
  7. 疎水性相互作用について例を挙げて説明できる。
【原子・分子の挙動】
  1. 電磁波の性質および物質との相互作用を説明できる。
  2. 分子の振動、回転、電子遷移について説明できる。
  3. スピンとその磁気共鳴について説明できる。
  4. 偏光および旋光性について説明できる。
  5. 散乱および干渉について説明できる。
  6. 結晶構造と回折現象について説明できる。
【放射線と放射能】
  1. 原子の構造と放射壊変について説明できる。
  2. 電離放射線の種類を列挙し、それらの性質および物質との相互作用について説明できる。
  3. 代表的な放射性核種の物理的性質について説明できる。
  4. 核反応および放射平衡について説明できる。

(2)物質のエネルギーと平衡

GIO

 物質の状態および相互変換過程を理解するために、熱力学の基本的知識を修得する。

【気体の微視的状態と巨視的状態】
  1. ファンデルワールスの状態方程式について説明できる。
  2. 気体の分子運動とエネルギーの関係について説明できる。
  3. エネルギーの量子化とボルツマン分布について説明できる。
【エネルギー】
  1. 熱力学における系、外界、境界について説明できる。
  2. 熱力学第一法則を説明できる。
  3. 状態関数と経路関数の違いを説明できる。
  4. 定圧過程、定容過程、等温過程、断熱過程を説明できる。
  5. 定容熱容量および定圧熱容量について説明できる。
  6. エンタルピーについて説明できる。
  7. 定圧条件下での化学変化に伴う熱の出入りについて説明できる。
【自発的な変化】
  1. エントロピーについて説明できる。
  2. 熱力学第二法則について説明できる。
  3. 熱力学第三法則について説明できる。
  4. ギブズエネルギーについて説明できる。
  5. 熱力学関数を使い、自発的な変化の方向と程度を予測できる。
【化学平衡の原理】
  1. ギブズエネルギーと化学ポテンシャルの関係を説明できる。
  2. ギブズエネルギーと平衡定数の関係を説明できる。
  3. 平衡定数の温度依存性について説明できる。
  4. 共役反応の原理について説明できる。

(3)溶液の性質と電気化学

GIO

 複雑な系における物質の状態および相互変換過程を熱力学に基づき解析できるようになるために、溶液および電気化学に関する基本的知識を修得する。

【相平衡】
  1. 相変化に伴う熱の移動について説明できる。
  2. 相平衡と相律について説明できる。
  3. 状態図について説明できる。
  4. 希薄溶液の束一的性質について説明できる。
【電解質溶液の性質】
  1. 活量と活量係数について説明できる。
  2. 電解質溶液の電気伝導率およびモル伝導率の濃度による変化を説明できる。
  3. イオン強度について説明できる。
【電気化学】
  1. 起電力とギブズエネルギーの関係について説明できる。
  2. 代表的な化学電池の種類とその構成について説明できる。
  3. 濃淡電池について説明できる。

(4)物質の変化

GIO

 物質の変換過程を理解するために、化学反応速度論および反応速度に影響を与える諸因子に関する基本的知識と技能を修得する。

【反応速度】
  1. 反応次数と速度定数について説明できる。
  2. 微分型速度式を積分型速度式に変換できる。(知識・技能)
  3. 代表的な反応次数の決定法を列挙し、説明できる。
  4. 代表的な(擬)一次反応の反応速度を測定し、速度定数を求めることができる。(技能)
  5. 代表的な複合反応(可逆反応、平行反応、連続反応、酵素反応など)の特徴について説明できる。
  6. 反応速度と温度との関係(Arrheniusの式)を説明できる。
  7. 代表的な触媒反応(酸・塩基触媒反応など)について説明できる。

C2 化学物質の分析

GIO

 化学物質(医薬品を含む)をその性質に基づいて分析できるようになるために、物質の定性、定量などに必要な基本的知識と技能を修得する。

(1)分析の基礎

GIO

 化学物質を正確に分析できるようになるために、分析に用いる器具の使用法と、得られる測定値の取り扱いに関する基本的知識と技能を修得する。

【分析の基本】
  1. 分析に用いる器具を正しく使用できる。(知識・技能)
  2. 測定値を適切に取り扱うことができる。(知識・技能)
  3. 分析法のバリデーションについて説明できる。

(2)化学平衡の応用

GIO

 水溶液中での物質の性質を理解するために、各種の化学平衡に関する基本的知識と技能を修得する。

【酸・塩基平衡】
  1. 酸・塩基平衡とpHおよび解離定数の概念を説明できる。
  2. 溶液のpHを正しく測定できる。(知識・技能)
  3. 緩衝作用や緩衝液について説明できる。
【各種の化学平衡】
  1. 錯体・キレート生成平衡について説明できる。
  2. 沈殿平衡(溶解度と溶解度積)について説明できる。
  3. 酸化還元平衡について説明できる。
  4. 分配平衡について説明できる。
  5. イオン交換について説明できる。

