参考資料1 薬学系人材養成の在り方に関する検討会 前回(第7回)会議での主な意見

1.今後の議論の進め方について

  • 6年制は卒業生が出ていないが、今から議論をして大学の個性化、社会のニーズに応じた多様化を図るような考え方について議論すべき
  • 6年制教育についての議論の後、4年制教育について修士課程を含めた形で検討すると明確になる
  • 6年制の卒業生の進路は、地域に密着した形で行きやすい感じがするが、4年制の卒業生の進路はオールジャパンでどうなるのか解らない。教育のミッションも方法も違うので、これを一緒に議論すると整理ができないのではないか。
  • 委員のほとんどが規制緩和によって増えた定員数についての危機感を持っている。一番に議論をする必要があるのは、その点ではないか。

2.薬学教育の現場における問題点と課題

薬局出身の実務家教員について

  • 大学としては、薬局の薬剤師と連携して、例えば学位が取れるような研究を一緒にするなど、素養を高めていきたい。

アドミッションについて

  • 1期生の留年生が2500名程度。入学試験の実質倍率が低く、かなり無理して入学させている、なかなか授業についていけない、などが考えられるが、留年を問題にするよりも、アドミッションをどうするかということが一番大きな問題ではないか
  • 薬学を目指してきて結局全うできない者をどうすべきか。大学も、学生をなるべく進級させようとして、進路変更の適正の見極めが遅れてしまうということもあるのではないか。
  • 留年している者をこれからどのように教育をするのか
  • どの大学も自主的にかなり大幅に定員削減をしないといけない。経営が成り立たないのであれば、思い切って定員を下げて、授業料を上げて、経営は何とか成り立つようにするなど、そのぐらいの問題を考えないといけない

薬学教育のあるべき姿

  • 6年制薬学部の良し悪しを判断するのは、まだ早い
  • 6年制薬学教育は非常に理念の高い、レベルの高いことを教育している。教員の方々もわかりやすく、本当によく理解して教えないと学生に通じないのではないか。
  • 学生の学力低下は明らかで、それに対して低学年の導入教育をいかに充実させていくかということが各大学の大きな課題ではないか
  • 薬学部大学数の増加、質の低下の問題について、大学人が強いリーダーシップで引っ張っていくべきである
  • 6年制学部で修士相当の研究をさせているところもあれば、もっと臨床の教育、臨床薬学の教育を充実させるべきだというところもあるように、重点の置き所が分かれている。どこに重点をおくかということのコンセンサスがまだ得られていない
  • 6年生の1年間をどういう教育をするかというのは大学の責任である
  • 学部において問題解決、研究メソッド基礎的なことをトレーニングしていただくことが大事
  • 良い資質を持った薬剤師養成を6年制の学科でやろうとしたときに、適正な教員の配置と適正な定員というのを、社会のニーズを含めて、再考すべき
  • 研究、臨床、臨床をやってから研究というような様々なコースの用意が必要

教員の教育評価について

  • 6年制になって、従来の教育以上に教員の負担が増加している、教員が教育に対して熱意を持って当てられる環境をどうしたらいいのか
  • 教育に関する評価をどのように行うのか
  • 教育に一生懸命やった人は報われるような制度が、どうしても必要
  • 教員評価について、評価結果をどのように反映させるのか

国家試験について

  • 私立薬科大学の場合、国家試験がプレッシャーになっている
  • 新たな国家試験にできるだけ高い合格率を得ようと努力しているため、留年が多いのではないか
  • 5、6年次における卒業研究・実務実習以外の取組として、薬剤師養成を目的として必死にやっている大学とどうやっていいかわからない大学がある
  • 国家試験に100%合格したいというのが各大学の希望
  • 6年間の教育を受け、判断力、理解力などを総合的に発揮すれば解けるという国家試験問題を作らないと薬学教育はおかしくなる
  • 国家試験に考えて解かせる問題を出題するのは、様々な難しい問題がある

卒業生のキャリアパスについて

  • 薬剤師の需給の問題等を含めた、社会的に薬剤師という資格を持った人をどう受け入れていけるだろうかという出口に対する不安が、入ってくる側にも影響している部分というのは大きいのではないか
  • 東日本大震災の被災地で薬剤師が大活躍している。医師からも、非常に薬剤師が頼りにされ、医療チームに薬剤師がいて医師や他の職種と一緒に仕事をすることが、チーム全体にとって非常に限られた状況の中でどれだけいいのかというのを、とても評価されている
  • 現在の薬剤師の活躍状況と、来年以降輩出される6年制学部出身の薬剤師はさらにできることが増えていることをもっと社会に見せるべき
  • 卒業後のキャリアを一緒に考えないと、学部教育だけ考えていてもだめなのではないか

コアカリキュラム改訂に向けて

<検討体制について>

  • 医学、歯学と同様の検討会のようなものを文部科学省の中に設置
  • 基本的なことについては、文科省内の委員会で検討すべき
  • 文部科学省がすべてやることは不可能に近い。薬学教育協議会なり、日本薬学会なりに一部を検討いただき、その内容を吸い上げる方法しかない

<理念とその内容>

  • 6年制の教育に対するモデル・コアというものを規定すべき
  • 薬学というものが何を目指すのか、教育がどういうものであるべきか、あるいは制度全体としての薬学というコア、各大学が個性として追求する分とそういうものの割合について議論すべき
  • カリキュラムに統計学も含めて、臨床薬学・レギュラトリーサイエンス・治験などのカリキュラムもっと入れるべき
  • 今回改正する場合には、6年制と4年制の目的を明瞭にし、6年制の薬学教育モデル・コア・カリキュラムは、主に薬剤師を養成するということでまとめることが良い。これに対し、4年制に対しては、理系の学部として創設したことから位置づけも明瞭になる
  • コアカリにこれも入れる必要がある、あれも入れる必要があるという形で、どんどんアドオンされていくという格好は、教員の負担感が大きくなる
  • モデル・コア全体については5年ぐらいかけてやる必要があるため、実務実習モデル・コア・カリキュラムは分けたほうが良い
  • 医学と同様、国家試験ということもある程度イメージしながら、検討が必要
  • 実務実習モデル・コア・カリキュラムは、実務としての現場で教えたいことは何かについて、大学が一緒になって議論しておかないと、役立たないのではないか
  • 根本的なことを考える改訂と、緊急性のある改訂とをうまく組み合わせて行う必要がある

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