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資料3

診療参加型臨床実習の在り方に関するワーキング・グループ(概要)

医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議:診療参加型臨床実習に関するWG第2回会議(概要)

日時:
平成18年4月18日(火曜日)10時〜12時

場所:
古川総合ビルF1会議室

出席者:
WG専門委員
  名川主査、大久保委員、大滝委員、岡井委員、河野委員、後藤委員、新保委員、高瀬委員、丹生委員、平出委員、吉田委員
協力者会議委員
  福田委員、北村委員
厚生労働省医政局医事課
  小澤課長補佐、宮本課長補佐
文部科学省
  磯田大臣官房審議官、栗山医学教育課長、赤塚大学病院支援室長、田中医学教育課長補佐、三枝医学教育課長補佐、神田大学病院支援室長補佐、小川医学教育課専門官、他関係官

議事要旨
1. 文部科学省より説明
 
(1) 第1回WGの概要を説明
(2) 日本におけるクリニカル・クラークシップの現状について説明
(3) 英国・米国との医行為の比較について説明

2. 自由討論
 
【本WGでの検討事項に係る意見】
 本WGのミッションは、コア・カリキュラムのE、Gの臨床実習に関わる部分の見直しというマイナー・チェンジの改訂を行うこと。
 卒後臨床研修に係る厚労省のガイドラインや英国・米国の状況も見つつ、コアカリのマイナー・チェンジをしていく必要がある。
【診療参加型臨床実習の在り方に係る意見】
 「診療参加型臨床実習」「クリニカル・クラークシップ」の意味がはき違えられている。侵襲的医行為を行わせることではない。
 目的や言葉の定義を決めるという議論を始めると、それだけに終始してしまい、本質的な議論ができなくなる恐れがある。クリニカル・クラークシップの定義を議論するのではなく、具体論として、手技として何ができて、何ができないというところから考えてはどうか。
 卒後臨床研修開始までに最低限身につけておくべき医学生が達成すべき目標を定めてからではないと、やっていい医行為は決められないのではないか。
 卒後臨床研修必修化は平成16年度からであり、コア・カリキュラム作成時に臨床実習の中身の到達目標が定まっていなかったのは事実。今一度、ミニマムエッセンシャルを見直す必要がある。
 何をもって「臨床参加型」なのかが明確になっていない。指導医がついていることなのか、患者と接することなのか。何を目指して、どこまでできるのか、実習前、卒業等各段階の到達目標を明確にするとともに医療安全の観点から何をやってはいけないのかということを見直すことが大切。
 臨床実習のうち、手技に関するものは一部のみであり、患者のケアに参加できる能力を養うのが大前提。
【学生に許容される医行為に係る意見】
 学部学生の医行為の水準の範囲のコンセンサスを得ることが必要であるが、近年の医療に対する厳しい目を踏まえ、医療安全の観点からも考えていかなければならない。
 医行為の水準については、卒後臨床研修に係る厚生労働省のガイドラインとの接続性を考える必要もある。
【臨床実習に係るアンケート調査について】
 WGの議論の中で、実際にコア・カリキュラムにおける臨床実習について、各大学の実態を調査した方がいいという意見があった。
 英国・米国とはそもそもの医療制度自体が異なるので、諸外国と臨床実習や医行為を比較しても意味をなさないのではないか。むしろ、本当に日本の大学でコア・カリキュラムを踏まえた取組が行われているかを把握することが必要ではないか。
 平成13年度に作成されたコア・カリキュラムに基づいた教育を受けた学生が、今年度から正式に臨床実習を始めることになっている。今、ちょうど実習を始めたところであり、調査してもはっきりしないのではないか。
 アドバンストOSCEの実態についても調査する必要があるのではないか。実施している大学は増加しているようであるが、内容や実施時期については不明確。
 アンケート調査をすることによって、大学側が文科省に評価されているように思われ、思わぬプレッシャーをかけてしまうという恐れもあるので調査の仕方には注意する必要がある。
 アンケートの実施については、各大学にプレッシャーをかけないよう、コア・カリキュラムの改訂のために各大学の現状を把握したいというような前文をきちんと付けた上で用語についても精査する必要がある。また、大学の負担をなるべく減らす工夫が必要である。
 すべての大学に調査をしなくても、課題や問題点は浮き彫りにできるため、サンプル調査をして回答してもらうということも考えられる。
 臨床実習の手技の内容については各大学とも統一されておらず、それぞれの達成度にもギャップがある。卒後臨床研修との連続性の観点からも卒前・卒後の内容を比較できるようなものにすべき。
 各医行為について、やっているか、やっていないかではなく、今の環境でできているか否か、どのような環境で臨床実習を行っているのかという観点で問うべき。
 各医行為について「当面やらせるつもりはない」、「しっかりと学ばせたいと思っているか」というような聞き方にしてはどうか。
 各事項について習得できたか否かよりも、どの事項を臨床実習で教えるべきなのか、どの事項がどのような理由で実施困難なのかについて現場が考えているのかを知りたい。現場の意識をそのまま教えてもらうという視点が必要である。
 臨床実習の調査は、現在、曖昧とされている医学生の立場を守る観点からも、侵襲性のある医行為をやらせているか否かという実態を把握する上で必要。
 コア・カリキュラムの項目をベースに調査してはどうか。

