モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する専門研究委員会(平成22年度)(第8回) 議事録

1.日時

平成23年2月23日(水曜日)15時~17時

2.場所

金融庁12階共用第2特別会議室

3.議題

  1. 医学教育コアカリの改訂(最終報告案)について
  2. 歯学教育コアカリの改訂(最終報告案)について

4.議事録

【唐沢課長補佐】  定刻になりましたので,遅れて来られる委員もおられますが,ただいまから,モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会(第8回),医学・歯学合同の会議を開催いたします。

 本日は,都合によりまして,梶井委員,北村委員,伴委員,光山委員,嶋田委員,関本委員,辻本委員,邉見委員の8名が欠席でございます。

 また,前回までの委員会に引き続きまして,聖路加看護大学学長の井部俊子様,後ほどおくれて来られますが,全国薬害被害者団体連絡協議会世話人代表の花井十伍様,さらには,社団法人日本病院薬剤師会会長の堀内龍也様にゲストスピーカーとしてお越しいただいております。

 引き続きまして,本日の配付資料を確認させていただきます。茶色の封筒から資料をお出しいただきますと,本日は議事次第のもとに,資料1,資料2,資料3,そして参考資料1,参考資料2,さらに,委員の皆様には委員限りとして2種類の資料をご用意させていただきました。この場で順に確認させていただきます。

 まず,議事次第,1枚でございます。

 その次が右肩に資料1と付された「医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に向けて(最終報告案)」でございます。

 引き続きまして,資料2,「歯学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に向けて(最終報告案)」でございます。

 続きまして,資料3は1枚紙でございますが,「今後の検討スケジュールについて(案)」でございます。

 ここから参考資料になりますけれども,参考資料1が「パブリック・コメントにおける主な意見(案)」でございます。

 続きまして,参考資料2,「これまでの『連絡調整委員会』及び『専門研究委員会(医学・歯学)』における主な意見(案)」でございます。

 なお,委員の皆様方には,本日の資料1,資料2の最終報告案の内容を暫定的に現行の19年版モデル・コア・カリキュラムに反映させた医学教育モデル・コア・カリキュラムの未定稿と,歯学教育モデル・コア・カリキュラムの未定稿について,それぞれ見え消し版を準備させていただきました。資料の不備,落丁等がございましたら,事務局のほうまで,ご連絡いただければと思います。

 引き続きまして,本日は,医学・歯学の合同会議として開催していますが,議事次第にございますように,医学・歯学2つのテーマを用意しております。議事進行につきましては,前半の医学教育部分につきましては医学教育担当の福田委員長に,後半の歯学教育部分につきましては歯学教育担当の江藤委員長にお願いしたいと思います。

 それでは,ここからの進行は,まずは医学教育担当の福田委員長にお願いしたいと思います。福田委員長,よろしくお願いいたします。

【福田委員長(医学)】  それでは,よろしくお願いいたします。

 本日の議題に入りたいと思います。

 議事次第に従いまして,議題1として,「医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂の最終報告について」であります。

 今回のモデル・コア・カリキュラムの改訂につきましては,先般取りまとめた中間案について,去る1月17日から1月28日にかけてパブリック・コメントを実施いたしました。その結果,寄せられた主な意見をここでご紹介したいと思います。委員の皆様には,机上資料として配付しております参考資料,「パブリック・コメントにおける主な意見」をごらんいただきたいと思います。

 それでは,初めに私から,医学教育にかかわる主な意見を紹介させていただきます。多くのご意見をお寄せいただきまして,ほんとうにありがたいと思いました。いずれも全部目を通しました。前向きのご意見が多かったと認識しております。

 それでは,順を追って整理されたものを中心にお話しいたします。

 初めに,今回のモデル・コア・カリキュラムの改訂の中間とりまとめを実施するに当たって,最も基本となっている基本方針がありました。それに沿って順番でお話をいたします。

 初めに,「基本的診療能力の確実な習得」という点です。ここへのご意見は,臨床現場の方々をはじめ,かなり多くの具体的なご意見がお寄せいただきました。そこに書きましたように侵襲的な問題についてどう扱ったらいいのかというご意見。学生やらせるのは早過ぎる,あるいは後退感があってはいけない,そういうご意見が多数でした。

 それから,シミュレータの利用,これは定着しつつありますが,これを推奨すべきであるとの意見もあります。

 それから,やはり実際の臨床実習が具体的にできるようにした方がよいとのご意見です。

 救急に関してもご意見がありまして,一次救命だけなく,二次的なところまでやったらどうかというご意見もありました。

 地域における救急も,かなり社会的に重要な側面として,これについてのご意見もありました。

 また,プライマリケアを重視した到達目標を評価したというご意見でありました。

 現実的な話で,実際に非侵襲的であり,現状でも簡便に利用されている酸素モニターについて,あるいは心電図について,記載は一部されておりますけれども,さらに明確にしてほしいというご意見もありました。

 それから,他科へのコンサルタントの件もありました。

 医療チームの一員という意味づけの学生の臨床実習という点からのご意見がありました。

 特定の看護に関する記述は要らないとのご意見もありました。

 それから,2ページでは、実習備品が必要となってくるから整備してほしいというのは,ここのコア・カリキュラム改訂とは関係ない話ですが,切実な問題として出てきています。出された理由もよくわかります。

 それから,卒後研修との接続生のことへのご意見は非常に大事な視点であると思っております。

 次に2番目の柱であります「地域の医療を担う意欲・使命感の向上」,この点についてもかなり明確になって,大変よいというご意見をいただきました。

 と同時に,地域できちんと実習ができるようにしてほしいとの制度上,あるいは実施上の問題点,あるいは研修との関係についてもご意見をいただきました。

 3番目の柱であります「基礎と臨床の有機的連携による研究マインドの涵養」,これについても幾つものご意見をいただきました。

 「生命現象の科学」は,準備教育に入っていたものを,参照となっていましたので,本体側に再掲して入れる単純な作業でありました。ほかのものも明記したらどうかというご意見もありました。

 それから,「生命現象の科学」について幾つかのご意見をいただいております。

 「研究マインドの涵養」における「科学的研究」云々ということについて,負担が多なっているのではないかとのご心配をいただいています。これについて,どういう形でやるかについては、例えば選択的なカリキュラム等でということになるのではないかと思います。

 具体的な項目について,「生命現象の科学」の中,「生物の多様性」の中に「生体防御機構」,これがもう少し具体化してほしいというご意見もありました。

 以上が基本的な柱についてです。

次に,「様々な社会的ニーズへの対応」ということで,ここに関しましては,「医療の安全」,あるいは医療がかかわる社会の安全にかかわることのご意見をいただきました。

 医療現場における医師の労働問題,過重労働の問題等も指摘されているところでありますし,産業衛生の立場からも,もっともな話であると思います。これは医師とは限らず医療人全般にわたってこういうことであるとの考えです。

 さらに,大規模な災害云々,こういうことに対して,これは危機管理の問題だと思いますけれども,医療がかかわる分野について,こういう時代だからコア・カリキュラムの中に入れてはどうかというご意見が幾つかありました。これについては,一番初めのコア・カリキュラム策定のときに,神戸の震災後の後でもあり、対応について,トリアージ等が話題になっていまして,それは入っていますけども,それについて,さらにということであろうと思います。

 それから,放射線に関しては,実際に医療上,放射線を非常にたくさん使っておりますので,それと絡んでさらに放射線による障害云々ということについて記載を明瞭にしてほしいというご意見がありました。これらついては複数のご意見をいただきました。

