獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(第9回) 議事要旨

1.日時

平成22年5月11日(火曜日)14時~16時

2.出席者

委員

唐木座長、酒井座長代理、石黒委員、池田委員、伊藤委員、加地委員、片本委員、廉林委員、小崎委員、長澤委員、西原委員、政岡委員、矢ヶ崎委員、山崎(光)委員、山田委員、山根委員、吉川委員

文部科学省

西山環境省自然環境局総務課動物愛護管理室長

オブザーバー

加藤高等教育局審議官、澤川専門教育課長、茂里高等教育局視学官、枝専門教育課課長補佐

3.議事要旨

議事

(○:委員 ●:事務局)

(1)事務局から、オブザーバーの人事異動、事務局の人事異動、配布資料について説明の後、自由討論が行われた。主な発言は以下の通り。

○10ページの一番上の方の●のところに、学生の学修成果の厳格な評価に関し、共用試験を設ける等大学間での共通的な取組を検討するとここで1箇所だけ出てくる。しかし、評価システムの中で共用試験というのは非常に重要なものだと位置づけると、例えば、8ページの評価システムのところに、もう一つ○をつけて共用試験のことを入れたらどうか。関連して、3ページの上の方に(4)で○が一つあるが、その一番下の方に、医学、歯学、薬学のことが書いている。ここにモデル・コア・キュラムのことだけが書いてあるが、医学、歯学、薬学ではすでにモデル・コア・カリキュラムに基づいて共用試験を実施して、この共用試験を行うことによって実習段階での学生の医療行為の正当化を図っている。その辺の事情も含めて書いておいた方がいいのではないか。

○10ページ、4行目のモデル・コア・カリキュラムの策定を待たずとも、というところだが、共用試験を作る側からすると、共通的なカリキュラムで実習をしていなければ、なかなか共用試験の作成というのは困難が伴う。よってモデル・コア・カリキュラムを策定したことをもって、共用試験に持っていくというのが大事である。

○共用試験は、臨床実習の実施のあり方についての議論がスタート地点である。よって、学生の学修成果の厳格な評価を共用試験でやるというのは筋違い。 

○3点事務局の方に確認をさせていただきたい。1つ目は、設置基準については、変更するつもりはないのかどうか。2つ目は、具体的な数値が欠けていると感じることについて。例えば、モデル・コア・カリキュラムにしても、何割をモデル・コア・カリキュラムで保証するのかという議論が抜けている。最後に、学生定員についてはこれまでと変更ないという前提でいいのか。教育環境の確保と学生定員というのは非常に連携している。

●最初に設置基準について、まず質の面で見ていくことによって、獣医系大学がどうであるべきかという方向で我々としては政策、行政をやっていきたいと思っている。よって、モデル・コア・カリキュラムをつくって分野別評価を行っていく課程で、いろいろな課題が顕在化し、その中で設置基準の改正という課題も顕在化してくると思うが、先に設置基準ありきで話をするという形になると、大学教育の質の保証を求めてきているこれまでの流れと、必ずしもそぐわないのではないかなと思っている。

 次に、具体的な数値ということで、モデル・コア・カリキュラムについては、医学教育においては、モデル・コア・カリキュラムを7割弱の時間で履修させるといった具体的な数値が書かれている。そこはこれから委員の方のご議論によるかと思うが、その検討をモデル・コア・カリキュラム策定の具体的な場でやっていく方がいいのか、それともこのような大所高所をご議論いただく協力者会議でやっていただく方がいいのかということがあると思う。どのような形で具体的に書けるかは、これから先生方のご意見を踏まえて、必要とあれば具体的な方向性を指し示すということも充分あるのではと思っている。

 学生定員のところも同じと思っており、はじめに学生定員の話がありきということではなしに、あくまでも我が国の獣医学教育はどういう質を持っていくのかや、獣医療体制がどうあるべきかという、そもそも論からはじめて大学の体制ということを考えていくべきだと思っている。

○これからの議論の中で、設置基準や具体的な数値、それから学生定員についても進展する場合もあるし、あるいはそこはあまりタッチしないということもでてくるだろうという考えということか。

○ 今の分野別評価システムのところについて、今、国立大学法人は国立大学法人評価と認証評価を受けるということになっている中で、分野別評価はどのような位置付けになるのか。また、分野別評価の結果、基準に達しない又は、低い評価が出た場合には、どういう措置が取られるのか。大学としては、評価を受けるのであれば、きちっと結果が反映されるという方針を示さないと、これだけ評価疲れで大変な時に、また分野別評価を受けて、その結果が「改善したほうがいいんじゃないですか」というような指摘だと、少し大変だなと思う。

