医学教育カリキュラム検討会(第7回) 議事録

1.日時

平成21年4月13日(月曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 意見のとりまとめについて
  2. その他

4.出席者

委員

荒川委員、飯沼委員、石川委員、小川委員、北村委員、辻本委員、寺尾委員、奈良委員、伴委員、平出委員、福田委員、吉田委員、吉村委員

5.議事録

○荒川座長  それでは、ただいまから第7回の医学教育カリキュラム検討会を開きたいと思います。

 きょう、これまで6回の会議を重ねまして、いろいろな論点からヒアリングを行ってまいりました。また、前回は意見の整理につきまして議論していただきましたので、これらを踏まえまして、この検討会におけます意見の取りまとめについて、きょう審議したいと思います。最初に事務局からきょうの委員の出欠状況と配付資料の確認をお願いします。

○樋口医学教育課長補佐  お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。例によりまして、出席委員については机上にお配りしてあるとおりでございますけれども、飯沼委員、南委員、水田委員につきましては、若干遅参される旨のご連絡をいただいております。

 なお、配付資料の確認をさせていただきます。本日の議事次第、座席表と続きまして、資料1といたしまして、この医学教育カリキュラム検討会の前回第6回の概要、それから、資料2といたしまして、きょうこれからご説明、ご審議いただきます意見の取りまとめの案、概要と本文と添付資料という構成になってございます。その他、資料のほう不足等ございましたらお申しつけいただければと思いますが、いかがでございましょうか。

○荒川座長  よろしいでしょうか。それでは、きょうは、この検討会におけます意見の取りまとめについて審議を進めたいと思います。この検討会は卒後臨床研修制度の見直しに伴いまして、卒前・卒後の医学教育を一貫して見直し、改善を図る必要があるということから、今年の2月に設置されまして、4月を目途に1点結論を取りまとめたいということで、きょうまで先生方にご苦労願ったわけであります。

 これまで各委員、あるいはヒアリングの方々からのご意見、また、書面で事務局まで寄せられました意見をもとにしまして、前回、ご議論いただきました意見の整理に基づきまして、事務局と相談しまして資料1のような意見の取りまとめの案をつくりました。きょうは事務局からこの原案の説明をいただきまして、そして項目に沿いまして2時間ぐらいの間にひとつご意見を賜りまして、できればきょう最終回となればと思っております。そして、修正を私に一任できればと思っております。全体を通してまずお話しいただきまして、各項目ごとにまたご意見を賜りますが、最後にまた全体を通してお話を聞ければと思っております。

 それでは、まず事務局から説明願います。

○樋口医学教育課長補佐  ご説明申し上げます。本日お配りいたしました資料2、「臨床研修制度の見直し等を踏まえた医学教育の改善について」という案の本文に即しまして、今回の意見の取りまとめの内容につきまして、かいつまんでご説明申し上げたいと思います。今、座長からご説明がございましたとおり、本検討会はこれまでこの2月の設置から、きょうで7回目の検討でございまして、その間、各診療科等、地域医療を担う方々等の関係者からのヒアリング、また、この場あるいは書面を通じてのご意見を委員の先生方からいただきまして、前回、第6回、意見のおおむねの論点の整理を行わせていただきました。これを踏まえて、今回、このような形で案を提示させていただくものでございます。

 それでは、この本文に即しましてかいつまんでご説明申し上げます。まず、1ページをおあけいただきたいと思います。ここに検討の趣旨と掲げてございます。ここはおおむねこれまでの医学教育の改革の流れと、今、医療をめぐるさまざまな環境を整理いたしまして、なぜこういった検討が必要であったかということを記載したところでございます。

 中身を若干説明申し上げますと、この医学教育に関しましては、昨今のモデル・コア・カリキュラムの導入、あるいは共用試験という4年目の試験の導入によりまして医学教育の中身は着実に改善がされてきている。そのものが今、臨床研修まで進んでいる状況にある。ただ、今日の医療をめぐっては、いわゆる医師不足問題が極めて深刻であるとともに、この平成16年から始まった臨床研修制度が、その理念は達成されつつあるが、その地域における医師不足問題の顕在化、加速するきっかけとなったという指摘もある。

 医学部を有する大学というのは、この教育・研究・診療を融合して社会的な使命というものを果たすわけではございますけれども、その大学の若手医師の不足、あるいはその関連事務作業の増大ということから、いわゆる診療業務というものは極めて多忙となって、それが指導体制の格差、あるいはさらにその研究業績の停滞、若手研究者の減少という深刻な状況にある。

 こうした中で昨年から文部科学省・厚生労働省合同で臨床研修制度の見直しの検討会を経て、その方向性が示された。これを受けて卒前の医学教育、卒後の臨床研修、大学院教育、生涯教育を担う大学が、これらを一貫して見直し、改善を図っていくということが極めて重要であることから、この卒前の医学教育の改善の方向性というものを卒後の臨床研修の見直しの方向性の趣旨を踏まえて検討を行って、ここに一定の結論を得たので公表するものであるという位置づけでございます。

 そして、次の2ページをおあけいただきますと、その見直しの基本的な考え方を文章で示してございます。なお、この1ページと2ページが大体、地の分のタイプでございまして、3ページ以降は極めてシンプルに方向性ととるべき方策というものをわかりやすく端的に箇条書きのような形で示す構成にしております。したがって、地の分はこの2ページに集約しております。

 それでは、2ページの中身でございますけれども、先ほど申しましたように医学教育の充実、臨床実習の充実という取り組みは進んでおりますが、ただ、2パラグラフ以降で示していますように臨床実習の内容・程度には大学間、それから診療科間で格差があること、また、特に6年次の教育というものが国家試験対策というものに追われて臨床実習が形骸化しているということもあって、卒業段階で将来のキャリアというものが明確に描けない者も多いとの指摘もある。臨床実習というものは、その患者とじかに接しながら、診療に関する思考力、これは臨床推論の習得を目的とするもので、その基礎にはチーム医療の構成員や患者をはじめとする者とのコミュニケーション能力というものが必要ではありますが、最近では専門教育の早期化というものが進んでいる。

 さらに、モデル・コア・カリキュラムというものは全体の3分の2程度の時間数を想定しておりますが、この試験対策ということもあって各大学の特色、学生の将来の進路に応じた多様な教育というものが展開されていなくて、基礎医学教育というものの軽視も憂慮されるという事態。さらに臨床系教員の多忙ということが、いわゆる患者と接する実習の機会の提供にも影響を受けるとともに、その診療科を目指す進路選択にも相当な影響を与えていることも否めない。こうした状況を踏まえて、この検討会といたしましては5つの柱で見直しを図っていくべきではないかという方向性を5つ示してございます。

 1つは基本的な診療能力の習得と将来のキャリアの明確化。2つ目は地域の医療を担う意欲、使命感の向上。3つ目は基礎と臨床の有機的連携による研究マインドの涵養。これはどちらかといいますと学生の立場の到達目標のようなものでございますが、それを支えていく上で2つのシステム、学習成果を生かす多面的な評価システムの確立、それから、医学教育の充実に必要な指導体制の強化という5本の柱でございます。

 以下、3ページ以降、その柱に従いましてかいつまんで、その骨格をご説明申し上げます。まず、基本的診療能力の習得と将来のキャリアの明確化ということにつきましては、その方向性として、この四角囲みに書いてございますとおり、臨床実習というものを系統的、体系的に充実させて臨床研修に臨む医学生というものが診療チームの一員として、その患者に接して診療、治療の判断ができる基本的能力を確実に身につけさせるということとともに、みずからの将来のキャリアというものが明確に描くことができるように卒前の臨床実習を充実すべきではないかという方向性を示した上で、その方策として第1点として、この大学の教育内容を定めております大学設置基準を改正すること等によって、客観的にその能力、適性が評価された医学生が患者の協力を得て実際の推論にかかわるという臨床実習の特性に配慮して、この臨床実習、これは既にモデル・コア・カリキュラムの策定の際におおむね50週というものを標準としてこれを定めてございますけれども、これを明確化すべきなのではないかという議論もございますので、その必要な最低単位数、これを例えば50単位ということを明確化して、一定の診療能力の習得というものを確保すべきではないか。

 また、2点目といたしまして、モデル・コア・カリキュラムの改訂を行って、まずは卒前・卒後の到達目標の整合性をとった上で、臨床実習終了時の到達目標を明確化にすべきだということ。それから、2番目といたしまして内科、外科等のコアな基本科目の実習を充実させて、いわゆる総合診療能力というものの育成を充実する。3点目といたしまして、さまざまな現場の経験、あるいはシミュレーション等の実習、これを拠点的に行っていくことを通して段階的、体系的にクリニカルクラークシップと言われる診療参加型の臨床実習に導くようにする。4点目として、特に多くの診療科、あるいは関係機関の連携・協働というものが必要な救急、周産期、精神医療などについては、臨床前の段階から例えば急性気、リハビリ、人の生育、成長から発達、あるいは心と体という流れが、こういう視点がわかるような形で重視して体系的に教育をすべきだ。

 3点目といたしましては、そのためのシミュレーション教育などの拠点的な共同利用というものも必要でしょうし、4点目といたしまして、そうした臨床実習が体系的に行われるよう、その臨床教育全体の総括責任者を置いて、そこにかかわる臨床教授、あるいは看護師その他のチーム医療にかかわる職種を含めた人間が診療科横断的に臨床教育を企画、調整する委員会などを設けて、その体系的な指導体制というものを確立すべきだとしております。

 さらに続いて4ページでございます。地域医療を担う者の意欲、使命感の向上。ここに関しましては、入学者選抜から医学教育を一貫してとらえて、地域医療機関等と連携し、さまざまな現場に触れ、患者や地域の人々と接する機会を系統的に設けることで、患者等から信頼されるコミュニケーション能力や、その意欲、使命感というものを高めていく必要があろうという方向性のもとに、1つは卒前・卒後、生涯教育を一貫して担う大学が地域の医療機関や自治体、医師会等と一体となって、それを一貫して見通して地域全体で医師を養成・確保していくシステムの構築が必要であろうということ。

 2点目といたしまして、都道府県等とも連携しまして入学段階における地域医学の設定や医師を養成する、例えば高学年次を対象とする重点コースの設定などの取り組みを一層すべきだということ。それから、入学者選抜においては、まずはアドミッション・ポリシーというものを明確化するとともに、それに基づいて面接、あるいはボランティア活動などを通して、その入ってくる入学生の医師としての資質、目的意識、意欲というものを重視して選抜を行うべきこと。

 さらにモデル・コア・カリキュラムの改訂を検討し、6年間の医学教育全体を通して、そのさまざまな現場に触れて患者や地域の人々と接する機会というものを継続的、系統的に実施できるようにすること。その際、医学概論あるいは医療政策といったその教育を充実すべきこと、このことを記載してございます。

 さらに5ページでございますが、基礎と臨床の有機的連携による研究マインドの涵養という点に関してでございます。これはまず基礎と臨床というものの有機的連携を図るということ。その中で進展著しい生命科学や医療技術の成果というものを生涯学び続けて、常にみずからの診断、あるいは診療技術というものを検証し、磨き続ける意欲。あるいはまた日々の診療の中で患者、あるいは疾患というものの分析からその病因、病態というものを解明していく姿勢、こういった研究マインドというものを涵養する必要があるという方向性のもとに、1つ目といたしましては、いわゆる高学年次に置かれる重点コースやMD-Ph.D.コースというものの設定や研究室配属など、実際の研究に携わる機会というものを一層充実すべきこと。

 2番目といたしましては、ここに関するモデル・コア・カリキュラムの改訂といたしまして、基礎の中、あるいは基礎と臨床を関連づけた横断的、総合的な教育というのを充実すべきこと。また、現在、モデル・コア・カリキュラムに関しましては準備教育カリキュラムというのですが、基礎科学、生物学等の教育に関してございます。実はこれが十分、皆様方のご認識があまり芳しくないということもございまして、今の医学教育モデル・コア・カリキュラムの中に必要なものは組み込んでいくようなことをしていって、基礎医学というものの意味というものをこのコア・カリキュラムの中に位置づけるべきであること。

