資料4 日本の展望-学術からの提言2010 報告 薬学分野の展望(抜粋)

平成22年(2010年)4月5日 日本学術会議 薬学委員会

5 これからの人材育成

(2)大学院教育

 6年制学部を基礎とする大学院では臨床薬学・医療薬学研究者や専門薬剤師など高度な職能を持つ薬剤師の育成が主として行われ、一方、従来より設置されている4年制学部に基礎を置く大学院では、創薬研究の研究者育成が主になる。
 6年制学部に基礎を置く大学院における養成人材像を考えると、病院・薬局で働く高度な職能を持つ薬剤師の養成に加え、医薬品の研究・開発・情報提供等に従事する研究者や技術者、医薬品承認審査、公衆衛生などの行政従事者、薬学教育に携わる教員等、多様な人材が養成される・・・薬剤師の養成においても、職能教育にとどまらず、臨床に従事しながら研究ができる、あるいは臨床の経験を生かして他の研究職域で活躍する薬剤師(pharmacist-scientists)を輩出できるよう、実務に密接した研究能力を習得させる教育を行う必要がある。

(3)研究者の育成

 臨床薬学、医療薬学における教育改革の視点としては、患者あるいは疾病を始点とする統合的なサイエンスを基盤とする教育の構築や、米国において多方面で活躍する高度な医学教育を受けた研究者の役割を我が国において担うことが期待される薬学研究者の育成が挙げられる。
 6年制薬学学部教育を受けさらに4年制大学院で研究経験を積んだ pharmacist- scientists とも呼ぶべき研究者が、今後こうした職種の一端を担い社会に貢献するものと思われる。pharmacist-scientistsは、実務で直面した問題点から、医療における新たな発展へのシーズを見出す実力を有する研究者としても期待される。

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