資料4 医学・歯学教育に係るカリキュラムの改善に向けて(看護職からの期待)【井部俊子氏】

1.新たな医師臨床研修制度に看護職として期待すること (井部,2003年)

1)基本的な診療能力の向上による確実で迅速な判断ができること

 

2)患者を全人的に診るために、他の専門職との連携を促進し、真のチーム医療の実現を可能とする医師であること

 

3)そのためには、謙虚でありかつ寛容さが求められること

(口の利き方が悪いという研修医のために、病棟師長は苦労しているというエピソードが少なくない)
指導医がいれば研修医の指導は完結するといった“認識”は傲慢である。

4)つまり、何事もマナーという作法があることとコミュニケーションが基盤であること

そして、一定の守らなければならないルールがあるといった社会性を早期に体得すること

5)そして、少なくともリスクマネジメント報告くらいは覚醒していられるくらいの“健康的な生活”を確保されること

 

2.その後の疑問

1)医学は「患者を全人的に診る」というパラダイムをもっているか

 例:医師は「どうしましたか」と相手に問うが、相手の答えをきいていない。(自分のききたいことだけを選択する?!)
 例:同僚として勤務しているナースは、医師に「わかってもらいたい」と異口同音に話す(わかってもらいたい願望)

2)「真のチーム医療」を実現するために、医師はチームリーダーとして適切か

チーム医療における4つの困難性(細田,2003年)

「専門性志向」「患者志向」「職種構成志向」「協働志向」

  • リーダーシップやマネジメント理論の学習と実践が必要
  • EQ(心の知能指数)は、リーダーの必需品

3)「医師の指示」と看護業務の関係

  1. 医師の指示を仰ぎ過ぎる看護職 ― あいまいな医師の指示範囲
  2. 医師の指示を催促しなければならない現状
  3. 組織のルールを逸脱して出される医師の指示
  4. 医師の指示と看護職のジレンマ

 看護師の専門分野である「生活行動の援助」と、医師の専門分野である「疾病の診断と治療」が、対等に意見を述べ合い医療が進められるべきである。(新たな看護のあり方に関する検討会,2003年)

資料1:井部俊子,主観的な体験としての医療の質,「マネジメントの探究」,ライフサポート社2007.386-390頁
資料2:井部俊子,こころの知能指数(EQ),「マネジメントの探究」,ライフサポート社2007.391-394頁:資料2

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