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資料2

「医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」の第一次報告(案)に関するパブリックコメントの結果について

高等教育局医学教育課

 「医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」の第一次報告(案)に関し、平成18年10月5日から同年11月4日までパブリックコメントを実施したところ、14件のご意見をいただきました。ありがとうございました。
 主なご意見の概要及びそれに対応する文部科学省の考え方は以下のとおりです。とりまとめの都合上、内容により適宜集約させていただいております。
 今回ご意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。

 意見募集の概要
 
1  期間 平成18年10月5日〜同年11月4日
2  告知方法 文部科学省ホームページ
3  意見受付方法 電子メール

 受付意見総数 14件

1  地域医療を担う医師の養成及び確保関係
 
1  地域医療の崩壊を教育だけで食止めようとするには無理がある、医療制度上の改善策等とともに、卒後の国家試験、新臨床研修制度、専門医まで体系化した医師養成等一貫性のある改善策が必要、との意見。
2  国等で医師を募集し医師を派遣する組織を設けるべき、との意見。
3  地域の魅力のアピール、地域医療を行っている医師の広報、地域に行く医師に対する支援策の充実、臨床研修における地域研修の充実、総合医の意義の再確認、ベテラン医師へのアピールなど、医師が地域医療に従事することに魅力を見出せる環境整備が必要、との意見。
4  学生のうちから自分の住む地域の実態に目を向けるなど地域医療の特性を踏まえた学習が必要、との意見。
(回答)
13について
   第一次報告(案)においても記述しているように、地域の医師の偏在等の問題に対する対応としては、医学部定員の取扱いのみならず学部教育の改善、地域に必要な医師の確保の調整を行うシステムの構築や、卒後の新医師臨床研修や専門医研修、総合診療医の育成、様々な年代の医師が学ぶ機会の提供、定年退職した医師の復帰支援等総合的な取組が必要と認識しています。今後、調査研究協力者会議において、いただいたご意見も参考にしながら、新医師臨床研修や専門医養成等の課題についても最終報告に向けて更に検討を進めていきたいと考えています。なお、本年8月に関係省庁(厚生労働省、総務省及び文部科学省)において取りまとめた「新医師確保総合対策」においては、医師派遣(紹介)・キャリア形成システムの再構築、臨床研修における地域医療や小児科・産婦人科での研修への支援、地域医療確保の観点に立った臨床研修プログラムの改善、プライマリケア(総合診療)に係る専門性についての検討等、医学部定員の取扱いや学部教育の改善以外の事項も盛り込まれており、厚生労働省等の関係省庁とも連携しながら、この問題への対応の充実に取り組んでいきたいと考えています。
4について
   第一次報告(案)においても、学生に対する地域医療に関する学習の一層の充実や学生に地域の実情を肌で感じる経験等について記述しているところですが、現在、調査研究協力者会議においては、臨床実習における地域医療に関する内容の充実や臨床実習に係る医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂等についても検討を行っているところであり、いただいたご意見も参考にしながら更に検討を進めていきたいと考えております。