○認証評価もそうだし国立大学法人評価もそうだが、評価するからにはかなり改善すべしという強い意見を出さければ、結果があまり変わらない、長続きしないのではないかと思っている。分野別評価をきちっとモデル・コア・カリキュラムに沿って行っていくのだということであれば、モデル・コア・カリキュラムだけではなくて、いろんな観点からきちんと評価をして、基準に達しなければ教育はできないという程の重い評価にしたほうがいいのではないかと思う。

○アメリカの例にならえばアクレディテーションに通らない大学は、獣医師の受験資格が認められないし、ヨーロッパの例では、自国内でしか獣医師免許が通用しない、他のEU各国では通用しないというような、ペナルティーが一応ある。

○医学、歯学、獣医学などの特別な分野については、学士課程の構築についてあまり議論されてない。そのような中で、分野別評価がどう構築されるのかは、非常に心配をしている。先ほどの話で、分野別評価がどこまでの数値で評価基準がつくられてくるのかということと、その分野別評価のペナルティーやインセンティブをどう与えるのかということをまったく議論されずに、分野別評価という話になると、結局総論だけで終わってしまう。では各論をどこで議論するのか。この協力者会議で各論まで議論して、その結果が出たとすると、その分野別評価はこの協力者会議がどこかに第三者機関をつくって、そこで行うのかというところまで行かざるをえないのではないか。

○思ったより比較的わかりやすく書かれている。社会的ニーズや国際的ニーズなどに答えるための獣医学教育をどうするのか。その中で小委員会の報告がかなりの重きを置いている。しかし、小委員会の分析は、いわばモデル・コア・カリキュラムの原案をもとにしたような格好で16大学のシラバスを分析したものであり、その中で一番キーになってきているのは、モデル・コア・カリキュラムだと思う。問題点とそのための方策を指摘しながら、モデル・コア・カリキュラムとは何かということに触れずに提言を終えるというのは、不十分ではないか。モデル・コア・カリキュラムを各大学はどの位実行しなければいけないのか。また、それを実行するには設置基準とは言わないまでも、どの位の教育スタッフが必要になるのか、というある程度の基準というか目標値を出してもらう。できれば、そのロードマップができればそれに越したことはないが、せめて協力者会議では、モデル・コア・カリキュラムと、それに必要なソフト・ハードのある程度の目安は指摘した上で閉じないといけないと思う。

○同感。小委員会分析において色分けをさせていただいたが、そこから何を提言するかというところまで、本来は求められていたはず。しかし、実際一番大事なところをしないまま終わってしまった。小委員会分析の結果の、あの色分けから何を次世代に提言するかというところまで、小委員会にある程度任せていただきたかった。

○この委員会の実施期間は延長され、23年の3月31日までの1年間。まだ時間があるので、この間に充分に検討すべき。特にモデル・コア・カリキュラム、一般的には7割程度で、あと3割が特色ある教育ということで、各大学の設置している地域性や、これまでの歴史を踏まえて判断すべき。モデル・コア・カリキュラムについては必ずここには人が付く。

○「人が付く」というのをもう少し詳しく。

○教員数。

○そうすると、当然これは設置基準の話を避けては通れないと。

○ここに書かれている、例えばモデル・コア・カリキュラムを仮に策定したとしても、文章上では、専門性のある方を、外部から積極的に登用するというような形になっている。本来大学というのは、獣医学教育を担う教員を一定程度確保しなければならない。全体論としてモデル・コア・カリキュラムの実施や、それぞれの各大学の特色を出すということになれば、自ずと専任教員の数というものが出てくるのではないか。

○すでにモデル・コア・カリキュラムに関しては、獣医学教育者全体に対して意見を求めている状況にあり、モデル・コア・カリキュラムについてここで提言を出すべきであるというのも少し筋が違うのではないか。すでに各専門家が集まってモデル・コア・カリキュラムの原形をつくりあげているので、そこの中で意見を出していくべきと思う。

○せっかく立派なモデル・コア・カリキュラムができたとしても、念仏で終わってしまったら、意味がない。しっかりとモデル・コア・カリキュラムを立ち上げ、それに対する専任教員をきちっと貼りつける。「できる、できない」は別。すなわちそれを目標とした以上、それをクリアーするためにはどうしたらいいのか。具体的な検討にある程度入らないと、従来通りの念仏に終わってしまうのではないかと危惧を持っている。その為には、協力者会議の任期が1年延びたので、共同学部の設置や、将来はいわゆる大学間の連携まで踏み込んでしっかりと議論すべきではないか。