 それから、このコア・カリキュラムは大体3分の2ぐらいの内容を想定しているわけでございますが、実際問題、それが目的化しているということもございまして、選択制カリキュラムというものが有効に改善されるよう、例えばそのモデル・コア・カリキュラムの中に関連する選択制カリキュラムの例、研究を目指す者についてはそれを重点的に学べるような選択制カリキュラムが組めるような例をそこに置く、記載するということが必要であるということを記載してございます。

 さらに6ページでございますが、学習成果を生かす多面的な評価システムの確立といたしまして、ここに関しましては現行おおむね4年目の共用試験と6年最後の医師国家試験が整合性を持って各段階で求められる能力というものを適正に評価し、臨床実習をはじめとする学習成果というものを生かす多面的な評価システムを確立すべきであるということを方向性とした上で、1つ目は、その効果的な実習、そういったための臨床実習、教育というのを効果的に行っていくために、いわゆる到達目標、あるいは医行為ということを考慮しつつ、各段階で必要な実習内容、あるいは技能というものの学んだ中身をきちんとチェックし、その履歴を記録・蓄積して、それがその後の教育、卒業認定、あるいは臨床研修の採用時に活用できるようにすることが望ましいこと。

 それから、2点目といたしましては、先ほど申しましたとおり、臨床実習の位置づけを明確化する中で、その能力、適性というものを客観的に評価するのだという形で共用試験の位置づけというものを明確化することで、その統一的な合格基準というものを設定し、また、合格者に一定の証明書を発行するなど、医学生が事によって臨床実習の適正な評価と、また、医学生自身の意欲、あるいは患者の方々のご理解というものを高めていくべきであること。

 それから、3点目は、そうした形で共用試験というものが適正にその能力を評価していくということを前提といたしまして、医師国家試験は臨床能力というものの評価を重視したものにするよう強く求めること。それから、各大学における臨床能力評価というものに努めていく、そういうことを書いてございます。

 それから、最後、4点目でございますが、この6年間の医学教育の中でさまざまな現場にかかわっての実習教育というものがなされていくわけでございますが、そうした中には関係する学外の方々、あるいは他職種の方々、そういった指導者がかかわってございますが、そういった人たちがこうしたものの評価に積極的にかかわって、特にコミュニケーション能力、あるいは態度といったものの評価を多面的に行っていくことが望ましいこと、ここを掲げてございます。

 そして、7番目、7ページでございますが、指導体制の強化。ここに関しましては、この地域医療機関や関係自治体との連携も深めながら教育、研究、診療を担う大学教員の過重負担というものを軽減し、指導体制を強化すべきであること。そうした方向性のもとに医学部と大学病院が一体となって行う臨床教育の充実に対応して、大学設置基準に定める最低必要教員数の拡充を検討すべきこと。

 2点目といたしまして、周産期や救急医療等の環境の整備や補助職員等の配置によって教員の診療に係る過重負担を軽減すべきこと。それから、先ほど地域医療を担う医学向上のところでも述べましたが、大学がその臨床教授、あるいは地域の多様な機関で経験を積みながらキャリアを高めていけるような地域循環型の医師養成システムというものを支援すべきこと。それから、教員の評価においては、その研究業績のみならず、教育能力というものを適切に評価すること。こうしたことを掲げてございます。

 そして最後、今後の検討ということでございますけれども、この検討会といたしましては、本提言に基づく改革というものの着手に早急に取り組むことを強く要請するとともに、今後の検討といたしましては、モデル・コア・カリキュラムの検討、あるいは先ほど申しました実習項目、内容の履歴を記録していくようなシステムを構築していくことに関しましては、モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整会議というものでの専門的な議論が速やかになされることを望む。その際、全体として大学の個性を生かした特色ある教育が促進されるように、単に指導項目を追加するのではなくて、全体の役割分担を示しながら到達目標、症例等の示し方の工夫をしていくべきであること。

 それからもう一つ、ここの中で掲げました大学設置基準等の改正につきましては、これは中央教育審議会における検討も必要でございますので、そうした検討が開始されることを望むこと。あるいはここに卒前・卒後の医師養成を一貫して見通した検討というものを1つうたってございますので、これに関しましてはこれまでの一連の検討というものを厚生労働省・文部科学省が緊密に連携してその進捗を検証していく場が設置されることを強く望むこと。こうしたことで今回の意見の取りまとめを構成してございます。

 こちらからの説明、長くなりましたが以上でございます。

○荒川座長  ありがとうございました。

 全体の説明がございましたので、これからその各項目を検討していきますが、最後にまた全体を踏まえて、お互いに関係ありますので多少議論が前後しても構いませんが、基本的にはそんなことで行きたいと思います。最初にこの1と2でもって検討の趣旨と基本的な考え方につきまして説明がありまして、そこから各論に入っているわけですが、この2つのところについて何か皆様方からございましたらご発言ください。いかがでしょうか。

 どうぞ、吉田先生。

○吉田委員  何か誤字脱字のたぐいも話していいのでしょうか。誤字脱字についてもここで話したほうがいいですか。

○荒川座長  はい。結構です。何でも結構です。

○吉田委員  検討の趣旨の4行目に、真ん中に「。」があるのですが、これは「、」だと思います。

○荒川座長  そうですね。はい。途中ですね。1ページの上から4行目の導入に「。」になっているのですが、これは「、」ではないかというご指摘でございます。

 ついでにほかに全体として何かご意見ございますか、吉田先生。

○吉田委員  基本的考え方、右側の2ページのほうなのですけれども、私も議論でそういう話があったかどうか記憶にないのですが、2つ目のパラグラフの後ろのほうの行で、「卒業段階で将来のキャリアが明確に描けない者も多いとの指摘がある」ということなのですが、これはどこで出た話だったのでしょうか。どういう議論だったのかというのがわからない。

○樋口医学教育課長補佐  これはたしか周産期、産科小児科の方をお呼びした中で、産科学会からの、あのときは北里大学の海野先生がそうおっしゃっていて、その会議の中では何人かの先生がそれに類することをおっしゃっていたと思っております。

○吉田委員  というのが、前回、研修医の先生においでいただいたときに、ここの資料1にもあるのですけれども、資料1の第6回の主な意見の下から3番目の黒丸のところで、「卒業した時点で自分の進路が決まっていなかったため、1年間のスーパーローテーションで自分の行きたい分野を決めることができた」という、むしろプラスの評価ですので、こう言い切って、それが問題視することをここで言い切っていいのかどうかが少し疑問に思ったというところです。

 以上です。

○荒川座長  ということは、先生としましては、それは研修をやったほうがいいのではないかというご意見でしょうか。これはもう率直に。

○吉田委員  全くどういうことがあるのかを知らないままで何か周りから言われるがままに進んでいくのはまずいと思うのですけれども、知っている上で、自分で自主的に選択できるような形であればいいのかなと思います。だから、書き方の工夫でできるのではないかと思いました。

○荒川座長  わかりました。はい。

 ほかの方でいかがでしょうか。どなたでも結構です。どうぞ。

○吉田委員  もう一つよろしいですか、すみません。では、その次のパラグラフで、「臨床実習は」から始まるパラグラフの、これもまた後半なのですけれども、「医療の高度化等に伴う教育内容の増大で、専門教育の早期化が生じている」という書き方になっているのですが、これは具体的にはどういうことを指していて、これが問題かどうかという議論があったでしょうかというのが疑問です。

○荒川座長  これは何かありましたかね。

○樋口医学教育課長補佐  これも議論の中ではやはり教養教育の重視ということを主張された先生方がかなり複数おられました。その中で、ここは考え方としてはやはり1、2年次はしっかりと教養教育をやるべきだという論もあれば、6年間を通してしっかりといろいろな現場に触れる中で、そういった教養教育をやっていくべきだという議論もございました。ただ、指摘として、専門教育が早期化しているという事実は昨今の、いわゆる教養一般、あるいはコミュニケーション能力の教育と専門教育が何年から始まりますかという調査等ではやっぱり明らかに早くなっていることは確かでして、どちらかというと、くさび型の形の、そのくさびの食い込み方はかなり多くなっているのだろうということを指している。

○荒川座長  たしか議論では、かなり教育力で議論が強く出たことを踏まえての話ですね。じゃあ、これは表現をもう少し考えていくということになりますかね。

○吉田委員  ええ。何かこのままだと、これが問題であるという言い方に見えるんですけれども、いかがでしょうか。

○荒川座長  むしろ、教育力が軽んじられているということでよろしいですかね。この間、そういう意見が大分強かった気がいたしました。この辺、どなたか。先生、何かございますか。

○福田副座長  このところの議論は、具体的にそれが問題だという指摘ではなくて、なるべく、医学の進歩がかなり急速になっているので、それを早目に、アーリー・エクスポージャーではないのですけれども、医学の専門分野についてもなるべく早くに授業をしなくてはいけないという認識は教員の中に多分あると思います。それが従来の2年間の教養教育から、6年一貫になったために教養教育を侵食してしまうというのはおかしいのですけれども、入学後早期から医学にも暴露させるという意味にとらえれば、別に私は矛盾はないと思います。

○荒川座長  その指摘はございましたので、その辺の表現は少し考えてみましょう。趣旨としては皆さんおわかりということですね。

 ほかにございませんでしょうか。いかがでしょうか。どうぞ。

○福田副座長  その次のパラグラフのことは追加の説明をさせていただきます。モデル・コア・カリキュラムの中に、Bという項目があります。医学一般です。ここの中には、基礎医学系の総論が多く含まれています。この内容に関しては当初から基礎医学系の先生方に非常に不満が強かった。要するにその理由は、最新の生物学、あるいは分子生物学的な記載がないのではないかという指摘でした。これは理由がありまして、準備教育のコア・カリキュラムというのを同時につくりました。このときは逆に生物学領域の人たちとの、バトルになってしまったのが事実です。それは全部、生命科学の基礎は準備教育だと、認識されていました。

 そのため、医学教育コア・カリキュラムの中からは、形の上で、生命科学・分子生物学などのそういう部分が脱落してしまったというのが正直なところです。この部分は、その部分を参照するように記載してあります。ですから、改めてここに書いていただいたのは大変ありがたいことで、これが基礎医学の軽視につながらないように、リアレンジする必要があるということは大変大事で、折に触れて準備教育のところからも、例えば共用試験の問題を出していただいて構わないとお願いしています。この部分では、遺伝生物学、分子生物学などの最近の医学の進歩の背景も取り入れられるようになっております。

 ただ、この中で試験対策という実態というのは、ここだけが少し意味がわからないので、ここをちょっと何とか表現を修正する必要があります。

○吉田委員  この試験対策というのは、何か俗語だと思いますので、試験対策というのは俗語ではないでしょうかね。学生が、いわゆる試験対策と言っているのは、いや、試験の対策をするのは別に悪いことではないのですけれども、どう言えばいいんでしょう、妥当でないやり方の対策をすることを俗っぽく言うと、こういう感じになるわけですね。ですから、この「試験対策という実態もあり」ではわからないのではないですか。そういう学生の気質を知らない方が読んだ場合。

○荒川座長  何か表現が。

○福田副座長  医学のモデル・コア・カリキュラムの中に準備教育のところの生命科学の部分をきちんと位置づけてもらいたい。それが基礎医学の軽視につながらない方策になるという意味です。

○荒川座長  しかし、やはり現実の問題としては、かなり教育内容がそこに引っ張られているということでしょうね。そこはどうでしょうか。

○福田副座長  逆に言えば、準備教育のモデル・コア・カリキュラムの内容がきちんと教育されているか、あるいは学習しているかという問題になってくるのではないでしょうか。

○荒川座長  はい。わかりました。そこをちゃんとしようということですね。

○福田副座長  はい。そうです。

○荒川座長  わかりました。

 ほかにいかがでしょうか。全体の流れについては、特にこれは困るということはないですね。もう一遍また振り返りましょう。吉田先生、今、どうぞ。

○吉田委員  この「試験対策という実態もあり」という句を削ったらいいのではないかと思うのですけれども。

○荒川座長  ああ、そうですか。わかりました。

○吉田委員  「しかし、教育内容がかなり規定され」と短く言ってもいいのではないでしょうか。

○荒川座長  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○平出委員  6ページですけれども……。

○荒川座長  4ページ?

