歯学教育モデル・コア・カリキュラム運用解釈(改訂用案)

2007年6月

(社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構)
(歯学系CBT実施小委員会)


○歯科医師として求められる基本的な資質

A 医の原則

A-1 患者の尊厳

一般目標:

 患者の権利を熟知し、その現状と問題点を理解する。

到達目標:

  • 1患者の権利を説明できる。
  • 2患者の自己決定権を説明できる。
  • 3患者が自己決定ができない場合の対応を説明できる。(誤字等修正)

A-2 医の倫理

一般目標:

 医療、歯科医療および医学・歯学研究における倫理の重要性を理解する。

到達目標:

  • 1医の倫理と生命倫理の歴史経過と諸問題を概説できる。
  • 2医の倫理に関する規範・国際規範(ヒポクラテスの誓い、ジュネーブ宣言、ヘルシンキ宣言)を概説できる。
  • 3生と死に関わる倫理的問題を説明できる。

A-3 歯科医師の責務

一般目標:

 歯科医師の義務と責任に関する基本的な知識、態度および考え方を身につける。

到達目標:

  • 1患者との信頼関係を築くことができる。
  • 2個人的、社会的背景等が異なる患者に、わけへだてなく対応できる。
  • 3患者の価値観が多様であることを認識し、柔軟に対応できる。
  • 4患者に最も適した医療を説明できる。
  • 5歯科医師の法的義務を列挙できる。

A-4 インフォームドコンセント

一般目標:

 患者本位の医療を実践するため、適切な説明を行った上で、患者の主体的な同意を得るために必要な対話能力と態度および考え方を身につける。

到達目標:

  • 1インフォームドコンセントの定義と重要性を説明できる。
  • 2必要な情報を整理し、わかりやすい口頭説明と文書を準備できる。
  • 3説明を行うために適切な時期・場所・機会に配慮できる。
  • 4説明を受ける患者の心理状態や理解度に配慮できる。
  • 5患者からの質問に適切に応え、その様々な反応に柔軟に対応できる。

A-5 歯科医療における安全性への配慮と危機管理

A-5-1)安全性の確保

一般目標:

  医療上の事故等(インシデント(ヒヤリハット)、医療過誤等を含む)は日常的に起こる可能性があることを認識し、事故を防止し、患者の安全確保を最優先することにより信頼される医療を提供しなければならないことを理解する。

到達目標:
  • 1歯科医療における事故の特異性を説明できる。
  • 2実際の医療には、他職種が多段階の医療業務内容に関与していることを具体的に説明できる。
  • 3医療上の事故等を防止するには、個人の注意力はもとより組織的なリスク管理が重要であることを説明できる。
  • 4医療現場における報告・連絡・相談と記録の重要性や、診療録改鼠の違法性について説明できる。
  • 5医療の安全性に関する情報(薬害や医療過誤の事例、やってはいけないこと、模範事例等)を共有し、再発防止に役立てるための分析の重要性を説明できる。
  • 6医療機関における安全管理体制(事故報告書、インシデント・リポート、リスク管理者、事故防止委員会、事故調査委員会等)を概説できる。
  • 7医療の安全確保のための、職種・段階に応じた能力の向上をはかることができる。(新設)

A-5-2)医療上の事故等への対処と予防

一般目標:

 実際に医療上の事故等(インシデント(ヒヤリハット)、医療過誤等を含む)が発生した場合の対処の仕方を身につける。

到達目標:
  • 1インシデント(ヒヤリハット)と医療過誤の違いを説明できる。
  • 2医療上の事故等(インシデント(ヒヤリハット)、医療過誤等を含む)の事例の原因を分析し、防止対策を説明できる。
  • 3医療上の事故等(インシデント(ヒヤリハット)、医療過誤等を含む)が発生した時の緊急処置や記録、報告について説明できる。
  • 4医療過誤に関連して歯科医師に科せられた社会的責任と罰則規定(行政処分、民事責任、刑事責任、司法解剖)の基本的事項を説明できる。
  • 5基本的予防策(ダブルチェック、チェックリスト法、薬品名称の改善、フェイルセーフ・フールプルーフの考え方など)について概説できる。(新設)

A-5-3)医療従事者の健康と安全

一般目標:

 医療従事者が遭遇する危険性(感染を含む)について、基本的な予防・対処方法を学ぶ。(新設)

到達目標:
  • 1医療従事者の健康管理の重要性を説明できる。(新設)
  • 2標準予防策(Standard Precautions)の必要性を説明できる。(新設)
  • 3患者隔離の必要な場合について説明できる。(新設)
  • 4針刺し事故等に遭遇した際の対処の仕方を説明できる。(新設)

B 歯科医師としての基本的な態度

B-1 生涯学習

一般目標:

 歯科医師として生涯にわたり学習するための態度と技能を身につける。

B-1-1)問題発見・解決能力
一般目標:

 自ら問題点を探し出し、自己学習によってそれを解決するための能力を培う。

到達目標:
  • 1情報を自ら収集、分析して問題点を探し出すことができる。
  • 2問題点を論理的に整理し、解決方法を自ら見出すことができる。
  • 3必要に応じて他の学習者や教員と協力して、最適な解決方法を見出すことができる。
B-1-2)学習の在り方
一般目標:

  歯科医学・医療に関連する情報を重要性と必要性にしたがって客観的・批判的に統合整理する基本的能力(知識、技能、態度・行動)を身につける。

到達目標:
  • 1講義、国内外の教科書・論文、検索情報などの内容について、重要事項や問題点を抽出して文書または口頭でわかりやすく説明できる。
  • 2得られた情報を統合し、客観的・批判的に整理して自分の考えをわかりやすく表現できる。
  • 3実験、実習の成果を文章または図表に表わすことができ、また、文書と口頭で発表できる。
  • 4後輩たちへの適切な指導が実践できる。(新設)
  • 5各自の興味に応じて選択制カリキュラム(医学研究・歯科医学研究等)に参加する。(新設)
  • 4歯科治療に関する科学的根拠を説明できる。
B-1-3)生涯学習への準備(新設)
一般目標:

  学問や科学技術の進歩と社会の変化に対応した生涯学習者としての能力(知識、技能、態度・行動)を身につける。

到達目標:
  • 1生涯学習の重要性を説明できる。
  • 2生涯にわたる継続的学習に必要な情報を収集できる。
B-1-4)医療の評価・検証と科学的研究(新設)
一般目標:

  医療の改善のために不断の評価・検証と倫理的および患者の利益と安全に配慮した科学的研究が必要であることを学ぶ。

到達目標:
  • 1科学的根拠に基づいた医療の評価と検証の必要性を説明できる。
  • 2患者による医療の評価の重要性を説明できる。
  • 3研究は医学・医療の発展や患者の利益の増進のために行われるべきことを説明できる。
  • 4医療改善のための科学的研究(臨床研究、疫学研究、生命科学研究等)に参加する。

B-2 対人関係能力

B-2-1)コミュニケーション

一般目標:

 信頼関係を確立するために、コミュニケーションの重要性を理解し、その能力を身につける。

到達目標:
  • 1コミュニケーションの目的と技法を説明できる。
    【患者本人、保護者および介護者への説明を含む。】
  • 2信頼関係を確立するためのコミュニケーションの条件を説明できる。

B-2-2)医療面接

一般目標:

 良好な患者−歯科医師関係を築くために必要な医療面接の基本的な態度、知識および技能を身につける。

到達目標:
  • 1医療面接の役割を説明できる。
  • 2主訴をよく聞き取るとともに、患者の病気に対する考えや治療に対する希望を把握できる。
  • 3患者の身体的・精神的・社会的苦痛に配慮し、問題点を抽出、整理できる。
  • 4患者の不安、不満や表情・行動の変化に適切に対応できる。
  • 5患者に診断結果と治療方針を適切に説明できる。
  • 6必要に応じて、他の医療機関への適切な紹介を行うための手続きを説明できる。
  • 7患者のプライバシーに配慮できる。(新設)
  • 8患者情報の守秘義務と患者等への情報提供の重要性を理解し、適切な取扱ができる。(新設)

B-2-3)チーム歯科医療

一般目標:

 歯科医療におけるチームワークの重要性を理解し、他の医療従事者との連携を学ぶ。

到達目標:
  • 1医療チームのメンバーの役割と連携を説明できる。
  • 2保健・医療・福祉の連携を理解し、歯科医師の役割を説明できる。

C 社会と歯学

C-1 健康の概念

一般目標:

 健康と疾病の概念を理解する。

到達目標:

  • 1健康の概念を説明できる。
  • 2口腔と全身の健康との関連を説明できる。
  • 3疾病の概念、種類および予防を概説できる。

C-2 健康と社会、環境

C-2-1)歯科医師法・関係法規

一般目標:

 歯科医師法および関連法規の基本的な考え方を理解する。

到達目標:
  • 1歯科医師法を概説できる。
  • 2医療法を概説できる。
  • 3歯科衛生士法と歯科技工士法を概説できる。
  • 4医師法、薬剤師法および保健師助産師看護師法を概説できる。

C-2-2)保健・医療・福祉制度

一般目標:

 保健、医療、福祉に関連する社会制度、地域医療および社会環境を理解する。

到達目標:
  • 1保健・医療制度を説明できる。
    地域保健(母子、老人、学校保健)、産業保健および医療供給体制を含む。】
  • 2医療保険制度を説明できる。
    【医療経済(国民医療費)を含む。】
  • 3介護保険制度を説明できる。
  • 4社会福祉制度を説明できる。
  • 5高齢者のおかれた社会環境を説明できる。
  • 6障害者のおかれた社会環境を説明できる。
  • 7ノーマライゼーションの考え方を説明できる。
  • 8地域医療に求められる役割と機能および体制等、地域医療の在り方を概説できる。(新設)
  • 9地域医療における保健・医療・福祉・介護の分野間の連携および他職種間の連携の必要性について説明できる。(新設)
  • 10地域医療の基盤となるプライマリ・ケアの必要性を理解する。(新設)

C-2-3)環境と健康

一般目標:

 環境と健康との関わりを理解する。

到達目標:
  • 1環境による健康への影響を説明できる。
  • 2環境基準と環境汚染を説明できる。

C-3 予防と健康管理

C-3-1)予防の概念

一般目標:

 公衆衛生と歯科医療における予防の概念を理解する。

到達目標:
  • 1第一次、第二次および第三次予防を説明できる。
  • 2プロフェッショナルケア、セルフケアおよびコミュニティケアを説明できる。
  • 3プライマリヘルスケアとヘルスプロモーションを説明できる。

C-3-2)口腔疾患の予防と健康管理

一般目標:

 口腔疾患の予防と健康管理を理解する。

到達目標:
  • 1主な口腔疾患(う蝕、歯周疾患、不正咬合)の予防を説明できる。
    【生活習慣病の改善指導を含む。】
  • 2う蝕予防におけるフッ化物の応用方法を説明できる。
    【予防填塞とプラークコントロールを含む。】
  • 3ライフステージにおける予防を説明できる。
  • 4集団レベルの予防と健康管理(地域歯科保健、学校歯科保健、産業歯科保健)を説明できる。

C-4 疫学・保健医療統計

C-4-1)口腔疾患の疫学

一般目標:

 疫学と科学的根拠にもとづいた医療(EBM:Evidence-based Medicine)の応用を理解する。

到達目標:
  • 1疫学とEBMの概念を説明できる。
  • 2スクリーニング検査を説明できる。
  • 3口腔疾患の疫学的指標を説明できる。

C-4-2)保健医療統計

一般目標:

 保健医療統計とその応用を理解する。

到達目標:
  • 1主な保健医療統計(人口動態・静態統計、患者調査、医療施設調査、医師・歯科医師・薬剤師調査、歯科疾患実態調査、学校保健統計調査)を説明できる。
  • 2主な健康指標(平均寿命、平均余命、新生児・乳幼児死亡率)を説明できる。
  • 3調査方法と統計的分析法を説明できる。

C-4-3)保健医療情報

一般目標:

 保健医療情報の利用と管理方法を理解する。

到達目標:
  • 1保健医療情報の取扱いと情報のセキュリティーを説明できる。
    【診療情報(診療録等)を含む。】
  • 2医療情報の開示に関する注意点を説明できる。

D 生命科学

【出題内容は歯科臨床に関係することが望ましい。】

D-1 生命の分子的基盤

D-1-1)生命を構成する基本物質

一般目標:

 生命を構成する基本物質の分子的構造と機能ならびにそれらの生体内代謝とその異常を理解する。

到達目標:
  • 1タンパク質の構造、機能および代謝を説明できる。
  • 2糖質の構造、機能および代謝を説明できる。
  • 3脂質の構造、機能および代謝を説明できる。
  • 4生体内におけるエネルギー利用を説明できる。
  • 5酵素の働きと主な代謝異常を説明できる。