2  医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂関係
 
1  腫瘍について治療に踏み込む改訂は4年次までの学生の負担が懸念される、との意見。
2  「概説できる」「説明できる」といった認知領域に加え、態度や意欲といった情意領域、スキルや行動能力といった精神運動療育に重点を置くべき、との意見。
3  医師国家試験出題基準との整合性について配慮すべき、との意見。
4  項目の削減とともに各項目を学ぶ順序やランク付け(重要度)を示したり学年あるいは節目ごとの学習到達度の統一的な確認を行う等、モデル・コア・カリキュラムがより実用的に機能するための取組が必要、との意見。
5  神経疾患の中でも頻度の高いcommon diseasecommon symptomを十分に教育すべき、との意見。
6  脳卒中がほとんど取り上げられていない、との意見
(回答)
1について
   今回、腫瘍について具体的な治療法も含め医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂を行うのは、がんが日本人の死亡原因の第一位を占めるなどがん治療の充実が求められる中で、医学生の段階からがんの診断から治療さらには緩和ケアまでに必要とされる集学的医療のための基本的事項を確実に習得しておくことが必要との認識に基づくもので、専門的に高度な治療法までは学生の負担等から困難としても、基本的事項についてはこれからの医学生には必要と考えております。なお、文部科学省では、卒後の大学院や大学病院において、専門的に高度な治療法を身につけたがん医療に携わる専門的医療人を養成するための予算を平成19年度予算において要求しているところであり(がんプロフェショナル養成プラン)、がん医療に携わる人材の養成の充実に努めていきたいと考えています。
2について
   今回の医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂においても、例えば、「地域医療に貢献するための能力を身に付ける」「地域医療に積極的に参加・貢献する」などご指摘の点も踏まえた改訂を行っています。なお、第一次報告(案)にもあるように今回の改訂は必要最小限の改訂であり、医学教育モデル・コア・カリキュラムの全面改訂を行う際には、いただいたご意見も参考にさせていただきたいと考えています。
3について
   第一次報告(案)においても、医師国家試験出題基準等を参考に、法制度、名称等の変更に伴う用語や記載上の誤り等の修正の必要性について記述しており、このような観点からも医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂を行いたいと考えています。また、今後、調査研究協力者会議においては、医師国家試験出題基準の改正も踏まえつつ、医学教育モデル・コア・カリキュラムと医師国家試験出題基準および臨床研修内容との整合性の確保のための恒常的な体制の構築について更に検討を行うこととしています。
4について
   第一次報告(案)においても、例えば、一次救命処置(脳心肺蘇生)や、患者のプライバシーへの配慮等の個人情報の取扱いに関する学習は、入学後早期に行う必要がある旨を記述していますが、今回の改訂は必要最小限の改訂であり、医学教育モデル・コア・カリキュラムの全面改訂を行う際には、いただいたご意見も参考にさせていただきたいと考えています。
56について
   第一次報告(案)にもあるよう今回の改訂は必要最小限の改訂であり、医学教育モデル・コア・カリキュラムの全面改訂を行う際には、いただいたご意見も参考にさせていただきたいと考えています。
 なお、医学教育モデル・コア・カリキュラムは、卒業時までに到達すべき医学教育内容全体を視野に入れて記載されており、その中で臨床実習前までに修得すべきレベルを表示しています。今後、全面改訂を行う際には、いただいたご意見も参考に、医学教育全体にわたってさらに洗練された内容となるよう検討したいと考えています。

3  その他医学教育全般
 
1  医師や研究者を育てる専門教育と、人間形成を含む医療人教育の違いを踏まえた検討が必要、との意見。
2  医学教育においては、優れた研究者や優れた臨床医以上に、優れた教育者が何よりも求められる、との意見。
3  保育所・託児所の整備や子育て支援も含めた女性医師に対する支援の充実が必要、との意見。
4  臨床実習に当たる学生の位置づけや基準の明確化と教育体制の充実が必要、との意見。
5  チーム医療、患者さんについてのケースプレゼンテーション、職種・医局間でのディスカッションへの参加、人間性・人生観・プロフェショナリズムを磨く機会などの授業方法の改善が必要、との意見
6  医学教育に患者の視点を取り入れるべき、との意見。
7  「総合診療医」よりも「家庭医」や「家庭医療」が一般的、との意見。
(回答)
12について
   現在、調査研究協力者会議においては、教育者・研究者の養成方策や、医学教育モデル・コア・カリキュラムにおける「医師として求められる基本的な資質」の記載等についても検討を行っているところであり、いただいたご意見も参考にしながら、最終報告に向けて検討を進めていきたいと考えています。
3について
   第一次報告(案)においても、子育て等の理由により退・休職した女性医師の復帰支援等について記述していますが、女性医師の増加に伴う環境整備については、いただいたご意見も参考にしながら、調査研究協力者会議において最終報告に向けて検討を進めていきたいと考えております。なお文部科学省では、大学からの提案に応じて財政的支援を行う事業(「地域医療等社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム」)において出産・育児等により離退職した女性医師を臨床現場に復帰させるなどの新たなテーマを設定するための予算を平成19年度予算において要求しているところです。
4について
   第一次報告(案)においても、臨床実習のカリキュラムの工夫・改善や教育体制の整備・充実等について記述していますが、臨床実習の在り方や充実方策については、いただいたご意見も参考にしながら、調査研究協力者会議において最終報告に向けて検討を進めていきたいと考えております。
56について
   医学教育の改善・充実のためには、医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂等にとどまらず、実際の教育現場における指導方法等の工夫・改善が必要と認識しています。今後、調査研究協力者会議において教育者・研究者の養成方策等について検討する中で、いただいたご意見も参考にしながら、指導方法等の工夫・改善などについても検討を進めていきたいと考えております。
7について
   「総合診療医」「家庭医」「プライマリケア医」といった名称については、調査研究協力者会議においては、「総合診療医」を用いることが適当としたところですが、用いる名称にかかわらず、ご指摘の分野の教育の充実にも努めていきたいと考えています。また、今回の医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂は必要最小限の改訂であり、医学教育モデル・コア・カリキュラムの全面改訂を行う際には、いただいたご意見も参考にさせていただきたいと考えています。


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