【まとめ】
  本日の議論を踏まえて、臨床実習に関する調査を実施することとなった。


医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議:診療参加型臨床実習に関するWG第3回会議(概要)

日時:
平成18年6月13日(火曜日)16時〜18時

場所:
科学技術・学術政策局会議室

出席者:
WG専門委員
  名川主査、田中副主査、大久保委員、大滝委員、岡井委員、新保委員、高瀬委員、丹生委員、名郷委員、平出委員、吉田委員
協力者会議委員
  福田委員、北村委員
厚生労働省医政局医事課
  小澤課長補佐、宮本課長補佐
文部科学省
  磯田大臣官房審議官、栗山医学教育課長、田中医学教育課長補佐、神田大学病院支援室長補佐、長田医学教育課専門官、他関係官

議事要旨
1. 地域医療実習に係るヒアリング
(1)長崎大学大学院教授 兼松 隆之 参考人
【主な質疑応答】(●:質問者、◇:参考人)
質問者 離島医療・保健実習に係る費用は学生一人当たり5日間でいくらかかるのか。
参考人 交通費(高速船)や諸々あわせて1万数千円の負担が必要になる。(宿泊は寮を利用)
質問者 学外実習費の問題は普遍的な問題だと思うが、どう考えるか。
参考人 「鐘韻人間科学振興基金」という財団が、長崎−五島間の高速船の片道チケットを支給している。
質問者 二次救急のところに学生が参加するということはありますか。
参考人 あります。現場で心電図をとったりできるよう、コミュニケーションがとれるように頼んだりとかを勉強する。
質問者 学生の意識としては、医療過疎地域に行って実習をしたいという認識なのか、それとも、物理的に離れたところで実習をしたいという認識なのか。
参考人 この目的は、一人で色々なことをやるということを体験させるのではなく、地域に密着したところで、大学病院などでは経験できないことをする、地域の人々と接するというところを見てもらうのが実習の主目的。
質問者 離島という医療がコンパクトにまとまっている地域で実習をする可能性が大きいということですか。
質問者 長崎大学に地域枠や、将来へき地に行くといった奨学金といったものはあるか。また、そのような学生は特別張り切っていくといったことはあるのか。
参考人 長崎大学としては、地域枠は設けていないが、奨学金制度はある。この奨学金の返還免除の要件として12年間の勤務が義務付けてあり、そのうちの半分を離島・へき地での勤務を義務付けている。現在、離島に100名くらいの医師が勤務しているが、そのうち45名位は奨学生もしくは自治医大の卒業生。
質問者 へき地等で働きたいですか、という質問に対して学生は具体的にどのように考えているのでしょうか。
参考人  きちんとした分析はできていないが、離島であっても「中核病院」というのは、普通の大都会の病院とそう変わらないような設備があったり、診療内容もあまり変わらないと思う。学生は、そのようなところにわざわざ行きたいというよりは、患者さんのところに直接、訪問して、地域の人々と一緒に話しながら治療したりすることが、その学生にとって非常にインパクトのある体験になるのではないか。本当に地域医療の中に飛び込んだ医療をやりたいと学生は思っていることを期待している。

