資料5 獣医学教育研究体制の在り方に関する論点(案)

1.現状と課題 

○大学設置基準上、大学は教育上主要と認める授業科目については専任教員に担当させることとし、学部の種類応じ必要な専任教員を置くこととされている。獣医学に関する学科について必要な専任教員数は、1学科で学部を組織する場合、収容定員600名につき28名以上、2以上の学科で学部を組織する場合、収容定員480名につき16名以上とされている。

 現在、大学における平均専任教員数は38.7名であり、そのうち国立大学の平均専任教員数は31.1名、公私立大学の平均専任教員数は51.5名となっている。また、専任教員の内訳は教授が平均15.8名、准教授が平均12.8名、講師が平均4.3名、助教が平均5.9名となっている。

なお、兼任教員数の国公私立大学の平均は29.9名となっている。

○これまで、各大学の自助努力によって、専任教員数の増加など教育研究体制の充実が図られてきたところであるが、未だ、専門でない科目の授業を担当せざるを得ない状況が見れることや、教育・研究補助職員が十分に配置されていないこと、また、欧米諸国の獣医学系大学と比べても専門性を備えた教員や職員の配置が不十分であるとの指摘がある。

○また、獣医学に関する学部又は学科を置く場合には、教育研究に必要な施設として、家畜病院の設置が必要とされており、家畜病院は、臨床に関する教育研究機能のほか、卒業後の臨床研修や高度二次医療機関としての機能を担っている。

 各大学の附属家畜病院の状況は、教職員数(9名~49名)、臨床研修受入れ人数(年間0名~530名)、患畜数(2,318頭~19,384頭)ともに、大学ごとに大きな差がある。

○附属家畜病院は、獣医師の臨床技術の向上が求められる中で、とりわけ、学生の臨床実習や卒業後の臨床研修機関としての機能を向上させることが求められる。

○さらに、限られた教育資源の中で教育研究体制の充実を図るためには、学外の研究機関・関連団体との連携を進める必要があるとともに、獣医系大学全体として社会ニーズに対応していくために大学間の連携を一層強化する必要があるとの指摘がある。

2.論点例 

獣医学教育に対する社会ニーズへの対応や国際通用性を確保するためには、教育内容を充実させるとともに、専門性を備えた一定数の教員を確保することが求められる。

<検討の視点例>

  • 獣医学教育における主要授業科目については、専門性を備えた専任教員が担当する必要があるが、獣医学教育における主要授業科目の考え方、主要授業科目に対する教員配置の在り方をどのように考えるか。
  • 臨床分野では、専門分野の細分化や臨床実習の充実への対応が求められる中で、助手や補助職員を含めた教員等の配置の在り方についてどのように考えるか。
  • 獣医学教育の水準を確保するためには、一定水準の知識・技能を有する教員の養成及び確保が必須となるが、このような課題に対応するためには教員養成の仕組みや教員採用の在り方についてどのような改善が必要か。

また、特に公衆衛生分野など行政活動分野の知見を有する教員を確保するためにはどのような取組が必要か。

附属家畜病院は、獣医師の臨床技術の向上が求められる中で、とりわけ、 学生の臨床実習や卒業後の臨床研修機関としての機能を向上させることが求められる。

<検討の視点例>

  • 附属家畜病院における総合臨床実習については、実習単位数がわずかしかない場合や、見学に終始し効果的な実習が行われていないなどの指摘がある。
  • 臨床技術の向上の観点から、附属家畜病院を活用した総合臨床実習の在り方についてどのような改善が考えられるか。特に、附属家畜病院における必要な実習期間や実習内容・方法の在り方についてどう考えるか。
  • 欧米諸国と比べて我が国の附属家畜病院では、専任の獣医師や補助職員が少ないため、臨床系の教員の負担が大きくなっているとの指摘がある。附属家畜病院における職員の配置の在り方についてどのような改善が考えられるか。
  • 附属家畜病院における卒業後の臨床研修は、受入れる大学によって研修の期間や内容、処遇等に大きな差異がある。附属家畜病院における卒業後の臨床研修機能の充実を図る観点から、例えば、各大学が研修を受ける獣医師や社会のニーズに対応した体系化された研修プログラムを策定することなどが考えられるが、卒業後の臨床研修についてどのような改善が考えられるか。

さらに、限られた教育資源の中で教育研究体制の充実を図るためには、学外の研究機関・関連団体との連携を進める必要があるとともに、獣医系大学全体として社会ニーズに対応していくために大学間の連携を一層強化する必要があるとの指摘がある。

<検討の視点例>

  • 畜産学や水産学、医学といった獣医学に関連する学部の教員や附属施設など、学内における教育資源について、どのような活用の在り方が考えられるか。
  • 教育研究体制の充実のためには、各大学が比較優位性を持つ施設設備等を他大学に積極的に提供し、有効活用を図るなど、大学間で共同利用する取組を進めていくことが有効であると考えられるがどうか。また、その場合どのような工夫が考えられるか。
  • 各大学の特徴を生かしつつ、国際通用性のある質の高い教育を実現するためには、複数の大学がそれぞれ優位な教育資源を結集して教育を実施する教育課程の共同実施制度の活用が有効であると考えられるがどうか。また、その場合留意すべき点はどのようなものか。
  • 自治体、研究機関、農業共済、民間の診療施設について、それぞれどのような連携の在り方が考えられるか。

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