 「高齢化への対応」は、切実な問題であります。ご存じのように,急速に高齢化が進んでいる世界でもまれに見る高齢化社会になっており、その状況を踏まえて,どういうことが必要か,かなり切実な問題をご提言いただきました。現状をよく認識していただいているとご意見と思います。それから,薬剤についても,例えば老人と小児では大分違うでしょうというご意見,これはごもっともだと思います。

 それから,臨床実習で学ぶ高齢者の病態云々について,高齢者を総合的に診ることも必要であるとのご意見もありました。加齢と老化,こういうところも充実する必要があるのではないかというご意見でありました。

 あとは「男女共同参画」,これは国全体としても非常に大事な問題で,男女共同参画が進められております。それに伴い,ワーク・ライフ・バランスについての教育をしてほしい。

 女性の占める割合が明らかに大きくなっている状況で,女性が生涯にわたって活動できるような環境を整えるということで、この委員会でもヒアリングでご意見を賜ったところであります。こういうところが幾つか出ておりました。

 あとは上記以外といたしまして,特定の専門分野にかかわることについてご意見が多数寄せられております。

 肥満等の現状の問題や,行動科学の必要性,こういうところも新しい側面に付いてのご意見だろうと思います。

 それから,特定の腎臓病や心臓のリハビリなどでのご意見もありました。

 がん検診の問題です。これはがん対策基本法に伴って検診の必要,重要性を指摘いただいています。

 それから,あとは医療現場で漢方が使われているという認識から,ご提言をいただいております。関連の意見が複数ございました。

 次は外傷についてです。これは死因の分類上、重要と位置づけていらっしゃる先生方等もいますが,外傷という項目を入れてほしいということもありました。

 それから,「児童虐待」という言葉が入っていますが,これはそれ以外に「ネグレクト」も入れてはどうか。社会一般で問題になっていることがここに込められているということだと思います。

 それから,「法と死」のところです。これは中間とりまとめで移動されておりますけれども,この辺のところについてのご意見がありました。

 あと2つは,人の遺伝情報絡みの話で,これが診療に生かせるようになってきているということで,さらに充実してほしいというご意見と思います。

 最後は,モデル・コア・カリキュラム全般に関することになります。

 これについては,全体として医学部教育が目指す方向性がより明確になっており,表現はより具体性を帯びたわかりやすいものになっていて,よい改訂内容と思うというご意見もいただいて,大変ありがたいことだと思いました。

 それから,諸外国の現状に関して,いわゆるプロフェッショナリズム云々,コンピテンシー等ですね。これは既にもう導入されていることでありますけど,より明確にしてほしいというご要望でした。

 これは切実な問題で,コア・カリキュラムではなくて,教育効果を維持するために具体の教育方法を示してほしい。これは本来、各大学の裁量に任せるというところでありますけれども,そこを改めて示せというご意見もいただきました。

 学生実習が必要であるという点で,今後は,医学教育における医療現場での学生実習が必要であることを広報・周知していただきたいとのご意見です。これは病院の現場の医療機関での参加型臨床実習という意味だと思います。これらが挙げられております。それに伴って,どうしてもスタッフの増員,シミュレータの研修できるような拠点,それから医師法の問題です。この解釈に幅を持たせる議論云々など、全体的に総合的なシステムが必要だというご意見をいただきました。シミュレータがかなり行き渡ってきておりますけれども,この整備が必要であるというご意見もありました。

 それから,研究マインドに関しては,学位取得云々もあり、これは大学院も含めた話だと思いますけれども,基礎・臨床研究を経験した多くの教員の参加が必要になってくるということだと考えられます。

 あとは,国試の問題です。これは臨床実習実施上,非常にやっかいな問題だと思います。予備校的授業に充てるのを避けようとの、非常に現実的な話であります。これについては,現在,国家試験改善検討委員会が開かれておりますので,そこでの議論になってくると思います。

 それから,あとは医療の安全性云々ということです。また、地域医療のほうをもう少し明確にすべきとのご意見です。あるいは,言葉の問題で,「検査に立ち会う」という表現上の問題です。

 それから,用語等の統一もさらに順次整理してくださいとのご意見です。

 △印で,CBTが云々ということでありますけれども,意見を聞いてくださいということだと思います。

 区分けさせていただいた主な意見は以上のとおりであります。お寄せいただいた各位には,大変ありがたく感謝申し上げる次第です。

 これらに従い,ご意見を踏まえつつ,調査研究チームにおかれては,改めて中間報告を取りまとめていただいております。パブリックコメントを参考に、一部修正・変更して最終報告案をつくっていただきました。大変な作業だったと思いますが,変更点等につきまして,医学教育にかかわる調査研究チームのリーダーであります名川先生から15分ということでご報告いただきたいと思います。名川先生,よろしくお願いいたします。

【名川委員】  資料の,右上の1と書いてある「医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に向けて(最終報告案)」に沿って,要点をかいつまんでご説明したいと思います。

 今,委員長の福田先生よりご説明のありましたところについての対応でございます。

 基本的には,改訂の基本方針の一つでありますモデル・コア・カリキュラム全体の量的抑制ということを念頭に置いて改訂したものでございます。実際には,前々回,第6回の専門研究委員会でご承認いただいた改訂内容に少し手を加えたというものでございます。

 資料1,1枚めくっていただきますと,「目次」がございます。この目次の部分で,黒字の部分につきましては第6回,前々回の委員会でご議論いただいた内容でございます。今回,「4.その他(1)様々な社会的ニーズへの対応」の,1)から3),それから「モデル・コア・カリキュラムの利便性向上等に係る対応」ということで3項目。ここを修正させていただきましたので,そこにつきましてご説明させていただきたいと思います。

 同じ資料1の30ページをごらんいただきたいと思いますが,「4.その他」の「様々な社会的ニーズへの対応」というところで,赤字で「対応趣旨・方針」が書いてございます。基本的には今回,先ほど申し上げましたようにモデル・コア・カリキュラム全体の量的抑制ということがありますので,それに留意をしつつ,医療全般に関与することで必要性,緊急性の高い内容については,それを盛り込んでおります。それ以外のご意見についても,非常に重要なものがありましたが,「今後の改訂課題とする」とさせていただきました。盛り込んだ内容としては,例えば,30ページのところで申し上げますと,右側の「改訂案」の下のほうですが,「医療関連感染症(院内感染を含む)」という言葉,あるいは「過去の事例に学び」という言葉をつけ加えております。

 31ページを見ていただきますと,一番右上に「薬剤等の副作用」という言葉を加えさせていただいて,「薬剤等の副作用」と「薬害」というものは異なる位置づけであるということが明確になるようにいたしました。

 それから,中央あたりの7),これは先ほど申し上げました「医療関連感染症の原因および回避する方法を概説できる」という文言を加えてございます。

 それから,医療安全の部分について,真ん中から少し下ですが,5)に医師の過重労働をかんがみて,先ほどもご説明がございましたが,「医療現場における労働環境の改善の必要性を説明できる」という文言を入れさせていただいております。

 それから,その下の3分の1ぐらいのところですが,Bの放射線の記載を少し丁寧にしております。「放射線の人体(胎児を含む)への影響の特徴(急性影響と晩発影響等)を説明できる。」,このように文言を付け加えさせていただいております。

 1枚めくっていただいて,32ページ。やはり放射線の記載のところで,細胞だけではなくて,「遺伝子」への影響もあり得ること。それから,放射線による細胞死の機序ですが,局所的と全身的障害があるというあたりをつけ加えております。

 それから,その次の,2番目の項目の患者中心のチーム医療につきましては34ページを見ていただきますと,右側ですが改訂案,「チーム医療の意義を説明できる」と1)に加えております。