D-1-2)遺伝子と遺伝

一般目標:

 遺伝子の構造と機能および遺伝の基本的機序を理解する。

到達目標:
  • 1遺伝子(染色体)の構造とセントラルドグマを説明できる。
  • 2DNA複製と修復の機序を説明できる。
  • 3転写と転写調節の機序を説明できる。
  • 4翻訳の機序を説明できる。

D-1-3)細胞の構造と機能

一般目標:

 細胞の基本的構造を学び、それらと細胞機能、細胞増殖および分化機構との関係を理解する。

到達目標:
  • 1細胞膜、核および細胞内小器官の構造と機能を説明できる。
  • 2細胞骨格を説明できる。
    【機能を含む。】
  • 3細胞の分泌と吸収機構を説明できる。
  • 4細胞周期と細胞分裂を説明できる。
  • 5細胞死の基本的機序を説明できる。

D-1-4)細胞のコミュニケーション

一般目標:

 細胞間、細胞・マトリックス間の接着機序および細胞レベルでの情報伝達の仕組みを理解する。

到達目標:
  • 1細胞の接着装置を説明できる。
  • 2細胞間と細胞・マトリックス間の接着分子を説明できる。
  • 3受容体を介するホルモン、成長因子、サイトカインによる細胞間の情報伝達機構を概説できる。
  • 4細胞内シグナル伝達機構を概説できる。
  • 5主な細胞外マトリックス分子の構造と働きを説明できる。

D-2 人体の構造と機能

D-2-1)身体の部位と方向用語

一般目標:

 身体の部位および方向用語について理解する。

到達目標:
  • 1身体の部位を解剖学的に区別できる。
  • 2身体の方向用語を正確に用いることができる。

D-2-2)個体発生、器官発生

一般目標:

 個体の発生の仕組みと人体諸器官の発生を理解する。

到達目標:
  • 1個体発生と器官発生を概説できる。

D-2-3)身体を構成する組織、器官

一般目標:

 人体諸器官の構造および生理的機能とその機序を理解する。

到達目標:
D-2-3)-(1)組織(上皮組織、支持組織、筋組織)
  • 1上皮を形態的および機能的に分類できる。
  • 2皮膚と粘膜の基本構造と機能を説明できる。
  • 3腺を分泌物の性状、形態および分泌機構にもとづいて分類できる。
  • 4結合組織の線維要素と細胞要素を説明できる。
  • 5硝子軟骨、弾性軟骨および線維軟骨の特徴を説明できる。
  • 6軟骨内骨化と膜内骨化の機序と成長様式を説明できる。
  • 7硬組織石灰化の基本的機序を説明できる。
  • 8筋組織の構造と機能を説明できる。
D-2-3)-(2)運動器系
  • 1生体を構成する主な骨と筋を列挙できる。
  • 2骨の基本構造と結合様式を説明できる。
  • 3骨の改造現象と全身および局所因子による調節機構を概説できる。
  • 4骨格筋の構造と機能を説明できる。
    【収縮の特徴と筋収縮の機序を含む。】
D-2-3)-(3)循環器系
  • 1心臓の構造と機能を説明できる。
    【心臓の刺激(興奮)伝導系、心筋の特徴、標準的心電図波形および心音を含む。】
  • 2肺循環と体循環の2系統を説明できる。
  • 3動脈、毛細血管および静脈の構造と血管系の役割を説明できる。
  • 4血液循環と血管運動の調節機構を説明できる。
  • 5主な動脈と静脈を列挙できる。
  • 6リンパの循環路とリンパ節の構造と機能を説明できる。
D-2-3)-(4)感覚器系
  • 1皮膚感覚器の構造と機能を説明できる。
  • 2深部感覚の受容器の構造と機能を説明できる。
  • 3視覚器、聴覚・平衡感覚器の構造と機能を説明できる。
  • 4嗅覚器、味覚器の構造と機能を説明できる。
D-2-3)-(5)神経系
  • 1脳神経の種類、走行、線維構築および支配領域を説明できる。
  • 2末梢神経系の機能分類(体性神経系と自律神経系)を説明できる。
  • 3交感神経系と副交感神経系の構造と機能を説明できる。
  • 4脳と脊髄の基本的構造と機能を説明できる。
    【主要な自律機能(呼吸、循環、体温)の調節中枢の働きを含む。】
  • 5血液脳関門を説明できる。
  • 6反射、半自動運動、随意運動の発現と調節の機序を説明できる。
  • 7ニューロンとグリアの構造と機能を説明できる。
  • 8神経の活動電位の発生とその伝播の機序を説明できる。
  • 9シナプスにおける興奮伝達を概説できる。
  • 10神経伝達物質の種類と機能を説明できる。
D-2-3)-(6)消化器系
  • 1消化管(食道、胃、小腸、大腸)の基本構造と機能を説明できる。
    【平滑筋の特徴と消化管ホルモンの働きを含む。】
  • 2肝臓の構造と機能および胆汁の分泌を説明できる。
  • 3膵臓の外分泌腺と内分泌腺の特徴を説明できる。
D-2-3)-(7)呼吸器系
  • 1気道系(鼻腔、副鼻腔、気管、気管支)の構造と機能を説明できる。
  • 2肺臓の構造と機能を説明できる。
    【内呼吸、外呼吸および呼吸運動の機序とその調節系を含む。】
D-2-3)-(8)内分泌系
  • 1各内分泌器官の構造と機能およびホルモンを説明できる。
    【ホルモンの特徴と機能、内分泌系と神経系との機能相関を含む。】
D-2-3)-(9)泌尿器系
  • 1腎臓と尿路(尿管、膀胱、尿道)の構造と機能を説明できる。
  • 2体液の量と組成および浸透圧の調節機構を説明できる。
    【酸−塩基平衡を含む。】
  • 3水代謝と主な電解質の出納を説明できる。
D-2-3)-(10)生殖器系
  • 1男性生殖器、女性生殖器の構造と機能を説明できる。
D-2-3)-(11)血液、造血器、リンパ網内系
  • 1リンパ性組織とリンパ性器官を説明できる。
  • 2造血器を説明できる。
  • 3赤血球、白血球および血小板の形成過程と機能を説明できる。
  • 4止血と血液凝固の機序を説明できる。
    【線溶系を含む。】