●事務局としては、平成16年以来の会議であり、その間いろんな形で情勢の変化があったので、それを踏まえ、本当に大きな今後の方向を指し示すような方向を出していただきたい

 ただ、協力者会議の進め方としては、例えば第一次報告をやって、その後第二次報告にするというような形や、全体を一括して取りまとめて報告をするというやり方もある。先生方にご相談しながら考えていきたい。

○まずこの総論は総論としてまとめる。モデル・コア・カリキュラムを具体的にどういうものをつくるのかというのは各論であるため、今検討しているモデル・コア・カリキュラムの案を早急につくっていただいて、必要であれば小委員会で検討していただき、また協力者会議においても検討するということで、モデル・コア・カリキュラムの内容についてもつめていく。そして、それを実施するのに必要な教員数はどうなるだろうかという検討も可能になると思う。そのような作業まで、この協力者会議でするかどうか。

○ぜひそこまで踏み込んでいただきたい。3ページ目の2.の平成16年以降の獣医系大学における自主的・自律的な改善の取組の検証のところに、「各大学において獣医学教育の充実のための自主的な改善・充実に向けた取組は一定程度なされており全体的には評価すべき」とあるが、私はむしろ評価できないのではないか、否定的な結果がでているではないかと思う。獣医学教育は大学間連携が十分進んでいるという現状ではない、臨床実習の主たる現場として十分な体制が整えられているとは言い難いなど、みな否定的な評価だった。これを考えた場合、これは評価できないのではないか。きちんとした提言を、時間をかけてでもやるべきではないか。

●先ほどの補足だが、質の保証というのは中教審の報告などでも書いているが、設置基準と設置認可と認証評価というその事前と事後が有機的に組み合わされることによって初めて一連の質保証だという捉え方をしているので、獣医学教育の将来がどうあるべきかということを考えていく上で、事前と事後というところで捉えていくべきだろうと思っている。ただ分野別評価の後どうなるのかということについてはまだ認証評価のように法律的にしっかりと固まっているわけでもなく、また認証評価は認証評価で法律的にそれでいいのかというような議論もあり、まだ見えていない中で議論していくのは非常に難しいということも承知している。しかし、モデル・コア・カリキュラムや設置基準の中身をどうするかということと、評価をどうするのかということが合わさって獣医学教育をどうしていくべきかということで、進めていかなければなかなか前に進まないのではないかと思っている。是非この分野別評価のことも視野にいれながら議論いただければと思っている。入口と出口ということを双方視野にいれながら、どうやって質を向上させていくかという形で議論賜れればと思っている。

○今の説明でよくわかった。分野別評価規準の基になるのは何かということになれば、今我々が検討しているモデル・コア・カリキュラムが、分野別評価基準の基になるだろうと。その基になったものを中心として、ハードとソフトをどうすべきなのかというところまで作り上げなければ、やはり分野別評価はなかなか難しいのではないかと思う。

○モデル・コア・カリキュラムは、今年3月に第一次案ができ、現在web上で一般公開されて、意見聴取がされている。その締め切りが5月の末になっており、微調整をして9月には最終版が出る予定。モデル・カリキュラムの細かい内容については、この委員会では特に意見を出す必要はないとは思うが、全体の枠組み、つまりモデル・コア・カリキュラムがどのような科目から構成されて作業が進んでいるかなどについてはもし必要があればこの委員会がその方向性に対して多少意見を述べるということも必要かとは思う。今年の秋にはできるため、あとは、それをどのように利用して事業評価や体制の評価をやるかなど、もう少し具体的な方向についてはこの委員会である程度の指針を出していった方がいいのではないかと思う。

○現在のモデル・コア・カリキュラムは、全国獣医系大学代表者会議で策定したものがその原型だと思っている。教える者が兼担か専任か、あるいは外部の人材なのかという問題はこの場で決めるべき。評価をするならば評価基準というのを明確にしなければ、それぞれの大学が勝手に行ってしまう。報告書の中で具体的なところに「各大学は」というのが全部頭にある。そうすると大学が勝手にやることになってしまう。よってこの協力者会議で明確に基準を作るべきだと思う。