 それから,2)番に,チーム医療の各構成員を列挙してありますが,医師,歯科医師,薬剤師,看護師等ということで,歯科医師との連携を言われておりましたので,ここで反映させていただきました。

 それから,35ページを見ていただきますと,少子高齢化のほうの「胎児・新生児」,あるいは「乳幼児」,それから「小児期全般」というところで少しずつ文言をつけ加えさせていただいております。胎児につきましては,「機能不全」,それから小児全般につきましては,一番右側の下に,「小児心身症を含む」をつけ加えさせていただいております。

 1枚めくっていただきまして,36ページは,「急速な高齢化に対応して」とか,そういった高齢者に対する医療のあり方を反映させていただいております。

 37ページ。男女共同参画の促進に関しましては,「医師として求められる基本的な資質」の中に,右側のほうですが「自己研鑽」の中で,「男女を問わずキャリアを継続させて,生涯にわたり自己研鑽を続ける意欲と態度を有する」というところで一つ反映させていただいております。

 あと,基本事項のA4の「(3)生涯学習への準備」の部分で,「医学・医療・科学技術の進歩と社会の変化やワーク・ライフ・バランスに留意して,医師としてのキャリアを継続させる」という部分で反映させていただいております。

 それから,1枚めくっていただいて,38ページですが,「モデル・コア・カリキュラムの利便性向上等に係る対応」ということで,まず「1)全体構成の工夫」という部分で,今回,EとGが非常に近い位置に移行したということを受けまして,Eという項目をGのすぐ手前の項目,つまりFという名前にしまして,元のFをAとBの間に持ってくる。そういう項目の順番の入れかえを提案させていただいております。

 そこに書いてありますように,A基本事項については同じ位置,それからFが医学・医療と社会ですが,Fは改訂版では2番目に来て,一般医学のBが改訂版では3番目に来るということで,順番に玉突き式にBがC,CがD,それからDがEという項目の順序になって,旧来のEがFということになって,FとGが接続する。このような形にさせていただいております。

 それから,△印は,今後の方針として,ちょうど真ん中より少し下のところになお書きで書いてございますが,△印の取り扱いにつきましては,今後は削除する方向で検討を行うということですが,今回はそこまで検討が及びませんでしたので,これはこのまま残させていただく。ただ,「△」というのは「注釈」というイメージを持たせたほうがいいだろうということで,「*」に変えさせていただくということが書いてあります。

 38ページの一番下,「量的表示に係る別表1,2は削除」云々という部分ですが,これは机上に置いてあります資料の一番最後のタブに「参考」とありますが,この参考のところに,平成19年度版のモデル・コア・カリキュラムのガイドラインがあります。

 それで,これの60ページを見ていただきますと,「モデル・コア・カリキュラムの量的提示について」という,B,C,D,E,F,Gの量的な表示がしてあり,単位数であらわしてあります。これが別表1。それから,「臨床実習の量的表示」の別表2。これについては,各大学の裁量にゆだねるということで削除。それから,別表3,それから別表4については,適宜修正を加えるという記載がここに書いてございます。

 それから,「関連領域の整理」,39ページでございますが,これはまだ課題として残っているという意味合いでございますが,「生物と微生物」がB2にあって,あとDのほうにも「感染症」というのがあるということを,ある意味課題として残っている,忘れないようにという意味で「(D1参照)」,あるいは,「感染症」のところには「(B2(1)参照)」というふうにして残して,今後の課題ということを示してございます。

 あと,52ページに,「医師として求められる基本的な資質」ということで,これまで①から⑦までの7つの文面でございましたが,それぞれ目的を明確にするという意味で,「医師としての職責」から始まりまして,「自己研鑽」に至るまでをこのような文面で提案させていただいております。新旧対照表につきましては,53ページ,次のページにあるとおりでございます。大体以上でございます。

【福田委員長(医学)】  ありがとうございました。大変な作業をチームでやっていただきまして,ほんとうにありがとうございました。

 私のほうから補足するところはあまりありませんが,1つだけ,項目の移動,Fのところの「医学・医療と社会」の移動です。これはかねてから議論になっていたところで,医療の社会的位置づけというのはかなりな重要な位置付けです。基本的事項の普遍的に医療人として備えるべき基本的なことと同様に,社会の中での医療と位置づけられております。これを学部教育の6間に継続して修得する必要があることになってきますので, AとFはというのはかなり近い領域になると思われます。医療倫理も含めて,対社会との関係も含めて、そういう観点から,かねてから議論がありましたので,この際,AとFを連動する必要があると考えられます。臨床実習のところの整合性もきちんととりましたので、同様の趣旨で、FをAの後に移動する形にしたほうがよいとの考えです。

 △印はかねてから議論がありましたので,ここに書いたような,これらも含めて卒業時までの到達目標を示すのが本来の姿ですので,△云々は先々削除すべきというチームからご意見は見識あるご提言だと思います。それで,あとをどうするかということについては今後別途検討するということでよいのではないかと思います。

 それから,今の名川先生のご説明にもありましたように,従来から重複して記載していたところがあって,それが参照できないような現状でした。これは利用上不便であり、一部、例えば腫瘍については,前回の改訂で統一しました。あれは大変よかったと思っています。それで,今回もそれについて一部は移動いたしましたけれども,残りもできたらば参照という形で示しておいて,今後の整理統合を視野に入れた検討課題として残すというご趣旨だと思いますので,そのような形にさせていただきました。

 あと,個々の対応については,パブリック・コメント等を有効に生かさせていただいて,できる範囲で改訂案をつくっていただきました。

 用語の調整も,これから後で出てくると思いますけども,国家試験となるべく準拠してやるという方向に調整させていただいたところであります。

 以上,私のほうから追加させていただきましたが,委員の先生方,ご意見がもしありましたらどうぞよろしくお願いいたします。よろしゅうございましょうか。ありがとうございました。

 今回は,ほんとうにたくさんの前向きなご意見を,パブリック・コメント,それから大学,それから学会等からもいただきました。これは大変ありがたいことで,前回,そんなことは全くなかったと記憶しております。それだけに,これを周知していくことがかなり大事であって,位置づけが皆さんに認識していただいていると思います。

 名川先生も丁寧に各大学への意見を求めていただいたりしており,また、文科省としては立場上,パブリック・コメントを募集していただきまして,それらを整理した上で,私どもとしては対応したところであります。

 それでは,引き続きまして,このご意見をもしなければ,これを踏まえて……,どうぞ。

【花井氏】  1カ所だけ,細かいところなんですけども,34ページで,チーム医療の具体的な職業が入ったせいで,2)のところに,「医師,歯科医師,薬剤師,看護師等」と入って,非常によいと思うんですが,実態だと,ここの「等」ので読み込むのはおそらく「心理職」「社会職」が入ると思うんですけど,「等」で読み込むというのでもいいんですが,実際に並べられると,そこのPSW,MSW,カウンセラー等々が相対的に軽く扱われているように読まれかねないんでは思うんです。ですから,具体的に資格の問題で名前がもし書きにくいということであれば,「その他医療職」とか,横文字であれば「コメディカル」とか,そういう表現があったほうが。この具体名が挙がったところでちょっとそれが顕在化しちゃったんじゃないかと思います。

【福田委員長(医学)】  それは議論いたしました。

【花井氏】  そうですか。

【福田委員長(医学)】  で,とりあえずはこういう形で出させていただきました。資格を挙げてみたって,20近くあるんですね。これは大変であり,それで私ども悩みましたが、「・・・等」のかわりに「その他一般職」としますか?