(3)化学物質の定性・定量分析

GIO

 試料中に存在する特定の化学物質を確認し、その量を正確に知るために、定性および定量分析に関する基本的知識と技能を修得する。

【定性分析】
  1. 代表的な無機イオンの定性反応を説明できる。
  2. 日本薬局方収載の代表的な医薬品の確認試験を列挙し、その内容を説明できる。
【容量分析・重量分析】
  1. 中和滴定(非水滴定を含む)の原理、操作法および応用例を説明できる。
  2. キレート滴定の原理、操作法および応用例を説明できる。
  3. 沈殿滴定の原理、操作法および応用例を説明できる。
  4. 酸化還元滴定の原理、操作法および応用例を説明できる。
  5. 日本薬局方収載の代表的な医薬品の容量分析を実施できる。(技能)
  6. 日本薬局方収載の代表的な純度試験を列挙し、その内容を説明できる。
  7. 日本薬局方収載の重量分析法の原理および操作法を説明できる。

(4)機器を用いた分析法

GIO

 化学物質の構造およびその量を知るために、各種機器を用いた分析法の原理とその応用に関する基本的知識と技能を修得する。

【分光分析法】
  1. 紫外可視吸光度測定法の原理および応用例を説明できる。
  2. 蛍光光度法の原理および応用例を説明できる。
  3. 赤外吸収スペクトル法の原理および応用例を説明できる。
  4. 原子吸光光度法の原理および応用例を説明できる。
  5. 旋光度測定法(旋光分散)、円偏光二色性測定法の原理および応用例を説明できる。
  6. 分光分析法を用いて、日本薬局方収載の代表的な医薬品の分析を実施できる。(技能)
【核磁気共鳴スペクトル測定法】
  1. 核磁気共鳴スペクトル測定法の原理および応用例を説明できる。
【質量分析法】
  1. 質量分析法の原理および応用例を説明できる。
  2. 質量分析法で用いるイオン化法の原理を説明できる。
【X線分析法】
  1. X線結晶解析の原理および応用例を概説できる。
  2. 粉末X線回折測定法の原理と利用法について概説できる。
【熱分析】
  1. 熱重量測定法の原理を説明できる。
  2. 示差熱分析法および示差走査熱量測定法について説明できる。

(5)分離分析法

GIO

 試料に含まれる物質を物理化学的性質の違いによって適切に分離し定性・定量するために、各種分離分析法に関する基本的知識と技能を修得する。

【クロマトグラフィー】
  1. クロマトグラフィーの分離機構を説明できる。
  2. 薄層クロマトグラフィーの特徴と代表的な検出法を説明できる。
  3. 液体クロマトグラフィーの特徴と代表的な検出法を説明できる。
  4. ガスクロマトグラフィーの特徴と代表的な検出法を説明できる。
  5. クロマトグラフィーを用いて試料を定性・定量できる。(知識・技能)
【電気泳動法】
  1. 電気泳動法の原理および応用例を説明できる。

(6)分析技術の臨床応用

GIO

 臨床現場で分析技術を適切に応用するために、代表的な分析法の基本的知識を修得する。

【分析の準備】
  1. 分析目的に即した試料の前処理法を説明できる。
  2. 臨床分析における精度管理および標準物質の意義を説明できる。
【分析技術】
  1. 臨床分析の分野で用いられる代表的な分析法を列挙できる。
  2. 免疫学的測定法の原理を説明できる。
  3. 酵素を用いた代表的な分析法の原理を説明できる。
  4. 代表的なドライケミストリーについて概説できる。
  5. 代表的な画像診断技術(X線検査、MRI、超音波、内視鏡検査、核医学検査など)について概説できる。

C3 化学物質の性質と反応

GIO

 化学物質(医薬品および生体分子を含む)の基本的な性質と反応性を理解するために、代表的な有機化合物と無機化合物の構造、物性、反応、分離法、構造決定法などに関する基本的事項を修得する。

(1)化学物質の基本的性質

GIO

 基本的な有機化合物の構造、命名法、物性、反応性を関連づけて理解するために、電子配置、電子密度、化学結合や立体構造などに関する基本的事項を修得する。

【基本事項】
  1. 代表的な化合物をIUPAC規則に基づいて命名することができる。
  2. 薬学領域で用いられる代表的化合物を慣用名で記述できる。
  3. 基本的な化合物を、ルイス構造式で書くことができる。
  4. 有機化合物の性質に及ぼす共鳴の影響について説明できる。
  5. 基本的な有機反応(置換、付加、脱離など)の特徴を理解し、分類できる。
  6. ルイス酸・塩基を、ブレンステッド酸・塩基と比較して定義することができる。
  7. 炭素原子を含む反応中間体(カルボカチオン、カルバニオン、ラジカル)の構造と性質を説明できる。
  8. 反応の進行を、エネルギー図を用いて説明できる。
  9. 基本的な有機反応機構を、電子の動きを示す矢印を用いて表すことができる。
【有機化合物の立体構造】
  1. 構造異性体と立体異性体の違いについて説明できる。
  2. 不斉と光学活性の関係を概説できる。
  3. エナンチオマーとジアステレオマーについて説明できる。
  4. ラセミ体とメソ体について説明できる。
  5. 絶対配置の表示法を説明できる。
  6. 炭素―炭素二重結合の立体異性(cis, transならびにE,Z異性)について説明できる。
  7. Fischer投影式とNewman投影式を用いて有機化合物の構造を書くことができる。
  8. 立体配座とその安定性について説明できる。