○平出委員  6ページです。

○荒川座長  そっちへまた行きますが。何か今。

○平出委員  あ、そうか。失礼しました。

○荒川座長  順番に行きますので、必ず行きますので、またもう一遍振り返ります。

○平出委員  はい。

○荒川座長  では、まず1、2ページのところで、特に今気がついたことがあれば。どうぞ、先生、お願いします。

○伴委員  では、2番のことに関してということでよろしいですかね。

○荒川座長  はい。

○伴委員  おおむね全体の流れがとらえられていると思うのですけれども、5つの丸のうちの一番上の「将来のキャリアの明確化」という文言には違和感があります。基本的臨床能力の習得と将来のキャリアの明確化というのは、何か異質なものが2つ一緒に書いてあって、しかも、さっき少しご指摘があったように、キャリアを明確化することがどういうふうに必要なのかということがあまりこの会でもディスカッションされなかったと思います。私自身は6年間の、例えば5年生、6年生の段階でそのキャリアを明確にしていないといけないということはないと思うんですね。ですから、このキャリアの明確化というのは要らないのではないかと思います。

○吉田委員  わかりました。すみません。これはキャリアではなくて、キャリアパスを学生が自覚できるような方策をとるということがいいと思います。

○荒川座長  なるほどね。それから、伴先生、これ、この中ではやっぱり総合指導能力はちゃんと必要だということは、この基本的考え方では要らないんでしょうかね。この辺はどうなんでしょうか。

○伴委員  それは必要だと思います。文言として、3番のところで出されていますね。

○荒川座長  あ、3番ね。

○伴委員  基本的臨床能力の習得と将来の、いわゆる各論のところで出されていると思いますので。

○荒川座長  後でね。はい。わかりました。

 どうぞ。

○吉村委員  今のところですけれども、このキャリアのことはやっぱり違うことだと思うんですね。ですから、その前に特に6年次教育が受験対策に追われ、これはいいのですけれども、臨床実習が形骸化するとともに、卒業段階で必ずしも基本的な十分な臨床能力が身についていないとの指摘があるという、そっちではないでしょうかね。

○荒川座長  わかりました。そっちのほうですね。基本的臨床能力のほうが大事だということですね。

○吉村委員  がついていないのではないかと。

○荒川座長  はい。わかりました。

 どうぞ。

○福田副座長  私も、今のところのキャリアというのが何を意味しているかということが漠然としていると思います。想定されるのは、将来の専門領域を選ぶのか、研究者になるのかとか、いろいろな見方がございます。ですから、ここで共通にどういう理解をしなくてはいけないかということになると少し不明確なのではないかと思います。

○荒川座長  むしろ、基本的に指導能力はちゃんと欲しいと。

○福田副座長  それが前提ではないのでしょうか。

○荒川座長  そして将来を見通せるということですね。

○福田副座長  そうですね。はい。

○荒川座長  順番に行きます。では、先生、まず。

○吉田委員  そのキャリアパスのことは、私が発言したのを思い出したのですが、低学年の学生が、自分たちは講義があって試験があるだけで、将来、自分が何になるのかがよく見えないという学生がいたことをたしか発言したと思うんですけれども、ですから、このキャリアのことは、例えば6年間の中でキャリアパスを意識しながら学べない学生が多いという指摘にはなると思います。

○荒川座長  では、先生。

○北村委員  私も大学でこれを教えるときにキャリアデザインという言葉を使っています。法政大学はキャリアデザイン学部というのがありますし、キャリアパスよりもキャリアデザインというほうがよくなっているのではないか。ただ、そうすると概念が共有されないこともあるので、一応、日本語では人生設計と略して――略してではないな、日本語をつけて、キャリアデザイン(人生設計)と書いて教えています。そして、大事なことなのですが、このキャリアデザインをするのは本人であって、大学が教えるものではなくて、大学はその本人のキャリアデザインを支援する体制をつくるということが本来のあるべき姿で、大学がキャリアデザインしてあげる筋ではないと思っています。

 それから、それに関連してですが、このページの下から2つ目のパラグラフというか、「さらに、臨床系教員の多忙化は」云々というパラグラフがあります。その中で、「厳しい環境にある診療科等への進路選択に相当な影響を与えることは否めない」と。現実、そうなんでしょう。忙しい小児科、産婦人科、危険な産婦人科、麻酔科等には行きたくないという現実があることは重々知っていますが、ここにこう書いてしまうと、では、それに対する対策をこの文では書き込めるのかなと不安になってしまうのですが、これに対する対策、その指導教員の多忙化を直すのはいいのですが、厳しい環境にある診療科、これに対して何をどうするかまで必要になってくるかなというので、後で戻っていただきたいのですが、この文章がほんとうにここに必要なのかと思っております。

 以上です。

○荒川座長  なるほど。じゃあ、この辺もちょっとまた検討しましょう。これはなかなか難しいことですね。でも、先ほどのキャリアについては、皆さん大体、基本的診療能力等含めて、キャリアデザインとかいうことで何とかできると思いますが、最後の厳しい環境にある診療科等への進路選択、これも確かに影響を与えているのでしょうけれども、なかなか難しいですね。

 どうぞ、先生。

○小川委員  いや、このぐらいのことは書いておかないとまずいと私は思いますけどね。

○荒川座長  わかりました。

○小川委員  というのは、要するにここの背景にあるのは、要するに今の教育現場における教育人材の資源では足りないということの背景になっているわけですから、そこのところを言うためには、やはりこのぐらいのことは言っておく必要があると思います。

○荒川座長  どうぞ。

○北村委員  それならばいいんです。教員が忙しいということを言うならばいいのですが、後半の部分を読みかえると、例えば産科医という名前で入学者を募集したり、あるいは途中の試験で診療科を特定した卒業者を出すというシステムの導入を言っている人がいます。今、地域枠と言っているような感じで産婦人科枠とか、麻酔科枠とか、そういうのを主張している人もいます。そういうことまで考えた上でこれをお書きになっているかということなんですね。個人的には医師のキャリアは、この6年間で一生懸命考えるべきであって、社会が婦人科や、そういう厳しいところに医者が足りないからといって、18歳で決めさせる必要はないと個人的には思っていますが、そういう意見に対して追い風になるような文章ではないかなと思って危惧しております。

○荒川座長  むしろ、卒業後にどう選択するかということの対処が大事だということですね。

○北村委員  そうです。はい。

○荒川座長  それは、その辺のことをわかるようにします。お2人の先生の意図することはそう変わっていないですが、じゃあ、そこのところを考えましょう。

 ほかにいかがでしょうか。一遍またもとへ戻ることもありますので、そこを踏まえて少し先へ進んでみたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、ざっと行ってまた戻るほうがはるかにいいかと思いますが、基本的な診療能力の習得と将来キャリアの明確化ということでもって3ページに書いてございます。これについてはいかがでしょうか。どうぞ。

○吉田委員  これもまた誤字だと思うのですが、方向性の四角の中の1行目の「臨床実習を充実させ」の後の「臨床研修」と書いてありますが、これは「実習」ではないでしょうか。

○荒川座長  実習ですね。これは大学では実習と言っていますね。臨床実習と大学では言っているそうですが、「臨床研修」と言わないで。1行目ですね。箱の中の1行目のところの。

○樋口医学教育課長補佐  ここはほんとうは「卒後の」というところなのですけれども、到達目標としてここまでというところなので、必ずしもあれではないですけれども、なくてもいいのかもしれません。

○荒川座長  卒後のね。ああ、そういうことですか。わかりました。

○吉田委員  だったら、「臨床研修の前に」とか、「臨床研修を控えた」とか、そういう書き方のほうが。

○荒川座長  最初にもう臨床実習、出ていますからね。わかりました。じゃあ、その辺ちょっと補足。

○小川委員  「臨床研修に臨む」を削ればいいんですよ。「体系的に充実させ、医学生が診療チームの一員として」云々かんぬんとすればそのまま。

○荒川座長  誤解がなくなりますね。

○吉田委員  それがいいと思います。

○荒川座長  ほかにございませんでしょうか。いかがでしょうか。どうぞ。

○吉田委員  この方策の1の括弧の中に「例えば50単位」と書いてあるのですが、これは例えばこれよりも多い単位数を設定している大学が減らさないようにしたいなと思うのですが、何かうまい方法ってあるんでしょうか。

○荒川座長  先生、いかがですか。

○福田副座長  これは単位という表現でよろしいかどうか私もわからないのですけれども、以前のコア・カリキュラムをつくったときに、本邦の平均と外国のを照らし合わせて、たしか週数であらわしました。単位に変換してもいいのかもしれませんが、この辺はもう少し具体的に内容をよく調べて、標準的にどれくらいにするのかを定める必要があります。それから、例えばベッドサイドラーニングも含めてなのか、クラークシップタイプのものだけにこういうふうに規定するのか詰めなければいけないと思います。これは非常に大事なところです。かつて、文部省時代の省令には時間数の規定があり、トータル4,500時間、プラス・マイナス300という規定があって、その中で基礎系、臨床系、内科系、外科系、など、それぞれ何千何百時間というのがありましたが、実習として位置づけられている基準の時間数は何もありませんでした。ですから、これをはっきり位置づけるということはかなり大事なことで、それが大体、標準どれぐらいの時間だということを書いてここへ盛り込んでいただいたのは、これは非常に大事な視点だと思います。ただ、ここに書いてあります最低の単位数について、これは実習時間を30から45時間の間で1単位にしますから、換算に関して検討する必要があります。

○北村委員  よろしいですか。添付資料の2ページ目と7ページ目に、資料で実習の時間が書いてありますが、これはこの50単位というので言うと何時間に相当するということで資料を出されたのでしょうか。

○荒川座長  どうぞ。

○樋口医学教育課長補佐  おおむね今の大学設置基準、大体1単位は30時間から45時間ぐらいで1単位を構成するという考え方がございまして、実はこの全国医学部長病院長会議のデータは、講義時間を除いた実習時間のみでこれを構成していますから、仮にミニマムの30単位で、その科目についてはプラスアルファで多分講義時間があるのだろうと思います。それで考えて、仮に30時間で1単位と考えると、50単位で大体1,500時間ぐらいがこれに該当するだろう。50×30ですね。という認識でおります。

○荒川座長  30時間1単位として50単位ということの認識でいるということですが、吉田先生、そうしますと、実際に多くやったところは減らすことになるんですか。それはない。

○福田副座長  ないと思います。

○吉田委員  さっき少し計算してみて、大体1週間40時間、普通の勤務と同じぐらいに考えると、それで1単位になるわけですね。

○荒川座長  40時間。

○吉田委員  はい。

○荒川座長  少しずれがありますね。

○吉田委員  いやいや、さっき30時間から45時間とおっしゃったんですね。実習の場合は30から45時間で1単位ですから、1週間、普通に勤務している医師と――医師はもっと働いていますけれども、それは置いておいて40時間働いたとして1週間1単位になるので、4週間で4単位で、今、実習の単位数、うちの大学では計算していますので、そうすると50単位ということは12.5週になるわけで、そうすると12.5週と言ったらば1年よりちょっと多いぐらいであって、5年生から始まって、5年生の4月から始まると夏休み前ぐらいで終わるんですよね。だから、今と同じぐらい。

○荒川座長  そうすると、臨床、6年、形骸化が続くということになってしまいますね。

○吉田委員  そうですね。

○荒川座長  どうしよう。

○福田副座長  ですから、そこのところは、例えばこの前の検討会で、研修医の方の在学しているときに講義だけで終わってしまった実習があったという話もあったし、現実は全科必修で回ったときにきちんと、ベッドサイドですらやらなかったりとか、その様な臨床実習が形骸化している診療科があると思います。ですから、実質的に実習としてカウントできるようにしないといけないのではないかと思います。それはさらに細かい話になりますので、具体的な実態を調べた上でやっていただければいいと思います。

