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2.学部教育に係わる論点
(1)地域医療を担う医師の養成の在り方 |
協力者会議における委員の意見・国立大学であっても、地域にある医科大学において、地域医療として従事する医師の育成に、地域に唯一存在する医育機関として同じように責任を果たさないと存在意義がないと県民から言われるような状況になっている。
・地域に唯一存在する医育機関は、地域の自治体とも相談しながら、医師育成、医療人育成、あるいは医療人の提供を考えなければならない。
・総合診療のできる医師をどうやって育成していくのか、というのが大きな課題の一つ。
・専門医、家庭医、勤務医などの必要数を踏まえた上で、医師の養成システムを考えていくことが必要。
・卒前教育における地域医療の学習を有効なものにするために、カリキュラムの上で充実させることが必要。
・特に地域医師やそれを支援する医師を望む学生に、地域医療教育コースを設けてはどうか。
・鹿児島大学における離島実習や自治医科大学における実習を見直し、地域の医科大学に導入できないか。
・学生が早期から地域医療の現場に赴いて、地域住民の生活意識や医療ニーズについてアンケートをとるなど、地域のことを肌で感じる経験をすることが大切。
・日本の医者として当然持つべき家庭医としての能力を明らかにし、学習の目標とすることが必要。 |
協力者会議における参考人の意見・1県1医大構想の理念に基付いて地域医療を担おうとしていた新設医科大学が最近は旧設医大の分野に進出しようとしているが、原点回帰すべき。
・医学部医学科はすべて社会の要請と無関係で、横並び。現在のように小児科が足りなければ医学部小児学科が設置されるべき。
・麻酔科、放射線科、病理のようなドクターズ・ドクターを養成しないと、欧米の医療との格差が生じる。
・総合診療医と救急医の位置付けを卒前教育の段階からしっかりとして欲しい。
・セイフティー・マネージャーの養成が必要。
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各種団体・機関の意見・医療資源の有効活用及び、社会のニーズに適した医療の確保のためにも、幅広くプライマリーケアのできる医師を養成していくことが必要である。
【医師の需給に関する検討会中間報告(平成17年7月 厚生労働省)】
・地域医療の意義と重要性を体験させるために、学部教育、卒後臨床研修カリキュラム等の見直し、改善を行う。(大学医学部及び附属病院)
・また、医学部のカリキュラムに、一定期間僻地等の地域医療機関での実習等を含む「地域医療教育コース」を設けることなどにより、地域医療支援医師の育成を行う。(大学医学部)
・離島・へき地医療などの地域医療を担う医師を育成する教育システムを研究し、大学は教育する講座の設置(寄附講座の設置を含む)に取り組み、国及び地方公共団体は、その後方支援を検討する。(国、地方公共団体、大学医学部)
【地域における医師の確保等の推進について(提言)(平成17年3月 国立大学医学部長会議・国立大学附属病院長会議)】
・医師の臨床研修の必修化を契機として、患者の症状全般を診るという総合診療への関心が高まり、へき地・離島での診療の総合性に関心を持つ医師は徐々に増加している。このため卒前教育や臨床研修など、あらゆる機会をとらえて、へき地・離島での診療への関心をさらに高めるよう努めるべきである。
【へき地保健医療対策検討会報告書 (平成17年7月 厚生労働省)】
・大学医学部における地域医療教育の充実
【平成18年度国の予算編成に関する提言・要望書(平成17年6月 三重県)】
・医学部医学科に地域医療を専門とする講座を設置するなど、地域医療に貢献する医師を養成。
【提案・要望書(平成17年7月 鳥取県】
・大学のカリキュラムに地域医療を取り入れるとともに地域医療を積極的に推進する体制を確立すること。
【提案・要望書(平成17年6月 島根県)】
・少子化が進行する中、安心して子どもを生み育てられるよう、小児救急医療体制及び小児専門医の育成・確保を図ること
【要望書 保健医療の充実について(平成17年7月 大分県)】 |
(2)モデル・コア・カリキュラムに基づく学部教育の充実 |