(2)有機化合物の基本骨格と反応

GIO

 脂肪族および芳香族化合物の性質と反応を理解するために、それぞれの基本構造、物性、反応性などに関する基本的事項を修得する。

【アルカン】
  1. アルカンの基本的な物性について説明できる。
  2. アルカンの構造異性体を図示することができる。
  3. シクロアルカンの環の歪みを決定する要因について説明できる。
  4. シクロヘキサンのいす形配座における水素の結合方向(アキシアル、エクアトリアル)を図示できる。
  5. 置換シクロヘキサンの安定な立体配座を決定する要因について説明できる。
【アルケン・アルキン】
  1. アルケンの代表的な付加反応を列挙し、その特徴を説明できる。
  2. アルケンの代表的な酸化反応を列挙し、その特徴を説明できる。
  3. アルキンの代表的な反応を列挙し、その特徴を説明できる。
【芳香族化合物】
  1. 代表的な芳香族化合物を列挙し、その物性と反応性を説明できる。
  2. 芳香族性(Huckel則)の概念を説明できる。
  3. 芳香族化合物の求電子置換反応の反応性、配向性、置換基の効果について説明できる。
  4. 代表的な芳香族複素環化合物の性質を芳香族性と関連づけて説明できる。
  5. 代表的芳香族複素環の求電子置換反応の反応性、配向性、置換基の効果について説明できる。

(3)官能基の性質と反応

GIO

 官能基が有機化合物に及ぼす効果を理解するために、カルボニル基、アミノ基などの官能基を有する有機化合物について、物性、反応性に関する基本的事項を修得する。

【概説】
  1. 代表的な官能基を列挙し、生体内高分子と薬物の相互作用における各官能基の役割を説明できる。
  2. 官能基の性質を利用した分離精製を実施できる。(技能)
【有機ハロゲン化合物】
  1. 有機ハロゲン化合物の代表的な性質と反応を列挙し、説明できる。
  2. 求核置換反応の特徴について説明できる。
  3. 脱離反応の特徴について説明できる。
【アルコール・フェノール・エーテル】
  1. アルコール、フェノール類の代表的な性質と反応を列挙し、説明できる。
  2. エーテル類の代表的な性質と反応を列挙し、説明できる。 
【アルデヒド・ケトン・カルボン酸・カルボン酸誘導体】
  1. アルデヒド類およびケトン類の代表的な性質と反応を列挙し、説明できる。
  2. カルボン酸の代表的な性質と反応を列挙し、説明できる。
  3. カルボン酸誘導体(酸ハロゲン化物、酸無水物、エステル、アミドなど)の代表的な性質と反応を列挙し、説明できる。
【アミン】
  1. アミン類の代表的な性質と反応を列挙し、説明できる。
【電子効果・酸性度・塩基性度】
  1. 官能基が及ぼす電子効果について概説できる。
  2. アルコール、フェノール、カルボン酸、炭素酸などの酸性度を比較して説明できる。
  3. 含窒素化合物の塩基性度を説明できる。

(4)化学物質の構造決定

GIO

 医薬品や生体分子の構造決定を理解するために、核磁気共鳴(NMR)、赤外吸収(IR)、質量分析(MS)などの代表的な機器分析法の基本的事項と構造決定法を修得する。

【総論】
  1. 化学物質の構造決定に用いられる機器分析法の特徴を概説できる。
【核磁気共鳴(NMR)】
  1. 1Hおよび13C NMRスペクトルより得られる情報を概説できる。
  2. 有機化合物中の代表的プロトンについて、おおよその化学シフト値を示すことができる。
  3. 1H NMRの積分値の意味を説明できる。
  4. 1H NMRシグナルが近接プロトンにより分裂(カップリング)する基本的な分裂様式を説明できる。
  5. 代表的化合物の部分構造を1H NMR から決定できる。(技能)
【赤外吸収(IR)】
  1. IRスペクトルより得られる情報を概説できる。
  2. IRスペクトル上の基本的な官能基の特性吸収を列挙し、帰属することができる。(知識・技能)
【質量分析】
  1. 質量分析スペクトルより得られる情報を概説できる。
  2. イオン化の方法を列挙し、それらの特徴を概説できる。
  3. ピークの種類(基準ピーク、分子イオンピーク、同位体ピーク、フラグメントピーク)を説明できる。
  4. 基本的な化合物の質量分析スペクトルを解析できる。(技能)
【総合演習】
  1. 代表的な機器分析法を用いて、基本的な化合物の構造決定ができる。(技能)

(5)無機化合物・錯体の構造と機能

GIO

 医薬品や生体分子に含まれる無機化合物・錯体の性質や機能を理解するために、代表的な無機化合物・錯体の構造、物性、生体内機能に関する基本的事項を修得する。

【無機化合物・錯体】
  1. 代表的な典型元素と遷移元素を列挙できる。
  2. 代表的な無機酸化物、オキソ化合物の名称、構造、性質を列挙できる。
  3. 活性酸素と活性窒素の名称、構造、性質を列挙できる。
  4. 代表的な錯体の名称、構造、基本的性質を説明できる。
  5. 医薬品として用いられる代表的な無機化合物、および錯体を列挙できる。

