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5.教育研究病院としての大学病院に係わる論点

 

(1)地域医療を担う医師確保に関する大学病院の役割

協力者会議における委員の意見
・医師の適正配置については、必ずしも住民・自治体の要求が地域の医療の質を保つための医師の不足によるのではないことも考えられるので、県や関連病院会からの委員を含めた委員会で、公平な立場からの県の医師の配置というものを見ていけるのではないか。
・大学病院が地域に貢献した場合には、病床数を増やしたり研修への補助金を増額するような仕組みを作ることが望ましい。
・総合診療部がある大学病院が増えてきているが、まだまだ総合診療医の受け皿が少なく、総合診療医を目指す者の展望が開けてこないという現実がある。
・総合診療医の位置付けを明確にし、病院でもこれを増やしていくことが大切だということを社会制度としてアピールしたり、補助したりするスキームが必要。
各種団体・機関の意見
・国立大学病院の地域医療への支援体制等の強化等を図るために、地方財政再建促進特別措置法の改正も含め、地方自治体による国立大学病院への公的支援の促進策を検討する。(国、大学医学部)
・地域の医療機関で一定年限勤務することに対して、給与面での優遇や経歴としての評価等インセンティブが働くシステムを構築する。(地方公共団体、大学医学部及び附属病院)
・診療科単位で行っている医師紹介の窓口を一本化し、各病院あるいは各地区単位に拡大して紹介を行う等透明性・公平性を確保し、社会への説明責任を果たしうるを早期に検討する。(大学医学部及び附属病院)
・近隣の大学と協同して医師紹介が可能となるシステムを構築する。(大学医学部及び附属病院)
【地域における医師の確保等の推進について(提言)(平成17年3月 国立大学医学部長会議・国立大学附属病院長会議)】
・例えば、旭川医科大学では、眼科領域での遠隔医療システムによって、患者が遠方の医療機関を受信しなくても、身近な地域で、対面で専門医の診察を受けることとほぼ同等の成果が得られている。
・こうした地域の事情を踏まえて、すでに組織的に取り組まれている成功事例等を取り上げ、必要な支援方策等を検討する必要がある。
・医師を養成する医育機関は、卒業後も医師の研修を担うとともに、地域医療に対し、医師を適切に配置する調整を行うなど、幅広い対応を行ってきた。
・医育機関・学会等は、今後も地方自治体との連携を深めるとともに、へき地医療の向上に協力する必要がある。
・文部科学省では、大学における医師紹介システムの明確化及び決定プロセスにおける透明性の確保を推進しており、平成17年3月現在、35大学で、医師紹介窓口を一本化している。この他、地域医療支援委員会を大学内に設置し、行政機関及び医療機関と連携するなどの取組が行われている。
・また、地域の医療機関、医育機関など関係諸機関が参加し、地域における具体的な医師確保方策について検討を行う場として、都道府県が中心となった、医療対策協議会が設置されてきている。このような協議会及び当該協議会への参画・協力の制度化を含めた充実を図ることが適当である。
【へき地保健医療対策検討会報告書(平成17年7月 厚生労働省)】

(2)教育研究病院としての大学病院の役割を適切に果たすための組織体制の在り方

協力者会議における委員の意見
・良き臨床をするということはとても大事なアウトカムの一環であり、目視できるメインの部分であるが、それを推進するための良き教育、良き研究も、未来を切り開くために推進していかなければならない。いかなるバランスのもとに教育、研究、診療の3つのファクターを実行・実現させるかが大きな課題。
・経営的視点だけで大学病院を評価してしまうと、臨床の教員が診療と経営だけで疲弊し、研究教育活動が低下し、その大学自体に魅力がなくなってしまうという問題が生じる。
・大学と地域の大病院との棲み分けや役割分担を整理することが必要。
・学生の教育、卒後の教育、患者の治療を含め大学病院に医師が不足しているし、診療科によっても麻酔科、救急、小児科、産婦人科、外科系の教員が足りない状況にある。
・臨床系教員は診療に多大な時間を割かざるを得ない状況にあり、研究、教育に深刻な影響を与えている。実感的には教員の管理業務も含めた診療の比重は70%くらいであり、全員が臨床、教育、研究を発展させようと使命感に燃えて働いているが、どうしてもしわ寄せが教育と研究に及んでしまうとともに総労働時間も長く、厳しい現実の前に疲れ切っている状況がある。
・医療を行っている側や医学教育を行っている側が自己改革をして、国民に分かるような形でしっかりと説明責任を果たし、人員と財源を増やさないと良い医療ができないことを明らかにすることが必要。
・医療安全を確保しなければならないために、学生の実習が非常にしづらい。

(3)女性医師増加に伴う環境整備

協力者会議における委員の意見
・女性医師が本当に医師として1だけ働くことが人生なのか、ある時期は0.7でも他のこともできているということでいいのではないか。
・あれもこれもすべてやりたいという考え方の女性が多いが、そういった価値観が少し変わることがあってもいいのではないか。
協力者会議における参考人の意見
・医師国家試験合格者の33.4%が女性であり、入学者の40%以上を女性が占める大学も少なからずあるので、今後、女性医師をどのように活用するのか、ということが大事。
・女性医師については、性差医療や女性外来などのニーズもあり、活躍の場も広がっているが、産休・育休により現場を離れることで医療の進歩についていけなくなったと感じてしまう人もいる。病院管理者の間では、労働力的には0.7くらいで考えている者が多い。

各種団体・機関の意見
・近年、全体の医師数に占める女性医師の割合は年々高まっており、その労働力を確保することは重要であり、このため、結婚、出産等で一時医療現場から離れた女性医師の復帰のための環境整備が求められており、女性医師が育児しながら勤務できる労働環境(託児所、育児所)や職場復帰を支援するシステムの整備のほか、ワークシェアリングにも取り組む必要がある。
・また、男性医師の女性医師受入に対する意識改革を図るとともに、女性医師についても一層の職業人としての意識改革が必要である。
【地域における医師の確保等の推進について(提言)(平成17年3月 国立大学医学部長会議・国立大学附属病院長会議)】

 

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