○荒川座長  これはほんとうの意味の実習をちゃんとやるということをわかるようにということですね。

○福田副座長  そういうことです。

○荒川座長  そうしますと、30時間50単位ということは、まあまあ、いけるだろうと。そうすると、夏休み前にあとはやらないということはなくなるだろうという理解でよろしいでしょうか。

○吉田委員  そうしたら、例えば診療産科型臨床実習の診療参加従事時間を50単位とすると相当長くなると思います。

○福田副座長  先生、今の現状をいろいろ調べてみましたけれども、それは物理的にかなり厳しいのではないかと思います。ですから、例えば初めのころはベッドサイドラーニングだって十分だと思いますね。それから、診療を経験したりなんかするのだったらクラークシップタイプにするのでしょうけれども、その辺の表現は上手にしないと全部クラークシップではちょっと私は厳しいのではないかと思いますよ。

○荒川座長  その辺、平出先生、いかがですか、現実に。どうぞ。

○平出委員  私の記憶では、アメリカではクリニカルクラークシップが州法で定められている州が多いですよね。1年以上を求める規制が多かったのではないかと思います。、福田先生がおっしゃったように、やはりまずは実習の実質が一番大事だと思うんですね。そこであまり無理をした長い時間数の規制というのは考えものです。かえって形骸化することもあるので、そこら辺は少し慎重に考えたほうがいいのではないかと私は個人的には思っています。

○荒川座長  奈良先生、いかがでしょうか。

○奈良委員  私もそのような考えで、臨床実習の内容を担保するということで、モデル・コア・カリキュラム、実際、ここをやらなければいけないとか、そういうのを明記することが大事だと思います。そこから計算すると当然、単位数だとか時間数は出てくると思いますので、まず作業としてやはりモデル・コア・カリキュラムの充実。

○荒川座長  ここで明確にすることはいいですね。

○奈良委員  はい。いいと思います。それはぜひお願いしたいと思います。

○荒川座長  北村先生、いかがですか。実際、現場で。

○北村委員  福田先生がおっしゃったように、実習も見学型から模擬診療があり、そしてほんとうのメンバーの一員となって診療するというふうに、中で段階的に行くのは当然であり、すべてがクリクラである必要はないとは思っておりますが、ただ、この時間を何をカウントするのか。見学型は実習でないと言われると困るかなという気はします。

 ただ、もう一つ、話題になっているこの6年目が形骸化するということが、総単位数を決めたところでもなかなかそうならない。形骸化が解消しないと思います。というのは、やはり50単位を前倒ししてしまうんですね。そうしたら2年の中ごろから始めて――あ、2年ではない。4年の中ごろから始めて、6年の初めくらいには終わって、その後をいわゆる試験対策にする。そうすると、そのしわ寄せがどこかに行くんですね。共用の問題とか、あるいは……。

○荒川座長  そのときに共用試験のことはどうなるんでしょうかね、そこである種の関門としての。

○北村委員  どうでしょう。また詰め込みになるような気がして、短時間になって、だから、やっぱり共用試験の関門で、共用試験は4年の終わりに受けるのだということをしっかり明記して、実施は5年から始まって、そして50単位が必要とすればかなり実質化すると思う。

○荒川座長  いいですね。そことペアですね。

○北村委員  ええ。

○荒川座長  どうぞ。

○福田副座長  それとあと、全部がクラークシップでは、現実的に無理な可能性があるので、そうでなくて、その臨床実習期間中に習得しなければいけない、例えばシミュレータを使った教育とか、こういうものも順次積み重ねていかなければいけないので、それらを含めたものとして理解し、それで現実的に動かせるようにしてあげないと、各大学で非常に大変になってきます。ただ、内容と目的を明確にしていただければ、それで構わないと思います。

○荒川座長  先生、いかがですか。どうぞ。

○伴委員  少し誤解があると思うんですね。いわゆるクリニカルクラークシップというのは、例えばアメリカでもヨーロッパでもそうですが、たとえばアメリカの3年生は、最初はチームの一員になって見学して、シュライバーみたいなことをしたり、少しお手伝いしたりとかというふうなところから入っていくわけなので、そこも含めてチームの一員になっているというところがクリニカルクラークシップなのです。ですから、そこをあまりベッドサイドラーニングでもいいよと言ってしまうと、少し誤解される可能性があるのではないかなと思います。

○福田副座長  それは当然ですね。

○荒川座長  ただいまのお話を踏まえて、共用試験との境目のところも踏まえて、無理のないことで表現していくということで、しかし、皆さんが一貫して言えることは、5年、6年ちゃんとしてほしいということをわかるようにしたいということで、これはよろしいですね。

 それから、この最後のパラグラフで総括責任者を置くって、これは今回も非常に大事で、これは皆さん特に異論ないと思いますが、これについてはいかがでしょうか。これは強調した点だと思いますが、よろしいでしょうかね。ほかにこの3番で何かございますか。どうぞ。

○伴委員  まず、四角のところで少し細かな文言のことになるかもしれませんが、真ん中の行で「患者に接し診断・治療の判断ができる」というのは、先ほどのクリニカルクラークシップというふうな臨床実習のやり方の心を表現しようとすると、「診断・治療の判断に参加できる基本的臨床能力」という言い方になると思います。もちろん自分一人でできるわけではないんですよね。チームの一員として、例えば「こうではないでしょうか」とか、「文献的にはこう書いてあるんですけれども」、みたいな形ででも参加できる。経験はないけどと、そういうふうな形でチームに参加することになると思います。

 それからもう2点あるんですけれども、先ほど荒川先生に言っていただいた全人的な総合診療能力というところは、黒丸の2つ目の内科・外科の充実というところにかかるのではなくて、その2番のモデル・コア・カリキュラムの改訂を行って全人的な総合的臨床能力の育成を重視するということで下4つ全部にかかる。

○荒川座長  ああ、なるほど。

○伴委員  そのような考え方のほうがいいのではないかなと思います。

○荒川座長  内科・外科、指導させることは、これはいいわけですね。

○伴委員  そうです。はい。

○荒川座長  なるほど。

○伴委員  それから、黒丸の3つ目、僕はいつも懸念するのは、ここ、コミュニケーション機器、「機器」と出てくるんですね。別に機械を買わなくても、いろいろな工夫の仕方次第でシミュレーションのトレーニングができます。だけれども、「機器」を買うことが何かそういうふうな教育の準備をするというように誤解をされているようなところがあって、どんどん「機器」を買って全然有効に活用されていないというようなシチュエーションも結構ありますので、あまり機器にこだわる必要はありません。うちは機器が全然ありませんとかいうふうなことを全然心配する必要はない。ちゃんと教育の工夫次第で幾らでもできますということを言う意味でも、「機器」という言葉は入れなくていいのではないかなと思います。

○荒川座長  といいますと、どういうふうに書いたらいい。シミュレーション……。

○伴委員  そこは例えば真ん中の黒丸の3つ目、「経験・見学、臨床実習前の基本的臨床技能の教育を経て」みたいな形でいいのではないかなと思います。別に機械を買うのがいい教育ではありませんので。

○荒川座長  機械が全くなくても大丈夫ということですね、先生のご意見では。

○伴委員  あったほうがいいものももちろんあります。救急トレーニングみたいなのはやっぱり機械がないとできません。しかし、近頃は「機器」「機器」と言い過ぎです。

○奈良委員  ただ、機器という言葉が悪いとすれば、同じなのですが、シミュレータとかしておいて、シミュレータの中には例えば学生同士の実習もシミュレーション教育ですし、模擬患者でもそうですし、あと、今、バーチャルで結構ありますので、コンピュータソフトウエア、それもシミュレーションなんですね。ですから、機器というのは確かにちょっと。

○荒川座長  先生、シミュレータという言葉だったら大体入るの、全部入る。

○奈良委員  そうですね。機器等と書いてあるから入るのですが、シミュレータと書いておけば、もっとやわらかいかなと思いますが。

○荒川座長  ああ、そうですか。わかりました。

○北村委員  よろしいですか。

○荒川座長  どうぞ。

○北村委員  模擬患者の面接も含め、学生同士がやるのも含めてシミュレータを用いた……。

○伴委員  シミュレーション。

○北村委員  シミュレーション、模擬診療という言葉、あるいはシミュレーションというほうが、機器は含むということでいいのではないでしょうか。

○荒川座長  なるほど。はい。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

○平出委員  箱に入っている基本的方針のところに補足です。臨床実習で診療チームの一員として患者に接するということは、この検討会でもかなり強調されたところだと思います。辻本委員からも発言があったと思うのですけれども、単に臨床的な判断ができるとかいうことよりも、メディカルケアに求められる医療人としての基本的な姿勢とか態度を身につける、あるいは自分の適正を確認するというところが結構この検討会では強調されていたと思うので、ぜひここに入れるべきではないか。そして、医師としてのキャリアを描くことができるというよりは、医療人として役割を果たせるようになるという表現を入れたほうが私はいいのではないかと思っています。

○荒川座長  これは辻本さん、名前が出ましたのでいかがでしょうか。

○辻本委員  ありがとうございます。前回、特にありませんと申し上げてしまったのは、じっくり読めていなかったことからの反省です。きょうもその点について幾つか意見を言わせていただこうと準備して来ているのですけれども、ここにそうした全体的なことを入れていただけるということは何よりありがたいことで、そのために具体的にということで、後のところで少し発言をさせていただく準備をしております。

○荒川座長  そうですか。今の平出さんの発言はよろしいということですね。

○辻本委員  はい。よろしくお願いいたします。

○荒川座長  わかりました。

○福田副座長  今のところは、例えばこの四角の中で診療チームの一員として、その間に……。

○荒川座長  姿勢。

○福田副座長  ええ、姿勢の問題を入れて。

○荒川座長  入れて、また最後に。

○福田副座長  それで最後にこれが続くようにすれば。

○荒川座長  このキャリアの問題も平出先生はちょっと違った意見で。

○福田副座長  キャリアはちょっとよくわからない。

○荒川座長  平出先生がさっきおっしゃったのは。

○平出委員  私としては、研修医になったときに医療人として役割を果たせるという表現のほうが、ここには合っているのではないかなと思っています。キャリアのことも入れても全然異存はありません。

○荒川座長  タイトルはキャリアの明確化になっていますので。

○平出委員  はい。わかりました。

○荒川座長  わかりました。

 どうぞ、先生。

○寺尾委員  3の医療現場の経験・見学というのは、これは非常に大事なことで、今度、臨床研修の2年目が圧縮されてしまいますと、いろいろな患者さんに出会う機会が少なくなるわけで、シミュレーションとは違う患者さんと生の出会いこそが教育だと思うので、その機会を増やしていただきたい。出会って感動することが大切。したがって、その次のパラグラフの臨床実習前から体系的に教育できるようにし、さまざまな医療現場が体験できるようにするというように前のパラグラフを拾って、現場を見るチャンスを増やすようにするということをぜひ入れていただきたい。

○荒川座長  はい。わかりました。現場経験を増やすことですね。はい。

 ほかにはございますか。どうぞ。

○福田副座長  この3のところに必要かどうかはわからないのですけれども、前回の協力者会議のときに臨床実習のことについて話題になった点が2点ほどあります。それは医療安全の教育をどこに持ってくるかということで、これはかなり早期にやらなければいけない、早い時期にです。それから、やはり医学生になったということも含めて医療安全と同時に救急、これも早い時期にやる必要があるのではないか。これは社会的に見ても当然そう思われるし、それから、学生時代に加入させる傷害保険の支払いの統計を見ると事故の事例もあります。高額ではありませんけれども、みずからを守ることもやっぱり必要だし、患者さんも守らなければいけないし、そういう医療安全の教育をある程度きちんとする必要があります。ここか、もしくはもっと前のところで充実する表現が必要と思います。