C4 生体分子・医薬品を化学で理解する

GIO

 医薬品の標的となる生体分子の機能を理解するために、生体分子の基本構造とその化学的な性質に関する基本的事項を修得する。

(1)医薬品の標的となる生体分子の構造

GIO

 医薬品の標的となる生体分子の機能を理解するために、生体分子の基本構造とその化学的な性質に関する基本的事項を修得する。

【医薬品の標的となる生体構成分子の化学構造】
  1. 代表的な生体高分子を構成する低分子(アミノ酸、糖、脂質、ヌクレオチドなど)の構造に基づく化学的性質を説明できる。
  2. 医薬品の標的となる生体高分子(タンパク質、核酸など)の立体構造とそれを規定する化学結合、相互作用について説明できる。
【生体内で機能する小分子】
  1. 細胞膜受容体および転写因子型受容体の代表的な内因性リガンドの構造と性質について概説できる。
  2. 代表的な補酵素の構造に基づく化学的性質を説明できる。
  3. 活性酸素、活性窒素の構造に基づく生体内反応を化学的に説明できる。 
  4. 生体内に存在する代表的な金属イオンおよび錯体の機能を化学的に説明できる。

(2)生体反応を化学で理解する

GIO

 医薬品の生体内での作用を理解し、生体反応を化学に基づいて説明するための基本的事項を修得する。

【生体内で機能するリン、硫黄化合物】
  1. リンおよび硫黄化合物の化学的特徴を窒素化合物および酸素化合物と比較して説明できる。
  2. リンおよび硫黄化合物の化学的性質に基づく生体内での機能を説明できる。
【酵素阻害剤と作用様式】
  1. 自殺基質が不可逆的阻害薬となることを酵素の反応機構に基づいて説明できる。
  2. 基質模倣体が競合阻害薬となることを酵素の反応機構に基づいて説明できる。
  3. 遷移状態模倣体が競合阻害薬となることを酵素の反応機構に基づいて説明できる。
【受容体のアゴニストおよびアンタゴニスト】
  1. 受容体のアゴニストとアンタゴニストとの相違点について、内因性リガンドの構造と比較して説明できる。
  2. 低分子内因性リガンド誘導体が医薬品として用いられている理由を説明できる。
【生体内で起こる有機反応】
  1. 代表的な生体分子(脂肪酸、コレステロールなど)の代謝反応を有機化学の観点から説明できる。
  2. 異物代謝の反応(発がん性物質の代謝的活性化など)を有機化学の観点から説明できる。

(3)医薬品の化学構造と性質、作用

GIO

 医薬品の作用を化学構造と関連づけて理解するために、医薬品に含まれる代表的な構造とその性質に関する基本的事項を修得する。

【医薬品と生体分子の相互作用】
  1. 医薬品と生体分子との結合親和性の強弱と自由エネルギー変化の関係について具体的な例を用いて説明できる。
  2. 医薬品と生体分子との相互作用を有機化学的な観点(電子効果、立体効果など)から説明できる。
【医薬品の化学構造に基づく性質】
  1. 医薬品の構造からその物理化学的性質(酸性、塩基性、疎水性、水溶性など)を説明できる。
  2. プロドラッグなどの薬物動態を考慮した医薬品の化学構造について説明できる。
【医薬品のコンポーネント】
  1. 代表的な医薬品のコア構造(ファーマコフォア)について概説できる。
  2. 生物学的等価体(バイオアイソスター)について、代表的な例を挙げて概説できる。
  3. 医薬品に含まれる代表的な複素環を構造に基づいて分類し、医薬品コンポーネントとしての性質を説明できる。
【酵素に作用する医薬品の構造と性質】
  1. 酵素に作用する医薬品の代表的な基本構造を列挙し、説明できる。
  2. ヌクレオシドおよびヌクレオチド塩基を有する医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる。
  3. フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸構造などをもつ医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる。
  4. スルホンアミド構造をもつ医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる。
  5. キノロン骨格をもつ医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる。
  6. β-ラクタム構造をもつ医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる。
  7. ペプチドアナログの医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる
【受容体に作用する医薬品の構造と性質】
  1. 受容体に作用する医薬品の代表的な基本構造を列挙し、説明できる。
  2. カテコールアミン骨格を有する医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる。
  3. アセチルコリンアナログの医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる。
  4. ステロイドアナログの医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる。
  5. ベンゾジアゼピン骨格およびバルビタール骨格を有する医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる。
【DNAに作用する医薬品の構造と性質】
  1. DNAに作用する医薬品の代表的な基本構造を列挙し、説明できる。
  2. DNAと共有結合する医薬品を列挙し、それらの化学構造と反応機構を説明できる。
  3. DNAにインターカレートする医薬品を列挙し、それらの構造上の特徴を説明できる。
【イオンチャネルに作用する医薬品の構造と性質】
  1. イオンチャネルに作用する医薬品の代表的な基本構造を列挙し、説明できる。

