歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(第12回) 議事要旨

1.日時

平成24年7月17日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省17階 17F1会議室

3.議題

  1. フォローアップ調査の実施
  2. 自由討議
  3. 今後のスケジュール

4.出席者

委員

江藤座長、井出委員、川添委員、丹沢委員、中原委員、西原委員、福田委員、前田委員、俣木委員、松本委員、南委員、宮村委員

文部科学省

村田医学教育課長、渡辺企画官、岩瀬課長補佐、小野課長補佐、菊池医学教育係長、ほか関係官

オブザーバー

厚生労働省医政局 上條歯科保健課長

5.議事要旨

(1)フォローアップ調査の実施

(座長)資料4のフォローアップ小委員会の設置について、内容について御意見等はいかがか。お認めいただいたということでよいか。

(委員了)

(座長)では、資料4に基づき、前回のフォローアップ小委員会からの継続性も考えて、小委員会の主査は前回に引き続き前田委員にお願いしたい。それ以外の委員については、座長、前田委員と文部科学省と相談の上、決定し、各委員に御報告させていただきたいがよいか。

(委員了)

(委員)資料5の2.調査対象学部のヒアリングの調査対象学部について、募集人員の超過率は115%とあるが、根拠は何か。ヒアリング対象学部は、前回のフォローアップ時と同様の基準か。

(事務局)平成23年度とは違う基準である。115%については、仮の数字で置いているだけなので、本会議で適切な基準を御検討いただきたい。事務局より、仮置きの数値(案)という形で作成させていただいている。調査対象学部の基準としては、募集人員超過率について110%がよいか115%がよいかなど各委員の御意見を頂きたい。

(座長)募集人員については、一種の申合せで法的な拘束力はない。常識の範囲で、募集人員ちょうどに入学者数を調整したかったが、各大学いろいろな事情もあり、超過したということは想定される。そういった常識の範囲と意図的に超過させたかどうかの線引きのラインが115%になるかと思う。善意の調整など申合せを守っている大学もあるため、やむを得ずという大学は仕方がないが、今までの定員割れをしていたことを前提に今年度募集人員を超過して入学させたところもあると聞いている。ひとまず115%は案として提出させていただいた。

(委員)私立の17大学については、私立歯科大学協会で昭和61年から入学定員の削減率を20%としているが、それ以上の削減は、各大学での判断でやることとなった。ただし、25年間、削減率20%は守っていただきたいと申し上げている。なので、協会としては、20%をラインとしたいところである。超えていない大学については問題ないということではないが、当協会の申合せに抵触しないことになる。

(委員)入学定員(募集人員)充足率の分布図を見ると、かなり離れている。115%だと、分布として目立つ、乖離(かいり)しているからという根拠で成り立つように思える。

(委員)募集人員超過20%ぐらいの方がよいのではないか。充足率が147.5%と超過している大学もあるが、118.8%の大学も、理由があると思うので、理由は聞いておいた方が良いと思う。よって、ここの調査対象学部は20%前後という落としどころはどうか。

(委員)フォローアップの継続性を考えると、前回のフォローアップと基準は変えない方がよいのではないか。前回のフォローアップでは、●が一つでもあると、ヒアリングだったと思うが、入学定員(募集人員)の超過率に関係なく、●がついていればやっていた方がよいのでは。2年連続過不足いずれかがあるとヒアリングにお呼びするということではいかがか。

(事務局)時間的、物理的制約の中で、対象となる大学を選ぶのは、どうしたらよいのかという点である。数名超過しているところまでをヒアリングするかどうかという点などを御検討いただきたい。もちろん我々としても1名でも超過していることを良いとしているわけではない。

(委員)歯科医師会としては、定員や数を減らすようにと言ってきたが、最近それどころではない現象が出てきている。つまり、もう需給問題は数の問題から質の確保に変換したと思っている。充足率が過剰に超過している大学は従前の例とは違うから、ここは、どういう理由なのかフォローアップで聞いていただきたい。