○まずモデル・コア・カリキュラムだが、基本的なことばかりであり、現在委託調査で検討されているので、ここで改めて精査する必要は無いのではないか。最終的にモデル・コア・カリキュラムができて、例えば、専任で担当すべき、人数は100名ということになったとしても、大学としてはそれをどうやって扱ったらいいのか。100人、今の倍だから人数増やしましょうかと言っても、そうもいかない。充実させる方向というのはよく分かるが、実際問題として人員削減、予算削減されている中、なかなか難しいということで、そのままになってしまう。設置基準なりを整えない限り、ライセンス教育は出来ないなど義務的なものにしないと変わらないと思う。

○農学系学部長会議では72名が望ましいとけど当面は54名で、ということで意見が出たが、それでもまだ達していない。54名と言ってもそれも難しい大学はたくさんある。そのような大学をどうするのかというのは、ここでは、共同学部学科の設置等の大学間連携の促進によってモデル・コア・カリキュラムをきちんとできるような形にしてくださいという総論は、一応出ている。それが単独の大学でできない時には、共同学部学科を設置するということまで書いているが、そこから先は共同学部が一つの学部になるのかどうか、そういった問題に進んでいくと思う。

○臨床教育の充実ということで、家畜病院の充実についてもやはりある程度の数字を示さないと、具体的なことができないのではないか。こういった面はより具体的な数値で示していかなければ、改善には結びつかないと思う。

○この協力者会議として、10年あるいは20年先を見据え、獣医学教育をどこにもっていこうとするのか、そのためのゴールラインというか、ある程度の基準を、何人と限定しなくても、多少のずれが生じても構わないので、このラインはどうしても譲れないというところを含めて、ここでオーソライズをしておかないといけないと思う。今後必要だといって、この会を閉じ、次に誰がいつどのようにオーソライズしていくのか、それまで各大学が勝手にやってくださいというのは、協力者会議としては、十分とは言えないという気がする。どういうロードマップでそこに行くかということを立て、またそれを検証するところに第三者評価の意味があり、こう改善しなさいと促していくわけであるため、各大学はそれを目指して努力をして改善していくと、いうやり方であいいと思う。

○共同学部学科の設置の部分で、10ページと11ページに渡って、方法論が書いてある中で、大学内の施設や人的な部分も実践的な教育をしてもらうために活用するとか、あるいは外部の方の登用ということになると、果たして、10年先20年先の日本の獣医学教育の教員の確保という部分に関して、非常にリスキーである。それで本当に教育の保証ができるのか。

○連携といっても、獣医学分野での連携と言うのは、何百キロ超えたところの大学が連携をすることになる。言葉は美しいが、学生や教員の負担が目に見えている。次のステップも考えて、連携の次のデザインも考える必要がある。

○単科大学の場合、他に比べれば動きやすいとは思うが、それでも、獣医学教育を担当する教員を更に10名、20名増やそうとすると、かなりしんどい。総合大学等であればもっと大変であると思う。そうしなければならないという理由をきちんとつけてあげれば、大学としてはそうせざるを得ないというふうになるだろう。充実した方が日本のために良いと思うが、ある程度スケジュールも含めて具体的な内容を盛り込んでおかなければ、何も進まないということになるのではないか。

○教員も学生も大変になるだろうと思う。しかしながら、今、総合大学の中の一学部、それも一番小さな弱小学部であるため、これ以上教員の数を増やすことは不可能だろう。共同教育課程という形でやっていく方が、教育の発展のためには、現時点では最善の策ではないかと思う。

○評価のことだが、第三者評価、外部評価はOIEの提言している国際基準並みの評価と関連しているのか。

○すぐにOIEの評価とは関連してはいないが、OIEの評価を参考に、今後はそういうことになるかもしれない。

○過去から現在までの獣医学教育の充実について、十数年垣間見てきたが、非常にきれいな部分だけで議論されてきたと感じる。つまり、こういう教育が望ましいという勧告や、モデル・カリキュラムの検討など。ドロドロした部分が全然触れられていない。それはつまり、人・物・金に踏み込んだ所をきちっと議論してない限り、恐らくまた同じ繰り返しになるだろうという危惧をしている。逆に人・物・金の話になってくると、今の16大学全て獣医学教育から撤退するかという話にもなりかねない。でもそこの部分はどうしても触れておかなければ、今までの議論と全く同じ議論の繰り返しになるのではないかと危惧している。