(2)札幌医科大学学長 今井 浩三 参考人
【主な質疑応答】(●:質問者、◇:参考人)
質問者 具体的に学生が地域に行った場合、やることはそこでの見学ですか。
参考人 いいえ。参加型ですので、血圧を測ったり、検査をしたりといった最低限のことは必ず何かさせている。ただ見ているだけではなく、何らかの診療行為の少し手前くらいのところまではやらせてもらっている。
質問者 診療参加型臨床実習で、患者さんに直接医療行為をする場合の同意の取得と、個々の施設の契約が大変だと思います。受入れてくださる病院の先生の平均年齢は幾つくらいか。
参考人 40歳から55歳位の間。宿泊はそこの施設を利用する。
質問者 2大学の取組を聞いて思ったことは、もっとも大切な事は、責任者を大学で育てるということだと思う。
質問者 北海道出身の人が北海道に定着する率が高いのは、地元に愛着があるからではないか。そのような基盤の上に実習がセットされているから非常にうまくいっているのではないか。
参考人 元気のある高校生に入学してもらうということが一番重要になると思う。
参考人 やはり教室での講義よりも、実習として現場に出て行く方が絶対にいいと思う。
質問者 また、実習に学生一人で出すということは非常にいいこと。
参考人 一人だと逃げ場もなく、本人も覚悟を決めていくため、実習をきちっとやってくる。

2. 臨床実習に係る調査結果について
  ○ 調査結果について事務局から説明。
  ○ 全国79国公私立大学に調査をし、現在72大学から回答が来ている。全大学からの回答を集計後、改めて報告することとなった。

【まとめ】
   次回WGの開催日時については、各WGの開催予定等を勘案して医学教育課において設定する予定とした。


医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議:診療参加型臨床実習に関するWG第4回会議(概要)

日時:
平成18年7月18日(火曜日)10時〜12時

場所:
科学技術・学術政策局会議室

出席者:
WG専門委員
  名川主査、田中副主査、大久保委員、後藤委員、新保委員、高瀬委員
協力者会議委員
  福田委員
文部科学省
  栗山医学教育課長、田中医学教育課長補佐、他関係官

議事要旨
1. 臨床実習に係る調査結果について
 調査結果について事務局から説明。
 (調査結果から)大学独自の医行為に関する指針を作成しているところもあるようだが、学生が実施する医行為については、侵襲性の低いものを実施させるようにし、各大学とも安全性を確保するような方向に進んでいるように思える。近年、医療訴訟が増加しているため、現場としては侵襲性の高い医行為を学生にやらせようとはしなくなっている。
 「医行為を学生同士でやらせている」という記載が目立ったが、相手が患者でなくても、事故が起きた場合は医療事故に含まれる。学生同士の医行為についても、学生の親の承諾を得る、という記載もあった。
 どのようなインフォームド・コンセント(以下「IC」と言う。)をとっているのかが、各科によってまちまちであり、各大学とも悩んでいるように受け止めた。
 違法性を阻却できる医行為はないが、侵襲性の高い医行為であっても、どんどんやっていいような雰囲気になっているが、「国としての指針を決めてほしい」というのが大学の本音だと思うため、このWGを機にきちんと診療参加型臨床実習(以下「CC」と言う。)の在り方をきちんと見直すべき。
 平成13年に「モデル・コア・カリキュラム」(以下「コアカリ」と言う。)を策定した時に、学生の臨床実習について明確にコアカリGとして学習目標を示したので、学生に医行為を積極的にやらせるべきだと解釈する人が多かった。しかし、昨今のように医療安全が謳われるような時勢においては、実際に学生が事故を起きしてしまったら対処の方法がないという状況で、現場は板ばさみ状態となっている。
 最近は、医師国家試験(以下「国試」と言う。)においても、学生がきちんと臨床実習をやってきたかを評価するようになってきているため、国試との整合性も考える必要がある。
 CCは臨床推論を学生が学ぶためのものであるが、学生にきちんと役割を持たせる必要がある。
 CCの在り方については、平成13年のコアカリ策定時の前文に既に記載があるが、今回のWGで検討した結果を改めて明記した方が良いのではないか。コアカリ策定時とは時代が変わってきている。
 CCでは、侵襲的医行為については見学型というスタンスをとるべきかもしれない。羞恥的医行為は見学すらできない。国としてのスタンスを示して欲しいと言うのが大学の本音だと思う。
 このWGで、CCについてどこまで定めるかを決める必要がある。CCについてのある程度の基本指針を示すべき。
 問題が発生した時に、患者の同意をとっていてもそれが認められるかが問題。ここまで同意を得れば問題は無いというコンセンサスをとるべき。また、学生の医行為について、保険がどこまでカバーしているかという点についても明確にするべき。
 医行為の法的な観点(違法性の阻却について)からの議論を、一度、WGでやった方が良い。
 日米で医療に関する刑事訴訟の実態が全く異なる(米国ではほとんど民事)ので、アメリカ型のCCを日本に導入する際には、そのあたりもきちんと認識した上で導入しないと問題が生じる。
 文科省からの仕事で、アメリカにおける医行為の現状を視察に行ったことがあるが、アメリカでは侵襲的な医行為はやらせていなかった。