(座長)ここは弾力的に運用するということでいかがか。私立歯科大学協会内での紳士協定があり、その上で話合いがあったと聞いている。行政としてはその確認も必要である。紳士協定を遵守しているとの前提でのフォローアップも必要である。よって、平成24年度入学者数の募集人員超過率が115%以上の歯学部という文言は削除で、小委員会の中で、より具体的な案を決めるということでよいか。

(委員)私立歯科大学協会にとっても予想しない入学者の乱高下が生じた。充足が超過している大学だけでなく、未充足の大学も問題である。私立大学の3分の2はどちらかに該当する。簡単な解決方法はないので、そういった状況の中でフォローアップ調査をされると、大学は対応しにくいだろう。ただ継続的なフォローアップは必要だと思う。

(委員)募集人員は自己申告性でやっているのだと思う。50%削減している大学もある。ヒアリングで明らかにしていき、状況を見極める必要がある。フォローアップの進め方だと思うが、充足率等の数より、バックグラウンドが何であり、改善策をどう見つけるのかが重要である。

(委員)募集人員と入学定員はできるだけ一致させたいとどの大学も考えていると思うが、今の私立大学の入試状況では読めない。次年度の募集人員がつかみかねるということも御理解いただきたい。

(委員)事務局に対しての意見なのだが、国立大学のグローバル化ということで、学部留学生を入学させていただくように文科省からも依頼があるが、内数なのか、外数なのか、国費留学生は内数か外数か、統一の見解を出していただきたい。

(事務局)学部留学生、大学院留学生ともに内数としてカウントしている。

(委員)資料3のD.競争倍率が一番問題だと思う。選抜をして、ある程度の学力確保ができているかどうか不安である。

(委員)選考は単純ではなく、辞退者がどれだけ生じるか歩留まりを読むのが非常に難しい。医学部の定員が平成20年以降約1,300人増えた影響もあり、医学部に進むために辞退する志願者も多数出る。また、「合格者数」と言っても細かい定義によって変わるため、他大学との競争倍率の比較は簡単では無いと思われる。

(座長)競争倍率が低いのは良いとは言えないが、志願者、受験者、合格者、入学者の数については適切に調査をしており、最終的には本会議の目的は、歯学教育の質の向上・保証なので、そういった方向に集約するよう、情報をまとめていく必要があり、入学者だけでなく、国家試験でも質の保証を行う必要があるから、両方を利用して、フォローアップとしては進めていただきたい。

(委員)実地調査をしてみたところ、留年したのに、入学して良かったという学生もいて、一概には言えない。どうやって成績の良い学生を入学させるかも重要だが、入学時の成績がどうかというより、どうやって同じ質の学生を卒業させていくかが各大学の使命ではないかと思う。

(座長)フォローアップについては、皆様から頂いた御意見をとりまとめ、座長一任させていただき、修正後、委員の皆様に御報告させていただきたいが、よいか。

(委員了)

(座長)フォローアップの具体的の内容については、フォローアップ小委員会で御議論いただき、調査を行うということでよいか。

(委員了)

(2)自由討議

(座長)診療参加型臨床実習の充実については、フォローアップを再度行い、前回からの改善状況をチェックする。3番目の国際的な質保証の要請への対応については、フォローアップ調査を恒常的な制度とするものであり、国際的な質保証と連動するものである。また、共用試験を制度化すべきとの意見もある。本協力者会議では診療参加型臨床実習の充実が第1の関門である。御自由に御意見をお願いしたい。

(委員)資料2についてだが、14ページに「がんの口腔ケア」とあるが、医師と歯科医師免許の資格の問題もあり、「がん患者への口腔ケア」に修正いただきたい。また、最近話題となっている歯科スポーツ学も追加いただきたい。

(座長)歯科スポーツ学は、スポーツ基本法制定に伴い、社会的にも認められたものなので、追加いただきたいと思う。また、がん患者への口腔ケアについても、文言の修正をお願いしたい。