○私もこの獣医学教育の関連にもう30年近く携わっているので、裏の裏まで全部分かっているが、獣医学の外の方はほとんど分かっていない。これが今までの大変困った所で、今回は順番を追って丁寧に、丁寧にそこをやっていこうと、急がば回れで、少し遅すぎるなということを感じながらも、こういう道筋を通らざるを得なかった、そこの所はお分かりになっていただけると思う。そのドロドロとした生々しい所に、解決するためにこういうことを言っておかなければならないということを、今回是非ここに盛り込みたいというのがこの協力者会議の一番の使命だろうと思う。

○4.の改善の具体的方策に6つ書いてあるが、これで十分なのか、あるいはその内容がどうなのか、足りない所が無いのか、ご意見をいただきたいが、その上で総論的な解決法がここで固まれば、各論としてこのモデル・コア・カリキュラムを使って具体的にどういう基準を作るのか、その次のステップに行くのかという感じがする。この協力者会議で、1年間延びたわけなので、後の方もできればいいなという感じはする。

 一番の問題はモデル・コア・カリキュラムをこの中に入れるかどうかという問題、それからモデル・コア・カリキュラムの検討をここでやるのかどうかという問題だが、モデル・コア・カリキュラムの検討は、委託調査の中で別の委員会でやっているので、それを元にし、さらに獣医学教育の充実にそれを具体的にどう反映させるのか、ということについてこの協力者会議で検討したい。総論については、これで一応、まとめたいと思う。

○確認をさせていただきたいが、この取りまとめはどのように使われるのか。その使われ方によって、この中にどういうものを盛り込むかという議論もまた別にあると思う。

●この会議のそもそもの設置の趣旨、資料1でこの会議の性格を書いているが、依頼に応じてお集まりいただき、意見、結論を出したというふうな形になっているので、一義的にはその主体は高等教育局長になる。ただ、制度の改正を伴うような、獣医学教育にとどまらないような大きな横断的な事項とか、そういうものについては、中教審で全体の議論が必要。中身に応じて、中教審等の審議の場で、その他の教育との整合性や、全体的な制度の観点からご検討いただくという形。行政の我々がそれをしっかり承って、実施に向けて最大限努力していくということになると思う。

○そうするとやはり行政側に対して獣医学教育とか、あるいは獣医学の中で仕事している人達の総意的なものを出すという格好になるということ。そうした時に、一つ欠けていると感じるのが、10年20年先を見越した展望。将来的にはこういうビジョンで獣医学教育を行っていくというものが無いと、場当たり的なものになってしまう。

○例えばOIEがこういう勧告を出すとか、パブリックヘルスの重要性に対する人々の理解というのがかなり大きなものになってきており、追い風の時期だと思う。中長期的に見て、獣医師がパブリックヘルスの中でどういう役割を持っていくのかという、OIEはまさに公衆衛生の部分を強調していると思う。そういう切り口というのも、まだ残っているような気がしており、1年間あるので、その辺も踏まえた中長期的な議論を、再編とか具体性は別として、将来的に獣医がどういう仕事を国民のためにしていくのか、あるいは世界のためにしていくのかという議論をもう少し深めて、その中で何らかの方策というものが導けてくるといいのではないか。

○総論と各論を、別々に議論するのもおかしいと思う。平成16年の報告を見ても、ほとんど具体的な成果は上げられなかったということを考えると、やはり一本化してこれは議論すべきであるし、やはりそのためにはモデル・コア・カリキュラムをしっかりと立ち上げ、それに対する専任教員を貼り付けるということや、それが無理ならばモデル・コア・カリキュラムを達成するためには、具体的な次のステップとしてはどうしたらいいか。それが共同学部であり、再編であり、大学間の連携であり、いろんな具体的な案があると思う。1年延びたことを利用して、しっかりと議論すべきではないか。

○その際、共同学部から再編に進んでいって、最後は一つの大学、獣医学部を作るという道筋は我々みんな頭の中に描いているが、それは先ほども申し上げたように、外の方がなるほどと納得するようなことを書いていかなくてはいけない。根拠を示さなくてはいけない。そこが難しい所で、どうしたらいいかということ。

○この中で学生の質保証のところでは、厳格な成績評価と書いているが、その方法論はまだ何もここでは検討していない。この場では共用試験のあり方についても全く検討していない。総論の中の大きなフレームさえも議論していないのに、総論が先行し過ぎるのではないか。もう少し各論、大きなフレーム、例えばモデル・コア・カリキュラム、学生の質保証、この中での成績評価をどうするのか、というのも大きなフレームになってくる。あとは大学と学協会と獣医師会の役割というものが書いてあるが、どのような形での役割分担をするのかということも検討すべき課題ではないかと思う。

                                     以上

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