2. 地域医療実習について
 「地域医療実習」についてのコアカリ改訂案を主査から説明。
 地域医療実習について、どの分野の教員が担当することになるのか。地域医療は診療科、保健・福祉は公衆衛生との考えがある。医療と保健と福祉のつながりについて教えることは大切だが、どの部門が担当すべきかが不明。
 診療所に実習に行けば、一連の事柄を学ぶことができる。地域医療実習については、総合診療部の教員が担当することになるのか。最近は、各大学に地域連携室があるため、その担当教員が担当することになるのかもしれない。卒後臨床研修においても、地域医療についても研修を行うので、卒後臨床研修センターが担当しても良いかもしれない。
 地域医療実習の期間を決めると、各大学に縛りを与えてしまうことになるので、実習できない可能性が出てくる。
 最近、地域によっては、保健所が医学生を実習に受入れてくれないところがある。特に都心は大学も多いため、受け入れ側の開業医等は実習の受入を依頼されて困ってしまっている。研修医の場合は既に医師免許を持っているためマンパワーになるからよいが、医学生の受け入れについては拒否されることが多くなっている。
 「地域医療実習」の項を設けるのはよいが、ここに対応する科目が無い。
 体験するのが大切なことなので、実際に対応する科目が無くても良いのではないか。

【たたき台に関する議論】
 
 5の表題を「地域医療臨床実習」とするか、「地域医療実習」とするか。
 「一般目標」の「保険・医療・福祉」の順を「医療・保健・福祉」とする。
 「到達目標」の順番を「1)→2)→3)→4)」から、「4)→1)→3)→2)」とする。
 たたき台案「到達目標」「2) プライマリ・ケアを体験する。」を「2) 地域のプライマリ・ケアを体験する。」とする。
 「実習形態」の「学外の地域病院、診療所、保健所と社会福祉施設など」を「学外の地域病院、診療所(保健所・社会福祉施設も含む)など」とする。
 Gの前文(CCに関する統轄責任者の配置について)を追加することについては特段の問題はない。
CCで事故が起きた際にこの統轄責任者が責任をとることになるのか、といった質問もあった。

【まとめ】
 次回のWGにおいて、「G 臨床実習」部分のコアカリ改訂案のたたき台を主査から提出することとなった。
 今回議論した「地域医療実習」のコアカリ改訂案のたたき台を修正し、次回のWGで改めて議論を行うために事前に各委員からコメントをもらうこととした。
 次回WGの開催日時については、各WGの開催予定等を勘案して医学教育課において設定する予定とした。



診療参加型臨床実習の在り方に関して−地域医療実習の重要性の観点から−(PDF:702KB)
「離島医療・保健実習が目指すもの」長崎大学医学部の取り組み(PDF:1,453KB)


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