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資料3

医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議
教育者・研究者養成方策の充実に関するWG第2回会議(概要)

1. 日時
  平成18年3月16日(木曜日)14時〜16時

2. 場所
  三菱ビル地下1階M3会議室

3. 出席者
 
WG専門委員
  大橋主査、垣生副主査、飯島委員、河上委員、祖父江委員、高野委員、鍋島委員、前原委員、宮園委員、森下委員
協力者会議委員
  福田委員、名川委員
厚生労働省医政局医事課
  宇都宮医師臨床研修推進室長
文部科学省
  泉大臣官房審議官、小谷医学教育課長補佐、加藤医学教育課長補佐、小川医学教育課専門官、神田医学教育課大学病院支援室長補佐 ほか関係官

4. 議事要旨
 
1. 文部科学省から説明
 
 我が国の医学研究の現状について
 中央教育審議会答申(平成17年9月5日)について
 “Tomorrow’s Doctor”,“The Scottish Doctor”等に見られるフィジシャン・サイエンティストの養成に係る記述について
 2006年東京大学基礎統合講義について

2. 自由討論(概要)
  【フィジシャン・サイエンティストの養成について】
 
 医学部を出た医師免許取得者がどこで医療をやろうとも常にサイエンティストしてのマインドを持つべき。

 自分が学生の時は今の10分の1も医学教育を受けていない。しかし、現在のような教育を受けていないからこそ、自ら医学書を読んで学んだり、講義の中で最先端の研究に関する話に触れたりすることで、研究マインドが啓発されたのかもしれない。現在は、医学教育は充実していると思うが、学生の研究志向が乏しくなってきているように思う。

 現在、「大学院教育の実質化」が言われているが、現実は実質化していないのではないか。今後は実質化を目指した制度改革等を進めていくべきなのか、検討していく必要がある。

 現在の医学教育においては、講義数が減ってきているので基礎統合講義のような取組は効果的。熱心な学生は受けに来るが、全体的にみて、出席率はいいとは言えないが、熱心な学生はこのような講義に啓発されるようなので、一定の成果が上がるのではないか。

 教養教育のような医学以外のことを考える時間が減少している。ゆとり教育の影響かもしれないが、例えば、物理や生物の実験を経験していない学生もいたりするなど、学生の気質も変わってきている。また、少人数でものを考える時間も減ってきているのではないか。

 アメリカではデュアル・ディグリー・コースが増えてきている。3年間の間で様々な学習・経験をさせて、さらに広い分野に興味を持たせる。学生にとって「選べる」という環境が大切。多様性があって、その中の選択肢の一つとして研究があるということが大切なのではないか。多様性の確保をすることが大切。

 MD/Ph.Dコースについては学部の退学を前提としていると、なかなか学生は踏み切れないのではないか。

 研究者を育てるには学生を自由にさせる環境が大切。研究者を養成するためのシステムにも自由度があったほうがいいと思う。

 最近は、大学院の魅力が無くなってきている。海外留学が減っているというのもある。理由は、医学博士の意味が明確ではなくなってきているというところにある。以前は医学博士を取得することに意味があったが、現在の若手医師は、専門医資格の取得に目が向いている。

 現在は、優秀な人間とそうでない人間に二極化してきており、優秀かつ研究志向を持つ人材が少なくなってきている。また、大学院に進学したとしても指導教授とうまくいかず、途中で辞めてしまう人もいる。

 米国では、治験をコーディネートできる研究者は皆一流の研究者であるが、日本ではコーディネートは製薬会社頼みである。臨床研究をやってもなかなか評価されないため、治験をやる人材も少なくなってきている。

 大学によって、研究者養成、地域医療を担う人材の養成といったミッションを明確にしていくべき。

 例えばMD/Ph.Dコースを修了した者は30代前半でも教授にするといったエリート養成コースを設けることも必要。

 患者を助ける手段を創造していくマインドを持つことが大切。このようなマインドを持たせるような教育をやることは効果があると思われるが、実際は、それを教える人材がいないのが問題。

 研究者養成をミッションとする大学においても、どの卒業生も臨床にたずさわる可能性がある以上、そのために必要な教育は行うべき。

 色々なバックグラウンドを持った人を輩出するのは大切。

 多くの医師は患者に接することによって、色々な考え方を身に付け、それをフィードバックする。米国では一流の臨床研究者は必ず基礎研究を行っているが、日本では基礎研究をするマインドを持っている人が少ないため、研究に対する重みが評価されていない。

 研究をやった後の将来が明瞭に見えないことも問題。

 大学院における学生と指導者とのトラブルを避けるため、はじめから複数指導体制をとっている大学もある。このような体制をとることによって、大学院における透明性を確保できるのではないか。また、このような取組を通じて、学生にいいインセンティブを与えることができるのではないか。

 研究室配属には、学習に対して受身になりがちな学生に自ら進んで興味ある研究に取り組ませるというメリットもある。

 モチベーションのある中堅研究者に研究の時間がないことが問題。基礎学習の段階から研究室に配属させるべき。

 現在の医学部6年生は国試の準備でほとんど教育にかける時間がない。医師国家試験をなくしてほしいという学生もいるくらい。海外では国試がない国も沢山あり、厚生労働省は医師国家試験による学生の負担軽減を考えるべきではないか。

 大学ごとにミッションを明確にしていくと差別化につながるおそれがある。どの大学でも医学研究者と医師の両方を育てられるような幅広い教育ができるようにすべきで、医学研究の面白さを伝えられるような教育カリキュラムを設けることが必要。

 大学院に魅力がないのは、卒業後のポストがないなどの問題点がある。

 フィジシャン・サイエンティストを育てるためには、MD/Ph.Dコースや基礎統合講義をどのように活用していくか、科学技術振興調整費等の財政支援をどのようにしていくべきかといった必要な制度設計を行うことと、教員と学生の意識改革を行うことが必要である。医師国家試験という明確な課題があるからこと学生は勉強するという面もあるわけで、研究マインドを養う観点からも、教員が組織的に学生に対して時代の変化を加味した課題設定をきちんと行うことが大切。

まとめ

 
 3月20日の協力者会議で、モデル・コア・カリキュラムにおける研究マインドに係る記述を追加することと、基礎・臨床を問わず医学生の一定期間の研究室配属をコアに位置付けることについて提案する。
 国際的に活躍できる医科学研究者や教育者の養成については、次回以降検討を進める。



教育者・研究者養成方策の充実に関するワーキング・グループの構成


主査   大橋 俊夫   信州大学医学部長
副主査 垣生 園子 東海大学医学部教授
専門委員 飯島 俊彦 秋田大学医学部長
  河上 裕 慶應義塾大学医学部先端医科学研究所長
  児玉 龍彦 東京大学先端科学技術研究センター教授
  祖父江 元 名古屋大学大学院医学系研究科教授
  高野 健人 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授
  鍋島 陽一 京都大学大学院医学研究科副研究科長
  前原 喜彦 九州大学大学院医学研究院教授
  宮園 浩平 東京大学大学院医学系研究科教授
  森下 竜一 大阪大学大学院医学系研究科教授
厚生労働省 宇都宮 啓 厚生労働省医政局医事課医師臨床研修推進室長
文部科学省 重藤 和弘 文部科学省研究振興局ライフサイエンス課先端医科学研究企画官

※ このほか医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議協力者が任意参加。


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