資料1-1 被用者年金一元化法案の概要
【4月13日閣議決定・国会提出】
1.法律案の趣旨
被用者年金制度の安定性・公平性を確保し、公的年金制度全体に対する国民の信頼を高めるため、公務員及び私学教職員についても厚生年金保険を適用する等所要の措置を講ずる。
2.法律案の主な内容
(1) 制度体系の見直し
- 公務員や私学教職員も厚生年金に加入し、2階部分の年金を厚生年金に統一する。
(2) 制度的な差異の解消
- 共済年金特有の遺族年金の転給制度を廃止するなど厚生年金と共済年金との制度的な差異は、厚生年金の取扱いに揃える。
(3) 保険料率の統一
- 各共済年金の1・2階部分の保険料率を引上げ、公務員は平成30年、私学は平成39年に、厚生年金の保険料率(18.3%)に統一する。
※ 私学については、教職員や学校法人の急激な負担増とならないよう、増加する1・2階部分の保険料の一部を(4)により仕分けられた共通財源たる積立金以外の積立金をもって負担することができる。
(4) 積立金の仕分けと管理運用
- 共済年金の積立金のうち厚生年金の積立金の水準に見合った額を、一元化後の1・2階部分の共通財源に供する。
※ 仕分け後に共済に残る積立金については、廃止される職域部分(3階部分)の支払債務(既裁定及び未裁定の給付費)等に充てる。
- 共済組合や私学事業団は、共通財源となる1・2階部分に係る積立金の管理運用を行う。
- 上記積立金の運用の基本的な指針や評価等については、厚生労働大臣が各大臣と協力の上、策定する。
※ 共済組合や私学事業団は、上記積立金の一部について、各共済法の目的に沿った独自運用を行うことができる。これにより、私学事業団が管理運用する1・2階積立金の一部は、引き続き私立学校への貸付財源等として活用できる。
(5) 事務組織
- 一元化後の厚生年金制度の実施機関として、共済組合や私学事業団を活用する。
※ 私学教職員に係る厚生年金の被保険者記録の管理、保険料の徴収、保険給付の裁定・支払等の事務は、引き続き私学事業団が行う。
(6) 制度全体の会計収支等
- 一元化後の厚生年金制度全体の給付と負担の状況を国の会計(年金特別会計厚生年金勘定)にとりまとめて計上し、開示する。
- 共済組合や私学事業団は、徴収した厚生年金保険料及び管理運用する1・2階積立金等に応じて厚生年金勘定に拠出金を納付する。また、共済組合や私学事業団が行う厚生年金保険給付に要する費用等に充てるため、同勘定から共済組合や私学事業団に交付金を交付する。
- 制度全体を通じた財政検証を定期的に実施する。
(7) 職域部分の廃止と新3階年金の創設
- 共済年金にある公的年金としての3階部分(職域部分)は廃止する。
- 職域部分の廃止と同時に新たな公務員制度又は私学共済制度としての年金給付制度を設けることとし、平成24年中に検討を行い、別に法律で定めるところにより必要な措置を講ずる。
(8) 追加費用の削減
- 公務員の共済年金に係る追加費用を削減するため、恩給期間に係る年金給付の減額措置を講じる。
(9) 施行期日
- 平成27年10月1日。ただし、(8)については、法律の公布日から1年以内で政令で定める日。