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国立大学法人への減損会計基準の導入について(案)
資料2

1. 附属病院の取扱い
(1) 附属病院の収支構造と診療及び教育研究
   前回の資料において、『・・・附属病院における診療業務については、外観上、「独立採算型の運営が予定されている」といえるが、・・・附属病院における業務については、教育・研究・診療を一体として行っており、教育研究のために国費の投入が予定されている・・・』とした。
 これは、附属病院の収支構造について、予算積算上、「診療」については独立採算型の運営が予定されており、基本的には附属病院収入によって一般診療経費及び債務償還経費を賄うこととなるが、不足がある場合にはその補填として附属病院運営費交付金が措置される。また、「教育研究」については全額特定運営費交付金による運営が予定されている。両者は、予算積算上の切り分けであり、前者については勿論、後者についても外観上は診療行為そのものである場合もあり、実態として、附属病院においては教育研究診療が一体となって行われている。
 したがって、附属病院における医療機器等や建物等について、診療に使用されているか、教育研究に使用されているかを切り分けることは困難である

(2) 減損会計基準の適用
   このように、附属病院については、教育・研究・診療を一体として行っており、独立採算として切り出すことは困難であるため、企業会計における減損会計基準の直接適用は適当ではないと考えられる。
 したがって、減損会計基準の適用を前提とすると、
1独立行政法人における減損会計基準を適用
2独立行政法人の減損会計基準を基礎としつつ、国立大学法人固有の減損処理を行う(例えば、減損の測定単位として、病院毎又は病院の建物毎などを単位とする 等)
が考えられる(「4.固定資産の一体性の判断基準」参照)。



2. 重要性の原則の適用範囲
   独立行政法人において、減損会計基準を適用しないことができる重要性の乏しい固定資産としては、
1「機械及び装置並びにその他の附属設備」、「船舶及び水上運搬具」、車両その他の陸上運搬具」、「工具、器具及び備品」又は「無形固定資産」(償却資産に限る。)
2取得価額が5,000万円未満であること
3耐用年数が10年未満であること。
のいずれの要件をも満たす場合、重要性が乏しいとして減損会計基準を適用しないことができるとされている。
 さらに、取得価額が小額の「器具及び備品」であって、耐用年数が10年以上である金属製の事務机、金庫等については、3の要件には合致しないが、金額上の重要性が極めて小さいと考えられることから、減損会計基準の適用対象としないこととされている。
 国立大学法人においては、基本的な要件は同様としつつ、1及び2の用件に合致し、3の要件にのみ合致しないものについて、政府調達協定の対象額(10万SDR)未満であれば重要性が乏しいとして減損会計基準を適用しない取り扱いとする。


3. 土地等の瑕疵
(1) 土地
   土壌が汚染されていることが判明した場合、通常、汚染物質の除去等に相当額の費用を要するため、正味売却価額が著しく低下することが想定される
 必要に応じて正味売却価額まで減損処理することも考えられるが、当該土地の売却等が想定されない場合、使用価値については特段の減価が認められないため、減損処理は行わず、改めて当該土地の処分等が想定された際に減損処理を行う取り扱いとできないか。

(2) 建物等
   建物等でアスベストの露出が判明した場合などは、使用可能性が著しく低下したといえ、減損の兆候が見られる。これにより当該建物等を取り壊す場合は、建物について除却処理を行うこととなる。一方、改修後、再度使用する場合は、減損の兆候が見られることについて注記する必要はあるが、減損処理は不要である。


4. 固定資産の一体性の判断基準
   教育・研究を目的とする固定資産については、独立行政法人と異なる取り扱いをする積極的な理由が考えにくいため、減損の単位として、原則として個々の固定資産毎に減損の兆候の有無の判定、認識、測定を行うことになる。
 しかし、独立行政法人におけると同様、複数の固定資産が一体となってサービスの提供を行っていると認められる場合、これらの資産を一体のものとして判定することができるとすべきである。
 また、病院について、減損の測定単位として固定資産毎ではなく、例えば、病院毎又は病院の建物毎などを測定単位とすることが考えられる。これは、病院の診療部分についてはキャッシュ・フローの獲得が見込まれる一方で、教育・研究に見合う相当額の交付金の措置を前提として業務運営が行われると考えられることから、民間における減損の測定単位の考え方を踏まえ、病院の建物等を測定単位とすることができないか。


5. 固定資産の用途変更
(1) 教育研究用機器
   研究用機器を教育用に用途変更するなどの場合、減損の兆候が認識され、注記する必要がある。なお、教育・研究両者を用途とする場合、その使用目的の割合が変更となった場合についても、減損の兆候の認識は行わない取り扱いとする。

(2) 診療用機器との用途変更
   教育研究診療用の医療機器について、その使用目的の割合が変更となった場合についても、減損の兆候の認識は行わない取り扱いとする。


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