【花井氏】  その他医療職と……。

【福田委員長(医学)】  「医療職」ですね。「その他の医療職」ということでよいと思います。

【花井氏】  ちょっと……。

【福田委員長(医学)】  ご意見をいただいたことを参考にさせていただきます。私ども,これだけに限定するのはまずいという意見もあって,苦慮いたしました。ご指摘ありがとうございました。

 ほかに,よろしゅうございましょうか。ありがとうございました。

 それでは,今いただいたご意見等を勘案させていただいて,取りまとめた上で全体の総括をさせていただきたいと思います。最終版としては,今のところを検討させていただいた上で,原案とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 引き続きまして,歯学教育のモデル・コア・カリキュラムについてご報告いただきたいと思います。ここからは江藤先生,よろしくお願いいたします。

【江藤委員長(歯学)】  それで,今のはオーケーだという承認をとらなくていい……。

【福田委員長(医学)】  これは具体的に検討させてください。用語はその辺の意味を含めて。「その他の医療職等」でよろしいですか。

【花井氏】  いや……。

【福田委員長(医学)】  「その他の医療職」?

【花井氏】  僕の感じでは,そのくらいがいいんじゃないかなと,ほかにいい表現があれば。

【福田委員長(医学)】  勘定してみたんです。検査技師から始まってですね。

【花井氏】  そうですね。

【福田委員長(医学)】  診療放射線技師等も全部入ります。二十位もあります。最終的な判断はこちらで趣旨を含んで記載させていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。

【花井氏】  はい。

【福田委員長(医学)】  お任せいただければと思います。

【花井氏】  はい。

【福田委員長(医学)】  ありがとうございました。江藤先生,どうぞ。

【江藤委員長(歯学)】  それでは,議題2に入りたいと思います。歯学教育につきましても,医学教育と同様にパブリック・コメントを実施いたしております。その結果,医学ほどではないにしても,かなりの数のご意見をいただきましたので,ここでご紹介させていただきます。お手元に参考資料1というのがございますので,それをごらんいただきたいと思います。参考資料1の7ページから歯学教育になっております。

 それで,7ページの「2.歯学教育のモデル・コア・カリキュラムの改訂に向けて(中間とりまとめ案)」でございますが,(1)が「歯科医師として必要な臨床能力の確保」,(2)が「優れた歯科医師を養成する体系的な歯学教育の実施」,それから9ページに参りまして,(3)が「未来の歯科医療を拓く研究者の養成」,それから(4)が「その他(様々な社会的ニーズへの対応等)」でございます。

 それでは,7ページに戻りまして,(1)でございますが,「歯科医師としての必要な臨床能力の確保」でございます。

 2つ目までの丸がインプラント関係でございまして,インプラント関係の実習やカリキュラムがないことは現在の臨床に即していないので改善すべきとか,それからインプラント学は口腔分野の領域が70%以上を占めることになるので,昨今のおびただしい臨床の中でインプラントがかなり使われ始めておりますので,重要な分野である。そこら辺についてのご指摘でございます。

 それから,3つ目の丸は,歯科医師も死亡診断書が書けるわけでございますが,死に対する教育を,その背景としてもうちょっと充実させるべきではないかというご意見でございます。

 4つ目以降につきましては,文言の問題でございます。成形法と成形用材料の到達目標とか,それからその下が,臨床実習の改訂案においては,Fや水準1に挙げられている項目の一部は侵襲性が大きいので水準2に移すべきだと。

 それから,その次が,小児については,矯正から離して,高齢者の上に項目を新規につくってほしい。

 それから,次が歯内療法。それから,さらに修復。それから,歯質の接着処理等。

 それから,次が,診療録に得られた情報をPOMR形式で掲載できるとか,そういったことが挙げられております。

 それから,(2)でございますが,「優れた歯科医師を養成する体系的な歯学教育の実施」でございます。

 最初の2つが,感染において,細菌,真菌,ウイルスなど,及び寄生虫とあるが,寄生虫は削除すべきではないかと。

 それから,感染の到達目標において,清潔と不潔の区分において,臨床実習に臨む学生に対する清潔・不潔の概念理解のためにもこれは残すべしと。

 6ページに参りまして,基本的な資質⑤でございますが,医療の安全性……,失礼しました。8ページでございます。

 次のページが,冒頭がC-1-1)でございますが,たんぱく質のところ。これはアミノ酸を加えよというところでございます。

 それから,次が,C-2-3)でございますが,器官系の名称が乱雑に並んでいるので,これを動物性機能と植物性機能等に分けるなど,系統立てて並べかえよと。

 それから,次が,「代表的な医科疾患(内科的疾患)」ですが,「主要な医科疾患」「小児の代表的な疾患」については,「*」がついたCBTの範囲である以上,疾患の範囲が教員や出題者ごとに異なると学生が混乱するので,具体的な疾患名を挙げよとなってございます。

 それから,次が,「予防と健康管理」で,「『口腔ケアの意義と効果を説明できる』とあるが,一般に口腔ケアという」のは……,ここは議論の今,されているところでございます。

 それから,次が「う蝕の診断と治療」でございますが,「う蝕と初期う蝕」と並列して記載したほうが適切ではないか。かなり細かいご指摘でございます。

 それから,次が,画像検査の一部表記については,「超音波装置検査法」を「超音波検査法」と表記するなど,一部適正化すべきではないか。

 それから,「病因と病態」に関しては,先天異常・奇形の項目がないので,これを考えてくれと。

 それから,次が,「腫瘍」に関しては,「腫瘍の病因を理解する」と記載されているが,「病因を説明する」とすべきではないか。

 それから,次が,「感染と免疫」においては,一部の表記において,改訂案で削除される部分は臨床を理解するための微生物学基礎に相当するので,表記の適正化を図るべし。

 それから,医療施設における薬剤耐性菌の問題は院内感染としてすべての医療従事者が知るべきである。薬剤耐性は個々の細菌と関連するために,微生物学で教授する化学療法の中で薬剤耐性機序については理解させることが必要。これは重要なご指摘でございます。

 それから,分子レベル免疫に限らず,他の分野にも共通して言えることで,ことさら強調する必要はないが,生体防御は微生物感染に限らないので,免疫の出発点でありといったご指摘でございます。

 それから,次は,歯科の生体材料でございますが,歯科用石膏とワックスが削除されているので,これを加えるといったところでございます。

 それから,9ページでございますが,「(3)未来の歯科医療を拓く研究者の養成」でございます。

 基礎に従事している立場から,研究者のみならず臨床医について,研究マインドを言及しているところはすばらしい。

 それから,現行の「歯科治療に関する科学的根拠を説明」や「科学的根拠に基づいた医療の評価と検証の必要性を説明」については,どの歯科の学会も医科の学会のようなエビデンスレベルの分類が行われていないのが現状だといったご指摘でございます。

 それから,(4)はその他でございますが,4項目ございまして,1つが,「歯科による個人識別」と「小児の歯科治療」の項目が新設されているが,いずれも法医学では重要な教育項目であり,心から感謝したい。法歯学のより広範かつ充実した教育につながるよう,ぜひとも恒久的に継続してほしい。

 それから,次が,歯科医師が発見・対応できる虐待は小児にとどまらない。超高齢化社会を迎えて,今後はそういったことも考慮する。

 それから,次が,避難所での口腔ケアによる誤嚥性肺炎の防止等は,既に過去の災害時に実践されている。ですから,発災直後の外傷への対応や医科と連携した医療救護活動を行うことにより,歯科医師は命を救う医療に貢献し,生きる力を支える医療を実践でき,倫理教育にもつながるので「災害時の歯科医療救護」を記載すべき。

