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(別紙)

教育研究経費と管理経費の区分について

 次の各項に該当することが明らかな経費は、これを管理経費とし、それ以外の経費については主たる使途に従って教育研究経費と管理経費のいずれかに含めるものとする。


  1. 役員の行なう業務執行のために要する経費および評議員会のために要する経費
  2. 総務・人事・財務・経理その他これに準ずる法人業務に要する経費
  3. 教職員の福利厚生のための経費
  4. 教育研究活動以外に使用する施設、設備の修繕、維持、保全に要する経費
    (減価償却贅を含む。)
  5. 学生生徒等の募集のために要する経費
  6. 補助活動事業のうち食堂、売店のために要する経費
  7. 附属病院業務のうち教育研究業務以外の業務に要する経費
解説
1.  文部省の学校法人財務基準調査研究会は、去る9月30日付で、文部省管理局長宛に「教育研究経費と管理経費の区分について」と題する報告を行なっておりますが、同報告は、11月27日の管理局長による文部大臣所轄学校法人理事長宛の通知のかたちをもって公表されました。
 「通知」の方には、次の2つのことがらが明らかにされております。その第1は、「報告」は、直接には同じく調査研究会の「報告」としての「学校法人計算書類記載要領」を対象としておりますが、その趣旨は、文部省令としての「学校法人会計基準」における教育研究経費と管理経費との区分にも適用されなければならないこと。第2は、「報告」の主な事項について、省令の適用上のいわば補足説明を加えていること、以上であります。そこで、以下の解説におきましても、実質的に省令の適用上の解釈の指針として、また、「報告」と「通知」の記の4項目を一体のものとして、記したいと思います。
2.  教育研究経費と管理経費の区分の問題につきましては、教育研究経費に含めるものの範囲を広く解するか、狭く解するかの広狭2説がありました。それぞれに理由があります。
 広く解しようとする説は、もともと学校法人は、教育・研究を事業目的とするのであるから、学校法人のすべての経費は、本来、教育・研究のためのものであるはずである。しかしとにかく、一応、管理経費の区分がおかれているので、しいて区分するなら最小限のもの、たとえば、法人本部関係経費の程度に限られるべきであると主張します。
 これに対して、狭く解すべきだとする説は、なるほど、学校法人の経費はいずれも教育・研究を目的とするものにちがいないが、それを承知の上で経費を2区分することとされたのは、教育や研究の現場において、それらの活動と直接に関係するいわば教育・研究の直接経費のみを「教育研究経費」として予定していたものと解釈しなければならない、と主張しました。
 研究会の結論は、「報告」にご覧のように、結果としては、是非はともかくとしてどちらかというと比較的に広く解する方向を採る結果になったように思われます。
 そこで、「報告」の本文(別添)冒頭に記されているように限定的に列挙された7項目に該当することが明らかな経費のみについて、かならず管理経費とすることを求める体裁がとられました。それ以外の経費については、法人の自主的(もちろん合理的でないと困るわけですが)な判断にゆだねられております。これによって、この区分については、各法人を通じての統一性が期待されるわけで、とくに「報告」を行なったいちばん大きな意義も実はそこにあったと考えられます。
 なお、現在は省令会計基準の適用初年度の進行中にあたり、この件の審議検討にあたりましても、実務経験による十分なチェックが成り立たない事情にあります。このため、今後も弾力的に検討する必要のあることを、「報告」自体も、みずからことわっております。
3.  次に、「報告」が管理経費としなければならないとする各項目について簡単に説明いたします。
「報告」の1については、「通知」の1をもって、「役員の行なう業務執行のために要する経費」が、役員が直接行なう狭義の業務執行にともなって生じる経費を指すものであることを、念のため明らかにしております。
 「報告」の2は、「通知」の2によって補われておりますが、これは例えば次のような取り扱いになることを意味します。たとえば、ひとつの学部や附属高校などが、いわゆる本校所在地から離れている場合、それらの遠隔地の学部や学校にも事務室がおかれているのが普通です。その事務室経費のうち、総務や経理関係に係るものがあれば、それは必ず管理経費に含めなければならないというのが主旨であります。この場合、事務室関係経費(これには教務関係も含まれましょう)が全体として少額で、わざわざ管理経費分とその他の分とに分けるのが面倒だとして、これを全額管理経費に含めることは、法人の任意と解されます。しかし逆に一括して教育研究経費とすることは認められないと解さなければなりません。
 「報告」の3については、教員関係福利厚生費も管理経費とされていることに留意する必要がありましょう。
 「報告」の4のカッコ書については、もちろん消費収支計算においてだけ意味があります。なおこの「報告」における区分は、資金収支計算と消費収支計算の双方を対象としております。
 「報告」の5に対する「通知」の3は、ある意味で当然のことでありましょう。
 「報告」の6に対する「通知」の4は、たとえば、全寮制を採っている学校でのその寮関係経費は、まぎれもなく教育研究経費に区分されましょうが単に遠隔地からの学生の一部に対して寄宿舎を用意しておくという程度の場合には、管理経費に区分するのがふさわしいとしているものと解されます。
 「報告」の7は、医学系の学部等を設置する学校法人だけの問題ですが、この項目は、問に対して問をもって答える観があり、十分の指針になっていないように反省されます。つまり、附属病院業務については、教育研究業務とそれ以外の業務との区分自体の決め手を見いだすことがむずかしいのでありますが、この「報告」における教育・研究と管理の区分の仕方の基本的な考え方に照らしながら、協会の委員会等においても具体的な検討を進めることが必要になるように思われます。
4.  次に、以上とは全く別の問題に触れます。周知のように省令は、「資金収支内訳表」の作成を求めております。この表については、作成手続その他においていろいろの問題点が指摘されております。(それ故にこそ、監査事項の指定からは除かれております。ただし学校法人は作成し提出しなければなりません)そこで、これについても、調査研究会の「報告」を行なう構想がいちおうは考えられたのでありますが、実はこの表は省令に独自のものであり、調査研究会のこれまでの「報告」では言及しておりません。そこで文部当局は、研究会の「報告」をふまえるということでなく、独自に資金収支内訳表作成の趣旨、作成上の留意点について通知等のかたちをもってその見解や指針等を明らかにするもようであります。以下に大方のご参考に供するため、現在検討中の(案)を掲げます。なお、別表につきましては、過日の協会研修会で配布した資料とは一部に変更がありますのでご留意ください。なおまた、これはあくまでも現在の案であることをご承知おきください。
(昭和46年12月16日)(学校会計委員会 村山徳五郎)


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