C5 自然が生み出す薬物

GIO

 自然界に存在する物質を医薬品として利用するために、代表的な生薬の基原、特色、臨床応用および天然生物活性物質の作用、単離、構造、物性などに関する基本的事項を修得する。

(1)薬になる動植鉱物

GIO

 薬として用いられる動物、植物、鉱物および藻類、菌類由来の生薬の基本的性質を理解するために、それらの基原、性状、含有成分、品質評価などに関する基本的事項を修得する。

【生薬の基原】
  1. 植物を基原とする代表的な生薬を列挙し、その基原植物、薬用部位を説明できる。
  2. 動物を基原とする代表的な生薬を列挙し、その基原動物、薬用部位を説明できる。
  3. 代表的な薬用植物や有毒植物を外部形態および内部形態から説明し、区別できる。
  4. 代表的な薬用植物の学名、薬効などを挙げることができる。
  5. 法律によって取り扱いが規制されている植物の特徴を説明できる。
【生薬の用途】
  1. 植物を基原とする代表的な生薬の薬効、成分、用途などを説明できる。
  2. 動物を基原とする代表的な生薬の薬効、成分、用途などを説明できる。
  3. 藻類、菌類を基原とする代表的な生薬を列挙し、その薬効、成分、用途などを説明できる。
  4. 鉱物由来の代表的な生薬を列挙し、その薬効、成分、用途などを説明できる。
【生薬の同定と品質評価】
  1. 日本薬局方の生薬総則および生薬試験法について説明できる。
  2. 代表的な生薬を鑑別できる。(技能)
  3. 代表的な生薬の確認試験を説明できる。
  4. 代表的な生薬の純度試験を説明できる。
  5. 生薬の同定と品質評価法について概説できる。

(2)薬の宝庫としての天然物

GIO

 医薬品資源としての天然物の重要性と多様性を理解するために、複雑で多様な天然生物活性物質を構造によって分類・整理するとともに、天然生物活性物質の利用に関する基本的事項を修得する。

【生薬由来の生物活性物質の構造と作用】
  1. 生薬由来の代表的な生物活性物質を化学構造に基づいて分類し、それらの生合成経路を概説できる。
  2. 脂質に分類される生薬由来の代表的な生物活性物質を列挙し、その作用を挙げることができる。
  3. 芳香族化合物に分類される生薬由来の代表的な生物活性物質を列挙し、その作用を挙げることができる。
  4. テルペノイド、ステロイドに分類される生薬由来の代表的な生物活性物質を列挙し、その作用を挙げることができる。
  5. アルカロイドに分類される生薬由来の代表的な生物活性物質を列挙し、その作用を挙げることができる。
【微生物由来の生物活性物質の構造と作用】
  1. 微生物由来の生物活性物質を化学構造に基づいて分類できる。
  2. 微生物由来の代表的な生物活性物質を列挙し、その作用を挙げることができる。
【天然生物活性物質の取扱い】
  1. 天然生物活性物質の代表的な抽出法、分離精製法を列挙し、実施できる。(知識、技能)
【天然生物活性物質の利用】
  1. 医薬品として使われている代表的な天然生物活性物質を列挙し、その用途を挙げることができる。
  2. 天然生物活性物質を基に化学修飾等により開発された医薬品を列挙し、その用途、基原化合物を挙げることができる。 
  3. 農薬や香粧品などとして使われている代表的な天然生物活性物質を列挙し、その用途を挙げることができる。 

C6 生命現象の基礎

GIO

 生命現象を細胞レベル、分子レベルで理解するために、生命体の最小単位である細胞の成り立ちや生命現象を担う分子に関する基本的事項を修得する。

(1)細胞の構造と機能

GIO

 生命体を構成する細胞の成り立ちを理解するために、細胞膜や細胞内小器官の構造と機能に関する基礎的事項を修得する。

【細胞膜】
  1. 細胞膜の構造と性質について説明できる。
【細胞内小器官】
  1. 細胞内小器官(核、ミトコンドリア、小胞体、リソソーム、ゴルジ体、ペルオキシソームなど)やリボソームの構造と機能を説明できる。
【細胞骨格】
  1. 細胞骨格の構造と機能を説明できる。
【細胞の形態観察】
  1. 代表的な細胞、組織を顕微鏡を用いて観察できる。(技能)

(2)生命現象を担う分子

GIO

 生命の活動単位としての細胞の成り立ちを分子レベルで理解するために、その構成分子の構造、生合成、性状、機能に関する基本的事項を修得する。

【脂質】
  1. 代表的な脂質の種類、構造、性質、役割を説明できる。
【糖質】
  1. 代表的な単糖の種類、構造、性質、役割を説明できる。
  2. 代表的な多糖の種類、構造、性質、役割を説明できる。
【アミノ酸】
  1. アミノ酸を列挙し、その構造に基づいて性質を説明できる。
【タンパク質】
  1. タンパク質の一次、二次、三次、四次構造を説明できる。
【ヌクレオチドと核酸】
  1. ヌクレオチドと核酸(DNA, RNA)の構造と役割を説明できる。
  2. DNAを抽出できる。(技能)
【ビタミン】
  1. 代表的なビタミンの種類、構造、性質、生理機能を説明できる。
【生体分子の定性、定量】
  1. タンパク質以外の代表的な生体分子の定性、定量試験法を実施できる。(技能)