○荒川座長  医療安全の教育とか、それから、救急教育の、これは早めたほうがいいということですか。

○福田副座長  少なくとも医療安全に関しては、医学生になったときからもうスタートしなければいけないのではないかと思っています。

○荒川座長  はい。それに救急医療もつながってくる。わかりました。

 どうぞ、樋口さん。

○樋口医学教育課長補佐  先ほどの福田先生のご意見、それから、平出先生のご意見、どちらかというと医療人としての姿勢とか、さまざまな医療現場を体験していくことによる感動、この辺は実は次の4ページのところ、要するに地域の医療を担う人材の養成というところにある程度集約させて書かせていただている点もございますので、あわせてご検討いただければと思っております。

○荒川座長  はい。もう地域にかかわらず、大事だという――じゃあ、そこに行きましょう。4番のところに行ってみましょうか。今その発言をした4番の地域の医療を担う意欲、使命感の向上というところ、そこで樋口さんのお話だと、そういう今のお話を書いてあるように書いていますが、いかがですか、そこのところは。「多様な現場に触れ」とたしか書いてありますね。そこら辺、何かこの4番でご意見ございますか。どうぞ。

○福田副座長  四角の中の方向性は、これはよろしいと思いますが、方策のかなり具体的なところとして丸の4、一番最後ですね。育成するために以下のような視点からモデル・コア・カリキュラムの改訂を行う。これが実は前回の協力者会議のモデル・コア・カリキュラムの改訂事項に入っています。

○荒川座長  そうですか。

○福田副座長  ただ、そのときのディスカッションは極めて総論的でした。そういう実習体制を組む必要がある。要するに問題は相手側があるんですね。相手は何なんだろうか。地域の医療機関なのか、それから、保健機関になるのか、いろいろなものがたくさんあって、それに対する限定ができなかったんですね。ですから、そこをもう少し具体的に書くというニュアンスです。これ、樋口さんにお聞きしたいのですけれども、そういう意味と理解してよろしいですか。

○樋口医学教育課長補佐  これは、1つは冒頭、寺尾先生から最初の会からご提起いただいている話、それから、辻本先生からもご提起いただいている話、こういうことを踏まえて、今のモデル・コア・カリキュラムと照らし合わせてどうかというようなことがございました。つまり、今のモデル・コア・カリキュラム、どちらかというと臨床実習前と臨床実習後という大きなカテゴリーの中で仕切りがございます。

 この中では折に触れ、要するにポイント、ポイントでやはり患者の方々とかかわるとか、多様な現場に触れるという話がございまして、今、どちらかというと地域医療という項目が1つ体系的に立っているわけでございますけれども、そのほかにも例えば今、公衆衛生というか、社会学の中で例えば現場に行く、あるいはその同じく社会学の中で、現場でさまざまな人の意見を伺う。そういったところが、その地域医療という項目のほかにも実は存在しているわけで、そういうところを際立たせることを通して全体としていろいろな学年の中で外の世界というものとの接点というものを高めていくという、どちらかというと、より毎年、毎年、年次を通していろいろな形でできるような工夫というものをこのコア・カリキュラムの中でも記載してはどうだろうというようなニュアンスでとっているのですが。

○福田副座長  そうすると、臨床実習の中の地域医療実習のところを、特段それをまた改めるのではなくて、学部段階の教育の初めから地域等の見学も含めて出てきます。それから学外の協力病院を使ったクラークシップもいろいろな大学で行われていますね。それも入ってしまいます。ですから、その辺のところを混乱しないように、そういうものが総括されたものだというようなニュアンスに設定しておけばよいのではないか。例えば括弧づけとして、臨床実習として行く場合と、それから、公衆衛生の実習を臨床実習に入れているところもたしかあるかもしれませんので、その辺も含めてちょっと検討する必要があります。

○荒川座長  交通整理をね。

○福田副座長  はい。よろしくお願いいたします。

○荒川座長  これ、平出先生、何か。

○平出委員  おっしゃるとおりだと思います。いわゆる括弧つきの地域医療実習というものだけではなくて、さらに重層的に展開するとか、そういった表現を、すなわち樋口さんが考えられていることは盛り込むべきではないかと思います。

○荒川座長  どうぞ。

○小川委員  この項目の中には入学者選抜ということが組み込まれておりまして、要するに地域枠ということがこの中にも入っているわけですが、地域枠に対する批判も多々あるわけで、その背景にあるのは初等中等教育の基礎学力の標準化なんですね。私、この5項目目に、5に「初等中等教育における基礎学力の標準化、すなわち初等中等教育の地域格差の改善を図る」というような文言をぜひ加えていただきたい。

○荒川座長  大きな問題ですね。

○小川委員  ですから、そのぐらい言っておかないと、要は問題なのは、例えば地方で幾ら地域枠を拡大しても、その地方の初等中等教育が都会に比べて、例えば6年一貫教育の私立の中高一貫教育をやっているようなところはほとんどないわけですから、そういうところから格差を是正しないと、その地域偏在というのは改善をしないということからしますとやっぱり、そのぐらいのことは言っておいたほうがいいかなと思います。

○荒川座長  これは文科省、大きな問題ですけれども、何か、今、返事はちょっと。大変大きなことを言いましたが、いかがですか。

○樋口医学教育課長補佐  全体の流れで、昨年の学習力という、そのもの全体として検討してきた際に、いわゆる高校と大学の接続の問題をどうしていくか、これは中央教育審議会での大きなテーマとして、それは当然存在しているわけで、それはこの医学にかかわる以前の問題として、いわゆる横たわっている問題ということなので、それをここに書くかどうかというのは少し考えてご相談させていただきたい。

○荒川座長  かなり大きな問題ですね。いや、小川先生のお気持ちはよくわかりました。同感でございますが、取り扱いはちょっと。

 どうぞ。

○北村委員  この4番の章の方策というのが、確かに一見、方策なのですが、例えば1にしても、地域全体で医師を確保するシステムの構築を推進すると言われても、そのためにはどうするのかという具体策が見えないんですね。都道府県が何かの協議会をつくれということなのか、大学が中心になった協議会をつくれということなのか、大学の中に地域医療推進室でもつくれということなのか、何を目的としているのかが方策の次の、より具体的な方策がどの丸にも見にくいんですね。

 その次にしても、地域枠を促進するといっても、その地域枠に入れた人にどんな教育をするかを規定していなければ、入学のときに地域枠30人とりました。でも、教育の内容はもう全然今までと変わりませんとしたら、その人は都会に行きたいと思うだろうし、最先端の医療でやって、地域枠って何なんだ、奨学金を返せばいいのだということになるかもしれないから、やっぱり2を実現するには教育内容をもう少し具体的に書かないといけない。

 3番は、自分が指摘して書いていただいて、非常にありがたいのですが、アドミッション・ポリシーを書いた上で入学試験をどうするか。ボランティアと書いたのですが、入試に合格するためにあえてボランティアをするというような人が出てこないとも限らないわけで、ほんとうに心ある人が医師になろうと思うためにはどうするんだという、もう少し具体的なのが欲しいかなというような気がしました。

○荒川座長  はい。

○北村委員  方策とは書いてあるのですが、何かテーマの提示であって、すぐに具体的に行動に移せるような言葉が少ないように思いました。

○荒川座長  どうぞ。

○吉村委員  基本的なことなのですが、地域の医療というと非常に漠然としていると思うんですね。例えば僻地とか離島とか、あるいはほんとうに地方の医療なのか、あるいは都会に対するものなのか、あるいは大学と大学以外の医療なのか、あるいは総合医とか家庭医を育てるという意味の地域医療なのか、その辺の目的といいますか、その辺がはっきりしないと方策も出てこないのではないかと思うのですけれども。

○荒川座長  何かございますか。

○樋口医学教育課長補佐  実際、地域の医療という言葉を使うに際して、我々もおそらくいろいろなイメージを持たれるのだと思うんです。ただ、こういう大きなくくりの中で、大きな医療というものの出口というものを考えていく中の大きなくくりをしていく言葉としては、確かに細かいところで言えばさまざまなところを持たれるのですが、ある意味では最大公約数的に地域というような言葉を示して、その中は確かにいろいろな形にとらえられるということにはなろうと思いますが、少しそういう意味では抽象的な表現であることは否めないところです。

 ただ、北村先生からご意見がございましたところについては、これはそもそもの四角囲みのところでは入試と教育というものを一貫してとらえていくのだ。ここが実は大きな柱でございまして、それを実現する、入試ではこういうやり方がある。教育についてはモデル・コア・カリキュラムでこういうような仕方があるというような形で分けてございますので、そういう意味では1つ1つの項目の中にそこがリンクされていないだろう、おっしゃるかもしれませんが、そこは四角囲みの表現の中で実はそういったニュアンスになっております。

 なお、この丸の1番に関しましては、実は例えば臨床研修制度の見直しの前回のあり方検討会の際に、卒後臨床研修に関しては、大学病院など地域の中核機関を中心とした臨床研修病院を形成していくのだというようなお話がありました。こうしたことを実は我々は2年間だけの話ではなくて、卒前も、その後の後期も含めて、その卒前・卒後一貫してこういった大学、地域中核病院、あるいは運用機関、こうしたものとの関係性というのは持っていくべきだろうというニュアンスで、どちらかというと一貫したというところにストレスを置いて書いているところでございますが、少し表現の仕方は工夫する必要があるかなと思っています。

○荒川座長  地域については、いろいろな教育プログラムとかそういうこと、私、審査員をやったことがございますけれども、大都会の伝統ある病院が地域医療として、あるいは地域の、養成するようなことはやっていますし、伴先生、名古屋大学でも地域医療に貢献する医師を養成するとはっきりと出したのがございまして、多分、あったと思いますし、京都大学でもそういうことを出していましたので、それぞれの地域でやはり、地域とも頑張ってやっているような気が僕はしているので、多少、一定のそういう理解はあるかなと思って見ているんですけれども、いかがでしょうか。

 それから、地域の病院と大学との関係というのは、各地域で見ますと大学中心になって、県も入って研修病院、一緒になって、そこで卒後研究をちゃんとやろうと。その中で卒前もどうしようかと、検討するような県も一方で見ておりますので、具体的には動いているところもあるような気がいたします。

 どうぞ、お願いします。

○辻本委員  地域医療という大きな枠もさることながら、例えばこの4の「地域の多様な現場に触れ」という表現もあって、それぞれの地域性ということがもう少し明確に見える形で、例えばカリキュラムの中に、うちの大学は地域医療ということはこういうことを位置づけているんだとか、こういうところに行くのだとか、そういったものが見える形というふうに表現することというのは難しいんでしょうか。

○荒川座長  どうでしょうかね、その辺。

○福田副座長  今、それを考えておりました。どうしたらそれが見えるような形でモデル・コア・カリキュラムに反映できるかということです。モデル・コア・カリキュラムの配列をみますと、別の総論的なところにそういうものを別立てで記載する必要がある。内容は個々に記載されていても構いませんけれども、地域医療に関しての新たなスタンスや考え方を前文にきちんと入れるのが一番簡単かなと思います。

 それから、地域医療実習とありますけれども、4の臨床実習のところですね。そこに付加的にこういうものも含めて記載し、あわせて有機的にやってくださいということが2つ目です。この2つは可能だと思いますが。

○荒川座長  臨床研修を見ますと、今度新しく出るのは、例えば東京都内の大きな病院、あるいは研修病院が地域医療として新潟だ、鹿児島だというところに出かけて行くということまで今組んでおりまして、随分変わってきているという感じがしています。だから、都会の病院だから考えないということではないような気がいたしますね。東大病院なども新潟に今度は研修病院、出そうというのでやっていますので、僕らは受けるほうで非常にいいのですけれども、そういうことで広く鹿児島だ、琉球だとか行っていますので、だんだん変わってきているような気がしますね。

 どうぞ。

○寺尾委員  今、辻本委員がおっしゃったことは、昔、セツルメントというようなことで、クラブ活動で自主的にやっていたんですね。自主管理をしていた。

○福田副座長  やっていましたね。

○寺尾委員  例えば千葉大学ですと、愛知県北設楽郡地方でずっと行っていたんです。それぞれの大学がそういうものを持っていた。そういうのが今なくなってしまった。これを上手に復活させることが大事ではないか。今おっしゃったことは、そういうことではないかなと思いますね。