D-2-4)人体諸器官の成長、発育と加齢変化

一般目標:

 人体諸器官の成長、発育と加齢による変化を理解する。

到達目標:
  • 1人体諸器官の形態と機能の成長、発育および加齢に伴う変化を説明できる。

D-3 感染と免疫

D-3-1)感染

一般目標:

 微生物の種類と特性および寄生、感染を理解するとともに、防御の補助手段としての滅菌、消毒および化学療法を理解する。

到達目標:
  • 1細菌、真菌、ウイルスおよび寄生虫の形態学的特徴と生理学的性状を説明できる。
  • 2細菌、真菌、ウイルスおよび寄生虫のヒトに対する感染成立の機序とこれらの微生物がヒトに対して示す病原性を説明できる。
  • 3清潔と不潔の区分および滅菌と消毒の意義、原理および代表的な方法を説明できる。
  • 4化学療法の目的、原理および作用機序を説明できる。

D-3-2)免疫

一般目標:

 寄生、感染と生体の防御機構を理解する。

到達目標:
  • 1自然免疫と獲得免疫について説明できる。
  • 2細胞性免疫と体液性免疫について説明できる。
    【抗体の種類と特徴を含む。】
  • 3免疫担当細胞の種類と働きを説明できる。
    【免疫臓器と抗体を含む。】
  • 4免疫寛容を説明できる。
  • 5アレルギーの分類を説明できる。
    【発生機序を含む。】
  • 6免疫・アレルギー疾患の種類と発症機序を説明できる。
  • 7ワクチンの意義と問題点を説明できる。

D-4 病因と病態

D-4-1)細胞傷害、組織傷害および萎縮

一般目標:

 細胞傷害、組織傷害および萎縮の原因と形態的所見を理解する。

到達目標:
  • 1細胞傷害と組織傷害について説明できる。
    【変性を含む。】
  • 2壊死の多様性、原因、意義および形態的所見の特徴を説明できる。
  • 3壊死とアポトーシスについて説明できる。
  • 4萎縮と仮性肥大を説明できる。

D-4-2)修復と再生

一般目標:

 修復と再生の意義とこれらの形態的所見を理解する。

到達目標:
  • 1修復と再生について説明できる。
  • 2化生を説明できる。
  • 3創傷治癒に関与する細胞とその過程を説明できる。
  • 4器質化を説明できる。

D-4-3)循環障害

一般目標:

 循環障害の成因、形態およびその転帰を理解する。

到達目標:
  • 1虚血、充血およびうっ血の徴候、原因および転帰を説明できる。
  • 2出血の原因、種類および転帰を説明できる。
  • 3血栓症の形態学、成因と条件および転帰を説明できる。
  • 4塞栓症について塞栓の運ばれる経路、塞栓の種類および転帰を説明できる。
  • 5梗塞の種類、形態および転帰を説明できる。
  • 6浮腫の原因とその転帰を説明できる。
  • 7ショックの原因と成因を説明できる。

D-4-4)炎症

一般目標:

 炎症の概念、発症機構および病理組織学的分類を理解する。

到達目標:
  • 1炎症の定義を説明できる。
    【発症機序を含む。】
  • 2炎症細胞の種類と働きを説明できる。
  • 3炎症の分類、病理組織学的変化および経時的変化を説明できる。
  • 4炎症の原因別分類と病因特異的組織変化を説明できる。

D-4-5)腫瘍

一般目標:

 腫瘍の病理・病態および発生原因を理解する。

到達目標:
  • 1腫瘍の定義を説明できる。
  • 2腫瘍の組織発生を説明できる。
    【発生原因を含む。】
  • 3異形成、退形成および分化を説明できる。
  • 4腫瘍の異型性と多形性を説明できる。
  • 5良性腫瘍と悪性腫瘍の異同を説明できる。(新設:F-2-4)-(3)より移動)
  • 6局所における腫瘍の増殖、浸潤および転移を説明できる。

D-4-6)疼痛

一般目標:

 疼痛の種類、発生機序および制御機構・方法を理解する。

到達目標:
  • 1疼痛の種類を説明できる。
    【関連痛を含む】
  • 2疼痛の発生機序を説明できる。
  • 3疼痛の制御機構・方法の概念を説明できる。

D-5 生体と薬物

D-5-1)薬物と医薬品

一般目標:

 医薬品の分類ならびに薬物と医薬品との関係を理解する。

到達目標:
  • 1医薬品の分類を説明できる。
  • 2毒薬、劇薬および麻薬等の表示と保管を説明できる。
  • 3日本薬局方を説明できる。

D-5-2)薬理作用

一般目標:

 薬物の作用に関する基本的事項を理解する。

到達目標:
  • 1薬物療法(原因療法、対症療法)を説明できる。
    【歯科臨床において適用される薬物の特徴を含む。】
  • 2薬理作用の基本形式と分類を説明できる。
  • 3薬物の作用機序を説明できる。
  • 4薬理作用を規定する要因(用量と反応、感受性)を説明できる。
  • 5薬物の連用の影響(薬物耐性、蓄積および薬物依存)を説明できる。
  • 6薬物の併用(協力作用、拮抗作用、相互作用)を説明できる。

D-5-3)薬物の適用と体内動態

一般目標:

 種々の方法で適用された薬物の生体内運命を理解する。

到達目標:
  • 1薬物の適用方法の種類とその特徴を説明できる。
  • 2薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)を説明できる。

D-5-4)薬物の副作用と有害作用

一般目標:

 薬物の副作用、有害作用の種類とその予防対策に関する基本的事項を理解する。

到達目標:
  • 1薬物の一般的副作用、有害作用と口腔・顎顔面領域に現れる副作用、有害作用を説明できる。

E 歯科生体材料と歯科材料

E-1 素材と所要性質

一般目標:

 歯科材料に使用される素材の特性と用途に応じた所要性質を理解する。

到達目標:

  • 1高分子材料、セラミック材料、金属材料および複合材料の構造と物性を説明できる。
    【構造と物性は基本的かつ一般的なものに限る。また、歯科材料に使用される素材間の物性比較を含む。】
  • 2生体材料の力学的、物理的、化学的および生物学的所要性質を説明できる。
  • 3生体材料と歯科材料の安全性の評価を説明できる。
  • 4接着材と合着材の種類と成分および特性を説明できる。

E-2 成形法と成形用材料

一般目標:

 成形を行って使用する歯科材料の種類と特性を理解し、これらの歯科材料の基本的成形方法を習得する。

到達目標:

  • 1印象材の種類と性質を説明できる。
    【硬化の仕組みと使用方法を含む。】
  • 2歯科用石膏の種類と特性を説明できる。
    【硬化の仕組みと使用方法を含む。】
  • 3ワックスの種類と特性を説明できる。
  • 4レジンの重合、金属の鋳造・熱処理およびポーセレン焼成の特徴を使用機器と関連づけて説明できる。
    【歯科用レジン・金属・陶材の種類、用途および特性を含む。】
  • 5切削・研磨用材料と使用機器の特徴を説明できる。

F 臨床歯学教育

【診断・治療の方法については基本的なものに限る。また、基礎実習で学んだ事項を含む。】

F-1 診療の基本

F-1-1)基本的診療技能

一般目標:

 口腔・顎顔面領域の診察、検査、診断、治療および予防を行うために必要な基本的な知識、技能および態度を身につける。

到達目標:
  • 1診察、検査および診断に必要な事項を列挙できる。
  • 2歯科治療と全身疾患との関連を理解し説明できる。
    【歯科治療時の対応を含む。】
  • 3歯科ユニット各部の名称と機能を説明できる。
  • 4診察、検査、診断および治療に必要な器材を説明できる。
  • 5診療室への患者の誘導を適切にできる。
  • 6患者に挨拶して自己紹介できる。
  • 7患者の訴えの中から主訴を的確に捉えることができる。
  • 8的確な病歴聴取(現病歴、既往歴、家族歴、薬歴等)を行い、必要な部分を抽出できる。
  • 9問診、視診、触診および打診等によって患者の現症を的確に捉えることができる。
  • 10的確な診察と検査から得られた所見を適切に診療録に記載できる。
  • 11基本的診察を行った後、次に必要となる検査を想定できる。
  • 12的確な治療方針を立案し説明できる。
  • 13診療室における患者の心理と行動を理解し配慮できる。
  • 14インフォームドコンセントを行うことができる。
  • 15各種臨床検査の基準値を知り、重要な異常値の意味を説明できる。
  • 16必要に応じて医科に対診できる。
  • 17患者に関する医療情報を他の機関に提供し、また、求めることができる。
  • 18研究用模型を作製するための印象を適切に採得できる。
  • 19処方と処方箋の書き方を説明できる。
    【インフォームドコンセントと医療面接についてはA-4とB-2-2)を参照】

F-1-2)画像検査

一般目標:

 画像検査法の特徴と適応ならびに画像の解釈を理解するとともに、放射線の人体に対する影響と放射線防護の方法を併せて理解する。

到達目標:
  • 1放射線の種類と性質を説明できる。
  • 2放射線の人体への影響を説明できる。
  • 3放射線防護の基準と方法を説明できる。
  • 4エックス線画像の形成原理を説明できる。
    【画像不良の原因を含む。】
  • 5エックス線装置とその周辺機器の原理と管理技術を説明できる。
  • 6口内法エックス線撮影とパノラマエックス線撮影の種類および適応を説明できる。
  • 7口内法エックス線撮影とパノラマエックス線撮影を行い、読影できる。
  • 8頭部エックス線撮影の種類および適応を説明できる。
  • 9超音波装置、エックス線CTおよび磁気共鳴撮像装置を用いた検査法の原理と基本的特徴を説明できる。

F-1-3)歯科麻酔の基本

一般目標:

 一般的な歯科治療における全身管理、精神鎮静法、局所麻酔および全身麻酔の基本を理解する。

到達目標:
F-1-3)-(1)全身管理
  • 1バイタルサインを列挙し、説明できる。
  • 2血圧を測定できる。
  • 3脈拍の状態を把握できる。
  • 4呼吸の状態を把握できる。
  • 5歯科治療中の全身状態に影響を及ぼす疾患を説明できる。
    【歯科治療時の対応を含む。】
  • 6歯科治療時に留意すべき服用薬物を説明できる。
    【歯科治療時の対応を含む。】
  • 7小児、妊婦および高齢者への薬物適用上の注意を説明できる。
  • 8全身疾患を有する患者への薬物適用上の注意を説明できる。
F-1-3)-(2)精神鎮静法
  • 1精神鎮静法の目的を説明できる。
  • 2吸入鎮静法の適応と禁忌を説明できる。
  • 3静脈内鎮静法の適応と禁忌を説明できる。
  • 4精神鎮静法の種類を説明できる。
  • 5精神鎮静法を適切に介助できる。
F-1-3)-(3)局所麻酔法
  • 1局所麻酔の目的を説明できる。
  • 2局所麻酔薬を分類し、その作用機序を説明できる。
  • 3局所麻酔作用に影響を及ぼす因子を説明できる。
  • 4血管収縮薬の種類と特徴を説明できる。
  • 5局所麻酔法の種類と特徴を説明できる。
  • 6局所麻酔時の合併症を説明できる。
    【偶発症とその対応を含む。】
  • 7局所麻酔を実施できる。
F-1-3)-(4)全身麻酔法
  • 1全身麻酔の目的を説明できる。
  • 2全身麻酔の適応と禁忌を説明できる。
  • 3全身麻酔法の種類と特徴を説明できる。
    【前投薬、筋弛緩薬および主な全身麻酔薬の基本的薬理作用を含む。】

F-1-4)小手術の基本手技

一般目標:

 小手術を適切に実施するために必要な基本的知識と技能を身につける。

到達目標:
  • 1抜歯の適応症と禁忌症を説明できる。
    【相対的禁忌への対応および小手術の適応症と禁忌を含む。】
  • 2小手術の偶発症と合併症を説明できる。
  • 3抜歯に必要な器具の用法と基本手技を説明できる。
    【小手術を含む。】
  • 4粘膜の切開、剥離に必要な器具の用法を説明できる。
  • 5縫合と止血に必要な器具の用法を説明できる。
  • 6手指と術野の消毒について説明できる。
    【器具の滅菌と消毒を含む。】
  • 7簡単な抜歯ができる。
  • 8粘膜の切開、剥離ができる。
  • 9単純縫合、抜糸ができる。
  • 10埋伏智歯の抜歯法を説明できる。

F-1-5)救急処置

一般目標:

 救急処置の基本を身につける。

到達目標:
  • 1意識レベル、呼吸および脈拍の状態を把握できる。
  • 2気道閉塞および気道確保法を説明できる。
  • 3呼気吹き込みによる人工呼吸を説明できる。
  • 4非開胸心マッサージを説明できる。
  • 5呼気吹き込みによる人工呼吸が実施できる。
  • 6非開胸心マッサージが実施できる。
  • 7救急処置に用いられる薬物を列挙し、その作用機序を説明できる。

F-1-6)口腔保健

一般目標:

 口腔疾患を予防し、口腔保健を向上させるために必要となる基本的な知識、技能および態度を身につける。

到達目標:
F-1-6)-(1)予防処置
  • 1フッ化物の歯面塗布を実施できる。
  • 2予防填塞を実施できる。
  • 3歯周疾患の予防処置を実施できる。
    【F-3-3)-(3)歯周疾患の診断と治療の項を参照】
F-1-6)-(2)歯科保健指導
  • 1口腔の健康度やリスクを評価し、対象者に説明できる。
  • 2セルフケアを行えるように適切な動機づけができる。
  • 3適切な口腔清掃法を指導できる。
  • 4適切な食事指導(栄養指導)を実施できる。
  • 5生活習慣に関して適切に指導できる。

F-2 口腔・頭蓋・顎顔面領域の常態と疾患

F-2-1)頭頸部の基本構造と機能

一般目標:

 頭頸部の基本的な構造と機能を理解する。

到達目標:
  • 1頭蓋骨の構成と構造を説明できる。
  • 2咀嚼筋、表情筋、前頸筋の構成と機能を説明できる。
  • 3頭頸部の脈管系を説明できる。
  • 4三叉神経と顔面神経の走行と分布および線維構成を説明できる。
  • 5顎関節の構造と機能を説明できる。
  • 6下顎の随意運動の基本を説明できる。
  • 7下顎反射の機序を説明できる。
  • 8嚥下の機序を説明できる。

F-2-2)口腔の基本構造と機能

一般目標:

 口腔領域の基本的な構造と機能を理解する。

到達目標:
  • 1口腔粘膜の特徴を部位ごとに説明できる。
    【口腔感覚の特徴を含む。】
  • 2舌の構造と機能を説明できる。
  • 3歯列と咬合について説明できる。
  • 4唾液の性状と役割を説明できる。
    【構成成分とその機能を含む。】
  • 5唾液腺の構造と機能を説明できる。
    【分泌調節を含む。】
  • 6咀嚼の意義と制御機構を説明できる。
  • 7構音器官としての口腔の形態と機能を説明できる。

F-2-3)口腔・頭蓋・顎顔面領域の発生、成長・発育および加齢とその異常

一般目標:

 口腔・頭蓋・顎顔面領域の器官の発生、成長・発育および加齢とその異常について理解する。

到達目標:
  • 1口腔・頭蓋・顎顔面領域の発生を概説できる。
  • 2一次口蓋と二次口蓋の発生を説明できる。
  • 3口腔・頭蓋・顎顔面領域に症状をきたす主な先天異常を説明できる。
    【診断と治療方針を含む。】
  • 4口腔・頭蓋・顎顔面領域の成長・発育異常(不正咬合)を説明できる。
    【診断と治療方針を含む。】
  • 5口腔・頭蓋・顎顔面領域の成長・発育および加齢による変化を説明できる。
    【歯の喪失に伴う変化を含む。】
  • 6舌と唾液腺の発生とその加齢現象を説明できる。

F-2-4)口腔・顎顔面領域の疾患

【治療法については基本的な治療方針に限る。】

一般目標:

 口腔・顎顔面領域の疾患の特徴と病因および診断・治療の基本的概念を理解する。

到達目標:
F-2-4)-(1)外傷
  • 1一般的な骨折の種類と特徴および治癒過程を説明できる。
  • 2歯の外傷と顎顔面骨折の原因と種類を列挙できる。
  • 3外傷時の検査法を列挙できる。
  • 4歯の外傷の症状と検査法を列挙し、診断と治療法を説明できる。
  • 5歯槽骨骨折、上顎骨骨折および下顎骨骨折の症状と検査法を列挙し、診断と治療法を説明できる。
  • 6骨折の治療原則を説明できる。
  • 7軟組織損傷を分類し、それぞれの症状と処置法を説明できる。
F-2-4)-(2)炎症とアレルギー
  • 1口腔粘膜疾患の種類と特徴を説明できる
  • 2歯性感染症の原因菌と感染経路を説明できる。
  • 3急性炎症と慢性炎症の異同を説明できる。
  • 4炎症の診断に必要な検査法を説明できる。
  • 5口腔・顎顔面領域の特異性炎の種類と特徴を説明できる。
  • 6菌血症および歯性病巣感染の病態を説明できる。
  • 7一般的な消炎療法の意義と特徴を説明できる。
  • 8主な炎症(舌炎、口唇炎、口底炎、智歯周囲炎、歯槽骨炎、顎骨炎、顎骨骨膜炎、顎骨周囲炎、下顎骨骨髄炎、歯性上顎洞炎等)を概説できる。
  • 9水疱、紅斑、びらん、潰瘍、白斑、色素沈着等を主徴とする主な粘膜疾患を概説できる。
  • 10歯性病巣感染の成立機序、症状、検査法および治療法を説明できる。
  • 11消炎手術を概説できる。
F-2-4)-(3)嚢胞、腫瘍および類似疾患
  • 1顎骨に発生する歯原性嚢胞の種類と特徴を列挙できる。
  • 2顎骨に発生する非歯原性嚢胞の種類と特徴を列挙できる。
  • 3軟組織に発生する嚢胞の種類と特徴を列挙できる。
  • 4口腔・顎顔面領域に発生する嚢胞の一般的な症状、診断法および治療法を概説できる。
  • 5歯原性腫瘍の種類と特徴を列挙できる。
  • 6非歯原性良性腫瘍の種類と特徴を列挙できる。
  • 7口腔・顎顔面領域に発生する腫瘍の一般的な症状、診断法(組織診、画像診断)および治療法を概説できる。
  • 8エナメル上皮腫の特徴、症状および治療法を概説できる。
  • 9前癌病変(白板症、紅板症)の特徴、症状および治療法を概説できる。
  • 10前癌状態の種類と特徴を列挙できる(新設)
  • 11口腔癌の特徴、予防、症状および治療法を概説できる。
  • 12腫瘍類似疾患の種類と特徴を列挙できる。
  • 13エプーリスの特徴、症状および治療法を概説できる。
F-2-4)-(4)顎関節疾患
  • 1顎関節疾患の種類と特徴を説明できる。
  • 2顎関節疾患(外傷、脱臼、顎関節症、顎関節強直症)を概説できる。
F-2-4)-(5)唾液腺疾患
  • 1唾石症の特徴、症状および治療法を説明できる。
  • 2唾液腺腫瘍の種類と特徴を説明できる。
  • 3流行性耳下腺炎の原因ウイルス、症状および治療を説明できる。
  • 4Sjögren症候群の特徴、症状および治療法を説明できる。
  • 5小唾液腺疾患を概説できる。
F-2-4)-(6)神経性疾患
  • 1三叉神経痛の特徴、症状および治療法を説明できる。
  • 2顔面神経麻痺の特徴、症状および治療法を説明できる。
F-2-4)-(7)口腔・顎顔面領域に症状を現す疾患
  • 1口腔・顎顔面領域に症状を現す血液疾患(貧血、出血性素因、白血病)とスクリーニング検査法を列挙できる。
  • 2口腔・顎顔面領域に症状を現す感染症の種類とその症状を列挙できる。
  • 3口腔・顎顔面領域に症状を現すアレルギー性疾患、膠原病、免疫不全とそれらの症状を列挙できる。
  • 4口腔・顎顔面領域に症状を現す全身的な腫瘍と腫瘍類似疾患およびその症状を列挙できる。
  • 5口腔・顎顔面領域に症状を現す症候群の種類と症状を列挙できる。
  • 6口腔・顎顔面領域に症状を現す系統的骨疾患の症状、診断および治療法を列挙できる。
  • 7口腔・顎顔面領域に症状を現す薬物の副作用を列挙できる。
  • 8口腔・顎顔面領域に症状を現す代謝障害とその症状を列挙できる。
  • 9口腔・顎顔面領域に症状を現すビタミン欠乏症とその症状を列挙できる。
  • 10ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の検査法とその口腔症状と検査法を説明できる。
  • 11口唇・口蓋裂の病態と治療方針を説明できる。
  • 12顎変形症を概説できる。
F-2-4)-(8)口腔・顎顔面領域の機能障害
  • 1咬合異常と咀嚼障害の原因と診察、検査、診断および治療方針を説明できる。
  • 2嚥下障害を概説できる。
  • 3言語障害を概説できる。
  • 4味覚障害を概説できる。