 それから,最後が,「歯科医師として求められる基本的な資質」においては,「医療の安全性を確保する」とあるが,趣旨が不明確。こういった指摘をいただいております。

 それでは,ただいまのパブリック・コメントに寄せられましたご意見を踏まえまして,調査研究チームにおいて改めて中間案の内容を精査いただきました。一部内容を変更したものを本日の資料2の最終報告案,歯学のほうでございますが,最終報告案という形で提示しております。

 まず,中間案からの変更点について,歯学教育にかかる調査研究チームのリーダーでございます荒木委員から15分程度,ご報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【荒木委員】  それでは,報告させていただきます。

 歯科のほうも,今,江藤委員長がご説明いただいたように,かなり多岐にわたってパブリック・コメントで指摘をいただきました。実は,これだけではなくて,歯学教育にかかる調査研究チームは,専門委員会委員でおられます,今日来られております西原先生と,それから今日は欠席ですけど,関本先生の大学にお願いしまして,直接ご自分の大学で説明会を開かせていただきました。,パブリック・コメントプラスそれぞれ直接歯学系の教育を担当する先生たちとご意見をいろいろいただきまして,それを踏まえてこの資料2の最終報告案ができております。

 歯科のほうも,量的過剰をできる限り抑制するということを趣旨に,いろいろ改訂を進めてきましたので,すべてを入れるということについてはなかなかできませんでしたけれども,いろいろなご意見について中間とりまとめ案から少し削除したのもありますが,追加できたと思いますので,その内容をご説明させていただきます。

 まず,1ページ目は,医学系の名川先生のご説明と同じように,歯科も,ちょうど大きな目次の柱の「その他」の部分が一番大きく変わりましたが,他の部分も歯科のほうは変えた部分がございますので,順番に説明させていただきます。

 ただし,見ていただくとわかりますけども,どうしても内容的に医学系で修正した,あるいは改訂した内容と合わせたほうがいいという部分がございますので,それにつきましては,医学の先生に怒られるかもしれませんが,医学系の改訂の内容を参考にさせていただきまして,それを歯科に合わせたという部分がございます。

 次に,2ページ目と3ページ目でございますが,「歯科医師としての必要な臨床能力の確保」ということで,いわゆる前文に,歯科のほうも1から6項目まであるのですが,これにつきましては,今般,内容的に医学系の改定内容と合わせさせていただいて,大きく変更させていただきました。

 それから,6ページは今回新規に追加した臨床実習のところですが,この中に,先ほどのパブコメにもありましたように,院内感染に対する,直接的に臨床実習のところで経験してもらうという部分を1項目入れました。

 それから,8ページと9ページでございますが,ここはどちらかというと,先ほど言った各大学で説明会を開いたときのご意見が多く出て,もう少し明確に変えたほうがよいという意見を踏まえまして,このように今赤で書いてある部分をわかりやすく変えさせていただきました。

 11ページにつきましても,矯正歯科の中が1つにまとまっていたのを2つに分割して,わかりやすくしました。

 それから,12ページと13ページは,歯学系は歯科医療行為を水準1から4に分けておりますが,これにも少しご意見をいただきまして,文言等,あるいは内容等を追加させていただきました。

 15ページ,「優れた歯科医師を養成する体系的な歯学教育の実施」でございますが,ここもまず前文の「歯科医師に求められる基本的な資質」,これは先ほどの再掲になりますが,医科に合わせて直させていただきました。

 それから,17ページも,先ほどのパブコメの内容にございましたが,「災害時の歯科医療の必要性について説明できる」という項目を一つここに加えさせていただきました。

 それから,18ページでございますが,ここでは,実は以前のコア・カリにはあった内容を,中間とりまとめ案では,そこまで細かく書くことはないということで外したものを,説明会,あるいはパブコメにおきまして,明確な歯科の特徴であるこのような材料で明確に名称を書いたほうがいいというご意見がありましたので,再度今の現行カリキュラムとほぼ同じような文言を入れさせていただきました。

 それから,20ページ。この上の「画像検査」,いわゆる放射線のところですが,この内容も,医科ほど詳しくは歯科は項目立てはしませんが,それでも基本的な内容につきましては,医学系が直されたのと同じように文言等を参考にさせていただきまして,このように、少し細かい,深くなった文言まで入れさせていただきました。

 次が,,25ページの一番下でございますが,口腔乾燥,あるいは口腔乾燥症ということでは,歯科にそういう訴えで治療を求めてくる患者さんが非常に多くなったということも歯科の中ではトピックになっているんですが,このことを鑑みて、コア・カリの中に明確に「口腔乾燥を概説できる」という1項目を入れさせていただきました。

 それから,26ページでございますが,これはどちらかというと組みかえの内容ですが,今までのコア・カリでは少しわかりづらい組み方をしていたのを,明確にしました。すなわち、う蝕その他の硬組織疾患の部分をまずすべて挙げて,その次に,う蝕が進んだ後に生じる疾患,その後,いわゆるそれを直すクラウン,あるいは義歯という順番に明確に直させていただきました。 それから,30ページのデンタルインプラントの項目でございますが,これは先ほどのパブコメでもありましたように、歯科の今のトピックでございまして,「インプラント義歯」というのを,「義歯」だとどうも,いわゆる入れ歯というようにとられがちなのを防ぐ意味で,明確にここは「デンタルインプラント」という単語を入れさせていただきました。ただ,さすがに実習等につきましては,まだコア・カリの原則である、29歯科大学・大学歯学部全部に実施を求めるにはまだ少しレベルが高いのではないかということで,これは各大学の選択のほうに入れましょうということになりまして,項目としては入れておりません。

 32ページは,研究マインドの涵養に含まれる前文でございまして,このように医学系と同じように研究志向の文言を参考にさせていただきました。

 また,34ページの「生涯学習への準備」でございますが,,いわゆる男女共同参画等に関係した項目につきまして,一般目標の中にこのような形で文言を入れさせていただきました。

 36ページの「その他」でございますが,ここの「様々な社会的ニーズ」につきまして,先ほどの江藤委員長も言われましたように,パブリック・コメントにもいろいろなご意見をいただきましたので,以下のようにつけ加えるようにしました。

 まず,1つは,医療の安全性の確保につきまして,この文言も医学系の改訂内容を参考にして直させていただきました。すなわち、36ページの一番下の⑤には,「薬剤等の副作用」と「薬害」を明確に分けさせていただきました。

 また,37ページの⑧もこのような形で,「医療関連感染症の原因および回避する方法を概説できる」という項目を入れさせていただきました。

 また,下の「医療従事者の健康と安全」の⑤も新しく,労働環境の改善の必要性につきまして項目を入れました。

 それから,39ページでございますが,上のほうは患者中心のチーム医療ということで,ここもいわゆる医療のチームの連携につきまして,チーム医療につきまして,医学系の内容をほぼ参考にさせていただきました。ここも先ほどの議論と同じように,歯学系はここに「歯科衛生士,歯科技工士」という歯科に特徴的な医療職は入れましたけれども,やはりもう1つ,「その他の医療職等」を入れてもいいのではないかと現在考えています。

 それから, 40ページの下のほうも,男女共同参画の促進の一環としまして,「歯科医師に求められる基本的な資質」の中に「自己研鑽」ということで,このような文言を入れさせていただきました。

 また,41ページは,先ほど名川先生がご説明されたように,「モデル・コア・カリキュラムの利便性の向上に係る対応」につきまして,歯学系も今回の工夫につきまして,従来のA項目とB項目を統合しましてA項目にしました。そうすると,今までのC項目以降が1つずつ戻って,B項目,C項目,D項目,E項目になりまして,今までF項目であったものを,今般,新しく「臨床実習」というもので1項目大きくつけ加えさせていただきましたのが歯科の今回の改訂の特徴でございます。