○荒川座長  わかりました。

 ほかにございませんか。じゃあ、順番にいきましょう、平出先生。

○平出委員  辻本委員のご意見についてです。私の解釈が間違っていたら申しわけないのですが、大学の特色といいますか、特性を生かした地域医療の学育が推進されるべきだと思います。大学によって周りの環境が違うと思うので。例えば貧しい地域に学生をあえて送る大学もありますよね。京都大学の場合は非常に広範囲にいろいろな地域をカバーしているものですから、1回生にそこへ旅をさせて医療ボランティア活動とかさせているんです。そういう意味にとらえてもいいんでしょうか。

○辻本委員  両方の意味を私は考えています。その大学の置かれている地域の中での特色ということを生かすことももちろん必要ですし、それから、その大学がどういう医療人を育てたいかということが見えるような形で、例えば遠隔地のところとの連携ということも、むしろ教育のカリキュラムということで見えれば、学生が選ぶときに自分が将来、それこそこういう医者になりたいと思う気持ちがそこと重なっていけば一番いいことではないのかなと。患者の立場としては、その両方の可能性ということを踏まえていただけたらありがたいと思います。

○平出委員  なるほど。わかりました。だから、単に遠方に送ればいいとか、過疎地域に送ればいいとか、そういう意味ではないということは少しうまく盛り込めたらいいなと思いました。

 どうぞ。

○吉田委員  よろしいですか。

○荒川座長  ちょっと待って、順番に。

○福田副座長  実際、それは各大学で多分いろいろな形でおやりになっています。ただ、出して任せているのではないかというのは非常に気になっているところで、それを有効にするためには、出すことの評価を学生がきちんと受けるよということはかなり大事です。

○荒川座長  この5番、6番ね。

○福田副座長  ええ、6番に、多面的な評価システムの中にそういう学外、社会一般の中に出たときにきちんと評価を受けるという視点があると、これは学生だって絶対意気込みが違うと思います。

○荒川座長  そうですね。

○福田副座長  そういう形にしていただければいいのではないかと思います。

○荒川座長  吉田先生、何か。

○吉田委員  この4番の1つ目の黒丸のところ、辻本委員の意見を聞きながら思っていたのは、患者さんの生活を学生が知るということなのかなと思った。ですから、普通、一般的に大学病院は地域のお医者さんから紹介されてやってきた患者さんがいっぱい来られるんですけれども、その診療参加型臨床実習で大学に紹介されたお医者さんに退院時報告を書いたりとか、そういうことはすると思うのですが、そこから先、その患者さんがどういう地域に生活していらっしゃるかというところまではなかなか行かないので、そういうところまで学生が行って、普段、こういう生活をされているんだなということがわかるような実習をというふうに考えていらっしゃるのかなと、そういうことでしょうか。

○辻本委員  もちろん、それも含まれてということで申し上げました。

○吉田委員  それがここでは「患者や地域の人々に接する機会」という文字で示されているという意味なんですね。わかりました。

○荒川座長  議論が大分出まして、もう少し、早くすることないのですが、皆さんの意見がいっぱいありますので、次に進んでみたいと思います。基礎と臨床の有機的連携による研究マインドの涵養ということで、これはいかがでしょうか。5番です。きょうは平野さんがおいでになっていませんので、この前、平野さんのご意見を賜っていまして、基礎医学は決して軽視はしませんと。しかし、医学としては連携してちゃんとやりたいということで、これでよろしいでしょうかね。

○福田副座長  あと、2番目にまたモデル・コア・カリキュラムの改訂の話が出ておりまして、1点は先ほどの準備教育のところのことと同時に、新しい生命科学の発達はかなり臨床にも直結している問題でありますので、そこは追加する必要があるのではと思います。ですから、準備教育のどの部分をどうするという、各論になってしまいますけれども、少なくともその中の生命科学の系統のものは盛り込む必要はあるだろうと感じています。

○荒川座長  はい。よろしいでしょうかね。どうぞ。

○伴委員  必ずしもこの5番に入らないかもしれないのですけれども、教育の多様化との関連も含めて、それから選択化というのとも関連しますけれども、インターナショナルな教育というのが1つテーマとしてあるんですね。ですから、ざっと見たところでは全然入っていないみたいですので、基礎と臨床の有機的な連携に入るのかどうかわかりませんけれども、インターナショナルな教育も、ここに入るのも悪くはないかなと思います。

○荒川座長  ほかにございますでしょうか。どうぞ。

○吉田委員  今のに関連して、実は留学生30万人計画というのがあって、その対応をどうするという話が大学ではあるのですけれども、ここには全く入っていないので、ここではあえて触れていないのかと思っていたのですが、文科省として……。

○荒川座長  留学生の話はまた少し別の次元になるので、関連あるというか、分けて考えたと思うのですけれども。

○吉田委員  ええ。ただ、どこかに国際化の話は入れておいたほうがいいのではないかなと思いますが。

○荒川座長  今の伴先生の話は、うちの学生がそっちへ行くわけですね。先生はこっちに来る。

○伴委員  両方です。うちも結構、最近は海外から来る学生も受け入れています。

○荒川座長  じゃあ、双方向ですね。

○伴委員  そうすると、科によっては、いわゆる医学教育の標準的なカリキュラムみたいなものがなくて、学生がすごく戸惑っているみたいな状況もあるので、日本人が海外に行く場合もそうですし、海外から日本に卒前教育に来るという場合も含めて大事かなと思います。

○荒川座長  わかりました。その点は少し考えましょう。

 ほかによろしいでしょうか。どうぞ。

○福田副座長  今の点に関して、医学教育振興財団で、臨床実習で英国に派遣していますよね。ああいうのはきちんと単位を認定されるようになっていると思いますけれども、そういうのを積極的に推進するとか、日本から行った場合はいいんですけれども、外国から来た場合には内容があまりお粗末にならないように、逆に私はそれが非常に心配です。。

○荒川座長  そのことはまたよくなるきっかけになるかもしれない。

○福田副座長  ええ。それからあと1点は、これは基礎にしろ、臨床にしろ、前からずっと指摘されているところなのですけれども、医学、歯学、今度、薬学もそうですけれども、6年になりました。普通の学部だと4年を待って卒論というのをまずやっていますね。それから、修士論文も書いています。医学、歯学はそれがないまま卒業しているわけですよ。それでいいのかという疑問が前からありまして、例えば臨床実習で経験した症例のケースレポートを書くとか、それから、基礎研究、基礎配属やった人たちはやっぱりレポートをきちんと出すとか、そういう実績も評価していかないといけないのではないか。

 それは先々にわたって、そういうリサーチなり、きちっとまとめるということの習慣を6年の中にやる必要がある。ただ、非常に忙しい中でどうやって工夫していくかというところは問題ですけれども、それは選択制をうまく使っていただいて、きちんとしたサイエンティフィックな考え方を、臨床でもそうだと思いますので、それを入れていく。今すぐは無理と思いますけれども、長期的な展望からするとかなり必要ではないかなと思っていますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○荒川座長  これについてはいかがですか。大事なこと、その臨床のケースの研究レポート、あるいは基礎に配属されたときのレポートといったことは必要だろうということですが、これは特に皆さん異論はないですね。いかがでしょうか。大変忙しいかもしれんけれども、方向としては望ましいということはいかがですか、よろしいでしょうか。

○福田副座長  たしか臨床研修でも何かその辺のところを指摘されていますよね。

○北村委員  東大だと、この研修医に症例報告を義務づけようという意見があり、今、検討している段階で、症例報告になると研修医レベルかなと思うんですね。今、福田先生がおっしゃったようなのは、3ページの一番下に書いてある臨床実習の総括責任者が臨床実習発表会というようなものを学内で開催し、そして学生が自分が経験した症例で興味ある点を順番に発表するという催しをやるとか、まあ、卒論の発表会ですね。そういうものを学内でやるというのは実現可能ないい方法だと思うので、例えばということで書いていただくといいと思います。

○荒川座長  どちらか入れておきましょう。ありがとうございました。

 ほかにはよろしいでしょうか。どうぞ。

○奈良委員  研究室配属の件なのですけれども、私ども5カ月ぐらいやっていまして、その成果はポスターセッションで発表させて、アワードも与えているんですよね。だから、そういったインセンティブがあると思いますので、そういったものを広げていくというのも大事ですし、人によっては論文もちゃんと書いている。

○荒川座長  そうですね。そういうことも含めて書いておく。

○奈良委員  そうですね。

○荒川座長  はい。それでは、よろしいでしょうか。では、この評価ですが、これは大事な、6番目の評価についていかがでしょうか。ここでもって必ず、かなり明確に評価が出ています。これにつきましては多面的な評価をするというようなこと、それから、目標のこと、それから、共用試験、卒業試験に関して、それがさらに国家試験まで行くわけですから、この辺についていかがでしょうか。

 どうぞ。

○辻本委員  この評価の中にぜひ患者の参加ということを加えていただきたいとお願い申し上げます。臨床参加型の実習ということになれば、当然、患者が直面するわけですので、その中でどうであったかというような声を、それがこの2のところにある、医学生の自覚や意欲にもつながることだと思いますし、何より患者や国民の理解を高めるというところにもつながっていく問題だと思うんですね。例えば私も何度か同席させていただいているのですけれども、弘前大学で行われているスチューデント・ドクターのSDの認証式の場にOSCEでSPを務めた方たちが後ろのほうにずらりと並んでいらっしゃるんですね。そうすると、自分がOSCEでかかわった学生さんがこんなに立派になっていると涙を流していらっしゃる。

 そうすると、そのSPの方がさらに意欲を高めて、これからももっとかかわっていきたいというふうな、相互的に非常にいい成果を生んでいるということを目の当たりにしてまいりました。この評価を多面的に行うということになれば、確かに十分な評価能力があるかどうかというのは、患者にとってもこれからの問題ですけれども、相互的に高め合えたらいいなということから、ぜひその一文を加えていただきたい。お願い申し上げます。

○荒川座長  そうですか。それにつきましていかがですか。特に異論ないですかね。

 平出先生、どうぞ。

○平出委員  この件は先ほども少し挙げさせていただいたのですけれども、メディカルケアに求められる医療人としての基本的な姿勢、ここは入れていただきたいと思うんですね。そこに例えば患者からの評価を含めてとか、そこの部分は単に能力、能力ということではなくて、基本的な姿勢ですよね。そういうものをやはり入れたい。

○荒川座長  なるほど。それを評価したいということですね。

 先生は。

○吉田委員  今のご意見、非常に重要だと思いました。ただ、例えば共用試験という一発試験で患者さん、模擬患者の評価を合否判定に入れるというのは、この2の1行目の客観的に評価するの「客観的」というところと矛盾することになる可能性もあると思いますので、今、平出先生がおっしゃられたように、患者さんからの評価をいただくというのは非常に大事なので、2にもし入れるのであれば、その2番目以降に共用試験とは別のところに入れたほうがいいと思いますし、むしろ、臨床実習の中で患者さんに評価していただくというのも大事ではないかなと思いますけれども。

○荒川座長  どうぞ。

○小川委員  その2のところなのですが、これは臨床実習に入る前の共用試験ですから、まず、ここに患者さんの評価が入ることはあり得ない。ですから、臨床実習をした中で患者さんの評価が入ってくる……。

○荒川座長  分けてですね。

○小川委員  ええ、これは分けて考えなければいけませんし、それからもう一つ、合格者に一定の証明書を発行するというところまで踏み込んだということは、これはすばらしいことだと思いますけれども、法的な裏づけというか、そこのところまで踏み込まないと、これは今回、そこまでやるということではなくて、将来、医行為の法的な位置づけをこの中でちゃんとやるんだということをどこかで少し入れておいてほしいなと思いました。