(委員)2番目の多様な歯科医療ニーズに対応した人材養成については、国にお願いしたいことがある。歯科法医学については、医師免許、歯科医師免許の資格の問題により、歯科医師は死亡診断書、死体検案書が発行できないという問題がある。例えば、大学院教育で医科との連携コースを履修するなどすれば、死体検案書が書けるように制度改正してほしい。また、厚生労働省のチーム医療の会議では、専門看護師や歯科衛生士のワーキンググループが立ち上がっている。専門看護師や救命救急士が緊急時、投薬ができるようになったと聞いている。例えば大規模災害が起きたときに、麻酔専門の歯科医師もいるので、歯科医師の立ち位置が何なのかをしっかりやるべきである。がん患者への口腔ケアも同様である。これも同じ理由であり、がんそのものには歯科医師は手が出せない。研究者の分野でも同じ。医科で足りない基礎研究医は歯科医師でも補充は可能である。それぞれの研究分野に特徴があり、生かされる分野がある。そういった分野で、魅力的な歯科医師を養成することが大事だと思う。

(座長)本件の問題については、反対意見の多くは医師側である。医師側もむやみに反論しているわけではなく、これは医師・歯科医師の領域の問題であり、本会議上で議論できる問題ではない。特に耳鼻科と歯科は喫緊の問題である。歯科だけの自己都合ではなく、医師・歯科医師・看護師の調整が問題で、どういった議論の場が必要かを検討して、その場で、御議論いただく必要がある。

(委員)超高齢社会の中で、多様な歯科医師が求められている。歯科医師は、基礎、臨床いずれの分野においても、日本の社会で様々な活躍をしていただきたい職業である。これは国民の期待も非常に高いが、現在の入試状況は非常によくない。諸外国では、フランスのバカロレアなど、試験で学部別に入学の最低限のレベルを求めている。また、将来的に歯科医師が魅力ある職業として活躍するためには、歯科医師数の需給問題は非常に難しい。医師需給問題について、厚生科学研究班の報告はどのような役割及び配置にするかを検討しないと需給の検討ができないというものだった。歯科医師も同様だと思う。多様な活躍をしていただくためには、どのような役割の歯科医師をどのように配置するのかが大事。国民はそういった歯科医師を期待しているので、視野の広い調査研究・議論を行っていただきたい。

(委員)公認会計士の立場から、認証評価の観点で、学校の経営に携わっている。医科大学の監査、会社、病院の経営を拝見すると、正直申し上げて、産業として、歯科分野は構造不況業種となっている。いろんなアプローチがあって、法科大学院は最初から過剰と言われていたこともあり、やはりという結果になり縮小の方向とならざるを得なくなった。もしかすると、歯科も縮小の方向とならざるを得なくなるかもしれない。公認会計士の業界も資格がとれても就職ができないという厳しい現状であり、現在は専門職にとって非常に厳しい状況である。先行きの希望が見えるような歯科医師を養成するにはどういうアプローチをするべきか。非常に厳しい選択をしないと将来が開けなくなるかもしれない。

(座長)構造不況業種はうまい言い方だなと。そういった話は歯科に限らずあるが、歯学も重く受け止める必要がある。学校教育法第15条1項に基づいて、設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反していると認めるときは、当該学校に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができるとあり、また、2項には、その勧告によって改善されない場合は、その変更を命ずることができるとある。3項には、変更命令によって、なお勧告事項が改善されない場合には、勧告事項に係る組織の廃止を命ずることができるとある。2020年の18歳人口減に際して、高等教育の質の保証をどうするかを歯学も考えてないといけない。

(3)今後のスケジュール

(座長)資料8の日程については、フォローアップ小委員会の日程により変更になる可能性もあると思うがよいか。日程はお認めいただいたということでよいか。

(委員了)

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高等教育局医学教育課

医学教育係
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