(3)生命活動を担うタンパク質

GIO

 生命活動の担い手であるタンパク質、酵素について理解するために、その構造、性状、代謝についての基本的事項を修得する。

【タンパク質の構造と機能】
  1. タンパク質の主要な機能(酵素、受容体、シグナル分子、膜輸送体、運搬・輸送タンパク質、貯蔵タンパク質、構造タンパク質、接着タンパク質、防御タンパク質、調節タンパク質)を列挙し概説できる。
  2. タンパク質の機能発現に必要な翻訳後修飾について説明できる。
【酵素】
  1. 酵素反応の特性と反応速度論を説明できる。
  2. 酵素反応における補酵素、微量金属の役割を説明できる。
  3. 代表的な酵素活性調節機構を説明できる。
  4. 酵素反応を測定あるいは計算できる。(技能)
【膜輸送体】
  1. 膜輸送体の構造と機能を説明できる。
【タンパク質の取扱い】
  1. タンパク質の定性、定量試験法を実施できる。(技能)
  2. タンパク質の分子量測定法を実施できる。(技能)

(4)生命情報を担う遺伝子

GIO

 生命情報の伝達と機構を理解するために、遺伝子の発現とその制御に関する基本的事項を修得する。

【総論】
  1. 遺伝子発現に関するセントラルドグマについて概説できる。
【遺伝情報を担う分子】
  1. 染色体の構造(ヌクレオソーム、クロマチンなど)を説明できる。
  2. 遺伝子の構造(プロモーター、エンハンサー、エキソン、イントロンなど)を説明できる。
【遺伝子の複製】
  1. DNAの複製の過程について説明できる。
【転写とRNAプロセシング】
  1. RNAの種類(mRNA、rRNA、tRNA)と働きについて説明できる。
  2. 遺伝子のRNAへの転写開始と転写制御の機構について説明できる。
  3. RNAのプロセシングと小型RNA(snRNA、miRNA)による調節について説明できる。
【翻訳】
  1. RNAからタンパク質への翻訳の過程について説明できる。
【遺伝子の変異・修復】
  1. DNAの変異と修復について説明できる。
【組換えDNA】
  1. 組換えDNA技術(遺伝子クローニング、cDNAクローニング、PCR、組換えタンパク質発現法など)の概要を説明できる。

(5)生体エネルギーと生命活動を支える代謝系

GIO

 生命活動が生体エネルギーにより支えられていることを理解するために、エネルギーの産生、および糖質、脂質、タンパク質、核酸の代謝に関する基本的事項を修得する。

【生体エネルギー概論】
  1. エネルギー代謝の概要を(エネルギー運搬体を中心に)説明できる。
【ATPの産生と糖質代謝】
  1. 解糖系及び乳酸の生成とその生理的役割について説明できる。
  2. クエン酸回路について説明できる。
  3. 電子伝達系(酸化的リン酸化)について説明できる。
  4. ペントースリン酸回路について説明できる。
  5. グリコーゲンの代謝について説明できる。
  6. 糖新生について説明できる。
【脂質代謝】
  1. 脂肪酸の生合成とβ酸化反応について説明できる。
  2. コレステロールの生合成と代謝について説明できる。
【飢餓状態と飽食状態】
  1. 飢餓状態のエネルギー代謝(ケトン体の利用など)について説明できる。
  2. 余剰のエネルギーを蓄えるしくみを説明できる。
【その他の代謝系】
  1. アミノ酸分子中の炭素および窒素の代謝について説明できる。
  2. ヌクレオチドの生合成と分解について説明できる。

(6)細胞間コミュニケーションと細胞内情報伝達

GIO

 生命現象を細胞の機能とその相互作用に基づいて理解するために、細胞間コミュニケーションの方法と役割に関する基礎的事項を修得する。

【細胞間コミュニケーション概論】
  1. 細胞間コミュニケーションにおける情報伝達様式を説明できる。
【細胞内情報伝達】
  1. 細胞膜チャネル内蔵型受容体を介して細胞内へ情報を伝達する主な経路について概説できる。
  2. 細胞膜受容体からGタンパク系を介して細胞内へ情報を伝達する主な経路について概説できる。
  3. 細胞膜受容体タンパク質などのリン酸化を介して情報を伝達する主な経路について概説できる。
  4. 細胞内情報伝達におけるセカンドメッセンジャーについて説明できる。
  5. 一酸化窒素による情報を伝達する経路について概説できる。
  6. 細胞内(核内)受容体を介して情報を伝達する主な経路について概説できる。
【細胞間コミュニケーション】
  1. 細胞間の接着構造、主な細胞接着分子の種類と特徴を説明できる。
  2. 主な細胞外マトリックス分子の種類、分布、性質を説明できる。