協力者会議における委員の意見・学部教育では国家試験のために卒業試験を半年も早めてしまって、実質的に5年半の教育しか行っていないところがあるが、いかがなものか。
・大学の医学教育では職業訓練と教育が混乱してしまっているが、これらはまったく違うものであり、職業訓練がまったく欠落してしまっている。
・現在の医学教育においては基本的な医療安全の教育が不十分であり、医療安全の観点を教育の中心に据えることが必要。 |
各種団体・機関の意見・特に不足が指摘されている化学療法、放射線療法の専門医のためには、大学の医学教育において、化学療法や放射線療法についての基本的な知識教育が行われ、卒後さらに大学附属病院等における臨床教育が行われることが望ましい。このため、大学において、がん診療全般を横断的に見ることのできる化学療法及び放射線療法などを専門とする講座の設置等、教育体制の整備に努める必要がある。
【がん医療水準均てん化の推進に関する検討会報告書(平成17年4月 厚生労働省)】
・文部科学省及び厚生労働省は、医師及び看護師の養成機関における医療の安全に関する教育の推進を図る観点から、次の措置を講ずる必要がある。 大学医学部及び看護系学部の安全に関する教育について、それぞれモデル・コア・カリキュラム及び看護学教育検討会報告を踏まえたものとなるよう、その促進を図ること。(文部科学省)
【医療事故に関する行政評価・監視結果に基づく勧告(平成16年3月 総務省)】 |
(3)診療参加型臨床実習の在り方 |
協力者会議における委員の意見・医学部の学習量があまりにも多過ぎて、1年次から専門の授業を行う学校もある。共用試験への対応のために学生の負荷が増えているのではないか。
・共用試験の位置付けについて法的根拠も含めて明確にすることが必要。
・患者の生の声を聞く学習を取り入れることが重要。
・地域や患者との交流をより充実させて欲しい。
・患者と接する第1番目となる外来の初診の実習はほとんどやられておらず、なおざりにされてきている。卒前の段階でも関連病院に出して初期診療外来実習をさせることが必要ではないか。
・学生の診療行為に対する法的な根拠を明確にすることが必要。
・学生の医行為を可能とする法的措置を確立し、新医師臨床研修制度のプログラムの一部を卒前教育に取り入れて、卒前卒後の一貫した研修システムを構築することが必要。 |
各種団体・機関の意見・国民あるいは地域住民の付託に応える質の高い医師育成のために、標準評価試験である共用試験(CBT)及び客観的臨床能力試験(OSCE)を大学医学部自らの責任で、平成17年度から導入する。(大学医学部)
【地域における医師の確保等の推進について(提言)(平成17年3月 国立大学医学部長会議・国立大学附属病院長会議)】
・従来、大学の医学教育、臨床実習は医療の高度化による専門化に対応して専門教育が重視され、より実践的な家庭医、プライマリケアなどに関する教育がおろそかにされてきた傾向があった。この事が新臨床研修制度導入の一つとして挙げられており、医育機関としては真摯に反省せざるを得ない。従って、早急に家庭医、プライマリケア等の実践的医学教育を充実させ、それに対応した臨床実習を構築して行く事が求められている。
・学生が実施できる医行為に制限があるのは当然である。しかし、現状では学生の医行為の責任の所在、教官の教育体制などを含む教育環境が十分ではなく、効率的かつ実践的な臨床実習が難しい。この観点から、臨床実習の教育環境の整備が不可欠である。
【臨床研修/臨床教育環境充実・改善に関する提言と要望(平成17年6月 全国医学部長病院長会議】
・地域における総合診療やプライマリ・ケアの実践、習得
【医師の地域別及び診療科別不足・偏在の改善に向けての要望(平成17年2月 全国自治体病院開設者協議会、社団法人全国自治体病院協議会)】
・大学医学部における「地域医療に関する教育」を充実(へき地実習を必修化)すること。
【へき地医療における医師の確保対策について(平成17年6月 四国知事会)】 |
(4)教育能力開発の推進 |
協力者会議における委員の意見・大学病院は理想の医師を育成するのに適した場所ではない。優れた医師を養成している外国の大学と比較して教員の数が少ないし、診療と教育に情熱のない教員や医師がたくさんいる。 |
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