○荒川座長  それは8番のあたりでそういうのが出てきますので、そこで先生、関連してちょっと。

○小川委員  はい。それからもう1点、先ほど議論があったのですが、先ほどどこで議論になったかというと、3番目のところの臨床実習のところで議論になったのですが、この時期の明確化、共用試験を明確化して統一的な合格基準を設定するのであれば、全国で同じ時期にやってもらわないとこれは困るわけで、ですから、これは臨床実習をいつからやるのかということに、この中では5年生、6年生は臨床実習やるんだよというのは大体のあれだと思うのですが、それがはっきりしていないものだからいろいろ問題になるので、この共用試験の時期の明確化というのが1つある。

○荒川座長  はい。これは大事ですね。

 どうぞ。

○平出委員  今の小川先生のご指摘の最初の部分ですけれども、確かに医療人に求められる基本的な姿勢というのは2ではなくて、むしろ1のほうで、各段階で必要な実習内容や技能等の実施履歴や評価を記録・蓄積できるシステムということですけれども、これは下手をするとスタンプラリーになりがちなので、そうではなくて、むしろこちらのほうを重点的に考えていただくのがいいかなと思います。

○荒川座長  それのアクセントのつけ方が少し出ましたが、その辺、検討する。

 どうぞ。

○伴委員  2つあるのですが、1つは先ほどの患者さんの評価は、4番の項目に「多様な医療現場での実習等の評価に、患者さんを含め関係する学外や他職種の・・・」という文言で入るのが、具体的な入り方としてはよろしいのかなと思います。

○荒川座長  はい。入り方ですね。

○伴委員  もう一つは3番なのですが、国家試験は、ここでも何度か出てきて非常に重要な役割を持っていると思うのですけれども、この「臨床力の評価を重視した」という書き方だけですと、臨床実地問題がいっぱい出題されれなそれでいいのかと誤解される可能性もあるので、「臨床能力を適切に評価できるものとなるように強く求める。」という書き方のほうがいいのではないかなと思います。要するに、今は知識をたくさん問われるので、学生がその準備に追われているというのが現状だと思います。

○荒川座長  そうですね。わかりました。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○吉田委員  1番のこの「各段階で必要な実習内容や技能等の実施履歴や評価を記録・蓄積できるシステムを構築し」というところは、臨床実習というのは特に態度面の評価をここの中に入れる。履歴として残すということはできないかと思っているんです。というのは、前回お話ししました、将来、何か事が起こったときに振り返って追跡できるというところは非常に重要で、だから、それは実習や評価方法の妥当性を示す、検証できることになりますので、このままだと何かどういう検査をしたとか、どういう医行為をしたとか、どういう患者さんに当たったとか、それだけ蓄積されるような気がして、だから、むしろ、最後のところの他職種の指導者や患者さんを含めた、こういう人たちの評価をこの中に蓄積できるような態度面の評価も含めて履歴を残せるようにしてはいかがかと思いますが。

○荒川座長  この「評価」という言葉だけでは足りないということでしょうか。十分できないということ。実習利益や評価って、この評価が4番につながるような感じなのですけれども。

○吉田委員  この1番を見ると、研修のエポックが頭に浮かんでしまうんですね。あれにそこがあるかどうかなのですけれども、私、よく知らないので教えていただきたいのですが。態度面の評価を今、エポックに入って。

○荒川座長  北村先生、どうぞ。

○北村委員  一応、チェックするのだけ、患者、人間が構築できるかチェックというのが、それを態度面と言うかは別ですが、そういうのは入っている。それから、1は、自分はエポックというよりもポートフォリオ評価をイメージしたんですね。だから、「記録・蓄積できるシステム(ポートフォリオ評価)」にしていただいたほうがわかりやすいかなと思って読んでいました。

○荒川座長  なるほど。先生、いかがですか。

○福田副座長  これは前の協力者会議のときに実際議論になったんです。何を使ってやろうかというので、やっぱり結局は、それはポートフォリオだろうということです。ただ、臨床研修でエポックを使われている。それを試験的に大学の臨床実習で使われているところがあります。その結果はまだ伺っていません。実際、それを検討されている田中雄二郎先生、きょうおいでになっていないのでわからないのですけれども、項目を追加云々するバージョンに変えるのは非常に簡単であるということを伺っておりますので、それも1つの、まあ、できるかできないかわかりませんけれども、研修のほうの利用状況を見た上で考えてもいい。でなければまた別に考えなければいけない。ただ、ポートフォリオなりの、自分も、それから、第三者にも見せられる評価を卒業までに持たせるということは大事だなということですね。

○北村委員  まさにそれで、場合によってはあまり細かくなくてもいいのですが、様式1、2、3とか決めて、全国共通のバインダーの中に挟む中身、そういうのもコア・カリの中に参考例で入れていただいて、それをどんどん集めていく。そして、そのバインダーを全国の大学や研修病院が互換して評価できるシステムまででき上がったら機能すると思うのですが。

○福田副座長  実際、前回の協力者会議では、それを想定して研修までつながったらいいというのを想定して議論していました。

○荒川座長  また8番の今後の検討につきまして、それに入ってくると思いますので、その辺の盛り方も含めて少ししましょうか。ほかにございますか。

 では、7番、8番でまとめて少し、医学教育の充実に必要な指導体制の強化って、これは非常に大事なことなのですが、それから、将来の今後の検討につきまして、このモデル・コア・カリキュラムをさらに検討していこうということと、中教審にもやはり検討してもらわんといかんではないかということ、それから、文科省、厚生省、両方一緒になって頑張ってくださいということも書いてありますが、これについていかがでしょうか。どうぞ。

○吉田委員  7ページのほうなのですが、3のところに「卒前・卒後教育を一貫して、大学が地域の医療機関や関係地方自治体、医師会等と一体となって」と書いてあるのですが、ここに学会が入らないかなと思っているのですが、いかがでしょうか。

○荒川座長  学会。

○吉田委員  はい。学会がというのはどういう意味かといいますと、要するに学会はやっぱり専門教育が多いのですけれども、特に医学部の学生の教育にも、学生からすると自分の将来像、どこかの専門医、あるいはどこかの基礎医学の学会に入っていくわけですから、そういう人たち、そういうシステムの中で学生のころから育っていくというシステムがあると、卒前・卒後、一貫性があるものになるのではないかと思うんです。

○荒川座長  個々の大学、学会、関係できますかね。どうでしょうね、そのところ。どうぞ。

○樋口医学教育課長補佐  学会の取り組みに関しては、これもヒアリングの中で、たしか産科学会も小児科学会もそういった、将来そこに進もうかなという学部生を対象としたサマースクールみたいなものをやっている。そういう取り組みをしているということが紹介されて、その評価もその会で結構高かった。それは実は、この項目に入れる中身というよりは、むしろひょっとしたら、この基本的な臨床実習の充実、この3ページのところにある項目の中に、学外機関との連携とかというのがありますが、そこに学会との連携というのを入れていく手はあろうかと思っているのですが。

○荒川座長  どうぞ。

○福田副座長  最後のところで、今後の検討の課題の中で一番大事なのは、大学設置基準等の改正と、それから、前に出てきました3ページ、基本的診療能力の習得について、臨床実習の単位数を決めること、それから、そこの3ページの、先ほど詳しく触れられませんでしたけれども、方策の1に「客観的に能力・適性が評価された学生」というところにこの共用試験という意味が位置づけられると理解したのですけれども、そうなってきますと、その試験をかなり公なものとして位置づけることになってくるので、それは先ほど小川先生がおっしゃったように、今すぐなかなかスパッと、すぐ行こうというわけにはなかなかいかないと思います。この辺のところの位置づけをどういうふうにするかがかなり大きなポイントになりますので、その辺のところを基本的な方向性について、樋口さんでも課長でもお考えをお聞かせ下さい。

○樋口医学教育課長補佐  作成者といたしましては、おっしゃったようなストーリーなんです。つまり、臨床実習というものを将来的に明確にする。その臨床実習は、いわゆる患者とかかわるという特性があるから、それを明確にする。そのためには、その能力を客観的に評価された学生であるということを前提とする。それによって共用試験が、その客観的な評価のための指標であるということを明確にする。したがって、その最低ラインは何かというところを、そういうストーリーなんです。こういうことに関しましては、大学設置基準という省令ですが、改正を伴います。それは中央教育審議会での議論を要します。

 したがいまして、ここでは臨床実習の質の担保のためにはそういったことも必要で、それがひいては、いわゆる国家試験が臨床能力というものを適正に評価する試験となるための前提ともなるわけで、ここでうたった上で、それを実は多分、例えばこれ、共用試験というのは医学だけではなくて、歯学教育もやります。ある意味では薬学も6年生になって、薬学実務実習というものも存在しているわけです。ですから、そういったものとの関連で、医療系全体の議論の中でどうしていくかという整理をいっぱいしていかなければいけませんけれども、その発端としてここで規定していく。その検討が速やかになされるようにすることをここで担保しておくことになると思います。

○荒川座長  これは引き続き検討を具体的にしていくことと、中央教育審議会も出ていますが、これらも含めて、小川先生、どうですか、全体のまとめの最後のところは。どうなんでしょう。

○小川委員  ここまで言ってもいいのかどうかわかりませんが、大学設置基準の改正が必要となるものについてというのは、どの部分を指しているのかということがまず1つ、項目だけでも教えていただければ。

○荒川座長  どうぞ。

○樋口医学教育課長補佐  ここに提起しておりますのは、3ページにあります1が「大学設置基準の改正により」と書いてあります。臨床実習の明確化です。そこに先ほど福田先生がおっしゃったとおり、「客観的に能力・適性が評価された医学生が」、この部分がある意味では共用試験の位置づけの明確化につながりますので、関連としては先ほど申しました6ページの2というところとかかわる話ではあります。

○荒川座長  7ページの1も大事ではないでしょうか。

○樋口医学教育課長補佐  そうです。あとは7ページの1が大学設置基準に定める、140人という最低教員数の、ここがそこに該当するものだと認識しています。

○小川委員  それで、7ページに戻らせていただきますと、各論的なことで申しわけないのですが、まず、最低必要教員数の拡充といっても、もともとの必要教員数がものすごい少ないんですよね。ですから、ほとんどの大学がオーバーしていないんですかね。どうでしょう。うちなどはものすごいオーバーしていますけれども、必要教員数に比べて実質雇っている教員数のほうが圧倒的に多いです。

○福田副座長  オーバーしているわけですか。

○小川委員  オーバーしています。

○福田副座長  設置基準上よりもオーバーしているということですか。

○小川委員  だから、設置基準をアンダーすれば、それは大学としては存在し得ませんから、大抵ほとんどの大学はプラスアルファでいっぱいあれなのではないか。

○荒川座長  それを公的に認めてほしい、もっと増やせ。

○小川委員  もっと拡充してほしいということが1つと、2番目の周産期、救急医療というところに限るとまずいので、これは課題となっている診療科の環境整備。

○荒川座長  はい。わかりました。

○小川委員  それから、4番目の教育能力だけではなくて、臨床科においては診療能力がなければ教育はできませんので、「教育・診療能力」にしてもらいたいなということ。

○荒川座長  わかりました。

○小川委員  総論的に8番の全体を見ますと、1つは国家試験のことに関しては、少し文科省としては腰が引けているかなと。6ページの3、さっき樋口さんが言ったように、共用試験を学生が臨床実習に行くときの知識の最終確認という形で位置づけて、そして、こういう知識を持っている人は患者さんを診てもよろしいですよというのが共用試験で、そうしたら国家試験のときにまた4年生までの共用試験で問うような知識のものが出てくるからオーバーラップをして、5年生、6年生の臨床実習が自主性がなくなってくるというのが弊害ですから、それよりももう少し整理をされたらいいのかなというのがもう一つあります。

○荒川座長  6番の3については、いろいろな意見が出て、もう少しちゃんと書けという意見がございましたので、そこで書いて、なおかつこちらで。

○小川委員  はい。それからもう1点、大学設置基準、大変結構なのですが、最初の2ページに書いてある各大学の特色を生かした教育を展開するのがよろしいということを言っているわけで、あまり大学設置基準等で細かく、法律上の細かい縛りをうんとつくりますと、教育の国家統制に近いことになってしまって、どこまで大学の自由度が生かされる、担保していただけるのか。先ほど来ずっとこの議論の中でもあるように、大学が各大学全部同じ教育をする必要はないよと。やはり研究者をつくるような大学があったって構わないし、すぐれた臨床医をつくる大学があっても構わないわけで、そういう自由度をどの程度、どこで担保するかということをもう少し考えていただければなと思います。