(7)細胞の分裂と死

GIO

 生命体を構成する細胞の一生を理解するために、細胞周期と分裂、細胞死に関する基礎的事項を修得する。

【細胞分裂】
  1. 細胞周期について説明できる。
  2. 体細胞と生殖細胞の分裂機構について説明できる。
【細胞死】
  1. アポトーシスとネクローシスについて説明できる。
  2. 正常細胞とがん細胞の違いについて説明できる。

C7 生命体の成り立ち

GIO

 生命体の成り立ちを個体、器官、細胞レベルで理解するために、生命体の構造と機能調節などに関する基本的事項を修得する。

(1)人体を構成する器官

GIO

 人体の基本構造を理解するために、各器官系の構造と機能に関する基本的事項を修得する。

【遺伝】
  1. 生殖と遺伝について概説できる。
  2. 遺伝子の変異と進化について概説できる。
  3. 遺伝学的な違いによる生物多様性について概説できる。
【発生】
  1. 個体発生について概説できる。
  2. 細胞の分化における幹細胞、前駆細胞の役割について概説できる。
【器官系概論】
  1. ヒトの身体を構成する器官、器官系の名称、形態、体内での位置および役割分担を説明できる。
  2. マウスないしラットを用いて各種器官の名称と位置を確認できる。(技能)
【神経系】
  1. 中枢神経系について概説できる。
  2. 体性神経系について概説できる。
  3. 自律神経系について概説できる。
【骨格系・筋肉系】
  1. 代表的な骨と関節の名称を挙げ、位置を示すことができる。
  2. 代表的な骨格筋の名称を挙げ、位置を示すことができる。
【皮膚】
  1. 皮膚の役割について概説できる。
【循環器系】
  1. 心臓の役割について概説できる。
  2. 血管系について概説できる。
  3. リンパ系について概説できる。
【呼吸器系】
  1. 肺、気管支の役割について概説できる。
【消化器系】
  1. 胃、小腸、大腸などの消化管について概説できる。
  2. 肝臓、膵臓、胆嚢の役割について概説できる。
【泌尿器系】
  1. 泌尿器系について概説できる。
【生殖器系】
  1. 生殖器系について概説できる。
【内分泌系】
  1. 内分泌系について概説できる。
【感覚器系】
  1. 感覚器について概説できる。
【血液・造血器系】
  1. 血液・造血器系について概説できる。

(2)生体の機能調節

GIO

 生体の維持機構に関わるダイナミックな情報ネットワーク機構を物質や細胞レベルで理解するために、代表的な情報伝達物質の種類、作用発現機構などに関する基本的事項を修得する。

【神経による調節機構】
  1. 神経系の興奮と伝導、シナプス伝達の調節機構について説明できる。
  2. 代表的な神経伝達物質を挙げ、生理活性および作用機構について概説できる。
  3. 神経系、感覚器を介するホメオスタシスの調節機構の代表例を列挙し、概説できる。
  4. 神経による筋収縮の調節機構について説明できる。
【ホルモン・内分泌系による調節機構】
  1. 代表的なホルモンを挙げ、その産生器官、生理活性および分泌調節機構について概説できる。
【オータコイドによる調節機構】
  1. 代表的なオータコイドを挙げ、生理活性および作用機構について概説できる。
【サイトカイン・増殖因子・ケモカインによる調節機構】
  1. 代表的なサイトカイン、増殖因子、ケモカインを挙げ、それらの役割について概説できる。
【血圧の調節機構】
  1. 血圧の調節機構について概説できる。
【血糖の調節機構】
  1. 血糖の調節機構について概説できる。
【体液の調節】
  1. 体液の調節機構について概説できる。
  2. 尿の生成機構、尿量の調節機構について概説できる。
【体温の調節】
  1. 体温の調節機構について概説できる。
【血液凝固系】
  1. 血液凝固・線溶系の機構について概説できる。
【性周期の調節】
  1. 性周期の調節機構について概説できる。

C8 生体防御と微生物

GIO

 内的、外的要因によって生体の恒常性が崩れたときに生ずる変化を理解するために、生体防御機構とその破綻、および代表的な外的要因としての病原微生物に関する基本的事項を修得する。

(1)身体をまもる

GIO

 ヒトの主な生体防御反応について、その機構を組織、細胞、分子レベルで理解するために、免疫系に関する基本的事項を修得する。

【生体防御反応】
  1. 異物の侵入に対する物理的、生理的、化学的バリアー(補体など)について説明できる。
  2. 免疫反応の特徴(自己と非自己、特異性、多様性、記憶)を説明できる。
  3. 自然免疫と獲得免疫について説明できる。
  4. 体液性免疫と細胞性免疫について説明できる。
【免疫を担当する組織・細胞】
  1. 免疫に関与する組織と細胞を列挙できる。
  2. 免疫担当細胞の種類と役割を説明できる。
  3. 免疫反応における主な細胞間ネットワークについて説明できる。
【分子レベルで見た免疫のしくみ】
  1. 自然免疫における異物の認識について説明できる。
  2. MHC抗原の構造と機能および抗原提示経路での役割について説明できる。
  3. T細胞とB細胞による抗原の認識について説明できる。
  4. 抗体分子の基本構造、種類、役割を説明できる。
  5. 抗原抗体反応を利用した検査法を実施できる。(技能)
  6. 免疫系に関わる主なサイトカイン、ケモカインを挙げ、その作用を概説できる。