 また,歯科は医科と違いまして,各コアカリ番号の左側の記号ですけども,最初から「*」をつけていました。歯科の「*」は,臨床実習開始前までに学習しておく,到達しておくべき内容につきましてをつけていました。ですから,実質上は,共用試験のCBT,OSCEのいわゆる範囲とほぼ重なるということになっておりますが,あくまでもこのモデル・コア・カリキュラムの改訂作業を私たちが行っている時には,いわゆるCBTに出る出ないということを最初から考えながら作っていったというこはございませんが,結果論としてはそのようになるので,ここに書かれたとおり,やはり医学系と同じように将来は削除する方向で検討するということになると思います。

 それから,41ページの一番下,歯学系も,先ほどの名川先生の言われたこの青いバインダー中の後ろのほうの,緑色の平成19年の改訂版というのがございまして,この中をあけていただきますと,この前文のほうの11ページに,臨床実習の量的配分の例示ということで,細かくそれぞれの臨床実習の内容につきまして,何週やるべきであるとか,そのような1つの参考資料を載せております。しかし、今回の41ページで書きましたとおり,このような例示は削除して,各大学の裁量にゆだねるという形にさせていただきたいと思います。

 42ページ以降は,ほぼ再掲になりますが,先ほどご説明したとおり,現行のカリキュラムのAの「医の原則」とBの「歯科医師としての基本的な態度」を統合・整理して,量的なものを少なくしようということで,43ページ以降のB項目の現行の「歯科医師としての基本的な態度」はほぼ削除しながら,どこかほかの項目とまとめるという作業をかなり繰り返し行いまして,量的には,このA,B領域につきましては,かなり減りました。

 また,47ページをあけていただきますと,医学系の準備教育モデル・コア・カリキュラムの関係の明確化ということで,今般,準備教育モデル・コア・カリキュラムの中から「生命現象の科学」という項目を外しましたが,歯学系もこの部分について合わせて外さなければいけないということで外しましたが,現実には,医学系と違って歯学系は,ほぼ同じ内容が旧D領域,今は新しくなったCの領域の「生命科学」というところにすべて載っております。したがって現実に何が起こったかといいますと,この準備教育モデル・コア・カリキュラムから「生命現象の科学」の項目が削除されたということになりまして,新しく加えたのは,この「アミノ酸」の項目を一番最初に入れたということだけでございます。

 51ページは,ミスプリが1個ありますが,医学系ほど多く単語が変わったということは歯学系はありません。修正案として,このような単語に変えたいということで今,最終的にチェックさせていただいております。

 52ページ,53ページは,今説明しました「歯科医師として求められる基本的な資質」につきまして,この新しい最終案では,,医学系と同じように表記も同じにさせていただきました。53ページは現行との比較でございます。以上が,歯学系の調査研究チームが最終的につくりました報告案でございます。以上,ご説明を終わらせていただきます。

【江藤委員長(歯学)】  荒木先生,ありがとうございました。

 極めて短期間の間に,迅速に調査研究チームに作業していただきまして,この席をかりて御礼申し上げます。

 それで,ただいまの報告内容でございますが,若干私のほうから補足させていただきます。

 まず,1点目でございますが,歯学と医学の用語の調整でございます。歯学のただいま説明いただきました資料2でございますが,資料2の22ページをごらんいただきたいと思います。

 22ページのE-1-5)救急処置の①のところに,「歯科治療時の全身偶発症を説明できる」とございます。この「偶発症」という言葉でございますが,医学のコア・カリの中には,これに相当するものとして「合併症」と出てございます。医学のコア・カリの中には「偶発症」というのは全く使用されてないということで,これはチーム医療等を推進するということもございますので,用語を統一すべきであるということで,案としましては,歯学コア・カリキュラムの「偶発症」,実は資料2の21ページの上の段落でございますが,E-1-3)の(4)全身麻酔法とございますが,この②のところで,「全身麻酔の適応と禁忌および合併症を説明できる」となって,ここには「合併症」という言葉が出てございます。

 それで,医と歯の調整案としまして,この偶発症というのは,どうやら歯科麻酔学会でかなり議論して,「偶発症」と決めた経緯がございますので,「合併症(偶発症)」と修正することを今考えております。それが1点目でございます。

 それから,2点目は,食育を歯学コア・カリの中に入れるという案でございますが,ご存じのように食育推進会議が食育基本法に基づきまして,第2次食育推進基本計画の骨子に,「よく噛んで味わって食べる」などの食べ方に関心がある国民の割合の増加と。それで,歯科保健活動における食育の推進が明記されてございますので,案としましては,22ページの下のほうに「口腔保健」とございますが,これのE-1-6)の(2)の「歯科保健指導」の6番目が禁煙指導でございますが,7番目に,「ライフステージに応じた食育について説明できる」という項目をつけ加えることを検討したいと思っております。以上の2点が補足でございます。

 それでは,この補足を加えまして,先ほどのこの最終報告案についてご質問,ご報告がございましたら,お願いいたします。

【奈良委員】  よろしいでしょうか。

【江藤委員長(歯学)】  どうぞ。

【奈良委員】  東京医科歯科大学の奈良です。資料2の25ページの真ん中のところの④ですが,「三叉神経麻痺」で「(知覚麻痺,運動麻痺)」と書かれています。が,医科のほうでは,現在は「知覚」というよりも「感覚」という表現の方が一般的だと思いますので、ご修正された方がよろしいかと思います。ほうを現在使っておると思いますので,今,黒岩先生に,ご専門ですから確認したら,やっぱり「感覚」だということですので,「感覚」のほうがよろしいかと思います。

【荒木委員】  ありがとうございます。調査研究チームで協議しましてご指摘の通りにさせていただきたいと存じます。

【江藤委員長(歯学)】  じゃあ,検討させていただきます。

 ほかにご指摘の点はございませんでしょうか。どうぞ。

【堀内氏】  薬物療法については,50ページ,「C-5-3」薬物の適用と体内動態」と,それから麻酔のところだけに記載があると思います。C-5-3)薬物の適用と体内動態,「生体と薬物」のところですが,処方せんについては記載がありませんが,よろしいのでしょうか。医師の方は,処方せんについては記載がありますけれども,歯科医師も処方せんを出すことが歯科医師法の中でも記載されていると思いますが,きちんとした記載の仕方を習得することが必要だと思います。

【荒木委員】  ありがとうございます。実は,12ページの臨床実習の水準1には明確に書いてあるんですが,コア・カリのいわゆる項文というんですか,条文としては明確に「処方せん」という単語は今,先生の言われたようにありません。ですから,この「臨床実習の内容」の水準1のところで出ているから,これでよろしいとするのか,それとも今言われたようにきちんとどこかに入れさせていただくかということを協議させていただきたいと思います。

【江藤委員長(歯学)】  どうもありがとうございました。

 ほかにご質問等,ございません……,どうぞ。

【宮村委員】  質問すべきかどうか迷ったんですけども,この医学教育のモデル・コア・カリキュラムと歯学を両方説明いただきました。

 で,何ら文句も何にもないんですけど,ただ,ちょっと後々のということでご質問申し上げるんですが,医学のモデル・コア・カリキュラムの診療の基本ということで10ページがございます。それで,歯科のほうというのも,めったやたらと「口腔」という文言が出てくるんですけど,歯学の23ページ。歯学のカリキュラムの中には「口腔」という形でどんどん出てくる。口腔が一体何を指すのだということは全然別にして,それは僕はそんなことを議論すべきじゃないと思うんですけれども,医科のほうに,10ページに,気になったのが,「頭頸部」のところに,「口腔,咽頭」のほかに「口唇」というのがあるんです。