F-3 歯と歯周組織の常態と疾患

F-3-1)歯と歯周組織の発生および構造と機能

一般目標:

 歯と歯周組織の常態を理解する。

到達目標:
  • 1歯の発生、発育および交換の過程を説明できる。
    【構成成分とその変化を含む。】
  • 2歯種別の形態と特徴を説明できる。
  • 3歯(含:乳歯、幼若永久歯)の硬組織の構造と機能を説明できる。
    【構成成分とその特徴を含む。】
  • 4歯髄の構造と機能を説明できる。
  • 5歯周組織の発生、構造および機能を説明できる。

F-3-2)歯と歯周組織の疾患の特徴と病因

一般目標:

 歯と歯周組織に生じる疾患の概要を理解する。

到達目標:
  • 1歯の硬組織の疾患の病因と病態を説明できる。
  • 2歯の発育障害と加齢変化の病因と病態を説明できる。
  • 3歯髄・根尖歯周組織疾患の病因と病態を説明できる。
  • 4歯周疾患の病因と病態を説明できる。
  • 5口腔細菌、歯垢および歯石について説明できる。
  • 6歯痛の機序を説明できる。

F-3-3)歯と歯周組織の疾患の診断と治療

一般目標:

 歯と歯周組織に生じる疾患の治療の進め方の基本を修得する。

到達目標:
F-3-3)-(1)う蝕の診断と治療
  • 1う蝕の症状と診断を説明できる。
    【検査法を含む。】
  • 2う蝕の予防と治療の方法を説明できる。
    【う蝕の予防については、C-3-2)口腔疾患の予防と健康管理の項を参照】
    【う蝕の修復処置については、F-3-4)-(1)歯冠修復の項を参照】
F-3-3)-(2)歯髄・根尖歯周組織疾患の診断と治療
  • 1歯髄・根尖歯周組織疾患の症状、診断および治療法を説明できる。
    【検査法を含む。】
  • 2根管充填の目的、時期および方法を説明できる。
  • 3歯髄・根尖歯周組織疾患の急性症状の診断と処置方法を説明できる。
  • 4歯髄・根尖歯周組織疾患の治療時における偶発症について、種類、処置および予防を説明できる。
  • 5歯髄・根尖歯周組織疾患の治療後の治癒機転と予後を説明できる。
  • 6歯の変色の原因、種類および処置を説明できる。
  • 7歯根吸収の原因、症状、診断および処置を説明できる。
  • 8歯髄・根尖歯周組織疾患の簡単な症例を処置できる。
F-3-3)-(3)歯周疾患の診断と治療
  • 1歯周疾患の症状を説明できる。
  • 2歯周疾患の診断と治療方針を説明できる。
    【検査法、メインテナンス法を含む。】
  • 3歯周治療の術式と適応症を説明できる。
  • 4歯周外科手術の種類と適応症を説明できる。
  • 5歯周治療後の組織の治癒機転と予後を説明できる。
  • 6歯周疾患の急性症状の診断と処置方法を説明できる。
  • 7歯周疾患の簡単な症例を処置できる。
  • 8歯周外科手術の介助を適切にできる。
  • 9歯周治療後の適切なメインテナンスができる。
    【歯周疾患の予防については、C-3-2)口腔疾患の予防と健康管理の項を参照】
F-3-3)-(4)象牙質知覚過敏症の診断と治療
  • 1象牙質知覚過敏症の病因、病態、診断および治療法を説明できる。
  • 2象牙質知覚過敏症を適切に処置できる。

F-3-4)歯質欠損と歯の欠損の診断と治療

一般目標:

 歯質欠損に対する歯冠修復と歯列の一部あるいは全部欠損に対する修復の臨床的意義と方法を理解する。

到達目標:
F-3-4)-(1)歯冠修復
  • 1歯質欠損に対する歯冠修復の臨床的意義を説明できる。
  • 2修復材料と修復法の種類と特徴およびその適応を説明できる。
  • 3修復法に関する模型上での基本的操作ができる。
  • 4修復に必要な前処置の目的と意義を説明できる。
  • 5歯髄保護の種類を述べ、その重要性を説明できる。
  • 6支台築造の意義、種類および特徴を説明できる。
  • 7窩洞形成と支台歯形成の意義と方法を説明できる。
  • 8仮封ならびに暫間装置の意義、種類および特徴を説明できる。
  • 9研究模型と作業模型の製作方法を説明できる。
  • 10平均値咬合器および調節性咬合器の種類と特徴を説明できる。
    【使用方法を含む。】
  • 11修復後の術後管理の目的と方法を説明できる。
  • 12歯の硬組織疾患の診査と検査および診断ができる。
  • 13簡単な歯冠修復処置を行うことができる。
  • 14修復後の適切なメインテナンスができる。
  • 15歯髄保護の術式を適切に実施できる。
F-3-4)-(2)固定性義歯(橋義歯)
  • 1橋義歯の意義と具備条件を説明できる。
  • 2橋義歯の種類と特徴を説明できる。
  • 3支台装置とポンティックの選択、特徴および製作法を説明できる。
  • 4橋義歯における支台歯形成の方法を説明できる。
  • 5リテーナーの意義を説明できる。
  • 6橋義歯の製作に必要な材料の特性と各基本的操作を説明できる。
  • 7橋義歯製作のための咬合採得に用いる材料と方法を説明できる。
  • 8橋義歯の維持管理の目的と方法を説明できる。
  • 9フェイスボウトランスファーとチェックバイト法を説明し、調節性咬合器の基本的操作ができる。
  • 10歯の欠損に伴う歯・口腔・顎顔面領域の変化に対して必要な診察、検査ならびに診断ができる。
  • 11橋義歯の設計を適切にできる。
  • 12支台装置の製作過程における基本的手技ができる。
  • 13橋義歯の装着後における定期健診の重要性を説明し、指導できる。
F-3-4)-(3)可撤性義歯(部分床義歯、全部床義歯)
  • 1可撤性義歯の目的と意義および具備条件を説明できる。
  • 2即時義歯の目的と意義を説明できる。
  • 3治療用義歯の目的と意義を説明できる。
  • 4可撤性義歯の特徴と適応症を説明できる。
  • 5可撤性義歯の支持機構、把持機構および維持機構を説明できる。
  • 6可撤性義歯の咬合様式とその意義を説明できる。
  • 7可撤性義歯の構成要素を説明できる。
  • 8咬合採得する下顎位と咬合採得法を説明できる。
  • 9下顎運動の記録法を説明できる。
  • 10可撤性義歯の製作に必要な材料の特性を説明でき、各基本的操作を適切に行うことができる。
  • 11可撤性義歯の製作過程を説明でき、基本的手技ができる。
  • 12可撤性義歯の設計原理を理解し、口腔内診察、検査、診断模型およびエックス線写真等により適切に設計を行うことができる。
  • 13可撤性義歯の調整、リライニング、リベースおよび修理を説明でき、適切に行うことができる。
  • 14可撤性義歯装着後における定期検診の重要性を説明し、指導できる。
F-3-4)-(4)デンタルインプラント
  • 1デンタルインプラントの種類と特性を説明できる。

F-4 歯科医療の展開

F-4-1)不正咬合

一般目標:

 不正咬合に対する治療の必要性とその意義を理解する。

到達目標:
  • 1矯正治療の目的と意義を説明できる。
  • 2正常咬合の概念と成立・保持条件を説明できる。
  • 3不正咬合によって生じる障害を列挙できる。
  • 4不正咬合の原因、種類、診察、検査、診断、治療および予防法を説明できる。
  • 5矯正治療に用いる器材の名称と使い方を説明できる。
  • 6矯正装置の種類と使途を説明できる。
  • 7矯正治療に必要な力学を説明できる。
  • 8矯正治療によって起こる生体の反応を説明できる。
  • 9矯正治療によって生じうる医原性障害を挙げ、その処置と予防法を説明できる。

F-4-2)小児の歯科治療

一般目標:

 成長発達期の小児の歯科治療における留意点を理解する。

到達目標:
  • 1小児の身体発育、精神発達の特徴と評価法を説明できる。
  • 2乳歯と幼若永久歯のう蝕の特徴を説明できる。
  • 3乳歯と幼若永久歯の歯冠修復の目的と種類、適応症、手順と留意事項を説明できる。
    【小児のラバーダム防湿法を含む。】
  • 4乳歯と根未完成永久歯の歯髄炎の診察、検査と診断を説明できる。
  • 5乳歯と根未完成永久歯の歯髄炎の処置法の種類と適応症、予後および手順と留意点を説明できる。
  • 6小児の歯の外傷の診察、検査と診断および処置法と予後を説明できる。
  • 7咬合誘導の概念を説明できる。
  • 8保隙処置の目的と種類、適応症および留意点を説明できる。
  • 9小児の歯科疾患の簡単な症例を処置できる。

F-4-3)高齢者の歯科治療

一般目標:

 高齢者の身体的、精神的および心理的特徴と歯科治療上の留意点を理解する。

到達目標:
  • 1老化の身体的、精神的および心理的特徴を説明できる。
  • 2老化に伴う口腔諸組織の構造と機能の変化を説明できる。
  • 3高齢者に多くみられる疾患を説明できる。
  • 4高齢者の歯科治療時の全身管理を説明できる。
  • 5高齢者に対して基本的な歯科治療の介助ができる。
  • 6要介護高齢者の歯科治療を説明できる。
  • 7摂食・嚥下リハビリテーションを説明できる。

F-4-4)障害者の歯科治療

一般目標:

 障害者の身体的、精神的および心理的特徴と歯科治療上の留意点を理解する。

到達目標:
  • 1障害者の身体的、精神的および心理的特徴を説明できる。
  • 2障害者の行動調整(行動管理)と歯科治療を説明できる。
  • 3障害者に対して歯科保健指導ができる。
  • 4障害者に対して基本的な歯科治療の介助ができる。

F-4-5)心因性疾患

一般目標:

 心と体は密接に関連していることを理解し、心因性疾患の基本を学ぶ。

到達目標:
  • 1心身相関を説明できる。
  • 2心身症を説明できる。
  • 3口腔・頭蓋・顎顔面領域の心因性の痛みを説明できる。
  • 4心理テストを説明できる。
  • 5舌痛症を概説できる。
  • 6歯科治療恐怖症を説明できる。