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資料4

国立大学法人に減損会計を導入するにあたっての検討課題(例)

1.企業会計における減損会計と独立行政法人会計

 企業会計において減損会計が適用されたことを受け、独立行政法人についても減損会計が平成18年4月から適用されることとなった。企業会計における「固定資産の減損に係る会計基準」は、収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった固定資産について、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、損失を将来に繰り延べないために行う会計処理とされている。一方で、独立行政法人は、「公共的な性格を有し、利益の獲得を目的とせず、独立採算制を前提としない等の特殊性」を有するため、
減損会計の目的は、
 1財政状態を適正表示する観点から、固定資産の過大な帳簿価額を減額
 2適正な業務遂行を行わなかった結果生じた減損損失を損益計算に計上し、業績評価に資する
 3固定資産の減損又はその兆候を明らかにし固定資産の有効活用を促進
することとして減損会計に係る会計基準を設定した。
減損の定義は、
 ア)固定資産に期待されるサービス提供能力が著しく減少し、将来にわたりその回復が見込めない状態
 イ)固定資産の将来の経済的便益が著しく減少した状態
とされている。

2.国立大学法人の特性と独立行政法人会計基準

 国立大学法人は、独立行政法人と共通して「公共的な性格を有し、利益の獲得を目的とせず、独立採算制を前提としない等の特殊性」を有しているが、さらに、
 1主たる業務内容が教育・研究であること
 2学生納付金や附属病院収入等の固有かつ多額の収入を有すること
 3同種の法人が多数設立されることから、国立大学法人法人間における一定の統一的取扱いが必要とされること
など他の独立行政法人との相違点があることから、国立大学法人会計基準の見直しにあたってはこれらの点についても適切に考慮すべきと考えられる。なお、2を除き大学共同利用機関についても同様に考慮すべきと考えられる。

3.国立大学法人会計基準に減損会計を導入するにあたっての検討課題(例)

 2の13の相違点を検討の観点として、独立行政法人会計基準における減損会計を基礎に、必要な加除修正を行うとの方法で検討を行う。

1主たる業務内容が教育・研究
<注5>使用しないという決定について【資料5:P4】
   「固定資産の取得時に想定した使用目的に従って使用しないという決定」をした場合であっても、国立大学法人の業務が教育、研究及び診療と多岐に亘ることから、例えば診療用機器の使途目的を研究に変更することなど、中期計画の想定の範囲内である場合もあるので変更は必要ないか。

2学生納付金や附属病院収入等の固有かつ多額の収入の存在
「固定資産の減損に係る独立行政法人会計基準の設定及び独立行政法人会計基準の改定について」 5「固定資産の減損に係る独立行政法人会計基準」及び改訂後の「独立行政法人会計基準」の性格と取扱い【参考4:P104
   「・・・「減損基準及び注解」は、国からの財源措置に依存した業務運営を行っておりその保有する固定資産について自己収入による投資額の回収が予定されていない独立行政法人を念頭に設定したものである。・・・独立採算型の運営が予定されている業務については、当該業務の性格及び環境等を総合的に判断し、企業会計における固定資産の減損会計基準等を適用することが適切であると認められる場合には、主務省令においてその旨の定めを行う・・・。」とされているが、国立大学法人の附属病院における診療業務については、外観上、「独立採算型の運営が予定されている」といえるが、附属病院の業務については、教育・研究・診療を一体として行っており、教育及び研究のために国費の投入が予定されていることから企業会計における減損会計基準等の対象とはしないこととはできないか。

3国立大学法人間における一定の統一的取扱い
<注1>重要性の乏しい固定資産について【資料5:P2】
   「本基準を適用しないことができる固定資産の重要性の判断について・・・独立行政法人の業務運営における主要な固定資産については、重要性が乏しいものとしてはならない」とあるが、国立大学法人においては、比較可能性の確保の観点から一定の統一的な基準の設定は必要ないか。
第3 減損の兆候【資料5:P2】
  「3 複数の固定資産が一体となってそのサービスを提供するものと認められる場合には、減損の兆候の有無について、これらの資産を一体として判定することができる。」とあるが、一体性について一定の判断基準の設定は必要ないか。

4その他
第8 行政サービス実施コスト【資料5:P7】
  国立大学法人等業務実施コスト計算書へと名称変更が必要である。また、「国立大学法人会計基準における同計算書の様式について、損益外減損損失相当額の科目の追加が必要となる。


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