 で,「口唇」があったから,これは困るという意味じゃないんだけど,そうすると,「口唇」というのだけ特掲するということがもしあるとすれば,歯科にも「口唇」という言葉を書いておかないと,後から何もさわれなくなっちゃうんじゃないかなというのが気になったんですが,これは言うべき話じゃないでしょうか。それだけが気になった。

 というか,医科のほうで「口唇」というのは,なぜここに出たのか。

【福田委員長(医学)】  これは診察上のことですけれども,例えば口唇の乾燥状態とか,それから,そこからちょっとめくればチアノーゼとか,いろいろ状況がわかります。全身診察の一部として,見た目ですぐわかるので,そういう意味で入っているんです。昔から入っています。

【宮村委員】  わかりました。動機が何だか変だなというふうには思ってないんだけれども,何か,僕は歯科医師会なんですが,いずれそういうところで,「『口唇』はここにある」とかというのをよくやるんですよね。で,ちょっと気になったものだから,これがどうこうよりも,歯科のところに「口唇」とかというものが全く文言として入ってないもんだから,よろしいでしょうかという。それは含まれているということでいいんだね。

【荒木委員】  もちろん定義ですから,口腔の中に口唇が入らないと言われましらそれまでですが,私たち歯科医師としての発想では,「口腔,頭蓋,顎,顔面」というと要するに「口唇」も含めたすべてというイメージを持って,わざわざここに「口唇」という一言は,いわゆる一つの解剖学的なものとしてはイメージして書いたことはあまりないような気がします。病気として,例えば「口唇口蓋裂」,こういう単語としては使うのですが,コア・カリにも入っていますが,今,医科のほうで書かれているような発想で「口唇」と書くのは現時点ではないというのが今の現状でございます。

【福田委員長(医学)】  どうぞ。

【上條歯科保健課長】  確かに私も一瞬見まして,これは正直言いますと,顔面のところに当然口唇は入るんだろうという見方をさせていただきました。

 それで,実は,歯科医師国家試験の出題基準というのは,やっぱりこういう「口腔・顎・顔面の構造」というのがございまして,その中に明確に「口唇」というのを項目として入れております。ですから,このときには当然入るだろうという解釈かと存じます。

【宮村委員】  委員長。

【福田委員長(医学)】  どうぞ。

【宮村委員】  全く構いません。僕ははっきり言えば保身的な発言でありまして,議事録にさえ載っていれば,これは結構だと思っています。

【江藤委員長(歯学)】  解説を私がしなくても,かなりデリケートな問題だということはご理解いただけると思いますので,一応,宮村先生,確認のためにご質問されたということでございます。

【荒木委員】  よろしいでしょうか。

【江藤委員長(歯学)】  どうぞ。

【荒木委員】  今の議論とは別ですが、私もちょっと見過ごしていましたけど,これは委員の方しか配ってないんですが,持っている方は29ページでございますが,現行のコア・カリの中の,臨床歯学教育,今度E領域になりますが,今まではF領域ですが,1-1)基本的診療医療の⑲に,「処方と処方せんの書き方を説明できる」と明確にコア・カリに載っております。この条文は残っておりますので,そのまま改訂版のほうにも残ることになりますので,その点ではきちんと教育されるようになっておりますので,大丈夫でございます。私の確認ミスで大変すいませんでした。

【江藤委員長(歯学)】  処方せんの問題でちょっと後戻りしましたが。ほかにございませんでしょうか。

 ほかにご意見がございませんようでしたら,これで意見交換等は終了させていただきます。

【名川委員】  よろしいでしょうか。

【江藤委員長(歯学)】  どうぞ。

【名川委員】  ちょっと私もよくわかりませんけど,文言で,資料2の歯学だと4ページの一番上に,「シミュレーター」と書いてあって,資料1の医学のほうの11ページ以降は,「シミュレータ」と,伸ばすかどうか。これはどちらかに統一したほうが。

【福田委員長(医学)】  統一いたしますか。これはどうしましょうか?

【荒木委員】  奈良先生,どっちに統一いたしますか。

【奈良委員】  伸ばさない。

【福田委員長(医学)】  例えば「コンピューター」というのも「タ」を伸ばさずに「コンピュータ」でとめていると思いますが。「タ」でとめていることが多いと思います。

【荒木委員】  「タ」ですね。それでは「―」、これを消すほうがよろしいですね。歯科のほうからこれを外させていただきます。

【江藤委員長(歯学)】  じゃあ,そうさせていただきます。ありがとうございました。

 ほかにございませんでしょうか。かなり細かいご指摘をいただきまして,ありがとうございます。

 それでは,本日いただいたご意見を踏まえまして,最終報告案の内容を一部変更したものを歯学教育モデル・コア・カリキュラムに関する今回の改訂原案とすることでご了承いただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【江藤委員長(歯学)】  ありがとうございました。それでは,そのように対応させていただきます。

 最終報告案の内容を一部修正した改訂原案につきましては,来週,3月2日に開催予定の連絡調整委員会に私より報告させていただきます。なお,具体的な修正内容につきましては,ご一任いただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

 それでは,本日予定した議題は終了いたしました。最後に事務局から,今後のスケジュール等についてご説明いただきます。よろしくお願いいたします。

【井部氏】  意見を言いたいんですけど。

【江藤委員長(歯学)】  ご意見? どうぞ。

【井部氏】  先ほど医学教育のところで,おむつ交換の話が出ました。おむつを変えるのは看護の仕事じゃないかという意見があったということです。

【福田委員長(医学)】  はい。

【井部氏】  この件に関連して資料1の68ページに「基本的臨床手技」が示されております。この「一般手技」のところで,到達目標の1番目が「体位交換,おむつ交換,移送ができる」というのが入っております。私はこれは看護の立場からいうと歓迎ですけれども,一般手技としてこれまで実施されていると私は認識していませんでした。これは新しくもり込まれた内容ですか。前からある項目ですか。

【福田委員長(医学)】  はい。

【井部氏】  あるんですね。私が申し上げたいのは,これは保健師助産師看護師法の中にうたわれていることですが,看護の業務は看護師しかできないと言われていて,ただし,医師法,歯科医師法の人たちはこの限りではないと。つまり,医師法,歯科医師法に基づく医師,歯科医師は看護の業ができるということを保助看法に規定されています。そのことをどのぐらい考えられて医学教育や歯学教育のカリキュラムの構築がされているのか。つまり,看護の業ができるということはとても大きなことでありまして,私は保助看法の欠陥じゃないかと思っているんですけれども,世の中に十分認識されていないのではないかと思っております。その意味からしますと,体位交換,おむつ交換,移送といったような看護が最もよく扱う内容が医学教育の中にあるということは,看護の業をするということを意図して入っているのだろうかと思うわけです。先生のご見解を教えていただきたいと思います。

【福田委員長(医学)】  当初から,それを念頭に置いてやっておりました。外国の,例えばドイツなんかですと,基礎看護業務を医学部の学生にやらせています。それをきちんと実習した証拠のサインをして提出させるようにしています。基本的にそういう看護業務の内容であっても,やはり医師として何もできないというのも変な話で,私のほうでそういう想定を初めからしておりました。

 今回,それは要らないのではないかというご意見がありましたけれども,基本的な考えとしては,当然やらならなければいけない,できなきければけないのではないかという観点でおります。よろしゅうございましょうか。

【井部氏】  そうしますと,看護は業務独占と言われているにもかかわらず,業務独占ではないわけでありまして,そこがまた次の矛盾になるのではないか,ここで議論するべきことではないかもしれませんけれども,保助看法を考えるときに非常に引っかかるところであると思います。