(2)免疫系の破綻・免疫系の応用

GIO

 免疫反応に基づく生体の異常を理解するために、代表的な免疫反応の破綻および免疫反応の臨床応用に関する基本的事項を修得する。

【免疫応答】
  1. 炎症の一般的症状、担当細胞および反応機構について説明できる。
  2. アレルギーを分類し、担当細胞および反応機構について説明できる。
【免疫系の破綻】
  1. 自己免疫疾患の特徴と成因について説明できる。
  2. 免疫不全症候群の特徴と成因について説明できる。
【免疫応答のコントロール】
  1. 臓器移植と免疫反応の関わり(拒絶反応、免疫抑制剤など)について説明できる。
  2. 微生物による感染症と免疫応答との関わりについて説明できる。
  3. 腫瘍排除に関与する免疫反応について説明できる。
【予防接種】
  1. 予防接種の原理とワクチンについて説明できる。
  2. ワクチン(生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイド、混合ワクチンなど)について概説できる。
【免疫反応の利用】
  1. モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の作製方法を説明できる。
  2. 抗原抗体反応を利用した代表的な検査方法の原理を説明できる。
  3. 沈降、凝集反応を利用して抗原を検出できる。(技能)
  4. ELISA法、ウエスタンブロット法などを用いて抗原を検出、判定できる。(技能)

(3)微生物の基本

GIO

 微生物の基本的性状を理解するために、微生物の分類、構造、生活史などに関する基本的知識を修得し、併せて代表的な微生物取扱いのための基本的技能と態度を身につける。

【総論】
  1. 原核生物と真核生物の違いを説明できる。
【細菌】
  1. 細菌の分類(系統的分類、グラム陽性菌と陰性菌、好気性菌と嫌気性菌など)を概説できる。
  2. 細菌の構造と増殖機構について説明できる。
  3. 細菌の異化作用(呼吸と発酵)および同化作用について説明できる。
  4. 細菌の遺伝子伝達(接合、形質導入、形質転換)について説明できる。
  5. 薬剤耐性菌について概説できる。
  6. 代表的な細菌毒素について説明できる。
【ウイルス】
  1. ウイルスの分類(DNA型とRNA型、エンベロープの有無など)と増殖機構について説明できる。
【真菌・原虫・蠕虫】
  1. 代表的な真菌について概説できる。
  2. 代表的な原虫および蠕虫について概説できる。
【消毒と滅菌】
  1. 滅菌、消毒、防腐および殺菌、静菌の概念を説明できる。
  2. 主な滅菌法および消毒法について説明できる。
【検出方法】
  1. グラム染色を実施できる。(技能)
  2. 無菌操作を実施できる。(技能)
  3. 代表的な細菌または真菌の分離培養、純培養を実施できる。(技能)
  4. 細菌の同定に用いる代表的な試験法(生化学的性状試験、血清型別試験、分子生物学的試験など)を実施できる。(技能)
  5. 代表的な細菌を同定できる。(技能)

(4)病原体としての微生物

GIO

 感染症を理解するため、ヒトと微生物の関わりおよび病原微生物に関する基本的事項を修得する。

【感染と共生】
  1. 感染と共生(腸内細菌など)について説明できる。
【代表的な病原微生物】
  1. DNAウイルス(サイトメガロウイルス、 EBウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、B型肝炎ウイルスなど)について概説できる。
  2. RNAウイルス(ノロウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、HIV、HTLVなど)について概説できる。
  3. グラム陽性球菌(ブドウ球菌、レンサ球菌など)および  グラム陽性桿菌(破傷風菌、ガス壊疽菌、ボツリヌス菌、ジフテリア菌、炭疽菌、セレウス菌、リステリア菌など)について概説できる。
  4. グラム陰性球菌(淋菌、髄膜炎菌など)およびグラム陰性桿菌(大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌、チフス菌、ペスト菌、コレラ菌、百日咳菌、腸炎ビブリオ菌、緑膿菌、ブルセラ菌、レジオネラ菌、インフルエンザ菌など)について概説できる。
  5. グラム陰性らせん菌(ヘリコバクター・ピロリ菌、カンピロバクター属菌など)について概説できる。
  6. 抗酸菌(結核菌、非定型抗酸菌など)について概説できる。
  7. 主なマイコプラズマ、リケッチア、クラミジア、スピロヘータについて概説できる。
  8. 真菌(アスペルギルス、クリプトコックス、カンジダ、ムーコル、白癬菌など)について概説できる。
  9. 原虫(マラリア、トキソプラズマ、膣トリコモナス、クリプトスポリジウム、赤痢アメーバなど)、蠕虫(回虫、鞭虫、アニサキス、エキノコックスなど)について概説できる。
  10. プリオン病の特徴と発症機序について概説できる。

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