○荒川座長  この検討会の基本的な姿勢は、それを踏まえた上で最低限が何かということを考えるということなんですね。

○小川委員  ええ、そうですね。

○荒川座長  ですから、その上で重要だなということを。

○福田副座長  今の小川先生のご意見はまことにごもっともで、要するに規制ばっかりでやってきた中でどんどんなくしてきたわけですね。ところが、よく見てみたら臨床実習に関して標準の臨床実習、最低限どのくらいかというのですらなかったんですね。ここは最低限を確保していただくというのが一番大事なポイントだと思います。

○荒川座長  そこがポイントだろうと。

○小川委員  はい。わかっています。それは重々わかって。

○荒川座長  では、辻本委員。

○辻本委員  7番目のところに入るかと思うのですけれども、指導体制の強化ということは、もちろん増員も必要という話にもなってきましょうし、補助職員の配置などということで、当然に予算、お金が必要な問題だと思うんですね。適切な評価というところには給料への反映ということだって必要になってくると思いますので、その予算確保ということをぜひこの委員会としては提言すべきではないかと私は思います。そのことが言ってみれば国民の現状理解ということを深めることにもつながっていくし、税金が投入されるということへの納得にもなると思いますので、その一文が足らないなという気がして拝見いたしました。

○荒川座長  拡充をする件数、予算の確保ということも入るということですね。今の評価につきまして、今、私、評価委員をやっていますが、各大学、非常に評価をやっています。個別の教員に対して業績の評価をかなりやっていまして、これはかなり進んでいると思いますので。

○辻本委員  お給料に反映されるという。

○荒川座長  もうしています。賞与その他全部、現在でもそこはかなり進んでおります。

○辻本委員  ああ、そうですか。はい。

○荒川座長  かなり拡大努力していると思います。

○辻本委員  でも、もっとお金が必要ですよね。

○荒川座長  お金はもちろん要るのですが、それはそのとおりです。おっしゃるとおり、お金は要ります。

 どうぞ。

○吉村委員  6ページの6番の学習成果を生かす多面的な評価システムの確立というところなのですが、せっかくこの四角の中に共用試験、医師国家試験が整合性を持って云々と書いてありまして、そして臨床実習をはじめとする成果を生かすシステムを評価するということですから、この2の臨床実習を行うこの客観的なところを1番に持ってきて、それから、3番目の国家試験を、臨床実習を評価したものにするということで2番目、3番目に1番の全学的なこの評価のシステム、それから、先ほど辻本先生がおっしゃったような患者さんの声をそれに反映させる。そして最後にこの4番ですか、関係する――まあ、これはこちらでもいいのですけれども、そういうふうにされたらどうかなと思ったのですけれども、いかがでしょうか。

○荒川座長  はい。では、それも検討しましょう。全体を通してかなり時間が足りないぐらい検討されましたが、もう一遍振り返ってみて全体としていろいろな意見がございますが、そこのところで何かございますか。どうぞ。

○吉田委員  各論でつけ加え損ねました。7ページの2のところで、「医療補助職員の配置などによって教員の過重負担を軽減する」となっているのですが、この医療補助職員がいれば過重負担が軽減されるかどうかというよりも、もう一つは医療補助職員と、もう一つ教育補助職員というのが必要ではないかと思っているのですが。

○荒川座長  具体的なイメージはどういうことですか。

○吉田委員  診療面だけの補助だけではなくて、教育で、例えば教材をつくったりとか、実習の準備をしたりとか、そういったところに補助される方がいないとなかなか難しいのかなと思っていますが。

○荒川座長  これは現実の問題として、例えばどんな、今、大学でもいるんでしょうか。どうぞ。

○平出委員  日本の大学では少ないと思いますね。ただ、エデュケーターという役割の方が欧米の大学ではおられて、学ぶ仕組みを仕掛けてくれる。だから、そこは非常に重要なところだと私も賛成です。

○荒川座長  助教と助手を分けましたね。あの助手のほうですか。あれは違うんですね。

 どうぞ。

○伴委員  いわゆる教育専任の人と、そういう意味ですね。ですから、必ずしも医師でもない、あるいはPh.D.でなくてもよい。このような人達は、教育に対する業務を先導する場合もありますし、サポートする場合もあります。

○荒川座長  はい。将来としてはぜひ入れたいということですね。

 では、3人の方、順番に行きましょう。飯沼先生から行きましょう。

○飯沼委員  言いたいことを小川先生が言ってくださったので構わないのですけれども、医師会の立場というよりも私個人的な意見をお出ししておきましたけれども、あまりこの学生を締めつけるといいますか、人間形成をどうするかということの柱は、これは決して忘れてはいけないことなので、あまり型にハマッたものの中ではめてしまうのは、大事ですけれども、そこをひとつ何とかよろしくお願いしたいと思います。

 それで、国家試験を2回やるような格好になっては困るわけでありますし、4年生で共用試験をやるということになると、またその前後のところが予備校化するようなことになると困りますので、そういうばかなことにならないようにひとつ皆さんでここはやっていただきたいと。私も協力いたしますけれども、そのようにお願いはしておきたいと思います。一番大事なことはやっぱり人間が人間を見るわけでございますので、人間形成を十分にやれる余裕もあげないといけないと思います。

 以上です。

○荒川座長  はい。では、石川先生。

○石川委員  各論で申しわけないですが、4ページ目の4の一番下の「医学・医療全体を俯瞰し」というこの後の「医学概論、医療政策」というのは極めて重要なのですが、これは地域医療のことだけにかかわらず、もう少し大きな範囲だと思いますので、先ほど福田先生がおっしゃったような医療の安全とか質の向上、あれに近いと考えると、この項目は3番の項目に入れられたほうがもしかしたらよろしいのかなと。

○荒川座長  全体を考えるとしてはね。はい。

 では、小川先生。

○小川委員  先ほど辻本委員が国民の立場から大変すばらしいことをおっしゃっていただいたので、7番のところ、要するに今の教員の給与体系が文学部も医学部も臨床も病院も同じになっているわけですね。結局、病院に勤めている教員は教育もやりながら、診療もやりながら研究もやらなければならない。文学部の先生方は教育と研究だけやっていればよろしい。診療までやっているのだけれども、医者としての給与体系になっていないというところがあれなので、ぜひそれを――まあ、なかなか入れるのは難しいかもしれませんが、どこかに辻本委員のご意見として国民からの声ということで入れていただきたいなと。

○辻本委員  すごい責任ですね。

○荒川座長  これは大きな問題、文科省すぐには「うん」とは言わないけれども、まあ、そういうふうに考える。

 どうぞ。

○平出委員  今の件なのですけれども、7ページの4です。先ほど小川委員から教育・診療能力ということが出ましたけれども、ここはやっぱり教育貢献が十分認められるようにすべきだと考えます。そのときに報酬面においても配慮していくとか、何かその方向性をここでうたったらどうかと思います。

○荒川座長  はい。むしろ、そのほうが適切かもしれませんね。

 では、先生から。

○福田副座長  飯沼先生がご指摘の点は、私どもが実際、共用試験を運用している立場からしますと、なるべく質の高い試験を運用し、学生に力をつけさせてあげたいと思っております。そのためにはCBTのあり方とか、OSCEのあり方を十分検討しておりますが、それが目的化すると学生はそういう方向に走りやすいんですね。そこはかなり注意しなくてはいけないと思っています。ですから、基本的には普通どおりに勉強していただけば、もう平均点80点いっていますから、もう少しレベルが高くなれば、今のレベルで、もう少し頑張ればいいというぐらいに考えておりますので、弊害には絶対なってはいけない。あの試験が目的化して、それだけでいいと思ったらとんでもない話なので、最小限だという理解で私たちはおりますので、先生方もぜひそう思っていただいてご協力いただけたらと思います。

○荒川座長  それはこのモデル・コア改正に関する連絡調整委員会をつくりまして、ちゃんとやろうと思っていましてですね。

 先生、どうぞ。

○伴委員  今まで医学教育学会長として医学教育全体の立場から発言していたのですけれども、総合診療を代表する立場から一言だけ入れていただきたいことがあります。3ページの2の黒丸4番目です。「多くの診療科や関係機関とのとの連携・協働が必要な」ということで救急、周産期というのが並んでおりますけれども、そこの中に「総合診療」という言葉も入れていただきたい。というのは、総合診療というのは地域とか、プライマリーケアとかの領域で必要なだけではなくて、大学の医療でも非常に重要な部門を占めていますので、救急と間違われやすいのですね。ですから、ぜひそこは入れていただきたい。

○荒川座長  はい。わかりました。それはぜひ。

 大分これまで議論しまして表現は違いますし、主張は違いましたけれども、多分、意図するところは皆さん大体共通認識ができたと思って、さすがに7回やっただけのことはあると思いますが、この辺のところでまとめさせていただきたいと思うのですが、最終の文章につきましては、きょうの意見を踏まえましてまた事務局と相談していきたいのですが、この原案を踏まえながら私に一任していただければと思いますが、もちろん先生方にもお回ししたいと思いますが、いかがでしょうか、よろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

○荒川座長  よろしいですか。それでは、そのようにしたいと思います。

 それでは、最後に戸谷審議官から一言お願いします。

○戸谷審議官  このたびこの検討会に係る意見の取りまとめをいただきまして、大変感謝申し上げます。先生方におかれましては、本年2月から本日までの極めて短い期間で都合7回ということで、本日も含めまして精力的にご議論いただきましてほんとうにありがとうございます。

 ここに示されました5つの改善の方向の中で、かなり具体的な方策ということもお示しいただいているわけでございまして、特に中心的な課題は今後モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整会ということで、また引き続きご検討をお願いするわけでございますけれども、それ以外の課題につきましても各大学でこの報告を受けてさらに検討していただきたいこと、あるいは厚生労働省に対しましても検討をお願いしたいこと、それからあと、何よりも私ども文部科学省自身も従来からいろいろお話のありました、特に7番目の指導体制の強化ということで、具体的にどこまで予算措置等ができるかということについて大変大きな宿題を負ったと思っております。

 実はこの指導体制の強化というところにつきましては、今、政府部内におきまして新経済対策が先週の金曜日に決定されておりますけれども、その中でも地域医療の再生というのは極めて大きな課題として取り上げられておりまして、その中の1つのアイテムの中に大学病院の機能強化というのも入っております。

 そういったことで、ここに書いてございます例えば医療補助職員が必ずしも今の診療報酬体系の中で、大学病院で認められていないといったようなことについても私ども認識をいたしておりまして、今回、どこまで具体的な手当てができるかどうかといったようなこと、あるいは国立病院についての施設設備、あるいは私立大学の病院についての施設整備について何らかの助成措置ができないかどうか等々、必ずしも十分ではないかもしれませんけれども、幾つか具体的な措置も今やっておりますし、またさらにはそういったことの実績も踏まえて、今後また22年度の概算要求でどこまで要求できるかといったようなことがありますので、今回、こういう具体的にお示ししていただきました以上、私どもとしてもできる限りのことはやってまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、これまでのご検討につきまして、いろいろご苦労いただきましてまことにありがとうございます。今後ともまた引き続きいろいろご意見を伺うこともあろうかと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございます。

○荒川座長  私からも、この2カ月間、ほんとうにありがとうございました。私も改めて勉強させてもらいました。きょうも大分変わるところがありますが、これも踏まえてひとつ立派なものをつくりたいと思いますし、また今後とも先がつながっておりますので、また先生方のご助言をいただきたいと思います。それから、本省よく頑張ってここまでやってきた。2月、いい時期にやってもらったと思っておりますので、引き続きよろしくお願いします。

 それでは、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

 

 

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