【福田委員長(医学)】  その辺は,医療チームとしてやる場合に,医師単独の場合もありますので,当然それはできてほしいというのは私どもの基本的な考えであります。

【井部氏】  これは今後の課題であると私は思っております。

【江藤委員長(歯学)】  ありがとうございました。

 それでは,事務局からお願いいたします。

【唐沢課長補佐】  お手元の資料3,1枚紙の「今後の検討スケジュールについて(案)」をご覧ください。

 本日,2月23日水曜日,この専門研究委員会において,先ほど医学・歯学ともに今回の改訂原案をおまとめいただきましたが,来週の水曜日,3月2日には,この専門研究委員会の親会でございます連絡調整委員会を開催いたしまして,本専門研究委員会の両委員長より,本日おまとめいただいた改訂原案をご報告いただき,審議を行い,そこでのご意見等を踏まえて修正したものを今回の改訂内容として決定したいと考えています。その後,現時点でのスケジュールといたしましては,最終的には先ほどご覧いただいた黄色の冊子である医学教育モデル・コア・カリキュラム,緑色の冊子である歯学教育モデル・コア・カリキュラム,それぞれを更新した形のものを本年度中,つまり来月中に作成し,大学等に周知する予定でございます。

 なお,次回の連絡調整委員会には,本専門研究委員会より両委員長に加えまして,チームリーダーである名川委員と荒木委員にも陪席いただきまして,フォロー等していただければと考えていますので,よろしくお願いいたします。

【江藤委員長(歯学)】  ありがとうございました。

 本日の会議でございますが,これが専門研究委員会,最後でございます。本日,文科省の高等教育局の加藤審議官においでいただいておりますので,一言ごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【加藤審議官】  加藤でございます。

福田委員長,江藤委員長をはじめ委員の先生方,またゲストスピーカーの先生方,昨年6月以来,8回にわたりまして非常に精力的にご議論いただきまして,ありがとうございました。また,名川先生,荒木先生はじめ,調査研究チームの先生方にも,非常に実質的な重要なご審議をいただいたわけでございます。

 おかげさまで,本日は,この調査研究チームからモデル・コア・カリキュラムの改訂内容の最終報告案をご提示いただきまして,ご議論の上,この委員会としての改訂原案を取りまとめていただけたということで,大変感謝申し上げておるところでございます。

 この改訂原案につきましては,来週,来月3月2日に開催される予定の連絡調整委員会でのご検討を経て,内容を確定していただけたらと思っておるわけでございます。文科省といたしましては,今回の改訂版のモデル・コア・カリキュラムを各大学にきちんと周知いたしまして,各大学において,このモデル・コア・カリキュラムを活用した主体的で特色ある教育が一層展開されますよう努めてまいりたいと考えております。

 また,来年度以降でございますけれども,このモデル・コア・カリキュラムで示されました内容の実効性を確保して,各段階で求められる能力を適正に評価する仕組みを構築してまいりたいと考えておりまして,臨床実習などにおける評価システムのあり方について,ご検討を進めていただきたいと考えておるわけでございます。そういったことで,委員の皆様方には引き続きご協力をお願いするわけでございますけれども,よろしくお願いしたいと思います。

 このたびは,まずはこのモデル・コア・カリキュラムの改訂につきまして,大変多大なご尽力をいただきましたこと,心から感謝申し上げまして,ごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。

【江藤委員長(歯学)】  加藤審議官,どうもありがとうございました。

 最後に,福田委員長から,一言お願いいたします。

【福田委員長(医学)】  加藤審議官,どうもありがとうございました。また、文部科学省の皆様には大変な作業をしていただきまして,サポート,ありがとうございました。

 多くのコメント,パブリック・コメントをいただきました。私共は全部拝見いたしました。それから,名川先生のチームがかなり丁寧に各大学,学会等にもアンケートをしていただきました。その内容も全部拝見いたしました。非常に多くの要望があり,充実する方向に向けてのご意見が非常に多かったというのは大変ありがたかった。

 このモデル・コア・カリキュラム,改訂が3回目になります。当初つくったときのことを今思い出していましたが、名川先生,それから奈良先生も参加されておられましたが,平成13年,2001年ですね。このとき既にイギリスで,1993年に「Tomorrow's Doctor」の初版が出ておりました。1998年には,米国の医科大学協会から,メディカルスクールプロジェクトがあって,オブジェクティブ(学生の到達目標)のガイドラインをつくるということが設定されました。ですから,その前後,私どもがつくったときに,かなり早い時期に,各国ともほとんど同じようなことでやっていたということを改めて感じました。

 それから,さらにもう少しさかのぼってみますと,文科省の「医学教育の改善に関する調査研究協力者会議」が1987年にすでに置かれています。この内容も私どもは参考にいたしました。そうしましたら,ここで今日の原点に当たるようなものが既に出されておりました。当時,これをつくられた阿部先生だと思いますけれども,東京慈恵会医科大学の阿部学長です。その最終とりまとめの中でかなり大事なことを提言しています。その記載を含め明文化されているところを見ますと,要するに,その当時は入学定員を増やしていた時代でして,定員の増加を増やした後,これからは量から質への転換を図るために,その後のためにこういう提言をしたとの記載となっています。この内容を幾つかまとめてみますと,基本的な知識,技能,それから態度・習慣,この3項目についてかなり細かいことを到達目標として掲げています。ですから,振り返ってみますと,我が国ではかなり早い時期から今日と同じような取り組みが行われてきたということで,間違ったことではないと改めて思いました。

 もう1点は,今回,感染症を含めて,医療安全のことについてのご意見がたくさん出てきました。これは非常に大事なことで,このコア・カリキュラムを初めに策定したときに,医療安全をどうしてもやらなければならない国内での重大事故が幾つかありました。それを受けて我々としては策定に苦労しました。

 その当時,外国のものを見ても,あまり例がないんです。外国で出始めたのが,改めて見直して見ますと,2002年なんです。これはイギリスでした。それから,2007年にやっとカリキュラム上,そういうものが必要だということを言い始めたています。その点に関して,私どもとしては,医療安全に関してはかなり早くから手をつけていたということが改めてわかりました。最近,WHOから,2009年にペーシェント・セーフティーとして,厚い「Patient Safety: Curriculum Guideline for Medical Schools」が出ました。その中には詳しい説明が書いてあり,改めて医療安全という立場は,医療全部を含めての話になりますけど,患者の安全という視点も当然入っています。こういう視点を振り返ってみますと,今回のこの会議ではかなりのエネルギーを使ってやっていただき,名川先生のチームにもご迷惑をおかけしたと思いますが,それから荒木先生のチームもご苦労をおかけしました。そのような医療や患者の安全の視点で,インターナショナルにもかなり遜色のないものをつくっていっていると考えておりますので,改めてご意見といただいた方々やご指導いただいた文部科学省の方々にお礼を申し上げて,あいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。

【江藤委員長(歯学)】  福田先生,どうもありがとうございました。

 このコア・カリを,今,福田先生がおっしゃったように,2001年につくったとき,1つの動機は,医も歯も,卒業時の臨床能力が諸外国に比べるとかなり劣っていると。それを充実させるためのまず一歩としてコア・カリ,それから教養試験があると。10年たって,そこの卒業時の臨床能力という最大の目標が達成されたかというと,必ずしもそうではないという総括を医のほうも歯のほうもされております。ですから,このコア・カリの改訂というのは,改訂して終わるんじゃなくて,改訂から初めて始まるということであろうと思っております。先生方,よろしくお願いいたします。

 それでは,本日の会議はこれで終了とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

 

 

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